グルタミン酸受容体活性をもつ
新たなジペプチド
及び
GABA
A
受容体活性をもつ有機酸
近畿大学 工学部 化学生命工学科
教授 山田 康枝
独立行政法人 酒類総合研究所
主任研究員 伊豆 英恵
• 発明の名称 :医薬組成物
• 出願番号
:特願2009-020874
• 特許番号 :特許第5747397号
• 出願人
:学校法人近畿大学
• 発明者
:山田康枝
本技術に関する知的財産権
生理活性のあるジペプチド
β-AlaHis(カルノシン) 抗酸化 筋肉,脳 β-AlaMetylHis(アンセリン) 抗酸化 筋肉,脳 TryArg(キョートルフィン) 鎮痛 脳 LeuIle 薬物依存の抑制 牛乳 γ-GluTau 神経活動に影響 脳、甲状腺 N-acetylAspGlu(NAAG) 神経活動に影響 脳 TyrTyr ACE阻害 ロイヤルゼリー GlyHis 果物褐変防止 LeuLeu,GlyGly 乳酸菌の増殖 味覚 ProLeu 苦味 清酒 AspPhe(アスパルテーム) 甘味 合成 ジペプチド 活性 存在部位食品,植物中に存在するジペプチド
清酒 Gly-Leu、Val-Glu、Ileu-Glu ProLeu
ロイヤルゼリー TyrTyr
NMDA型グルタミン酸受容体の中枢神経系での役割
正常 記憶や学習に重要 病気との関連 脳梗塞、脳卒中 神経細胞がダメージを受けるとNMDA型グル タミン酸受容体の過剰反応によってさらに神 経細胞死を引き起こし,脳機能に障害を起こす. 認知症 神経細胞が死ぬことによりNMDA型グルタミン 酸受容体が減少する. 統合失調症 NMDA型グルタミン酸受容体を阻害する物質 が統合失調症様の症状を起こす.塩酸メマンチン Memantine hydrochloride NMDA受容体の非競合的拮抗薬 アルツハイマー治療薬:日本でもサントリーと第一製薬が 軽・中等度のアルツハイマー病を対象として、販売中 NMDA受容体に作用し、Ca2+ 透過性を減弱させるが、正常なシグナ ル伝達は阻害しないことから、幻覚、精神障害、昏睡などの副作用が 見られないとされている。 塩酸ケタミン NMDA受容体の非競合的拮抗薬、フェンサイクリジン PCP結合部位に作用する解離性麻酔薬 NR1/NR2AおよびNR1/NR2Bサブユニットで構成されるNMDA受容 体に非競合的に拮抗する。 麻薬及び向精神薬取締法に基づく「麻薬」に指定2007年1月1日か ら施行され、規制の適用を受ける。 酒石酸イフェンプロジル Ifenprodil Tartrate NMDA受容体のポリアミン部位での拮抗作用 ポリアミン部位に結合するNMDA受容体(NR1/NR2B)選択的拮抗 薬 NR2Bへの選択性が高い。NR1/NR2Bで構築されたNMDA受容体 のみに選択的に拮抗する。 脳循環代謝改善剤。脳梗塞後遺症、脳出血後遺症の改善に内服 ケタミンと同様に、オピオイド抵抗性の神経性疼痛に有効である。
NMDA型グルタミン酸受容体活性阻害作用を持つ薬
・AspGlu(アスパルチルグルタミン酸) ・GlyGlu(グリシルグルタミン酸) ・AlaGlu(アラニルグルタミン酸) ・GluGlu(グルタミルグルタミン酸) ・AspGly(アスパルチルグリシン) ・GlyGly(グリシルグリシン) ・AlaGly(アラニルグリシン) ・β-AspGly(ベータアスパルチルグリシン) ・HisGly(ヒスチジルグリシン) ・GlySer(グリシルセリン)
NMDA型グルタミン酸受容体活性作動用
ジペプチド
C末端にGlyを含むジペプチド C末端にGluを含むジペプチド NMDA型グルタミン酸受容体活性作動用医薬組成物 NMDA型グルタミン酸受容体活性作動用保健機能食品の 添加物 NMDA受容体活性阻害AspGlu,AlaGly,β-AspGlyNMDA受容体に作用する物質の
神経機能への効果
NMDA受容体は,記憶や学習に重要な役割
を果たしているとともに,活性が低下すると学習
障害や統合失調症などの神経疾患の症状を引
き起こし,過度の活性化は神経細胞死を引き起
こし認知症につながる.
NMDA受容体を活性化させた成分は,統合
失調症や記憶障害などに効果があり,活性を
阻害させた成分は,認知症や神経細胞死の抑
制やリラックスに効果が期待できる.
ジペプチドの神経機能への効果
現在認知症の治療薬として使われている
メマンチンのように、ジペプチドは緩やかに
NMDA受容体を活性化または阻害することで、
学習障害や統合失調症などの神経疾患の症状
や認知症に効果が期待できる.
想定される用途
• 認知症の予防のサプリメント
• 統合失調症など,神経疾患の治療薬のリード
化合物
• 機能性表示食品への応用
実用化に向けた課題
• 受容体活性測定だけのデータのため,今後
神経機能への直接効果を動物実験等で検討
する必要がある.
• 生体内動態を調べる必要がある.
企業への期待
• サプリメントへ応用可能な、企業との共同研
究を希望する.
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :GABA様組成物
• 出願番号
:特願2012-156965
• 出願人
:
学校法人
近畿大学
独立行政法人
酒類総合研究所
• 発明者
:山田康枝
伊豆英恵
イオン交換樹脂による
日本酒の分画
清酒(純米酒)---pH6.5に調節 吸着区分 非吸着区分 吸着区分 非吸着区分 吸着区分 非吸着区分 塩基性アミノ酸画分 中性・酸性アミノ酸画分 有機酸画分 糖画分 IRC-76 IR120BH IRA96SB IR120BH (佐藤信1970)有機酸画分のメタボローム解析
有機酸画分が含む成分を明らかにするため、 CE-TOFMSで一斉成分分析 (ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社に依頼) 64の化合物が候補化合物として同定 • ヒドロキシ基またはカルボキシル基を有する • 分子量は73-421の範囲で平均165 GABA(Mw.103) O H2N OH (相対面積値=目的ピークの面積値/内部標準の面積値)主要物質の定量値
日本酒に通常、多く含まれる有機酸である