米国における会計士の自主規制システムについて-香川大学学術情報リポジトリ

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米国における会計士の自主規制

システムについて

森 Ⅰはじ捌こ。Il自主規制の薄紫。 m 監査業務の質的統制と 監査基準書第4一号および第25号。ⅠV SEC業務部会。 Ⅴ ピア・ レビュー・の現状。 ⅤⅠピア・レビュ・−の評価。 ⅤⅠⅠ公共監督委員 会とどア・レビューの監督。ⅤⅠⅠⅠ公共監督委員会の新しい自主規制 ンステムにおける役割。ⅠⅩ 新しい自主頒制の問題点。 Ⅹ むす こ・㌧ Ⅰ 米国においてほ会計士監査ほ,前世紀末に英国から移入され その英国の実 務の模倣から出発したのであるが,やがて米国の会計士たち白からの創意,1 夫によって米国独自の監査として信用監査を確立し,これによって会計士監査 の社会的威能を社会の人々に認識させ,さらに法的制度としてSEC監査に導 入され,その後の米国の会計士たちの自由職業人としての努力は米国の会計士 監査をして世界各国の会計士監査に対して指導的地位を獲得させるようにまで 発展させるに至っている。そして現代企業の大規模化および複雑化,さらに現 代の社会経済の複雑化に伴って,広範囲におよび,また多様な利害関係者に企 業に対して次第により多くの情報の公開を求めるようになり,これに応じてこ れらの情報に信頼性を与えるために会計士監査の機能の拡張が要請され,会計 士監査に対する社会的期待が高まってきている。 しかしながら,他方において近年の米国におい■ては,企業会計に関連する多 くの事件が発生し,これらを契磯として会計士の監査業務の質が問題にされる ことが多くなってきている。すなわち,企業の粉飾決算あるいは不正支出に関 連した財務諸表を監査していた会計士たちは,一・体どこで何をしていたのか,

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香川大学経済学部 研究年報 21 −7β− jクβ2 かれらは社会の人びとが期待している責任を果たしていなかったのでないのか という社会的批判が激しく浴びせられたのである。そして社会的批判のなかか らは,会計士監査に対する政府の直接的規制が必要であるという主張があらわ れるようになり,これに対して,会計士業界ほ,これまで職業的専門家として の自由な創意および努力によっこ,これまでの社会的地位を確立してきたとい う伝統を守るために,激しい社会的批判に応えて新しい自主親制システムを建 設しなければならなくなった。そこでAICPAは会計士事務所を会員とする 部門を設け,さらに,これをSEC業務部会と私会社業務部会に分けたが,こ こにおける自主鱒制システムの重要な要素は,ピア・レビ・ユ・−および公共監督 委員会(Public Oversight Board)であうた。本稿では,これらを中心とする 米国における新しい自主規制システムの背景,内容,磯能および問題点を概括 的にとりあげて検討することにしたい。 ⅠⅠ 会計士業界の自主規制は,本来その伝統的な特質であったほずであるが,米 国における最近の自主規制の動きは,会計士業界の内部からの要請にもとづく ものではなく,むしろ会計士業界の外部の社会的批判に対する対応策として行 われてきたということができる。すなわち,会計士業界は,激化する社会的批 判に対応して,新しい自主規制システムを次々と考え出さなければならなかっ たのである。 プリPフは,1977年は会計士業界にとって苦しい再評価の年として記憶さ れるようになるかもしれないとし,これはメトカフ委員会の報告書の発表には じまるとしている1)。 米国では,1977年以前の数年間において,ペソセントラル,エクイティ・ ファンディソグ,ナショナル・スチューデント・マ・−ケテンダなどの大企業の 経営の失敗をはじめとして多くの粉飾事件および不正事件がおこり,監査人の 伝統的な職務における誠実性に疑問が投げかけられ,同時に.議会では大会社の 遵法あるいは不当支出が明らかにされ これらに関連して監査人がこれらを発 1)A.J..Briloff,TheTTZLthabaLtAcco甚nll噂,1981,p.233。

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米国における会計士の自主規制システムについて −79一 見できなかったり,あるいは発見してもそれを公開しなかったことが明らかに された2も これらの事実は,会計士が社会的責任を果たしていないことを示すものであ り,これまでの会計士業界の自主規制に対して重大な疑問が提起されなければ ならなくなったのである。そこでメトカフ委員会の意図は,次のような文章に も示されている。 「歴史的に,議会および社会は,会計を会計士自身に任かせた方がよい秘密 の問題であると考えてき.た。ところが公開所有会社による非行が次々と明るみ に出て来るようになっキので,このような悪用が可能である会計実務の重要性 が新しく認識されるようになった。また,大会社の予想も出来なかった破綻の さいに.ほ,納税者からこれらの会社を助けるようにとの要求があった0このよ うに会計実務軋 究極的には国家の経済的厚生に影響を与える社会的問題を含 むものである3)。」 社会的批判を代表するメトカフ委員会の見解ほ,主としてビッグ・エイトが 米国の会計士業界を支配している現在の体制の批判に向けられているが,ブリ pフは,次のような点を重要なものとしてあげている4)。 1 ビッグ・エイト会計士事務所が会計士業界を支配している0かれらはAI CPAをかれら集団の利益を増進するために.利用している。このような結論 は,他り付随的発見事項からしても,まったく気がかりなものである0

そして,AICPAについて次のようにのべているo

AICPAは,会計士の最大の業界組織であり,会計実務に影響を与える 最も重要な私的集団である。業界は非常に自主的に規制され 政府当局はA ICPAによって設定された政策および手続を会計士業界を代表する決定と して認めてきたので,AICPAは会計の重要な面のすべてを支配している0 2 ニューヨ∵−ク証券取引所およびアメリカン証券取引所に上場されている 2,641社の81′く・−セントに当る会社がビッグ・エイトの依痺会社であった0

2)R。Garrett,“Self Regulation and the POB”,CaT4forniaCPA Q脇rleTln September1978,p.10・

3) A.).Briloff,OP.Cil..,p.233u

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香川大学経済学部 研究年報 21 J9 β2 −β0 − (調査後にゼッグ・エ・イトの1つであるトウシュ・ロスと中堅7社の1っで あるラサーとが合併したので,支配率は一層増加した0 また,ビッグ・エイ トの1つであるアーン㌧スト・アー・ンス1トもライダ・−トーフと合併した0)こ れらの依煉会社は合衆国の製造,卸,小売業の売上高2.55兆ドルの約半分に 当りトかつ会社の税引後利益754億ドルの84パ・−セソトに当る0 3 ビッグ・エイ†のある種の業務は独立性を害するものであり,経営者の獲 得およびその他の付随的な非会計業務は監査人を依蹄人と密接にさせる0 4 これらの調査の結果,スタッフほ監査基準および実務に対する政府の監督 の増加を含む16項目の徹底的な勧告を行った。これらの勧告は次のような前 提の下に行われた。 連邦政府ほ公開所有会社が社会に対して適切に責任を負うことを保証する という重要な責任を宥する。しかし,現在の連邦政府によって作成され,あ るいほ承認された会計実務ほその責任を十分に遂行することに失敗している0 このようなメトカフ委員会の批判に対して,会計士業界は新しい自主規制シ ステムをエ夫しなければならなくなった。SECは,会計士業界にこのような 自主規制のユ大のための期間を与え,SECは会計士業界のこのような努力を 監督し,その結果を議会に報告することを約束した。そこで会計士業界が工夫 した新しい自主規制システムほ,AICPAに会計士事務所を会員と、する部門

を設け,さらにこれをSEC業務部会と私会社業務部会に分け,SEC業務部

会の自主規制の中心的要素として■ピア・レビューと公共監督委員会(POBと 略称する)を設定したことである。 ⅠIl メカトフ委員会の報告書の重点は,さきにのべたように,ビッグ・エイトに ょる会計士業界の寡占状態に対する批判にあったのであるが,このような批判 に対して会計士業界がとった対応策は,ビッグ・エイトによる支配の減少や競 争の増加に向けられるのではなく,監査業務の質的水準の維持のための自主規 制に向けられた。そして,監査業務の質的水準の維持に有効であるとともに, 会計士業界の自主規制の理念にも適するものとして考え出されたのが,会計士 が相互に監査業務を検討し合うというピアーレビュ・−であった0 しかし,Lこの

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米国における会計士の自主J規制システムについて 一朗− ようなピア・レビ>rの考え方は,1977年にAICPAに会計士事務所の部門 が設けられ,会員にピア・レビュ・−・が強制されるようになる以前においても存 在していた。すなわち,それ以前においても,多くの事件によって監査業務の 質的水準が問題とされ,そのための解決方法としてピア・レビュニが考え出さ れていた。 AICPAほ,1962年に監査業務のレビュ・−を計画し,監査報告書の検討に よって水準以下の業務の摘発を意図した。また,1971年に,AICPAほこの ような計画を補強するため,地方の会計士事務所の質的レビュ1−を計画し,L監 査業務の質,監査調書および監査報告書の改善を・意図した5)。 他方において,SECは強制的なレビ.ユーを計画し,1973年にはその計痢 に必費なチ・Mムの編成に必要な会計士のリストを作成するためAICPAと交 渉を行った。これは監査業務の質に対する政府の直接的規制の意図を示すもの であ・つた6)。 そこで,AICPAほ,急いで自主規制yステムとしてのピア・L/ビ。L、一計 画を整備する必要を感じた。そのため,A王CPAほ,ピア・レビコし−の基準 を明らかにするためにリ1974年に「独立監査人事務所の質的統制において考 慮すべき事項」と題する監査基準書(SASと略称する)第4号を発表した′7)。 これはその表題にも示されているように,監査業務の質の問題が,個人として の会計士の監査業務の問題から会計士事務所としての監査業務の問題に変化し たことを明らかにしている。そして,このSAS第4号は,会計士事務所が一・ 般に認められた監査基準に準拠していることを合理的に保証するための質的統 制方針および手続を設定する場合に考慮すべき事項を示すものである。 これまで発生した多くの事件によって,独立監査人の依能,とりわけその監 査業務の質に対して疑問が提起され かつ激しい批判が浴びせられた。すなわ ち,独立監査人は,一・般に認められた監査基準によって要求される水準に達し

5)K.R.Austin and D.C‖Langston,‘‘peer Review:ItsImpact on Qua− 1ity Contr・01”,JoufT氾lo.f AccoELnEanCγ,July1981,P∴78u

6)J古土dり p.78

7)AICPA,SlaleTnenls OnAudlE上tlg Slandardsノ払壬:QzLalilyConlroICoTLSL−

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香川大学経済学部∵研究年報 21 J9 β2 −β2− ない監査業務しか行っていないのではないかというのである。ところが,これ まで一・般に認められた監査基準ほ,個人に.よって行われる監査業務を想定して 規定されていた。しかし,現代の会計士事務所は大規模化してきているので, 監査業務は個人によって行われるのではなく,会計士事務所における組織的な 協同作業によって行われるのが実情である。したがって,このような会計士事 務所における組織的な協同作業による監査業務において一・般に認められた監査 基準が遵守されていることを確保しなけれほならない。このために会計士事務所 は内部組織として監査業務における一・般に認められた監査基準の遵守を確保す る統制システムを・整備することが必要になる。このように監査業務が個人的業 務から組織的業務に変化したことが認識されるに.いたったので,監査基準もこ れについて明らかにしなければならなかったのである。 1974年のSAS第4号の序文は,このことを次のように表現している。 「AICPAの職業倫理規程ほ,会員に,財務諸表に関与する場合には,−・般 に.認められた監査基準を遵守することを要求している。これらの諸基準は個人 としての監査人の特質および行為を取り扱わなければならない。監査業務の質 に影響を与える可能性がある独立監査人の事務所(以下事務所という)の方針 および手続を示す必要が生じた。本基準書は,事務所にン…・般に認められた監査 基準の遵守について合理的な保証を与える方針および手続を設定する場合に考 慮すべき事項を記述する。」 そしてSAS第4号は,会計士業務の質に影響を与えるので考慮すべき事項 を,質的統制の諸要素として独立性,職員への業務の割り当て,協議,監督, 雇傭,専門的能力の繭発,昇進,依頼人の承認と継続および点検の9つの要素 をあげて−夫々について説明している。もちろん,その一L般的説明にもあるよう に,「質的統制の諸要素の夫々ほ,すべての事務所に適用されるが,方針およ び手続が適用される程度は,事務所の規模および組織構造および事務所の職員 に対して適切な行動の自由を認める程度についての考え方のような種々の要素 に依存する。」 しかし,監査基準の本質は,個々の監査業務に関する行為を取り扱うもので あるので,SAS第4号のように会計士事務所において設定すべき質的統制の 基準を取り扱うものとほ性格を異にする。そのために,1979年に発表されたS

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米国における会計士の自主規制システムについて −β3−

AS第25弓切にLよってSAS第4号が置き換えられ,SAS第4号V=.示された

質的統制の諸要素は,質的統制基準書第1号「会計士事務所のための質的統制 システム」9)の本文に含められることになった。 そして,SAS第25号ほ「−・般に認められた監査基準との関係」と題さ、れて いるように,新たに独立して設けられた質的統制基準と一一・般に認められた監査 基準との関係を明らかにすることだけを目的としたものであり,次のように, これを表現している。 まず,一・般的に独立監査人の監査基準の遵守について「独立監査人は,監査 業務に.おいて一・般に認められた監査基準を遵守する責任を負っている。AIC PAの職業倫理規程の規則202ほ,会員に財務諸表に関与する場合に.は一般に 認められた監査基準を遵守することを要求している」ことを明らかにしている。 次に,会計士事務所の場合について,監査基準の遵守と質的統制の必要性に ついて「独立監査人の事務所も巨また,監査業務を行う場合には,−L般に認め られた監査基準を遵守することが必要である。それ故に,事務所ほその監査業 務において一・般に認められた監査基準の遵守を合理的に保証する質的統制の方 針および手続を設定しなければならない」としている。 また,質的統制基準の適用について「事務所の質的統制方針および手続の性 質および程度ほ,事務所の規模および事務所の職員に許された自由の程度,業 務の性質,組織および適切なコストベネフィットの考慮に依存する」ことを 明らかにしている。 そして最後に,監査基準および質的統制基準の意義およびそれら相互の関連 をL■ついて次のように.述べている。 「一・般に認められた監査基準は個々の監査業務の行為に関係する。質的統制基 準は,全体としての事務所の監査業務の行為に関係する。それ故に,−一・般に認 められた監査基準と質的統制基準とは関連を有し,事務所が採用する質的統制

8)AICPA,StaleTneT2Ls on AudLILngSlandaTds撤25.:The RelalLoT”hip oノGe花erα′JγAcce〆ed Aα∂∠g∠花gぶJα乃dα√dJJ♂¢〟α〃JγC〃花J川JぶJαルー

dαrds

9)AICPA,Quality Contr・01Standards Comrnittee,SlatemeTu On Q捉α㍍‘γCo花けOJ他エ,ぶγS′e〝10/QααJ上‘γCo花‘用∼ノ0√ αCPAダ∠′爪

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香川大学経済学部 研究年報 21 一∂4− J9 β2 方針および手続は,個々の監査契約の行為と全体としての監査行為の両方に関 連を有する。」 AICPAほ,多くの事件を契機として会計士による監査業務が,一・般に認 められた監査基準という社会的期待に応えるのに必要な水準に達しないので, これらの事件が発生したのではないのかという激しい社会的批判,またビッグ・ エイトによる会計士業界の寡占に代表されるような会計士事務所の大規模化が このような事件を招いたという批判に応えるために,会計士事務所による監査 業務において一・般に認められた監査基準を遵守することが必要であるが,会計 士事務所の質的統制システムが一・般に認められた監査基準の遵守に影響するの で,会計士事務所に−・般に認められた監査基準の遵守を合理的に保証する質的 統制システムの整備を要求し,そのためにシステムの設定において考慮すべき 質的統制の諸要素を質的統制基準において明らかにしたのである。 このように.SAS第4号によって質的統制基準が示され,ピア・レビューの 基準が与えられたのである。AICPAは,ピア・レビ.ユーを会計事務所の質 的統制システムのレビュー・を取り扱うものとすることによって,監査業務の直 接的な検討に代えて間接的な検討の形を採用したのである。すなわち,このよ うなピア・レビューは,個々の監査業務の直接的検討ではなく,会計士事務所 の全体としての監査業務の間接的検討であり,さらに,これほ会計事務所の貿 的統制システムの検討を通じて行われる。 なお,1974年にSAS第4号を発表し,ビア・レビューの基準が与えられ, ピア・レビューの体制が出来上ったので,AICPAほ,1976年にSEC業務 を担当する会討士事務所の自発的意思による質的統制のレビュ、−を採択した10も これほ監査業務に対する政府の直接的規制が迫っている状況において,会計士 業界に自主規制の能力があることを示すことが必要であったからである。しか し,このような会計士業界の努力にもかかわらず,激しい社会的批判を納得さ せることが出来ず,直ちにより強力な新しい自主規制システムをエ夫しなけれ ばならなかった。

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米国における会計士の自主規制システムについて 一β5− ⅠⅤ メトカフ委員会やモス委員会のような会計士業界の外部からの批判に対して ばかりではなく,コーエソ委員会のような会討士業界の内部からの批判虹対し て−も,AICPAほ新しい自主規制システムを急いで提示しなければならなか った。そこでAICPAほ評議員会の1977年の決議V=.よって会計事務所を会員 とする部門を設け,さらにこれをSEC業務部会と私会社業瀕部会に分けると いう組織変更を行った。 これら両部会ほ,会員に次のことを要求している11)。 (1)AICPAの質的統制基準委員会によって設定された質的統制基準を遵守 すること。 (2)3年ごとに,あるいほ常任委員会が指定した特別な時に会計業務のどア・ レビュ・−を受けること。 (3)すべての職員が継続的な専門教育に参加することを確保すること。 (4)最低額および種類の責任保険ほ契約しておくこと。 また,SEC業務部会ほ,これらに加えて会員に次のことを要求している12も (1)SEC業務において監査誕当のパートナ・−のロ・−テ・−ショソを行うこと0 (2)監査報告書提出の前にSEC業務の監査担当/ミートナー以外のパ鵬トナー が監査報告書を反復的に検討すること。 (3)会計士事務所についての特別の情報を公共の閲覧に供することができるよ うに毎年ファイルしておくこと。 (4)SEC監査依棟会社の監査委員会または取締役会(または合名会社におけ る同等のもの)に監査年度中に経営助言サービスによって得た報酬額および 提供したサ・−ビスの明細を毎年報告する。 (5)SEC監査依頼会社の監査委員会または取締役会(またほ合名会社におけ る同等のもの)に財務会計および報告問題および監査手続に.関する依頼会社 の経営者との意見の不一・致について報告すること。このような不→・致は,も

11)FJWWindaland R.N。Corley,The AccoLLTuLTtg P,OEessional.p.137. は)′ふょdり ppい137∼138.

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−∂6− 香川大学経済学部 研究年報 21 J9 β2 しも満足的に解決しなければ依頼会社の財務諸表に対する限定意見の提出の 原因になるものである。 (6)有価証券をSECに届=ている監査依頼会社のために.経営助言サ・−ビ スを 実施する場合には,独\川‡にl男する職業倫理規程および経営助言サ・−・ビ ス業 務基準を遵守すること。かれらほ社会に対する会計事務所の責任と矛盾する ようなサ1−・ビスを依税会社に.捉供することほ差し控えなければならない。 また,各部会の常任委員会ほ,かれらのイニシアティブあるいはピア・レビ ニ」一重員会からの勧告にもとづいて会員に制裁を課すことができる。もしも, 会員が,会員の要件を遵守しなかったような場合には,次のような種類の制裁 が課せられる。 (1)会計士事務所の個々の職員に対する適切な措置を会計士事務所が考慮する ことを含む会計士事務所による是正措置を要求する。 (2)継続的な専門教育を特別に.要求する。 (3)高度かつ特別のピア・レビュ1−を要求する。 (4)戒告,けん責および懲戒を行う。 (5)罰金を課すb (6)会員権を停止する。 (7)会員を除名する。 ところで,ブリロフは,このようなSEC業務部会と私会社業務部会への会 計士事務所の区分を,ビッグ・リー・グとマイナ・−■リ・−グの区分にたとえて批 判し,これは大規模事務所と小規模事務所との間に階級を設けるものであると し,会計士業界の内部からの批判を紹介している14)。すなわち,一・部の会計士, とりわけ小規模の会計士事務所ほ,このような区分を設けることは会計士事務所 の間に階級を作ることを意味するものであり,さらに,このようなAICPA の重大な組織変更の決め方が民主的でなかったと批判している15)。 これはAICPAがその組織変更を性急に行い,規則の改正に対して会員の 13)J机d。リ pp,.138. 14)A.).Briloff,OP。CLt.,p.236. 15)Jム⊥dり ppい236−237巾

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米国における会計士の自主規制システムについて −∂アー 承認■を得ることなく,評議員会の決議だけで決めてしまったからである。この ようなAICPAの組織変更の仕方ほ,多くの会員に不満を感じさせることに なった。その1つの事実は,−L部の会員ほAICPAの決定を、受け入れようと せず,ニュ1−ヨ1−ク州の最高裁判所に提訴した。ここでは,AICPAに会計 事務所に階級の区分を設けるべきかどうかの問題ほ,会員の一・般投票によって 決定されるべきであることが主張されたのである16)。 このような訴えを起こした会員は,小規模な,そしで地方的な事務所であり, AICPAの評議員会のみによる決定は民主的ではないという不満を示した。か れらほ訴訟に敗れたが,かれらの不満の背景ほ,現代の米国の会計士業界がビ ッグ・エイトに代表される大規模会計士事務所によって支配されこいるという ことである。ブリロフによれば,AICPAのこのような決定ほ,現在の勢力 を有する権力構造を合法化しようとするものであるというのが,AICPAに おいてしいたげられている会員の理解であったのである17)。 SEC業務部会には,このような問題があり,また背景があった。しかも, SEC業務部会への加入は任意とされている。しかし,SEC業務部会が,会 計士業界に対する激しい社会的批判に応えるための自主規制として有効な効果 を発揮するためには,SEC業務を担当する会計士事務所のすべてが加入する ことがのぞましいことほいうまでもない。ただ,SECの議会に対する報告で は,SEC業務部会への加入は任意v=.なっているが,その創設後1年間に.SE C業務の95パーセントを担当する会計士事務所が加入しでいるので,強制加入 にしなかったことほ制度の重大な欠陥とは考えられないとしている18)。しかし, POBの1981年の年次報告書の序文が,SEC業務を担当するすべての会計 士事務所がSEC部会の会員になれば,社会の利益がよりよく保護されるよう になるであろうとしているように.未解決の問題である19)。 そして,POBのマツシアクも,SEC業務部会の未加入1老があることを問 題として取り上げている。すなわち,統計的にほニュ・−ヨ∵−ク証券取引所上場 16)J占⊥d.,p237 17)Jみよdり p..23‘7.

18).,.W.Bucley,M.H。Buciey and LT.H.Plank,SEC AccoaTuLng,P..258. 19)Public Orer・Sight Board,AnnLLalReporE1980∼81,p.1.

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香Jl一大学経済学部 研究年報 21 ーββ− J9 ∂2 会社の99パーセントおよびアメリカン証券取引所上場会社の93パ・−セントが, SEC業務部会の会員によって監査されているが,なお600以上の会討士事務 所がSEC業務を担当しているにもかかわらず,SEC業務部会にはまだ加入 していない。、したがって,これらの会計士事務所ほピア・レビュ1−を受けてい ない20も このような状態は会計士業界の自主規制にとって人きな問題である。そこで, マツシアクは,未加入の会計士事務所に対して−次のように問いかけている。 「’もしもSEC業務依頼会社を有する会計ニヒ番務所が,会計士を政府の規制か ら守ることに賛成し,そ㌧してSEC業務部会に所属していないならば,かれら は自分のその洗足を考え宙すことが重安である。私は,部会に加入しないとい う決定を行っている会計士事務所ほ,政府の規制に賛成の投票をしているとい うたとえほ冨い過ぎでほないと確信しこいる。」21) もちろん,S ECも,SEC業務部会へのSEC業務担当会計士事務所の加 入のその後の経過について重大な関心を有し〔いることは言うまでもない。す なわち,SEC委員長ウイリアムスは,未加入のものがいるということほ会計 上二業界の自。El規制の成功の大きな障害の1つであるとしている詑)。 すなわち,ウイリアムスはSEC業務部会の加入状況は解決されるべき問題 であるとして,次のように説明している㌶)。現在の加入状況を帯板的に評価す るとすれば,部会に所属し⊂いるのは230の事務所であるが,全国的な証券取 引所に土威している会社のほとんど全部の会社を監査としているということが できる。しかし,逆に.言えば,約600の少なくとも1社のSEC業務依検会社 を有する会計士事務所が未加入のままである。これからも分かるように未加入 の会計上■拝務所ほほとんどが′」\規模の事務所である。何故,かれらが部会に加

20)I−rいWいMatusiak,“The Accounting Profession′s sL⊃lf Regulator・y Pro− gress Report”ca/Ijo川La CPA QLLarLerlγ,March1980,p.25.

21)Jム′d。,pP.25−26い

ZZ)汁ノM一,Wil=ams,“The19t;Os:」;.he Future of the Accounting Profe−

ssion”,7ツーe〟eむeJopme几‘0/5βC Ac(Onα‘云几g edJ‘edムγG仲‘J.PrepJ‘s,

P.11ミ)

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米国における会計士の自主規制・システムについて −βクー

入しないかという理由として,ウイリアムスは次のようなものをあげている牢)。

第1の理由は費用である。1社く“らいしかSEC業務を担当していない小規 模の会計士事務所にとって,SEC業務部会に加入することは,会費その他加 入に伴う費用の増加を招くことになり,それほどの直接的利益がないというこ とである。しかし,これらの小企模会社もすべて部会に加入し,ピア・レビュ∴− を受けるよぅに・なれば,社会はより大きな利益を受けることができる0そこで, 部会は会費を軽減する措置をとったので,その効果を見守る必要がある。

第2の理由は,SEC業務部会も,これまでのAICPAと同じように大規

模会計士事務所によって支配され 小規模会計士事務所の意見が反映されない ということである。小規模会計士事務所は,SEC業務部会の創設の経過にも あったように.部会が民主的に運営されないという印象を抱いているのである。 結局,会計士業界の自主規制といってもビッグ・エイトのために都合のよいよ うな自主規制であるとして部会に参加しないものがいるのである。 しかし,他方でほ,大規模会計士事務所が大部分のSEC業務を担当してい るのであるから,かれらが自主規制のリーダ、−シップをとることも/当然である という意見もある。そういう場合には,ウイリアムスが言うように,大規模会 計士事務所は小規模会計士事務所の利益を害するようにり・−ダー・ンップを悪用し てはならないという重大な責任を負っており,したがって小規模会計士事務所 の利害を考慮し,かつその利害が公正に代表されていることを保証しなければ ならない。 さらに.,SEC部会がその日的通りに依能すれば,すべてのSEC業務を担 当する会計士事務所がSEC業務部会に加入するように圧力が加わることが予 想される。すなわち,SEC業務部会に加入した会計士事務所はピア・レビュー を受けて,監査業務の質が保証される。したがって,SEC業務の依頼会社は, もし会計士事務所が部会に加入していない場合にほそ・の理由を質問するであろ う。また,会計士事務所が部会に加入しており,ピア・レビュ・−を受けている かどうかの情報が与えられれば,投資家およびその他の財務諸表の読者に有用 な情報として役立つであろう。このようなディスクロージャーは財務諸表を公 24)J∂∠d.,pい 419.

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香川大学経済学部 研究年報 21 J夕β2 一90−− 表する会社が行うであろう。

そして,このような考え方はSECやPOBのなかK.もあると言われる占も

しも,このようなディスクロージャーが行われれば,依頼会社もSEC′業務の ために部会に加入している会計士事務所を選択するであろうし,ま鞋投資家そ の他の財務諸表の読者も部会に加入している会計士事務所によって財務諸表が 監査されることを希望するであろう0 V ここでSEC業務部会の重要な柱の1つであるピア・レビコ∴−の現状に・つい て見ておくことにしよう25)。SEC業務部会のピア・レビコーーーが開始されて以

来1981年3月31日までに,約200件のピア・レビューが実施されている0

さらに,1981年優には330件のビア・レビュ・−が計画されている0そこで, すべての会計士事務所が第1回のピア・レビューを要求されている3年間が終 わる。 このピア・レビュ1一には3種類のものがある26)ム第1は,個別的な会計事務 所が行うものであり,事務所相互間レビュ・l−(firm on firm reView)とよ はれる。第2ほ,ピア・レビユ・一委員会によって任命されたレビュ・・−・チ・−ム が行うものであり,CARTレビューとよばれる。第3は,会計事務所の連合 体によって任命され,あるいは権威づけられたチ・−ムによって行われ,アソシ エーション・レビュ・−とよばれる。 これらのピア・レビューを監督するためにピア・レビュー・委員会が設けられ るが,その委員はSEC業務部会の常任委員会によって部会の会員の会計士事 務所から選ばれる。 なお,事務所相互間レビュ1−およびアソシエーション・レビコ」t−の場合には, 質的統制レビュ・1−・/くネル(qualitycontr・Olreviewpanel)が任命される27)0 これはレビューされる会計士事務所がレビュー・を担当する会計士事務所を選ぶ

25)Public Oresight Board,PP。,p.・1 訪)Jム↓d。リ p“3

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米国における会計士の自主規制・システムについて 一夕ノー ことに対して批判があったからである。この/くネルは,レビュ・一機能を行い, レビコー−される会計士事務所の質的統制システムについての報告書をピア・レ ビュー委員会に提出する。 また,このパネルは,CARTレビュrの場合には,ピア・レビュ、一番員会 がレビユーする会計士事務所を任命するので必要とされない。しかし,CAR Tレビュ・−の報告書および書簡の質に対して統制を行うために,CARTレビュ −を監督するピア・レビュ.・一番員の1人が選ばれる。 このように新しい自主規制システムに.おける統制ほ重層化の現象を呈してい る。すなわち,事務所相互間レビューおよび■7ソシェ1−・ショソ・レビュ・−の場 合には,そこで作成された調書ほ,質的統制パネル,POBおよびSECの職 員によって順次レビュ・−されるのである。これほ費用および能率性の面からは 問題であろう。 ところでピア・レビューの現状であるが,1980年度にピア・レビュ1−を受 けた会討士事務所数は146であったが,SEC依瞭会社数による会計士事務所 数で示した貌模別のピア・レビュ、−の種類別の表は第1表のようになっている 28も この表で一・般的な傾向として分かることは,小規模の事務所はCARTレ ビューを選び,大規模の事務所ほ事務所相互間レビュー・を選んでいることであ 争0 第1表 規模別の会計事務所数 30・− 5∼29 1− 4 0 討 CART レビュ− 35 31 68 事務所相互間レビュ・− 7 9 21 13 50 アソシュ丁・ション・・レビュ・− 3 13 28 計 9 13 69 55 14年 また,SEC業務部門のピア・レビューの開始以来の総数は197件になって

いる。すなわち,1978年に.11件,1979年に40件,1980年に146件であ

り,会計士事務所の規模別の事務所数およびSEC依麻会社数は次の第2表の 28)Jム↓d.リ pい 4い

(16)

香川大学経済学部 研究年報 21 一夕2− ように.なっている卿。 第2表 J9 β2 この表で重要なこと は,197の会計士事務 所によって監査される SEC業務の依頼会社 の総数ほ,SEC業務 部門のすべての会計士 事務所によって監査さ れるSEC依板会社の SEC依頼会社数 に .よ 0 90 1∼ 44 74 149 5・− 25 17 212 30 ∼ 16 8,148 19ケ 8,509 総数の95パ1−セントを示していることである。その意味はまたピア・レビュー を受けていない会社のほとんどが極めて小さい規模の会計士事務所であるとい うことであろう。 \・1 さらに,このようなピア・レビュ、−・が,現在に.おいてどのように評価されて いるかについて最近の米国の調査の結果を紹介しておこう勒 まず,このようなピア・レビ。L・−が会計士事務所の質的統制に.対■して役立っ ているかどうかについて意見が照会されている31も この質問に.対しては75/く・− セントの公認会計士がピア・レビューが質的統制の強化の手段として役立って いると答え,25/く1−セントのものが,現在の会計士事務所においてほピア・レ ビコL・−・なしでも,すでに強力な質的統制が確立されていると答えている。この ように少数の否定者はあるものの,大部分の者はピア・レビューの質的統制に 対して肯定的意見を有することが明らかにされている。 この調査は,さらに,より細かく質的統制の9つの要素について検討を進め ている。まず,第1の要素ほ独立性である。この独立性に対するピア・レビュ −の効果に/ついては,肯定と否定の意見が相半ばする結果になっている。すな わち,57パ・−セントの暑が否定的意見である。その理由は,独立性は測定が困 29)∫ムほ.,p.4.

30)K.R.Austin and D.C..LangStOn,OP..CLt.,Pp.78−82.

(17)

米国における会計士の自主規制システムについて −5娼一 難な概念であり,かつ精神的状態の問題であるので,ピア・レビューが独立性 を強化するといっても限界があるということである。これに対して43/く−セン トの暑が,ピア・レビユ・・−が公認会計士の独立性の確保を監督するために役立 つとしている。 第2の要素は,職員に対する業務の割り当てである。これについても,また, さきの独立性の場合と同じようにピア・レビュ1−・の役立ちについては肯定およ び否定が相半ばしている。すなわち,53/く、−セントの者がピア・レビュ・−は効 果があり,特定の監査のための技能・経験が最適なチ・−ムを結成するのに役立 つとしている。しかし,これに対して47パーセントの者は,この問題ほ現在に おいて十分濫満足できる状況にあるので,ピア▲ レビュ・1−が実施されても,こ れ以上にすく小れた業務の割り当ては不可能であるとして否定的意見を示してい る。 第3の要素は協議である。この間題についても,また,上記2つの問題と同 じように.意見が分かれている。すなわち,49/く・−セントの者がピア・レビ・コ」一 に会計および監査の問題において協議が行われるようにする効果があると考え ている。それはピア・レビュ一によって間違った判断が発見されることをおそ れるからである。これに対して51パ・−‥セ∴/トの者は,そのような効果を否定す る。その理由ほ,会計士事務所の組織は,現在でも,必要なときには第三者と 協議することを確保するようになっているからである。 第4の要素は監督である。これに対するピア・レビ・ユーの効果については, 大多数の73′く・−・セソトの老が肯定的な意見を示している。その理由は,ピア・ レビューが行われるということで,会計士事務所における監督は,より注意深 く行われるようになるからである。経晩的にも定期的に注意する人がいなけれ ば,監査の調書の質が悪化する傾向があり,また,実施された業務を常に検討 しなければ,個人の技能は低下する傾向があるからである。 第5の要素は雇傭業務である。これについては64/く−セントの者がピア・レ ビ。Ll−の効果を否定している。すなわち,現在の会計士事務所ほ,自分の成否 は人材にかかっており,したがって求人努力が纂安であることを承知して,従 業員の誠実性,有能性などを評価する選択過程を含む雇傭手続を有しているので, ビア・レビューの効果はないとするのである。

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香川大学経済学部 研究年報 21 ー94− J982 第6の要素ほ継続的専門教育である。これについては67パーーセントの者がピ ア・レビューの効果を認めている。現在の継続的専門教育は,多くの州および 事務所で行われている。会計上事務所が依板人によりよいサ・−ビスを提供する ことができるために.ほ,政治,経済,環境などの変化忙対応するための継続的 専門教育が必要である0 ピア・ ̄レビュ・−が,会計士事務所の継続的専門教育を 評価すれは,促進的効果があるという意見が多い。 第7の要素は昇進である。この間題についてほピア・レビューの効果を否定 す・る老が66パーセントに二達している。すなわち,ピア・レビュ・・一ほ会計士事務 所の舅進政策に影響しないと考える老が多い。その理由は,昇進は,もっとも 実務的かつ経営的埋由によって処理されるものであり,その会計士事務所の組 織および成長方針によって決められ,必要な資格を備えた者が昇進するのが当 然であるからである。 第8の要素は,依頼人の継続の承認である。これについては半数以上の者が ピア− レビュ.・−の影響を否定している。すなわち,ピア・レビ。L叫は,依繰入 の継続か拒否かという問題には無関係であり,影響しないと考えている。 第9の要素は点検である。この問題についてほ非常に多くの者(76/く・−セン ト)がピア・レビュ・−の点検に対する効果を認めこいる。すなわち,ピア・レ ビュ・−ほ,会計士事務所内部における点検に対する関心を促進すると考える。 それほ,点検ほ会計士事務所の内部の者によって行われるので質的統制が低下 するおそれがあり,これに対してピア・レビュ・一ほ会計士事務所の外部者に.よ るレビュ・−であるので,点検を強化する効果が期待できるからである。 以上のような調査をまとめてみよう。多くの暑がピア・レビュ・−の効果を認 めている要素は,監督,継続的専門教育,点検であり,多くの者が否定してい る要素は,雇傭業務,昇進であり,さらに否定と肯定が相半ばしている要素は 独立性,職員に対する業務の割り当て,協議,依棟人の継続の承認である。 次に,調査は,第2の調査項目として,ピア・レビュー・が自主規制を保証す ることができるかどうかについて意見を調査している32も これについては公認 会計士の65パーセン1および−・般人の70/く・−セントの者が肯定的意見を示して 32)J占↓d‖,Ppe81∼82.

(19)

米国における会計士の自主規制システムについて −95− いる。これらの老は政府の直接的規制に反対し,ピア・レビューをこれ笹対す る対策として有効であると考えるのである。それほ会計士業は政府の干渉■を受 けるべきではなく,また,行政者は会計士業界の必要に対して敏感ではなく, さらに.政治家の関心は自己中心的であるからである。また,一・般の人々も,政 府による規制は官僚的な干渉と無駄を生じ易く,環境条件の変化に対応しきれ ないおそれがあるので好ましくないという意見が多い。 これに対してピア・レビ、ユ、−は自主規制のために本当ほ有効でほないという 公認会計士も35パーセント存在する。かれらは,自主規制といっても,実際は 有力会計士事務所に.よる支配であって,これらの有力会計士事務所の考え方を 主張するために.利用される。このような批判はSEC業務部会の創設時の経過 において紹介したところである。 第3の調査項目は,ピア・レビュ・−が費用と比較して有効であるかどうかと いう問題である㍊も この間題についてほ,67パーセントという大多数の暑が, ピア・レビュ.1−の自主規制の意義を認めるとしても費用にほ値しないと考えて いる。たとえば,たとえピア・レビュ・−が行われても訴訟ほ減少しないであろ うという。しかし,ピア・レビュ1一・の効果ほ分かりにくいものであり,長期間 でないと適切な評価はできないであろう。それはもともと監査人に対する社会 的信棟性ギャップを埋めようとすることが目的であるからである。 ⅤⅡ SEC業務部会の自主規制の第2の重要な柱がPOBである。POBはAI CPAのSEC業務部会に設けられて,会計士業界から独立した公共的見地か ら自主規制を監督することを目的とする委員会である。SEC業務部会の創設 の目的の1つにPOBの創設が含まれており,かつPOBはSEC業務部会に おける自主規制システムにおいて重要な役割を担っている。 さて,SEC業務部会の目的としては,次のような項目が掲げられている34も (1)会計士事務所の業務費件の設定を通じてSECに対する会計士事務所の業 33)Jゐ↓d.,p.82

(20)

香川大学経済学部 研究年報 21 一夕∂」 J9β2 務の質の改善。 (2)強制的ピア・レビュ1−,適切な質的統制の維持の要求および要件の違反に 対する制裁による会計士事務所の有効な自主規制システムの設定および維持。 (3)公共的メンバ・一によって構成された独立の監督委員会による監督および評 定活動を通じての部会の規制システムの有効性の強化。 この3番目の目的に掲げられているSEC業務部会の自主規制システムの有 効性を確保するために設けられたのがPOBである。このPOBの機能は,一 口で言えば,自主規制に対する監督および評定活動である。さらに,このPO Bの特徴は,そ・の構成メンバ・一にもあらわれており,そのメンバ1−・ほ,会計士 業界からの独立性を維持するために.公共的なメンバ・−であることが要求されて いる。 なお,1978年のPOBの創設の当初に.は,POBのメンバ・−は ,すべて会 計士業界の外部の者でなければならないという考え方がとられていた。しかし,

1980年度に委員の死亡に伴う欠員補充にさいして,前AAA会長で現在ミシ

ガン大学教授であり,しかも会計士としての実務経験を有するマウツを委員に 任命した。これは大きな考え方の変更セあり,POBの過去2年間のピア・レ ビュ、−,経営助言サ・−ビスの範囲,規律手続の立案などの諸問題の経験を通じ て,POBにほ会計および監査の経験を有するメンバ・−の存在が有用であり, 会計士業界からメンバーを入れることは,POBが必要とする独立性と客観性 を害しないという考え方がとられるようになったのである35も そして,このようなPOBの基本的任務として,次のような項目が掲げられ ている36)。 (1) SEC業務部会のピア・レビュ1−,特別調査および常任委員会の活動を監 督すること。 (2)ピア・レビュ・一委員会が,ピア・レビニL+−の結果として会計士事務所の適 切な活動を確保するために必要な措置をとっているかどうかを確かめること。 (3)SEC業務部会の活動の改善の勧告を行うこと。

35)Public Oversigbt Board,OP.CiE。,p..1.

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米国における会計士の自主規制システムについて −97− (4)年次報告書および委員会の活動に関して必要な報告書を発行すること。 ここにも明確に示されているように,POBの主たる目的は,会計士業界の 自主規制シズテムの中心であるピア・レビュ・−の有効性を確保するためにピア・ レビ.ユ・−を監督することに.ある。

次にPOBによるピア・レビュ一の監督について説明しよう。POBによる

監督には3つの方法がある37も 第ユは,ピア・レビュ一において作成された調 書およびコメントおよび関連する回答の手紙を含む報告書の検討およびレビュ ーされる会計士事務所の往査および立会である。第2ほ,詞書および報告書の 検討である。第3は,レビュ・−の報告書およびレビュ・−の要約のメモの検討で ある。 POBほ,サソブリング技術を利用し,さきにあげた3つの方法のうちのど れかを適用する。5杜以上のSEC業務依模会社を有する大規模な会計士事務 所に対しては往査・立会方法を行う。そしてレビコL・−が基準以下であるような 疑いがある場合には,より詳細な調査を行わなけれはならない。なお,1980 年度にPOBによって行われたピア・レビュ・−の監督の種類別の数は,第■3表 に示された通りである鞄 第3表

PO Bによる監督

往査・立会 計 方 法 法 事務所相互 21 12 17 50 レ ビ ュ ーの C A R T 13 29 26 68 種 煩 ア/シェーンヨソ 9 10 9 28 計 43 51 52 146 被レビュー会 5 以土 22 22 計士事務所に 15 33 21 69 よって監査さ れたSEC業 0 6 18 31 55 務依頼会社数 計 43 51 52 146 この表ではより多くのSEC業務依板会社を有するより大規模な会計士事務 3L7)∫ムよd..,p= 7. 38)Jゐ‘d‖,pり 8..

(22)

香川大学経済学部 研究年報■21 一夕β− J9 β2 所に対してはより詳細な方法がとられていることが示されている○ なお,特別の業務についてはピア・レビュ・−が除外されることがあるが,P OBはそのような除外の理由が認められるかどうかを評定しなければならない0 すなわら,SEC業務部会の規則では,訴訟中である場合,政府磯関の調査中 である場合,依頼会社の調書のレビヱーを認めない場合などにピア・レビュ・− の除外が認められている。POBほ,1980年度の除外の事例はいずれも正当 な理由にもとづくものであったとしている39も このようなPOBの監督においては,実際に種々の問題に出会っている0た とえば,POBがピア・レビ。L−が基準に.したがって行われていないと考えた 場合があったが,その多くほピア・レビュ1−をはじめて行ったために,レビュ・− アーがピア・レビユ・−のドキュメンテー・ショソの要件を誤解していたことが原 因であったことが判明した。また,POBほ,レビ.ユーア一によって報告の仕 方が異なっていることに気付いたこともあった。たとえば,同じ発見事項に・も とづいて,ある者ほ無限定報告書を出しているのに対して,他の者は限定報告 書を出していることを発見した。この改善のためにPOBは基準を強化したり, あるいは基準の解釈を明確にするように勧告した。さらに,POBほ,あるレ ビーユ・−アー・に対してそのレビ。」・−・の範囲を拡張させたり,追加的な文書を提出 させたりした。しかし,結局,これらの諸問題はPOBにとって満足できるよ うに解決された。そこでPOBは,ピア・レビュ・−は満足的に実施され,報告 されていると結論している亜)。 また,POBは,ピア・レビュ−が設定された基準にしたがって判断される かどうかを検討し,レビューア・−の判断との−・致あるいは不一・致およびその理 由を調書に記載するが,この調書はSECが閲覧するので,依煩会社名,レビュ ーを行う事務所名および職員名はかくしたままで作成されている0 V 次に,このようなPOBが会計士の自主規制システムにおいてどのような役 39)Jム£d.,p“8. 40)Jゐよd..,p..9.

(23)

米国における会計士の自主規制システムについて −99− 割を期待されて設定されるようになってきたのかを考えてみよう。POBほ, 会計士の自主規制システムにおいてもっとも重要な要素として位置づけられて おり,会計士の自主規制システムが社会的信瞭を得られるかどうかは,POB が有効に機能するかどうかにかかっているといえる。会計士の自主規制の意味 が次第に歴史的に変化してきており,その変化の過程においてPOBの役割が 要語されるように.なったということができる。 会計士の自主規制は会計士の伝統的な特質であるが,それは本来個人的な性 格のものであったほずである。会計士は自由職業人として,また職業的専門家 として,自己の専門においては自己の信念にもとづいて自由な判断を行使する ことができ,それに対して責任を負うべきであると考えられてきた。 したがって,歴史的には監査業務は会計士個人の能力および人格と結合した 個人的業務として行われてきた。しかし,次第に大規模な会計士事務所が増加 してくるにつれて,このような性格が薄れて,監査業務ほ,会計士事務所内部 の多数の職員の協同作業による組織的業務として非個人的な性格が強まった。 このような状況の変化と同時に.,多くの事件が発生し,監査業務の質に対す る社会的批判が高まってきた。伝統的に会計士の個人的責任において監査業務 の質が保証されてきた。しかし,監査業務が会計士事務所の組織による協同作 業によって行われる大規模会計事務所においてほ,会計士事務所の組織機能自 体によ・つて監査業務の賀が保証されなけれはならなくなる。1874年のSAS 第4号「独立監査人事務所の質的統制の考慮事項」は,このような状況の変化 を認識してだされたものである。すなわち,これまでは主として個人の監査人 が一\般に認められた監査基準を遵守しなけれはならないとしているが,会計士 事務所については−・般に認められた監査基準の遵守の問題は意識されていなか った。しかし,会計士事務所の場合にも監査基準の遵守が必要であるというこ とはいうまでもないことである。そこでSAS第4号は,監査業務の質に影響 を与えるかもしれない会計士事務所の質的統制の方針および手続を明らかにす るために,−・般に認められた監査基準の遵守を合理的に保証する質的統制の方 針および手続の設定にさいして考慮すべき事項を示したのである。 また,会計士事務所の大規模化に伴って,やがて−ビッグ・エイトによる会計 士業界の支配および寡占状態に対しても激しい社会的批判が加えられるように

(24)

香川大学経済学部 研究年報 21 J9β2 ーJOO− なってきた。会計士は,本来ほ自由職業として自己の専門的業務の質によって 競争することを理念としていた。そしてこのような自由な競争によって会計士 の業務の質の向上がはかられ,社会に対するよりよきサ・−ビスを期待すること ができる。ところが,現在の会計士業界のようにビッグ・エイトによる寡占状 態にあってほ,自由競争による会計士の業務の質の維持および向上を期待する ことほできない。そこで種々の事件を契機として,監査業務の質に対する社会 的疑問が提起され,ビッグ・エイトに対する社会的批判が激化してきた。 これに対して,まず,会計士事務所ほ,自主的に監査業務の質的統制システ ムを整備する必要を認識し,SAS第4号ほ質的統制システムの設定における 考慮事項を明らかにした。しかし,それほ会計士事務所の内部組織の問題であ るので,それによって社会の人々に監査業務の質を納得させることはできない。 そして政府による直接的規制まで主張されてきた段階においてほ,会計士の自 主規制システムが社会的批判に応えるものであるために,より客観的かつ対外 的なものであることを社会の人々に示すことが必要になってきた。 そこで考えだされたのが,会計士事務所同志が相互に他の監査業務の質を保 証し合うピア・レビ.ユ・−である。すなわち,ピア・レビューは,ある会計士事 務所の質的統制方針および手続が,その監査業務が一・般に認められた監査基準 に準拠して行われることを合理的に保証するものであるかどうかを,他の会計 士事務所またはレビュ・−のためのチ・・・−・・ムが検討することである。 しかし,このよう、なピア・レビューも会計士業界内部における検討による自 主規制であるという性格を脱することができないので,ピア・レビュ・−がなれ 合いになり信頼できないという批判を招く限界がある。これは,SEC業務の ほとんどすべてをビッグ・エイトといわれる大規模会計士事務所が担当してい る実情に対する批判があるので,ピア・レビュー・も,ビッグ・エイト同志のな れ合いであるという批判が予想されるからである。 そこで会計士業界にとってぎりぎりの自主規制システムとも考えられるのが, ピア・レビューを監督するPOBである。POBは,会計士業界から独立した 公共的な監督委員会として性格づけられ,そのメンバ・−も,当初は会計士業界 の外部のみから選ばれた。POBは,ピア・レビューが有効に行われているこ とを確かめ,ピア・レビュ・一に対して社会的信板性を与えることを目的とする。

(25)

米国における会計士の自主規制システムについで −JOJ− このようにPOBは会討i二業界から独J/.した公共的立場に位層づけられること によって,会討l:の【′i_i∵規制を客観「伽こ監督し,社会にその信頼性を保証する ことな・役割としているといえる。 ここでPOBが,現丞三のピア・レビュー劇が有効に行われているかどうかとい う問題についてどのように考えているか,その1980年のピア・レビュ・・−・の監 督の結論を紹介しておこう。POBは,1980年度のピア・レビューの監督の 結果,ピアハレビュ・−が有効であり,レビュい・・・・・が客観的に実施され,かつ報告 されている証拠が得られたとしている。、1980年度までに提出されたピア・レ ビューの報蕾書の種煩ほ第5表のとおりである41も 第5表 討 1980 ユ979 19‘78 無限定報告書の事務所 114 74 30 10 限定報告否の事務所 16 7 8 反対報告讃の事務所 3 2 133 82 40 無限定報告書がだされる場合でも,改善の勧告のコメソトがだされるのが−・ 般的であるので,114事務所のうち9事務所を除いてすべての事務所が質的統 制方針および手続を相当に改善することができる変更の勧嘗のコメントを受け 取っている。限定報告書および反対報告書の場合はいうまでもなく,無限定報 告書の場合でも,これらの勧告は考慮される。そして,たとえば1979年に反 対報告書を受け取ったある事務所は,次の年にもう1度ピア・レビュー・を受け たが,そのときに.ほ質的統制システムほ改善され,無限定報告書を受け取った。 また,POBほ相当程度の限定報告書を受け取った事務所の場合に,事務所ほ 指摘された欠陥を是正し,かつ次年度にフォローアップを受けることに周慈し た例もあったとしている亜も また,POBはいくつかの場合には,ピア・ レビュ、−が会計士事務所が依頼 会社の財務諸表に対して不適切な報告を行っていることを明らかにし,会計士 41)Jゐ↓d.,p。11. 42)Jムよd.,p.11∼12∩

(26)

香川大学経済学部 研究年報 21 ーJO2− J9β2 に注意を与え,その結果として正しく改められたこともあったが,これはピア・ レビュ・−が有効に機能していることを示すものであろうとしている亜も さらに,POBほこれまで多くのピア・レビュ・−・が行われたことによって, ピア・レビ.ユー基準も相当に改善され,有能なレビュ・−ア−が相当多くうまれ, また有効な監督計画が立案できるようになってきたとしている44も POBは,これまでに実施されたピア・レビュ・−の監督にもとづく結論とし て,ピア・レビニL・−は建設的であり,その目的を達成しつつあるとし,また, ピア・レビューの結果として得られた改善ほ,ピア・レビユーの其の価値を示 すものであり,そして,社会の人々は,ピア・レビューに合格した会計士事務 所の質的統制・ンステムに依存することができ,あるいほ依存すべきであると信 じるとしている亜も ⅠⅩ これまで説明してきたピア・レビュ・−とPOBを2つの基本的柱とするAI CPAのSEC業務部会における自主規制ほ,政府による直接的規制に代わる ものとして大きな期待がかけられているが,他方において多くの未解決の問題 点あるいは批判がある。さきに紹介したSEC業務部会の加入問題もその1つ であるが,ここではその他の問題点あるいは批判をとりあげることにしたい。 このAICPAの新しい自主規制システムの有効性に対しては疑問を抱く者 も存在する。ブリロフほ,その代表的な意見としてSECの前主任会計士のバ −トンをあげ,かれがAICPAの組織改革が制度的安定性を確保することが できず,その目的を達成できないとしてあげた多くの理由を紹介している。そ の主要なものは次のとおりであった亜)。 (1) AICPAは,会計士業界の人々を有効に監督し,規律を維持するために 必要な法的権限を有していない。 (2)また,AICPAほ,そのシステムにおける制裁を行うための法的な力を 43)Jゐ上d.,p..12‖ 44)Jゐよd.,p‖13. 45)Jふよd.,p.12.. 46)A‖.丁りBriloff,岬.Cム∫.,ppり239−240け

(27)

米国における会計士の自主規制システムについて −J〃3一 有していない。もし,SECがこのような制裁を正式なものにしようとすれ ば,SECの規則の下に自分で調査を行わなければならないが,このために は長い期間を必要とし,結果として効果が減少してしまうことになる。 (3)新しいシステムに対して社会の受け取り方に大きな問題がある。すなわら, このようなAICPAの自主規制システムは,社会でほ大規模会計士事務所 同志が相互におせじな言い合うことのように受け取られている。 (4) POBは名声を有する人々の集団であるけれども,/く・−・ト・タイムの人々 が,実際的に,あるいは理論的に法的規制の有効な代替物になることはまっ たくありそうにない。 (5)SEC業務部会を支配しているのほ常任委員会であるが,その常任委員会 ほSEC業務を行う会計士事務所の代表者によって構成されている。その結 果として,基準は既得の利益を有する人々によって設定されるこ.とになるで あろう。また,そのような基準は,どのような政府機関の検討にも服さない ものである。 このようにバートンほ,新しい自主規制システムに対して多くの疑問を提起 している。ブリpフは,このような批判が社会的な根拠をもっていることを示 すものとして,モス委員会が,このようなAJCPAの自主規制の努力にも拘 わらず,これを信頼することなく,政府に.よる直接的規制のための法律案を議 会に提出したことをあげている4丁も この法律案は,結果としては成立しなかっ たが,それは,会計士の全国的組織を創立し,SECに提出する財務諸表の監 査報告書を作成する独立の会計士事務所をこのような組織に登録することを要 求し,会計士事務所およびそこにおける原則に対する紀律を権威づけることを 意図するものであった。 これに対して,SECは,このようなAICPAの自主規制に対する努力を 否定しようとするものではなく,会計士業界の自主規制の努力に−・定期間の余 裕を与え,その進展を見守って行こうという態度をとっている。そして,SE Cも,また,このような会計士業界の自主規制システムについてはいくつかの 不満な点をもっているのである。さきにあげたSEC業務部会の加入問題もそ 4′7)Jムよd.,p..240。

(28)

香川大学経済学部 研究年報 21 J9 β2 −JO4− うであるが,他方,SEC業務部会の基本的柱の1つであるゼア・レビュ・−・に ついても不満な点があるのである。 SECノの委員長のウイリアムスほ,まず,ピア・レビュー・の実施が遅れてい ることを懸念している噛も すなわち,SEC業務部会に所属する会計士事務所 は,3年に1回ピア・レビューを受りこること虹なっているが,まだ全体として は少数のピア・レビュt−しか行われでいない。このような状況においては,ピ 7・レビュ.・−・が有効であるかどうか決める証拠ほ得られない。これは会計士業 界の自主規制に対する熱意の度合を示すものであるともされるのである◇ 次に,重要な問題としてSECの職員によるピア・レビュ・−の調書の閲■琵の 問題である。SECほ,ピア・レビユ・−rが有効に行われているかどうかを確か め,社会に報告する責任がある。この責任を遂行するためにほ,ピア・レビュ、− の調書を閲覧してピア・レビふ・−の有効性を評価することが必要であり,PO Bの調書に依存するだけではこのような評価を行うことができないとするので

ある。もちろん,SECは,POBを信頼しないというのでほなく,POBの

信頼とピア・レビュ・−・の調書の閲覧とは別問題であるというのである。 ケイリアムスは,SECがピア・レビュ・−の十分件を客観的に評価するため には,実施されたピア・レビュ・−・の手続の詳細をしらなければならないとする49も SECのエバンスも,丁度,監査人が基礎的文書を検討しないでほ財務諸表の 正確性および完全性を証明することができないように,SECがピア・レビュ・− の調書を閲覧しないでほ監督責任を遂行することほできないといっている0 これに対して,SEC業務部会ほ,監査の依頼会社の秘密を守るという立場 からSECによるピア・レビュ・−の調書の閲覧に対して反対してきた。また, POBも,SECのピア・レビュ・−の調書の閲覧の希望は理解できるにしても,

SECはPOBによるピア・レビューの監督の調書を閲覧できるので,これに

よってSECの目的は十分に達成できるから,SECはピア・レビューの調書

を見る必要はないという立場を主張してきた刃も しかし,SECの要求が強かったので,ピア・レビューの調書の閲覧をSE 48)H..M.Williams,OP.CLE.,,p.420.. 49)′ゐよdい,p..421.

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参照

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