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沖縄における外国人観光評価の数量的分析

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(1)

1. はじめに

沖縄は、 地域内の就業環境が恵まれず、 首 都圏を中心とする中央市場との遠隔性を有す る島嶼型条件不利地域である。 しかし沖縄は、

美しい海やサンゴ礁・亜熱帯気候性・島特有 の風景などの自然環境資源、 島野菜や特産物・

琉球伝統工芸・サトウキビ畑などの産業的資 源、 沖縄芸能・食文化、 世界遺産に登録され ている琉球王国グスク群などの歴史・文化的

資源といった沖縄独自の自然・歴史・文化等 の観光資源に溢れる。 また地勢的にもアジア との距離が近く、 今後、 アジア人観光客に対 する観光政策の利点を有する。

沖縄は1972年の本土復帰以降、 40年間に亘 る 「沖縄振興開発計画」 の実施に伴い、 道路・

港湾などの社会資本整備や観光開発が進み、

沖縄の観光資源が活かされ、 入域観光客数は 1972年の44.3万人から2012には583.5万人に The Journal of General Industrial Research

沖縄における外国人観光評価の数量的分析

Quantitative Analysis on Evaluation of Foreign Tourists in Okinawa

兪 炳強・顔 瑾

YU Bingqiang・YAN Jin

【要 旨】

本稿では、 アジア4地域 (韓国、 台湾、 香港および中国本土) の観光客を対象に、 外国人観光 客の再訪意識度および旅行満足度の影響要因について計量分析を行った。 主な結果として、 旅行 満足度、 宿泊施設、 観光施設、 食事、 外国語対応能力および交通機関の満足度が高いほど再訪意 識度が高くなる。 再訪意識度は、 宿泊施設、 観光施設および食事の満足度に大きく規定される。

また旅行満足度は、 宿泊施設や観光施設の満足度による影響が大きく、 次に食事、 交通機関、 お もてなし、 外国語対応能力の影響も比較的大きい。 観光客の旅行満足度を高めるためには、 宿泊 施設、 観光施設および食事が重点的に維持ないし改善すべき要素、 両替の利便性、 外国語対応能 力および案内表記の分かりやすさは改善すべき要素、 交通機関は維持ないし改善すべき要素、 お もてなしは維持ないし重点的に維持すべき要素である。

【目 次】

1. はじめに

2. 外国人観光客の動向 3. 沖縄再訪意識度の要因分析 4. 旅行満足度の要因分析とCS分析 5. おわりに

(2)

増加し、 観光産業が突出して発展した。 しか し、 沖縄観光の高付加価値化や持続的発展を 図るには、 観光客の滞在日数の長期化、 一人 当たり平均消費額の向上、 外国人観光客の誘 致拡大、 観光スタイルの変化や観光目的の多 様化などへの対応、 土産品の魅力向上、 交通 事情の改善といった多くの課題があげられ (註1)

沖縄の外国人観光客数は、 1972年の2.5万 人から2012年には37.6万人に増加したが、 観 光客数に占める外国人比率は40年間余りに亘っ てわずか5%程度に止まっている。 ハワイ、

バリ島、 プーケット島、 済州島などの周辺諸 国の島嶼観光地域と較べ、 沖縄の国際観光地 化への進展は遅れを取っている。 近年、 観光 立国を目指す日本では、 「ビジット・ジャパ ン・キャンペーン」 に代表されるように、 訪 日観光査証条件の緩和など外国人観光客への インバンド・ツーリズム促進政策が展開され ている。 その背景の一つとして、 中国などア ジア諸国の急速な経済成長と所得増大による 外国人観光客の急増への期待が挙げられる。

こうした状況下、 沖縄の国際観光地化に向け て、 外国人客の観光満足度を高めることが重 要かつ喫緊の課題である。

沖縄県では、 外国人観光客の活用内容やニー ズを把握し、 受入体制の強化を図るため、 沖 縄を訪問する外国人観光客を対象に、 2010年 度から毎年度に 「外国人観光客満足度調査」

を実施し報告書を公表している。 しかし、 そ れらはアンケート質問票の単純集計を行い、

簡単な考察を行う程度に止まっている場合が 多く、 得られたデータを充分に活用し切れて いないというのが現状であろう。 特に、 外国 人観光客満足度の影響要因に関する定量的な

分析がほとんど見当たらない。

そこで、 本稿の研究課題は、 沖縄における 外国人客の観光満足度および再訪意識度の影 響要因を定量的に明らかにすることである。

具体的に、 まず2節では、 沖縄における近年 の外国人観光客の動向を把握する。 次に3 では、 重回帰分析法による沖縄観光の再訪意 識度の要因分析を行う。 続いて第4節では、

重回帰分析法による沖縄旅行の満足度の要因 分析を行い、 また旅行全体のCS分析を通じ て、 観光客に満足を感じさせるには、 どの要 素の改善に力を入れるべきかを探る。 最後に 第5節では分析結果を取り纏める。

2. 外国人観光客の動向 1) 訪日外国人観光客の動向

1は近年における訪日外国人数の推移を 示した。 これにより、 2003年以降、 訪日外国 人は大きく増加した。 2008年にアメリカで生 じたリーマンショックや2011年に起きた関東 大震災の影響により、 2009年および2011年に 訪日外国人は大きく減少したが、 2012年には 大きく回復した。 2012年の訪日外国人数が 836万人に達し、 そのうち韓国が最も多く全 体の24.4%を占め、 次に台湾が17.5%、 中国 (本土) が17.1%、 アメリカが8.6%、 香港が 5.8%の順で、 韓国・台湾・中国 (本土)・香 港 (以下、 アジア4地域と呼ぶ) が全体の約 65%を占めており、 また近年、 訪日中国人の 増加が著しいことが読み取れる。

訪日目的別にみると (2012年)、 訪日外国 人全体では、 観光目的が72.3%、 商業用およ びその他が17.7%で、 訪日外国人の大半は観 光目的である。 そのうち、 アジア4地域がそ れぞれ77.1%と12.9%となっており、 観光目

(3)

的の割合が訪日外国人全体よりも高い。

次に、 外国人の地方別訪問状況についてみ ると (表1)、 東京をはじめとする関東地方 および関西地方が中心となっている。 2012年 の関東地方の外国人訪問率は59.2%、 関西地 方は32.6%で、 他の地方より圧倒的に高い。

一方、 2008年以降の訪問率について地方別に

みると、 北陸地方および沖縄地方がわずかな がら微増していることが読み取れる。 そのな かで、 沖縄は2008年の2.3%から2012年には 3.1%に高まった。 今後、 訪日外国人観光客 の増加が予想される中、 地方への訪問外国人 も増加するであろう。

2) 沖縄の外国人観光客の動向

沖縄は、 1972年の本土復帰を機に、 観光客

が大きく増加し、 観光業が基幹産業に成長し

た。1972年に観光客数がわずか44万人余であっ

たが、 2012年には583万人余に大きく増加し

た。 しかし、 観光客数の9割以上が国内観光 客であり、 もっぱら国内に依存しているのが 現状である。

2は、 2001年以降の沖縄における入域外

国人の推移を示した。 これにより、 外国人観 光客数は、 2007年に17万人余であったが、

2012年には37万人余に増加し、 2007年から持 続的に増加していることがわかる。

図1 近年における訪日外国人数の推移

表1 日本における地方別外国人訪問率 (単位:%) 年次 北海道 東北 関東 北陸 中部 関西 中国 四国 九州 沖縄

2008年 8.1 3.5 63.5 3.0 20.9 33.4 5.2 1.1 12.1 2.3

2009年 8.0 3.6 64.5 2.9 20.8 33.1 5.6 1.1 10.1 2.5

2010年 8.8 3.3 64.4 3.3 22.7 34.5 5.1 0.8 10.9 2.7

2011年 7.3 2.9 69.1 4.8 13.3 38.2 4.3 0.9 14.2 3.0

2012年 7.8 2.6 59.2 4.7 13.9 32.6 4.0 0.8 11.0 3.1

資料:日本政府観光局 (JNTO) 「訪日外国人訪問地調査」、 観光庁 「訪日外国人消費動向調査」

(4)

2012年の沖縄入域外国人の国別割合をみる と、 台湾が最も多く46%、 続いて香港が18%、

中国 (本土) が15%、 韓国が11%の順となっ ており、 これらアジア4地域が90%余を占め、

外国人観光客の主な供給地となっている。 ま た近年、 香港および中国 (本土) の割合が大 きく増加していることが読み取れる。

そこで以下の分析では、 台湾、 香港、 韓国 および中国 (本土) のアジア4地域からの観 光客を分析対象とする。

3. 沖縄再訪意識度の要因分析

1) 再訪意識度と旅行満足度の相関分析 分析に用いるデータは、 沖縄県が2011年に 実施した外国人観光客満足度調査のアンケー ト個票データである(註2)。 サンプル数は、 分 析に必要な質問項目が無回答となったサンプ ルを除いた1,853人である。 なお、 両替の利

便性の満足度について、 無回答および利用し ていないサンプルを除くと1,358人である。

2は、 外国人観光客の再訪意識度と旅行 全体の満足度のクロス集計結果である。 有効 回答サンプル1,853人のうち、 「ぜひまた来た い」 が30.8%、 「まあ来たい」 が43.2%となっ ており、 両者併せて再訪意識のある観光客が 74%に達している。 また、 旅行全体の満足度 についてみると、 「満足」 が29.2%、 「やや満 足」 が59.2%で、 両者併せて約9割を占めて いる。

再訪意識度と旅行全体の満足度の相関分析 を行った結果 (表3)、 カイ2乗値は1%水 準で有意であることから、 両者の間には相関 があると認められる。 また、 クラメールの独 立係数は0.34、 ピアソンの独立係数は0.56で ある。

さらに、 両指標についての回答結果を数値 図2 沖縄における入域外国人の動向

(5)

化し、 すなわち、 再訪意識については、 回答 選択肢の 「1.来たくない」 から 「5.ぜひま た来たい」 にそれぞれ15点、 満足度につ いては、 「1.不満」 から 「5.満足」 にそれぞ 15点を数値化して相関分析を行った。

その結果 (表3)、 相関係数は0.547である。

これらの結果から、 再訪意識度と旅行全体 の満足度の間には、 比較的強い正の相関関係 が認められ、 旅行全体の満足度が高いほど再 訪意識度が高くなる。 今後、 外国人観光客の リピーター客を増やすには旅行全体の満足度 を高める必要があるといえる。

2) 再訪意識度の要因分析

次に、 再訪意識度を被説明変数として、 旅 行全体の満足度の構成要素となる観光施設、

食事、 宿泊施設、 案内表記のわかりやすさ、

おもてなし、 外国語対応能力、 交通機関およ

び両替の利便性に関する満足度を説明変数と して重回帰分析を行った(註3)。 その結果は表4 で示した通りである。 なおここでは、 両替 の利便性について利用していないおよび無回 答を除いたサンプル数1,358人を用いて計算 した。

重回帰分析の結果をみると、 修正済み決定 係数は0.293で高いとはいえないが、 宿泊施 設、 観光施設、 食事、 外国語対応能力および 交通機関の満足度が統計的に有意に再訪意識 に影響を与え、 係数の符号がプラスであるた め、 それらの満足度が高いほど再訪意識度が 高くなることがわかる。 また、 標準偏相関係 数より、 宿泊施設および観光施設の満足度の 影響が大きく、 次に食事の満足度の影響が比 較的大きい。 外国語対応能力および交通機関 の満足度の影響が比較的小さいことが認めら れる。

表2 再訪意識と旅行全体の満足度のクロス集計結果 (単位:人、 %) 再訪意識度

満足度

1. 来たく ない

2. あまり 来たくない

3. どちらとも いえない

4. まあ 来たい

5. ぜひまた

来たい 総 計

1.不満 1 0 0 0 0 1 ( 0.1)

2.やや不満 2 4 5 0 0 11 ( 0.6)

3.普通 6 32 110 49 6 203 (11.0)

4.やや満足 4 17 269 578 229 1,097 (59.2)

5.満足 0 2 30 174 335 541 (29.2) 総 計 13

(0.7)

55 (3.0)

414 (22.3)

801 (43.2)

570 (30.8)

1,853

(100.0) (100.0) 資料) 沖縄県 「外国人観光客満足度調査」 (平成23年度) アンケート個票より計算作成。

註) ( ) は横または縦の総計の構成比を示す。

表3 再訪意識と旅行全体の満足度の相関分析結果 クラメール、 ピアソンの独立係数

相関係数 標本数 カイ2乗値 自由度 クラメールの独立係数 ピアソンの独立係数

868.1*** 16 0.34 0.56 0.55*** 1,853

資料) 沖縄県 「外国人観光客満足度調査」 (平成23年度) アンケート個票より計算作成。

註) ***1%水準で有意を示す。

(6)

4. 旅行満足度の要因分析とCS分析 1) 旅行満足度の重回帰分析

ここでは、 旅行全体の満足度を被説明変数 として、 観光施設、 食事、 宿泊施設、 案内表 記のわかりやすさ、 おもてなし、 外国語対応 能力、 交通機関および両替の利便性に関する

満足度を説明変数として重回帰分析を行っ (註4)。 その結果は表5で示した通りである。

分析の結果をみると、 まず全ての説明変数 の係数が統計的に有意となっており、 また係 数の符号が全てプラスであるので、 各説明変 数の満足度が高いほど、 旅行全体の満足度が 表4 再訪意識度の重回帰分析結果

説明変数 偏回帰係数 標準偏回帰係数

定数 0.633

観光施設の満足度 0.238 0.208***

食事の満足度 0.128 0.111***

宿泊施設の満足度 0.315 0.270***

案内表記の分かりやすさの満足度 0.022 0.022 おもてなしの満足度 0.005 0.004 外国語対応能力の満足度 0.056 0.068**

交通機関の満足度 0.061 0.061**

両替の利便性の満足度 -0.002 -0.002

標本数 1,358

重相関係数 0.545

修正済み決定係数 0.293

註) ** ***印は、 それぞれ5%、 1%水準で有意であることを示す。

資料) 沖縄県 「外国人観光客満足度調査」 (平成23年度) アンケート個票より計算作成。

表5 旅行全体の満足度の重回帰分析結果

説明変数 偏回帰係数 標準偏回帰係数

定数 0.404

観光施設の満足度 0.175 0.202***

食事の満足度 0.134 0.155***

宿泊施設の満足度 0.255 0.289***

案内表記の分かりやすさの満足度 0.052 0.067***

おもてなしの満足度 0.095 0.103***

外国語対応能力の満足度 0.064 0.102***

交通機関の満足度 0.117 0.155***

両替の利便性の満足度 0.032 0.045**

標本数 1,358

重相関係数 0.765

修正済み決定係数 0.583

註) ** ***印は、 それぞれ5%、 1%水準で有意であることを示す。

資料) 沖縄県 「外国人観光客満足度調査」 (平成23年度) アンケート個票より計算作成。

(7)

高くなることがわかる。 次に標準偏相関係数 より、 各説明変数の影響度をみると、 宿泊施 設と観光施設の満足度の影響が大きく、 次に 食事、 交通機関、 おもてなし、 外国語対応能 力の満足度の影響が比較的大きく、 案内表記 のわかりやすさ、 両替の利便性の満足度の影 響が比較的小さいことが認められる。 つまり、

沖縄における旅行全体の満足度を高めるには、

宿泊施設や観光施設の満足度の向上が最も重 要であるといえる。

2) 旅行満足度のCS分析

CSと は " Customer Satisfaction" の 略 で顧客満足という意味である。 顧客に満足を 感じさせるには、 どの要素の改善に力を入れ るべきかを探るのがCS分析である。

表6は各項目に関する満足度の集計結果で ある。 これを用いて旅行全体のCS分析を行っ

た結果は図3で示した通りである。 なお、 重 要度偏差値は旅行全体の満足度と各満足度要 素との相関係数の偏差値であり、 満足度偏差 値は各満足度要素の 「やや満足」 および 「満 足」 を合わせた割合の偏差値である。 また、

各満足度要素の 「満足」 のみの割合の偏差値 を満足度A偏差値として作図したのが図4 ある。

3により、 重点改善分野に該当する要素 は無いが、 改善分野の要素としては、 主に外 国語対応能力や両替の利便性が析出された。

つまり、 旅行全体の満足度を高めるには、 こ れらに関する満足度を高める必要がある。 ま た、 重点維持分野の要素としては、 観光施設、

宿泊施設および食事が析出された。 つまり、

旅行全体の満足度を高めるには、 それらの満 足度を重点的に維持すべきであるといえる。

おもてなし、 交通機関は維持分野に位置づけ 表6 満足度の集計結果

1.不満 2.やや不満 3.普通 4.やや満足 5.満足 総計

食事 宿泊施設 観光施設 交通機関 おもてなし 外国語対応能力

案内表記の分かりやすさ 両替の利便性

6 4 2 8 4 73 14 34

21 16 22 50 11 190 61 95

209 188 189 229 106 523 292 546

710 633 682 636 501 402 662 483

412 517 463 435 736 170 329 200

1,358 1,358 1,358 1,358 1,358 1,358 1,358 1,358

旅行全体 10 160 797 391 1,358

食事 宿泊施設 観光施設 交通機関 おもてなし 外国語対応能力

案内表記の分かりやすさ 両替の利便性

0.4 0.3 0.1 0.6 0.3 5.4 1.0 2.5

1.5 1.2 1.6 3.7 0.8 14.0 4.5 7.0

15.4 13.8 13.9 16.9 7.8 38.5 21.5 40.2

52.3 46.6 50.2 46.8 36.9 29.6 48.7 35.6

30.3 38.1 34.1 32.0 54.2 12.5 24.2 14.7

100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

旅行全体 0.0 0.7 11.8 58.7 28.8 100.0

資料) 沖縄県 「外国人観光客満足度調査」 (平成23年度) アンケート個票より計算作成。

註) 上段は実数、 下段は構成比を示す。

(8)

られるが、 重点的維持分野に近い。

次に 「満足」 のみに注目した図4をみると、

宿泊施設および観光施設は重点維持分野に位 置づけられるが、 食事を含めて、 重点的改善 分野に近い要素として指摘できよう。 両替の

利便性、 外国語対応能力、 案内表記の分かり やすさは改善分野の要素としてあげられる。

また交通機関については、 維持分野に位置づ けられるが、 改善分野に近い要素となってい る。 おもてなしは、 維持分野に位置づけられ 図3 旅行全体のCS分析結果

図4 旅行全体のCS分析結果

(9)

るものの、 重点維持分野に近い要素である。

このように、 今後、 外国人観光客の旅行満 足度を高めるには、 宿泊施設、 観光施設およ び食事が重点的に維持ないし改善すべき要素 であり、 また両替の利便性、 外国語対応能力 および表記案内の分かりやすさが改善すべき 要素である。 交通機関は、 維持または改善す べき要素、 おもてなしは維持または重点的に 維持すべき要素である。

5. おわりに

本稿では、 沖縄の外国人観光客の9割を占 めるアジア4地域 (韓国、 台湾、 香港および 中国本土) の観光客を対象に、 主に2011年度 に沖縄県が実施した外国人観光客満足度調査 のアンケート個票を用いて、 外国人観光客の 再訪意識度および旅行満足度の影響要因につ いて定量的な分析を行った。 主な結果は以下 の通りである。

第一に、 再訪意識度と旅行全体の満足度の 相関分析を行った結果、 両者には比較的強い 正の相関が認められ、 旅行全体の満足度が高 いほど再訪意識度が高いことが認められた。

第二に、 重要回帰分析法を用いた再訪意識 度の要因分析を行った結果、 宿泊施設、 観光 施設、 食事、 外国語対応能力および交通機関 の満足度がともに統計的に有意に正の影響を 与えており、 それらの満足度が高いほど再訪 意識度が高くなる。 また、 再訪意識度には、

宿泊施設および観光施設の満足度の影響が大 きく、 食事の満足度の影響が比較的大きいこ とが認められた。

第三に、 重回帰分析法を用いた旅行全体の 満足度の要因分析を行った結果、 旅行全体の 満足度を構成する8つの要素、 すなわち、 観

光施設、 食事、 宿泊施設、 案内表記の分かり やすさ、 おもてなし、 外国語対応能力、 交通 機関および両替の利便性に関する満足度が全 て統計的に有意に正の影響を与えており、 そ れらの満足度が高いほど旅行全体の満足度が 高くなる。 また旅行全体の満足度には、 宿泊 施設および観光施設の満足度の影響が大きく、

次に食事、 交通機関、 おもてなし、 外国語対 応能力の満足度の影響が比較的大きい。

第四に、 旅行全体の満足度についてCS 析を行った結果、 宿泊施設、 観光施設および 食事は重点的に維持ないし改善すべき要素で ある。 両替の利便性、 外国語対応能力および 案内表記の分かりやすさは改善すべき要素で ある。 交通機関は、 維持ないし改善すべき要 素、 おもてなしは維持ないし重点的に維持す べき要素である。

近年、 沖縄に来訪する外国人観光客は増加 傾向にあるが、 入域観光客数全体に占める割 合はまだ数パーセントに止まっている。 ハワ イ (アメリカ)、 プーケット (タイ王国)、 済 州島 (韓国) など周辺諸国の島嶼地域と比べ て観光地の国際化が遅れを取っている。 今後、

外国人観光客を誘致し、 外国人観光客の満足 度を向上させることが求められる。 そのため には、 宿泊施設、 観光施設および食事に対す る満足度の向上が最も重要である。 同時に、

両替の利便性、 外国語対応能力、 案内表記、

交通機関の満足度向上も必要である。

【註】

1) 沖縄における入域観光客の平均滞在日数

は、 2004年度以降およそ3.8日で推移し

ており、 国際的先進観光地であるハワイ の9.33日に比べて半分以下に止まってい

(10)

る。 沖縄の平均滞在日数 (2012年度、 国 内客のみ) は3.75日、 ハワイは9.33日 (2012年、 うち日本人は6.01日) である (沖縄県 「観光要覧」、 ハワイ州産業経済 開発観光局資料より)。 一人当たり平均 消費額は、 1985年の91,746円をピークに 長期の下落傾向が続いており、 ハワイの およそ半分程度の水準に止まっている。

2012年沖縄の1人当たり平均消費単価は

179,190円 (1791.9ドル、 うち日本人は 181,250円、 1ドル=100円換算)。 また近 年、 外国人観光客が増加傾向にあるが、

しかし沖縄を訪れる観光客はもっぱら国 内客に依存しており、 2012年の外国人比 率は6.5%であり、 ハワイの37.6%に比 べて大きな格差がある。 そして、 団体旅 行が年々減少し、 個人旅行が増加し、 旅 行内容の消費者ニーズは多様化し、 特定 目的活動 (ダイビング、 保養・休養など) を目的とするリピーターが増えている。

また土産品や交通事情の満足度が低い状 況にある。 土産品の満足度は、 「大変満 足」 の比率が少なく、 満足度も土産品の み低下している (沖縄県 平成24年度満 足度調査 より)。 道路状況については 全体的に満足度が低く、 満足度の比率は 2割程度に止まっている (沖縄県 平成 24年度観光統計実態調査 より)。

2) 詳しくは、 沖縄県 (2013) 平成23年度 那覇空港観光案内所 (国際線) 機能強化 事業 外国人満足度調査報告書 を参照 されたい。

3) 被説明変数および各説明変数についての 回答結果を前述した通り数値化し、 重回 帰分析を行った。

4) 被説明変数および各説明変数についての 回答結果を前述した通り数値化し、 重回 帰分析を行った。

【参考文献】

[1] 国土交通省総合政策局旅行振興課 (2005) 沖縄観光における外国人向け着地型 旅行の充実化及び販売促進のための調 査報告書 。

[2] 鎌田裕美・山内弘隆 (2006) 「観光需要 に影響を及ぼす要因について− 「魅力 度」 計測への試み−」、 国際行為通安 全学会誌 Vol. 31, No. 3

[3] 田中賢二(2007) 「外国人観光客の訪日 促進策に関する研究−国際観光の現状 の分析と安定的な旅行者の獲得を中心 として−」、 運輸政策研究 Vol. 10, No. 1

[4] 自治体国際化フォーラム (2012) 「外国 人の視点を取り入れた訪日観光客誘致 戦略」、 自治体国際化 Mar. 2012 [5] 沖縄県 (2012) 平成22年度外国人観光

客満足度調査報告書 。

[6] 沖縄県 (2012) 平成23年度観光統計実 態調査報告書 。

[7] 沖縄県 (2012) 平成23年観光要覧 。 [8] 沖縄県 (2012) 沖縄県観光振興計画

(第5次) 。

[9] 沖縄県 (2013) 平成24年観光要覧 。 [10] 沖縄県 (2013) 平成23年度那覇空港観

光案内所 (国際線) 機能強化事業 国人満足度調査報告書 。

[11] 沖縄県 (2013) 平成24年度観光統計実 態調査報告書 。

[12] 内閣府沖縄総合事務局観光振興推進本

(11)

部 (2013) 平成24年度総合事務局の観 光振興への取り組み 。

【付記】

本稿で用いた 「沖縄県外国人観光客満足度 調査 (平成23年度)」 のアンケート個票デー タは沖縄県より提供を受け、 また沖縄県文化 観光スポーツ部観光政策課仲宗根睦主査より ご協力を頂いた。 併せて感謝の意を表したい。

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