第三部 研究会録
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〈 2016年度学習支援・教育開発センター授業デザイン研究会 〉 〉
「ICTを活用した授業デザイン」を 考える
村上 正行
(京都外国語大学マルチメディア教育研究センター教授)
日時:2016年3月28日(火)14:55〜16:00 場所:今出川校地 寧静館5階会議室 京田辺校地 成心館2階207会議室
(テレビ会議システムで接続)
大島佳代子 学習支援・教育開発センター所長:
授業デザイン研究会では学修効果が期待できる技法、アイデアなどを学内の先生方 に持ち寄っていただき、情報共有や意見交換する機会として開催しています。今回 は「『ICTを活用した授業デザイン』を考える」として京都外国語大学の村上正行先生 にファシリテートをお願いし、システムベンダー2社、ソニービジネスソリューショ ン株式会社、日本データパシフィック株式会社から話題提供を行っていただきます。
2014年度に実施した第1回は「大規模授業における授業手法や機器活用のアイデア」
をテーマに開催し、2015年度に実施した第2回は「教授言語として英語を授業に取り 入れた実践例やアクティブラーニングのアイデア」について開催しました。教職員の ホームページに動画と資料を載せておりますので先生方の授業でもお役立ていただき たいと思います。早速、ファシリテート役の村上先生からよろしくお願いします。
村上正行 教授:
今日は第3回授業デザイン研究会にお招きいただきましてありがとうございます。
まず私から、最近の大学生について、ICTの活用についてお話させていただき、続い てベンダーの企業2社に話題提供いただきます。この会は同志社大学の先生方が授業 の取り組みの情報を共有する会だとお聞きしていますので、最後に少し、先生方と話 題を共有できたらと思っております。私は京都大学総合人間学部の一期生で情報系・
数学系の出身で、今、京都外国語大学におりますが、英語もしゃべれない、大阪弁し かしゃべれない教員です。理系の教員は2人だけです。教育工学が専門で最近は授業
映像を画像分析して顔認識の動きを検出して集中度とか関心度を推定する、といった 研究をしています。同志社大学の文化情報学部と研究的には近いのではないかと思い ます。また、ICTを活用した授業デザインをやっていて、2003年からは同志社大学社 会学部の教職課程で教育方法論の授業を14年ほど担当しております。あとはFD関係 の仕事が多く、昨年10月、同志社大学のラーニング・コモンズでLA研修もさせてい ただきました。
「デジタルネイティブ」。学生たちは生まれながらにICTに親しんでいる世代で1990 年生まれ以降になります。私は1973年生まれで43歳、オイルショック、第二次ベビー ブームの年、大阪で生まれまして、たこ焼き屋が実家というウソのようなホントの話 なのですが、つまりはデジタルイミグレイトだということです。私は小学校の時にプ ログラムをやっていましたので当時から変わっていましたが、どこの大学も今、困っ ているのが、学生たちがパソコンをできないことです。なぜならスマホばかり使って いてメールもしません。京都外国語大学で1年生のオリエンテーションをやりました が、そもそもメールを見ません。大学からの案内を携帯メールに転送するといっても
「ケータイのメールの見方がわかりません」ということで、どこの大学も困っている 状況です。
パソコンの父と呼ばれるアラン・ケイは「テクノロジーは発明される前に生まれた 人にとってのみテクノロジーとして意識される」といっています。今の大学4年生は 1996年生まれです。ポケモンが発売されて去年で20周年で、2000年にカメラ付ケー タイが出ました。この時はケータイにカメラがついて写真を撮れると話題になって いましたが、今の学生に聞きますと撮る角度まで決まっているそうです。私も学生 に「撮ってください」と言われて自撮りをしてみるんですが、「顔をどこに合わすね ん」みたいな感じになります。学生たちは自然に「写真を撮ろう」といって2人でパ シャッと撮る感じになっていますね。恐ろしい話です。mixiが2004年にスタートしま して、2005年頃、コンピュータ教室で授業をやっていますと画面が半分以上オレンジ だった時代があります。今の学生は「mixi、聞いたことがありますよ」くらいの感じ です。YouTubeが2005年にスタート、2009年にiPhone、2011年にFacebookが流行し ます。今の大学生と中学生はずいぶん違います。THE MANZAIで博多華丸・大吉が
「YouTuberになりたい」というネタで優勝するんですが、この頃は小学校の卒業アル バムにクラスに1人か2人くらいは将来の夢を、「YouTuberになりたい」と書いて いたそうです。今の小学校4年生、とある学校で将来なりたい夢ランキング第3位が
「YouTuber」となっていましてそれを学生にいいますと「考えられへん」と言います。
「ICTを活用した授業デザイン」を考える
第三部 研究会録
5年、10年たつとずいぶん違うわけですが、あと5年たつと小、中学校でYouTuberになりたかった学生が大学に入ってくる。恐ろしい話ですけどね。学生たちはテレビ もあまり見ませんで、業界的には困っているそうです。2015年にInstagram、2016年 にSnowが流行りまして、スマホがベースになっています。同志社大学で「教職コン ピュータ基礎」という教職課程のコンピュータ系の授業を4、5年前からやっていま す。同志社大学の学生でもコンピュータを使う機会が減っているので「コンピュータ を習えてよかった」という学生がいます。パワーポイントやプレゼンはできるんです が、パソコンを普段使わない、使う理由がない。他の大学では1000字のレポートをラ インで送ってくることもあるそうです。メールの送り方がわからないのでスマホで書 いてスクリーンショットして送ってくる学生もいるそうで、Wordがわからないとい う時代になっています。同志社大学はそういう学生はいませんが、そういう学生もい る大学があるということです。なぜなら普段からメールを使う文化がないからですね。
普段LINEなのでケータイでメールを書く文化がないので宛て名を書きません。大学 に入って初めてメールを書くくらいで、最近の学生はメールに「何とか先生」と書か ないといいますが、そもそも書く理由がない。件名も書く理由もないので書かない。
高校の教科で「情報」ができていますけど、高校の先生は「メールやるからね」と言っ ても、そもそも会うので使う理由がありません。例えば西京中学では、セキュリティ が厳しいので学校以外ではメールを使えません。家から先生も使えませんので、そも そもメールを使わない文化があります。授業でメールは教えますが、メールを使わな いので大学で初めてメールを使うという状況になっています。3、4年前は、そうで もなかったのが、今はほとんどLINEで事足りますのでという学生が今、入ってきて いるということを、まず意識していただけたらと思います。
「今の大学生を考える」ということですが、ICTを利用する時には重要なポイントに なります。溝上慎一先生は「今の学生は自分の学生の頃と違うことを意識しよう」と いっています。2012年、文部科学省中教審答申で「質的転換答申」が出ました。「生 涯学び続け、どんな環境においても『“答えのない問題”に最善解を導くことができる 能力』を育成することが、大学教育の直面する大きな目標である」と。そんな力が我々 にあるか、大学の先生にも職員にも企業の方にも、ですね。これが大学教員とか大人 に求められている能力であります。そのため「主体的な学び」とか「単位の実質化」「授 業外学習時間の確保」であるとか、その調査をしようということが広がってきている わけであります。
近年、こういう問題を抱えているので「アクティブラーニング」とか、同志社大学
もやっておられる「PBL」を積極的に取り組んでおられますし、「反転授業」とか「学 習環境の確保」という話が出てきているわけです。私も京都大学の博士課程は情報学 研究科でしたが、高等教育研究開発推進センターには、溝上さんが助手の頃、私がD1 の頃、大変お世話になりました。アクティブラーニングとは「一方向的な知識伝達型 講義を聴くという(受動的)学習を乗り越える意味での、あらゆる能動的な学習」の ことを指し、「能動的な学習には、書く・話す・発表する等の活動への関与と、そこ で生じる認知プロセスの外化を伴う」(溝上 2014)と定義されています。『アクティ ブラーニングと教授学習パラダイムの転換』『ディープ・アクティブラーニング』な ど見ていただいたらいいかと思います。ポイントは「教えるから学ぶへ教授学習パラ ダイムの転換」といえます。もちろん知識伝達型の授業も重要で講義するのはだめな わけではなく、学ぶことも意識しようということが重要で、全部アクティブラーニン グになると学生もしんどいので、カリキュラムのデザインを踏まえてすすめる必要が あります。
アクティブラーニングを行う上では授業目標が重要です。文部科学省も「アクティ ブラーニングの授業を何%実施しているか書きなさい」ということで、シラバスで「ア クティブラーニング型授業です」と書くことを求められることもありますが、アクティ ブラーニングをやること自体が重要ではなく、授業内容、教育目標が重要です。当然 ですよね。そのためにアクティブラーニング的手法が重要であればそれを用いればよ いということです。できるところから取り組んでみることが大事だということで「ミ ニッツペーパー」「小テスト」「ペアワーク」など。
「LMS(ラーニング・マネジメント・システム)の導入と利用の実態」についてで す。京都大学などを中心とした研究グループがやっていて、今年は北海道大学から報 告が出ていますが、ICTの利活用調査というものがあります。同志社大学で僕も授業 でe-classを使っています。LMSの導入はされているが、そんなに使っていないという のが現状です。京都外国語大学でも教務部から「使ってください」とお知らせはきま すが、なかなか広まりません。だいたい20%くらい使われています。同志社大学でも e-classの利用率は20%くらいとのことで、全国でもこのくらいの感じです。ICTの環 境でいうとよく行われているのはシラバスの公開、無線LAN、情報システムで、同志 社大学も履修登録とか成績の確認とかもポータルでやっていますね。導入率が低いの は講義教材の一般公開、eポートフォリオなどです。
LMSを学生に使ってもらうためには学生がLMSを使う仕掛けが必要になります。大 学、機関の問題もありますし、個々人の授業の工夫で対応できることもあります。学
e-classと授業デザイン
第三部 研究会録
生にとっての使いやすさ、情報が恒常的に更新されていることや授業での情報の活用が出てきます。毎回、見ろといわれても学生には見てもらえませんし、たまに更新す るだけでは見なくなります。また学生はパソコンを使わず、スマホベースでIDとパス ワードを入れっぱなしですからIDとパスワードを入れてログインする習慣がありませ ん。「IDとパスワードを入れてログインする」ことを学生に染み込ませることも必要 になります。これは日本の大学全体の課題にもなっています。繰り返しになりますが、
LMSを学生に使ってもらうための日常的な仕掛け、工夫が必要となります。LMSを使 うことが自然になる文脈が今後、重要になってくると思います。
ここで実際にどんなことができるのかを企業2社から紹介していただきます。まず 同志社大学のシステムにe-classを導入している日本データパシフィックからe-classの お話をしていただきたいと思います。
e-classと授業デザイン
日本データパシフィック株式会社
いつもe-classをご利用いただきましてありがとうございます。LMSを今後、より日 常的に使っていくために仕掛けが必要であるということで、いろんな仕掛けを開発し て進めております。いろんな機能を付け加えると混乱が生じる可能性がありますので 機能を有効化するのを順番にやっております。今日ご紹介する機能は申請いただけれ ば使える形になっています。
「e-classの変遷」。1995年、WBTが社員研修で活用される。2000年になりますと国立 大学でe-classのシステムの導入が進んできます。2007年くらいまでにいろんな機能が 出てきて盛りだくさんにやっていました。風向きが変わったのが2008年くらいからだ と思います。中教審の「学士力」とか学校教育法にも「学力の三要素」が定められる ようになり、この後からe-classの世界にも変化が出てきます。学力の三要素は「知識・
技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」ですが、先生方も授業 の中でこういう力を、学生からの反応を引き出していくことをされていると思います。
これをe-learningでやった時、「答えが一つに定まらない問題について議論しよう」と か「チームワーク、リーダーシップ、協働性をどうやってはかるか」ということが問 題になります。2007年、2008年以降、e-learning のシステムも性格が変わってきます。
2007年以前は知識・技能は、小テストとかレポートができれば十分だった。2008年以
降は学習者のパフォーマンスを評価する機能が必要だと。学力の三要素である思考力・
判断力、表現力、主体性とかの取り組みの状況を評価する必要が出てきます。評価手 法が大きく変わったことになります。
これが「『確かな学力』の氷山モデル」というもので、システムで簡単に見ること ができるのは水面に浮かぶ1割くらいだと。あと9、8割は簡単に見ることができな い。下にいくほど何をもって評価するのか難しいことになります。そこでLMSもいろ んな仕掛けを準備して「氷山」の見えないところを見渡すためのツールを整えつつあ ります。「eポートフォリオ・コンテナ」で「剽窃検知機能」とかを活用いただくこ とで学生の見えにくい力を引き出すこともできるのではないかということで情報提供 をさせていただきます。
「eポートフォリオ・コンテナ」、「ショーケースポートフォリオ」という機能を紹 介いたします。「eポートフォリオ・コンテナ」というのはe-classで使える機能の一つ です。標準設定だと無効になっているので、ご利用いただくには申請が必要です。こ の機能は先生がテーマを決める。「今回はこういう目標でやります」と、それに対し て学生が個人で、グループで取り組んでも構いません。出てきたテーマに対して学生 が一週間くらいかけてレポートを作ってくる。その時に「自己評価」「相互評価」「教 員評価」を行います。評価はルーブリックを使って行います。事前に先生がルーブリッ クを作っておかなければならない。「こういうテーマでやる、こういうところを評価 する」とルーブリックで事前に学生に示します。学生が課題を出す時に「ここはまあ まあできたかな」「ここは時間が足りなくてできなかった」と感想を書く。出した人 が自己評価を行い、同時に履修者、メンバーにも成果物が見えるようになります。他 の人から評価を受ける。「この人のレポートはここがよくできている」「このグループ はここがもう少しできていたらよかったのに」などとコメントを書いて返します。本 人にいろんなフィードバックが返ってきます。「褒められた」「なるほどこういうとこ ろをチェックすればいいのか」「ここを掘り下げたらいいな」とフィードバックが返っ てきて、さらによくしたものを書いて出す。これを2、3回繰り返すことで先生が設 定した到達目標にどれだけ近づけたかという相対的な到達度評価ができるようになっ ています。ルーブリックで出てきた評価をグラフ化することもできます。「自己評価」
「相互評価」「教員評価」と3者からの評価のレーダーチャートが出てきます。よくあ るのは自己評価が低くて友だちへの評価が過大だったりしますが、繰り返していくと 学生たちも慣れてきて自分を、あるいは友だちを正しく評価できるスキルもついてき ます。また時系列で1回目はこの程度、2、3回目でよくなったという自分の成長の
e-classと授業デザイン
第三部 研究会録
過程を見ることもできます。eポートフォリオ・コンテナを使っていただくと、みんなでディスカッションしながら知識を深めあうスタイルの授業をつくることができま す。実際にご利用いただく先生の話では、さすがに15回の授業全部でこれを使うこと はできませんので、最初は知識をつける授業、最後の2、3回でまとめとして難しい テーマ、答えが一つではないものについて考え、意見を出す。みんなでディスカッショ ンしながら知識を深めていくものとして使われることが多いようです。
「eポートフォリオ・コンテナ画面例」。グループ分けして取り組んだ例。グループ で成果物を出して評価をつけていく。各成果物、1回目、2回目に出した履歴が残っ ていますのでコメントの確認ができます。さらに時間がたってゼミに入る時に自分 の学習の成果を振り返って、自信作、「これはうまくできた、ぜひ先生に見てほしい」
というものを選び出して精選して見てもらう「ショーケースポートフォリオ」を作る こともできます。
「氷山」を見渡すためのツールとしての剽窃検知機能。これも申請ベースです。ど のへんに効いてくるか。取り組む姿勢に効いてくると思います。学生の出したレポー ト、Wordで出したもの、ワードをPDF化したレポートを総当たりでe-classで比較し、
「この人とこの人が妙に近い」と検知してくれる機能。先生の採点の補助としても有 効かなと。「この学生とこの学生は似ている、後でチェックしよう」と。数値が最大 100近くまで出ますが、85を超えてくると最後の「です、ます」調が違う程度で、ほ ぼ同じ。段落が入れ代わっているくらいというものが多い。70台は「引用が多い」と かのスタイルになります。学生にも「こういうチェックをしていますから」といって おくと露骨なコピペが減る抑止力も期待できると思います。
手書きレポートの蓄積。e-learningをやっているのが2割、残りはまだ紙を使って いる。手書きのレポートを簡単に電子化して取り込む仕組みを用意しようと。その例 として富士ゼロックスの「授業支援ボックス」を紹介します。複合機にくっつけるシ ステム。パソコンをゼロックスの複合機につけるとスキャナーがついていて、それが レポートを読み取って「○○さんのレポートは何点ですよ」「こういうレポートを書 きました」とLMSで送ってくれます。学籍番号を手書きで書いてあり、それを授業支 援ボックスが読み取る。先生がつけた点数も読み取る。「誰が何点、こういうレポー トを書いてきました」とシステム側で取り込んで100人でも200人でもスキャナーが 読み込んでシステムに送ってくる仕組み。効果としては採点結果を返すのが1週間後 だったのが、採点が終われば3、4日後にe-classを介して返却できる。フィードバッ クが早くできるメリットもあります。学生の成果物の蓄積にも役立ちます。LMSを使っ
た授業が2割しかないのであれば、残りを手厚く成果物を残すことによって将来、学 生が自分の力を示したい時、「こういうのをやりました」と簡単に取り出して見せる ことができる。
他に「タイムライン」「クリッカー」もあります。利用状況では比較的パソコンか らのアクセスが多いですが、同志社大学にはPC教室がたくさんあるので学内からのア クセスが多いのではないか。ただ日常的にLMSを使って授業をしようという時には一 般教室でも使いやすい画面がいい。e-classはスマホ用の画面を用意しています。タイ ムラインの機能も申請が必要で標準状態では見えません。授業ごとにタイムラインの ようになっていて、そこに先生からの指示、学生からの質問も書き込めます。あとは「今 日の授業で使う資料はこれです」と載せたり、スマホで写真を撮って載せる。教室だ けでなく、フィールドワークのように「こういうところにいってこういうのを見つけ ました」とタイムライン上に掲載することも可能です。この上にチャットルームも載 せられます。「グループごとのチャットルームをつくるので、それぞれ相談してくだ さい」ということも可能です。ここにレポート課題を載せることもできたりします。
先生方が普段使いたい機能の8割くらいはスマホの画面だけでできるようになってき ております。
その中でよく使う機能として「クリッカー」がある。授業中にその場でみんなの意 見を集めてみたい。先生の方でタイムライン上でクリッカーを指一つでつけることが できます。「今からみなさんの意見をとります」と、みんなの持ち込みスマホを無線 LAN経由でつないでいただき、「意見を聞かせてください」と、1番は何、2番は何 と書いておくと、グラフがリアルタイムで動いて集計結果がわかる。学生からどうい う意見が多かったかがわかる。そういう一般教室内での利用も面白い、授業が活発に なるのではないかと思います。
最後にご紹介するのが、いわゆる反転授業。動画を使った授業の支援です。「動画 配信による反転授業」ということで今年春からe-class単体でもmpg4の動画をストリー ミング配信できるようになっています。e-classではまだサーバーの設定が終わってい ないので有効になるまでお時間をいただきたいと思います。例としては最近、スマホ でもタブレットでも簡単に動画を撮り、ちょっとしたアプリを使えば先生が音声を吹 き込みながらタブレットにすらすらと書いて、その様子を録画できるツールもありま す。数学の例で「来週はこういうのをやります、ポイントはこういうところですから 覚えておいてください」と声を吹き込みながら書いている様子を録画してアップロー ドする。手もとにある簡単な機材だけで動画の授業の教材も作れます。うまいやり方
デジタルペーパーと連携サービスを用いた新しい活用例
第三部 研究会録
だなと思いましたので、ご紹介します。動画配信も手軽にできるようになってきていますので、ご活用いただければと思います。私からは以上です。
デジタルペーパーと連携サービスを用いた新しい活用例
〜大学での実証実験より〜
ソニービジネスソリューション株式会社文教ソリューション営業部
「デジタルペーパーと連携サービスを用いた新しい活用例」として実証実験の具体 的な内容を紹介したいと思います。A4型の電子ペーパーを発売しました。ソニーは 2000年初頭にReaderという電子書籍の端末をつくり、欧米で結構な台数が出ました。
最近ではKindleにやられていますが、本のデジタル化に関しては一定の成果があった。
次は紙のデジタル化で業務に対して付加価値を出していきたいと「デジタルペーパー」
を発売しました。デジタルペーパーを高等教育機関で論文の添削や査読、ゼミで使っ ていただく先生方がありまして、コンシューマーの方へアピールできないんですけど、
口コミで先生方に広がっております。実際、デジタルペーパーで注目しているところ は手書きです。通常のタブレットとかパソコンではなく「手書き」に特化したICTツー ルを活用することで考える行動、学習全体をサポートしていくことができないかと。
そんな中で今日は活用例をご紹介したいと思います。
「デジタルペーパーとは」。端末はありますが、Wi-Fiをもっていて紙のように書け る。モバイルを使ってオンラインで共有可能になっています。連携サービスを活用し ながら早稲田大学、青山学院大学での実証実験をご紹介します。早稲田大学で2016年 度後期、政経の栗崎先生の学生16人の授業。一人ひとりデジタルペーパーを保有して 授業内外の学習活動でピアレビューされておりました。授業の流れとしては授業外で 課題本を読んでレポートを書かせ、予めペアを決めておいて、ペアでピアレビューし てもらい、サーバーにアップロードして授業内でピアレビューの内容を表示してディ スカッションしていく。仮想LMSで学習支援サーバーを活用して接続しています。
授業の様子です。ピアレビュー済みのレポートをスクリーンに表示し、先生が解説 する。スクリーンのレポートの行間はフォーマットになっていますが、手書きを入れ やすいのでピアレビューしやすい。内容についてのコメントとレポートの書き方に関 してレビューがなされています。学生がメモをしている様子。自分がピアレビューし てきた課題の内容、レビューしてきた学生はこれを参照しながらディスカッションに
臨む。学生はデジタルペーパーだけを持ち込んで授業に臨んでおりまして、一部スマ ホをもってきて文言を調べる。この1台で授業が成立していました。
レビューワーによる説明の状況。前もってペアになっていたレビューワーが解説す る。解説内容を手書きでやっていて比較的内容も理解しやすいという評価がありまし た。その様子を学生が見ながら自分だったらどうかと互いに内容とかコメントを含め てディスカッションする。
ピアレビューの授業で特に先生がいわれたことですが、「授業内ではなく、授業外 の学習活動を能動的にできた。そういう授業設計ができた。」とコメントをいただい ています。通常、課題本を授業外で宿題に出しますと、あまり理解せずに、さらっと 読んでくる。読んでこない学生も多い。そんな中で授業外のピアレビューを実現す ると「課題本を読んでレポートを書く実際のワークを与えることでモチベーションを もってやってくることもあり、レポートをピアレビューするので緊張感もある。学生 が自分も評価するし、自分も評価される。授業外のワークが緊張感をもってできた。
その内容をもとに授業を進めるので連続性をもった授業が実現できた」という評価を いただきました。
青山学院大学のグループワークの例。授業概要。青山学院大学情報メディアセンター の村上先生と学生13人。2016年後期にやっていまして、一人ひとりデジタルペーパー をもつとともにパソコンも導入しています。「課題提示」「課題ダウンロード」「個人ワー ク」「個人ワークの共有」「グループワーク」「プレゼン」「講義・解説」とアクティビ ティが授業の中にたくさんあります。通常は大変ですが、授業の中の一部、1つのワー クの紹介です。プレゼンテーションに関連する授業の演習内容は「プレゼンテーショ ンで使用するスライドの作成に必要なレイアウトの理論を視線導線の観点から学習者 が自身の体験と分析によって理解を深める」といった内容の授業です。スライドがた くさんあり、どこに注目するかを手書きでコメントしていく授業です。手書きで素材 をダウンロードして書いている様子。これをグループワークで比較する。比較して共 通点は何か、最も着目していることは何か。順番を考察して共通点を見いだしてグルー プごとにプレゼンをまとめていく授業内容でした。1回の授業で「課題ワーク」から「個 人ワーク」「グループワーク」「プレゼン」まで完結できたということで、通常、手書 きの紙を使う授業だと紙を配布開始、共有と、2回に分けて授業をやっていた。デジ タルペーパーを導入することにより、1回で2回分の授業ができ、大幅に時間短縮で きた。村上先生曰く「アクティブラーニング形式の授業は即時性が必要なので先週やっ たものを今週持ち込んでも忘れてしまう」と即時性について評価をいただきました。
デジタルペーパーと連携サービスを用いた新しい活用例
第三部 研究会録
「アクティブラーニングにデジタルペーパーはどう活きるか」。グループディスカッ ション、グループワークというアクティブラーニングを進めるにも、じっくり読んだ り、書いたり、考えをまとめる基礎的なスキルは絶対に必要だと思っていて、ここを まずベースでやらないといけない。ここに関しては紙でもできる。デジタルペーパー は紙のように扱うので単体でできる。さらにデジタルペーパーはオンラインで活用で きるので基礎的なスキルをベースとしてアクティブラーニングのアクティビティを、
連続性をもってやることで学習活動に貢献できるのではないか。これを実現するには デジタルペーパー単体ではできません。早稲田大学の事例と同様、「デジタルペーパー とLMSのプラットフォームと組み合わせる」ことで実現できるのではないかと。今、
LMSベンダーと組み合わせることで学習活動が広がり、貢献できるのではないかと取 り組んでいるところです。私からの話は以上です。実際の使い方に関してはセッショ ンが終わってから補足させていただきたいと思います。
村上:
2社から話題提供をいただきました。京都外国語大学でも小テストを行うのにLMS 上で準備したり、同志社大学でもe-classでパワーポイントの資料をPDFにしてあげる ことはやっていて、授業終了後に必ず、それを公開しています。同志社大学の授業は 月曜7限ですが、3、4年生で教育実習にいくために出席できないということもある ので、基本的に公開できるものはする、と決めておくと学生も安心します。また、授 業のはじめに前回の授業について少し振り返ることでコメントを書くことの動機付け を高めていることを意識し、一斉授業の中で教員と学生のインタラクションを確保し ています。授業資料を確認することや毎回、メールでコメントを書かせているので、
そのコメントにフィードバックをかけることをやります。別にLMSを使わなくてもで きる話ですが、それに使うということです。
「フィードバックの重要性」についてですが、学生に適切にフィードバックを提供 することが、LMSの利用も促し、学習成果にもつながります。そのためにLMSの利用 を促し、クリッカー的なものを使うとか、紙でもできることもありますが、コメント シートを集めて質問を返すとかがあります。大学で話題になるのはレポートの結果、
テストの結果が返ってこないことに学生の満足度を下げる理由があります。授業の成 績は返ってきますが、レポートの結果が返ってこないことに学生は不満をもっていま す。レポートの結果を添削して返すのはなかなか難しいですが、学生が求めているこ とは知っておく必要があります。テストやコメントにどのようなフィードバックをす
るか悩ましいところはありますが、それが学生の満足度やモチベーションを高めるこ とがあることはわかっていますので、これにLMSを使うのは一つの方法かなと考えら れます。
折角なので先生方の取り組みを教えていただきたいということでワークシートを準 備しています。普段の授業におけるICT活用。同志社大学の先生方でLMSを使ってお られる方、使っておられない方いろいろだと思いますので、ワークシートの1、2、
3番「取り組んでいること・工夫していること」「困っていること・悩んでいること」「取 り組んでみたいこと・やってみたいこと」、どれに注力していただいても結構ですので、
みなさんに書いていただいてよろしいでしょうか。京田辺校地でもよろしくお願いし ます。
書けましたでしょうか。ここで「Think Pair Share」、協調学習とかアクティブラー ニングで用いられますが、協同学習の技法、インストラクション・デザインで使われ る手法です。書いていただいたものをもとに話をすることは重要で、いきなりグルー プワークをするのではなく、書いてから議論することによって平等に話すことがやり やすくなります。それでは隣同士で2人か3人で組んでいただいて書いてある内容を 学部も超えてお話ししていただき、「こんなふうにやっています、こんなことに困っ ているが、先生方、どうなさっていますか?」とお話ししていただくことにしたいと 思います。
授業デザイン研究会は学内の先生方が話題提供するということですので、先程、畑 野先生も文脈の話をされていましたが、自分たちが当事者として問題を考える必要が あります。大学もFDをやらないといけないということで私も「アクティブラーニング」
とか「コモンズ」とか「最近の若者論」とかをテーマにして講演を依頼されることが あります。ただ外部講師を呼んできても自分の大学の話はなかなかわからないわけで す。しかしながらICT活用に関しても学習環境についても考えないといけない。同志 社大学の場合、学習環境は、とてつもなく揃っている、優秀な学生も揃っているので、
そこをより有効に効果的にやっていくか。同志社大学の教職員のみなさんが、どう考 えていくか、さまざまな取り組みを参考にしつつ、同志社大学14学部の学科内でも話 し合うことが大切ではないかと思います。うちの大学も1学部9学科ですが、学科間 はもちろん学科内でも6人くらいしか先生はいないのに互いに情報を知らないことが 多いです。どうやって情報共有してもらうかが大学としての課題ですが、学科を超え て、例えばフランス語学科とドイツ語学科が話しあって共通する問題に気づき「なる ほど。同じ問題がありますね」と認識することで解決策も考えられます。同志社大学
デジタルペーパーと連携サービスを用いた新しい活用例
第三部 研究会録
も今出川校地、京田辺校地と特性があると思います。キャンパス同士でお話をいただき、情報を共有していただき、教育改善に取り組んでいただけたらよいのではないか と思います。私からの話題提供はこれで終わりとしたいと思います。どうもありがと うございました。
大島:
村上先生、ありがとうございました。ご質問ございますか。よろしいでしょうか。
京田辺校地もよろしいですか。それでは今日、お話をいただいた4名の方々、お忙し いところ、ありがとうございました。ご参加いただいたみなさまに感謝します。当セ ンターは学内ではアンケート好きの部署だと言われていますが、それをもとに情報提 供して教育改善を進めていきたいと思っているところです。実際にそれを教育改善に 生かしていただくのは各学部・研究科の先生方です。今後、アイデア等々、ご助力を いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。今日はこれ で閉めさせていただきます。どうもありがとうございました。
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http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/ch ukyo0/toushin/1325047.htm
デジタルペーパーと連携サービスを用いた新しい活用例
第三部 研究会録 ᄢቇᢎ⢒䈏ᛴ䈋䈩䈇䉎⺖㗴
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