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, R. シューマンのピアノ曲 幻想曲作品 17J における作品研究

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Academic year: 2021

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R.

シューマンのピアノ曲

f

幻想曲 作品

17J

における作品研究

教科・領域教育専攻 芸術系(音楽)コース 井 上 郁 代

【修了演奏曲目:ピアノ独奏】

ローベルト・シューマン;Robert Schumann 

幻 想 曲 ハ 長 調 作 品17 ; Fantasie CdurOp.17 

l楽章 Durchausphantastisch und 

Leidenschaftlich  vorzutragen  第2楽章 MaBig

Durchaus energisch 

第3楽章 Langsam geagen

Durchweg zu ha1ten 

1 .はじめに

ローベルト・シューマン (Robert Alexander  Schumann  1810‑1856)は、 19世紀ロマン派を 代表する作曲家の一人である。彼のピアノ作品 では、『謝肉祭』や『子供の情景JlW幻想、小曲集』

などのキャラクターピースに高い評価が集まっ て い る が 、 こ の 『 幻 想 曲 作 品17Jlも彼のピア ノ作品のみならず、ロマン派の全ピアノ作品の 中でも特に高い境地を示す作品といわれてい る。

シューマンの音楽には、彼の個人的な感情や ロマン主義的な傾向が直接的に反映されてい る。中でもドイツ・ロマン主義の文学に若い頃 から多大な影響を受けており、彼の音楽を理解 する上で、この時代の特質と彼の芸術観及び人 間像を理解することが重要と思われる。

指 導 教 官 村 津 由 利 子

更に、シューマンの音楽を形づくる文学的な 基盤と、楽曲構造上の大きな特徴である変奏法 的手法と対位法的手法を明らかにすることで、

彼のピアノ音楽における特質を見出し、それら が 『 幻 想 曲 作 品17Jlにおいてどのように現れ ているかを考察する。

以上のような研究をふまえて楽曲を理解する ことが、作品の本質に迫り、より深い演奏解釈 につながると考える。

2.研究の目的

『 幻 想 曲 ハ 長 調 作 品17Jlは、シューマンの ピアノ作品の中でも、その独創性と内容の深さ から最高位に位置する作品といわれている。

本研究においては、ロマン派の時代的背景、

彼の芸術観及び人間像を探究するとともに、ピ アノ作品における音楽的特質を明らかにし、シ ューマンの音楽に対する理解を深めるD その上 で 『 幻 想 曲 作 品17Jlの楽曲分析と演奏解釈を 行い、作品の本質iこ迫り、演奏に反映させるこ

とを目的とする。

3.研究の内容

第一章では、シューマンの芸術観と人間像を 明らかにするために、その精神的な基盤である であるドイツ・ロマン主義の文学を概観し、音 楽家としてのシューマンの生涯について理解を

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深めた。

第二章では、シューマンのピアノ作品におけ る音楽の特質を文学との結合における詩的幻想 性と構造様式の二点に絞り、その独創性につい て考察した。彼の文学的背景にはドイツ・ロマ ン主義の文学があり、その影響と構想、について 言及した。また、構造様式においては、自由な 変奏の手法と対位法的な手法に着目し、声部の

もつれや内声の重視について述べた。

第三章では、『幻想曲作品17J1の楽曲解釈を 行い、第一項では成立の背景、第二項では楽曲 分析と演奏解釈について考察した。

4.研究のまとめ

シューマンの作品には、 ドイツ・ロマン主義 の文学が深く関わっている。特にジャン・パウ ル(1763‑1825)とE.T.A.ホフマン(1776‑1822)  の二人には強い影響を受けており、彼らの描く 幻想的なメルヘンの世界を音楽で、表現しようと した。また、シューマンが創り出した二つの人 格〈フロレスタンとオイゼピウス〉も彼らの影 響から生まれたもので、その対極的な性格が作 品にも色濃く現れている。

シューマンが音楽家として出発するためには 恋人クララ・ヴィーク (18191896)の存在が不 可欠で、あった。特に初期のピアノ作品はほとん どがクララのために書かれた作品であり、優れ たヒ。アニストでもあった彼女がいたからこそ彼 の創作の源となり、また彼女が作品の体現者で もあったといえる。

文学と音楽の融合をはかり、彼自身の内面の 世界を表現したのがシューマンの音楽である。

彼の音楽において文学的な f詩的想念jは切り 離せないものであり、作品の標題や暗示、引用 等によって彼の精神的支柱で、あるドイツ・ロマ

ン主義の精神を表現した。

シューマンのピアノ作品の特徴には、文学的 な基盤に根ざした詩的幻想、性とともに、堅固な 構造様式をあげることができる。一つの動機を 様々に変容させていく変奏法的手法や、二つ以 上の動機を密接に絡ませ展開させていく対位法 的手法は彼が得意としたところで、文学的な霊 感に導かれながらも冷静で綴密な論理の上から 考え抜いて作品を生み出すシューマンの姿が浮 かび上がってくる。

『幻想曲作品17J1は、クララとの恋愛の最 中に書かれた作品で、激情的な部分(フロレス タン)と夢想的な部分(オイゼ、ピウス)が交錯し た作品である。当初はソナタとして作曲された が、自由な形式を重視し、 f幻想曲Jと改めら れた。この作品の持つ表情の落差や感情の振幅 の大きさは、まさしくプロレスタンとオイゼビ ウスのもので、あり、そこにはクララへの深い愛 情と心の葛藤が感じられる。

また、構造的な面からも綴密で堅固な構成が みられ、主題の変容、複雑なリズム構造、強弱 や速度の明確な対比など、シューマンのピアノ 作品の特徴を端的に表している作品であるとい

える。

5.おわりに

『幻想曲作品17J1が高く評価されているの は、作品の持つ文学性、幻想、性とともに、綴密 な構成から成り立っており、きわめて独創的で、

シューマンの個性をよく表現した作品であるか らと思われる白

この作品を演奏することで、ロマン派の音楽 の精神に触れ、「表現とは何かjを考える契機 となった。今後は更に研究を進め、演奏表現の 探求に励みたい。

ハ ヨ

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参照

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