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7. 曲面上の積分 (1) ここでは曲面上の積分を学びます. 微分幾何とは点の周りの状態を調べる学問 ( 曲面の局部理論 ) ですが, ガウス ボンネの定理が示すように曲面全体の状況すなわち大域的な内容を研究することも大切です. 曲面の大域的な内容を扱うには当然積分が必要です. ここでは曲面上の積分

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Academic year: 2021

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(1)

7.曲面上の積分(1)

ここでは曲面上の積分を学びます.微分幾何とは点の周りの状態を調べる学問(曲面の 局部理論)ですが,ガウス・ボンネの定理が示すように曲面全体の状況すなわち大域的な 内容を研究することも大切です. 曲面の大域的な内容を扱うには当然積分が必要です.ここでは曲面上の積分について分 かりやすく解説します.すなわち,微分積分で学ぶグリーンの公式やラプラス作用素の意 味を曲面上できちんと理解することが目標です. 平面上の点は,座標軸を導入することにより,2つの実数の組(x,y)と対応する. すなわち,座標軸を導入することにより,平面はR と1対1に対応する.2 しかし,平面上に直交座標を導入する方法はい くらでもあります.今考えている性質が,2つ の座標系のうち片方では成り立つがもう一方で は成り立たないことが起こってはその性質を直 交座標を用いて議論することができません. すなわち,座標を導入することにより調べられ る性質は,他の座標系でも成り立つ性質です. この性質を座標変換で保たれる性質といいます. このように,微分幾何では,座標を変えたとき 保たれる性質であるかどうかに注目することが 大切なことです.平面ではぴんとこないかもしれませんが,単位球面の x +y +z =1 ,x>0,y>0,z>02 2 2 について,いろいろな座標の設定の仕方があります.xy平面への正射影,yz平面へ の正射影,zx平面への正射影の逆写像や極座標が標準的です.すなわち (x,y)→(x,y, ) (y,z)→( ,y,z ), (x,z)→(x, ,z ), (θ,φ)→(cosθcosφ,cosθsinφ,sinθ) 等いろいろありますが,どの座標でも成り立つ性質が,微分 幾何の対象となる性質です. 以下積分の解説に入るのですが,どうしても外積と外微分の概念が必要です.テンソル 代数を学んでからのベクトル空間V上の交代多重線形変換と見る方法は後で扱うとして, ここでは,必要な性質だけ学びます Vをベクトル空間,V をVの双対ベクトル空間とします.* このとき,f,g,h∈V ,u,v,w∈Vに対して* f∧g:V×V→Rを

1- x

2

- y

2

1- y

2

- z

2

1- x

2

- z

2

(2)

f∧g(u,v)=det f∧g∧h(u,v,w)=det によって定義する. , . これから扱うベクトル空間Vの次元は3ですから 上の2種類の外積しか出てきません 定義よりつぎの性質が成り立ちます. 1.f∧g=-g∧f 2 (f+g)∧h=f∧h+g∧h, 性質1よりf∧f=0が成り立つことが分かります. 次に外微分です.外微分作用素dの定義は次の通りです. 1.fが関数のとき,dfは1次の微分形式で df=f du+f dvu v 2. αが1次の微分形式 α=fdu+gdv のとき dα=df∧du+dg∧dv =f dv∧du+g du∧dv=(-f +g )du∧dvv u v u 次の命題は容易に証明できる 命題 fが関数,αが1次の微分形式とする.このとき次の式が成り立つ. 1.d(fα)=df∧α+fdα 2.d(αf)=dαf-α∧df 3.d(df)=0 P u v 曲面fの各点Pに接ベクトル空間T (S)が定義されます.通常基底としてf ,f を考えますが,T (S)とuv平面の接ベクトル平面とを同一視しP を を で表す. fu fv さらに, , の双対基底をそれぞれdu,dvで表す. P P すなわち,点Pにおける接空間T (S)の双対空間(これを点Pの余接空間という)T

f(u) f(v)

g(u) g(v)

f(u) f(v) f(w)

g(u) g(v) g(w)

h(u) h(v) h(w)

∂ u

∂ v

∂ u

∂ v

(3)

(S)の双対基底は{du,dv}である. * 以下,曲面 3 (u,v)→f(u,v)∈R について考えます. 曲面fの第1基本形式を Ⅰ=Edu +2Fdudv+Gdv2 2 ・・・① とします.ちなみに①の意味は u u u v v v E=f ・f ,F=f ・f ,G=f ・f でE,F,Gを定義し, │afu+bfv│ =(a2 fu+bfv)(・ afu+bfv) 2 2 =Ea +2Fab+Gb となることです.見方を変えれば, と を と を同一視して考えれば,曲面 は fu fv f u,v平面上で , が ・ =E ・ =F ・ =G を満たすとして考えればよいという意味です. 曲面の性質を調べるときは,これに第2 基本形式も考えれば,曲面fの状況が完璧にu,v平面に現れる.すなわち曲面fとu, v平面がまったく同じものであることを示したのが曲面の基本定理でした.しかしリーマ ンの提唱は,第1基本形式だけで曲面の状況を考えようという内容です.これは曲面を外 から見ることはしないで調べようという意味です.曲面の第1基本形式より得られる内容 を曲面の内在量とか内蘊(ないうん)量といいます. さて,領域Uで定義された関数fの積分とは,Uを細かく分割しそれを{U }とし,i U 上の1点をP とすればi i ∑(U の面積)f(P )i i の分割を小さくしていったときの極限です.したがって,曲面上で積分するには,曲面の 面積を調べる必要あります.

∂ u

∂ v

∂ u

∂ v

∂ u

∂ u

∂ u

∂ v

∂ v

∂ v

(4)

以下 =u, =vと表します. 2つのベクトルu v, の決める平行四辺形の面積を求めましょう. ・ =E, ・ =F, ・ =G u u u v v v を利用します.平行四辺形の面積をSとすると S =│ │ │ │2 2 2θ sin 2 2 2 2 = │ │ │u v│ -(u・v) =EG-F ∴ ここで,2次微分形式ωを ω= du∧dv 定義すると. ω( , )= du∧dv( , ) = = ( , の決める平行四辺形の面積) ω(au+bv,cu+d )=(ad-bc)ω(v u v, ) が成り立つことより, 2つのベクトルx y, にたいしてω( , )x y はx y, の決める平行四辺形の面積 符( 号も含める)であることが分かります.この2次微分形式ωを曲面fの面積要素といいま す. 体積要素ωのω( ,x y)はx,yの決める平行四辺形の面積であるという性質は座標 系に関係ないので,ωは座標によらないことが分かります. 3 ここで,ユウクリッド空間に積分の公式の復習をしましょう.すべて3次元空間R で考えます. ベクトル解析の用語から. 1. x,y,zの関数f(x,y,z)の偏導関数f ,f ,f が成分であるベクトx y z ル場(f ,f ,f )をfの勾配またはグラディエントといいx y z gradfと表す. f=(f ,f ,f ) grad x y z 2.ベクトル場X=(α,β,γ)に対して,次のベクトル場を回転または rotation とい いrotXとあらわす. X= rot

∂ u

∂ v

S= EG- F

EG- F

2

∂ u

∂ v

EG- F

2

∂ u

∂ v

EG- F

2

∂ u

∂ v

(

∂ γ

∂ y

-∂ β

∂ z

,

∂ α

∂ z

-∂ γ

∂ x

,

∂ β

∂ x

-∂ α

∂ y

)

(5)

なお, = gread より外積×を用いて X= ×X rot grad となる. 3.ベクトル場X=(α,β,γ)に対して次のスカラーを発散といいdivXで表す. X= div = の記号を用いれば内積・をつかい gread X= ・X div grad となる. 4.関数fに対して gradとdiv の合成を△で表しラプラス作用素という. xx yy zz △f=div〇gradf =f +f +f 以上の関数やベクトル場に関する作用素で, =0 div〇rot となることは簡単な計算でできる. 以上の作用素が,微分形式の外微分の中でどのような形で現れるかを知ることは大切な ことです. ω=αdx+βdy+γdz η=Pdy∧dz+Qdz∧dx+Rdx∧dy ω,ηをそれぞれ外微分すると d ω = dη=(Px+Qy+Rz)dx∧dy∧dz

rot div stokes gauss

このように, , は外微分の係数として現れる この性質は積分の. の公式, の公式で利用される. 次のR2の積分について考える.まず, 上の重積分はD と書くが,ここのdxdyはdx∧dyと書いた方がわかりやすい. x=x(u,v ,y=y(u,v))

(

∂ x

,

∂ y

,

∂ z

)

∂ α

∂ x

+

∂ β

∂ y

+

∂ γ

∂ z

(

∂ x

,

∂ y

,

∂ z

)

(

∂ γ

∂ y

-∂ β

∂ z

)dy∧ dz+(

∂ α

∂ z

-∂ γ

∂ x

)dz∧ dx+(

∂ β

∂ x

-∂ α

∂ y

)dx∧ dy

D

f(x,y)dxdy

(6)

のとき, dx=x du+x dvu v dy=y du+y dvu v より, dx∧dy=(x du+x dv)∧(y du+y dv)u v u v =(x yv-x yu)du∧dvu v = du∧dv となり,積分の変数変換で現れるヤコビ行列式が自然に現れる. さらに,2次元のユークリッド空間R におけるグリーンの定理は2 3次元のユークリッド空間R におけるストークスの定理,ガウスの定理は3 = + = において,グリーンの公式は ω=Pdx+Qdy ストークスの公式は ω=Pdx+Qdy+Rdz ガウスの公式は ω=Pdy∧dz+Qdz∧dx+Rdx∧dy とおけば または

∂ (u,v)

∂ (x,y)

∂ D

Pdx+Qdy=

D

(

∂ Q

∂ x

∂ P

∂ y

)dx∧ dy

∂ D

Pdx+Qdy+Rdz

D

(

∂ R

∂ y

∂ Q

∂ x

)dy∧ dz+ (

∂ P

∂ z

∂ R

∂ x

)dz∧ dx

(

∂ Q

∂ x

∂ P

∂ y

)dx∧ dy

∂ D

Pdy∧ dz+Qdz∧ dx+ Rdx∧ dy

D

(

∂ P

∂ x

+

∂ Q

∂ y

+

∂ R

∂ z

)dx∧ dy∧ dz

∂ D

ω =

D

∂ D

ω =

D

(7)

と表せる.曲面f上の積分は が使われる. ガウスの公式のP,Q,Rをそれそれv u,v u,v uで置き換えると,x y z x y z P +Q +R xx yy zz x x y y z z =(v +v +v )+v u +v u +v u x x y y z z =△v+v u +v u +v u よ り ガ ウ ス の 公 式 は = ・・・① ①でuとvを入れ替え辺々引けば = △はラプラス作用素であり,この等式もグリーンの公式と呼ばれる ∂ D

ω =

D

D

v△ udx∧ dy∧ dz+

D

(v

xux

+v

yuy

+v

zuz

)dx∧ dy∧ dz

∂ D

vux

dy∧ dz+vu

y

dz∧ dx+vu

z

dx∧ dy

D

(v△ u- u△ v)dx∧ dy∧ dz

参照

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