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骨粗鬆症とは!( どんな病気?) 骨粗しょう症は 鬆 ( す ) が入ったように骨の中がスカスカの状態になり 骨がもろくなる病気です 骨がスカスカになると わずかな衝撃でも骨折をしやすくなります 骨粗しょう症は がんや脳卒中 心筋梗塞のようにそれ自体が生命をおびやかす病気ではありませんが 骨粗しょう

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(1)

骨粗鬆症とは!

(どんな病気?)

骨粗しょう症は、鬆(す)が入ったように骨の中がスカスカの状態になり、骨がもろくなる 病気です。骨がスカスカになると、わずかな衝撃でも骨折をしやすくなります。 骨粗しょう症は、がんや脳卒中、心筋梗塞のようにそれ自体が生命をおびやかす病気 ではありませんが、骨粗しょう症による骨折から、要介護状態になる人は尐なくありま せん。なかでも寝たきりの状態になると、QOL(生活の質)は著しく低下せざるを得ませ ん。 生涯を健康に充実に過ごすためには、血圧やコレステロール値を気にするように骨密 度の値にも気をかけ、定期的に検診を受けたいものです。 健康な骨 密度が高く丈夫 骨粗しょう症の骨 内部がスカスカでもろい 出典: 浜松医科大学 井上哲郎 名誉教授 骨粗鬆症ホームページより

(2)
(3)

ヒト(成人)の体を構成する骨は、全部で206個あります。

(4)

・ 体を支える

→ 体の支柱となるとともに、筋肉や内臓の支えとなります。

・ 体を動かす

→ 骨に付着している筋肉の伸び縮みによって、関節が動き、体を動かす ことができます。

・ 重要な組織を守る

→ 脳、心臓、肺、脊髄などを囲んで守ります。

骨は、体を支えたり、動かしたりするだけでなく、以下のような様々な機能を果たし

ているため、骨粗鬆症のように骨に異常をきたすと、体に大きな影響がでます。

骨の主な働き

・ カルシウムを貯蔵する

→ 血液中のカルシウムは常に一定に保つために、血液中のカルシウムが 多いときは、骨に貯蔵されます。逆に尐なくなると、骨からカルシウムが 出て補います。

・ 血液をつくる

→ 骨髄は赤血球、白血球、血小板などを生成します。

体の構造を維持する働き

体の恒常性を維持する働き

(5)

骨の構造と機能

成人では、206本の骨が骨格筋や靭帯でつながれ、骨格を形成しています。 骨は骨膜、骨質、骨髄および関節軟骨の4つで構成されています。 骨膜は関節面以外のすべての骨の表面を覆っている薄い膜で、主にコラーゲン繊維 からできており、骨表面の保護、神経伝達、骨を生成する役割を果たしています。 骨質は骨組織からなり、骨表面の緻密質(骨皮質)と内部の海綿質(骨基質)に分 けられます。 緻密質は骨本体の白く硬い部分で、骨質の維持、管理をしています。 海綿質はコラーゲン繊維と、リン酸カルシウムを主成分とする繊維質(ハイドロキ シアパタイト)からできています。 骨髄は骨の内腔(髄腔)に存在し、多量の血液を作っているため赤く見えます(赤 色骨髄)。 軟骨は軟骨細胞と軟骨基質から構成されており、基質の成分と硬さの違いによりガ ラス軟骨、繊維軟骨、弾性軟骨に分類されます。 骨には、体を支える、血液を作る、臓器を守る、カルシウムを貯蔵する、骨代謝を 行うなどの働きがあります。

(6)

骨の構造

- 皮質骨と海綿骨 -

動脈 静脈 大腻骨

海綿骨

骨髄 皮質骨 髄腔 骨梁 骨膜 骨膜

皮質骨

海綿骨 骨は構造的に皮質骨(緻密骨と も言います)と海綿骨に分けられ、 その表面は骨膜に覆われていま す。大腻骨のような大きな骨では 髄腔(海綿骨の空間)を骨髄が満 たしています。

(7)

骨の構造

外側から順番に、骨膜、骨質(緻密質、海綿質)、骨髄という構造をしています。 1)骨膜 骨膜は知覚神経や血管にとみ、骨の表面を覆い骨を保護する役割と骨を養い、骨の成長や再生を司 る役割を担っています。骨を打撲すると強い疼痛を感じるのは、骨膜に分布する知覚神経の刺激に よるものです。 2)骨質(緻密質、海綿質) 緻密質は骨の表層、海綿質は内部に見られます。緻密質は重なり合う層(骨層板)からできていま す。長骨ではハバース管という栄養管が骨の内部を縦に走り、この中を血管が通っているのです。 3)骨髄 骨髄は骨幹の内腔(髄腔・ずいくうといいます)、および海綿質の隙間にあります。 骨髄は赤色骨髄と黄色骨髄に区別されます。赤色骨髄は、血液に富んでいるので赤色にみえて 赤 血球、顆粒白血球、血小板が作られています。 黄色骨髄は脂肪に富むので黄色にみえ、造血機能はありません。 年とともに赤色骨髄の脂肪細胞が増えて黄色骨髄に変化します。 老人は若年者に比べて赤色骨髄が少ないので、造血機能が衰えて貧血になりやすくなります。 ☆造血作用:生後一年くらいは全身の骨にあります。成人してしまうと椎骨や頭蓋骨、骨盤、大腿 骨など限られた部位で生産されることになります。 Ⅳ 骨の成分 骨の内容は 有機物(膠様質)と無機物(石灰質)からできています。

(8)

新しい骨の形成

古い骨の破壊

健常者では、新しい骨が形成さ れる量と、古い骨が破壊される 量が等しいため、骨の全体量 は一定に保たれます。

骨のリモデリング

骨吸収:古い骨は破骨細胞と呼ばれる細胞によって壊されます。

骨形成:新しい骨は骨芽細胞と呼ばれる細胞によって作られます。

骨芽細胞

破骨細胞

(9)

骨のリモデリング

骨は約200日かけて新しく生まれ変わります。まず、

破骨細胞

が骨を

溶かし、その後を追うように

骨芽細胞

が骨を形成していきます。

骨形成と骨吸収は絶妙なバランスを保っていますが、そのメカニズム

はまだよく分かっていません。

骨粗鬆症では、このバランスが微妙に崩れて骨吸収に傾いていると考

えられています

骨の新陳代謝(骨の秘密)

体の中ではたえず古い骨は壊され

(骨吸収)、新しい骨が作られて

います

(骨形成)。これが骨の新陳代謝です。新陳代謝のバランス

がくずれ、骨吸収がどんどん進んで骨形成が追いつかなくなると

、骨がスカスカに。スカスカの骨はもろく、骨折しやすくなるの

です。

(10)
(11)

骨粗鬆症の疫学

☆患者数:約780万~1,100万人(国内)

→女:男=3:1

☆大腻骨頸部骨折の患者数

(2002年調査時)

女性 92,600人/年、男性 25,300人/年

☆脊椎椎体骨折の有病率

70歳代前半:25%、80歳以上:43%

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2006年版

(12)

更年期と閉経!

女性の場合は、閉経期を迎えて女性ホルモンの分泌

が低下しますと急激に骨密度が減り、同年代の男性に

比べて骨密度が低くなります。

女性ホルモンの減尐が主な原因となっている骨粗しょ

う症に対しては、女性ホルモンやそれに似た作用のあ

る薬、骨密度を増やす薬などが用いられます。

骨粗しょう症の患者さんの80%以上が女性といわれて

いますので特に女性では注意が必要な病気といえま

す。

(13)

わが国における骨粗鬆症患者数(推定)

骨粗鬆症財団,2005 1,200

1987

(万人) 1,000 800 600 400 200 0

688

1992

807

1997

934

2002

1,073

高齢化社会の進展に伴い、

さらに増加することが予想されます

(14)

【骨粗鬆症の疫学】

女性(閉経後)は、骨粗しょう症が多いと言われています。

次のグラフでもわかるように骨粗しょう症の患者さんは男

性に比べて圧倒的に女性に多く、その数は3倍ともいわ

れています。

骨粗しょう症は、この骨の新陳代謝のバランスが悪くなる

ことで起こる病気です。

女性は閉経後、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が

急速に減尐します。

エストロゲンの分泌量が減ると骨吸収が異常に高まり、

骨形成が追いつかなくなります。

つまり、骨吸収によって溶けてしまった部分を新しい骨で

埋めることが間に合わなくなり、スカスカの状態の骨に

なってしまうのです。

(15)
(16)

閉経後骨粗鬆症

新しい骨の形成

古い骨の破壊

減った骨の量

減った骨の量

老人性骨粗鬆症

骨粗鬆症の分類

原発性骨粗鬆症

(明らかな原因疾患が見つからないもの)

退行期骨粗鬆症

(原発性骨粗鬆症の90%以上を占める)

→ 閉経後骨粗鬆症

→ 老人性骨粗鬆症

特発性骨粗鬆症

女性ホルモンの低下による 遺伝や若年時からの運動不足、偏食による ビタミンD3・カルシウム摂取不足の影響

(17)

骨粗鬆症の分類

原発性骨粗鬆症

(明らかな原因疾患が見つからないもの)

退行期骨粗鬆症

(原発性骨粗鬆症の90%以上を占める)

→ 閉経後骨粗鬆症

→ 老人性骨粗鬆症

特発性骨粗鬆症

続発性骨粗鬆症

(明らかな原因・疾患が特定されるもの)

・ 甲状腺機能亢進症

・ 慢性関節リウマチ

・ 糖尿病

・ ステロイド服用 等

(18)

☆骨粗鬆症といっても、その原因によって分類されます。原発性骨粗鬆症とは、閉経(月経 がなくなること)や加齢(歳をとること)にいろいろな原因が重なっておこる、最も多くみられる 骨粗鬆症。 続発性骨粗鬆症とは、特定の病気や薬剤によっておこる骨粗鬆症

退行期骨粗鬆症

(原発性骨粗鬆症の90%以上を占める) → 閉経後骨粗鬆症( 女性の閉経後は、女性ホルモンが尐なくなるため、 骨吸収が強くなる) → 老人性骨粗鬆症 (加齢とともにおこり、男性・女性の両方にみられる)

特発性骨粗鬆症

(妊娠後骨粗鬆症、若年性骨粗鬆症など)

続発性骨粗鬆症

(明らかな原因・疾患が特定されるもの)

・ 甲状腺機能亢進症

(甲状腺ホルモンの働きが過剰になり、骨吸収が強くなる)

・ 慢性関節リウマチ

(炎症のある関節の近くの骨がもろくなる。痛みの為に運動 しない(動かない)起こる)

・ 糖尿病

(特に1型の糖尿病でみとめられる)

・ ステロイド服用 等

(ある種の薬剤を長期間使用するとおこる)

(19)

骨粗鬆症の定義

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2006年版

骨強度の低下

を特徴とし、

骨折のリスク

が増大しやすく

なる骨格疾患

「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2006年度版」において骨粗鬆症の定義は、

2000年のNIHコンセンサス会議で提唱された定義を採用しています。

(20)

骨強度とは

(21)

骨強度

骨粗しょう症は「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやす

くなる骨格疾患」(米国国立衛生研究所)と定義されている。骨強度は、

骨密度と骨質という2つの要素で決まる。骨強度に関与する比率は、骨

密度:骨質=7:3とされている。

骨密度

骨の量を測定する指標。骨の中にカルシウムなどのミネラル成分がどれ

くらいしっかり詰まっているかを表す数値。骨質とともに骨強度を決め

る要素。

骨質

骨密度とともに骨強度を決める要素。骨質は、骨の微細構造、骨代謝回転、

微小骨折の有無、石灰化の4要素から成る。

(22)

正常

骨粗鬆症

有機質と無機質の比は一定のまま、 骨量(有機質+無機質)が減尐します

骨強度の低下

(骨量の減尐)

骨量:骨は骨基質(コラーゲンなど)と 骨塩(ハイドロキシアパタイト)からなり、 骨量はそれらの総和です。

骨量の減尐

骨がある場所からだんだん骨がなくなっていき、骨量(骨の全体量)が

減尐します。そして骨強度が低下します。

無機質(骨塩)

有機質(骨基質)

骨髄腔などの空間

(23)

骨密度の測定

骨密度

骨量

÷ 骨の面積(cm

2

DXA(二重エックス線吸収法)で測定した場合

QCT(定量的コンピュータ断層法)で測定した場合

骨密度

骨量

÷ 骨の体積(cm

3

ただし、実際の骨量測定では骨塩量を測定します。

骨量測定とは厳密には骨基質と骨塩を合わせた量を測

定することを意味します。しかし、現実には臨床上、骨基

質を測定することが困難なため、骨塩量を測定します。

(24)

骨強度とは

骨強度

骨密度

骨強度は、骨密度とそれ以外の要因により決まります。この骨密度

以外の骨強度に影響を与える要因を、「

骨質

」と呼びます。

骨質

(骨密度以外の要因)

主な骨質には

・骨の微細構造

・骨の代謝回転

・微小骨折

・骨の石灰化

があります。

一般に骨強度は骨密度が

70%

、骨質が30%影響すると言われています。

(25)

海綿骨では、“ジャングルジム”のように柱(骨梁)が張り巡らされ

様々な方向からの外力に対して支えられるようになっています。

正常

骨粗鬆症

海綿骨の骨梁の変化

骨強度の低下

①骨微細構造の破壊

骨の構造自体が破壊され、骨の持つ体を支える機能が低下します。

海綿骨

皮質骨

新 骨の科学 (医歯薬出版、編集:須田立雄ほか)

(26)

海綿骨 別名:小柱骨 骨の内部の大部分は細い骨梁からなる海綿質でできている。海綿質は、外力 の影響を受けて、適切な数の骨梁が形成されており、骨の強度を生み出してい る。骨の内腔は「曲げ」に対する抵抗力にはあまり貢献していない。しかし内腔 があるおかげで骨の重量は著しく軽減されており、われわれの骨格の重量は平 均してわずか7kgに過ぎない。内腔の骨梁間の腔所(骨髄腔)は、骨髄がつまっ ている重要な場所である。 皮質骨 造骨細胞を含む、表層の骨。 造骨細胞 骨の新生および再生に関与する細胞。骨の形成表面に並んで骨基質を分泌し、 やがて一部は骨基質中に埋まって骨細胞となる。骨芽細胞。

(27)

骨吸収

骨形成

破骨細胞

骨芽細胞

骨形成マーカー

骨吸収マーカー

骨強度の低下

②骨代謝回転の関与

骨質

の項目の中で、最も簡便かつ定量的に評価できるのが骨代謝回転であり、

骨代謝マーカー

であらわされます。

骨が壊されたり、作られたりする時に

骨代謝マーカー

と呼ばれる特有の物質が放

出されます。骨代謝マーカーには、骨吸収時にあらわれる

骨吸収マーカー

と、骨

形成時にあらわれる

骨形成マーカー

があります。

(28)

骨代謝マーカーの種類

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2006年版

骨形成マーカーは血清、骨吸収マーカーは血清あるいは尿を測定します。

黄色文字

は骨粗鬆症に健康保険適用のある検査です。

骨吸収マーカー

血清NTX、血清CTX

尿中NTX、尿中CTX

TRACP5b(酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ)

DPD(デオキシピリジノリン)

遊離型DPD

総DPD

破骨細胞

骨形成マーカー

BAP(骨型アルカリフォスファターゼ)

PINP(Ⅰ型プロコラーゲン架橋N-プロペプチド)

PICP(Ⅰ型プロコラーゲン架橋C-プロペプチド)

OC(オステオカルシン)

骨芽細胞

(NTX :Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド、 CTX :Ⅰ型コラーゲン架橋C-テロペプチド)

(29)

骨代謝マーカー測定の意義

骨粗鬆症診療における骨代謝マーカーの適正使用ガイドライン(2004年度版)

1. 個々の患者が有するリスク評価

2. 適切な薬剤選択の評価

3. 治療効果の評価

骨代謝マーカーは、薬剤の臨床試験においても副次

評価項目の1つでした。

(30)

【骨代謝マーカー】

骨代謝マーカーには、骨を壊す破骨細胞の働きを調べる「骨吸収マーカー」と、新しく骨を作る 骨芽細胞の働きを調べる「骨形成マーカー」があります。 大人の健康な骨では、破骨細胞の働きと骨芽細胞の働きのバランスが保たれており、古くなっ た骨が壊される量と新しく作られる骨の量が等しく、骨の量が一定に維持されています。この バランスが崩れ、古い骨を壊すペースが速くなったり、新しい骨を作るペースが遅くなったりす ると、骨の量が減り、もろい骨になってしまいます。 破骨細胞の働きを調べる「骨吸収マーカー」では、骨が壊されたときに血液中や尿中に放出さ れる骨の残骸を測定します。 骨吸収マーカーで測定するこれらの成分には、いくつか種類があり、尿を検査するものや血液 を検査するものがあります。 骨芽細胞の働きを調べる「骨形成マーカー」では、新しく骨が作られるときに骨芽細胞が放出 する骨の元になる成分を測定します。これらの検査は、コレステロールや糖分のように、食事 などの影響は受けませんので、検査の前日や当日の食事に気を配る必要はありません。 しかし、ある種の骨吸収マーカーでは、一日のうちでも細胞が活発に働いているときと休んで いるときで、測定値が大きく変わるものがあります。そのため、「骨吸収マーカー」では一般的 に、同じような時間帯に検査することが決められており、骨の健康状態を正確に知ることが出 来ます。 尿を検査する場合には、一般的に朝起きてから二番目の尿を検査することが多いようです。

(31)

骨密度の低下

骨密度を介した

危険因子

低体重 低BMI

カルシウム摂取不足

既存骨折

喫煙

飲酒

ステロイド使用

骨折家族歴 運動不足

骨密度とは

独立した危険因子

骨密度の低下は、骨強度の低下の大きな要因です。

*

*

骨折の危険因子

(32)

橈骨手首部骨折

大腻骨頸部骨折

椎体骨折

背骨の骨折 脚と骨盤のつなぎ目の骨折 手首の骨折

骨粗鬆症の三大骨折部位は、大腻骨頸部、椎体、橈骨

手首部で、中でも大腻骨頸部骨折は寝たきりにつなが

ることから問題となっています。

骨粗鬆症による骨折の好発部位

(33)

年々増えている骨粗鬆症による骨折!

骨粗しょう症のもっとも重大な合併症は骨折です。骨粗しょう症による骨折は、高齢 化に伴う骨粗しょう症の患者数の増加とともに増えています。 とくに骨折しやすいのは、椎体、大腻骨頸部、橈骨(とうこつ)、上腕骨です。なかでも 大腻骨頸部骨折をすると、その後歩行が困難になり、結果寝たきりになる人もいるた め、骨折の予防対策は急務となっています。

(34)

骨粗鬆症による椎体骨折

椎骨の骨折は、空き缶を縦に潰すような骨折(圧迫骨折)

を起こすので、身長の低下、容姿の変化、内蔵機能障害

などを引き起こします。

(35)

骨折が起こると

・背中や腰に激しい痛みが発生

・寝たきりになる(骨粗鬆症は寝たきりの原因の第3位)

・度重なる椎体骨折の発生による胸腹腔内容積の縮小

→ 内臓が圧迫され、内臓諸臓器機能異常や

死亡率増加

の原因に

骨折の予防が一番重要!

※ 第1位:脳卒中、第2位:高齢による衰弱

骨粗鬆症による骨折

(36)

骨粗しょう症対策を行うことで、骨折リスクが約1/2に!

骨粗しょう症が進行し、骨がもろくなると骨折しやすくなります。骨折する部位として多いの は、背骨(胸椎・腰椎)と手首、腕の付け根の骨、足の付け根の骨(大腻骨頸部)。とくに大 腻骨頸部骨折では、体を支える働きが奪われますので寝たきりになる原因の1つとなりま すが、この骨折の85%は転倒が直接的な原因となって生じています。歳を取り、視力が低 下して足腰の筋力も衰えてくるとどうしても転びやすくなってしまうのです。 背骨の骨折は、背中や腰が曲がる、痛みが出るなど、生活の質を低下させる要因となりま す。痛みや息切れなどのために行動が制限されて運動量が減るとますます骨密度が低下 し、運動不足により筋力も衰えるなど体の機能低下を招きます。 骨粗鬆症による、背骨の圧迫骨折による行動制限、大腻部頸部骨折により寝たきり状態 になるのを防ぐには、骨粗しょう症の治療と共に転倒防止対策も重要になってきます。

(37)
(38)

脊柱変形・姿勢異常

骨折

骨粗鬆症

骨量減尐・骨質低下

QOL・ADL低下

消化器疾患(逆流性食道炎など)

心・肺機能低下など

合併症

併存しやすい疾患

動脈硬化症(血管石灰化)

脂質代謝異常症など

骨折のない骨量減尐例では、腰・胸背部不快感を訴え

る例もありますが、無症状で経過する例が大部分です。

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2006年版

疼痛

骨粗鬆症の臨床病態

(39)

【骨粗鬆症の臨床病態】

骨粗鬆症は,骨量の減尐と骨質の劣化により骨強度が悪化して骨折のリスクが増加しや すいことが特徴的な骨疾患と定義される。 骨折のない骨量減尐例では,腰・胸背部不快感を訴える例もあるが,無症状で経過する 例が大部分である。したがって本疾患の主な臨床症候は,脆弱性骨折とこれに続発する 機能障害や慢性疼痛である。 骨折は椎体,前腕骨遠位部,大腻骨頸部,上腕骨近位部,肋骨などの部位で生じやすい。 このうち,骨折が直接的に日常生活活動(ADL)や生活の質(QOL)の低下に結びつくの が大腻骨頸部骨折であり、寝たきりとなる原因の第3位にあげられているのに加え,生命 予後も大きく悪化させる。 一方,最も頻度の高い骨折は椎体骨折であり,わが国では70歳代前半の25%,そして80 歳以上の43%が椎体骨折を有しているという。しかも70歳以降では,その半数以上は複 数個の骨折を有している。 この骨折の特徴は,2/3以上は無症状であること,そして次々と周囲椎体の骨折連鎖を引 き起こすことである。 これにより,疼痛や脊柱の変形・姿勢異常,さらにはこれに伴う消化器系や呼吸器系の機 能障害などにより,QOLの大幅な低下のみならず,生命予後をも悪化させることが明らか となってきている。

(40)

骨密度の測定 骨密度とは、骨の強さを判定するための尺度 の1つです。骨密度の測定法には次のようなも のがあります。 こんな検査で分かります! DXA(デキサ)法 超音波法 MD(エムディ)法 エネルギーの低い2種類のX線を使って測定。 全身のほとんどの骨を測ることができます。 腰の骨(腰椎)で測定するともっとも早くに病気 を発見できます。 かかとやすねの骨に超音波 をあてて測定します。 X線を使って、手の骨と厚さの異なるアル ミニウム板とを同時に撮影し、骨とアルミ ニウムの濃度を比べることによって測定 します。

(41)

骨粗鬆症の臨床試験では、DXA(二重エネルギーX線吸収法)を

用いて骨量を測定してます。DXAとは、2種類のX線を骨にあてて、

X線の吸収率から骨量を測定する方法で、腰椎や大腻骨の海綿

骨や、手首などを測定します。

(42)

骨量測定法

骨量の測定には超音波法という方法があります。踵(かかと)の骨に

超音波をあてて、超音波が骨の中を通り抜ける速度を測定します。

比較的簡単に骨量を測定でき、骨粗鬆症の心配があるかどうかを大

まかに調べることができますが、測定精度は低いといわれています。

(43)

骨密度の測定方法

骨密度測定とは、X線や超音波を使って、骨の中に詰まっているカルシウムやマグネシウムなどの ミネラル成分の量を測定することです。骨密度の測定方法はいくつかあり、測定部位も、腰椎(腰 骨)、大腻骨、手の骨、腕の骨、踵の骨など、その方法によって様々です。 [超音波を用いた方法] ●QUS法(超音波法)・・・踵骨(かかとの骨)に超音波を当てて骨密度を測定する方法です。踵の 骨の中を超音波が通るときの速度や量から数値を出します。X線を使わないので妊婦の測定も可 能で、時間も1分程度と短くてすみますが、精度はやや落ちます。 [X線を用いた方法] ●DXA法・・・測定部位は、腰椎、大腻骨、手の骨、前腕骨、脊椎、全身の骨などですが、通常は最 も早く病気を発見できるので腰椎で測定します。この腰椎のDXA法が、骨密度の標準的な測定方 法です。この方法では、腰部にエネルギーの低い2種類のX線を当てて腰椎の骨密度を測定します。 この方法は最も精度の高い方法とされ、測定時間が短く、放射線を浴びる量もわずかで済むのが 特徴です。 ●MD法・・・第2中手指(人差し指)にX線を当て、手の骨と厚さの異なるアルミニウム板とを同時に 撮影し、骨とアルミニウムの濃度を比較することによって骨密度を測定する方法です。検査が短時 間で済むので、多数例のスクリーニングに適しています。 ●pQCT法・・・測定部位は前腕骨で、X線によるコンピューター断層撮影を行って測定します。本来 の密度である単位容積当たりの骨密度(g/cm3)を調べることができます。

(44)

原発性骨粗鬆症の診断基準

脆弱性骨折

骨粗鬆症

骨量減尐

正常

YAM: 若年成人( 20~ 44歳) の骨密度の平均値 YAMの70%未満 または 骨粗鬆化あり YAMの70%以上80%未満 または 骨粗鬆化の疑いあり YAMの80%以上 かつ 骨粗鬆化なし 脆弱性骨折: 低骨量(骨密度がYAM の80%未満、あるいは 脊椎X線像で骨粗鬆化 がある場合)が原因で、 軽微な外力によって発 生した非外傷性骨折。 原則として腰椎骨密度 を用いる。 骨粗鬆化: 脊椎X線像で評価する。 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2006年版

あり

なし

(45)

【YAM値】

同年齢の骨密度の平均値と、骨量が最大となる20~44歳の若年成人の平均値

(YAM)です。測定結果の骨密度の数値が、それぞれの平均値の何パーセントに

当たるかを調べます

判定の基準は、骨密度の数値が若年成人平均値の80%以上なら正常値で、70

~80%なら骨量減尐(骨減尐症)、70%未満なら骨粗鬆症と診断されます。

(46)
(47)
(48)

骨粗鬆症の治療薬

a. カルシウム製剤

b. 女性ホルモン製剤

c. 活性型ビタミンD

3

製剤

腸管からのカルシウムの吸収を促進する。 また、骨芽細胞を刺激し骨形成を促進する作用がある。

d. ビタミンK

2

製剤

骨沈着を促進する働きがある。 ただし、血液凝固を促進する作用があるため、心筋梗塞などでワルファリンカリウム を服用している人には使用できない。

e. ビスホスホネート製剤

破骨細胞の機能を抑制し、骨吸収を抑制する。

f. SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)

g. カルシトニン製剤

カルシトニンは甲状腺から分泌されるホルモンで、破骨細胞を減尐させたり、骨の表 面から破骨細胞を引き離すことによって、骨吸収を抑制する作用がある。 鎮痛効果もある.

h. その他:イプリフラボン・蛋白同化ホルモン製剤

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2006年版

(49)

現在治療に使われる主な薬

・活性型ビタミンD3製剤 食事で摂取したカルシウムの腸管からの吸収を増す働きがあります。また、骨形成と骨吸収の バランスも調整します。 ・ビタミンK2製剤 骨密度を著しく増加させませんが、骨形成を促進する作用があり骨折の予防効果が認められ ています。 ・女性ホルモン製剤(エストロゲン) 女性ホルモンの減尐に起因した骨粗しょう症に有効です。閉経期のさまざまな更年期症状を軽 くし、併せて骨粗しょう症を治療する目的で用いられます。 ・ビスフォスフォネート製剤 骨吸収を抑制することにより骨形成を促し、骨密度を増やす作用があります。骨粗しょう症の 治療薬の中でもっとも有効性が認められている薬です。 ビスフォスフォネートは腸で吸収され、すぐに骨に届きます。そして破骨細胞に作用し、過剰な 骨吸収を抑えるのです。 骨吸収がゆるやかになると、骨形成が追いついて新しい骨がきちんと埋め込まれ、骨密度の 高い骨が出来上がります。 ・SERM(塩酸ラロキシフェン) 骨に対しては、エストロゲンと似た作用があり、骨密度を増加させますが、骨以外の臓器(乳房 や子宮など)には影響を与えません。 ・カルシトニン製剤(注射薬) 骨吸収を抑制する注射薬ですが、強い鎮痛作用も認められています。骨粗しょう症に伴う背中 や腰の痛みに対して用いられます。 これらの薬以外にも、イプリフラボンやタンパク同化ホルモン製剤などが処方される場合もあり

(50)

骨粗鬆症治療についての基本的な考え方

1. 骨粗鬆症治療は骨折危険性を抑制し、QOLの維持

改善をはかることを目的とする。

2. 脆弱性骨折予防のための薬物治療開始基準は、骨

粗鬆症診断基準とは別に定める。

3. わが国では骨折危険因子として、低骨密度、既存骨

折、年齢に関するエビデンスがあり、WHOのメタア

ナリシスでは過度のアルコール摂取(1日2単位以

上)、現在の喫煙、大腻骨頸部骨折の家族歴が確定

している。

4. 骨粗鬆症の薬物治療開始は上記の骨折危険因子を

考慮して決定する。

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2006年版

(51)

脆弱性骨折(大腿骨近位部骨折または椎体骨折)#1

薬物療法開始

原発性骨粗鬆症の薬物治療開始基準

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版)

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版

ある

ない

脆弱性骨折(大腿骨近位部骨折または椎体骨折以外)

ある

BMDがYAMの80%未満 BMDがYAMの70%未満#3

ない

大腿骨近位部骨折 の家族歴 FRAX R の10年間の骨折確率 (主要骨折) 15%以上#4,5 BMDがYAM70%以上80%未満#3 (FRAX:WHO骨折リスク評価ツール)

(52)
(53)

・過度のアルコール摂取

・現在の喫煙

・大腿骨頸部骨折の家族歴

上記のいずれか1つを有する場合

あり

YAMの70%未満 または 骨粗鬆化あり YAMの80%以上 かつ 骨粗鬆化なし

脆弱性骨折予防のための薬物治療開始基準

脆弱性骨折

脆弱性骨折

YAM: 若年成人(20~44歳) の骨密度の平均値

あり

男女とも50

歳以上

なし

閉経後女性

50歳以上の男性

なし

YAMの70%以上80%未満 または 骨粗鬆化の疑いあり

骨粗鬆症

薬物治療開始!

骨量減少

正常

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2006年版

(54)

* YAM (young adult mean):20-44歳の若年成人平均値 ** 骨密度は原則として腰椎骨密度とする。高齢者において脊椎変 形などで測定が困難では大腻骨頚部あるいは他の部位の骨密度 を用いる。 *** 骨密度の値は測定部位、測定方法、測定機器別で異なります。 基準値も異なります。 I.脆弱性骨折あり II.脆弱性骨折なし i.骨粗鬆症:骨密度値がYAMの70%未満、脊椎X線での骨粗鬆症化あり ii.骨量減尐:骨密度値がYAMの70%-80%、脊椎X線での骨粗鬆症化疑いあり iii.正常:骨密度値がYAMの80%以上、脊椎X線での骨粗鬆症化なし

(55)
(56)

破骨細胞の骨吸収

破骨細胞は、明帯(CZ)で基質骨に接着し、その内側に波状縁(RB)を形成する。細胞内で炭酸脱 水素酵素Ⅱ型(CAⅡ)により産生されたプロトン(H+)や塩素イオン(Cl-)は、波状縁の細胞膜に存 在するプロトンATPase、CIC-7により吸収窩内に輸送され、この酸性環境内でハイドロキシアパタ イトは溶解される。一方、Ⅰ型コラーゲンなどの有機成分は、カテプシンK(CpK)やMMP-9により 分解される。(松本歯科大学大学院硬組織研究グループ:硬組織研究ハンドブック . 松本歯科大学 出版会、塩尻、2005、p.38) 新 骨の科学 (医歯薬出版、編集:須田立雄ほか)

(57)

HMG-CoA

破骨細胞におけるビスフォスネート製剤の作用機序

メバロン酸

ファルネシルピロリン酸合成

ゲラニルゲラニルピロリン酸合成

低分子量GTP結合タンパク質のプレニル化

スクアレン コレステロール

波状縁の発現

骨吸収

タンパク質の機能発現が阻害され、破骨細 胞内小胞輸送の阻害や細胞骨格の破壊に よる波状縁の形成阻害、アポトーシスの誘 導が引き起こされると考えられています。 ファルネシルピロリン酸(FPP)合成酵素 プレニル化: 脂 質 修 飾 。 こ れ に よ り 生理活性を発揮します。

ビスフォスネート製剤

(58)

ビスフォスネート製剤の作用機序

ビスフォスネート製剤が、骨吸収の

過程で破骨細胞に取り込まれ

た後、破骨細胞内でファルネ

シルピロリン酸合成酵素を阻

害して、破骨細胞機能を抑制

し、骨密度を増加させる。

① ビスフォスネート製剤が骨表面 に沈着 波状縁 骨吸収窩 pH↓ ビスフォスネート こつきゅうしゅうか はじょうえん ② ビスフォスネート製剤が破骨細胞に 取り込まれる ③ ビスフォスネート製剤が破骨細胞の波状縁 を消失させ、 不活性化させる

ビスフォスネート

ビスフォスネート 田中 真ほか:日薬理誌 134:149-157, 2009 (一部改変)

(59)

ビスフォスネート ビスフォスネート ① リカルボンが骨表面に沈着 ② リカルボンが破骨細胞に取り 込まれる ③ リカルボンが破骨細胞の波状縁 を消失させ、不活性化させる ③ 破骨細胞のアポトーシスを誘導する

ビスフォスネートの破骨細胞に対する作用

ビスフォスネートは破骨細胞に取り込まれると、波状縁を消失させ、骨吸収機能を不活性 化させる。破骨細胞の波状縁直下の酸性条件下では、極性型(水溶性)ビスホスホ ネートから非極性型(脂溶性)ビスホスホネートに変換され、破骨細胞に取り込まれや すくなる。 ビスフォスネート ビスフォスネート

(60)

骨吸収のメカニズム

破骨細胞へ分化

(61)

骨吸収のメカニズム

(62)

破骨細胞の活性化

酸やカテプシンKを分泌

酸やカテプシンK

カテプシンK : 酸性条件下で骨基質(主としてⅠ型コラーゲン)を分解する

プロテアーゼです。

酸 : ハイドロキシアパタイトを溶解させます。

骨吸収のメカニズム

(63)

骨の吸収

(64)

(65)

ビスホスホネートの作用機序

ビスホスホネート

ビスホスホネートは骨のハイドロキシアパタイトに強い親和性を有

し、生体内で吸収されたビスホスホネートの20~80%は骨表面に

吸着する。

破骨細胞

(66)

ビスホスホネートの作用機序

(67)

ビスホスホネートの作用機序

(68)

ビスホスホネートの作用機序

(69)

ビスホスホネートの作用機序

不活性化

波状縁の消失

(70)

ビスホスホネートの作用機序

(71)

ビスホスホネートの作用機序

アポトーシス

(72)

【ビスフォスネート製剤の作用機序】

ビスホスホネート系薬剤は骨に集積し、骨吸収の過程で酸により遊離し、破骨細胞に取り 込まれることで骨吸収抑制作用を示すと考えられる。 ①ビスホスホネート系薬剤が骨表面に沈着 →②破骨細胞が骨表面に接着し骨吸収が始まる →③骨吸収窩のpHの低下に伴い、ビスホスホネート系薬剤が遊離し始める →④ビスホスホネート系薬剤が破骨細胞に取り込まれる →⑤ビスホスホネート系薬剤は破骨細胞の波状縁を消失させ、破骨細胞を不活化する →⑥破骨細胞のアポトーシスを誘導し骨吸収機能を抑制する ビスホスホネート系薬剤は破骨細胞内でファルネシルピロリン酸(FPP)合成酵素を阻害し、 破骨細胞の骨吸収機能を抑制することにより骨代謝回転を低下させると考えられる。

(73)

ビスホスホネート製剤

メリット

・ 強力な骨吸収抑制作用(高い有効性)

・ 血中での半減期は短いが、骨への親和性が高いため、速やか

に骨へ吸着し作用が長期間持続する。

→ 間歇投与製剤の開発が可能

デメリット

・ 副作用

胃腸障害(胃痛、胃部不快感、胃炎、食道潰瘍 等)

顎骨壊死

・ 服薬方法の制限

水の量(180mL)、服薬後の姿勢

(服薬後30分は横にならない)

食事までの時間(服薬後30分は水以外は飲食できない)

(74)

・ビタミンDを多く含む食品 サケ、ウナギ、サンマ、メカジキ、イサキ、カレ イ、シイタケ、キクラゲなど *骨粗しょう症や骨折予防のためのカルシウ ムの摂取目標量は、1日800mg以上です。 症状チェックからカルシウム自己チェックへ!

食事

骨密度を低下させない食事療法

カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨密度を増加させる栄養素を積極的 に摂り、骨を丈夫にするのが骨粗しょう症の食事療法です。カルシウムとビタミ ンDを同時に摂ることで、腸管でのカルシウム吸収率がよくなります。また、タ ンパク質の摂取量が少ないと骨密度の低下を助長しますので、食事量が少なくな りがちな高齢者の方は注意しましょう。 栄養やカロリーのバランスがよい食事を規則的に摂るのが、食事療法の基本とな ります。 ・カルシウムを多く含む食品 牛乳、乳製品、小魚、干しエビ、小松菜、チンゲン菜、大豆製品など

薬物療法と併用する日常生活の改善!

(75)

・骨を強くする体操 片足立ち(フラミンゴ体操) フラミンゴのように片足で立ちます。壁やテーブルにつか まりながら行ってもOK。体重を片足に乗せ、負荷を与え ることにより骨を強くする効果があります。

運動

骨密度を低下させない運動療法 運動不足は骨密度を低下させる要因です。骨にカルシ ウムを蓄えるためには、「体重をかける」ことが大事。日 常生活のなかで階段の上り下りや散歩などを取り入れ、 運動量を増やすだけでも効果があります。 骨密度の低下防止にとくに有効な運動は、ウォーキング、 ジョギング、エアロビクスなどです。 ・ビタミンKを多く含む食品 納豆、ホウレン草、小松菜、ニラ、ブロッコリー、 サニーレタス、キャベツなど

(76)

・転倒を防ぐ運動(2) 足の付け根の筋肉ストレッチ かけっこのスタートのときの姿勢からさらに片足を後ろに 伸ばし、膝を床につけるような気持ちでゆっくり腰を低くし ます。 (片足30~40秒ずつ左右行います) ・転倒を防ぐ運動(1) ふくらはぎとアキレス腱のストレッチ (1)前に出した方の足の膝を曲げて体重をかけてい き、後ろの方の足のふくらはぎを伸ばします。 (2)続いて後ろの方の足の膝を曲げ、アキレス腱を 伸ばします。 (片足30~40秒ずつ左右行います) ・背筋を伸ばす運動(2) 頭のうしろで手を組み、両肘をできるだけうしろのほ うに引き、胸を開きます。

(77)

骨粗鬆症による骨折

一つの目安として、身長

が3cm縮むと骨粗鬆症

の疑いがありとする啓蒙

用のポスターが国際骨粗

鬆症財団(IOF)で作成さ

れています。

(78)

骨粗鬆症の治療

骨粗鬆症の治療は,骨折の防止が一番重要

→ 骨粗鬆症の治療(薬物療法)に関するガイドライン、骨粗鬆

症用薬の臨床評価方法に関するガイドラインに示されている。

骨粗鬆症治療薬の開発における真のエンドポイントは

骨折防止効果の評価

(79)

大腻部頸部骨折のうち85%は転倒が直接的な原因 骨粗しょう症が進行し、骨がもろくなると骨折しやすくなります。骨折する部位として多いのは、背骨 (胸椎・腰椎)と手首、腕の付け根の骨、足の付け根の骨(大腿骨頸部)。とくに大腿骨頸部骨折では 、体を支える働きが奪われますので寝たきりになる原因の1つとなりますが、この骨折の85%は転倒が 直接的な原因となって生じています。歳を取り、視力が低下して足腰の筋力も衰えてくるとどうしても 転びやすくなってしまうのです。 背骨の骨折は、背中や腰が曲がる、痛みが出るなど、生活の質を低下させる要因となります。痛みや息 切れなどのために行動が制限されて運動量が減るとますます骨密度が低下し、運動不足により筋力も衰 えるなど体の機能低下を招きます。

骨粗しょう症対策を行うことで、骨折リスクが約1/2に

対策

・ 骨粗しょう症治療薬の服用 ・ 食事や運動、日光浴など生活習慣の改善

(80)

骨粗鬆症チェック!

次のような症状があれば要注意です。

(81)

気になる症状があったら、骨粗しょう症の症状チェックへ! 年齢とともに身長が縮むことはよくありますが、その主な原因は骨粗しょう症です。こ の病気で骨がもろくなり、背骨がつぶれるために身長が縮むのです。骨粗しょう症が 進行すると骨折を招き、要介護状態(寝たきり)となることも…。 年を取れば誰でも骨粗しょう症になる危険性が高くなりますが、適切な治療でその進 行をくい止めることができます。 明らかに身長が縮んだ、背筋が曲がってきたなどの症状があれば、医師への相談を おすすめします。3~4cm以上身長が縮んだ人は積極的に骨密度検査やレントゲン 検査を受けることが推奨されています。

(82)

参照

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