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学 位 論 文 要 旨 SUMMARY OF DOCTORAL THESIS

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Academic year: 2021

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(別紙様式第3号)(Format No. 3)

学 位 論 文 要 旨

SUMMARY OF DOCTORAL THESIS

氏名 Name:

川 上 靖

題 目 Title: Classification and Evolution of the Brachypterous Grasshopper

Parapodisma setouchiensis

Group (Orthoptera: Acridiae), with Special Reference to a Character Displacement in the Shapes of Male Cercus

[短翅性フキバッタ Parapodisma setouchiensis group(直翅目バッタ科)の分類と進化

-とくに,近縁種間における雄の交尾器の形質置換について-]

1)セトウチフキバッタ群Parapodismasetouchiensis group(直翅目バッタ科)について,

外部形態の地理的変異に基づき分類学的に再検討した結果,本群は4つの地理的品種

(基本型,氷ノ山型,丹波型,大和型)からなる単一の多型種:セトウチフキバッタ とみなされた。4つのタクサ(オマガリフキバッタ,ヤマトフキバッタ,ヒョウノセ ンフキバッタ,キビフキバッタ)は,セトウチフキバッタのシノニムとした。セトウ チフキバッタ群の形質状態の進化方向を地理的品種の分布パターンから推測した。隣 接する地理的品種のすべてのペアは,比較的狭い地帯で相互移行する。これらは二次 的接触による変異,すなわち交雑帯であると考えられた。丹波型と氷ノ山型の間では,

雄尾端部にある2つの交尾器形質(三角型模様と尾毛の形態)において,それぞれ異 なった幅をもつクラインが認められた。これらのクラインが形成される機構を解明す ることは,本種の進化過程を明らかにする上で極めて重要である。

2)近縁な短翅性フキバッタの2種,セトウチフキバッタParapodisma setouchiensis と キンキフキバッタP. subastris において,交尾器形質のひとつである雄の尾毛cercus の地理的変異を定量的に比較した。セトウチフキバッタ雄の尾毛は,キンキフキバッ タとの同所的分布域に限り,ほぼ直角に鋭く曲がっていた。この強く曲がった尾毛は,

交尾の時に,雌の第 7 腹部腹板の内側に入り込みフックしており,交尾結合を強めて いるものと考えられた。この2種は,配偶相手の同種/異種を識別しておらず,また,

雄間には,雌をめぐる干渉型闘争があるので,その際,体が大きなキンキフキバッタ の方が優位である。これらのことから,キンキフキバッタと同所的に分布するセトウ チフキバッタに特異的にみられる派生的な雄の尾毛形態は,キンキフキバッタ雄との 干渉型競争が関与することで進化した形質置換character displacementである可能性 が高い。申請者は,この2種間の尾毛における形質置換の進化プロセスについて,以 下の仮説を提案した:まず,キンキフキバッタ雄による繁殖干渉のためにセトウチフ キバッタ雌では多数回交尾を拒否する傾向が強化され,それに対応してセトウチフキ バッタの雌雄間に性的コンフリクトが生じ,交尾に拒否的な雌とより多く交尾できる 機能,すなわち交尾結合力を強めるために曲がった尾毛が進化した。この仮説の検証 は今後の課題である。

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