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    Na , K‑ATPase の 反 応 機 構 に 関 す る 研 究

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 理 学) 横 山 学 位 論 文 題 名

    Na , K‑ATPase の 反 応 機 構 に 関 す る 研 究

― 2 種の螢光プロープを用いた構造変化の解析と 酵 素の四 量体 構造 にお ける りガ ンド の結合一

学位論文内容の要旨

  動物細胞の形質膜を隔てた¥aとKの電気化学的勾配の維持はぬ,K―ATPaseによってなさ れる 。この酵素はATPを加水分解と共役し、3個のNaを細胞外部/丶、2個のKを細胞内部 ヘ輸送するぬポンブである。ぬ,K一ATPaseは加水分解及びイオン輸送能を担う分子量約11 万のQ鎖と 糖鎖 を含 む分 子量 約3.5万 のB鎖 から なる 。本 酵素がQロや(Qロ)2で機能 しているかについては様々な報告 があるが、我々の研究から(aロ)4で機能しているこ とが 示唆された。反応サイクル中にATPのv位のりン酸基がa鎖のAsp369に転移されたり ン酸化酵素中間体(EP)を形成することから、本酵素はPーtype ATPaseに属する。その反応 様式として、Na結合型酵素(NaEl)がATPからのりン酸化により、ADP感受性のりン酸化酵 素中間体(EIP)、ついでK感受性の りン酸化酵素中間体(E2P)を 経て、脱リン酸化されK結 合型酵素(KE2)を形成後Naと反応して、再びNaElへと移行するPost一Albers機構が知られ ている。

  しかし、ATPの化学エネルギーのイオン輸送エネルギーへの変換機構について、また、

サブユニット問の相互作用がイオン輸送とどのように共役しているかについての知見は少 ない。これらの疑問に対して我々の研究室では、螢光プローブをぬ,K−ATPaseに導入して、

反応中間体形成に伴う螢光プローブ周辺の微小環境変化を反映した螢光強度変化、反応中 間 体 形 成 量 や り ガ ン ド の 結 合 量 を 測 定 し 、 酵 素 の 構 造 変化 の解 析 を行 って いる 。   構造変化の解析を行うために酵素への様カな化学修飾が行われているが、中でもFITC、 AP2PLに代 表さ れる よう な、ATP結 合部 位へ の親 和標 識試 薬で は本 来 のATPase活性 を 失ってしまい、ATPで引き起こされるイオン輸送に伴う酵素の構造変化についての知見は 得られない。本研究では酵素標品 への導入後もATPase活性に影響を与えない、BIPMおよ びRH‑421を用いることで、各反応中間体形成時の両プローブの螢光強度変化、EP形成及び Kの同族体であるRbによる分解、Rbの閉塞の時間経過を比較する事により、ATPで引き起こさ れる酵素内のイオン輸送と構造変化の関連について追跡した。

  また、Post‑Albers機構で示される各反応中間体形成時のATPを含めた各種リガンドの 結合 量を測定した。特にATPに関して、反応を厳密にコントロー ル可能な条件で測定出 来る、二重膜フィル卜レーション 法による測定系を再構築し、リン酸標識部位の異なる ATPを 用い るこ とに より 、反 応サイ クル中のATPの結合量を測定 した。本論文の要旨は

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lEIPが 形 成 す る 条件 でRH‑421、BIP¥Iブ 口 一ブ 螢 光 強度 変 化 を測 定 し た とこ ろ 、 RH−421螢 光 強度 はBIPVI螢光強度 変化やEP形成より も速く減 少した ュNaを酵素 ヘ閉 塞状態にすることが可能なoligomycinを用いるとRH―421螢光強度変化は消失し、BJP¥I 堂光強 度変化は 変化量が小さくなり、変化の速度は上昇した,E2Pが形成する条件では EIP形 成と同様 な面ブ口一ブ螢光強度の減少が起こり、EP形成の後に増加したュまた、

RH‑421、BIP丶I螢光強度変化の比より、これらの反応では両プローブ螢光強度変化は異 なる事象を反映することが示された。

  これらのことから、EP形成の段階ではRH−421螢光強度変化はNaの閉塞状態を、BIP.、I 螢光強度変化はNaの閉塞状態とNa一丶Ig―ズrP酵素複合体の形成を反映することが示唆 された 。また、 両ブローブはE2P形成後のりガンドの結合状態をモ二夕ー出来ることが 示された,

2R.bE2が 形成す る条件 でRH―421、BIPXIプローブ 螢光強 度変化を 測定した ところ 、 RbはE2Pま での反 応に影響 を及ぼさ なかっ た。Rb添加 時に両 ブ口ーブの螢光強度変化 の減少、E2Pの分 解、Rbの 閉塞とは 同様の 経時変化 を示し た。RbE2が分解される段階 ではRbの脱閉塞と両ブロープ螢光強度変化の減少とは同様の経時変化を示したが、低濃 度のATPを同時に 添加す るとRbの脱 閉塞に は影響を 及ぽさ なかった が、両プ口一ブ螢 光 強 度 はATP濃 度 に 応 じ て 反 応 開 始 の レ ベ ル を 保 持 し た 後 、 減 少 し た 。   これらの ことから、EP分解の段階ではRH―421、BIP.\I螢光強度変化はRbの閉塞状 態を反映するのではないことが示唆された,従って、この段階では両ブローブ螢光はNa、 丶Ig、Piなどの結合状態の変化を反映すると考えられる。

3ニ 価 カ チ オ ン 非 存在 下 、 酵素 がES複 合 体 を形 成 し てい る 条 件(2MNaCl、10 mM CDT A)、では従来の遠心法、及び本研究において再構築した測定系である二重膜フィル ト レーショ ン法で はATPの 結合量 はほぼ同 じ値を示 し、本 測定法が 酵素とATPの結合 の測定において有効であることが示された。

  二価カテオン存在下では従来の遠心法では遠心分離に要する時間中にATPが加水分解 を受けるため、有意なATPの結合は検出されていなかった。二重膜フィルトレーション 法により、反応時間等の条件を制・御するニとで、Mg存在下でもATP濃度に依存した酵 素へのATPの結合が検出されたっまた、EP形成量とNa.ATPase活性を測定したところ、

EP形 成量は低 濃度のATPで飽 和した が、Na.A TPase活性はATP濃 度に依存して活性 他された:

  RbE2が 形 成 す る 条 件(16mMNaCI、1984mMcholine.Cl、lmlヽICaCl。、320uM RbCl) では、Rb非存在下 に比べEP形成量は 減少し、その減少量に対応して、2倍のRb の 閉塞が観 察され たっしか し、ATPの結合 はRbの有無に関わらず一定の値を示した,

  これらのことからEPを形成しないサブユニッ卜には反応サイクル中で常に,灯Pが結 合 し て お り 、 こ の ごrPの 結 合 はATPase反 応 を 促 進 す る こ と が 示 唆 さ れ た っ

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  以上の知見から酵素が形質膜上では(QB)4というオリゴマー構造をとって機能してお り、2つの サブ ュニ ッ卜 のEP形成とは相をずらし てイオンの輸送が起こり、EPを形成 しな い2つ のサ ブュ ニッ トに はATPが結 合レ てお り、 それ によってATPase反応を促進 していることが示唆されたっ

  BIPM、RH‑421ブローブはそれぞれ膜貫通部位に 存在し、イオンの結合状態を反映す るニ とが 示 唆さ れた 。特 に、BIP↓ヽlはa鎖lmol当た りlmolがCvs‑964に結合するこ とから、ATPによって引き起こされる、個々のサブュニットの 構造変化の情報を得るこ とが出来ると考えられる,両ブ口 一ブはイオン輸送、酵素の構造変化、サブュニット間 相互作用を結びっける上で極めて 有効であると考えられるュ

  これらの結果は、従来妻で広く 受け入れられてきたPostーAlbers機構だけでは説明で きず 、Na,K‑ATPaseがオリゴマ一構造をとってお り、サブュニット同士がEP形成状態 とATP結合状態で相互 作用しながらl動いているこ とを初めて直接示したことになるっ

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学位論文審査の要旨 主査    教授    谷口和彌 副査    教授    矢澤道生 副査   教授   菊池九二三 副査    教授    田村   守

     学位論文題名

    Na , K‑ATPase の 反 応 機 構 に 関 す る 研 究

―2 種の螢光プローブを用いた構造変化の解析と 酵 素 の四 量 体構 造におけ るりガン ドの結合 ―

  動物細胞の形質膜を隔てたNaとKの電気化学的勾配の維持はNa,KーATPaseによっ てなされる。この酵素のNa結合型酵素(NaE1)はATPによルリン酸化され、ADP感 受性の1jン酸化酵素(E1P)、ついでK感受性のりン酸化酵素(E2P)を経て、脱リ ン酸化されK結合酵素(KE2)を形成後、Naと反応して、再びNaE1へと移行し、こ の反応と共役して3個のNaを細胞外部へ、2個のKを細胞内部に輸送する。しかし、

A.TPの化学工ネルギーのイオン輸送エネルギーへの変換機構について、また、サブュ ニットの役割についての知見は少なかった。これらを理解するため申請者は各反応中 間体形成時の螢光プローブの螢光強度変化、EP形成及びKの同族体であるRbによる 分解、Rbの閉塞の時間経過を比較した。また各反応中間体形成時のATPとRbの結合 量を測定した。その結果NaE1からATP結合に伴うNaの分子内への閉塞に伴い、RH― 421螢光、 次にBIPM螢光の減少が生じ、次にEP形成が生じ、その後、緩慢なBIPM とRH―421螢光の増加が観察された。以上の結果は従来のRHq21螢光変化がEP形成 を反映するとした結果を明確に否定し、両プローブがむしろ輸送される、イオンのポ ンプ分子内部における移動を認識することを示している。又ATPaSe反応中の3やと 8゜Rbの結合測定系を構築した結果、ポンプが4分の1、2分の1、4分の3及び1の反応性 をRb゛の結合量、EP形態、A.TP結合量、及び酸に不安定なADPとPiの酵素への結合、

及びウアパイン結合量から示すことができた。これはポンプが4量体プ口トマーとし て機能していることを意味している。さらにりン酸化酵素ElPとE2Pの非リン酸化サ プュニットに酸に不安定なADPとHが、及びRb閉塞酵素、RbE2の非閉塞サブュニッ トにも同様にADPとHが結合していることが示された。以上の結果は低ATP濃度では 従来のPost−Abers機構に従ってElP,E2P,KE2を順に経由してATP加水分解が生じ るが、より生理的濃度のA.TP存在下では、これら中間体がいずれもADPとHを結合し た中間体としてATP加水分解を行うことを明白に示していた。以上の結果はNa輸送

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ポン プ分 野の 研究の みな らず 、H,K及びCa,H―輸送ATPas es、さらに非輸送 ATPases研究一般にも大きなインバクトを与えるものである。よって申請者は北海道 大 学 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

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