博 士 ( 理 学 ) 田 山 英 治
学位論文題名
Design of New Acid and Base Catalysts for Selective Carbon ‐Carbon Bond‑Forming Reactions
(選択的炭素―炭素結合形成反応を指向した 新 規 な 酸 及 び 塩 基 触 媒 の デ ザ イ ン )
学位論文内容の要旨
1 .二点配位型ルイス酸によるカルボニル化合物の選択的活性化
ニ点配位型ルイス酸1 はニつのアルミニウム中心がスペーサ‥で同方向に固定され、その特徴 としてカルボニル酸素への二点配位による高いカルボニル活性化能を有する。この知見を活かし、
カルボニルとアセタールが共存する系において、従来の一点配位型ルイス酸では困難であったカル ボニル基の官能基選択的活性化を実現した。j
ベンズァルデヒドとベンズァルデヒドジメチルアセタールの当量混合物に二点配位型ルイス酸 1 を作用させた後、1 −トリメチルシリルオキシ―1 ーシクロヘキセンと反応させると、ー78 ℃、3 時間で向山アルドール生成物である2 および 3 が 87 %の収率で得られた。両者の生成比は 97 :3 となルベンズァルデヒドが高選択的に活性化されていることが分かった。これに対しトリメチルシ リルトリフラートをルイス酸として用いて同様の条件で反応を行うと、2 と3 の生成比は9 :91 となり、アセタールが選択的に反応する。他の四塩化チタン、四塩化スズ、三フッ化ホウ素エーテ ル錯体等 のルイ ス酸を用いても、ニ点配位型ルイス酸 1 のような高い選択性は見られない。
OMe
PhCHO + PhAOMe
LewlSaCld
CH2CI2
(R = H, SiMe3)
Lewis acid : Me3SiOTf TiCI4
SnCI4 BF3‑OEt2
1
十
86% (9 : 91) 77% (59 : 41) 92% (73 : 27) 66% (74 : 26) 84% (97 : 3)
2 .新 規 光 学活 性 二 点配 位 型 ルイ ス 酸 のデ ザ イ ンと 不 斉 ク ライ ゼ ン 転位 反 応 への 応 用 アリルビニルエ`−テルのクライゼン転位反応はルイス酸によって促進されることが知られてい る。申請者は二点配位型ルイス酸がカルボニル基のみではなく、エーテル酸素をも効果的に活性化 するとぃう知兄を活かし、従来の一点配位型ルイス酸では高い光学収率を得ることが旧雑な不斉ク ライゼン転位反応への応用を試みた。
あらかじめ調製した光学活性二点配位型ルイス酸(S,S)‑4 とトリフェニルホスフインのジク口
一184−
h
。 齢
ぎ 『
口 メ タ ン 溶 液 に 、‑78℃ で ア リ ル ビ ニ ル エ ー テ ル6を 加 え 、‑45℃ で4時 間 反 応 さ せ る と 、 相 当 す る 転 位 生 成 物 で あ る ア ル デ ヒ ド7が 収 率82%、62%eeで 得 ら れ た 。 一 方 、 (S,S)‑4に 対 応 す る一 点 配 位 型 ル イ ス 酸(S)‑5を 用 い た 場 合 に は 、 収 率 は わ ず か9% 、 光 学 収 率 も22%eeと な り 、 光 学 活 性 二 点 配 位 型ル イ ス 酸 が エー → テ ル 酸 素を 強 く 活 性 化す る と と も に 、適 切 な 不 斉 場を 提 供 し 得る こと を 明 ら か に した 。
c‑Hex 白 6
(S,S)‑4 0r (S)‑5 PPh3 (2.2 equiv)
CH2CI2
‑78 ‑45 0C 4h
AHO
'2% (620/e
7 n0 2% ee, S) with l.1 equiv of (S,S)‑4 9% (22% ee, S) with 2.2 equiv of (S)‑5
Bidentate Lewis Acid
(S)‑5 (R' = SiPh2But) Monodentate Lewis Acid 3.光 学 活 性 相間 移 動 触 媒 を用 い た ぺ プ チ ドの 立 体 選 択 的末 端 官 能 基 化
有 機 合 成 化 学 に お け る ペ プ チ ド の 合 成 は 、 数多 く の 効 果 的な 手 法 や 反 応試 薬 が 開 発 さ れ、 す で に 成 熟 し た 分 野 で あ る と 考 え ら れ が ち で あ る 。 し かし 、 非 天 然 型 アミ ノ 酸 を 構 成単 位 と す る ぺプ チ ド の 立 体 選 択 的 合 成 を 考 え た 場 合 、 そ の 重 要 性 に もか か わ ら ず 一 般性 と 実 用 性 を備 え た 手 法 は未 だ 見 出 さ れ て い な い 。 申 請 者 は 非 天 然 型 ア ミ ノ 酸 の 合成 に 非 常 に 有 効で あ る 光 学 活性 相 間 移 動 触媒 を 更 に 分 子 修 飾 す る こ と で 、 各 種 の 非 天 然 型 ペ プ チ ドの 極 め て 効 率 的な 不 斉 合 成 法の 開 発 に 成 功し た 。 た と え ば 、 末 端 に グ リ シ ン 残 基 を 含 む ジ ベ プ チ ド 誘 導 体9を2 mol% の 光 学 活 性 相 間 移 動 触 媒 (S,S)‑8存 在 下 、 トル エ ン −50% 水 酸 化 カ リウ ム 水 溶 液 の 液体 ― 液 体 二 相系 中 、l.l当 量 の ア リ ルブ ロ ミ ド と 反 応 さ せ る と 、 グ リ シ ン 残 基 が ア リ ル 化 さ れ た 非 天 然 型 ジ ペ プ チ ド 誘 導 体DL‑10がL‐ フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン 部 位 の ラ セ ミ 化 反 応 を 起 こ す こと な く 極 め て 高い 収 率 、 及 び選 択 性 で 得 られ た 。 本 手 法 は 様 々 な 基 質 、 及 び ア ル キ ル 化 剤 に つい て も 極 め て高 い 一 般 性 を備 え て お り 、 各種 非 天 然 型ジ ペ プ チ ド 誘 導体 の 実 用 的 不斉 合 成 法 と なる こ と を 示 した 。
○
Ph2C = N N H
9
O(S,S)‑8 (2 moI %) OBut一竺ヘノBr(l.lequiv)
toluene‑50% aq KOH 0 0C, 6 h argon atmosphere
(S,S)‑8
R= But
― 185―
NH O
OBut
‑10 89%, 98% de
B u t B u t
But