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魁拶斬薩蕉瀟

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(1)

        学位論文

      分裂酵母を用いた

構成的スプライシング保証機構に関する研究         2008年9月

    熊本大学大学院自然科学研究科

        原口 典子

(2)

目次

要旨_._____.__._.___.___.__._..______..____.__.._..__1

第一章 緒言......._...__..._..._….・・..…・.・.・・…・.・….....……・.…...・..…….・.…・・...…. .・3

第二章 エキソンスキッピングを引き起こす変異株(0451〜3)の分離と解析

  24 材料と方法.._.。_._....,._._...._._._...__,_.._..._......._....._.9.。._7

 2−14

 2−1−2  2−1−3

 2−14

 2−1−5  2−1−6  2−1−7  2−1−8  2.1−9  2−1−10 2−2 結果...

 2−2−1  2−2−2  2−2−3  2−2−4  2−2−5

  2−2−6   2−2−7   2−2−8   2−2−9

2−2−10

分裂酵母株 使用した培地

分裂酵母株の形質転換 使用したプラスミド

扉rα+性変異株の大規模スクリーニング 相補性検定

原因遺伝子クローニング RT−PCR

サザンプロット解析 スポットテスト

 2−2−11 2−3 考察._

      .......16 配rα+性変異株の大規模スクリーニング 温度感受性耶。+性変異株の分離 相補性検定

0451はスプライシング因子U2AF59をコードしている 5励25、28、29、32における変異部位の決定

3肋19はスプライシング因子U2AFおをコードしている 0433はスプライシング因子SFIをコードしている

。ぬ変異株ではエキソンスキッピングが引き起こされている イントロン1の3 スプライス部位周辺への変異は、エキソン スキッピングを引き起こす

スプライシング変異株として分離されたpηフ2(U2AF59)変異株 でもエキソンスキッピングが引き起こされる

スキッピングは04∫変異株に特異的な現象である

....................................り......画。.......9齢....曹....齢.....り.......................24

(3)

第三章 0434株の分離と解析    3−1 材料と方法

       ............9._.........層..............曹..............り...り...9......願....,.。..響....9..27

    3−1−1  分裂酵母株と培地

    3−1−2  his3−uRA4βレポータープラスミドの作成     3−1−3  温度感受性を示さない麗ro+性変異株の解析     3−1−4  配rゴ性を指標とした相補性検定

    3−1−5  原因遺伝子クローニング     3−1−6   Rr−PCR

    3−1−7  サザンプロット解析

   3−2 結果_.___....._.__._。__.........._._..._....._._。._.9........_。_..33

     3−24   温度感受性を示さない況郵α+性変異株の分離      3−2−2  相補性検定

     3−2−3  0d54、0451−3変異株ではエキソンスキッピングが引き起こされて       いる

     3−2−4  0454はスプライシング因子Cwf16をコードしている      3−2−5  slp2とTif213は0454のマルチコピーサプレッサーである

     3−2−6  Srp2は0451−1、0451−2、0453及び0434のマルチコピーサプレッサー       であり、Tif213は0454特異的なサプレソサーである

     3−2−7  Tif213の過剰発現は0454変異株におけるスプライシング阻       害を改善させる

   3−3 考察    _._____....。..._._.___...____._._____.._38

第四章 Ordered splicingと転写伸長速度との関係に関する解析

  4−1 材料と方法...._..。....,_..,___、._....__.........__,_.._.._.____._41

     41−1  転写伸長阻害剤(6AU及び1>肱)存在下におけるod3変異株の解析      41−2  転写伸長阻害剤(6AU及びMPA)存在下における04∫変異株の       エキソンスキッピング効率の解析

  4−2 結果...__.____.__...__.....一......_....__...__._.___.__...44

    4−2−1  6AU又はMPA存在下では045変異株の班rα+性が抑制される     4−2−2  6AU及びMI盈は045変異株のエキソンスキッピングを抑制する

  4−3 考察....__._.__.____..。______..__._..______..._.46

謝辞_._.._.....__..__......_._.___.._........._,_._.._...._..__......_......。49

参考文献_._.........._.___._._......_..._.._..._....,...__,._.9..__...._.._._51

(4)

要旨

 真核生物の多くの遺伝子は、遺伝情報としては機能しないイントロンによって分断され、

mRNA前駆体からイントロンを除去する過程はmRNA前駆体スプライシングと呼ばれてい る。正しいタンパク質発現の鋳型となる成熟mRNAを作るためには、エキソンとイントロ ンの境界に存在する5 スプライス部位と3 スプライス部位、および投げ感状中間体を形成 するブランチ部位を正しく認識し、遺伝子に散在するエキソンを一塩基の狂いも無くつなぎ 合わせなければならない。しかしながら真のスプライス部位に似た配列は、イントロン、エ キソンを問わず、遺伝子全体の至る所に存在し、真のスプライス部位を正しく区別する機構 はよく分かっていない。また、細胞内のmRNAは転写後、不規則な構造をとっていると考 えられるが、5 スプライス部位と3 スプライス部位が空間的に近接した場合にも、なぜ決め られた適切なエキソンを選択することができるのか不明である。

 そこで私は、スプライシング反応においてエキソンをとばすことなく順次連結するメカニ ズムを明らかにするために、分裂酵母でエキソンスキッピングを引き起こす変異株を単離し、

それらの原因遺伝子の同定と解析を行った。変異株のスクリーニングには、エキソンスキッ ピングが起きると正常な配rα4mRNAが合成でき、スキッピングが起きないと正常な配rα4 mRNAが合成できない構造を持つレポータープラスミドを用いた。紫外線照射によって変異

を誘発し、ウラシル不含培地で成育する温度感受性曜α+性変異株8株と温度感受性を示さな い琳α+性変異株26株を分離した。

 まず初めに、温度感受性協α+性変異株について解析を行った。相補性検定の結果、0451−1、

0451−2、04∫2−1、04∫3−1(Ω越ered旦plicing)変異株が分離され、これらの原因遺伝子がそれぞ れU2AF59、 U2AF23、 SFIをコードしている事を明らかにした(12)。これら3つの因子は複合体

として存在し、スプライシングの初期段階においてイントロンのブランチ部位及び3 スプラ イス部位の認識に関与する因子である(15)。さらにイントロンのU2AF59、 U2AF23、 SFI結合配 列に変異を入れたレポータープラスミドを用いると、野生株においてもエキソンスキッピン

グが引き起こされる事が分かった(12)。

 これらのことから、スプライシングの最も初;期段階においてU2AF59、 U2AF〜3、 SF1によ る3 スプライス部位の確実な認識が、構成的スプライシング保証機構に重要な役割を果たし ていることが示唆された。

  さらに、温度感受性を示さない膨rα+性変異株26株についての解析を行った。その結果、

0451〜3とは相補性グループの異なる変異株を新たに分離し0484と命名した。0454の原因遺 伝子をクローニングした結果、0434はCwf16タンパク質をコードしていることを明らかに

(5)

した。さらにその過程で04∫4のマルチコピーサプレッサーとしてSrp2とTif213(eIF2Yサブ ユニット)を同定した。

 Cwf16は、イントロンをラリアット状にする触媒反応時にU5 snRNPとU6 snRNPを安定 にmRNA上に結合させる40S−cdc5 associated complex (Cwf complex又はNineteen Complex:

NTC)の構成因子である(25)。このことから、スプライシングの第一反応段階で機能するCwf16 がスプライス部位の選択に関与していることが示唆された。さらにマルチコピーサプレッサ ーとして単離されたTif213においては、翻訳開始時においてMethionineを開始コドンにリ クルートする役割を持つ因子の一つであり(7)、スプライシングへの関与はこれまでに報告 されていない。また、Srp2はU2AF23(04∫2)と相互作用し(41)、 Exonic Splicing Enhancer(ESE)

に結合してスプライシングを促進することが示唆されている(40)。この事から、分裂酵母Srp2 がエキソンスキッピングしないことに重要な役割を果たしている調節因子なのではないかと 考え、Srp2のさらなる解析を進めた。

 まず、Srp2が0454以外の045変異株でも同様にマルチコピーサプレッサーになるかを確 かめるため、レポータープラスミドとSrp2の両方を04∫変異株で発現させ、ウラシルの含 まれていない培地における生育を観察した。その結果、Srp2は0451−1、04∫1−2、04∫3におい ても0454と同様の協α÷性抑制効果があることが分かった。さらに、スプライシングにおい てもSrp2を過剰発現させた045変異株では実際にエキソンスキッピングのバンドが減少し、

スプライシング効率も良くなっていた。これらのことから、Srp2が正しいスプライス部位選 択において重要な役割を持つ因子であることが示唆された。

 また、Tif213も他の045変異株のマルチコピーサプレッサーになるかを検証したが、 Tif213 の過剰発現は0451〜3変異株の配rα+性を抑制せず、0454特異的なサプレッサーである事が分 かった。興味深い事に、Tif213の過剰発現は0454におけるエキソンスキッピングを抑制す るだけでなく、スプライシング阻害をも回復させていた。このことから、Tif213が翻訳開始 だけでなくスプライシングにも関与していることが示唆された。

 以上の結果より、U2AF59、 U2AF路、 SF1、 Cwf16、 Srp2が構成的スプライシング保証機構に において重要な役割を担う因子であることを同定した。

 さらに、転写速度が043変異株のスプライシングにどのように影響するかを調べるために、

転写伸長速度を遅くする薬剤(マイコフェノール酸および6一アザウラシル)を用いて実験を 行った。その結果、これらの薬剤を添加した培地で培養した043変異株では、レポーターmRNA のエキソンスキッピング効率が低下していることが分かった。このことから転写速度がスプ ライス部位の選択機構に関与している事が分かった。以上の結果をもとに、転写と連携した ordered splicingモデルを提唱した。

(6)

第一章 緒言

 真核生物の多くの遺伝子は、 イントロンと呼ばれる遺伝情報としては機能しない領域に よって分断されている。mRNA前駆体からイントロンを除去する過程はmRNA前駆体ス プライシング反応と呼ばれ、真核生物における遺伝子の発現において極めて重要な過程で

ある。

 mRNA前駆体スプライシングはスプライソソームによって正確に行われる(4,35)。主な 役割を担うのがUl、 U2、 U4/U6、 U5 snRNP(small nuclear hbonucleoprotein particle)と呼

ばれる低分子RNAとタンパク質の複合体であり、スプライソソームはこれらのsnRNPが pre−mRNAに順次会合することによって構成される。また、イントロン内には5 スプライ ス部位(5 ss)、ブランチ部位配列(BPS)、3 スプライス部位(3 ss)と3つの保存された 配列が含まれており、これらはRNA−RNA相互作用、タンパク質一RNA相互作用を通して、

snRNPによって認識される。これまでに明らかになっているスプライシングの反応過程を

以下の(1)一(IV)に示した(図1)。

(1)Ecomplex形成

 スプライシング反応の初;期段階において、イントロンの5 スプライス部位はUI snRNP によって認識される。ブランチ部位配列はSFl/BBPとU2AF large subunitによって認識さ れ(26)、3 スプライス部位はU2AF small subunitによって認識されている(44)。ブランチ部 位のすぐ下流には、しばしばピリミジン塩基(主にウリジン)に富んだポリピリミジン配 列(Pr)が存在し、主にU2AF large subunitが結合する。

(II)Acomplex形成

 その後、ヘリカーゼ活性を持つタンパク質(Prp5やUAP56)がSF1/BBPをBPSから解 離させ、U2 snRNPと置き換えられ(32)、Plp5やいくつかのSRタンパク質を介してUI snRNP とU2 snRNPがブリッジされ(45)、5 ssとBPSが近くに配置されたAcomplexが形成され

る。

(III)B・B*complex形成

 U4/U6 snRNPとU5 snRNPがタンパク質問相互作用によってtd−snRNPを形成する(21)。

これがAcomplexに集まり、Bcomplexが形成される。この複合体が形成されるといくつか のタンパク質の働きにより、非常に大きなRNA・タンパク質の構造再配置が起こり、B*

complexが形成される(32)。この反応を通じてU1とU4 snRNPは複合体から解離する。こ

の際にprP 19 complex(NTC又は40S−cdc5 associated complex)が複:合体に結合する(22)。Prp lg

complexはスプライシング反応に必須であり、最初のエステル転移反応に必要とされる。

(7)

また、Prp 19 complexはU5 snRNPとU6 snRNPの複合体への結合の安定化に寄与している

(5)。

(IV)Ccomかlex

 B*complexが形成されると、最初のエステル転移反応が起こり、mRNAは5 エキソンと ラリアット(投げ縄)構造中間体に分けられ、複合体の因子は再び配置を変えCcomplex を形成する。その後、U5 snRNPによって近くに配置された5 ssと3 ss間で二番目のエス テル転移反応が起こり(36)、成熟したmRNAとラリアットイントロンが形成される。

 このようにスプライシングは高度に制御された複雑な反応系の中で進行し、関連する因 子は推定100種類以上あると言われている(16)。

 スプライシング因子群は、正しいタンパク質発現の鋳型となる成熟mRNAをつくるため に、エキソンとイントロンの境界に存在する5 スプライス部位と3 スプライス部位、およ び投げ心心中間体を形成するブランチ部位を正しく認識し、遺伝子に散在する土キソンを 一塩基の狂いも無くつなぎ合わせなければならない。一方、それらの配列の認識には自由 度が与えられており、高等真核生物にみられる選択的スプライシングを可能にしている。

選択的スプライシングは、特定の遺伝子に特異的に作用する付加的スプライシング因子と 基本的スプライシング因子との相互作用によって制御される場合もあれば(3)、拮抗的に作 用する基本的スプライシング因子の量的変動によって制御される場合もある(8,11)。しか し、その合目的な制御にいったん狂いが生じ、誤ったスプライス部位が選択されれば、異 常なmRNAを生じ、活性のない、あるいは有害なタンパク質がつくり出される危険性があ

る。実際、スプラス部位の選択異常による疾患は数多く報告されている(39)。しかしなが ら、真のスプライス部位に似た配列は、イントロン、エキソンを問わず、遺伝子全体の至 る所に存在し、真のスプライス部位を正しく区別する機構はよく分かっていない。さらに、

細胞内のmRNAは転写後、不規則な構造をとっていると考えられるが、異なるイントロン 上の5 スプライス部位と3 スプライス部位が窒間的に近接した場合にも、なぜ決められた 適切なエキソンを選択することができるのか不明である。

 これまでに、隣り合ったエキソンをどのように認識し、連結させているのかということ に関していくつかの仮説が提唱されている。例えば、SRタンパク質がイントロンの両側に 結合したUI snRNPとU2 snRNPに同時に相互作用し、互いを近接化すると言われている(9)。

しかし、細胞内のmRNAの形態を考えると、空間的にスプライス部位が近接した場合、ど のようにしてSRタンパク質は隣り合ったエキソンを認識できるのかを説明できない。また 最近では、転写とスプライシングが共役して、転写合成されたイントロン、エキソンへ次々

とスプライシング因子が集合し、スプライシングするという説がある(23,47)。このように

(8)

考えると、確かに隣り合ったエキソンの認識は可能だが、選択的スプライシングがどのよ うに行われているかについては説明できない。このように、正しいエキソン認識に関する 機構は未だよく分かっていない。

 そこで本研究では、通常の構成的スプライシング(または本稿においてはordered splicing)

において、エキソンを飛ばすことなく順次連結する分子メカニズムを明らかにすることを 目的として研究を進めた。エキソン選択の分子メカニズムをより詳細に解明することは、

構成的、選択的スプライシングの両方において有用な情報を提供し、スプライシング異常 による様々な疾患の治療に役立つと期待できる。

 本研究では、分裂酵母(3c厩05αCC㎞澱0脚。ε5 pO〃喫)を用いてスプライシングの解析を 行っている。その理由の一つに、遺伝子ρ構造上の特徴が出芽酵母(∫αoc肱m配ycε5 c鯉γ∫伽ε)に比べて、より哺乳類のものに近いことがあげられる。例えば出芽酵母全遺伝 子の約4%がイントロンを持つのに対して、分裂酵母では約46%の遺伝子がイントロンを 持ち、その約半数が複数のイントロンを保持している(42)。また、典型的なスプライシン

グシグナル(5 スプライス部位、3 スプライス部位及びブランチ部位)は出芽酵母と比較 してより哺乳類の保存配列と類似している(18)。選択的スプライシング1とついて言えば、

ヒトにおいては約60%の遺伝子が選択的スプライシングを受けているが(42)、分裂酵母に おいても減数分裂期特異的なエキソン保持の選択的スプライシングがいくつか報告されて いる(17)。一方、出芽酵母では選択的スプライシングの存在は知られていない。また、遺 伝的解析が容易であることから、分裂酵母はエキソンを順次連結する本質的なスプライシ

ング機構を解析するのに適している。

 本研究では、分裂酵母を用いてエキソンスキッピングを引き起こす変異株を分離し、エ キソンを順次連結する機構に重要な因子を同定及び解析することによって、構成的スプラ イシング(ordered splicing)を保証する機構を明らかにすることを行った。

(9)

      第二章

エキソンスキッピングを引き起こす変異株(0451〜3)の分離と解析

2−1材料と方法

2・1・1 分裂酵母株

 本研究で用いた分裂酵母3c厩03αcchα塑配ycθ5 po配加の細胞株は、表1Aに示した。

2・1・2使用した培地

3%       glucose

O.5%      Bacto yeast extract

 YEALではYEにアデニンとロイシン、 YEALUではアデニン、ロイシン、ウラシルを各 80mg/しの濃度で加えた。

1%

2%

2%

80mg/L 80mg/L

Bacto yeast extract Bacto peptone glucose uracil leucine

プレートの場合は20%Agarを加えた。

目小培地 MM MMU

0.3%

0.22%

0.5%

2%

0.Ol%

0.1%

KH2PO4 Na2HPO4 NH4C1

91ucose

minerals stock (10,000×)

vitami皿s stock (1,000×)

MMUは上記の培地lしに対してuraci豆80mgを加えた。

プレートの場合は20%agarを加えた。

(10)

SPAプレート 1%

0.1%

0.1%

20%

0.05%

0。05%

0.Ol%

0。Ol%

0.Ol%

0.5%

0.036%

0.Ol%

0.1%

glucose

KH2PO4

vitamins stock(1,000×)

aga「

KH2PO4 MgSO4・7H20 NaCl

CaC12・2H20

(NH4)2SO4 glucose

KCOOH

㎡nerals stock (10,000×)

vitarnins stock (1,000×)

これらの培地に適宜アミノ酸、核酸を添加した。

2・1・3 分裂酵母株の形質転換

 分裂酵母の形質転換は以下の方法を用いて行った。形質転換させる細胞(コンピテント セル)を大量に作成する場合は、100mlのYEALUで培養iした細胞を100 mlのMB培地に 移し、26℃で3〜8時間培養し、その後、細胞を回収し、1×109cells/n∬になるように0.1 M 酢酸リチウム(pH=4.9)に溶かして26QCで1時間静置した。この溶液に30%となるよう にグリセロールを加えよく混ぜたあと、100μ1ずつ分注して一80℃で保存した。100μ1の溶 液に導入するプラスミド(約05〜1.0匹g)と290μ1の50%PEG3350を加え、よく混ぜた後、

26℃で1時間静置した。43℃で15分間熱ショックを与えた後、室温で10分間静置して、

5,000rpmで2分間遠心した。上清を捨て、1/2 YEALUに溶かして26℃で1時間培養した 後、選択的な寒天培地に撒き、26℃で培養した。

 プラスミドを導入する株の種類が多い場合(以下に示すバッククロスの際など)は、簡 便法によって形質転換した。まず、プレート上から新鮮なコロニーを掻きとり、0.lM酢 酸リチウム(pH=4.9)100圃に懸濁して26QCで1時間静置した。290μ1の50%PEG3350

と導入するプラスミド(約0.5〜1.0μg)を加え、よく混ぜた後、26℃で1時間静置した。43℃

で15分間熱ショックを与えた後、室温で10分間静置して、5,000rpmで2分間遠心した。

上清を捨て、dH2060μ1に溶かして選択的な寒天培地に撒き、26℃で培養した。

(11)

2−1・4使用したプラスミド

(1)pURA4βとpSPLURA4βレポータープラスミド

 pURA4βプラスミドは共同研究者であるDavid Frendeweyによって作成された。このプ ラスミドに挿入されているのは分裂酵母の扉rα4遺伝子とβ一tubulinの遺伝子であるη4α3遺 伝子で、協04が雇α3の第1イントロン(intron 1)と第2イントロン(intron2)、第2エキ

ソン(exon2)で分断された構造をしている(図2A)。

 また、pSPI−URA4βプラスミドはpURA4βプラスミドからP5 1とBα〃3 HI消化によりイン サートを切り出し、pSPベクターにライゲーションさせて作製した(図2B)。

(2)変異pSPI−URA4βプラスミドの作成

 pSPI−URA4βのIntron1のブランチ部位、3 スプライス部位、ブランチと3 スプライス部 位の間の配列(bp−3 )及びIntron2の5 スプライス部位に変異を入れた、pSPI−URA4βmutation vadationを作製した(図11 A)。作製にはQuickChange II Site−Directed Mutagenesis Kit

(Stratagene;Catalog#200523)を用い、方法はキットに添付のプロトコールに従った。変異 を入れるのに使用したプライマーは表3に示した。

2・1−5脚+性変異株の大規模スクリーニング

(1)突然変異の誘発

 σR471株(況rα4破壊株)をpURA4βで形質転換し、その酵母のコロニーをMMU(MM 培地に80mg/mlのウラシルを加えたもの)10 mlで約20時間、26℃で振盟培養した。培養 液を3,000rpm、3分遠心して集菌し、 dH20で2回洗浄した後、40万cells/plateになるよ

うにMMプレートにまいた。

 このプレートのうち2枚だけは紫外線(UV)を当てないで、残りのプレートには100 J/m2 のUVを当て、26℃で6目間保温した。

 全部で約6,000万細胞をスクリーニングした。

(2)郡α+性変異株の分離

 UVを照射したプレートにおいて、 UVを照射してないプレートよりも早く生えてきたコ ロニーを再びMMプレートにパッチし、グリセロールストックした。このようにウラシ ル要求性の株がpURA4βを保持している場合において、ウラシルの無い培地でも生育でき

る性質を以後「琳α+性」とする。膨rα+性変異株は全部で34株得られた。

(12)

(3)温度感受性呪rが性変異株の分離

 (2)で分離した配rα+性変異株をYPDプレートにストリークし、22,26,37℃で4日間培養 して温度感受性を調べた。37℃で生えて来なかった株を温度感受性麗rα+性変異株とした。

各変異株について詳細な温度感受性を調べるときはさらに30及び33℃での培養も行った。

(4)プラスミドのドロップアウト

 pURA4βを保持した変異株からプラスミドを脱落させるために、まず変異株をYPDプレ ートにパッチし、26℃で24時間置いてからYPDプレートにストリークした。3日後、得

られたシングルコロニーをMMUプレートにレプリカし、 MMUプレートで生えてこない コロニーをYPDプレートから掻きとり、プラスミドを脱落した株を得た。

(5)温度感受性琳α+性変異株における四分子解析及び戻し交配(Back cross)

 温度感受性( ∫層)変異株と㎝ぞ470株をSPAプレート上で接合させ、26℃で約24時間置 いて胞子形成させた。形成された4つの胞子をマニュピレーターでYPDプレート上に並 べ、26℃で4−5日間保温した。1つの胞子嚢由来の4つのコロニーをYPDプレートにパ

ッチして26℃と36℃で2−3日間保温し、∫3+: ∫=2:2になる1遺伝子性の変異株かど うか確認した。また、1胞子嚢由来のコロニーそれぞれにpURA4βを導入し、配rα+性も 3一 性にリンクして2:2に分離するかを調べた。同様の操作(Back cross)を3回行った。

(6)温度感受性那rα+性変異株における優性・劣性変異の検定

 変異株とR31株をSPAプレートで接合させ、26。Cで10時間保温し、 MMプレートにス トリークした。26℃で3−4日保温した後、得られた2倍体のコロニー4っをいったんYEAL プレートにパッチし、それからYEALUプレート2枚にストリークし、26℃と37℃に3−4

日置いた。ネガティブコントロールとして1倍体の変異株(37℃では生育できない)を同 じプレートにストリークした。温度感受性配澱α+性変異株の変異が劣性のものであれば、野 生株と接合させた2倍体において37℃で生育できるが、優性変異であれば生育できない。

2−1・6 相補性検定

 3回バッククロスした株同士(表2A aとb)をSRヘプレート上で接合させた。約10時 間後、2倍体を形成させたところでM]Mプレートにストリークし、生えてきたコロニーを YEALプレートにパッチし、安定な2倍地代を得た。これをさらにYEALUプレート2枚

にパッチし、26℃と37℃で保温した。同じ遺伝子に変異を持つ株であれば、温度感受性の 変異を相互に相補できないことから、37℃で生育できない。

(13)

24−7 原因遺伝子クローニング

(1)分裂酵母ゲノムライブラリーでの形質転換

 0451−1,04∫2−1及び0433−1のコンピテントセルを作製し、0451−1,0432−1は分裂酵母コス ミドライブラリーで、04∫3−1は分裂酵母pSP1ライブラリーで形質転換しMMUプレート に撒いた。それを26℃で12時間培養した後、36℃に移し6日保温した。

 36℃で培養したプレートに生えてきたコロニーをMMUプレートにパッチし、グリセロ ールストックした。その株からプラスミドを回収し、大腸菌(XLレBlue)に導入してプラ スミドを大量に得た後、04∫株を再び形質転換して再現性のあったプラスミドを次のサブ クローニングに用いた。

(2)サブクローニング

 045株の∫∫性を相補したプラスミドを適当な制限酵素処理し、各バンドを切り出した後、

pSP1ベクターとライゲーションさせた。こうしてできた各プラスミドで再び045株を形質 転換して ∫性を相補するDNA断片を調べた。同様な操作を繰り返し、04∫株の ∫性を相 補できる遺伝子を特定した。

(3)変異部位の決定

 UR471株と0451株からゲノムDNAを回収し、 U2AF59/pη)2遺伝子ORFの上流740 bp から下流294bpを5 側と3 側のプライマーを用いて増幅した。これをpCR−Bluntベクター につないでシークエンスを確認し、変異部位を決定した。

 0452株はU2AF四遺伝子ORFの上流732 bpから下流250 bpをods24とods2−6プライ マーを用いて増幅した。このDNA断片をods2−1−2−6プライマーを用いてシークエンスを 行い、変異部位を決定した。

 また、04∫3−1は坦遺伝子ORFの上流571 bpから下流200 bpをsfl−1とsf1−9プライマ ーを用いて増幅した。このDNA断片をsf1−1〜1−9プライマーを用いてシークエンスし、変 異部位を決定した。

2・1−8 RT・PCR

(1)培養条件

 液体培地(MMU)3n丑にpURA4βで形質転換した株(3ηh4,19,29,33)を懸濁し、26℃

の恒温槽で18時間振盤培養した(これをpre−cultureとする)。

(14)

 次に3本の試験管にMMU g nUを分注し、それぞれにpre−culture l mlを加え、そのうち 2本を26℃で、1本を30℃で約24時間振盗培養した。370CにおけるRNAを回収するCulture は26℃で培養していた試験管の1本を22時間後に制限温度(37℃)に移し、2時間振盤 培養した。ただし、5納29変異株は制限温度が30℃からなので、26℃で培養している3本 目試験管のうち、22時間後に1本を30℃で、1本を37℃で2時間培養iした。

(2)分裂酵母からのRNA回収

 培養液を3,000rpmで5分遠心して出血し、上清を捨て、 dH20約500μ1を加えて細胞を 懸濁した。それを1.5m1チューブに移し、10,000 rpmで1分遠心し、上清をきれいに取り 除いた。TELS buf6er (10 mM Ths−HCI、10 mM EDTA、100 mM塩化リチウム、1%SDS)

200μ1と適量のグラスビーズを加え、さらにPCI 200μ1を加えた後、20秒×8回v飢ex した。15,000rpmで10分遠心した後、水層をとり、さらにPCI 200μ1を加え、15,000 rpm で10分遠心した。水層を取り、100%EtOH 500μ1を加え、一20℃に1時間置いた後、4℃

で15,000rpm、20分遠心した。ペレットを70%EtOHでリンスし乾燥後、 RNase freeのdH20 17副に溶かした。

(3)DNase処理

 不要なDNAを除去するためにRQI RNase Free DNase(Promega)を用いた。上記のRNA サンプル17μ1に添付のb耐er 3μ1、 DNase 10叫を加え、37℃で1時間培養した後、 PCI処 理、エタノール沈殿を行い、RNase FreeのdH2040μ1に溶かした。

 その後、RNAの濃度を測定した。 DNase処理が完全かどうかを確かめるために2μgの RNAを60μ1のdH20に溶かし、そのうち1μ1をテンプレートにtub−3とtub−4プライマー

を用いてPCRした(サイクル等は下記に示したPCRと同様)。ゲノムDNA由来のバンドが 増幅されていなければ、次のRr反応用のRNAサンプルとした。

(4)逆転写(Rr)反応

 逆転写には、Ready−to−GO You−Prime First−Strand Beads(Amersham Biosciences)を用いた。

上記のRNAサンプル2μgをdH2030μ1に溶かし、65℃で10分間保温後、氷上で冷却し

た。次にReady−to−GO You−Prime First−Strand Beadsに移し、図10ではtub−4(100 pmol/μ1)を 1晒1、それ以外のRTではoligo dT(100 pmol/μ1)を3.3μ1加えた。37℃で1時間反応させた。

RT反応にtub−4を用いたサンプルでは反応後のRr反応チューブにdH2030叫を加え、以 後のPCRでは2μ1を用いた。また、盟反応にoligo dTを用いたサンプルはcDNAを1/10 希釈し、1叫をPCRめテンプレートとした。

(15)

(5)PCRと5%ポリアクリルアミド電気泳動  以下のように反応液をMixした。

   cDNA sample      1μ,l   lO×Ex−Taq buf[er      3μ1   Ex−Taq      O.5μ,l    tub−3(100 pmo1/μ1)         1μl   tub−4(100 pmo1/μ1)      1μl   dNTP mix       2.4μI   dH20 to 30μ,1

これを次のような条件で反応させた。

 1)95。()  1㎡n

 2)95℃ 30sec

 3)60。C  l nlin

 4)72℃ 30sec

     2)一4)を30サイクル  5)72QC  lOmin

  PCR産物5μ1をとり、5%アクリルアミドゲルで290 V、15分電気泳動した。その後、

エチジウムブロマイド溶液で染色した。

2・1・9サザンプロット解析

(1)Transfer

 5%ポリアクリルアミドで電気泳動したcDNAはGene Screen Plus filter (New England NucleaらBoston, MA)に18時間トランスファーした。フィルターは2×SSC (0.3 mM NaCl、

3mM Th−sodium citlate dihydrate)に15分ひたし、その後、30分風乾した。それをアルミ 箔に包み、75℃で3時間ベーキングした。

(2)ura4 probeの準備

 以下を1.5mlエッペンドルブチューブで混合した。

     ura4 probe(100pmol/μ1)    15μ1      10×kinase buffbr      25叫1

(16)

     T4 polynucleotide kinase      1μl      Y−32P−Arp       10μ1      dH20       10μ、l

       Total 25μ1

 37℃で30分保温し、10分ボイルした。これに175μ1のTEを加えた。

(3)he−hybridization

 フィルターをハイブリバッ.グに入れ、以下の試薬を加えた。

     dH20       7.8 ml      O.5M Na−phosphate      2m1      20×SSC       6 ml      50×Denhardt s         2ml      10%SDS      O.2 ml      500mM EDTA      80μ1      2mg/ml s.s.DNA        2 ml、

       Total 20 m1  42℃で2時間保温した。

(4)Hybhdization

    dH20

    05M Na−phosphate     20×SSC

    50×Denhardt s     10%SDS     500mM EDTA

    tRNA 10μg/μl     labeled ura4 probe

42℃で一晩保温。

2.34ml O.5m1

15ml

O.5m1 50μ1

20μ,1

1q帥1

80μ,1

Total 5ml

 室温の6×SSCで5分×2回、洗浄した。その後、6×SSC/0.1%SDSを加え、42℃で20 分保温しだ(2回)。フィルターをペーパータオル上で風乾し、サランラップに包んで、感 光板にはさみ、一晩おいた。その後、FUJI FILMのBAS 1500で解析した。

(17)

2・1−10スポットテスト

 24−4(2)で作製した変異型pSP1−URA4βが導入された野生株(σR471)をMMU 10 n皿に イノキュレートし、26℃で一晩培養した。1mlの:培養液を3,000 rpmで遠心し、沈殿を適 量(約100μ1)のdH20に懸濁し、それをさらに50倍希釈して細胞数を数えた。5×104 cells/μ1 になるように細胞懸濁液を希釈し、それを10倍ずつ希釈してゆき、5×103、5×102、5×

10cells/μ1の細胞懸濁液を作成した。

 これらを2μ1ずつMM及びMMUプレートにスポットし、26℃で5目間保温した。

(18)

2・2結果

2−2・1 砺が性変異株の大規模スクリーニング

 エキソンスキッピングを検出するレポーター遺伝子として、ウラシル合成系の遺伝子

(況rα4)を半分に切り、その間にβ一tubulin (πぬ3)遺伝子のイントロンとエキソンを挿入 したレポータープラスミド(pURA4β)を用いた(図2A,図3A)。このレポータープラス ミドから転写されたmRNA前駆体が分裂酵母野生株で正常にスプライシングされた場合、

配rα4の問にη6α3エキソンが挿入されるため、機能的なUra4タンパク質ができない。しか し、分裂酵母の何らかの遺伝子に突然変異が入るなどして、レポーター遺伝子内の磁α3 エキソンがスキッピングされると、分断された配rα4が結合し、機能的な琳α4mRNAが合 成される(図3B)。

 エキソンスキッピングを引き起こす変異株を得るため、σR471株にpURA4βプラスミド を導入し、ウラシルの含まれていない培地(MMプレート)に撒き、100 J/m2の紫外線(UV)

を照射して、.26℃で6日間培養した(図4)。σR471株は配rα4遺伝子破壊株なので、 MM プレートでは生育できない。しかし、UVでゲノム内に突然変異を誘発させることによっ て、MMプレートでも生育できる変異株(配rσ+性変異株)がスクリーニングできる。得ら れた変異株においてはpURA4βのη4α3エキソンが飛ばされてしてスプライシングしている

ことが予想される。このようにして況rα+性変異株を34株分離した。

2・2・2 温度感受性艀α+性変異株の分離

 スクリーニングによって得られた琳α+性変異株の中に温度感受性( ∫性)を示す株があ るかを調べるため、全ての配rα+性変異株をYPDプレートにパッチし、37℃で保温した。

その結果、37℃で生育できなかった株は8株存在した(5肋4,19,25,28,29,32,33,34)。次 にこれらの詳細な制限温度をしらべるため、それぞれの変異株を26、.30、33、37℃で培養

した結果、3肋29は30℃、5励4、25、28、32、33、34は33℃、∫ηh19は37℃で致死にな ることが分かった(図5A)。

 さらにこめ扉rゴ性がレポータープラスミド依存的に引き起こされているのかどうかを確 かめるため、∫航4、19、25、28、29、32、33、34にpURA4βが導入された株と、pURA4β のベクターのみが導入された株をMMU及びMMプレートにパッチし、26℃で培養した。

その結果、pURA4βが導入された脚+性変異株ではMMプレートでも生育できるが、ベク ターが導入された那rゴ性変異株では生育できなかった(図5B)。このことから、得られた 麗rα+性変異株ではレポータープラスミド依存的に配rα+性を示していることが分かった。よ

ってpURA4βのη伽3エキソンがスプライシングの際に飛ばされて、機能的な配rα4 mRNA

(19)

を合成していることが示唆された。

2・2−3 相補性検定

 得られた温度感受性麗rゴ性変異株において、同じ遺伝子に変異を持つ株とそうでない株 を分類するために、相補性検定を行った。相補性検定では劣性の変異株同士で掛け合わせ る必要がある。そこでまず、これら変異株が優性か劣性かを調べるために、野生株と変異 株との2倍体を作製し、37℃における生育を観察した。変異が優性であれば、野生株との 2倍体37℃で生育できないが、劣性ならば、すべての2倍体株で生育できる( ∫牲と罵rゲ 性は変異が同じ遺伝子に由来していることは、戻し交配の時に確認している)。その結果、

2倍体株はすべて37℃で生育できることが観察された(図6)。このことから、∫漉4、19、

25、28、29、32、33及び34株の ∫性は劣性であると判断した。

 そこで、次に変異株同士を掛け合わせて相補性検定を行った。もし異なる遺伝子上に変 異を持つ株同士であれば、お互いの温度感受性を相補することができるが、同じ遺伝子上 に変異を持つ株同士であれば、温度感受性を相補できない。図6に示す様に、5ηh4と5肋25、

28、29及び32を掛け合わせて作製した2倍体では∫5 性を相補することができなかった。

この結果から、これらは同じ相補性グループに分類されることが分かり、0451(壁4ered 旦plicing 1)と命名した。一方、∫肋19は∫励4、25、28、29、32、33及び34のいずれと掛け 合わせた2倍体でも、お互いの ∫性を相補できたことから、前者とは異なる相補性グルー プに分類されることが分かった。そこで5肋19を0432と命名した。さらに、3漉33と5肋34 は3肋4、3肋19との2、倍体では 5 性を相補したが、5肋33、34同士では相補できなかった ことから、5肋33と5肋34は04∫1にも0452にも属さない新規の相補性グループであること が判明した。そこで5肋33及び3肋34を0453と命名した。

 相補性検定によって、温度感受性配rα÷性変異株の中から3種類のordered splicing変異株

(0451〜3)を分離することに成功した。

2・2−40451はスプライシング因子U2AF59をコードしている

 5励4(0431−1)の変異は劣性変異であることが2−2−3の解析によって分かったので、分裂 酵母コスミドライブラリーを用いて原因遺伝子のクローニングを行った。励4株をコスミ ドライブラリーで形質転換したところ、2種類のコスミドが5肋4株の∫5性を相補した。そ れぞれのコスミドの配列の一部をシークエンスすると、この2つのコスミドはオーバーラ

ップしている領域があることがわかった。そこでこの領域を断片化しサブクローニングを 進めていったところ、3っの遺伝子を含む9.5kbの断片が3漉4株の 5『性を相補した。3つ の遺伝子のうち、2っの遺伝子はそのORFを含む断片で 3 性を相補できなかったことか

(20)

ら、残る3つ目の遺伝子U2AF59(別名pηフ2)遺伝子に5肋4の相補活性があることが示唆

された(図7)。

 そこで野生株(UR471)のゲノムDNAをテンプレートにしてU2AF59遺伝子ORFの上流 740bpから下流294 bpを増幅し、 pSP1ベクターにつなげて∫肋4株に導入した。その結果、

U2AF59遺伝子が3肋4株の診5性を相補し、 U2AF59遺伝子が5肋4株の原因遺伝子であるこ とが示唆された(図7B)。

 さらに5励4株におけるU2AF59遺伝子の変異部位を決定するため、 U2AF590RFの上流 740bpから下流294 bpを増幅し、 pCR−Bluntベクター(Invitrogen)にサブクローニングし てシークエンスを行った。その結果、5肋4株ではU2AF59遺伝子の919番目の塩基がGか

らAに変換しており、アミノ酸レベルでは307番目のアスパラギン酸(D)がアスパラギン(N)

になる変異であることが分かった(図7C)。

 分裂酵母U2AF59タンパク質は、ヒトU2AFの大サブユニット(hU2AF65)の相同因子で あり、ブランチ部位配列と3 スプライス部位の間に存在するポリピリミジン配列に結合し、

U2 snRNPとブランチ配列の相互作用を促進している(27,31)。また、 U2AF59はSF1および U2AF23と複合体を形成している(15)。

2・2・55肋25,28,29,32における変異部位の決定

 相補性検定により、∫励25、28、29及び32は5励4と同じ相補性グループに分類された ことから、これらの原因遺伝子も5肋4と同じくU2AF59/砿ρ2であることが分かった。そ こで、5肋25、28、29、32におけるU2AF59遺伝子の変異部位を決定した。

 その結果、∫肋25、28及び32は3肋4と全く同じ部位に同じ変異があることが分かった。

そこで5肋4、25、28及び32をod51−1とした。一方、5肋29は1148番目②シトシンがアデ ニンに変換しており、これはアミノ酸配列では383番目のアラニンがグルタミン酸に変化 する変異であ1ることが分かった。そこで5肋29を0451−2と命名した(図7C)。

2・2・6 ε肋19はスプライシング因子U2AF23をコードしている

 0452の原因遺伝子をクローニングするため、∫η配9を分裂酵母コスミドライブラリーで 形質転換し、36℃で3ηh19の 5一性を相補するクローンを10個得た。 次にコスミド1をSoZ IとApα1で処理し、11フkb、5.6 kb、4。8 kb、2.2 kbの断片をpSP1とうイゲーションさせ、

0432に導入した。その結果、5.6kb−pSP1が5肋19株の 5 性を相補した。さらに5.6 kb−pSP1 をXho IとN461で処理し、9.6 kb、15 kb、1.3 kbの断片をpSP1につなぎ、同様の操作を 行ったところ、1.5kbのゲノム断片が5励19株の 3牲を相補した(図8B)。このDNA断片 にはU2AF23遺伝子が含まれており、これが0432の原因遺伝子である可能性が示唆された。

(21)

 そこで、3ηh19からゲノムDNAを回収し、 U2AF23の塩基配列を確認した。その結果、447 番目のシトシンがグアニンに変換しており、アミン酸レベルではシステインがトリプトフ

ァンに変換していた。この変異は野生株には見つからなかったことから、0452の原因遺伝 子がU2AF23であると結論した(図8C)。

 U2AF23タンパク質はU2AF複合体の小サブユニットであり、ヒトU2AF35の相同因子で ある(41)。また、2−2−4でも述べたように、U2AF23はU2AF59およびSFと複合体を形成して

おり(15)、3 スプライス部位の AG を認識する(41)。

2・2・70453はスプライシング因子SF1をコードしている

 od53の原因遺伝子をクローニングするため、∫肋33株に分裂酵母pSPIライブラリーを導 入し、37℃で∫3性を相補するクローンを21個分離した。

 その中の3つのクローンからプラスミドを回収し、30HとEco RIで制限酵素処理した ところ、それぞれに同じ大きさのバンドが共通して見られた(data not shown)。このこと から、これら3つのpSP1ライブラリーは同じ領域の遺伝子を含んでいることが予想され

た。

 そこで、各プラスミドのインサート内の配列を確認した結果、インサート断片はSPCC962

(10742)〜SPCC1672(863)までの4410 bpをカバーしていることが分かった(図9A)。この 領域には、スプライシングに関与する副+(別名勿わ1)遺伝子がコードされている。そこ で、pSP1クローン2を8α11で処理し、坦+遺伝子のみを含む断片を作製し、3肋33株へ導 入した。その結果、3肋33株の ∫性を相補したことから坦+遺伝子が0453の原因遺伝子で あることが示唆された(図9B)。

 そこで、∫肋33からゲノムを回収し、坦遺伝子の塩基配列を決定した。その結果、347 番目のシトシンがアデニンに変換しており、アミノ酸レベルでは101番目のグルタミンが

リジンに変換していた(図9C)。2つの独立的にPCRした坦遺伝子断片の配列にも同じ 変異があり、野生株ゲノムには変異が無かったことから、0433の原因遺伝子が魂である

と結論した。

 SF1タンパク質は2−2−4や2−2−6でも述べたようにU2AF59およびU2AF23と複合体(SFI−

U2AF59−U2AF23複合体)を形成しており(15)、ブランチ部位の最初の認識に重要であるとい

われている(20)。

 また、5肋34は∫ηh33と同じ相補性グループに分類されることから、∫励34における謂 遺伝子の変異部位を調べた。その結果、3肋33と全く同じ部位に同じ変異を持っているこ

とが分かった。

(22)

2−2・80d5変異株ではエキソンスキッピングが引き起こされている

 野生株(σR471)と045変異株における麗rα4βmRNAがどのようにスプライシングされ、

どの程度スキッピングが引き起こされているかを調べるため、pURA4βを保持した野生株 および045.変異株(5肋4、19、25、28、29、33)から全RNAを回収し、 oligo dTで逆転写

した後、pURA4βの2つのイントロンを挟むプライマー(tub−3とtub−4)を用いてPCRを

行った。

 その結果、野生株ではどの培養温度においてもμrα4の間にη4α3のエキソンが挿入され たmRNA(200 bp)が合成されていた(図10)。イントロン1だけスプライシングされた mRNA(250 bp)もわずかに検出された。一方、0451−1株においては、26、30℃共に、完 全にスプライシングされたmRNAも検出されるが、野生株に比べてイントロン2、もしく はイントロン1と2両方がスプライシングされていないmRNA(287 bp)も多く検出され た。さらに制限温度である37℃においては、ほとんどのmRNAが全くスプライシングさ れておらず、スプライシングが阻害されていた。

 そして、26℃、30℃の培養温度において、極薄く150bpのバンドが検出された。このバ ンドの配列を確認したところ、ηぬ3遺伝子のエキソンがスキッピングして完全な麗rα4 mRNAになったスプライシング産物であることを確認した(図10)。0431−2株は26〜37℃

においてスプライシングされていないmRNAが野生株よりも多く検出されたが、制限温度 下では04∫1−1のように全くスプライシングされなくなることはなかった。0452株では各温 度でエキソンのみで構成されているmRNA、イントロン2がスプライシングされていない mRNA、そして全くスプライシングされずイントロンが2つとも残った状態のmRNAが検 出された。37℃においては全くスプライシングされていないmRNAが26や30℃よりも強 く検出された。0453株では、26℃と30℃において、イントロンが両方ともスプライシング されたmRNAが最も多く、イントロンが両方残ったmRNAと、イントロン2だけがスプ ライシングされずに残っているmRNAも野生株より多く検出された。04∫3の制限温度で ある37℃では、スプライシングされていないmRNAが増加し、両方のイントロンがスプ ライシングされたmRNAは減少していた。

 しかしながら、RT−PCRでは全ての株においてエキソンスキッピング産物はごくわずか しか検出できなかった。そこで、スキッピングのバンドをより明白に示すため、サザンプ ロットを行い、麗γα4のエキソン1とエキソン2をまたぐように設計したura4 probe(32Pラ ベル)を用いて、エキソンスキッピングの検出を行った。

 その結果、野生株においてエキソンスキッピングのバンドは、各温度においてほとんど 検出されなかった。しかし、0451−1、0451−2、04∫2及び04∫3では、はっきりとスキッピン グのバンドが検出された(図10下段)。株によbてスキッピングが多く起こる温度は違っ

(23)

ているが、どの温度においても野生株よりもスキッピングが多く起こっていることが分か

った。

 以上の結果から、0451〜3変異株では呪rα4βmRNAにおいて実際にエキソンスキッピング が引き起こされているということが明らかとなった。

2・2・9 イントロン1の3 スプライス部位周辺への変異は、エキソンスキッピングを引 き起こす

 エキソンスキッピングを引き起こす変異株のスクリーニングによって04∫1、0452、0433 を分離し、それぞれU2AF59、 U2AFお、 SF1をコードしていることが明らかとなった。この ことからordered splicingにはSF1−U2AF59−U2A岬複合体の3 スプライス部位への結合が重 要であることが示唆された。そこで、SF1−U2AF59−U2AF23複合体の重要性を配列側から解 析するために、SF1−U2AF59−U2AF23の結合部位に変異を入れた様々なpURA4βレポータープ

ラスミドを作製し(図11A)、野生型株でエキソンスキッピングが起こるかを検証した。

 その結果、ブランチ部位とその下流配列に変異を入れたpURA4βを野生株に導入すると、

すべてMMプレート上で生育することができた(図11B, No.3,4,6,7)。また、 U2AF23の結 合部位(3 スプライス部位)にのみ変異を入れたpURA4βは、ブランチ部位とその下流配 列に変異を持つレポータープラスミドよりもMMプレートでの生育が悪かったが生育は可 能であった(図11B, No.5)。しかし、イントロン2の5 スプライス部位にのみ変異をいれ たpURA4βでは、 MMプレートで全く生育できなかった(図11B, No.2)。

 これらの結果から、ブランチ部位周辺の変異はエキソンスキッピングを引き起こすこと 示唆された。

 そこで、変異型pURA4βを導入した野生株の中では実際にどの程度スキッピングした 配rα4βmRNAが存在しているのかを確かめるため、図11AのpURA4βで形質転換した野生株 からRNAを回収し、 RLPCRとサザンプロットを行った。

 その結果、図11Bで玩γα+性を示した形質転換体は確かにスキッピングしており、スポット テストの結果を反映していた(図11B, C)。

 これらのことから、ordered splicingにはSF1−U2AF59−U2AF23複合体によるブランチ部位 周辺の認識が重要であり、それぞれの結合部位に対して不安定だとスキッピングを引き起

こすことが示唆された。

 また、RT−PCRで検出されたバンドのシークエンスを確認した結果、 No.2のレポーターで は最初のイントロンはスプライシングされ、変異の入った後ろのイントロンはスプライシ ングされずに残っていた。No.3とNo4は変異の入った最初のイントロンが残ったバンドが 検出された以外にも、変異の入っていない後ろのイントロンまで残ってしまったpre−mRNA

(24)

が見られた。No5 (3 ssのAGをCTに変えたもの)では、エキソン内に存在する、本来3 スプライス部位ではないAGを認識するため、前方イントロンはスプライシングされ、 pre−

mRNAはほとんど見られなかった。これらのことから、最初のイントロンが残っていると、

後ろのイントロンも残りやすいことが分かった。しかし、No.8では一気にpre−mRNAのバン ドが増加した。No.5では前方イントロンのほとんどが偽の3 スプライス部位(本来の3 ス プライス部位に似た配列を持つ部位)を使っていたので、No.8では前方イントロンは偽の3 スプライス部位を使い、後ろのイントロンが残ってしまう中間産物のバンドがほとんどで あると予想していたが、その予想に反する結果となった。この場合、後ろの変異が前方の 偽の3 スプライス部位の使用に影響を及ぼしていると考えられる。

 また、エキソンの両サイドのスプライス部位に変異を入れると、イントロンとそのエキ ソンを含む全体がイントロンとして認識されて、ほとんどのmRNAがπ4α3のエキソンを スキッピングしてしまうだろうと予想していた。しかし、No.8では偽る3・スプライス部位 を使うため、中間体も検出されたが、No,6、 Noコではほとんどpre−lhRNAのみが検出さ れた。これらのことから、5 や3 スプライス部位およびブランチ部位に変異の入ったイン

トロンは基本的にスプライシングされず、3 スプライス部位のAGにのみ変異がある場合 は、η4α3エキソン内にある偽の3 スプライスサイトを使用してスプライシングされてい ることが分かった。

2・2・10スプライシング変異株として分離されたp7p2(U2AF5う変異株でもスキッピング が引き起こされる

 0431はU2AF59をコードしているが、スプライシング因子として分離されたρηフ2.1、配ρ2.2 変異株もU2AF59をコードしている(27,37)。さらに0451−1は、染色体の安定維持に異常を 示す温度感受性変異株として分離された雁511−453と全く同じ変異を持つ(33)(図12A)。そ こで、今回分離した0431−1と04∫1−2の変異がスキッピングを引き起こすのか、それとも U2AF59の変異株なら全てスキッピングを引き起こせるのかを調べるため、p7p2.1及びp7:ρ2.2 変異株に脚 、1飢マーカーを入れた株(pη)2.1−M1麗, pηフ2.2−MJのを作製し、これらにpURA4β を導入し、況rα+性を示すかどうかを調べた。

 その結果、スプライシング変異株として単離されたρηフ2.1とp}:ρ22株でも0451変異株 と同様に翻rゴ性を示し(図12B)、これらのスプライシング変異株でもエキソンスキッピ ングが起こっていることが示唆された。このことから、od51−1及び0451−2の変異部位がエ キソンスキッヒ。ングに効果的な役割をしているわけではなく、U2AF59自体の機能面:全によ ってエキソンスキッピングを引き起こされていることが示唆された。

参照

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