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因子分析によるテスト構成

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Academic year: 2021

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因子分析によるテスト構成

著者 清水 和秋

発行年 2005‑08‑15

URL http://hdl.handle.net/10112/2326

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因子分析によるテスト構成

清水 和秋 関西大学社会学部

はじめに はじめにはじめに はじめに

内的整合性の原理による心理テスト尺度の構成方法論は、古典的テスト理論をベースとして、1次 元構造を前提と使用されてきた。その発展系の1つである項目応答理論は、潜在的な 1 次元について 項目特性曲線のパラメータを困難度や識別力としてモデル化し、能力領域を越えて、心理テストの 1 次元尺度の構成方法論として、利用されるようになってきている(たとえば、豊田(2002)や渡辺・野 口(1999)など)。因子分析法でも、1 次元尺度の構成がおこなわれているが、この方法は、構成概念の 全体から多次元の複数の尺度を同時に構成する方法論として、big five の研究(たとえば、下仲ほか (1999)、辻(1998)など)に代表されるように、広く応用利用されている。本稿では、因子分析を中心と して、古典的な方法を紹介しながら、尺度・検査の改訂についても議論してみたい。

1 11

1次元次元構造次元次元構造構造構造のの場合場合場合場合

内的整合性の原理による項目分 析結果が、主因子解や最尤解とほ ぼ同じ結果となることを、自尊感 情尺度の10項目で表1のように例 示してみた。このα係数は0.85 ある。ゼロに近い値の項目を除く とαの値は0.87となる。堀(2005) が指摘するように、この項目に代 わる項目をいくつか準備し、改訂 することが必要であろう。

古典的な方法であった内的整合性では、最初に構成する出発尺度の内容が、その結果に影響を与え る。因子分析的な方法でも、探索的な方法を適用したのでは、追加した変数が結果に影響することが 予想される。解決策は、構造方程式モデリング(SEM)による複数集団の同時分析を応用することであ る。前の枠組みを因子的不変性として拘束させながら、追加の項目の因子パターンを自由推定させる ことによって、これらの項目の適切性をモデルの適合度の観点からも判断する、という方法である。

多次元次元次元構造次元構造構造構造のの場合場合場合場合

伝統的には心理尺度の構成の焦点は、より高い信頼性におかれてきた。等質性に代表されるような 信頼性を高める操作が、妥当性を高くすることとは整合しないことを論じながら、辻岡(1957)は、YG 性格検査作成の目的の中で「信頼性を高めるという目標はそれぞれの下位検査に向け、妥当性を高め る目標はテストバッテリーそのものに向けられるべき」としている。

内的整合性の原理による項目分析に代わって、現在は、因子分析法が、構成概念の全体をカバーし 表1 内的整合性の原理による項目分析結果と1因子解との比較

自尊感情尺度1 項目分析3 主因子解 最尤解

少なくとも人並みには、価値のある人間である 0.61 0.70 0.71 色々な良い素質を持っている 0.59 0.68 0.68 物事を人並みには、うまくやれる 0.49 0.57 0.58 自分に対して肯定的である 0.62 0.68 0.68 だいたいにおいて、自分に満足している 0.62 0.67 0.67 敗北者だと思うことがよくある2 0.56 0.58 0.58 自分には、自慢できるところがあまりない2 0.59 0.63 0.63 もっと自分自身を尊敬できるようになりたい2 0.03 0.02 0.01 自分は全くだめな人間だと思うことがある2 0.60 0.62 0.62 何かにつけて、自分は役に立たない人間だと思う2 0.70 0.76 0.76 1 山本・松井・山成(1982)を5件法で使用した。N=529(大学生)。

2 逆転項目である。注3 尺度・項目間の相関は、重なりの修正済みの値である。

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ながら、複数の因子を対象とした尺度の構成方法論として期待されている(たとえば、心理測定尺度 集(堀,2001)掲載の多くの尺度)。直交回転など適用の問題点と最近の展開については、柳井(1999) などを参照してもらうこととして、ここでは、因子数の決定・因子解の推定(共通性の推定)・因子軸の 回転などが適切におこなわれたことを前提として次に論を進めることにする。

因子分析の因子の解釈では、単純構造の観点から因子 の解釈がおこなわれ、これと整合性を保ちながら因子パ ターンの値の高い項目から尺度の構成がおこなわれる。

1は、模式的に項目の因子パターン(黒丸)を2次元 に布置させてみたものである。単純構造の理想的な状態 は、因子Ⅰではa項目群、因子Ⅱではb群であり、この ようであるなら因子的純粋性の状態にあるともいえよ う。xyに位置している項目は、単純構造の観点から の解釈からも尺度の構成からも除外されることになる。

Cattell & Tsujioka(1964)と辻岡(1964)による「因子的真実性」とは、求めようとした因子と構成し た尺度の方向とがどの程度まで合致しているかを意味し、合成した尺度の方向性(構成した尺度間相 関)についての原理を提案したものであった。因子Ⅰの a 項目群だけではなく、xとyを合わせるこ とによって、因子Ⅰの方向性を確保した尺度が構成できることを展開している。

延長因子分析 延長因子分析延長因子分析 延長因子分析

因子的真実性の原理による項目分析は、対象は因子分析に含めた項目に限定されない。因子構造行 列は因子得点と観測変数との相関として定義されるので、因子分析には含まれていない新たな項目に ついても、因子得点の推定値との間での相関行列を算出し、これに因子間相関(共分散)の逆行列を掛け れば因子パターン行列が得られる。延長因子分析と呼ばれる(Gorsuch, 1983, 1997)この方法から得ら れた因子パターンに因子的真実性の原理による項目分析(辻岡・清水, 1975)を適用すれば、因子間の関 係性を確保しながらテスト尺度の再編成あるいは改訂が可能となる。

等質性が高い項目群は、構成概念の測定に適切とはいえないかもしれない。あまりにも等質的であ ることは、測定としてカバーできる領域を狭くすることになるからである。項目の範囲を広くとると、

項目からの因子分析では、因子の解釈やその方向性を特定することが困難となることがある。Cattell

(1956) は、この解決策として、いくつかの項目を合わせて小包(下位尺度)とした変数を対象とする

因子分析法をparceled factor analysisとして提案している。

探索的因子分析法の立場からの尺度の改訂の方法をレビューしたReise, Waller & Comrey (2000)は、

項目からのSEMによる方法には、分布や測定モデルの単純すぎる構造を理由に、否定的な見解を示し ている。因子的不変性(Meredith, 1993)を検証するには、より信頼性のある変数でのモデル化が望まし い。SEM でも下位尺度(小包)からの測定モデルの構成には議論はあるが(たとえば、狩野(2002)、南 風原(2002)、Little, Cunningham, Shahar & Widaman (2002)やHagtvet & Nasser(2004)など)、モ デルの推定値と項目とに延長因子分析を適用することによって、その利用の適否が判断できることを、

尺度の構成や再編成の可能性とも合わせて、強調しておきたい。

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