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3 .ファイバ無線技術

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Academic year: 2022

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有無線融合ネットワークの将来と光ファイバ伝送の役割

Optical fiber transmission for future seamless networks

川西哲也1 菅野敦史2

Tetsuya Kawanishi Atsushi Kanno

1早稲田大学 2情報通信研究機構

Waseda University National Institute of Information and Communications Technology

1. まえがき

第5世代携帯電話システム(5G)の実用化が端緒につき、

高速大容量、低遅延、多接続といった3つの特徴を生か した様々な応用が期待されている[1]。一方で、これらの すべてを実現するためには莫大な電波資源が必要となる。

電波資源逼迫の課題を解決するために、電波で接続する 区間を極力短くし、サイズの小さいセルを多数用いるこ とが必要とされている。莫大な数の多数の基地局が必要 という指摘もある[2]。基地局間をつなぐモバイルバック ホール、リモートアンテナユニットをつなぐモバイルフ ロントホールの重要性がより高まっていくことは間違い ない[3]。基地局間の接続には我が国を含む東アジアでは 光ファイバが広く用いられてきた。

一方、需要が小さい郊外などでは途上国を中心に固定 無線による接続が依然として用いられている [4-6]。モバ イルバックホール、フロントホールに要求される伝送容 量の増大が続いていたこともあり、最近では固定無線の シェアが低下し、光ファイバの利用が全世界で広がる傾 向にあったが、5Gでは東アジアにおいて光ファイバのシ ェアが低下に転じるという予測がある[7]。これは、5Gに おいては必要となる基地局、リモートアンテナユニット の数が爆発的に増えるため、光ファイバ伝送が普及して いる東アジアにおいても、すべてで接続することは困難 となることを示唆しているものと思われる。

我が国おいてもすべてを光ファイバで接続することが 困難となる可能性が高く、基地局もしくはリモートアン テナユニットの配置間隔は最短で照明器具と同程度の 10 メートル程度となるであろう。テラヘルツ波やミリ波に よる高速固定無線がこれらを接続する手段の有力候補の 一つとなり得る。もちろん、光ファイバ通信の役割が低 下することはなく、必要となる光ファイバリンクの数は 絶 対 数 で は 増 加 を 続 け る ことは間違いない。すでに、

Beyond 5Gや6Gについての議論が始まりつつあるが、こ

れらのシステムでは光ファイバ通信と短距離高速固定無 線がシームレスに融合したネットワークが必須となると 考えている。

本稿ではミリ波・テラヘルツ帯を用いた高速無線通信 システムの研究動向や有無線融合システムの研究開発例 について紹介し、将来期待される役割について議論する。

2 .高速無線システムの研究動向

電波資源の逼迫解消には2つの方策がある。周波数利用 効率の向上と未利用周波数帯(より高い搬送波)の開拓 である。ミリ波やテラヘルツ波はこれまで発生と検出が 困難であったことと、長距離伝送に向かないために、現 時点では周波数の逼迫度は小さい。これまで、マイクロ

波帯を利用していたサービスをミリ波・テラヘルツ帯に 移行することは電波資源拡大の有効な手段である。さら に、これらを有効に使うための周波数利用効率の向上を 初期の段階から両立させることが長きにわたって、限ら れた電波資源を活用するために重要であるといえる。周 波数利用効率の向上とより高い搬送波の追求という2つの 方向性への貢献度を示す指標として、搬送波周波数・周 波数利用効率積(CFSE: Carrier Frequency Spectral Efficiency product)が定義されている[8-10]。

図1: CFSEと搬送波周波数の関係 [9]

図1は搬送波100GHz以上の高速無線伝送システムに関

する研究成果について、CFSE を算出したものである。周 波数利用効率はその帯域での波形制御の精度や信号処理 能力、伝送システムのSN比などで決まるが、これが一定 であるとするとCFSEは搬送波周波数に比例することにな る。図1をみると、搬送波が300GHz以下である場合には CFSE がほぼ搬送波周波数に比例しているが、これを超え るとCFSEが大幅に劣化していることがわかる。現時点で

は300GHzを超える電磁波の制御(発生、検出)の精度に

課題があり、利用効率と周波数の高さにトレードオフの 関係があることがわかる。つまり、CFSE がピークをもつ 点が、技術開発のフロントラインであることを示してお り、今後この位置がより高い周波数にシフトしていくこ とが期待される。

3 .ファイバ無線技術

モバイルバックホール、フロントホールにおいて光フ ァイバと無線リンクを組み合わせて用いる場合、光区間 と無線区間のメディアコンバーターが多数必要となる。

メディアコンバーターにおける消費電力、処理遅延、設 置コストなどの低減が大きな課題となる。簡便な構成で、

2020 年 電子情報通信学会総合大会

Copyright © 2020 IEICE

2020/3/17 〜 20 東広島市 SS-85

BI-7-7

(通信講演論文集2)

(2)

光と無線信号をつなぐ役割を果たすものとして、ファイ バ無線(RoF: Radio-over-Fiber)がある[8-10]。無線波形をそ のまま光ファイバで転送するという技術で、光から電気 の変換デバイス(光変調器)、電気から光への変換デバ イス(光検出器)で電波=光間の相互の変換が可能とな る。RoFにはアナログ波形を直接光信号の強弱として送る (A-RoF: Analog Radio-over-Fiber)と波形をデジタイズして伝 送する方式(D-RoF: Digitized Radio-over-Fiber)がある。既存 の携帯電話システムでは必要となる帯域幅が 10Gbps程度 で、低コストで高速伝送が可能な光ファイバ通信で十分 カバーできる範囲に収まっていたため D-RoFが広く用い られてきた。5Gではより広帯域無線信号の転送が必要で、

現在広く使われている D-RoF をそのまま適用すると、

Tbps 級の伝送が必要と見込まれている。リモートアンテ ナユニットである程度の信号処理をすることで所要伝送 帯域を削減するという考え方が検討されている。一方、

A-RoFはアナログリンクの性能の向上という課題があるが、

リモートアンテナユニットの構成をシンプルにすること ができる。ミリ波・テラヘルツなどの高い周波数帯にお いては、光・電気変換デバイスのコストや、ファイバ伝 送中の分散の影響が問題となり得る。これに対して、無 線で使う波形をそのものではなく中間周波数帯(IF)信号と して送る方式(IFoF: IF-over-fiber)が、性能と複雑さのバラ ンスがとれた構成として研究開発が進められている[9,10]。

図 2に IFoFを用いた鉄道向けのミリ波通信システムの 構成例を示す[2]。高速移動する車両と線路脇に設置され たアンテナとの間で高速データ伝送を実現するためには、

ミリ波・テラヘルツの利用が有効であるが、伝搬損失が 大きく、多数の基地局の設置が必要となる。この場合、

問題となるのは基地局のコストと、基地局間のハンドオ ーバーによるスループットの低下である。開発中のこの システムではファイバ無線によりこれらの課題を解決す ることをねらいとしている。ファイバ無線により、リモ ートアンテナユニットの構成が簡単になるために、多数 の基地局設置が容易になることと、光ネットワークを動 的に制御し、列車の移動に合わせてリモートアンテナユ ニットを切り替えることで、ハンドオーバーの発生を抑 えることができる。

2

高速鉄道向け通信システムの例

[2]

4 .計測技術への期待

本稿では Beyond 5G、6G での利用が期待されるミリ

波・テラヘルツ無線システムの高速光伝送の融合につい て紹介した。莫大な数の基地局を効率的にネットワーク 化するためには、光通信とのシームレスな接続の実現が 重要である。無線伝送の搬送波周波数と周波数利用効率

向上の両立も、ネットワークの持続的発展に不可欠であ り、これらを支える計測技術が幅広く利用可能となるこ とが重要である。ミリ波・テラヘルツ帯において、信号 形式が光であるか電気であるかを意識することなく、高 い精度で測定を可能とすることや、帯域幅 10GHz を超え るような IF 信号に対する測定を可能とすることなどが必 要となる[11]。また、光と電気の変換を実現するデバイス の特性測定も重要である。すでに、IECで国際標準化が進 んでいるが、広帯域信号への対応、非線形特性測定の高 精度化などが課題となると考えている[12,13]。

参考文献

[1] 5G PPP Architecture Working Group, “View on 5G architecture,”

2016.

[2] T. Kawanishi, A. Kanno, and H. S. C. Freire, “Wired and wireless links to bridge networks: Seamlessly connecting radio and optical technologies for 5G networks,” IEEE Microw. Mag., vol. 19, no. 3, pp. 102–111, May 2018.

[3] 「5Gネットワーク」を支える光ファイバ無線技術, ITUジャーナル,

Vol. 45, No. 11, pp. 36-39, Nov. 2015

[4] APT Survey Report on Fixed Wireless Systems, APT/AWG/REP- 54 , Sept. 2014

[5] APT Report on Fixed Wireless Systems in APT Region, APT/AWG/REP-65, Sept. 2016

[6] APT Report on Technologies of Fixed Wireless System to Provide Remote Connectivity, APT/AWG/REP-85, Sept. 2018

[7] Mobile backhaul options, Spectrum analysis and recommendations, GSMA, 2018

[8] 川西哲也, マイクロ波・ミリ波フォトニクス技術の最新動向, 電子情報 通信学会会誌, Vol.101 No.2 pp.131-137 2018年2月

[9] T. Kawanishi, “THz and photonics seamless communications,” J.

Lightw. Technol., vol. 37, no. 7, pp. 1671–1679, April 2019.

[10] 川西哲也, テラヘルツ・ミリ波による超広帯域無線, 電子情報通信 学会ソサイエティ大会, BI-9-6, 2019年9月

[11] IEC TR 63100:2017 Transmitting equipment for

radiocommunication - Radio-over-fibre technologies for spectrum measurement - 100-GHz spectrum measurement equipment [12] IEC 62802:2017 Measurement method of a half-wavelength

voltage and a chirp parameter for Mach-Zehnder optical modulator in high-frequency radio on fibre (RoF) systems

[13] IEC 62803:2016Transmitting equipment for radiocommunication - Frquency response of optical-to-electric conversion device in high-frequency radio over fibre systems - Measurement method

謝辞 本研究の一部は科研費(JP18H01454)および早稲田大学 理工学術院総合研究所の支援を受けて実施したものである。

2020 年 電子情報通信学会総合大会

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