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博 士 ( 情 報 科 学 ) 児 玉 廣 之

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Academic year: 2021

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博 士 ( 情 報 科 学 ) 児 玉 廣 之

学 位 論 文 題 名

超 音 波 尿 意 セ ン サ の 実 用 化 開 発 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  高齢者、障害者で排尿のコントロールを失い、社会生活上困難を来たしている人は多い。また、

成人に達しても夜尿に悩む人がいる。最近の新聞報道でも「トイレが近い」など何らかの排尿障害 を自 覚して いる人 は40歳代以上の半数に上るとされている。尿意センサの研究はこのような人々 の失われたり弱まった排尿のコントロールを回復するのに役立つことを目的として実施されたもの である。そのため、実生活の場でも使えるように操作が簡単で小型を装置であると共に、入手し易 い安価を装置を目指して開発が進められた。

  膀胱 のよう に体内 にある 臓器の 構造を 可視化す る技術 はX線に 始まり超音波、MRIをど多岐に 亘っており、どの技術をどのように使うかが極めて重要である。超音波は非侵襲性、実時間性に優 れて おり、 膀胱容 量センサとして最適である。X線は侵襲性、MRIは実時間性に問題があるが、人 体内部の詳細構造の知見が必要な場合は有益であり、超音波データと比較検討するために利用され た。膀胱のように内部が液体である器官は、液体部分の音響インピーダンスが均等であるため、超 音波の反射源とをらず、腹部体表面から膀胱前壁までの種々の反射源によるエコー群と膀胱の後壁 及びそれ以降の反射源によるエコー群に囲まれた特徴的をパターンとをる。本研究開発は、この特 徴 を 活 用 し 実 用 的 を 超 音 波 尿 意 セ ン サ の 製 品 化 に 初 め て 成 功 し た も の で あ る 。   2期に わたる 研究開 発によ って超 音波尿 意セン サの基礎 が確立 された。第1期の超音波尿意セ ンサ では、 正方形 の4隅に丸型の超音波素子を配置したプロープを用い、各素子に下向き0度、10 度、20度、30度 の角度 を付け、最大工コー強度を基準に膀胱の代表的を大きさを選定し指標とし た。臨床測定による評価結果では、膀胱拡大の概要を測定できてはいるものの、より定量性の高い センサを開発することが必要と教った。MRIを用いた測定の結果に対し詳細な検討と考察を加え、

膀胱 の拡張 特性を 取り入 れた方式 として 第2期の 超音波尿意センサの尿量計算指標PDが考案され た。主として頭部方向に拡がる膀胱の拡張特性に合わせ配置された四つの超音波素子を内蔵するプ ロープが恥骨の少し上辺りに装着され、各素子の受信エコー波形から特定される膀胱の前壁及び後 壁位置、後壁エコー強度から、前壁後壁間距離(Di)、後壁エコー強度値(Pi)が抽出されて掛け合わ され 、全素 子につ いて足し合わせることによって尿量計算指標PDが得られた。この指標を組み込 んだ第2期の超音波尿意センサを用いた臨床測定が筑波大学及び総合せき損センターにおいて実施 され、300 ml程度の膀胱容量に対しても対応性が良い結果が得られた。

  この結果を受けて製品版超音波尿意センサが試作され、総合せき損センター等の6施設で製品化 に向けたフィールドテストが実施された。産総研でのテストからは尿量推定誤差が土(15パーセン ト+20ml)とをる 結果が得 られた。推定尿量値データのばらっき処理等の技術要素を踏まえ特許出 願が行′よわれ、厚生労働省から医療用具製造承認を得「尿量モニタゆりりん」の製造販売が開始さ れた。病院や老人養護施設等で普及が始まり、筑波大学等の看護学科では教材として採用されてい

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る。さらに、介護施設や病院に向けた「個別ケアシステム」が開発され、導入施設も増えている。

適切を活用を図るため医家向け装置として出発したが、一般ユーザ向けに普及していくためには、

使 い 易 さ の 一 層 の 改 良 、 法 制 度 へ の 対 応 等 、 解 決 す べ き 課 題 が 残 さ れ て い る 。   上記の内容によ って作成された学位論文は5部構成とをっている。第1章では、超音波尿意セン サ開発の背景と目的を記述し、排尿コントロールの回復を目標としていることを明記している。開 発開始と機をーにして尿失禁の問題を真正面から取り上げる社会情勢が起こり、失禁用紙オムツに よる対応が先行したが、失禁予防こそが目指すべきものであり、尿意センサの役割と目的を強調し た。第2章では、 尿意センサの開発に当たって 超音波を用いることの意義を記述し、著者が第1期 の開発で取り組んだ装置の内容と問題点を他で取り組まれた研究開発の問題点と併せて整理した。

それらの問題点を 解決するものとして、MRI測 定結果に基づぃて膀胱拡張 指標を考案したことを 明らかにしている 。第3章では、その指標を組 込んだ第2期超音波尿意センサを試作し臨床測定を 実施したことを記述し、筑波大学病院及び総合せき損センターにおける臨床測定結果が再現性の高 いものであったこ とが製品化への原動カとをったことを述べている。第4章では、製品化に向けた フィールドテストの経緯を記述し、テスト用に試作されたセンサによる測定結果の解析に基づき装 着や計測処理の方法を確立し、特許出願して薬事承認を得、「尿量モニタゆりりん」の製造販売に 至ったことを普及 の現状と併せて明らかにしている。第5章では、以上をまとめて、尿量計算指標 を 考 案 し た 経 緯 と 意 義 を 再 確 認 し 、 今 後 の 普 及 の 拡 大 に 向 け て の 課 題 を 述 べ て い る 。

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学位論文審査の要旨

主査    教授   和田充雄 副査    教授   栗原正仁 副査    教授   大内   東

副査   教授   大森隆司(玉川大学学術研究所)

学 位 論 文 題 名

超音波尿意センサの実用化開発

  近年、高齢 者、障害者で排尿のコントロールを失い、社会生活上困難を来たしている人は多く、

また、成人に 達しても夜尿に悩む人がいる。最近の新聞報道でも「トイレが近い」をど何らかの排 尿障害を自覚 している人は40歳代以上の 半数に上るとされている。こ のようを人々の失われたり 弱まった排尿 の機能を回復し、QOL(Quality of Life)を向上させるために、膀胱内尿量を測って排 尿のタイミン グを知らせる小型で操作が 容易な尿意センサ―の製品開 発が望まれてきた。本論文 は、この課題 の解決に資するために長年研究開発を進めて超音波型尿意センサーの技術開発に成功 し、最近よう やく尿量モニタ「ゆりりん」として実用化製品の販売に漕ぎっけるに至った成果につ いてまとめた ものである。

  本論文では 、まず膀胱のように体内に ある臓器の構造を可視化する技術はX線に始まり超音波、

MRIをど多岐 に亘っているが、どの技術を どのように使うかが極めて重要であると指摘している。

これらの中で 超音波は非侵襲性、実時間 性に優れており、膀胱容量センサとして最適である。X線 は 侵襲性、MRIは実時 間性に問題があるが、人体 内部の詳細構造の知見が必要 を場合は有益であ り、超音波デ ータと比較検討するために利用できる。膀胱のように内部が液体である器官は、液体 部分の音響イ ンピーダンスが均等であるため、超音波の反射源とをらず、腹部体表面から膀胱前壁 までの種々の 反射源によるエコー群と膀胱の後壁及びそれ以降の反射源によるエコー群に囲まれた 特徴的をパタ ーンとをる。このようを検 討を経て超音波センサー開発に取り組み、2期にわたる研 究 開 発 に よ っ て 超 音 波 尿 意 セ ン サ の 製 品 開 発 が 実 施 さ れ た こ と が 述 べ ら れ て い る 。   第1期の超 音波尿意センサでは、正方形 の4隅に丸型の超音波素子を 配置したプロープを用い、

各 素子に下向き0度、10度、20度、30度の角度を 付け、最大エコー強度を基準 に膀胱の代表的を 大きさを選定 し指標としている。これを用いた臨床測定による評価では膀胱拡大の概要を測定でき てはいるもの の、より定量性の高いセン サを開発することが必要とをり、MRIを用いた測定の結果 に対し詳細を 検討と考察を加えたている。この結果、膀胱の拡張特性を取り入れた方式として尿量 計算指標PDが 考案され、主として頭部方 向に拡がる膀胱の拡張特性に 合わせ配置された四つの超 音波素子を内 蔵するプロープが恥骨の少し上辺りに装着され、各素子の受信工コー波形から特定さ れる膀胱の前 壁及び後壁位置、後壁エコー強度から、前壁後壁間距離(Di)、後壁エコー強度値(Pi) が抽出されて 掛け合わされ、全素子につ いて足し合わせることによっ て尿量を推定する計算指標

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PDを得 ている 。さら に、こ の指標を 組み込んだ第2期の超音波尿意センサを開発し、それを用い た臨 床測定 が筑波大学及び総合せき損センターにおいて実施され、300 ml程度の膀胱容量に対し ても対応性が良い結果を得ている。

  これらの結果を受けて超音波尿意センサは、推定尿量値データのぱらつき処理等の技術要素を踏 まえ た特許 出願が行 をわれ 、さら に総合せき損センター等の6施設でフイールドテストが実施さ れ、 尿量推 定誤差が 土(15パ ーセン ト+20ml)とをり十分に実用可能であるとの評価結果を得て、

厚生労働省からは医療用具製造承認を受け、「尿量モニタゆりりん」の製造販売が開始された経緯 と結果について述べられている。病院や老人養護施設等で普及が始まり、筑波大学等の看護学科で は教材として採用され、また介護施設や病院に向けた「個別ケアシステム」が開発され、導入施設 も増えているが、一般のユーザ向けに普及していくためには、使い易さの一層の改良、法制度への 対応等、解決すべき課題も明らかにしている。

  本論文は、5章構成とをっている。

  第1章では、超音波尿意センサ開発の背景と目的を記述し、排尿コントロールの回復を目標とし ていることを明記している。

  第2章 では、 尿意センサの開発に当たって超音波を用いることの意義を記述し、著者が第1期の 開発 で取り 組んだ装置の内容と問題点を他で取り組まれた研究開発の問題点と併せて整理してい る。 それら の問題点 を解決 するも のとして、MRI測定結果に基づぃて膀胱拡張指標を考案したこ とを述べている。

  第3章 では、 その指標を組込んだ第2期超音波尿意センサを試作し臨床測定を実施したことを述 ベ、筑波大学病院及び総合せき損センターにおける臨床測定結果が再現性の高いものであったこと が製品化への原動カとをったことを述べている。

  第4章では、製品化に向けたフィールドテストの経緯を記述し、テスト用に試作されたセンサに よる測定結果の解析に基づき装着や計測処理の方法を確立し、特許出願して薬事承認を得、「尿量 モニタゆりりん」の製造販売に至ったことを普及の現状と併せて明らかにしている。第5章では、

以上をまとめて、尿量計算指標を考案した経緯と意義を再確認し、今後の普及の拡大に向けての課 題を述べている。

  これを要するに,著者は,尿失禁問題という医療福祉場面での現実的対応が要求される課題に対し て超音波型尿意センサーの開発から臨床評価、実用化製品まで多くの新知見、新技術を得てきたも のであり、複雑系工学、人間工学、医療福祉工学に貢献するところ大をるものがある。よって著者 は , 北 海 道 大 学 博 士 ( 情 報 科 学 ) の 学 位 を 授 与 す る に 値 す る も の と 認 め る 。

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