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Academic year: 2021

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所属: 1)新潟大学脳研究所神経内科, 2)新潟大学院医歯学総合研究科総合医学教育センター,

        3)独立行政法人 国立病院機構 新潟病院  脳神経内科

-32-

多発性硬化症と視神経脊髄炎の VBM 解析からみた  グリア変性病態の解析 

班      員 河内泉1), 2)

共同研究者 若杉尚宏1), 佐治越爾1), 柳村文寛1), 3), 穂苅万李子1), 柳川香織1), 小野寺理1)

研究要旨

多発性硬化症 (multiple sclerosis; MS) と視神経 脊髄炎 (neuromyelitis optica spectrum

disorder; NMOSD) は中枢神経系の自己免疫疾患である. MSでは髄鞘障害が, NMOSDではア

ストロサイト障害が原因であると考えられている. NMOSD の標的自己抗原の一つはアクアポ

リン4 (AQP4) である. MSとは対照的に, NMOSDは進行型の経過をたどることは稀である.

このように両疾患は同じ中枢神経系自己免疫疾患に分類されながら, 多くの点で相違点が ある. 本研究では voxel based morphology (VBM) による縦断的な大脳体積から, MS

NMOSD の神経変性機構の相違点を明らかにすることを目的とした. 日本人 MS および

NMOSD を持つ症例を対象に,神経放射線学的評価・構造的MRI解析を実施し,VBM

により大脳体積を計測した. 認知機能評価・日本語版BRB-N (Brief Repeatable Battery of Neuropsychological Tests) の解析を行った. MSNMOSDと比較し, 大脳全体および大 脳皮質の一部の萎縮が進行し, それに伴い認知機能障害が悪化することが示された. MS 認知機能障害と大脳萎縮は, 炎症による脱髄病変の蓄積のみではなく, 神経変性が早期か ら背景に潜在していることが示唆された. MS NMOSD の大脳容積変化と認知機能の進 行は, オリゴデンドロパチーであるMSとアストロサイトパチーであるNMOSDの背景病 理を反映していると考えられた.

研究目的

  多発性硬化症 (multiple sclerosis; MS) と 視 神 経 脊 髄 炎 (neuromyelitis optica spectrum disorder; NMOSD) は代表的な 二大中枢神経系自己免疫性疾患である 1. MS の標的自己抗原はミエリン・オリゴデ ンドロサイトに発現する何らかの分子が推 測されているが, 未だ明らかにされていな い. 一方, NMOSD の標的自己抗原はアス ト ロサ イト に発 現す るア クア ポリ ン 4 (AQP4) であることが明らかになっている.

以上から, MSは一次的な脱髄を特徴とする

「オリゴデンドロパチー」, NMOSDは一次 的なアストロサイト障害を特徴とする「ア ストロサイトパチー」と称される. さらに

MSNMOSDには主に二次的な神経軸索

障害・神経細胞障害が起こることにより, 身体機能障害・認知機能障害が出現する2-4.   MS とは対照的に, NMOSD は進行型の 経過をたどることは稀である 5. このよう に両疾患は同じ中枢神経系自己免疫疾患に 分類されながら, 多くの点で相違点がある

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1. 本 研 究 で は voxel based morphology (VBM) による縦断的な大脳体積から, MS

NMOSDの神経変性機構の相違点を明ら

かにすることを目的とした.

研究方法

日本人MS 24症例およびNMOSD 16 例を対象に,神経放射線学的評価・構造的 MRI 解析を実施し,VBM法により大脳体 積を計測した. 認知機能評価・日本語版 BRB-N (Brief Repeatable Battery of Neuropsychological Tests) の解析を行っ た.

研究結果

  対象の平均フォロー期間は MS 5.3 年, NMOSD 6.2年であった. MSNMOSD 比べて, 縦断的解析で大脳体積の有意な萎 縮の進行を認めた. 脱髄病変を示すFLAIR 高 信 号 病 変 の 体 積 に つ い て は MS

NMOSDの間に有意な差はみられなかった.

認知機能障害については,MS NMOSD に比べて BRB-N index および複数の下位 項目の有意な悪化を認めた. BRBN スコア と大脳の各部位体積との有意な相関を認め た.

考  察

  MSNMOSDと比較し, 大脳全体およ び大脳皮質の一部の萎縮が進行し, それに 伴い認知機能障害が悪化することが示され た. MSの認知機能障害と大脳萎縮は, 炎症 による脱髄病変の蓄積のみではなく, 神経 変性が早期から背景に潜在していることが 示唆された.

結  論

  MSNMOSD と比較し, 大脳全体の萎 縮が進行し, それに伴い認知機能障害が悪 化する.

文  献

1. Kawachi I, Lassmann H.

Neurodegeneration in multiple sclerosis and neuromyelitis optica. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2017;88:137-145.

2. Hokari M, Yokoseki A, Arakawa M, et al.

Clinicopathological features in anterior visual pathway in neuromyelitis optica.

Ann Neurol 2016;79:605-624.

3. Saji E, Arakawa M, Yanagawa K, et al.

Cognitive impairment and cortical degeneration in neuromyelitis optica.

Ann Neurol 2013;73:65-76.

4. Yanagawa K, Kawachi I, Toyoshima Y, et al. Pathologic and immunologic profiles of a limited form of neuromyelitis optica with myelitis. Neurology 2009;73:1628- 1637.

5. Wingerchuk DM, Pittock SJ, Lucchinetti CF, Lennon VA, Weinshenker BG. A secondary progressive clinical course is uncommon in neuromyelitis optica.

Neurology 2007;68:603-605.

健康危険情報   なし

知的財産権の出願・登録状況   特許取得:なし

  実用新案登録:なし

参照

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