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『創薬科学・医薬化学』章末問題解答 7 章

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Academic year: 2021

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(1)

7 章

『創薬科学・医薬化学』章末問題解答 7 章

1.薬物と薬物が標的とする受容体などの生体分子と相互作用の強さは,平衡 定数(

K

d)を用いて次式で表される.

相互作用の強さ,すなわち平衡定数(

K

d)を決めるのは,薬物分子中の原子と受 容体の原子との原子間結合力(イオン結合,水素結合,ファンデルワールス力 など)の総和(分子間力)である.これらの原子間結合の結合エネルギーは,

イオン結合,水素結合,ファンデルワールス力の順に小さくなる.しかし,実 際に薬物と受容体の相互作用の強さを決める際には,強い原子間結合力である イオン結合よりも,弱い原子間結合力であるファンデルワールス力が重要とな ることが多い.この理由を答えよ.

【解答】薬物と薬物が標的とする分子とは,両者間に生じるいろいろな原子間 結合力によって結合する.原子間結合力には,イオン結合,水素結合,疎水性 相互作用,ファンデルワールス力などがあり,相互作用の大きさはそれらの結 合力の総和で表される.これらのうち結合エネルギーが大きいのは,イオン結 合あるいはイオン-双極子間結合などのイオン性の結合である.しかし,分子間 に形成される結合の数は数個であり,それほど多くない.これに対して,疎水 性相互作用やファンデルワールス力などは一つ一つの結合エネルギーはイオン 性結合の 1/10 程度と小さいが,分子間で数多くの結合が形成される.結果とし て,ファンデルワールス力のような弱い原子間結合力の総和が薬物と薬物が標 的とする分子との相互作用の大きさを決めるのに重要となる.

2.HMG-CoA(3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-コエンザイム A)還元酵素は,

1

(2)

7 章

HMG-CoA をメバロン酸に還元し(式1),コレステロール生合成系の律速酵素で ある.高コレステロール血症治療薬として使用されているアトルバスタチン

(atorvastatin,1),プラバスタチン(pravastatin,2),シンバスタチン

(simvastatin,3)などは,この酵素を阻害して血中コレステロール値を低下 させる(9 章 p.201 参照).アトルバスタチン,プラバスタチン,シンバスタチ ンの構造から,HMG-CoA 還元酵素阻害薬のファーマコフォアに該当する部分を答 えよ.なお,-バスタチン (- vastatin)は,HMG-CoA 還元酵素阻害薬を示すステ ムである.

(式1)

HO

2

C COSCoA H

3

C OH

HMG-CoA

HO

2

C

H

3

C OH HMG-CoA還元酵素 OH

メバロン酸

CO2H OH H H HO N CH3 H3C O NH

F

O H

H H

CH3 H3C

H H O

CH3 H3C

CH3

O H

O

H OH CO2H

OH H H HO

H CH3 H H H

HO O

CH3 O

CH3 H H

1  ア ト ルバス タ チン 2  プ ラ バス タ チン 3  シン バスタ チン

【解答】下図の青色の部分が HMG-CoA 還元酵素阻害剤に共通する部分構造であ ることから,これがファーマコフォアと考えられる.

O H

H H

CH3 H3C

H H O

CH3 H3C

CH3

O

H O

H OH CO2H

OH H H HO

H CH3 H H H

HO O

CH3 O

CH3 H

CO2H H OH H H HO N CH3 H3C O NH

F

アトルバスタチン プラバスタチン シンバスタチン

3.ラセミ体をラセミックスイッチによりユートマーとして開発することの薬

1

(3)

7 章

理学的な意味を答えよ.

【解答】生体分子は光学活性のアミノ酸や核酸などで構成されており,医薬品 がラセミ体である場合,それぞれのエナンチオマーは生体側から見れば異なる 化合物である.エナンチオマー間で薬理作用の強さに差があるとき,活性の強 いほうをユートマー,弱いほうをディストマーという.同様に,両エナンチオ マーは代謝や副作用も異なる可能性がある.ラセミックスイッチにより,活性 が強く副作用の少ないユートマーのみを医薬品として開発する研究がなされて いる.

4.2 型糖尿病治療薬であるピオグリタゾン(pioglitazone,1)やロシグリタ ゾン(2,日本未承認)は,核内受容体の一つで,脂質代謝にかかわるペルオ キシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)に,作動薬として作用し,インスリン 抵抗性を改善する.PPAR の名前は,ペルオキシソーム増殖剤(たとえば,フィ ブラート系薬剤であるクロフィブラート(clofibrate,3)により活性化され ることから名づけられた.また,PPAR の内因性のリガンドとしては,長鎖脂肪 酸が知られている.このピオグリタゾン,ロシグリタゾン,クロフィブラート,

および長鎖脂肪酸の構造から,生物学的等価体に該当する部分を答えよ.

Cl

O CH3 H3C

O

O CH3 S NH

O

O O

N H3C

1  ピ オグリ タ ゾ ン

S NH O

O N O

CH3 N

2  ロ シ グリ タ ゾ ン 3  ク ロ フ ィ ブ ラ ート

【解答】次図の橙色部分が生物学的等価体と考えられる.

S NH O S NH

O

O O

N H C3

N CH3 N

1 O O

(4)

7 章

1

ピオグリタゾンのチアゾリジンジオン部分 ロシグリタゾンのチアゾリジンジオン部分

Cl

O CH3 H3C

O

O CH3

クロフィブラートのエステル部分が加水分解して精製するカルボン酸部分.

OH O

長鎖脂肪酸のカルボン酸部分

参照

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