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Bull. Nagano Environ. Conserv. Res. Inst. No.8(2012) 3. 結果および考察 3.1 長野県における手足口病患者およびヘルパンギーナ患者からのエンテロウイルス検出状況 手足口病患者およびヘルパンギーナ患者 67 検体のうち, が 45 株 (67 %

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(1)

1.はじめに

手足口病(Hand, foot and mouth disease :HFMD)は,

3 ~ 5 日の潜伏期間の後,口の粘膜・手のひら・足

の裏などに現れる 2 ~ 3mm の水疱性の発しんを主

症状とした急性ウイルス性感染症である.その他に

発熱(38 度以下) や食欲不振, のどの痛みなどが

見 ら れ る が, 一 般 的 に 軽 症 で, 発 疹 は 3 ~ 7 日 で

消失する.

一方ヘルパンギーナ(Herpangina) は, 典型的に

は 2 ~ 4 日の潜伏期間の後,突然 38 度以上の発熱

を呈し,続けて口腔内に水疱が出現する急性ウイル

ス性感染症である.水疱が破れて痛みを伴うことが

ある.その後 2 ~ 4 日で解熱し,7 日程度で治癒する.

発熱による倦怠感や口腔内の痛みなどから,食事や

水分を十分にとれず,脱水症状を呈することもある.

いずれも乳幼児を中心に夏季に流行する疾患であ

り,病原ウイルスはどちらもエンテロウイルス属に

よるものである.手足口病はコクサッキーウイルス

A 群 16 型( 以 下 CA16), エ ン テ ロ ウ イ ル ス 71 型

(以下 EV71)及びコクサッキーウイルス A 群 10 型

(以下 CA10)によるものが多く,ヘルパンギーナは,

コクサッキーウイルス A 群 4 型(以下 CA4),コク

サッキーウイルス A 群 6 型(以下 CA6)及び CA10

の感染によるものが多いと言われている.

このうち CA6 と CA10 は患者個体,感染時期によっ

て,手足口病,ヘルパンギーナ様の多様な症状を示

す.また手足口病,ヘルパンギーナを引き起こすウ

イルスは,年によって入れ替わり,流行規模にも変

化がみられることが知られている

1) 2)

2011 年(H23 年)は,長野県で手足口病が第 31

週(8 月 1 ~ 7 日)に定点医療機関あたり 9.04 人と,

過 去 5 年 間 で も っ と も 多 い 状 況 と な り, 大 規 模 な

流行をみとめた.またヘルパンギーナも,定点あた

り 8 人を超える流行を示した

3)

そこで今回,2011 年(1 月~ 10 月)の長野県に

お け る 手 足 口 病 お よ び ヘ ル パ ン ギ ー ナ 患 者 か ら の

PCR 法によるエンテロウイルス検出状況と,遺伝子

解析および臨床的特徴について報告する.

2.検査対象と方法

2.1 検査対象

検 査 対 象 は, 感 染 症 発 生 動 向 調 査 事 業 に お い て

2011 年 1 月 ~ 10 月 の 間 に 長 野 県 内 の 定 点 医 療 機

関で,手足口病もしくはヘルパンギーナと臨床診断

された患者から採取された咽頭ぬぐい液 67 検体(手

足口病:46 検体,ヘルパンギーナ:21 検体)とした.

また,過去の分離株と比較するために,2007 年(H19

年 ) に 分 離 し た CA6 の 5 株 と,2008 年(H20 年 )

に分離した CA10 の 5 株を検査材料とした.

2.2 遺伝子学的検査方法

咽頭拭い液から,QIAampViral RNA Mini Kit(QIAGEN

社 ) を 用 い て RNA を 抽 出 し た. 抽 出 し た ウ イ ル

ス RNA は, エ ン テ ロ ウ イ ル ス 特 異 プ ラ イ マ ー

(AM11,12/AM31,32)を用いてワンステップ RT-PCR

により VP2 領域を増幅した. 特異バンド(584bp)

が検出されなかった検体については,セミネステッ

ト PCR( プ ラ イ マ ー AM21,22/AM31,32) を 実 施

し た

4) 5)

. 得 ら れ た PCR 増 幅 産 物 は QIAquick PCR

Purification Kit(QIAGEN 社)を用いて精製後,ダイ

レクトシークエンシング法により ABI PRISM 3130

Genetic Analyzer(Applied Biosystems) を 用 い,VP2

領域の塩基配列(512nt) を決定した. 得られた塩

基 配 列 の 成 績 は、GenBank に 登 録 さ れ て い る 塩 基

配 列 情 報 と の 相 同 性 を BLAST (http://blast.ddbj.nig.

ac.jp/top-j.html)より検索し,ウイルスを同定した.

さらに Clustal W を用いて系統樹解析を行った.

キーワード:手足口病,ヘルパンギーナ,エンテロウイルス,コクサッキーウイルスA群 6 型,系統樹解析

2011 年に手足口病・ヘルパンギーナ患者から検出した

エンテロウイルスの遺伝子解析と臨床的特徴

内山友里恵

・中沢春幸

1 長野県環境保全研究所 感染症部 〒 380-0944 長野市安茂里米村 1978

(2)

1 長野県における手足口病患者からのウイルス分離・検出状況

1~10月

 CA 2

1

( 9)

2

( 6)

 CA 6

1

(13)

1

( 6)

2

(14)

35

(76)

 CA 9

1

( 2)

1

(11)

2

(14)

 CA 10

1

(13)

7

(15)

 CA 16

7

(64)

6

(75)

5

(12)

13

(76)

30

(94)

1

(11)

4

( 9)

コクサッキーウイルスB群 3型

1

( 9)

3

(18)

EV71

2

(18)

34

(85)

6

(67)

10

(72)

エコーウイルス9型

1

(11)

合計検出数

11

8

40

17

32

9

14

46

()内%表示

2010年

2011年

2004年

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

表 1 長野県における手足口病患者からのウイルス分離・検出状況

ヘルパンギーナ患者では,21 株のうち CA6 が 10

株(48%) ,CA10 が 11 株(52%) 検 出 さ れ た(図

3). このことから 2011 年 1 月~ 10 月は, 手足口

病,ヘルパンギーナ両疾患とも主な原因ウイルスは

CA6 と思われる.加えて病原性の相違によりヘルパ

ンギーナ患者から CA10 が高頻度に検出された.

2004 年(H16 年 ) ~ 2010 年(H22 年 ) の 間,

手 足 口 病 の 流 行 中 に 最 も 多 く 検 出 さ れ た ウ イ ル ス

は, 全国と同様に CA16 と EV71 であり, この 2 つ

の血清型が,数年ごとに入れ替わっている(図 4).

CA6 は,少数の分離・検出はあったものの,これま

で手足口病の主な原因ウイルスだったことはなかっ

 

3.結果および考察

3.1 長野県における手足口病患者およびヘルパン

   ギーナ患者からのエンテロウイルス検出状況

 手足口病患者およびヘルパンギーナ患者 67 検体

の う ち,CA6 が 45 株(67 %) と 最 も 多 く 検 出 さ

れ, 全 体 の 3 分 の 2 を 占 め た. 次 い で CA10 が 18

株(27%),CA16 が 4 株(6%) で あ っ た(図 1).

疾 患 別 で は, 手 足 口 病 患 者 46 株 の う ち CA6 が 35

株(76%)と最も多く,次いで CA10 が 7 株(15%),

CA16 が4株(9%)であった(図 2).

CA6

67%

CA10

27%

CA16

6%

1 2011年(1月~10月)エンテロウイルス検出状況

CA6

76%

CA10

15%

CA16

9%

2 2011年(1月~10月)手足口病患者からの

エンテロウイルス検出状況

CA6

48%

CA10

52%

3 2011年(1月~10月)ヘルパンギーナ患者からの

エンテロウイルス検出状況

4

6

8

10

12

(

)

長野県

全国

CA16

CA16

CA6

CA16

CA16

EV71

EV71

0

2

4

(

)

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

CA16

CA16

EV71

CA16

EV71

4 手足口病の主流原因エンテロウイルスと患者報告数の推移

図 1  2011 年(1 月~ 10 月)エンテ

ロウイルス検出状況

図 2  2011 年(1 月~ 10 月)手足口

病患者からのエンテロウイルス

検出状況

図 3  2011 年(1 月~ 10 月)ヘルパ

ンギーナ患者からのエンテロウ

イルス検出状況

図 4 手足口病の主流原因エンテロウイルスと患者報告数の推移

(3)

2011 年に手足口病患者とヘルパンギーナ患者から

検出されたもののうち,512nt が決定できた 39 株

について VP2 領域による系統樹解析を実施した(図

6).

そ の 結 果,2007 年 に 検 出 し た CA6 と 2011 年 に

検出した CA6 は,異なるクラスターに分類された.

2011 年 に 検 出 し た CA6 の 39 株 は, 同 年 に 静

岡 県 で 検 出 さ れ た CA6 Shizuoka/2011(Accession

No.AB663320) 株 と 98% ~ 100% 相 同 の 類 似 株 で

あった. このことから , 2011 年にヘルパンギーナ

患者と手足口病患者から検出した CA6 は , 診断名に

かかわらず類似株であったといえる.さらに得られ

た塩基配列をアミノ酸配列に変換し , 2011 年検出

株と 2007 年検出株とで比較すると ,10 ヶ所の違い

が認められた(図 7). 解析したエンテロウイルス

VP2 領 域 は, ウ イ ル ス 粒 子 の 内 部 に 存 在 し 比 較 的

変異の少ないことが知られている

5)

.2011 年検出

た.

しかし 2011 年は CA6 が手足口病患者から 8 割近

く検出され,その傾向は,他年と相違していた(表

1).

ま た, ヘ ル パ ン ギ ー ナ 患 者 か ら は, 全 国 と 同 様

に 例 年, コ ク サ ッ キ ー ウ イ ル ス A 群 2 型( 以 下

CA2),CA4,CA5,CA6 及 び CA10 と 多 く の 血 清 型

が検出されており,主に検出される血清型も年ごと

に代わる傾向があった(図 5).これに対し,2011

年に検出されたのは,CA6 と CA10 の 2 つの血清型

のみで,他の血清型は検出されていない(表 2).

両疾患において,同年に同じ血清型が多く検出さ

れたことも他年と相違していた.

3.2 CA6 の遺伝子解析

過去の株と比較するために,CA6 が比較的多くヘ

ルパンギーナ患者から分離された 2007 年の 5 株と,

2

3

4

5

6

7

8

9

10

(

)

長野県

全国

CA4

CA6

CA10

CA5,CA6

CA4

0

1

2

3

4

(

)

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

図5

ヘルパンギーナの主流原因エンテロウイルスと患者報告数の推移

CA4,CA6

CA6,CA10

CA2

表2 長野県におけるヘルパンギーナ患者からのウイルス分離・検出状況

1~10月

      CA 2

7

(20)

7

(47)

      CA 4

14

(40)

5

(11)

18

(75)

1

( 4)

3

(18)

6

(40)

3

(20)

      CA 5

1

( 3)

10

(21)

11

(39)

2

(13)

      CA 6

6

(17)

24

(51)

11

(39)

5

(33)

10

(48)

      CA 7

3

(20)

      CA 9

3

( 6)

1

( 7)

      CA 10

5

(11)

4

(14)

14

(82)

11

(52)

      CA 16

1

(3)

1

( 4)

コクサッキーウイルスB群1型

3

(9)

コクサッキーウイルスB群2型

2

( 8)

コクサッキーウイルスB群3型

3

(9)

コクサッキーウイルスB群4型

3

(20)

EV71

4

(17)

総計

35

47

24

28

17

15

15

21

()内%表示

2010年

2011年

2004年

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

表 2 長野県におけるヘルパンギーナ患者からのウイルス分離・検出状況

図 5 ヘルパンギーナの主流原因エンテロウイルスと患者報告数の推移

(4)

23-567 23-447 23-509 23-503 23-505 23-548 23-501 23-499 CA6 Shizuoka/2011(AB663320) 23-453 23-500 23-502 23-537 23-540 23-541 23-542 23-547 23-549 23-508 23-513 23-521 23-433 23-432 23-434 23-435 23-437 23-449 23-451 23-522 23-523 23-569 23-526 23-515 23-520 23-566 23-446 23-550 23-511 23-506 23-448 19-291 19-293 19-298 19-266 19-288 CA6 Gdula(AY421764) 0.02

2011年

VP2領域

(512nt)

23-567 23-447 23-509 23-503 23-505 23-548 23-501 23-499 CA6 Shizuoka/2011(AB663320) 23-453 23-500 23-502 23-537 23-540 23-541 23-542 23-547 23-549 23-508 23-513 23-521 23-433 23-432 23-434 23-435 23-437 23-449 23-451 23-522 23-523 23-569 23-526 23-515 23-520 23-566 23-446 23-550 23-511 23-506 23-448 19-291 19-293 19-298 19-266 19-288 CA6 Gdula(AY421764) 0.02

◆:ヘルパンギーナ患者から検出したCA6

無印:手足口病患者から検出した

CA6

2007年

図6

CA6のVP2領域による系統樹解析

2011年

2008年

◆:ヘルパンギーナ患者から検出した

CA10

無印:手足口病患者から検出した

CA10

VP2領域(512nt)

23-512

23-450

23-556

23-568

23-570

23-507

23-538

23-545

23-504

23-555

23-525

23-524

23-517

20-99

20-147

20-160

20-159

20-178

CA10 aichi/2005(AB244323)

CA10 Kanagawa/2003(AB162742)

CA10(AY421767)

0.02

◆:ヘルパンギーナ患者から検出した

CA10

無印:手足口病患者から検出した

CA10

図8

CA10のVP2領域による系統樹解析

23-512

23-450

23-556

23-568

23-570

23-507

23-538

23-545

23-504

23-555

23-525

23-524

23-517

20-99

20-147

20-160

20-159

20-178

CA10 aichi/2005(AB244323)

CA10 Kanagawa/2003(AB162742)

CA10(AY421767)

0.02

20-99

LTVGNSSITT QEAANIVLAY GEWPEYCPDT DATAVDKPTR PDVSVNRFYT LDSKMWQENS TGWYWK 20-147 ... ... ... ... ... ... ... 20-160 ... ... ... ... ... ... ... 20-159 ... ... ... ... ... ... ... 20-178 ... ... ... ... ... ... ... 23-450 ... ... ... ... ... ... ... 23-504 ... ... ... ... ... ... ... 23-556 ... ... ... ... ... ... ... 23-568 ... ... ... ... ... ... ... 23-570 ... ... ... ... ... ... ... 23-555 ... ... ... ... ... ... ... 23-507 ... ... ... ... ... ... ... 23-512 ... ... ... ... ... ... ... 23-524 ... ... ... ... ... ... ... 23-525 ... ... ... ... ... ... ... 23-538 ... ... ... ... ... ... ... 23-545 ... ... ... ... ... ... ... 23-517 23-517 ... ... ... ... ... ... ... CA10(AY421 ... ... ... ... ... ... ... CA10_aichi ... ... ... ... ... ... ...W.. CA10_Kanag ... ... ... ... ... ... ...

図9

CA10のVP2領域アミノ酸配列変異箇所

2011年

2008年

CA6_Shizuo

VDCGQLNHYY PRGSQHCIEL RRVARILSFY GRYSCGQAYS P*RVSE*VLH TVN*ELEDR 23-453 ... ... ... ... ... ... 23-499 ... ... ... ... ... ... 23-500 ... ... ... ... ... ... 23-501 ... ... ... ... ... ... 23-502 ... ... ... ... ... ... 23-503 ... ... ... .C... ... ... 23-505 ... ... ... .C... ... ... 23-537 ... ... ... ... ... ... 23-540 ... ... ... ... ... ... 23-541 ... ... ... ... ... ... 23-542 ... ... ... ... ... ... 23-547 ... ... ... ... ... ... 23-548 ... ... ... ... ... ... 23-549 ... ... ... ... ... ... 23-550 ... ... ...P.. ... ... ... 23-506 ... ... ...P.. ...P ... ... 23-508 23-506 ... ... ...P.. ...P ... ... 23-508 ... ... ... ... ... ... 23-509 ...H ... ... ... ... ... 23-511 ... ... ...P.. ... ... ... 23-513 ... ... ... ... ... ... 23-521 ... ... ... ... ... ... 23-433 ... ... ... ... ... ... 23-432 ... ... ... ... ... ... 23-434 ... ... ... ... ... ... 23-435 ... ... ... ... ... ... 23-437 ... ... ... ... ... ... 23-446 ...H. ... ... ... ... ... 23-447 ...H ... ... ... ... ... 23-448 ... ... ...P.. ...P ... ... 23-449 ... ... ... ... ... ... 23-451 ... ... ... ... ... ... 23-522 ... ... ... ... ... ... 23-523 ... ... ... ... ... ... 23-569

2011年

図7

CA6のVP2領域アミノ酸配列変異箇

23-448 ... ... ...P.. ...P ... ... 23-449 ... ... ... ... ... ... 23-451 ... ... ... ... ... ... 23-522 ... ... ... ... ... ... 23-523 ... ... ... ... ... ... 23-569 ... ... ... ... ... ... 23-526 ... ... ... ... ... ... 23-515 ... ... ... ... ... ... 23-520 ... ... ... ... ... ... 23-566 ... ... ... ... ... ... 23-567 ...H ... ... ... ... ... 19-291 ...D.HH ....*.S... W...L. ...*TH. ...Q... ...Q... 19-293 ...D.HH ....*.S... W...L. ...*TH. ...Q... ...Q... 19-298 ...D.HH ....*.S... W...L. ...*TH. ...Q... ...Q... 19-288 ...D.HH ....*.S... W...L. ...*TH. ...Q..Y ...Q... 19-266 ...D.HH ....*.S... W...L. ...*TH. ...Q... ...Q... CA6_Gdula(

AN.W.FD..H T.SC*.SV.. W*M....PLH ...*.HT ARC... FI.Q...N. 23-506 ... ... ...P.. ...P ... ... 23-508 ... ... ... ... ... ... 23-509 ...H ... ... ... ... ... 23-511 ... ... ...P.. ... ... ... 23-513 ... ... ... ... ... ... 23-521 ... ... ... ... ... ... 23-433 ... ... ... ... ... ... 23-432 ... ... ... ... ... ... 23-434 ... ... ... ... ... ... 23-435 ... ... ... ... ... ... 23-437 ... ... ... ... ... ... 23-446 ...H. ... ... ... ... ... 23-447 ...H ... ... ... ... ... 23-448 ... ... ...P.. ...P ... ... 23-449 ... ... ... ... ... ... 23-451 ... ... ... ... ... ... 23-522 ... ... ... ... ... ... 23-523 ... ... ... ... ... ... 23-569

2007年

図 6 CA6 の VP2 領域による系統樹解析

図 7 CA6 の VP2 領域アミノ酸配列変異箇所

図 9 CA10 の VP2 領域アミノ酸配列変異箇所

図 8 CA10 の VP2 領域による系統樹解析

(

512nt

)

(5)

CA10 は,系統樹解析で異なるクラスターに分類さ

れたが,アミノ酸配列に変換すると,同義置換され

相違は認めなかった.

2011 年( 1 月 ~ 10 月 ) に 流 行 し た 手 足 口 病,

ヘルパンギーナは,臨床所見で非典型的な症状を認

める傾向にあり, 主な原因ウイルスは CA6 による

ものと推察された.

エンテロウイルス感染症は,多種・多様の症状を

呈 す る こ と で 知 ら れ て い る. ま た,RNA ウ イ ル ス

の特徴としてウイルス変異が起こりやすく,診断を

下す臨床現場でも苦慮する事例も多いことが推察さ

れる.特に 2011 年に手足口病,ヘルパンギーナ患

者から多く検出された CA6 は, 遺伝子解析の結果

から過去の CA6 との相違が明らかになり, 感染性

や患者に症状を引き起こす病原性が,過去の同血清

型から変化した可能性が推察された.

 

毎年の流行状況及び流行株の解析は,疾病の流行

を監視する上で極めて重要である.今後も感染症発

生 動 向 調 査 を 通 じ, 経 年 的 な 流 行 状 況 の 把 握 に 努

め,臨床の現場にフィードバックしていきたい.

文 献

1) 国立感染症研究所 感染症情報センター:注目

すべき感染症「手足口病」,感染症発生動向調

査感染症週報,10(24)10-14(2008)

http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/idwr/idwr2008/

idwr2008-24.pdf (2011 年 11 月確認)

2) 国立感染症研究所 感染症情報センター:注目

すべき感染症「ヘルパンギーナ」,感染症発生

  動向調査感染症週報,12(26)7-9(2010)

http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/idwr/idwr2010/

idwr2010-26.pdf(2011 年 11 月確認)

3) 長野県健康長寿課 長野県感染症情報 2011 年

(H23 年)第 31 週 8 月 1 日~ 7 日

http://www.pref.nagano.lg.jp/eisei/hokenyob/

kansen/23-31w.pdf(2011 年 11 月確認)

4) 清水博之,米山徹夫,吉田弘,山下照夫:病原

体検出マニュアル,手足口病,1 ~ 22(2003)

5) Nasri D, et al .(2007), Typing of Human

Enterovirus by Partial Sequencing of VP2.J Clin

株と 2007 年検出株の VP2 領域にコードされたアミ

ノ酸配列に相違がみとめられたことは,感染性や病

原性を司る領域にも変異が生じた可能性が考えられ

た.

3.3 CA10 の系統樹解析

過去の株と比較するために,CA10 が比較的多く

ヘ ル パ ン ギ ー ナ 患 者 か ら 分 離 さ れ た 2008 年 5 株

と,2011 年に手足口病患者とヘルパンギーナ患者

か ら 検 出 さ れ た も の の う ち,512nt が 決 定 で き た

13 株について VP2 領域による系統樹解析を行った

(図 8).2008 年に検出した CA10 と 2011 年検出の

CA10 は,異なるクラスターに分類された.さらに ,

今回解析した領域での塩基配列では,相違が認めら

れるものの , アミノ酸変換で同義置換され,アミノ

酸配列には相違を認めなかった(図 9).

3.4 臨床的特徴

従来,突然の高熱を伴い発疹が口腔内に限定した

所見を認めればヘルパンギーナ , 38℃以下の発熱で

発疹が口腔内だけでなく手足にも出現が確認されれ

ば手足口病と診断される場合が多い.しかし,松岡

6)

によれば,2011 年は,高熱と口腔内発疹の所

見からヘルパンギーナと診断しても,その後に皮疹

が出現したことから手足口病と診断を訂正した事例

を報告しており, その非典型事例から CA6 が 62%

と,比較的多く検出されている.また,これまでよ

り大きい扁平な水疱を伴う場合や,病後に爪甲が脱

落する症例が国内外で報告されており,脱落した爪

甲から CA6 が検出されている

7)

.2011 年は, 非典

型的な臨床所見が認められる傾向にあった.

4 まとめ

手足口病の原因ウイルスは,数年ごとに CA16 と

EV71 の 流 行 を 繰 り 返 し て い た が,2011 年( 1 月

~ 10 月)は CA6 が手足口病患者から 8 割近く検出

され,その傾向は他年と相違していた.

ヘルパンギーナの原因ウイルスは,CA6 と CA10

の2種類がほぼ半々であった.

2007 年に検出した CA6 と 2011 年検出の CA6 は

系 統 樹 解 析 に お い て, 異 な る ク ラ ス タ ー に 分 類 さ

れ,アミノ酸配列においても 10 ヶ所の相違を認め

た.

2008 年の検出 CA10 の 5 株と,2011 年の検出の

(6)

7) 柏井健作 他(2011)手足口病後に脱落した爪

からのコクサッキーウイルス A6 型の検出-和

歌山県,IASR,Vol. 32(11):339-340

Microbiol 45(8): 2370-2379

6) 松岡高史・松岡明子・松岡伊津夫(2011)今

夏流行した手足口病とヘルパンギーナの臨床ウ

イルス学的特徴,長野県小児科医会

Genetic analysis of enterovirus and clinical characteristics were detected in patients with hand,

foot and mouth disease and herpangina in 2011

Yurie U

CHIYAMA

1

,Haruyuki N

AKAZAWA

1

     1 Nagano Environmental Conservation Research Institute, Infectious Disease Society Division,

1978 Komemura, Amori, Nagano 380-0944, Japan

表 1  長野県における手足口病患者からのウイルス分離・検出状況 ※ 1~10月  CA 2 1 ( 9) 2 ( 6)  CA 6 1 (13) 1 ( 6) 2 (14) 35 (76)  CA  9 1 ( 2) 1 (11) 2 (14)  CA 10 1 (13) 7 (15)  CA 16 7 (64) 6 (75) 5 (12) 13 (76) 30 (94) 1 (11) 4 ( 9) コクサッキーウイルスB群 3型 1 ( 9) 3 (18) EV71 2 (18) 34 (85) 6 (

参照

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