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非専門家学生 にお ける適応支援者 としての社会化過程

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(1)

非専門家学生 にお ける適応支援者 としての社会化過程

‑不登校生徒 の長期支援学生に対す る

PAC

分析 ‑

PACAn alysisofSocializationn℃ccessinNonspecialistStudentSupporterstoSch00lNonattendants

弘前大学教育学部学校教育 ( 教育心理学)講座 弘前大学教育学研究科 ( 現 南郷村立嶋田小学校) 青森労災病院神経科

彦 子 弓

秋 恵 美 白lP : = 叫 ノ ーノ 谷 馨 長 加

ビア ・サポー トの本質が,近 い年齢帯の非専門家による斜 めの関係 による支援にあ り,対人サ ポー ト専門職 の養成学部では,正課の教育以外のルー トで専門職 的社会化過程 を促進す る活動 も 学生相談活動である ことを論証 した後,不登校生の適応指導教室で

2

年間のサポー ト活動 を行 っ た教員養成学部学生

3

事例 について, 自然過程 としての専門職 的社会化過程の個人構造 を

PAC

分 析 で明 らか に したo そ の結果 ,模 索 と自他 の 内面‑ の気 づ きを通 して,①斜 めの関係 ‑ の' 移 行 ,②通級生 との支 え合いによる成長感,( 塾不明確 な役割像 を率直な 自己表出で乗 り越 える,④ 自他のペースの尊重,⑤異質な存在 との出会いによる対人態度 の広が り⑥ 自他‑の態度の好 ま し い変容感, とい う6つの共通項 を抽出 した。

問題 :適応支援者 にお ける社会化過程研究の学生相談学的意味

Ⅰ‑ 1

学生相談 と学生サポーターに よる不登校支援

Ⅰ‑ 2

本研究の 目的 と方法論 ‑サポー ターにお ける職業的社会化の 自然過程 の解 明

Ⅱ 対象 と手続 き

Ⅱ‑ 1 対象 とした適応 指導教室 と事例 の特質

Ⅲ‑ 2

調査 と分析 の手続

長期の不登校生徒サポー トを行 った 5事例 における社会化過程 の個人構造

Ⅲ ‑ 1 事例 A

Ⅲ ‑ 2 事例 B

‑ 3

事例

C

Ⅳ 考察 と展望

Keywords:

StudentSupporter,SchoolNonattendants,Diagonal

(

"Nanam e")DyadicRelations,VocationalSocialization

問 題 一適応支援者 における社会化過程研究の学生相談学的意味

Ⅰ‑ 1

学生相談 と学生サポー ターによる不登校支援

佐 々木

(200

1 )は本誌前号で,ユ タ大学カ ウンセ リングセ ンターの ピア ・カ ウンセ リングとスーパー ビジ ョン ・システム等 を紹介 しなが ら," 学生 を学生指導 に組 み込み,補助的役割 をもた せ ,サ ポー ト の担い手である学生 自身の 「 相談 を受 ける立場 までの成長」や 「 基本的な人間 としての力 をつ け させ る

ことを 目的 とす る 「 共同社会モデル にたつ学生相談機構」

"(pll)を提案 している。また斎藤 ら (1996)

も,合衆国1 1 大学の学生相談機 関をサ グェイ し,

6

大学で相談機 関が関わった ピア ・カウ ンセ リングが 行 われ てい る実態 を示 して, 「 同 じ大学 に学ぶ先輩 ・同輩 の援助力 を生かそ うとす る活動 が, ご く一般 的 に行 われてい る

として,"ピア 丁カ ウンセ ラー 自身の発達 も促 され る貴重 な経験であ る" と指摘 し た

(p52‑53)

.. ピアに よる心 理的サポー トは,わが国の学生相談界で も昭和30 年代 か ら既 に行 われてお

‑ 15 ‑

(2)

り,慶鷹義塾大学が新入生オ リエ ンテー シ ョンを行 う学生 をスチ ューデ ン トカ ウンセ ラー と呼称 しその 研修 と組織化 を行 って, ピア ・カ ウンセ リング制度 を展開 させ て きた ( 平野

1986,p161163)

し,近 年では広 島大学保健管理セ ンター

(200

1 )が,平成

1

1 年度 に 「ピア ・サポー ト活動」 を開始 し,

12

年度 には ピア ・サポー ト・ルー ムを開設す る とともに,年間

14

回の講義 と実習か ら成 るセ ミナー も開催 して い る。 また,下 山 ら (

1991)

の学生相談標準分類枠組みで も,̀ ̀ ピア ・カ ウンセ ラーの会 のま とめ役 な ど学 内 ソー シャル ・サポー トのネ ッ トワー キ ングを行 うこと' 'が,学生相談 の 「コ ミュニテ ィ活動の方 法」 として定位 され, ピアに よるサ ポー トも,市民権 をえてい るよ うに見 える。

とはい え,心理臨床 の標準的提要 とされ る 『心理臨床大事典』 においては ピア ・カ ウンセ リングの正 当な言及 は認 め難 く, ピア ・サ ポー トの研 究 を 『心理臨床学研 究』誌 ・『学生相談研 究』誌 の学会誌論 文でサ ヴェイ して も,全国学生相談研究会議 ・全 国大学保健管理研 究集会 ・全国大学 メンタル‑ル ス研 究会の発表抄録 でサ グェイ して も,内野 ら

(200

1 ) を兄いだす のみである。樫井

(2000

,

p505

1 ) も指 摘す るよ うに,わが国の学生相談 ・心理臨床界 は非専門家の心理的サポー ト機能 を求めは して も,あ く まで臨床心理専門家によるサポー トの周縁に配 され るべきもの と位置づける文化 ( 例 えば,峰松 ら

1991

,

p192

1 )があ り,非専門家 によるサポー トをテーマ に した研 究 も蓄積 され難 い と考 え られ る。

他方 ,学校教育の領域では,英 ・米 ・豪 ・加 にお ける初等教育段階での ピア ・サポー ト活用 を承 けて 滝

(2000a,b)

らが開発 中の,児童 生徒間 に よる ピア ・サポー ト ・プ ログラムが浸透 しつつ あるよ うに 見 える ( 例 えば本 多

1999)

。 しか しこの領域 で は逆 に,滝 に散見 され る ( 例 えば

2000a

では

p152

の⑦ ,

2000b

では

p14

p149

の⑦) よ うな,臨床心理学的専門性 を軽視す る文化 のゆえに,サポー ター 自身の 発達 に関す る実証科学的研究はまだ期待 できない よ うに思われ る。

もっ ともピア ・サポー トの本質 は ピアにではな く,近い年齢帯の非専門家

(non‑specialist)

がアオホ ザイ ン性 に も支 え られつつ , 「 斜 めの関係

(diagonaldyadicrelations)」

で と り結ぶ ,準専門職 的 な

(semiprofessional)

サポー トである こ とに求 め られ る。 とい うのは, ピア ・サポー トで あって も,没 専 門的で,相互の私的欲求に基づ き,永続す ら許容 され る 「 横 の関係

(horizontaldyadic relatins)

で行 われ るものではあ り得ず,サポー ト目的 と枠 の 自覚の もとに,終結 を 目指 し準専門職的 に展開 され る と い う意 味で,く非専門家 に よる "専 門 ( 職)的関係 "

(Koocher,G.P.et.al 1998,p177188

:花屋 ・豊 嶋

2001p1291130)

〉のはず だか らであ る。つ ま り, (ピア ・サポー トに よる学生の発達) とい うテー マは, ( 準専門職 的な斜 めの関係 でのサポー トが もた らす学生 の発達) とい うテーマ と同致す る。 さら に,学生の発達 とは,卒業後の成人期職業社会 に向けて成人期‑のアイデ ンテ ィテ ィを構築 してい く職 業的社 会化

(Ⅴ∝ational s∝ialization)

に他 な らず ,大学生 の発達支援 としての学生相談 は,く卒業後 の 成人期職業社会 に向けた職 業的社会化 , あるいは職業的同一性達成〉を支援す る活動 と言 って よい ( 豊 嶋

1993)

。 しか も,対人サポー トの専門職 を 目指す学生や ,医学部 ・教育学部 ・社会福祉学部 な ど対 人サポー トの専門職 を養成す る大学 においては大学の正課 の教育や課外活動 とは別 のルー トで,(ピア ・ サポー トによる学生の職業的社会化) を追求す る活動があって然 るべ きであろ う。す なわ ち, これ らの 学生 ・大学 にあっては, ( 斜 めの関係 でのサポー ト) を通 して学生の発達 を促す正課外 の教育活動 は, 優れ て学生相談機能 を滞び るのである。

ところが この よ うにテーマ をシフ トさせ て も,サポー ト活動がサポー ター 自身の発達や職業的社会化 過程 に及 ぼす機能 の明確化 に焦点 を当てた,実証的かつ構造的 ・全人的な視座 にたっ研 究 は,サポー ト の受 け手に関す る移 しい発達研究 に比 して圧倒的 に少 ない。広 島大学の内野 ら

(200

1 )は,カナダ ・ア メ リカにおいて もピア ・サポー トの有効性 を評価す る客観的で組織的な規準 に乏 しい現状 を乗 り克 える べ く,ソー シャルサポー ト尺度 に よって大学生 ピア ・サポー ターの成長 を調べたが, 実証科学的ではあっ

16

(3)

てもまだ構造的 ・全人的な視座 に達 していない。樫井

(2000)

は,学生相談室の常勤学習相談員 とい う 非専門家 について,相談室 クライア ン トに関わる 「 異文化体験」が," 虚 心坦懐 に素手で, 日常的人間 関係 の感覚で受 け取って しま うための,巻 き込まれ ・逆転移" を生 じさせ るが,第‑ に

;

̀ ̀ 学生生活の 実態 を 自らの体験 として知っている,同 じ道 を通 ってきた先輩" として,アオホザイ ン性 を媒介 に関わ ること,第二に業務 を相談活動 と再定位す ること, とい う 「 役割」観 の変換 を通 して,距離が とれ るよ うになることを報告 した

(p55)

。 この知見は示唆的であるが,サポーターの社会化過程それ 自体 に焦点 が当て られていない難 がある。

非専門家サポーターの社会化過程研究は,学生相談の領域 よ りはむ しろ, <不登校や学校不適応の児 童生徒 をサポー トす る学生における変化 >とい うテーマで着手 されていると思われ る。

小林 ら

(1999)

は,学習指導補助員 として学校 に派遣 され不適応生徒 に関わった大学院生が,学校現 場での臨床的介入の困難 さを実体験 して学校 の現実に どう向き合い,連携す るか とい う課題意識 を持つ ことを示 した。 これは,サポーター 自身 と被支援者がおかれた社会的環境 との関係 に 目が向 くよ うにな るとい う,職業的社会化初期過程の知見 と位置づ けられ るが,その後の展開は明 らかではない。

一方,本間

(2001)は,

2 日間の事前研修講座 を経て不登校児童生徒の短期宿泊訓練 (2 泊 3 日のキャ ンプ)の リー ダーを務 めた教育学部学生が,キャンプの中で,「リーダーが予 め方向付 けを しない 」 「 子 どものペースにあわせ後押 しす る

「 状況 に応 じた無理 のない態度

「 子 どもを否定的 に捉 えない

と いった構 えが とれ るよ うになることを兄いだ した。 しか し, この研究の 目的が教員養成学部カ リキュラ ム開発 におかれている限界か ら, サポー ト体験がサポー ターに及 ぼす機能の考察は平板な ものに留まる0

このよ うに,不登校児童生徒サポー トがサポー ターに及 ぼす機能の研究 も苓明期にある状況 を越 える べ く,豊嶋

(2000)

は適応指導教室通級生の変容 とスタ ッフの変容を関連 させて捉 えること,その前提 としてスタッフの変容過程 を明 らかにすべきことを主張 し,適応指導教室に週

1

日以上,

2

年間派遣 さ れた教育学部学生

3

名 の面接調査か ら共通の変化パ ター ンがあることを紹介 した。 また,長谷川 ・豊嶋

(2000)は二同 じ事業 に

1‑ 2 年間派遣 された学生1

5

名 の変化 を,TEG 得 点の変化 とその多変量解析 によって数量的に明 らかに し,豊嶋 は,派遣学生に課 した 「 適応支援体験に よる自己変容」の課題 レポ ー トの分析

(2001

,p1

4‑16:2002a

,p31

36)

と,共通す る 「 変化の流れ

(2002b,p59)の提示 を行 っ

た。他方,山形大学教育学部 グループ ( 加川 ら,児島 ら,野本 ら

1999)は,適応指導教室の行事 日に

通年でサポー トする教育学部授業,「 教育臨床体験」における学生個々人の体験過程 とその構造にPAC分析 で迫 り,サポー ターの準専門職的社会化過程 の解明を試みた。その手法を承 けて長谷川 ・豊嶋

(200

1 ) は,先述 の事業で 「 消極的関与に留 まった

1

年間派遣者 」 「 積極的に関与 した

1

年間派遣者 」

「2

年間 積極的に関与 した派遣者」 とい う3典型例の変化 を,PAC分析 によって例示 している。 しか し, これ ら は実証的 ・構造的 ・全人的な視座 に立っ とはいえ,やは りまだ端緒についたに過 ぎない。

Ⅰ‑2

本研究の 目的 と方法論‑サポーターにおける職業的社会化の自然過程の解明

前節では第‑に,学生相談活動の一翼を担 うピア ・サポー トの本質が,近い年齢帯の非専門家による, アオホザイ ン性 も媒介 とした,斜 めの関係での支援 にあること,第二に,特 に対人サポー トの専門職 を 志望または養成す る学生 ・大学にあっては,正課 の教育以外のルー トで,学生の専門職的サポー ター‑

の職業的社会化過程 を促進 してい くことも学生相談活動 に他 な らない ことを論証 しなが ら,"近い年齢 帯の非専門家 によるサポー トがサポーターを どう発達 させ,どう職業的社会化 を遂げ させてい くのか",

とい う視点か らな された実証的 ・構造的 ・全人的研究が未発達である現実 を明 らかに してきた。実は貴 重な例外である本間

(2001)で も,事前研修 の効果に分析焦点が当て られ,小林 ら (1999)では,月

1 回のケースカ ンフアランスを通 した変容が抽 出 されたに留まる。まず必要なのは,専門家 による濃密な

17

(4)

指導や事前研修 を実施す る体制が未構築な状況下で,心理的サポー トの知識 もスキル も乏 しいままサポ ー トを始めた非専門家サポー ター達が, どの よ うにサポー ター としての社会化 を遂げてい くのか,その 自然な過程 を構造的に記述す ることであろ う。換言す ると,"<二重の非専門性 >条件 に置かれている"

とい う意味で,非専門性 の ピュアケースにお ける自然過程の記述である。サポー ト活動が学生サポータ ーに及 ぼす効果 を巡 る論議や,学生相談担 当者や正課教育を担 う専門家が 自然過程 をど う促進できるか を探 る作業は, 自然過程 をベ ース ライ ンとす ることで初 めて可能 になる。

そ こで本稿 の 目的は, <二重の非専門性 >下で,不登校児童生徒対象の長期 に亘 る心理的サポー トを 積極的に展開 した学生サポー ターが,不登校児童生徒や他サポー ター との関わ り体験 を積み重ね る自然 過程の中で,対人サポー ト専門職‑の十分な職業的社会化 を遂 げた と判断で きた事例 を取 り上げて,彼 らの 自己変容感の構造 とその変容過程 を記述す ることにおかれ る。かかる目的を達成す るには,プ レと ポス トを比較す る研究デザイ ンを採用す ることはできない。 この方法では,プ レとポス ト "それぞれ"

の構造の把握 と,プ レーポス ト間の過程の ̀ ̀ 解釈" こそ可能だが,過程その ものの記述はできないか ら である。そ こで,サポー ト期間の終結期にサポー ト体験 を回顧 させ,サポー ト体験でえた気づ きゃ 自己 変容感 を面接法で探 る方法が採用 され る。 また,それ らの構 造 には

PAC分析 (

内藤

1997)でアプ ロ

ー チす る。 こ うして <サ ポー ター として の職 業的社 会化 の構 造 と過 程 >は,個 人 ご とに個性 記述

(idiography)されたのち,< 自然過程 >の契機や共通性 を探 ってい くoこの方法論が実証的 ・構造的 ・

全人的研究を可能にす ることは言 うまでもないであろ う。

メイヤロフ (

1987

,

p68‑70)は,援助者 について,「

他者が成長 してい くために私 を必要 とす るとい うだけでな く,私 も自分 自身があるためには,ケアの対象たるべ き他者 を必要 としてい る‑ ( 中略)‑

私は, 自分 自身 を実現す るために相手の成長 をたすけよ うと試み るのではな く,相手の成長 をたす ける こと,そのことによって こそ私は 自分 自身を実現す るのである

と指摘す るが,サポー ターが,サポー

トを通 してサポー トの受 け手か らどのように 自己実現を援助 して もらえるのだろ うか。

対象 と手続 き

Ⅱ‑ 1 対象 とした適応指導教室 と事例の特質

(1 )対象適応指導教室の特質 指導員 は全員が退職教員 であ り,管理職であった者 が多い。不登 校や学校不適応,カ ウンセ リングに関す る専門的体系的教育は受 けていない。 フォーマル には午前中の みの活動であ り,週数 日,スタ ッフの指導下で,創作活動や遊び をす る時間 も取 り入れ てい る (「 プ レ イ タイ ム」) が,学習指導を中心的活動に してい る。ただ し,通級生は午後 までの居残 りも許容 されて お り,「 フ リー タイム」 と呼ばれ る。学生サポー ターの役割は,学習指導補助 ,お よび,プ レイ タイム ・ フ リー タイムでの "お兄 さんお姉 さん的な交流" と学習指導補助 である。適応指導教室側 は,学生に向 けた技法研修,通級生徒の情報交換会を行 っていない。 このよ うに,適応指導教室の急増 の 1 要因であ るはずの

『治療』 あるいは 『臨床』 を取 り込んだ教育組織

を作 るとい うニーズ ( 東

2000

,p38) は, この適応指導教室では稀薄であ り,"お兄 さんお姉 さん的 な交流" とい う役割期待 も, 「 斜 めの関 係 でのサポー ト

を求めるものではな く, 「 適応指導員 よ りも年齢が近いか ら話が合 うだろ う」 との理 由に発す る。要す るに,<児童生徒 が話 しやすい,若い学習指導補助者 >といった位置づ けである。

学生は,弘前大学教育学部の文部省教員養成学部 フレン ドシ ップ事業の一環 として,各年度1

0

数名が 適応指導教室の活動 と通級生 を支援す る 「 適応支援者

として派遣 されてい る ( 羽賀 ら

2001)

。各人 は週半 日,午前 中の通常活動 を通年でサポー トし,かつ, 自然体験 ・社会体験等の行事 日には全 日サポ ー トす る。

‑ 18 ‑

(5)

■ (2) 学生サポー ター と対象事例 の特質 学生サポー ター は教員養成学部の必修教職科 目 「 生徒指 導

を 2年次 に履修済みであ り,かつ 3年次前期開講の上級科 目 ( 不適応論 ・不登校論 ∃ ・カ ウンセ リン グ基礎技法がテ丁マ。 カ, リキ土ラムの関係 で心理学専攻学生は履修 できない)の登録者 か ら希望者 を募 る。希望者 は,エ ゴグラムで

[NP〉CP

,

FC〉AC

,

NP・FC・A

50%tail

以上] とい う原則 で選抜 された。

この方法 は,下記の よ うに派遣側 に も受入側 にも事前研修体制が整備 されぬまま非専門家 を派遣せ ざる を得 ない状況 を越 える方法 として採用 された。選抜学生は 4月下旬 か ら適応支援活動 を開始す る。

適応指導教室側では,受入学生に対す る事務的外面的ガイダンスは行 うが,不登校児童生徒 に関わる ための専門的 な事前研修 は組 まない。学部側 で も,斜 めの関係 でのサポー トについての簡単 な解説 を含 むガイ ダ ンスは行 うが,不登校児童生徒や適応指導教室の現実 に未接触の段階での研修 は リア リテ ィを 欠 くとい う理 由 と第‑著者 の業務上の制約 とが重 なって,特別 な事前研修 は しない。代わ りに,適応支 援活動 と並行 して前出上級科 目の受講 を課 し, さらに教育臨床 ・心理臨床 に関す る心理学専門科 目の履 修 も奨 めた。

学生サ ポー ターは

2

年 目の派遣 も承認 され る。本稿で取 り上げ る事例 は,

2

年間派遣 され積極的に関 与 した同期生の女子

3

名 である。彼 らには,

1

年 目年度末 と2 年 目年度始 めに,臨床心理士やス クール カ ウンセ ラーが支援活動 での疑問にア ドバイス し,教育臨床 ・心理臨床的 な関わ り方 を伝 える

2

回の研 修会 に参加 し, 2年 目秋 に開催できた事例研 究会 にも参加 した。 また,彼 らの 2年 目には,既 に 2年間 派遣 され この事業の効果 を研究テーマ として心理学の大学院 に進学 した第二著者 が, 「 フ レン ドシ ップ 事業研究生」 として,サポー ト活動 を継続 しなが ら,学生サポー ターに対す るコンサルテー シ ョン活動 を行 ってい る。 ■

要す るに, 3 事例 に とって この体験 は,完全な<二重の非専門性 >の下でサポー トを開始 し,講義 を 通 して少 しずつ専門性 ・ 専門職性 をつ けなが ら, 2年 目になって漸 く,本格的研修 とア ドバイザーがつ いたオ ン ・ザ ・ジ ョッブ ・トレーニ ングの中で専門職的社会化 を遂 げてい く過程 であった。

Ⅱ‑ 2 調査 と分析の手続

pAC (PersonalAttitudeConstruct)

分析 とは,個人の態度構造 を測定す るために内藤 が開発 した 分析法で あ り,個人 を対象 に多変量解析 によって構造的 ・全人的な個性記述 をす る最適 の方法 と考 えら れ る。

各事例 には,適応支援学生の変化や発達 を詳細 に後づ けるとい う研 究 目的 を了解 させ た後, 「 あなた が適応指導教室に通 うよ うになってか らの ことについて,適応指導教室での活動 を通 して生 じた変化や 気づ きに関連す ることな らどんなこ とで もよいので,頭 に浮かんできたイ メージや言葉 ・文章 を,思い 浮かんだ順 に番号をつ けてカー ドに記入 して下 さい」とい う教示 を与 えた。ここで え られた連想項 目 ( 以 下,項 目と呼ぶ)間の心理的距離 を, 「1. 非 常に近い 」 「 2. かな り近い 」 「 3. い くぶ ん近い

「 4. どち ら ともいえない

「 5. い くぶん遠 い

「 6. かな り遠い

「 7. 非常に遠 い

の 7件法で直感 的に判 断 させ た。

クラス ター分析 は, ウォー ド法 に よる統計パ ッケー ジ

<HALWIN>

に よる。 クラスター の切断 は, 面接者が切断可能な箇所 を例示 したのち被面接者 の切断に委ねた。 クラスター命名 はまず被 面接者 に命 名 を求め るが,最終的 には,共同研 究者間の協議 に よった。またクラスターが多 くの項 目を 含 む場合 は, 研究者側 でサブクラス ターに分化 させ て,サブクラスターの命名 を行 った後 に,上位 クラスターの命名

の際に統合 を試みた。

面接時期 は,

2

年間の派遣が終了 した時点である。

2

年間のサポー ト体験 を回顧 させ て変化項 目をえ てい る。 また,面接 には第二著者が 当たった。第二著者 は被面接者 とのラポー トが確 立済みであるのは

‑ 19

(6)

勿論 , この適応指導教室の状況やサポー トで生 じがちな問題 も経験済みで,了解 ・共感的理解 が容易 に で きる立場 にあるだ けではな く, この

2

年間を共有 してい るので,適応指導教室での様 々なェ ピソー ド の語 りを契機 に,被 面接者 の回顧 を膨 らませ ることがで きた。 面接記録の提示 は膨大 になるので省略す る。

長期の不登校生徒サポー トを行 った3事例における社会化過程 の個人構造

以下,本文の 「 教室」とは適応指導教室 を指 し,本文の 「

内は面接での陳述 の引用である。また, デ ン ドログラムは図 1‑ 3 に示す。図中の項 目番 号は連想順 を示 し,項 目の後 に付 した括弧内の符号は, その項 目に対 して抱 いた感情的 ・情緒的イ メー ジである。

Ⅱ⊥ 1 事例 A

(1

)クラスター

1

:積極的構 え一乗 ( ス)か らの探索‑相互の活力と成長感一種 良い距離の発見

14

項 目か ら構成 され ,本事例 に よる命名 は 「 前 向きな気持 ち

である。 この構 造 と経過 は次 の よ う に解釈 された。

1話 しかける( + )

9

とにかく行 く( + )

12

できる限 りのことがしたい( + )

25

いっぱい,いっぱい

(0)

2 気づく( + ) 3 なんとなくわかる( + )

5

探る( + )

6

成長( + )

7

自分の考えを持つ .言 う(

+ )

13

素 ( ス)の自分

(0) 4

うれ しい( + )

14

元気 ( + )

10

都合がある

(0) 11

できないことはでき

ない

(0) 1

)積極的構 えと,それ故の 「いっぱい,い っぱい

感 ( 1

・9・.

12・25)

サポー ト開始 に当たって, 「 適応 指導教室 とは ど うい うところなのか,何 が 自分 にはで

きるのか

を 自問す るがわか らない。 「 分か らないな ら

"9.

とにか く行 く"」 「これ までい ろんな人 に助

けて もらった か ら,何 ができるか分 か らない け ど,お役 に立て るものな ら立 ちたい

「 は じめか ら, (

教室 に)行 っ て こ うい うこと (

"9.

とにか く行 く""

12.

で きる限 りの ことが したい""1 .話 しかける" )

が したい とい う心がけがあった」 と言 うよ うに,積極的構 えでサポー トに入 ってい く。 また 「 普段か ら

沈黙の場 も苦 にな らないので, 自分か ら話 しかけない と ( 沈黙 に馴染むだけになって)通級生 と仲良 く

なれ ない」 と 思 ってお り,"できる限 りの こと" として " 話 しかける" ことを試みたので ある。 サポー

ト開始時の こ の積極的な構 えは,サポー ト展開につれ一層強ま り通級生 との関わ りが増 してい くが,そ

のために却 っ て

"25.

いっぱい,いっぱい' 'の感 覚 も強まってい く。 自分が予測 していなかった通級生の行

動 , 「自分 が どう反応すべ きか,微妙 な判断

を迫 られ る状況 に, 「 あれ ?ど うしたんだ ろ うと,い

っぱい,いっ ぱいになる

のである。即 ち,このサブクラスターは 〔 積極的構 え と,それ故 の 「 いっぱい

,いっぱい

感〕 と

命名 できる。

2)「

素 ( ス)の 自分

に戻 って関わ り方 を探索 し,互 いの成長感へ

(2・3・5・6

・7・13)

サポー ト体験 によるポジテ ィブな気づ き とその変容過程 に関す る項 目群である。

"2.

づ く" とは, 第‑ に, 「 初 めは何 をすれ ば良いか分か らなかったが, とにか く行 って子堺 たち と話 して

みた ら,子 ど もが安心 して来れ るよ うにすれ ば良いのだ」 とい う気づ きであ る。第二に,サポー ト開始

時 こそ 《ある べ き教師像》で関わろう としたが,通級生 と接 した り他学生 ( サポー ト

2

年 目だった第二

著者 もその中 に含 まれ る)の動 きをモデ リングす ることでえた, 「 気張っていて も うま くいかない し,

疲れ もす る。

"13.

秦 ( ス)の 自分"でい ることも大切」 「自分の考 えがない と迷 って しまい行動 できな

くなるか ら,

"7.

自分の考 えを持つ ・言 う"こ とが必要

とい う気づ きであ る。第三は,「ど うい う発達段階にお り,

(7)

(ここを越 えるには)何が良いのだろ うか

な ど発達的観点か らの "5.探 り"を試みなが ら関わってい くととでえられえた,通級生の"6.成長"‑の気づ きである。また,自分が困惑する事態に出会って も,

困ることが分かっただけでも自分の "成長''と捉 えるよ うにな り,困惑の要因‑の気づ きも促す。

このよ うに 自他探索 を しなが らのサポー トが多様な気づきをもた らし,それが 自分 自身 と通級生双方 の "成長"を促進す ると感 じるよ うになる。以上か ら, このサブクラスターは

素 (ス)の 自分 戻って関わ り方を探索 し,互いの成長人〕 とい う認知の流れ と,その背景に,サポー ト開始後間 もない 時点での 《教師役割‑の とらわれ》か らの離脱があることを示す。

3)通級生 との関わ りが活力源に (4・14)

̀̀4.うれ しい""14.元気"は,「通級生が元気 になると嬉 しい」「自分が教室に行 くと元気になる時が ある」「元気でないのに教室に行 くと自然 に元気モー ドになる し,元気 をもらって くるといった陳述 か ら明 らかなように,通級生 との関わ りがそのものが 自分 と通級生の双方に 「元気」をもた らす ことを 喜び, この喜びがサポー ト活動のエネルギー源になるとい う好循環が成立 した土とを意味す る。

)))

)))))))))))))

11

925235673440100014620096573121一11▲‑一221211112

0 11.74

I ‑‑ † ‑‑ + ‑‑+ ‑ 千 ‑ † ‑ ー † ‑ † ‑ + ‑ +距離

LJ

1

.

00 1)話 しかける (+)

l ̲ l ⊥

2.24 9)とにか く行 く (+) I

‑ E ‑

.

l l

I ‑ l ‑ L. J

3.46 12)できる限 りのことが したい (+) 7.86 25)いっぱい,いっぱい (0) 1.00 2)気づ く (+)

4.78 3)なん とな くわかる (+) 2.00 5)探 る (+)

3.39 6)成長 (+)

2.00 7)自分の考えを持つ ・言 う (+) 5.80 13)秦 (ス)■の 自分 (0)

2.00 4)うれ しい (+) 6.08 14)元気 (+) 2.00 10)都合がある (0)

ll.74 11)できないことはできない (0)

1

1.00 8)先が見えない (‑) 1 2.89 20)見えない (‑) 1 3.34 21)自信がない (‑) 1 4.67 24)つ らい (‑) 1 3.00 16)迷い (‑)

1 6.86 22)はれ ものに触 る (‑) I 2.00 18)面 くらう (‑) 1 4.62 19)困る (‑) 1 5.51 26)力な さ (‑) I 3.00 15)ゆっ くり(0)

1

4.43 17) (0) 1 ll.74 23)ドキ ドキ (0)

図 1

事例

A

のデ ン ドログラム

4)

《他者》の発見か ら 《ほど良い距離 どり》へ (

10・11 )

適応支援 に入 る前は,『他の人にこうしてあげよ うと思った ら,してあげて何 とかなっていた』 し, 不登校生 と会 うことは殆 どな く,友人 も自分 と似たよ うな環境 (境遇)の人だったのに, (サポー トを 始めてみ ると)いろんな環境で一人一人それぞれが生きているのだ と思った と, 自分 とは異質な環境で 異質な生 き方 をしている通級生達に出会い,「や ってあげたい と思って も,"ll.できない ことはできな い"」, 「自分にも通級生にもそれぞれの "10.都合がある"」ことに気づ く。例 えば/親 との葛藤 を本事

‑ 21‑

(8)

例に打ち明けて くれたある通級生について 「家庭の問題 には入 り込めない し,今年は (その生徒はもう 中学期が終わったので) も う教室に来れない し,気にはなっても深入 りできない し, (それぞれ "都合 がある"ので)してはいけない と思 うな ど,それまでの 自他未分化な認知 を越 えて 《他者》を発見 し, 万能的 自己効力感の現実化 も進行 してい く。 また,̀̀できないことはできない"は入 り込 めない領域が あることの発見 と,そ こには無理に入 り込まない 「程 よい距離 どり」を掴んだことをも意味 している。

以上, このサブクラスターは,異質なるもの ・入 り込めない領域 との出会いがもた らした 〔《他者》の 発見か ら 《ほど良い距離 どり》‑〕 とま とめることができる。

以上 ,積極 的構 えでサ ポー トを開始 したが故 に,通級 生 との関わ り・が増す につれ 「い っぱい, い っぱい」感 が生 じるが,秦 (ス) の 自分 に戻 って, 自 ・他 ・関わ りを探索 しなが らサポー トす ることを通 して,通級 生 との関わ りそれ 自体 が互 いの活力源 にな ってい るこ とと,探 索的 な構 え が通級 生 の成長 に気づ かせ , 自分 自身 の成長 を ももた らす こ とに気 づ い てい く。 そ の一方 で,異 質 な る もの ・入 り込 めない領域 との出会 いが 自他認 知 の分化 を促 し,《他者》 の発 見 と万能的 自己 効力感 の修正 ,程 よい距離 を保 つ構 えが え られ てい く これ らを総合 して, クラス タ‑ 1は 【 極 的構 え‑ 秦 (ス) か らの探索‑相 互 の活力 と成長感 ‑程 良い距離 の発 見 】 と命名 す る こ とがで きる。 なお, あ るべ き教 師像 とい った教 師役割‑ の囚われ が,サポー ト開始 間 もな い時点 で消失 .した こ とが,本事例 自身 と通級生 の成長 を促 した ことに注 目してお きたい。

(2)クラスター2 :自己不確実感の低下‑生徒の成長への焦点移行‑壁への困惑‑ 自己受容 と「ゆ っ くり

型の対処

12項 目か らな り,本事例は 「行 って感 じたマイナスの感情,それ をま とめると壁」と表現 している。

8先 が見 えない (

‑)

20見 えない (

‑)

21自信 がない (

‑)

24つ らい (

‑)

16迷 い (

‑)

22

はれ ものに 触 る ( ‑)

‑18面 くらう◆

( ‑)

19

困る ( ‑)

26力 な さ(

‑)

15

ゆっくり(

0) 17壁(b) 23

ドキ ドキ

(0)

1

)役割像 ・発達サポー ト法の不明確性による自己不確実感 とその受容,あるいは,《自分

自身‑通 級生‑未来につな ぐこと》への焦点移行 (8・20・21・24・16

いずれ も否定的な感情項 目であるが,サポー ト長期化 につれその発生因が変わってい く。サ・22)

ポー ト開 始当初は,サポーターに対す る教室側の具体的役割期待が不明確であ り,個人の動 きに任せ られ

ために,

̀̀8.先が見えない""20.見 えない"̀̀21.自信がない''な ど,「教室で何 をすれ ば良いか分か らな

い不安」

を感 じていた。それまでえていた不登校に関す る知識か ら, 「こう接すれば良 くなるのではな

いか

いった漠然 とした展望はあったが, 「そのマニュアルにそって 自分がきちん と関われているのか」

"16.

迷い",「初 めて不登校生徒 を 目の前に して どう按すれ ば良いか分か らな く "22.はれ ものに触

る"感 じ で接 していた

と言 う。 しか し,クラスタ

‑ 1

で見た積極的構 えで関わる うちに自分な りの役

割像が見 えて くる と, 「自分な りのや り方で接 していけば良い」ことにも気づ き,"はれ ものに触 る"

感覚が消 失 してい く。それ に伴い,サポー ト場面で 「自分が どうすべ きなのか

といった 自己不確実感

に関心の 焦点が向けられていたのが,「通級生の成長のためには 自分が どうすべきなのか と,《通級生

の成長》

に焦点が移行 し,ここでクラスタ

‑ 1

で見た探索の構 えが現れて,成長 を促す方法の探索を始

める。具 体策が見出せず r何か らどうしていけば良いか分か らない

"24.つ らさ"を感 じるが,《探

索‑発見 と成 長‑探索》 の螺 旋 的上向の中で, 「マイナスの感情 は常にあって 当然

と受 け留 め

( acc

ept )

ることができるよ うにな り,

r

次につなげるには どうすれ ば良いのか

と,《未来につな ぐ》

ことに焦

(9)

点が移 ってい く。 この よ うにサブクラスタ ‑ 1 は 〔 役割像 ・発達サポー ト法の不明確性ヰ こよる自己不確 実感 とその受容〕であ るが,同時 に, 〔 《自分 自身‑通級生‑未来につな ぐこと》‑の焦点移行〕 とい

う過程 を示 してもいる。

2)壁 に直面 した否定的感情 に対す る 「

ゆ っくり

型の対処 (

18・19

・26

・15・17

・ も 23)

"17.

壁" ( 問題)に直面 した際の感情 と対処に関す る項 目群である.通級生 と自分の: 間にも " 壁"を 感 じることがある し, 「 一つの ことをや っている と順調 に進んでいて も必ず " 壁"にぶ ち当た る時があ り

"18.

面 くらう" 」のである。対処法が見当た らず

"19.

困る" し, 自分の "26. 力な さ" を感 じる。 し か し 「 越 え られ ない壁 は無い」 と陳述す る本事例 は,楽観的 ・積極的であ り,持 ち前の

̀̀15.

ゆっ くり"

ペースで関わ り, 「 通級生の変化 も長い 目で "ゆっ くり"見守 ろ う」 と,《" 壁"には " ゆ っ く り"の構 え》で凌 ぐ対処パ ター ンを作 る。このサブクラスターは 〔 壁 に直面 した否定的感情 に対す る 「 ゆっ くり

型の対処〕である。

以上 , サ ポー ト開始 当初 の不 明確 な役 割像 に よる 自己不確 実感 が, 自分 自身 の内面 に関心焦 点 を当て させ た が, 自 ら役割 像 を明確 化 で き る● と,通級 生 の成長 に焦 点 が移行 す る。 そ の結果 ,過 級 生 と自分 の 関係 を隔 て る壁 や ,サ ポー ト行動 展 開 の蹟 き といった壁 に直 面 して, 困惑や ,成長 を促 す 具 体 的方法 が見 出せ ないつ らさを感 じるが,楽観 性 とクラス タ

‑ 1

で見 た積極 的構 え とが 相侯 って,未 来 につ な ぐ 《ゆ っ く り型 》 の対処 パ ター ンを作 り出 し, 自 らの様 々な否 定的感 情 を 受 け留 め させ , さ らに, 自他 の成 長 に向 けて探 索す る構 えが,発 見 と自一他 ( 通級 生 ) の成 長 を もた らす , とい う回路 が回 ってい く

これ らか らクラス タ

‑ 2

は, 【自己不確 実感 の低 下‑ 生徒 の 成長‑ の焦 点移行‑壁 ‑ の困惑‑ 自己受容 と 「ゆっ く り

型 の対処 】 とい う過 程 を示 す ク ラス タ ー で あ る。 なお, 自分 の否 定的感 情 か ら通級 生や 関係 性 ‑ の焦点移 行 が ,サ ポー ト法 の探 索 と発 見 に向かわせ ,その結果 ,通級 生 の成 長 を引き出す とい う過程 は, 「 積極 的 に関与 , した

1

年 間派遣 者 」 の典型 事例 に も認 め られ てい る ( 長 谷川 ・豊嶋2001

)

0

Ⅲ‑2

事例

B

(1 )クラスター 1 :すれ違 いを,斜めの関係 ・率直な関わ り ・アオホザイ ン性で解いた成長感

1

1 項 目か ら構成 され,本事例 は この クラスターについて, 「 適応指導教室 に関す ること

「 サポー ト してみて 自分 に不足な こと

「 生徒視点ではな く,教師や大人の見方

といったま とま りを欠 く表現 を す るに留まった。

4

先生方の見えない努力 ・気づかい( + )

20

先生は大変( ‑ )

21

忙しい( ‑ )

10

みんなが協力するのは 難しい( ‑ )

17

難 しい,どうすればいいのかわからない( ‑ )

5人とのすれ違いや誤解 があるのは当然で,

その後の対応が大切( ‑ )

12

" 先生の立場だったら‑"と考えることがある( ‑ )

18 2

年間では足 りない。もっと適応指導教室に通いたい( + )

19

ちょっと大人になった不思議な立場( + ) 1自分の言葉で自分の気持ち ・考えを伝えることの大切さ,難 しさ( ‑ )

16

みんなが心の奥で悩んでいる

(0)

‑ 23‑

(10)

0

13.34

l‑ †‑ +‑ †‑ 十‑ ‡‑ ‑トー ー ‑ †‑ l 距離

))

)

)))

I ー )

)40107520091621●‑一l111

L. 一 日

ー ヽ■′

)))

))68373452

1.00 4)先生方 の見 えない努力 ・気づか い (+) 1.73 20)先生は大変 (‑)

5.50 21)忙 しい (‑)

1.00 10)みんなが協力 す るのは難 しい (‑)

4.30 17)難 しい ど うすれ ばいいのかわか らない 卜 )

2.00 5)人 とのすれ違 いや誤 解 が あるのは 当然 で,そ の後の対応 が大切 (‑) 9.ll 12)"先生の立場 だった ら ・・・" と考 え ることがあ る (‑) 2.00 18)2年間では足 りない。 もっ と適応指導教室 に通いたい (+) 5.00 19)ち ょっ と大人 になった不思議 な立場 (+)

3.00 1)自分の言葉で 自分の気持 ち ・考えを伝 えることの 大 切 さ,難 しさ (‑) 13.34 16)みんなが心の奥で悩んでい る (0)

1 1.00 6)人 に対 して寛大 になった。人 は人, 自分 は 自分 (+) 1 3.42 8)人それ ぞれ (+)

J 9.28 3)相 手の ことを全部理解 で きなくても,そばにしすいま何 かが伝わる (+) I I.00 7)いろんな人 と話 したい (+)

1 1.00 13)会いたい (+) 1 1.58 14)楽 しい (+) 1 7.15 15)明 るい (+)

1 2.00 2)感謝の気持 ちの大切 さ (+) I 5.35 9)正直 ・素直 (+)

I 13.34 11)た くさんの人 が関わっているん だ (+)

2

事例

B

のデ ン ドログラム

1

)すれ違いへの気づきか ら.率直な対処 と斜めの関係での乗 り越え

(4・20・21・10・17・5・12)

このサブクラスター を本事例 自身は, 「 難 しい,大変 とい うイ メージ

「 改善 ・成長 しない といけな い点

と命名 している。 しか しサブクラスターは,理想 の教師像で按す る大変 さや,指導員 一通級生間 の 「 すれ違い」を解決す る大変 さを感 じつつ も,"

20.

先生は大変" とい う認知に留まることな く,それ を越 える方法を見出そ うとす る意欲 までを含 んでいる。

まず,指導員が

"4.(

通級生には)見 えない努力 ・気づかい"をしていることに気づ き,"

20.

先生 ( 描 導員) は大変"であるとす る。 しか し, ( 学習以外 の時間 も通級生 と関わる教師) を理想像 とす る本事 例 は, 「 学習指導が中心の指導員 は忙 しそ うには見えないが, フ リータイムや休み時間に も通級生 と関 わる自分は, トイ レに行 けないほ ど

̀̀2

1 . 忙 しい" 」 ことを訴 え, このよ うな理想像で教職 に就 くと,坐 徒 に見 えない 「 大変 さ

に加 え,過酷な " 忙 しさ"が待 ってい ると予期す るに至 る。

ここで既 に,指導員 と本事例 の間の " すれ違 い"が暗示 されたが,

"5.

すれ違 い"については次の

2

点が明示 された。第‑は,指導員 と通級生の " すれ違い"である。本事例は,①指導員 と通級生の双方 に関わ り,② 中立の立場で客観的に見 ることができ,③両者 の意図 ・願望が了解 できるために," すれ 違い"に気づいた。指導員が " 見 えない努力 ・気づかい"を してはいても,互いに意志疎通できていな い場面 に しば しば遭遇す るし,例 えば,行事の班決 めの際に,決め られた班 に所属す ることを嫌が り 「 他 の班 に移 りたい」 と訴 える通級生の要求 を指導員が拒否 し,その後,その指導員 との関係 が更に悪化 し ていったケースも見ている。 この よ うに指導員の " 努力や気づかい"の有効性 に疑問を感 じるよ うにな る。そ して " すれ違 い"問題 は 「 縦の関係 だ と うま くいきそ うにない」 と捉 える。つま り 「 《教 える‑

教 え られ る》関係では教 える側の意図が重視 され るために, ・ 意図に反す る言動に柔軟に対応できず," す れ違 い"が解消できない」 ことに気づ き,「もし

"12.

自分が先生の立場だった ら",縦の関係 に陥って

しまいそ うで

"17.

難 しい", どうすればいいのかわか らない」 と悩むのである。

第二 に, 「 指導員 同士 も考 えが違 うか ら,分か り合 うのは難 しそ う。指導員 に,『次の時間,通級生

‑ 24 ‑

(11)

何をす るのか ?』 と尋ねた ら,担当が違 うか ら分か らない と言われた」 とい うエ ピソー ドを挙げ,"10.

協力す る (分か り合 えるの意)のは難 しい′'と感 じる。 しか し,"5.人 とのすれ違いがあるのは当然で, その後の対応が大切" と捉 え返 し, 「素直に謝 る,正直 (率直の意)に話す」 といった率直な対処が, その後の対応 として望ま しい と考 える。 とはいえ, 「保護者や上の立場の人だ と伝 え方が難 しい」 「 級生,先生同士,保護者 とのことを考えると "分か り合 えるのは難 しい''」と,上位の人物 との関係や, 縦 と斜 めの混在す る関係 になると 「気持 ちの伝 え合いが難 しい 自分

を変えてい くことが課題であると 位置づける。

以上,学習指導以外 にも力点をおいたサポー トを斜 めの関係 で展開 し,指導員 (教師) 一通級生の関 係 を中立的立場で見ることができることを通 して,縦の関係の問題性 を明確化 できたもの と考えられ る。

要す るにこのサブクラスターは, 〔すれ違い‑の気づ きか ら,率直な対処 と斜 めの関係 での乗 り越 え〕

と命名 でき・る。

2)教師と生徒双方が分かる立場‑アオホザイン性の気づきと率直な関わ り‑成長感 (18・19・1・16) 本事例 は 「適応教室での自分の,大学生 としての立場」と命名 したが,サポー ト長期化 に伴 う気づき と成長 を内容 とす る。「自分の気持 ちを伝 えることが苦手で,気持 ちを抑えるタイプだった本事例は,

生徒が次第に気持 ちを率直に言 うよ うになるのを見て,"1.自分の言葉で 自分の気持 ちを伝 えること が大切"」 と気づ く。 また,「通級生の話 を聞いて,『自分 も中学生の時,同 じよ うに感 じた』 と思った し,指導員 を見て,『先生にはそ うい う意図があって生徒に関わったのか』 と感 じることもできる

述べ る。 これ らの発言は第‑に,「生徒 と教師,双方の気持 ちがわかる 《"19.ち ょっと大人になった不 思議な立場"にいる自分が成長 した」感覚,第二に,通級生 とのアオホザイ ン性の発見 と,通級生が次 第に率直に表出できるよ うになる過程‑のシンクロナイズ とを通 した成長感 が,サポー ト後半になって 得 られたのである。さらにこの立場は,例えば 「表面的には明るい通級生たちが辛い経験を語って くれ,

"16.みんな心の奥では悩んでいる''こと

‑の気づ きな ど,

「1

年 目には分か らなかった様 々なこと 2年 目で」気づかせて くれた。 こ うして,「子供のことも教室のことも分かれば分かるほど,"18.2 年間では足 りない。 もっと適応指導教室に通いたい"」 と一層サポー ト意欲 を強めた時点で,サポー ト 終了 となった。要す るに,このサブクラスターは 〔教師 と生徒双方が分かる立場‑アオホザイ ン性の気 づきと率直な関わ り‑→成長感〕 とい う発達過程をあらわす。

以上 ク ラス タ‑ 1では,すれ違 いが ちな指導員 と通級 生 とい う二者 関係 の間に,客観 的 ・中立 的立場 の第三者 と して長期 間関わ って得 た気 づ き と成 長 が語 られ た。 サ ポー ト体験 は先ず (学習 以外 の時 間 も関わ る教 師) とい う理想 の教師像 を作 らせ 大変 さや忙 しさを感 じるこ ととなった一 方 で, 中立的 立場 が指導貞 一通級 生 の 「すれ違 い」に気づ かせ ,学習 中心 に縦 の関係 で関わ るの ではな く,斜 めの関係 で関わ る有効性 を感 じ取 る。 実 は<客観 的 ・中立的立場 > とは,指導員 と の同一視 で も通級生 との同一視 で もない斜 めの存在 と しての眼 なのであ り, この眼 を通 して2

目には,通級 生 とのアオホザイ ン性 の気 づ き,それ に よる 自らの成長 を感 じ,̲さらに,通級 生 の 心 を理解 できた成長感 も得 られ る。 こ うして,サポー ト期 間終 了後 もサ ポー トを続 けたい意欲 を 現 してい く つ ま り,長期 サポー トを通 して定 まっていった斜 め性 ,アオ ホザイ ン性 の気づ き, 通級 生 の成長 とのシ ンクロナイゼ‑ シ ョンな どが重合 して,本 事例 の成 長 と更 な るサ ポー ト意欲 を もた ら した と解 され る。 この過程 は,すれ違 い‑ の対処 と して兄 いだ した率直性 (サブ クラス ター

1

) が通級 生 の成長 と同期 して一層 高まってい く過程 (サ ブ クラス ター

2)

で もあった。 こ れ らか らこの クラス ター は 【すれ違 い を,斜 めの関係 ・率直 な関わ り ・アオホザイ ン性 で解 いた

2 5

参照

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