博 士 ( 理 学 ) 伊 澤 毅
学位 論文題名
On applications of localization of characteristlc classes ( 特 性 類 の 局 所 化 理 論 の 応 用 に つ い て )
学位論文内容の要旨
複 素解 析幾 何学 っ代 数幾 何学 にお け る様 々な 大域 不変 量は 指数定理によって特性類の積分 に 還 元 さ れ る が 、 そ の 値 は 双 対 定 理 に よ りhomology類 に 関 連 付 け ら れ る 。 こ れら の対 応 は 指 数 公 式 と 呼 ば れ 、 重要 な対 象 と認 識さ れか つ様 々な 場面 にお いて 研究 され てい るが 、 そ れ ら 一 連 の 公 式 群 は 多く の場 合 、特 性類 の局 所化 によ り留 数定 理と して 非常 に簡 単な 原 理 を も っ て 理 解 す る こ とが 可能 で ある 。こ のこ とを 、よ り数 学的 に表 現す ると 以下 の様 に 述 べ ら れ る 。 す な わ ち 特 別 な 集 合Sを 除 い た 相 対cohomologyか らcohomology^ の 自 然 な 射 に お い て あ る 特 性 類 の 持 ち 上 げ が 存 在 す る 場 合 、 そ れ はAlexanderの 双 対 性 によ ってS のhomology類 に 対 応 す る 、 す な わ ちSに 局 所 化 さ れ る わ け で あ る 。 し た が っ て 、 あ る 大 域 不 変 量 に 関 す る 公 式 を 得 る に は 、 対 応 す る 特 性 類のAlexender双対 性に おけ る対 応を 具 体 的 に 記 述 す れ ば よ い と い う 事 に な る 。 と こ ろ で 、 相 対cohomology^ の 持 ち 上げ の存 在 はSの 外 部 に お け る 特 性 類 の 消 滅 に 由 来 す る と 考 え られ るの であ るが 、こ の感 覚の 正当 化 と あ わ せ 、 上 述 の 局 所 化の 記述 を 与え る有 効な 方法 がCech―de Rham cohomologyに おけ る Chern−Weil理 論で ある 。こ の方 法論は局所化の原 理を極めて直観的に記述するのみならず、
そ の 最 大 の 特 色 は 局 所 不変 量の 具 体的 計算 方法 をも 与え ると いう 点で ある 。我 々は 以上 の 方 法 論 の 、RiemannーHurwitzの 公 式 、Lefschetzの 不動 点公 式、 及びMilnor数 公式 に対 す る応 用を それ ぞれ 考察 する 。
第 一 の 場 合 、RiemannーHurwitzの 公 式 はcompact複素 多様 体間 の分 岐被 覆に おい て位 相 的Euler指 標 の 比 較 を 与 え る 公 式 で あ る が 、 そ れ は 写像 の微 分が 分岐 の外 では 接束 の同 型 をあ たえ るこ とか ら、 両者 のEuler類 の差 は分 岐を 除け ば消 滅す る こと を原 理と する 。した が っ て 、 上 述 の 方 法 はEuler類 の み な ら ず 一 般 のChern多 項 式 で 与 え ら れ る 特 性類 に対 し 適応 可能 であ る。 この 観察 に基 づき 、 我々 は分 岐因 子が 非特 異で ある 場合 にChern数 公式:
cメ …c0(y)―″.cメ ̄…cケ(x)
〓EE (HrLNRi:"〜″)(c1 (LRit))一[Rtよ]‑ntよ(h十1)ロ織‥M)(c1(己B))一[Bi])
t t
n…t(1 ‑h十1)
=EE(ぞ 生 坐 )Pくcl(Bi卜b―l(Biけclく 己り゜ 一ほ ] a〓。 h十1)°
の 証 明 を あ た え る 。 そ の 結 果 は 、Chern多 項 式 で 表 さ れ る 全 て の 種数 に応 用さ れ、 特にL
種数については巡回被覆に対するHirzebruch符号数公式の複素解析的曲面の場合における 一般化:
Sign(Y) ‑嚠刪耻一E塾r(′窘ぞ野&
i3(riよ を含む。
第二の場合、Lefschetzの不動点公式は一般の楕円型複体に対して与えられ、古典的な実 及び複 素の場合 の不動点公式はそれぞれそのde Rham複体、Dolbeault複体の場合に相当 する。これらの場合では、大域不変量に相当するLefschetz数は直積の中での対角集合と写 像のgraphの交点数に付随し、従って対角集合のThom類の積分として表現される。一方、
不動点の近傍において、写像のgraphは適当な改変によって対角集合の法束の切断とみな せるため、その零集合の外側では最高次の特性類は消滅する。したがって我々の方法が適 用され 、Thom類がgraphに そって不 動点集合に 局所化される。この方法によれぱ、抽象 的な形式ではあらゆる不動点集合に対し公式の形が得られ、さらに孤立不動点の場合には 局所的なLefschetz数がBochner‑Martinelli核で表わされることが明らかなため、証明が極 めて簡素化されると共に、必ずしも非退化でない場合にも全く同様の議論を可能とする。
第三の場合、Milnor数公式についてであるが、これも第一の場合と同様、終集合はその まま、始集合のみ高次元化したという意味でRiemann−Hurwitzの公式の一般化の一種とみ なせる。一般に臨界点を除いたところで正則写像は可微分写像として局所自明であり、し たがっ て位相的Euler指標はFiberと底空間のそれの積に分裂するが、その大域的障害が 臨界点におけるMilnor数である。そして、この事は次の事実の反映である。すなわち、臨 界点を除いたところでは関数の微分が余接束の切断を定めるため、最高次の特性類はその 零点を 除いた所 で消滅し、その留数が勾配vectorの指数すなわち関数のMilnor数に一致 する。我々はこの考えに基き、同公式の特異解析集合上の関数(正確には閉曲線への写像)
に対する一般化を考察する。具体的には余接束を仮想余接束に置き換える事によって、非 特異の場合と全く同様の議論により、位相的Euler指標の分裂に関する誤差の評価を与え る公式として、特異多様体上のMilnor数公式:
Sing(V ) C( f )
を定式化する。ところで、特異点における関数のMilnor数の定義については幾種類かの定 義 が 考 え ら れ て い る が 、 こ の 場 合 に お け る 解 析 集 合 の 特 異 点 に 現 れ る 留 数
ル(ア,Sa):=レir(f,Sc) ‑ル(レp)
は、上に述べた大域的指標の分裂の誤差としてのMilnor数という解釈において、その新な 定義の方法を与えたと考えられる。
学 位 論 文 審 査 の要 旨 主査
副査 副査 副査
教授 教授 教授 助教授
諏訪立雄 小野 薫 中村 郁 石川剛郎
学位論文題名
On applications of localization of characteristic classes (特性類の局所化理論の応用について)
複 素解 析幾 何学 っ代 数幾 何学 にお ける 様 々な 大域 不変 量は 指数 定理 によ って 特性 類の 積 分 に 還元 され るが っそ の値 は双 対定 理に よ ルホ モロ ジー 類に 関連 付け られ る. これ らの 対 応は 指数 公 式と 呼ば れ, 重要 な対 象と 認識されかつ様 々な場面において研究されているが,
そ れ ら一 連の 公式 群は 多く の場 合っ 特性 類 の局 所化 によ り留 数定 理と して 非常 に簡 単な 原 理 を も っ て 理 解 す る こ と が 可 能 であ る. この 局所 化の 記述 を与 える 有 効な 方法 がCech‑de Rhamコ ホ モ ロ ジ ー に お け るChern‑Weil理 論 で あ る . こ の 方 法 論 は 局 所 化 の 原 理 を 極 め て 直 観的 に記 述す るの みな らず ,そ の最 大 の特 色は 局所 不変 量の 具体 的計 算方 法を も与 え る と ぃ う 点 で あ る . こ れ ら に よ り , 著 者 は 次 の よ う な 結 果 を 得 て い る : (I)古 典 的 なRiemann‑Hurwitzの 公 式 は ニ つ のRiemann面 の 間 の 分 岐 被 覆 写 像 に 対 し , そ れ らRiemann面 のEuler数 の 間 の 関 係 を 与 え る . こ れ を 一 般 の 高 次 元 複 素 多 様 体 の 間 の 分 岐 被 覆 写 像 に 対 し , 任 意 のChern数 の 間 の 関 係 を 与 え る 公 式 に 一 般 化 し た , こ れ は F. Hirzebruchに よ る 巡 回 被 覆 に 対 す る 指 数 の 間 の 公 式 を 特 別 な 場 合 と し て 含 む . (II)特異 点を 持つ 多様 体上 の正 則関 数に 対 し,Milnor数 の概 念を 導入 し, 複素 多様 体か ら Riemann面 へ の 正 則 写 像 に 対 す るMilnor数 公式 を多 様体 が特 異点 も許 す場 合に 拡張 した . (III)(n,n) ・型 のThom類 の概 念を 導入 し, 正則 写像 に対 するLefschetz不動 点定 理の 証 明 、 およ び不 動点 が退 化し た場 合も 込め た 不動 点指 数の 計算 を自 然で 見通 しの 良い もの と した .
これ を 要す るに 、著 者は ,複 素解 析幾何学におけ る基本的かつ一般的結果を得たもので あ り 、こ れら は種 々の 特異 点に おけ る局 所 的不 変量 およ びそ れら の空 間の 大域 的不 変量 と の 関 係 の 解 明 に 極 め て 有 用 で っ 同 分 野 に 貢 献 す る と こ ろ 大 な る も の が あ る . よっ て 著者 は、 北海 道大 学博 士( 理学)の学位を 授与される資格あるものとみとめる.