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密教研究 Vol. 1920 No. 4 005水原 堯榮「立川流聖典目録と現存聖教の内容に就て P71-104」

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全文

(1)

一 立 川 流 の 遠 源 は 遠く 南 印 佛敎 た る 金 剛 頂 宗 に 、 そ の 種 因 を 句 藏 し た る こ と は 均 し く 識 者 の 是 認 す る 處 で あ る 。 彼 の 瑜 祗 經 に 於 け る 馬 陰 藏 三 昧 に 入 る と 云 ふ 經 文 を 初 め と し て 理 趣 經 に 於 け る 那 羅 那 哩 娯 樂 比 喩 の 如 き 、 所 謂 隱 密 語 解 釋 の 相 違 よ り し て ト ン デ も な き 猥 縟 窮 ま る 邪 義 の 成 立 と な り、 藤 原 時 代 よ り 鎌 倉 南 北 朝 室 町 時 代 と 、 東 北 、 伊 豆 、 武 藏 、 越 前 、 京 洛 の 地 方 に 隆 盛 を 覩 、 ハ テ ハ 我 が 純 密 の 根 本 道 場 た る 南 嶺 の 學 風 に ま で 侵 染 し 來 り 、 邪 派 聖 典 燒 棄 て ふ 大 騒 動 が 祖 師 の 廟 前 に 行 は る ゝ と 云 ふ 状 態 に ま で 立 ち 臻 つ た こ と は 、 豈 に 啻 だ 獨 り 、 仁 寛 、 眞 慶 、 見 蓮 、 覺 明 、 覺 印 、 弘 眞 、 心 定 、 一 派 黨 徒 の 企 て の み に 非 ら ず 、 ソ コ に は そ の 當 時 社 會 的 欠 陷 に 巓 嵌 す る に 足 る 思 想 上 の 蓮 鑠 が あ つ た の で は あ る ま い か 、 後 出 立 川 流 胚 胎 の 經 典 等 に 關 し て は 大 村 氏 の 近 著 密敎 發 達 志 に 左 の 證 言 を な し て ゐ る 。 金 剛 智 所 譯 雖 此 經 初 稿 既 結 金 剛 愛 欲 契 自 身 染 着 金 剛 妻三卷 斯 思 想 入 理 趣 釋 則 爲 那 羅 那 哩 娯 樂 比 喩 説 二 根 交 會 五 塵 成 大 佛 事 入 瑜 祗 經 則 爲 五 秘 密 瑜 伽 觀 如 第 十 五 會 蓋 專 説 之 縱 令 要 隱 説 密 示 何 爲 必 假 世 間 貪 染 相 應 語 乎 其 遂 至 生 西 藏 喇 嘛敎 及 我 理 趣 末 釋 邪 義 并 立 川 玄 旨 歸 命 等 邪 流 出後 以 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 七 一

(2)

與神

もそも

有罪

眞 言 一 流 是 邪 法 濫 觴 也 ﹂ と あ つ て 立 川 邪 流 の 發祥 地 は 實 に 仁 寛 寺 を 開 祖 と し て 武 藤 國 立 川 に そ の 聲 を 擧 げ て よ り 、 洪 水 の 氾 濫 す る が 如 き 勢 を 以 て 世 の 思 想 界 を 風 靡 す る 有 樣 と な り 、 意 あ る も の を し て 顰 蹙 せ し む る も の あ り し も 時 の 朝 に 權 勢 あ る を 恐 れ て ( 文 觀 の 如 き 傳 、 傳 燈 廣 録 下 二 四 七 ) 反 抗 す る も の な か り し も 敢 然 と し て 立 ち 、 是 等 一 味 の 門 徒 崇 信 の敎 義 に 蜀 し て 一 大 鐵 案 を 加 へ た る は 南 由 義 學 の 大 成 者 宥 快 法 印 と 寳 性 院 快 成 そ の 人 で あ る 、 彼 の 著 、 寳 鏡 鈔 、 快 成 の 邪 正 異 解 集 は 寳 に 正 邪 聖 典 甄 別 に 對 す る 二 大 寳 冊 で あ る 。

(3)

三 斯 く も そ の 陋 弊 汚 風 た る敎 義 が 猛 虎 の 狂 ふ が 如 き 勢 を 以 て 世 に 宣 傳 さ れ た る か に 付 て は 一 面 に 於 て そ の 時 代 社 會 状 態 を 觀 察 す る 必 要 が あ る と 思 ふ 、 平 安 末 期 時 代 よ り し て 鎌 倉 室 町 時 代 へ か け て は 藝 術 家 と し て の 紫 式 部 、 爲 政 家 と し て の 政 子 と 云ふ 如 き 傑 出 せ る 女 性 の 輩 出 し て 、 女 性 人 格 の 向 上 を 皷 吹 せ る 側 ら 巷 間 無 識 の 社 會 に は そ の 思 想 の 誤 認 さ れ 且 つ は 女 性 的 嬌 態 の も て は や さ れ た る 有 樣 は 彼 の 仁 寛 一 派 の 唱 道 す る 宗 義 た る 男 女 陰 陽 の 道 を 以 て 即 身 成 佛 の 秘 術 と す る 宗 風 に 嵌 當 さ れ た る も の に あ ら ざ る か 、 彼 の 小 夜 の ね ざ め 等 に ﹃ 女 と 雖 ど も あ な ど る べ か ら ず 云 々 ﹄ と 云 ふ が 如 き 文 句 を 散 見 す る が 如 き は 女 性 向 上 の 識 見 を 知 る と 同 時 に 社 會 の 一 面 に 女 性 が 巾 を 利 か し た る こ と を 推 知 す る こ と が 出 來 る の で あ る 。 免 に 角 、 こ の 時 代 社 會 の 側 面 は 頽 風 爛 俗 淫 靡 の 風 盛 な り し は 敝 ふ べ か ら ざ る 事 實 で あ る 。 こ の 有 樣 を ば 國 文 學 全 史 六 五 に は ﹃ 鎌 倉 室 町 時 代 に お い て 世 道 人 心 を 支 配 す る 専 制 君 主 た り し 佛敎 も 、 平 安 朝 に お い て は な ほ 社 會 の 道 義 を 律 す る 標 準 と な ら ず 、 儒敎 も い ま だ そ の 勢 力 を 揮 ふ 能 は ず 、 仁 義 五 常 の敎 が 十 分 に 發 達 し て 武 士 道 と 共 に 處 世 の 指 針 と な り し は 、 遙 か に 下 り て 江 戸 時 代 の こ と に 屬 す 、 佛 教 の 光 は 人 間 海 の 浪 の 上 を 照 せ ど も 底 に 沈 め る 魚 に 及 ば ず 、 詩 文 の 花 を 大 宮 人 は も て は や せ ど も 孔 孟 立 教 の 實 は 摘 ま ん と す る も の な し 、 さ ら ば 平 安 貴 族 の 思 想 は 、 何 物 の 感 化 を 得 、 そ の 行 爲 は 如 何 な る敎 に よ つ て 制 御 せ ら れ し か 、 説 く も の は 曰 く 、 當 時 は 宗敎 も 道德 も な し 、 こ れ な き に 非 ら ず と い へ ど も 、 世 人 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 七 三

(4)

密 教 研 究 七 四 は 顧 み ざ る な り 、 無 方 針 、 無 節 制 、 放 縱 、 に し て 淫 靡 な る は 即 ち そ の 結 果 な り 頽 風 爛 俗 そ の よ つ て 來 る と こ ろ を 見 る べ し と ﹄ 云 々 と 如 何 に こ の 時 代 社 會 の 風 潮 が 流 れ 漂 へ る か を 知 る こ と が 出 來 る の で あ る 。 か の 情 念 偏 重 の 社 會 が 成 佛 得 道 の 秘 法 は 男 女 陰 陽 の 關 係 を お い て 外 に 亦 更 ら に 求 道 得 佛 の 秘 法 あ る こ と な し と す る 宗 風 と 合 致 し 得 ず し て 止 ま ぬ こ と 柄 に な り 果 つ 可 き も の で な い こ と は 是 等 の 事 實 を 以 て 知 る こ と が 出 來 る と 思 ふ 。 こ の 風 潮 に 對 し て 鐵 槌 を 降 し た る も の は 寳 鏡 鈔 并 に 邪 正 異 解 集 で あ る 。 四

宿

功德

﹃諸

退

る敎

(5)

る 佛 を 本 尊 と し た の だ ら う か は 、 我 等 の 一 瞥 を 試 み た る 處 で あ る が 今 は 現 存 聖敎 の 稀 な る 爲 め に 是 れ 等 内 容 の 詳 細 を 究 め 、 そ の 宗 格 を 巨 細 に 研 覈 す る こ と が 出 來 ぬ の で あ る 。 故 に そ の 時 代 に 世 に 流 布 し て ゐ た と 傳 へ ら れ る 邪 流 聖 典 目 録 を 列 記 し て 如 何 に 多 數 の 聖敎 が 宣 傳 流 行 さ れ た か を 知 る を 共 に 、 現 存 聖 教 心 定 著 破 邪 歸 正 法 鈔 并 に 五 色 阿 字 等 に 依 つ て 聊 か そ の 大 綱 を 記 述 し て 觀 や う と 思 ふ の で あ る 。 五 五 種 類 本 の 立 川 聖 教 目 録 ( 一 ) 受 御 用 心 集 中 に 顯 は れ た る 聖 教 一 、 五 藏 皇 體 經 五 卷 一 、 妙 阿 字 經 三 卷 一 、 眞 如 眞 實 相 經 二 卷 以 上 三 部 經 に し て 倶 に 一 行 の 譯 と 云 ふ 一 、 七 甜 滴 變 化 自 在 陀 羅 尼 一 卷 一 、 有 相 無 相 究 意 自 在 陀 羅 尼 經 一 卷 一 、 藥 法 式 衍 經 一 卷 以 上 三 部 經 共 に 不 空 三 藏 の 譯 と 云 ふ 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 七 五

(6)

密 教 研 究 七 六 一 、 如 意 寳 珠 經 一 卷 一 、 遍 化 經 一 卷 一 、 無 相 實 相 經 一 卷 以 上 三 部 經 共 に 長 三 藏 の 譯 云 々 (長 は 不 空 の 誤 寫 か ) 一 、 一 心 内 成 就 論 一 卷 一 、 赤 蓮 花 經 、 白 蓮 花 經 、 寳 冠 陀 羅 尼 經 、 菊 蘭 童 子 經 、 權 現 納 受 經 、 房 内 不 動 經 、 變 成 就 陀 羅 尼 經 、 都 八 十 卷 は 内 の 三 部 經 と 云 々 以 上 の 經 論 を 顯 明 せ る 秘 口 傳 集 百 廿 卷 一 、 灌 頂 修 行 記 三 卷 一 、 灌 頂 印 信 血 脉 并に 相 傳 日 記 (二 ) 寳 鏡 鈔 中 に 於 け る 僞 書 目 一 、 堀 出 の 法 一 、 飛 行 自 在 の 法 一 、 渡 天 の 大 事 一 、 手 足 不 二 の 大 事

(7)

一 、 御 入 定 の 大 事 一 、 即 身 成 佛 經 一 、 菩 提 心 經 一 、 文 殊 虚 空 藏 經 一 、 法 出 經 一 、 眞 言 出 現 本 地 偈 秘 肝 抄 一 、 關 東 方 御 流 三 寳 院 流 一 、 高 祖 大 師 の 法 一 、 醍 醐 三 尊 帳 の 大 事 一 、 隨 心 金 剛 法 一 、 圓 満 抄 一 、 阿 字 觀 三 十 重 の 口 決 一 、 心 王 心敎 灌 頂 一 、 十 八 會 灌 頂 一 、 我 友 之 六 月 抄 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 七 七

(8)

密 教 研 究 七 八 三 、 椋 袋 二 經 一 論 の 大 事 已 上 は 天 文 十 四 年 三 月 晦 日 於 寳 西 部 屋 書 之 宥 賢 と あ る 寳 鏡 鈔 の 目 六 に し て 明 暦 三 年 丁 酉 正 月 吉 旦 印 版 紀 南 山 書 林 永 寧 坊 よ り 出 で た う も の と は 少 し の 相 違 あ り 、 天 文 十 三 年 は 三 百 八 十 餘 年 前 に 當 る 。 (三 ) 立 川 正敎 目 録 成 雄 口 (深 盛 寫 得 本 に 依 る ) 弘 法 大 師 秘 録 外 目 録 一 、 蘇 乞 史 麼 法 經 二 卷 儀 軌 一 卷 一 、 大 轉 法 輪 法 經 二 卷 儀 軌 一 卷 不 空 口 傳 三 帖 一 、 二 十 五 輪 法 經 三 卷 儀 軌 一 卷 論 一 卷 不 空 譯 一 、 五 瓶 躰 法 本 經 瑜 祗 經 一 、 笠 懸 法 經 三 卷 儀 軌 共 不 空 譯 論 一 卷 龍 樹 譯 一 、 烏 翅 法 經 三 卷 儀 軌 一 卷 不 空 譯 一 、 肥 馬 口 法 經 二 卷 儀 軌 一 卷 不 空 譯 一 、 五 瑜 伽 法 千 手 敬 愛 法 本 經 一 、 風 切 法 經 一 卷 儀 軌 一 卷 羅 什 譯 一 空 海 大 師 説 白 表 紙 二 帖 黄 表 紙 二 帖

(9)

一 訶 羅 二 字 釋 口 傳 六 帖 一 、 小 野 仁 海 作 大 内 儀 小 内 儀 二 帖 一 、 薄 雙 紙 厚 雙 紙 二 帖 一 、 不 動 愛 染 陰 形 法 祕 密 行 法 一、 後 夜 加 持 法 蘇 馮 法 一 、 鐵 塔 相 承 法 龍 女 獻 珠 法 一 、不三 寸 法 非 相 天 法 一 、 愛 染 王 三 點 如 意 室 珠 法 一 、 萬 法 極 意 經 儀 軌 一 卷 一 、 一 切諸 法 功德 皆 入 決 定 成 就 經 儀 軌 一 、 一 切 惡 業 消 滅 順 次 往 生 經 一 、 大 毘 盧 遮 那 大 鵝 經 併 儀 軌 一 、 大 鵝 密 法 一 一 心 灌 頂 口 決 付 不 動 一 、 金 薩 捶 肝 述 己 上 四 帖 併 口 傳 等 一 、 大 鵝 灌 頂 血 脈 相 承 具 書 等 也 立 川 流 聖 典 目録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 七 九

(10)

(明

)

退

、●

(11)

一 、 瑜 祗 一 印 會 行 法 次 第 七 人 手 記 云 云 一 、 大 智 度 摩 精神 寳 萬德 衍 經 上 下 一 、 寳 鈴 靈 魄 建 立 秘 密 陀 羅 尼 一 座 一 、 頓 成 無 邊 智福 圓 滿 經 一 、 炎 魔 天 深 秘 口 決 并 儀 軌 一 卷 一 、 訶 羅 枳 哩 反 成 經神 樂 法 一 、 半 足 行 法 一 、 大 吽 字 經 一 卷 并 儀 軌 一 、 世 間 宿 無 量 經 一 卷 儀 軌 一 、 愛 染 明 王 瑜 祗 一 卷 儀 軌 一 、 死 蕉 明 王 經 一 卷 儀 軌 一 、 無 行 經 一 、 不 動 愛 染 一 體 和 合 經 一 、 大 日 密 身 經 一 、 両 頭 式神 法 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 八 一

(12)

密 教 密 究 八 二 一 、 三 角 寳 塔 大 日 密 身 和 合 灌 頂 本 經 一 、 内 三 部 經 一 、 五 藏 皇 帝 經 五 卷 一 、 妙 阿 字 經 三 卷

己 上 十 卷 一 行 譯 口 決 十 帖 有

(13)

一 、 反 成 就 功德 名 義 口 決 一 、 一 座 成 就 愛 染 王 建 立 次 第 一 、 蘇 鳴 秘 事 愛 染 王 秘 事 一 、 佛 龍 寺 善 女 龍 王 牛 頭 口 決 一 、 舍 利 深 秘 口 決 三 亭 厨 法 經 一 、 導 勝 佛 深 秘 口 決 一 、 反 成 就 取 第 一 本 尊 口 決 一 、 五 佛 秘 事 五 藏 秘 事 一 、 一 切 男 女 五 躰 顯 五 佛 身 即 成 佛 經 一 、 大 功德 圓 滿 知 死 經 一 、 權 現 納 受 隨 善 功德 圓 滿 經 一 、 第 八 識 與 第 九 識塚 口 決 一 、 刀 時 念 誦 次 第 一 、 一 生 一 度 決 定 住 生 秘 印 口 決 一 、 菊 蘭 十 五 條 内 取 極 秘 密 口 決 二 帖 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 八 三

(14)

使

萬福

三和

(15)

一 、 叱 枳 尼 天 百 八 呪 秘 術 秘 傳 一 、 須 叟 成 就 經 刹 那 成 就 經 一 、 一 時 千 歳 法 下 妻 法 等 形 法 一 、 七 日 生 中 在 本 尊 知 事 一 、 三 亭 厨 法 經 秘 決 一 、 訶 羅 吉 哩 引 變 成 口 決 一 、 鳥神 經 秘 決 死 雀 經 秘 決 一 、 不 動 源 理 論 一 、諸神 聊 願 成 就 取 極 死 期 傳 一 、 不 動 愛 染 秘 密 深 法 經 一 、 頓 成 悉 地 敬 愛 秘 術 口 傳 一 、 三 部 合 行 灌 頂 滅 授 傳 一 、 奉 始 住 吉諸 大神 授 職 灌 頂 檀 樣 一 、 旁 起 文 威 儀 相 等 一 、 取 極 甚 深 秘 々 中 深 秘 口 決 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 八 五

(16)

王淸

殿

(

)

サリ﹂

傳法灌

可印

一 、 四 極 秘 密

一 、 五 即 身 成 佛

一 、 六 法 性 塔

(17)

一 、 七 瑜 祗 三 重

.

一 、 十 即 身 成 佛 法 -{

一 、 一諸 尊 心 數 目 録 心 數 中 心 王 分 又 云 心 王 中 心 數 一 、 日 月禮 秘 法 光 明 眞 言 大 事 五 一 、 即 身 義 大 事 三 國 相 承 文 一 、 四 威 儀 法 秘 三 身 印 明 一 、 酋 酋 寳 筐 三 寳 院 一 、 二 印 大 事 傳 法 八 印 一 、 沐 浴 灌 頂 引 會 誦 法 蘇 悉 地 別 傅 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 八 七

(18)

密 教 研 究 八 八 一 、 四 悟 業 心 第 三 一 、 臨 終 大 事 小 島 一 、 不 二 曼 茶 羅 第 三 秘 決 酋 酋 一 、 彳 入 宀 大 事 觀 圓 護 摩 印 信 阿 字 觀 羅 哦 一 印 三 明 秘 口 別 傳 一 、 愛 染 明 王 羅 哦 一 印 三 明 大 事 別 傳 一 、 吽 離 作 愛 染 一 印 三 明 事 一 、 愛 染 王 略 行 法 愛 染 王 五 秘 密 一 、 羅 哦 句 茂 愛 染 王 秘 決 一 、 日 珠 秘 法 漫 訶 羅 哦 大 事 一 、 都 法 愛 法 愛 染 大 事 一 、 不 動 明 王 智 奉 印 大 事 一 、 能 延 六 月 大 事 同 不 動 六 道 大 事 一 、 文 不 動 文 事 除 斷 魔 苦 秘 法 一 、 綬 七 日 信

(19)

不 動 別 傳 不 動 鈴 別 傳 一 、 求 聞 持 求 聞 持 別 傳 一 、 七 日 成 就 三 種 寳 秘 決 一 、 三 尊 合 行 求 聞 持 十 日 成 就 一 、 求 聞 持 灌 頂 求 聞 持 七 重 大 事 灌 頂 一 、 綬 夜 念 誦 法 チ ヤ ン ツ 口 決 一 、 散 枝 事 明 星 拜 秘 一 、 求 聞 持 秘 法 一 、 荵 神 一 、 大 恵神 供 次 第 秘 恵神 秘 一 、 恵神 秘 決 耕 祈 灌 頂 一 、 恵神 秘 呪 恵神 灌 頂 一、 現 行 恵神 供 一 、 ○ 五 秘 密 一 、 五 秘 密 大 事 五 秘 密 曼 荼 羅 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 八 九

(20)

密 教 研 究 九 〇 一 、 五 秘 密 大 事 秘 口 五 秘 密 印 信 一 、 五 秘 密 灌 頂 理 趣 經 曼 荼 羅 一 、 理 趣 灌 頂 林 具 灌 頂 一 、 密 印 口 決 實 惠 僧 都 御 傳 一 、 五 秘 密 理 趣 經 水 丁 一、 菩 提 心 論 一 、 菩 提 心 論 大 事 菩 提 心 論 印 可 一 、 菩 提 心 論 灌 頂 菩 提 心 論 惣 大 事 一 、 菩 提 心 論 灌 頂 八 通 一 、 ○ 心 經 一 、 心 經 秘 法 十 萬 卷 心 經 秘 一 、 心 經 秘 法 心 經 秘 印 一 、 ○諸 神 一 、神 祗 灌 頂 伊 勢 灌 頂 一 、諸 社 大 事神 法 樂 呪

(21)

一 、 招 魂 龍神 法 密 一 山 一 、 招 魂 法 延 令 招 魂 作 法 一 、 ○ 三 衣 一 、 三 衣 大 事 三 衣 灌 頂 一 、 五 色 袈 裟 灌 頂 五 色 衣 大 事 三 衣 圖 三 衣 一 鉢 法 別 傳 一 、 ○ 無 量 壽 大 事 一 、 無 量 壽 大 事 菴 彌 他 水 丁 一 、 千 手 灌 頂 如 意 輪 七 重 大 事 一 、 訶 灌 頂 六 地 藏 灌 頂 一 、 ○ 御 即 位 一 、 職 位 灌 頂 事 御 即 位 某 一 一 、 東 寺 御 即 位 印 明 一 、 ○諸 大 事 法 花 灌 頂 靈 一 、 金 愛 如 三 合 法 花 灌 頂 印 信 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 九 一

(22)

密 教 研 究 九 二 一 、 法 花 大 事 別 傳 一 、 仁 王 經 大 事 疫 病 消 除 秘 代 一 、 病 者 加 持 守 書 秘 口 事 一 、 不 簡 善 惡 日 法 封 事

一 、 ○諸 天 一 、 聖 天 大 事 大黑 大 事 一 、 辨 財 天 七 重 毘 沙 門 天 一 、 雙 身 印 明 秘 一 、 吉祥三天 四 身 事 一 、 聖 天 灌 頂 印 明 灌 頂 本 有 一 、 ○ 文 珠 一 、 五 字 大 事 六 字 大 事 一 、 一 字 大 事 文 珠 惣 灌 頂 一 、 文 殊 惣 大 事 五 字 文 珠 灌 頂

(23)

一 、 悉 陀 鑁 一 、 悉 陀 鑁 初 重 等 至 悉 陀 鑁 第 二 ⋮ 一 、 心 陀 鑁 第 三 ⋮ 心 陀 鑁 第 四 ⋮ 一 、 心 陀 鑁 第 五 ⋮ 心 陀 鑁 大 事 第 六 ⋮ 一 、 心 陀 鑁

一 、 鐃 鉢 印 明 東 鐃 鉢 印 明

一 、 心 陀 鑁 三 印 明 一 、 染 淨 始 覺 上 轉 之 明 事 別 傳 一 、 釋 論 二 十 七 通 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 九 三

(24)

密 教 研 究 九 四 一 、 釋 論 大 事 血 脉 釋 論 口 傳 大 御 室 一 、 國 字 輪 事 釋 論 灌 頂 一 、 釋 論 根 本 無 明 斷 事 一 、 大 日 經 三 十 五 品 大 事 一 、 金 剛 頂 大 事 一 、 蘇 悉 地 經 大 事 一 、 秘 經 十 二 品 大 事 一 、 二敎 諭 口 傅 寳 論 口 決 秘 健 口 決 一 、諸 口 決 實 佛 與 魔 異 事 一 、 大 塔 五 佛 樣 東 寺 講 堂 等 事 一 、 取 勝 請 雨 等 大 事 一 、 正 念 藥 方 秘 密 一 。 大 元 血 脉 四 種 本 尊 一 、 秘 法 大 法 名 字 分 別 以 上

(25)

以 上 の 外 、 明 暦 二 年 丙 申 五 月 吉 辰 出 版 賢 鏡 鈔 中 附 録 の 立 川 聖敎 目 録 あ り 、 こ れ は 任 寛 阿 闍 梨 目 録 、 深 盛 寫 得 本 と 同 樣 故 記 載 せ ず 。 五 ( ) 現 存 目 録 予 所 持 に か ゝ る 分 のみ 、 立 川 流 に 關 す る 書 目 一 、 寳 鏡 鈔 一 卷 天 文 十 四 年 三 月 晦 日 宥 賢 書 寫 本 一 、 寳 鏡 鈔 一 卷 明 暦 二 年 丙 申 五 月 吉 辰 版 一 、 邪 正 異 解 集 一 卷

廿四

實尊

祿

廿

一 、諸 口 傳 集 上 下 二 卷

一 、 中 間 記 一 卷

一 、 阿 吽 字 義 一 卷 元 祿 十 年 丁 丑 仲 秋 日 出 版 一 、 立 川 流 五 色 阿 字 一 紙 私 云 立 川 曼 荼 羅 か 一 、 邪 流 破 釋 眞 源 御 口 一 紙 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 九 五

(26)

密 教 研 究 九 六 以 上 明 治 四 十 三 年 三 月 卅 一 日 寫 得 了 一 、 立 川 正敎 目 録 一 卷 快 成 御 口 深 盛 寫 得 一 、 立 川 目 録 一 軸 任 寛 阿 闍 梨 云 々 寫 得 年 代 未 詳 一 、 破 邪 歸 正 法 鈔 上 下 一 卷 文 永 七 年 誓 願 房 著 六 立 河 流 宗 格 内 容 の 大 綱 を 記 述 せ る 受 法 用 心 集 は そ も 如 何 な る 人 の 著 作 で あ る か と 云 ふ こ と は 、 邪 義 内 容 を 記 す 前 に 一 言 を 費 し 置 く 必 要 が あ る 。 こ の用 心 集 は 、 今 を 去 る 七 百 六 年 前 順德 帝 建 保 三 年 に 越 前 の 國 に 産 れ た 、 心 定 誓 願 房 が 文 永 七 年 に 著 述 し た も の で あ る 。 秘 密 御 門 上 卷 二 十 丁 豊 原 寺 誓 願 房 法 諱 心 定 人 王 八 十 四 代 順德 帝 建 保 三 乙 亥 年 將 軍 實 朝 治 世 越 前 國 産 矣 。 大 血 脉 加 茂 如 實 の 下 受 法 人 誓 願 號 圓福 寺 心 定 上 人 越 前 豊 原 云 々 と も あ る 。 こ の 誓 願 が 如 何 な る 人 々 よ り 受 注 し た か と い ふ に 用 心 集 上 卷 に 由 つ て 圖 示 し て 見 る と 、 十 八 歳 よ り 五 十 四 歳 に 至 る 三 十 七 年 間 に 越 前 越 中 、 京 都 方 面 に 於 て 蓮 重 、 英 豪 、 阿 聖 、 道 源 、 弘 阿 彌 陀 佛 、 快 賢 等 よ り 種 々 雜 多 の 法 流 口 傳 を 受 け て ゐ る 。 年 代 受 法 師 匠 歳 法 流 受 法 場 處

-蓮

大德

廿

廿

廿

(27)

帖-嘉

廿

廿

大德

廿

-建

そ の 他 稻 荷 、淸 水 、 嵯 峨 邊 の 立 河 流 の 行 者 に 付 て 受 法 あ り 。

七 三 十 七 年 間 、 あ ら ゆ る 正 邪 混 亂 の 明 匠 に 隨 身 し て 修 得 し た る 彼 等 の 執 し て 正 法 と す る 立 河 一 流 の 宗 要 は 何 れ に あ る か と 云 ふ に 、 上 記 目 録 中 に あ る 三 部 經 と 稱 す る 經 典 を 以 て 本 據 と し て ゐ る 。 用 心 集 に 記 す 處 に 據 る と ﹁ 此 經 ノ 文 ニ ハ 女 犯 ハ 眞 言 一 宗 ノ 肝 心 即 身 成 佛 ノ 至 極 ナ リ 、 若 シ 女 犯 ヲ ヘ ダ ツ ル 念 ヲ ナ サ バ 成 佛 ノ 道 ヲ 遠 カ ル ベ シ、 肉 食 ハ諸 佛 菩 薩 ノ 内 證 利 生 方 便 ノ 玄 底 ナ リ 、 若 シ 肉 食 ヲ 嫌 フ 心 ア ラ バ 生 ト 死 ヲ 出 ル 門 ニ 迷 ベ シ 、 サ レ バ 淨不 淨 ヲ モ 不 可 嫌 、 女 犯 肉 食 ヲ モ 擇 ベ ブ カ ラ ズ 、 一 切 ノ 法 皆 ナ淸 淨 ニ シ テ 速 ニ 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 九 七

(28)

密 教 研 究 九 八 即 身 成 佛 ス ベ キ 旨 ヲ 説 ク ﹂ と 記 し 、 寳 鏡 鈔 に も ﹁ 見 其 宗 義 者 以 男 女 陰 陽 之 道 爲 即 身 成 佛 之 秘 術 成 佛 得 道 之 法 無 此 外 ﹂ 云 々 三 部 經 の 内 容敎 格 も か く も 淫 逸 放 縱 に 宣 揚 さ れ て は 唾 棄 す る 外 な い 、 女 犯 肉 食 を 以 て 得 道 の 肝 要 玄 旨 と す る敎 格 を 有 す る 此 の 一 流 は 如 何 な る 物 を 本 旨 と し て 如 何 な る 作 法 を 取 り 行 ひ 來 れ る か は 讀 者 の 好 奇 心 を 唆 る に 足 る 問 題 で あ ら ね ば な ら ん 。 七 讀 者 は 既 に そ の敎 旨 を 知 る こ と を 得 た の で あ る か ら 次 に そ の 作 法 を 記 す こ と に す る 。 ﹁ 此 ノ 邪 法 修 行 ノ 作 法 ト 者 彼 法 ノ 秘 口 傳 云 ク 、 此 秘 法 ヲ 修 行 シ テ 大 悉 地 ヲ 得 ン ト 思 ハ ミ 本 尊 ヲ 建 立 ス ペ シ 、 女 人 ノ 吉 相 ノ 事 ハ 今 註 ス ル ア タ ハ ズ 其 ノ ミ ソ キ ト 云 ハ 髑 髏 也 此 ヲ 取 ル ニ 十 種 ノ 不 同 ア リ 一 ニ ハ 智 者 二 ニ ハ 行 者 三 ニ ハ 國 王 四 ニ ハ 將 軍 五 ニ ハ 大 臣 六 ニ ハ 長 者 七 ニ 父 母 八 ニ 母 九 ニ 千 頂 十 ニ 法 界 髏 也 此 十 種 ノ 中 ニ 八 種 ハ 知 リ 易 シ 、 千 頂 ト 云 ハ 千 人 ノ 髑 髏 頂 上 ヲ 取 リ 集 メ テ コ マ カ ニ 末 シ テ マ ロ メ テ 本 奪 ヲ 作 也 、 法 界 髑 ト ハ 重 陽 ノ 日 死 陀 林 ニ イ タ リ テ 數 多 ノ 髑 髏 ヲ 集 メ ヲ キ 、 日 々 ニ 行 テ 叱 枳 尼 ノ神 呪ヲ 誦 ジ 加 持 ス レ バ 下 ニ 置 ケ ル カ 常 ニ 上 ニ ア カ リ テ 見 ユ ル ヲ 取 ル ベ キ 也 或 ハ 霜 朝 ニ ユ キ テ 見 ル ニ 霜 ノ ヲ カ ザ ル ヲ 取 ル ベ シ 或 ハ 其 ノ 中 ニ カ ウ ベ ノ ヌ ヰ メ ナ キ 髑 髏 ヲ 取 也 、 是 等 ノ 十 種 ノ 頭 ノ 中 二 何 レ ニ テ モ 撰 取 テ 本 尊 ヲ 建 立 ス 可 シ 、 是 ヲ 建 立 ス ルニ三 種 ノ 不 同 ア リ 一 ニ ハ 大 頭 、 二 ニ ハ 小 頭 、 三 ニ ハ 月 輪 形 也 、 大 頭 ハ 本 髑 髏 ヲ ハ タ ラ カ サ ス シ テ 、 ヲ ト カ イ ヲ 造 、 舌 ヲ 造 、 齒 ヲ ッ ク リ テ 骨 ノ 上 ニ 麥 染 ニ テ 、 コ ク ソ ヲ カ ヒ テ 生 身 ノ シ ・ ム ラ

(29)

ノ 樣 ニ ヨ ク ミ ニ ク キ 所 ナ ク 、 シ タ チ ヲ 造 リ 定 ム ヘ シ 、 其 上 ヲ ヨ キ ウ ル シ ニ テ ヨ クヨク ヌ リ テ 箱 ノ 中 ニ 納 メ 置 キ 、 カ タ ラ ヒ ヲ ケ ル 好 相 ノ 女 人 ヲ ○ ○ シ テ 其 ノ ○ ○ ○ ○ ヲ 此 ノ 髑 髏 ニ ○ ○ ス ル 事 百 二 十 度 ○ ○ カ サ ヌ ベ シ 、 毎 夜 ノ 子 丑 ノ 時 ニ ハ 反 魂 香 ヲ 燒 キ テ 其 ノ 嬬 ヲ ア ッ ベ シ 反 魂 眞 言 ヲ 誦 セ ン 事 千 反 ヲ 滿 ベ シ 、 如 是 シ テ 數 日 皆 ヲ ハ リ ナ バ 、 髑 髏 ノ 中 ニ 種 々 ノ 相 應 物 並 ニ 秘 密 ノ 符 ヲ 書 テ コ ム ベ シ 、 是 等 ノ 支 度 ヨ クヨク 定 ラ バ 頭 ノ 上 ニ 銀 薄 ト 金 薄 ト ヲ 各 三 重 ニ ヲ ス ベ シ 、 其 上 ニ 曼 荼 羅 ヲ カ ク ベ シ 、 曼 荼 羅 ノ 上 ニ 金 銀 薄 ヲ 、 ス ベ シ 、 如 前 其 上 ニ 又 曼 荼 羅 ヲ カ ク ヘ シ 、 如 是 押 重 ネ 書 キ 重 サ ヌ ル 事 畧 分 ハ 五 重 、 中 分 ハ 十 三 重 、 廣 分 ハ 百 二 十 重 ナ リ 、 薄 ヲ 押 テ 曼 荼 羅 ヲ カ ク 事 皆 男 女 ○ ○ ノ ○ ○ ヲ モ テ ス ベ シ 、 舌 唇 ニ ハ 朱 ヲ サ シ 、 齒 ニ ハ 銀 薄 ヲ 押 シ 、 眼 ヲ バ 畫 ノ 具 ニ テ ワ コワコ ト ウ ツ ク シ ク 彩 色 ヲ ス ベ シ 、 或 ハ 玉 ヲ モ テ 入 レ 眼 ニ 瓜 面 貌 ハ シ ロ キ 物 ヲ ヌ リ ベ ニ ヲ 付 テ ミ メ ヨ キ 美 女 ノ 形 ノ 如 シ 或 ハ 童 子 ノ 形 ノ 如 シ 、 面 貌 ノ 相 好 ニ ョ リ テ 物 ヨ ク 物 ア シ ク モ 有 ル 事 ナ レ バ カ マ ヘ テ ウ ッ ク シ ク シ テ 醜 キ 所 ナ 之福 相 ニ シ テ 貧 相ナ ク ヱ メ ル ヵ ホ ニ シ テ イ カ レ ル 形 ナ ク ス ベ シ 如 是 造 リ 立 ル 間 人 ノ カ ヨ ハ ヌ 西 道 場 ヲ 構 ヘ テ 種 々 美 物 酒 ヲ ト ・ ノ ヘ テ 細 工 ハ ○ ○ ト ○ ○ ノ 外 ハ 人 ヲ 不 入 愁 ル 心 ナ ク シ テ 、 タ ノ シ ミ 遊 デ 正 月 ノ 三 日 ノ 如 ク イ ハ ヒ テ 言 ヲ モ 振 舞 ヲ モ タ ヤ ス カ ラ ズ シ テ 造 ル ベ シ 、 既ニ 造 立 ツ レ バ 壇 ノ 上 ニ ス エ テ 山 海 ノ 珍 物 魚 鳥 兎 鹿 ノ 供 具 ヲ ソ ナ ヘ 反 魂 香 ヲ 燒 キ 種 々 ニ マ ツ リ 行 ス ル コ ト 子 丑 寅 ノ 三 時 ナ リ 卯 ノ 時 ニ 望 マ バ 錦 ノ 袋 七 重 ノ 中 ニ ッ ・ ミ 籠 ム ベ シ コ メ テ ヨ リ 後 ハ タ ヤ ス ク 開 ク 事 ナ シ 、 其 後 ハ 夜 ハ 行 者 ノ ハ タ ヘ ニ ソ ヘ テ ア タ ヽ メ 晝 ハ 壇 ニ ス エ テ 美 物 ヲ 集 テ ヤ シ ナ イ 行 ベ シ 、 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 九 九

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密 教 研 究 一 〇 〇 晝 夜 ニ 心 ニ カ ケ テ 餘 念 ナ カ ル ベ シ 、 如 是 イ ト ナ ム 事 七 年 ユ 至 ル ベ シ 、 八 年 二 成 ヌ レ バ 行 者 ニ 悉 地 ヲ 與 フ ベ シ 上 品 ニ 成 就 ス ル 者ハ 此 本 尊 言 ヲ 出 シ テ 物 語 リ 三 世 ノ 事 ヲ 告 テ ナ ト ラ シ ム 故 二 是 ヲ 聞 テ 振 舞 ヘ ル 事 神 通 ヲ エ タ ル ガ 如 シ 中 品 ニ 成 就 スル 者 ハ 夢 中ニ一 切 ノ 事 ヲ 告 ク 下 品 ニ 成 就 ス ル 者 ハ 夢 ウ ッ 丶 ノ 告 ハ ナ ケ レ ト モ 一 切 ノ 所 望 心 ノ 如 ク 成 就 ス ベ シ 、 二 ッ ニ 小 頭 ト ハ 大 頭 ハ 持 シ ニ ク キ 故 ニ 大 頭 ノ 頂 上 ヲ 八 分 ニ キ リ テ 其 ノ 骨 ヲ 面 像 ト シ テ 靈 木 ヲ モ テ 頭 ヲ 作 リ 具 シ テ 薄 ヲ 押 シ 曼 荼 羅 ヲ カ キ ○ ○ ○ ヲ ヌ リ 相 應 物 秘 符 ヲ コ メ 面 顏 ヲ カ サ ル 事 如 前 、 書 夜 頸 ニ カ ケ テ 養 ヒ 供 養 ス ル 事 モ 如 前 、 三 ニ 月 輪 形 者 大 頭ノ 頂 上 若 ハ 眉 間 等 ヲ 如 前 取 リ テ 大 頭 ノ 中 ナ ル 腦 ノ フ ク ロ ヲ ヨ ク ア ラ ヒ 月 輪 形 ノ ウ ラ ニ 麥 染 ニ テ フ セ テ 其 ノ 中 ニ 種 々 ノ 相 應 物 ヲ コ ム ル 事 皆 以 テ 如 前 ノ 月 輪 ノ 面 ニ 行 者 持 念 ノ 本 尊 ヲ 晝 ノ 具 ニ テ カ ク ベ シ 朱 ヲ ナ ス ベ シ 、 既 ニ シ タ チ ナ バ 女 ノ ○ ○ ニ ○ ○ ○ 絹 ニ テ 九 帖 ノ 袈 裟 ヲ 作 ツ テ ッ ヽ ム ベ シ 九 重 ノ 桶 ノ 中 ニ 入 テ 七 重 ノ 錦 ノ 袋 ニ 入 テ 頭 ニ カ ケ テ 持 念 ス ル 事 如 前 、 凡 ソ 始 メ 髑 髏 ヲ 取 ル 作 法 ヨ リ ヲ ワ リ 建 立 シ キ ワ ム ル ニ 至 テ 種 々 ノ 異 説 種 々 ノ 故 實 に 傳 ア リ ﹂ 云 々 と 七 八 年 の 長 日 月 を 要 し て 三 品 の 悉 地 を 得 て神 通 自 在 に な る こ と を 覺 し 、 そ の 行 儀 作 法 悉 く 男 女 關 係 を 一 貫 し て ゐ る こ と は 注 目 に 値 ひ す る も の で あ ら ね ば な ら ん 、 且 つ 彼 等 が 即 身 成 佛 の 極 致 と す る 男 女 關 係 の 本 尊 を ば 髑 髏 を 男 女 の ○ ○ よ り ○ ○ し て 成 し 得 た る 髑 髏 本 尊 に 求 む る 思 想 は そ も 何 れ よ り 來 れ る も の で あ ら う か 。 八

(31)

髑 髏 本 尊 に 關 連 し て 思 ひ 出 す は 古 代 埃 及 民 族 の 思 想 で あ る 、 彼 の 地 に 旅 行 す る 人 力 を し て 驚 か し む る ビ ラ ミ ッ ト の 遺 物 に 由 つ て 象 徴 さ れ て い る 古 代 埃 及 民 族 が 人 間 一 度 死 す る と も 魂 魄 が 再 び 還 源 す て ふ 思 想 よ り 廣 大 な る 死 屍 保 存 の 方 法 を 講 じ た る と 云 ふ 魂 魄 再 還 の 思 想 と 髑 髏 本 奪 の 思 想 は 稍 々 關 連 し て い る の で あ る 。 用 心 集 に 、 衆 生 の 身 中 に は 三 魂 七 魄 と て 十 種 の神 心 あ り と 述 べ 。 命 終 の 時 、 三 魂 は 去 つ て 娑 婆 世 界 に 主 を 受 け 、 七 魄 は 此 の 世 に 留 ま つ て 本 骸 を 守 る 、 鬼神 と な る も の に し て 世 間 往 々 夢 に 見 、 物 に た ゝ る と 云 ふ は 皆 な 此 の 魄 鬼神 の 所 行 で あ る か ら 人 々 こ の 骸 骨 を 取 り 供 養 す れ ば 行 者 の 所 望 に 隨 つ て 幅 徳 を 得 る も の で あ る と 説 き 示 し て い る 處 な ど は 陰 陽 師 の 言 議 に し て 支 那 民 族 思 想 系 統 の 一 面 を も 觀 取 す る こ と が 出 來 る 、 猶 ほ こ の 上 に 髑 髏 の 威 力 を增 長 せ し め ん が た め に 曼 茶 羅 と 秘 符 を 説 い て い る 。 そ の 曼 荼 羅 と は 五 色 阿 字 に よ れ ば 左 の 通 り

立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 一 〇 一

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密 教 研 究 一 〇 二 以 上 は 線 に よ り て そ の 大 畧を 示 せ る の み 如 是 の 曼 荼 羅 を 使 用 し 反 魂 の 眞 言 乃 至 叱 呪 尼 の神 呪 を 誦 じ て 威 力增 長 の 行 用 す る 時 は 通 力 自 在 は 勿 論 、 有 漏 の福德 等 欠 減 あ る こ と な し と 説 示 す る の で あ る 。 九 か く 髑 髏 を 本 尊 と し 、 曼 荼 羅 秘 符 に 依 て 供 養 し 威福增 長 す る 時 に 、 三 魂 七 魄 の 二 諦 和 合 し て 衆 生 生 身 出 生 す る 種 子 と な る こ と を 説 き て 我 等 が 輪 廻 生 成 の 理 法 は 二 諦 を 髑 髏 に ○ ○ す る こ と に よ り て の み 獲 る こ と を 唱 へ て い る 。 今 そ の 生 成 の 理 法 を 用 心 集 に は ﹁ 魂 ヲ ハ ヲ タ マ シ ヰ ト 云 ヒ 魄 ヲ ハ メ タ マ シ イ ト 云 フ 陰 陽 想 應 セ サ レ ハ 生 身 ト ナ リ 難 シ 、 陰 陽 ヲ 想 應 シ テ 生 身 ト ナ サ ム 爲 也 コ ノ 故 ニ ○ ○ ○ ヲ ○ ○ ス ル 間 ニ 女 人 ヲ 懐 姙 セ サ セ ン ト ス ル 也 若 百 二 十 度 ○ ○ ○ ニ 懐 姙 セ ス ハ 其 後 ハ カ ス ヲ 定 メ ス 懐 姙 ヲ 期 ト シ テ ヌ ル ヘ シ 正 シ ク 子 タ ネ ノ ○ ○ ヲ ○ ○ シ テ 三 魂 髑 髏 ノ 七 魄 ニ 相 應 セ シ メ ン 爲 ナ リ ﹂ 云 々 と 述 べ 、 三 魂 七 魄 本 尊 が 衆 生 生 成 の 理 法 と 稱 す る 如 き は 考 へ ん と 欲 し て も 考 へ 能 は ざ る も の に し て 、 む し ろ 滑 稽 に 屬 す る の 觀 あ り と 云 ふ べ く 、 加 之 こ の 髑 髏 本 尊 成 就 し て 生 身 と な り 、 行 者 と 物 語 り す る 場 合 に は 七 佛 の 形 に よ り て 顯 現 す る 時 あ り 、 叱 呪 尼 法 の 七 野 干 の 形 に 現 ず る こ と あ り 、 支 那 道 士 簿 中 の 高 大 夫 傳 中 に あ る が 如 き 形 像 に て 顯 現 す る あ り 、 西 域 記 馬 鳴記事 の 因 縁 の 如 く 、 俊賴 の 口 傳 因 縁 に あ る が 如 き 形 に て 現 ず る こ と あ り と 、 顯 現 の 形 態 を 詳 説 せ る に 至 つ て は 批 評 の 限 り に あ ら ず 、 而 も 要 は 此 の 本 尊 、 本 と 叱 呪 尼 の 秘 術 と 結

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論 し 、 龍 女 八 歳 の 正 覺 の 本 儀 に 因 由 を 得 て 生 身 生 成 の 理 法 又 八 歳 よ り 効 驗 を 生 ず る 物 な り と 斷 定 を 下 し て い る 。 此 の 外 阿 吽 字 義 、 迂 記 等 の 内 容 も 眞 言 純 密 に 説 く 經 文 を 曲 解 し て 事 々 物 々 一 切 を 以 て 男 女 陰 陽 の 關 係 に 當 嵌 し た に 外 な ら な い の で あ る か ら は ぶ く こ と に す る 。 十 武 藏 國 立 川 に 仁 寛 寺 を 開 祖 と し て 唱 へ ら れ た 立 川 流 な る も の ゝ 正 躰 の 大 畧 を 知 る こ と が 出 來 た と 倶 に 我 等 は 現 代 思 想 上 に 於 て こ の 立 川 流 の 哲 學 を 考 窮 す る 一 面 、 大 に 反 省 す る 必 要 を 感 ず る も の で あ る 。 立 川 流 と し 云 へ ば 一 概 に 邪 義 邪 法 と 貶 し 去 る も 、 か く も 貶 す る も の に あ ら ざ る か 、 只 だ 立 川 流 な る も の は 人 生 々 成 の 理 法 解 決 を 密敎敎 義 上 に 求 め ん と し て 會 々 陰 陽 師 の 乘 ず る 處 と な り 、 染 法 有 力 宗 派 と 化 了 し 畢 つ た の で あ る ま い か 、 當 相 即 道 即 事 而 眞 の 妙 味 を ば 男 女 關 係 に の み 尋 求 し 得 べ き も の と 曲 解 し た る も の で あ る ま い か 。 兎 に も 角 に も 、 こ の 世 界 に 於 け る 生 物 と し て 性 の 欲 求 の 理 法 を 否 定 す る 能 は ざ る 限 り は 立 川 の 哲 學 も 亦 吾 人 の 一 瞥 を 必 要 と す る と 倶 に 我 等 は 是 等 を 美 化 し 淨 化 し 、 そ こ に 密 嚴 國 土 の 出 現 を 覩 、 そ こ に 人 生 至 極 の 妙 諦 を 獲 得 し 得 る 方 法 に 努 力 す べ き で あ る ま い か 。 今 や 平 和 來 の 高 唱 の 反 面 、 西 歐 に は 大 亂 の 後 國 家 の 爲 め 、 民 族 の 爲 め 、 種 族 保 護 の 爲 め と か に て 國 に 由 り て は 法 律 を 以 て 男 女 關 係 を 強 要 せ り と も 傳 へ ら れ る 、 思 ふ に 是 等 は 形 を か へ 、 口 實 を 變 へ た る 立 川 立 川 流 聖 典 目 録 と 現 存 聖 教 の 内 容 に 就 て 一 〇 三

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密 教 研 究 一 〇 四 流 の 出 現 に あ ら ざ る か 、 人 道 上 許 す べ か ら ざ る 問 題 の 顯 現 は 吾 等 を し て 身 に 粒 栗 を 生 ぜ し む る の で あ る か ゝ る 思 想 は 刻 々 と し て 吾 等 の 眼 前 に 急 迫 し つ ゝ あ る 秋 に 當 り 、 八 百 年 前 よ り し て 數 世 紀 間 宣 傳 さ れ た る 立 川 哲 學 の 内 容 を 攷 究 す る と 共 に 現 世 立 川 哲 學 に 關 し て も 充 分 の 考 察 を 煩 は す 必 要 が あ り は せ ま い か と 思 ふ 。 ( 大 正 八 年 八 月 下 澣 稿 )

参照

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