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株式会社との共同研究により 通勤電車の車内の快適性の評価手法の開発に取り組むためであった 環境心理学を適用し 人間の行動に基づく客観的な快適性評価指標を構築し それを用いて 通勤電車としての乗降容易性と 居住の快適性の両立を図る新たな座席配置の提案をするという研究であった この研究では 理論の構築の

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Academic year: 2021

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(1)

東京大学生産技術研究所 千葉実験所長 次世代モビリティ研究センター長 教授

すだ

田 義

よしひろ

1.東京大学生産技術研究所の特徴  東京大学生産技術研究所は、第二工学部を 前身として、昭和 24 年に発足した、わが国 における大学付置研究所としては最大であ り、工学系のほぼすべての研究領域を誇る研 究所である。その特徴としては、産学連携研 究をはじめとする社会還元を目指した実践的 な研究や、分野融合研究を推進していること である。この研究所では研究室制を採用して いるため、若手教員も含めて独自の取り組み が可能であり、時代の要請に応じた新たな研 究分野の開拓などがやりやすい環境にあり、 さらに、「基礎系」、「機械・生体系」、「情報・ エレクトロニクスシステム系」、「物質・環境 系」、「人間・社会系」の 5 つの研究部門に加 えて、研究ミッションを掲げて個別研究室が 連携したセンターを組織するといった分野融 合研究の体制も整えられている。また、これ らの実践的な研究を支える、都心では実施が 不可能な大規模な工学系の実験を実施する実 験フィールドとして、千葉実験所の存在も大 きい。  本稿では、本年 4 月より、東京大学生産技 術研究所 ( 生研 ) 附属千葉実験所が、生研設立 の地であり、前身である東京帝国大学第二工 学部もあった西千葉地区 ( 千葉市稲毛区弥生 町 ) から柏キャンパスに機能移転したことを 機会に整備した、「千葉試験線2.0」および「走 行試験路・試験用交通信号機」から構成され る「ITS R&R 実験フィールド」と、これら を活用した交通に関する産学連携の取り組み について紹介をする。 2.千葉実験所と次世代モビィリティ研究センター  筆者が 1991 年に生産技術研究所に赴任し て以来、専門分野を車両制御動力学として、 鉄道のみならず自動車やパーソナルモビリ ティビークル、さらには、次世代のモビリティ を担う新たなシステムの開発などに携わって きた。これらの活動を支えてきたのが千葉実 験所である。  千葉実験所は生研発足時の西千葉に、生研 本体が六本木に移転した跡地の一部を活用し て設立された。時代の要請に応じて、水工学、 耐震工学、製造技術、海洋工学、ITS(高度交 通システム ) などの大規模施設を整備し、社 会に貢献してきた。  筆者が千葉実験所の利用を開始したのは 1996 年のことであり、当時の東急車輛製造

産学連携の取り組み

― 東京大学生産技術研究所千葉実験所の挑戦 ― 柏キャンパス内「ITS R&R 実験フィールド」

(2)

株式会社との共同研究により、通勤電車の車 内の快適性の評価手法の開発に取り組むため であった。環境心理学を適用し、人間の行動 に基づく客観的な快適性評価指標を構築し、 それを用いて、通勤電車としての乗降容易性 と、居住の快適性の両立を図る新たな座席配 置の提案をするという研究であった。この研 究では、理論の構築のみならず、実践的な車 両への乗降実験が必要であり、製作した実物 大モックアップ車両の置き場として、まさに 千葉実験所のスペースはうってつけであった のである。本研究成果は、3 人掛けのボック スシートとして東急電鉄 7000 系車両に実用 化されている。  ほぼ同時期には、路線バス用の超低床バス の国産化が求められたときであり、ステップ レスのバスの乗降実験のために都バスの廃車 を譲り受け、千葉実験所でのデモンストレー ション実験を実施し、その後のノンステップ バスの普及に貢献した。  翌年の 1997 年には、当時の運輸施設整備 事業団からの研究助成プログラムにより、「鉄 道における車輪・レール系の知能化に関する 基礎的研究」を開始し、1 / 10 スケールの 鉄道車両走行試験装置の構築に結び付いた。 この模型走行試験装置は、1 軸台車や、独立 回転車輪を用いた新たな走り装置の開発、さ らには、レール・車輪間の摩擦制御の研究な ど、鉄道事業者や車両メーカ等との共同研究 に活用された。東京メトロの千代田線、丸ノ 内線で実用化している摩擦調整材を車両の最 後尾から噴射する急曲線区間の摩擦制御の開 発実験にも活用された。そして、2007 年の 実スケール試験線敷設が実現した。  一方、研究体制としても、個別の研究室と しての産学連携研究体制をより拡充する機 会が得られた。国立大学が法人化される前 に、東京大学では、生産技術研究所と先端科 学技術研究センターが共同で設立した国際・ 産学共同研究センター (CCR) が発足し、筆 者も、2000 年より、生研から本務を CCR に移し ( 生研は兼務 )、道路交通における ITS (Intelligent Transportation Systems) の産学連携プロジェクトを組織することに なった。生研本体が六本木から駒場に移転す

寄 稿

(3)

自動車産業のみならず、道路管理者、道路事 業者、交通管理者との共同研究も進められ た。その受け皿とし、先進モビリティ連携研 究センター、先進モビリティ研究センターを 経て、現在の次世代モビリティ研究センター (ITS センター ) が設立されて現在に至って いる。  近年の同センターのプロジェクトでは、「EV を活用した東北復興エネルギー・モビリティ マネージメントプロジェクト」、「大型トラッ クの隊列走行などの自動運転の開発」や、「自 動運転のエコシステムとしての評価」、「パー ソナルモビリティ・ビークルや軌道系交通シ ステムなどの公共交通とのモーダルミックス」 など、多岐にわたるプロジェクトを実施して いる。広島地区で実施した、路面電車と自動 車の車車間通信による安全運転支援などの、 鉄道とITSを融合する取り組みも積極的に実 施した。 3. ITS R&R実験フィールドと千葉試験線  西千葉における千葉試験線は、2007年11 月9日、千葉実験所の一般公開に合わせて開 業した。  開設した目的は、大学における実物スケー 日に公表された答申、「環境新時代を拓く、 鉄道の未来像 -鉄道がつなぐ、エコフレン ドリーな生活圏の創造に向けて-」において、 試験線の必要性が述べられた。この検討会に は当方も参加しており、千葉試験線の存在は、 従来試験線の建設に対して必ずしもポジティ ブな意見のみではなかった状況を変えるきっ かけになったとも考えられる。  その後、日本鉄道車輌工業会・国土交通省 における試験線建設に向けた検討会が発足 し、試験目的、具体的な仕様の策定、運営方 法の検討、活用事例などが議論された。そし て、技術開発成果の検証、規格適合や認証の 実践の場、評価目的のデータ取得の場として の役割などが認識され、各種事前試験、環 境試験、懸念事項に対する事象再現試験への 期待が検討された。さらに、研究開発のため の試験のみならず、鉄道従事者のトレーニン グや、海外案件などにおいては、現地の工事 完成に先立つ事前トレーニングへの役割も指 摘され、各種デモンストレーションとしての役 割も認識された。これらの議論を基に完成し たのが、三菱重工三原製作所の敷地に建設さ れた MIHARA 試験センター (Multipurpose Integrated Highly-Advanced Railway Applications) であり、千葉試験線との連携 も今後期待されている。  この度オープンした、「ITS R&R 実験フィ ールド」は、道路系の車両の走行試験路 ( 最 大直線長約 300m) と、鉄軌道系の試験線を 併せ持つ複合実験フィールドである。走行試 験路はアスファルト舗装されており、自動車 や二輪車、飛行体などに関する様々な実験に 生産技術研究所 千葉実験線開通式 (2007年11月9日)の様子

(4)

定常曲線(曲線半径33.3m)、分岐器、踏切な どを持つ。一部区間は、三線軌条および溝レー ルも敷設している。また、線路の終端は、研 究実験棟の大空間実験室にあり、車両等の保 管のほか、ピットを持つことから、実験車両・ 台車の整備などにも活用できるようになって いる。特筆するべき事柄としては、外フラン ジ型車輪など新構造車両の走行および各種交 通モードとの融合に関する研究が可能なよう に、踏切構造や分岐を特別に設計して設置し ていることである。  西千葉においては、車両の走行はせずに、 台車 ( 元京阪および阪急 ) を用いた走行試験を 路面舗装を活用してトラックによる牽引走行 試験を実施してきたが、「千葉試験線2.0」に おいては、走行実験等に用いる研究用車両を 新たに導入した。  東京大学 生産技術研究所 次世代モビリ ティ研究センター 須田研究室と東京地下鉄株 対応できる環境が整備されている。本試験路 では、車両工学や交通工学、人間工学、音響 工学など、様々な研究を実証的に行うことを 想定している。  本試験路においては、実際の信号機と同型 のものを設置するとともに、街路、走行路お よび踏切など実道路環境を模擬しており、実 際の道路交通環境下では実施が難しい実車実 験を行うことを可能にしており、産官学連携 による ITS の研究をはじめ、新たな安全運転 支援システムや自動運転技術、V2X ( 車車間 通信・路車間通信など ) の研究、さらに信号 現示に関する研究などが予定されている。  鉄道車両、ライトレール車両などの軌道系 ビークルの実践的な走行実験のための設備 は、西千葉時代の千葉試験線をアップグレー ドしたものであり、実スケールの試験線 ( 標 準ゲージ・全長約333m)は、直線、緩和曲線、

寄 稿

ピット付き車両保管場所・検査場 試験線の踏切を渡る自動運転バス実験車 両フランジ対応分岐 大空間実験室

(5)

る「千葉試験線 2.0」で使用できる車両とし て、2017 年 3 月 10 日 ( 金 ) に最後の営業運 転を終えた銀座線 01 系車両のうち 1 両 (01-630号車)を譲渡頂いた。  そのため、2017年5月15日( 月) には、柏 市長、国土交通省、東京地下鉄株式会社をは じめとする多くのご来賓をお招きした式典を 実施した。道路・自動車用の実験設備として の走行試験路と試験用交通信号機の運用開始 についても、試験用交通信号機点灯式と自動 運転バスの試乗会も実施した。これらのイベン トは、多くの報道に取り上げられた。 4.試験線の活用  試験線の活用方法としては、台車および車 両の走行実験、レール/車輪の接触に関する 実験などが主な目的であるが、通常の試験線 では走行が不可能な、逆勾配あるいは傾斜軸 を持つ独立回転車輪方式の車両の走行実験を 想定しているところが大きな特徴である。  通常の独立回転車輪輪軸では、自己操舵機 能が消滅するのみではなく、静的な不安定現 象を伴い、超低床車両などの構造上、車軸を 無くすことを主目的として、走行性能の向上 には期待をしない車両への実用化はなされて いるが、走行性能向上の新たな取り組みが重 要である。これらの新方式輪軸においては、 構造上外フランジ型車輪の方が合理的であ り、この車両においては、スケールモデルに よる走行試験は実施してきたが、実物スケー ルによる走行試験は、今回の「千葉試験線 2.0」で実施する予定でいる。  一般車両においては、IoT とビッグデータ 収集の進展により、車両・軌道系の異常検知 の研究が進展してきているが、このような異 常状態の走行試験を実施するフィールドとし ての活用にも期待されている。今後の試験に おいては、西千葉においての模擬脱線試験の ように、安全に異常状態の再現を実施する方 策を検討していくことになる。  さらに、モックアップ車両と、実物車両を 導入したことにより、走行試験のみならず、 車内の快適性評価の研究など、車両そのもの を活用した研究・教育への期待も高い。 逆勾配踏面独立回転輪軸の提案 千葉実験線2.0 千葉実験線2.0開通式及び車両贈呈式

(6)

 軌道系におけるさらなるチャレンジとして は、ITS ( 高度交通システム ) を活用した研 究である。通信を用いた安全走行支援、自動 走行への展開など、今後のライトレールを含 む鉄軌道系における新たな取り組みについて も、検討を進めていく予定である。  車両の試験以外にも、軌道インフラや信号 系への展開も今後検討をしていく予定であ る。分岐設備における状態監視、踏切設備に おける ITS との連携、信号システムとの連携 なども想定される。  他にも、例えば現在想定されている新たな 用途としては、大学教育や、柏キャンパス公 開を通じた近隣の小中高生を対象とした鉄道 車両工学の教育実習への活用などである。ロ ボット工学や自動車工学においては、ロボコ ンや学生フォーミュラなどの学生の自主的な 参加による、教育と技術に係るコンテストが 注目を浴びているが、これらの鉄道版を実施 することも考えられる。  さらに、教育実習や訓練については、鉄道 業界における活用以外にも、鉄道事故におけ る消防・救急隊員による救助活動の訓練や実 地教育への活用も考えられ、既に柏市消防局 との連携も模索しているところである。ほか にも防災訓練や防災対策への活用なども考え られる。 5.おわりに  「ITS R&R 実験フィールド」は、生産技術研 究所の次世代モビリティ研究センター (ITS センター )における、交通工学、車両工学、情 報工学などを柱とする ITS 推進のための分野 融合研究はもちろん、須田研究室、中野研究 室における個別の研究などに活用する予定で あり、産官学民融合、地域連携による研究拠 点の一部として機能することが期待されてい る。また、学内においても、柏キャンパス地 区の他部局との連携も進めることや、試験線 やテストコースを持つ学外の研究施設との連 携も進め、我が国における次世代のモビリティ の研究拠点としての役割を果たすことも考え られる。  末筆ながら、実験フィールドの構築にご貢 献頂いた、研究室、生産技術研究所、東京大 学の多くのメンバー、関係企業の多くの皆様 に謝意を表したい。

寄 稿

交通信号機付近と踏切 柏キャンパスの全景 (赤丸内に「ITS R&R実験フィールド」を構築した) 千葉試験線2.0に搬入された銀座線01系車両

参照

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