ドニゼッティの歌曲作品における装飾的技巧
教科・領域教育専攻
芸術系(音楽)コース 阿 部 真 理 子
【修了演奏曲目:ソプラノ独唱】
G.Do凶zetti
IJamorおnesto 不吉な愛
Ah!rammen民 obella Irene
ああ美しし河'レーネよ,思い出しておくれ
La mere et fen血nt 母と子
・ Op
e r a <ANNA BOLENA>
歌劇《アンナ・ボレーナ》より アンナのシェーナとアリアフィす」レ
Scena diAnnaくPiangetevoi?
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シェーナ あなたがたは油ハているのですフザ
AriadiAnnaくAldolagui白 血i>
アリア なつかしい生まれ故郷の"
Opera~DON
PASQUALE>
歌劇《ドン・パスクアーレ》より ノリーナのカヴァティーナ
Cavatina di Norina
< Quel guardo丑cavaliere>
ノリーナのカヴァティーナ あの目に騎士ぱ'
1 はじめに
音楽を演奏するにあたり,聴衆に受け容れら
指 導 教 員 草 下 寅
れる音楽,聴衆に感動を与えることのできる音 楽を考えるとす寸Uまそれらの要因はどこに認 めることができるのであろうヵ、
素晴らしいと評価される歌手達には様々な条 件が整っている。それは発声や単に音だけを捉 えるだけではなく,和声感をも聴き分ける感性 であり,さらに技巧なども含めた演奏カなと 歌唱行動のために,その他歳々な表現テクニツ クを備えている。今日の我々にとっては,いず れも課題となり得るが,本研究では, G.ドニゼ ッティの声楽作品を演奏するに当たっての,装 飾的技巧のあり方について考察したい。演奏す るものにとって,曲の進行と共に音楽的な興奮 を増し,さらに多様な形で現れる装飾音は,本 来の心情や感情表現を見失い,その装蜘句技巧 に内在する極めて鰍事な歌唱技巧を強いられる ことで冷静さを失いかねな'l.t¥技巧的な問題と 共に,我々が作曲家の意図を明確に理解できて いないこと,あるいは装飾音に対する知識の唆 味さ,装飾音の必要性と可能性を理解できてい ないことに起因しているものと考えざるを得な
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そこで本論では,先行研究やロマシ派の時代 の音楽上に表れる装飾音を分析し, ドニゼッテ ィに関する文献研究, さらにリコノレディ社版の オペラ・スコアや,ルイージ・リッチによる『カ デ、ンツァと装飾音に関する集成
1
などの楽書を 参照することでそれらの装飾音のあり方を推考 し, CD等の演奏ま録を精査することで技法上 の解釈に関する研究を深める。ドニゼッティの声楽俗誌を通して,装飾音に 視座し,その音楽土の解釈と歌唱表現上のあり 方を探ることで,歌唱表現上の一助としたしL
2 研究の概要
標準音楽辞典によると,音楽における装飾 とは,
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楽曲中の個々の音キ頬弾を飾ることをい い,個々の音に対する装飾が多少とも定型化さ れたものを装飾音という。Jとある。また f装飾 は常に装飾されるべき本体の存在を前提とし,その本体に変化を与えたり,演奏者の技巧を披 露するために行われる。装飾には、 (1)作曲上 の装飾と, (2)演奏上の装飾の 2種類がある。j
と説かれている。
(1)
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装飾音の歴史Jでは,それぞれの時代に おける装飾音がどのような役割を担っていたか,また,その時代に沿って検証しその概念を明ら かにする。現代の我々の感覚と違い, 19齢 瑚 頭までは,声楽家が演奏上の多くの主導権を握 っていた。時代の移り変わりと共に,聴衆の求
める音楽の趣向も変わり,社針句要因も加わり,
装飾音を含む勲寝技法を享受する教育基盤を維 持することができなくなった。それによって,
作曲家と声楽家の立場が逆転し,作曲家がより 強い立場を築くに至った。
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装飾音の解釈とその実践lでは,作曲家 と演奏家のそれぞれの視点から装飾音のあり方 を検討し,その働きと効果を考察した上で,装 飾音の実節句な表現上の作用を明確にする。(m) r楽曲解説jは,ドニゼッティの3曲の歌 曲俗思について装飾音に視点を置き,比較検討 しそれぞれの特徴と表現法を探究する。特に,
《アンナ・ボレーナ》における悲廓j的f議齢制全 を装飾音を省くことで,その音楽の持つ表現を より豊かなものにしている。
3 おわりに
前述の2種類の装飾を多面的に分析,検討を 加えることで,装飾音及て民装飾的歌唱のあるべ き姿の一端を理解し,また,これを通じてオペ ラ史における作曲家と声楽家の相互の実態と,
そこで倉l賭された音楽についても捉えることが できた。さらに装飾音によって得られる効果を 把握し,作曲家が希求するものが何であるかを 知ることで,演奏上の装飾の本来の意義とその 絵画的美しさなどに関する追求の可能性が広が る。音楽を通した表現を学ぶ者の一人として,
人間の内面にまで訴える演奏を目指し,さらに 表現のあり方について研究を続けたい。
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