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半導体光増幅器の相互利得変調を用いた光-無線メディア変換法の伝送性能向上の検討

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Academic year: 2021

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(1)

半導体光増幅器の相互利得変調を用いた光

–無線メディア変換法の伝送性能

向上の検討

山中 友輔†a)(学生員) 久保木 猛(正員) 加藤 和利(正員:シニア会員)

Improvement of Optical-to-Wireless Media Conversion Technique by Utilizing XGM at SOA Yusuke YAMANAKA†a),Student Member, Takeshi KUBOKI†,Member,

and Kazutoshi KATO,Senior Member

あらまし 半導体光増幅器の相互利得変調を用いた光–無線メディア変換法の信号品質向上の検討を行った. 光–無線メディア変換データ伝送実験系を構築し,高い消光比となる条件でエラーレートの大幅な改善を達成した. キーワード 半導体光増幅器,相互利得変調,フォトミキシング,メディア変換

1.

ま え が き

周波数が0.1 THzから10 THzの電磁波であるテラ ヘルツ波は,既存の無線通信で用いられている電磁波 よりも圧倒的に周波数が高いことから,将来の大容量 無線通信の媒体として期待されている[1].光ネット ワークの信号をテラヘルツ波無線ネットワークの信号 にメディア変換を行う方法として,我々はフォトミキ シング技術を用いたテラヘルツ波信号生成を検討して いる.フォトミキシング技術は周波数の異なる二光波 を用いるため,信号を光ネットワークの一光波から, 周波数差がテラヘルツ領域となる二光波に載せ替える 必要がある.そこで我々は半導体光増幅器(SOA)の相 互利得変調(XGM)を用いた光–テラヘルツ波変換法 を考案した[2].この手法においてフォトミキサとして 用いる単一走行キャリアフォトダイオード(UTC-PD) からの出力テラヘルツ波信号強度は入射平均光強度が 規定値を超えると飽和する.したがってS/Nの高い テラヘルツ波信号を得るためには入射平均光強度を規 定値以下に保ったまま,入射光信号の変調度(消光比) を可能な限り大きくする必要がある. 本論文ではXGMを用いた光–テラヘルツ波変換の 実現に向けて,XGMの最適化による無線信号高品質 化を検討した.そしてXGMによる光–無線メディア 変換法を用いたデータ伝送実験系を構築し,BER特 性の測定によりその効果を確認した. 九州大学大学院システム情報科学研究院,福岡市

Kyushu University, 744 Motooka, Nishi-ku, Fukuoka-shi, 819–0395 Japan a) E-mail: yamanaka@optoele.ed.kyushu-u.ac.jp

2. XGM

特性評価

XGM後の被波長変換光の消光特性を調べるため, SOA (温度22C,注入電流100 mA)に入射するCW 光(被波長変換光)強度と信号光強度を変化させ,SOA を通過した後の被波長変換光強度と元の信号光強度の 変化を測定した.図1はSOAに入射するCW光強 度が+1 dBmと−5 dBmのそれぞれの場合について, SOA通過後の被波長変換光強度と元の信号光強度の 測定結果である.SOAに入射するCW光強度を減少 させると,SOAに入射する信号光強度に対する被波長 変換光の強度変化量が増加している.例えばSOAに 光強度が+1 dBmのCW光と光強度が−6 dBm (点 A)と+4 dBm (点B)の二値で強度変調された信号光 を同時に入射すると,SOA通過後の被波長変換光の消 光比は3.6 dBとなる.CW光強度を−5 dBmまで下 げると消光比は5.8 dBへと向上する.この消光比向上 の要因としては,SOAに入射する光強度が小さいほ ど,利得の変化が大きいためだと考える.ここでCW 図 1 SOA通過後の被波長変換光強度 (実線),SOA 通過 後の元の信号光強度 (破線)

Fig. 1 Power of converted lightwave after SOA (Solid line). Power of signal lightwave after SOA (Dashed line).

(2)

電子情報通信学会論文誌2018/4 Vol. J101–C No. 4

図 2 XGMを用いたメディア変換構成

Fig. 2 Media conversion system with XGM.

光強度が−5 dBm,信号光強度が+4 dBm (点B)の とき,元の信号光強度はSOA通過後の被波長変換光 強度よりも8.1 dB大きい.この元の信号光を抑圧比 25 dBの光バンドパスフィルタで切り出すと,我々が 目標とする約15 dB以上の被波長変換光強度対信号 光強度比が得られる.SOAに入射するCW光強度を 更に小さくすると,被波長変換光に対する信号光の強 度が更に大きくなり,光フィルタで信号光除去しても 15 dB以上の消光比は確保できず,生成するテラヘル ツ波の信号品質が劣化する.したがって必要なS/Nを 保ちながら,消光比を最大化するCW光強度の最適 値は−5 dBmであると考えた.

3. XGM

を用いたメディア変換

今回は原理検証を目的とするため,測定器自体の特 性が既知で,本方式本来の特性を抽出可能な周波数と して,テラヘルツ波に代えて25 GHzのマイクロ波領 域で実験を行った.図2にXGMを用いたメディア変 換構成を示す.波長1545 nmの光波f0に1 Gbit/sの 疑似ランダムパターンでOOK変調を行い,メディア 変換に用いる光信号を生成する.また波長が1550 nm のCW光f1を25 GHzで位相変調し,周波数間隔が 25 GHzの周波数コムを生成する.その後,波長選択 フィルタを用いて周波数差が25 GHzのCW光f1と f2を取り出す.光カプラを用いて光波f0とCW光f1 とf2を合波し,SOA (InGaAsP系,長さ900µm)に 入射する.ここで,SOAに注入する電流は100 mAで ある.電流値を変化させるとSOA通過後の光強度は増 加するが,SOA通過後の被波長変換光強度と元の信号 光強度との相対関係(図1)はほぼ変化しない.SOA通 過後,光フィルタにより光波f0を除去し光アンプで増 幅した後にUTC-PDでキャリア周波数25 GHzのマ イクロ波を生成する.UTC-PDで生成したマイクロ波 図 3 1 Gbit/s伝送時の BER 特性 Fig. 3 BER characteristics at 1 Gbit/s.

を,本原理検証実験では同軸ケーブルで伝送後,コヒー レント検波しビット誤り率(BER)特性を測定した. 図3はSOAに入射するCW光強度が+1 dBmと −5 dBmのそれぞれの場合のBER特性である.ここ で横軸はUTC-PDに流れるフォトカレントであり, UTC-PDへの入力光強度はほぼこの値に比例した量で ある.CW光強度が−5 dBmのときには+1 dBm時の 70%のフォトカレントでエラーフリー(BER<10−11) が達成されている.フォトミキシングで発生する高周 波電力はフォトカレントの2乗に比例することから, 70%のフォトカレントは1/2の高周波電力に相当する. つまりXGM最適化による消光比改善の効果で3 dB の大幅な信号品質向上が確認された.

4.

む す び

SOAのXGM特性を用いた光–無線メディア変換法 を提案し,信号品質の指標となる被波長変換光の消光 比とSOAに入射する光波の光強度との関係を調べ, 入射するCW光強度を小さくすることで高い消光比 が得られることを見出した.実際にXGMを用いたメ ディア変換実験を行い,消光比改善による信号品質向 上を確認した. 謝辞 本研究の一部はJST産学共創基礎基盤研究 及びJST/CREST(グラント番号JPMJCR1431)に よるものである.NTT研究所から多大な支援をいた だいた. 文 献 [1] 永妻忠夫,尾 奏一,味戸克裕,寶迫 厳,“300GHz∼ 1THzを 利 用 し た 無 線 通 信 の 将 来 展 望 ,” 信 学 技 報 , ED2012-100(8), Dec. 2012.

[2] Y. Kim, Y. Yamanaka, and K. Kato, “Demonstra-tion of novel media conversion method from opti-cal to THz-wave networks,” Singapore, CLEO-PR, OECC&PGC 2017, 2-4G-4, Aug. 2017.

(平成 29 年 12 月 16 日受付,30 年 3 月 16 日公開)

図 2 XGM を用いたメディア変換構成 Fig. 2 Media conversion system with XGM.

参照

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