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静岡県におけるサテライト方式の通級による指導の 現状と課題

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(1)

静岡県におけるサテライト方式の通級による指導の 現状と課題

著者 大塚 玲, 村上 和穂

雑誌名 静岡大学教育学部研究報告. 人文・社会・自然科学

66

ページ 13‑25

発行年 2016‑03

出版者 静岡大学学術院教育学領域

URL http://doi.org/10.14945/00009516

(2)

静岡大学教育学部研究報告 (人文・社会・ 自然科学篇)第66号

(20163)13〜

25

静岡県におけるサテライ ト方式の通級による指導の現状 と課題

SttelLte Resource Rooms at Elementary Sdhools h Shizuoka Prefecture

 

玲摯・ 村 上 和 穂

Alwa OTSUKA and W・ aho MURAKAMI

(平

成 27年

10月 1日

受理

)

I  問題 と目的

通級 による指導は

,小

学校や中学校 に在籍する障害の程度が軽 い児童生徒が

,ほ

とんどの授 業 を通常の学級で受けなが ら

,障

害の状態 に応 じた特別な指導 を一定時間

,特

別な場

(通

級指 導教室 )で 受ける教育形態である。文部科学省が作成 している特別支援教育資料

(平

25年

)

によれば ,2013年 度 に通級 による指導 を受けた小・中学校 の児童生徒 は約

78,001人

であ り

,前

年度 よ り小学生は約

5,500人,中

学生 は約

900人

の増加であった。制度が開始 された

1993年

度 に 比べ る と通級 による指導 を受 けている児童生徒 の数は約64倍 に ものぼる。それに伴い通級指 導教室設置学校数 も増加 してい る。

2013年

度の設置学校 は

3,6ん

校であ り ,公 立小・中学校の

116%に

通級指導教室が設置 されていることになる。

静岡県における発達障害 を対象 とした通級 による指導 を調査 した大塚・石 田 (2013)に よれ ば

,通

級指導教室は「子 どもの 自信や意欲の回復 と情緒的な安定」や「学級担任や在籍学校へ の具体的な支援

,保

護者への支援」について成果 をあげているだけでな く

,通

級指導教室の担 当教員が主体 となって特別支援教育に関する研修会 を行 つた り

,保

護者や地域の小学校 に対す る理解 ・啓発のために情報 を発信 した りして

,地

域の特別支援教育の推進の中心 として重要な 役割 を果た していることが認め られた。 しか しその反面

,通

級指導教室は多 くの課題 を抱 えて いることも明 らかになった。 自校通級に比べ他校通級が多いため ,保 護者の送迎が不可能な場 合は通級の制度 を利用で きない

,放

課後の指導に希望が集中 し

,保

護者の要望通 り日程 を組む ことがで きない

,担

当教員が勤務時間を超 えて指導 を行わなければならないケースがあるなど である。

こうした問題 を解決するための一つの方策 として

,静

岡県では

2011年

度 よリサテライ ト方式 による通級 による指導が開始 された。サテライ ト方式 とは

,指

導担当者が通級指導教室設置校 とは別の学校

(以

,サ

テライ ト校 とす る

)に

定期 的に出向 き

,指

導 を行 う形態である。サテ ライ ト校 は通級の対象 となる児童が多 く在籍する学校 に設定 されることが多 く

,指

導担当者が 児童の在籍校で指導す るとい う点では巡回指導 とよく似ている。 しか し

,サ

テライ ト校で指導 す るのはサテライ ト校 に在籍する児童だけでな く

,他

校の児童が通 つて くることもあ り

,通

級 指導教室の第

2の

拠点 となるとい う点で

,巡

回指導 とは異なる。静岡県 におけるサテライ ト方 式 による通級 による指導は初年度の

2011年

度は小学校

4校

の通級指導教室において実施 され

,

2012年

度に新たに

3教

室 ,2013年 度にさらに数 室増 え

,そ

のニニズは高 まっている。

・ 教職大学院系列

''静 岡県立浜名特別支援学校

13

(3)

14 上 和 穂

現在

,サ

テライ ト方式に関する他県の実践についての報告は見あたらない。類似 した形態で ある巡回指導に目を向けてみても

,各

教室の実践報告が主となっており

(中

,1995:豊

,

2000:宇

,2010),一

定の規模 と行政的なまとまりをもつ都道府県を基盤にした調査は見あ たらない。通級による指導を受けている児童の数は今 もなお増加傾向にあり

,今

後 インタルー シプ教 育システムの構築が推進されてい く中で

,通

級指導教室はますます大きな役割を果たし てい くものと考えられる。それゆえ

,通

級指導教室が現在抱えている課題について早急な対応 が必要であ り

,静

岡県で展開されているサテライ ト方式はその

1つ

の解決策になりうる貴重な 知見を提供するものと思われる。そこで本研究では

,静

岡県内のサテライ ト方式による通級指 導教室を対象に実態調査を行い。その現状 と課題を明らかにすることによって

,サ

テライ ト方 式の役割や今後の通級による指導の在 り方を考察する。        

I  方法       . 1  調査対象

調査対象は

2013年5月1日

現在

,サ

テライ ト方式による指導に取 り組んでいる静岡県内の小学 校に設置された通級指導教室

11教

室の指導担当者全

17人

である。

2  手続き

調査 は調査用紙

(質

問紙

)を

用いて

,郵

送により送付・回収 を行 つた。調査用紙 は ,2013年

6月

に発送 し

,締

め切 りを

2013年7月

とした。回答 にあたつては ,2013年

5月 1日

現在の実態 を記 入するよう依頼 した。

11教

室すべてか ら回答 を得 ることがで き

,回

収率は

lllll%で

あった。

また

,調

査用紙 による調査 を補完す ることを目的 として

,承

諾の得 られた

9校

を訪問 し ,通

級指導担当者へのインタビュー調査 を行 つた。訪問調査 は

2013年6月

か ら

2013年10月

にかけて 行 った。時間は

,1校

あた り

1時

間であつた。

3.調 査項目

調査項 目は対象児童

,本

務校

,サ

テライ ト方式の開始 までの経緯

,通

級指導担当者

,対

象児 童

,指

導内容

,連

,設

備や体制

,サ

テライ ト方式の成果 と課題の大 きく 8つ の内容か ら構成 された。調査用紙は

,A鉗

田ページか らなる調査用紙 Aと

A4M6ペ

ージか らなる調査用紙

Bの

2部

構成である。調査用紙

Aは

各教室担当代表者

1人,調

査用紙

Bは

サテライ ト方式 による指導 に取 り組 んでいる通級担当者全員 に回答するよう依頼 した。

Ⅲ   結果

1  本務校 について

(1)通 級指導教室の障害の種類

現在 ,静 岡県内でサテライ ト方式による通級指導 を行 っている

11教

室の うち

,言

語障害 を対 象 とした通級指導教室

(以

,言

語障害通級指導教室

)が3教

,発 達障害 を対象 とした通級 指導教室

(以

,発

達障害通級指導教室 )が

7教

,難

聴 を対象 とした通級指導教室

(以

,

難聴通級指導教室

)が1教

室であった。

(4)

静 岡県におけるサテライ ト方式の通級 による指導の現状 と課題

(2)通 級指導教室の担当教員数

通級指導教室の担当教員数については

,1人

配置が もっとも多 く

,5教

室であつた。

2人

配置 の教室はな く

,3人

配置力も教室

,4人

配置が

1教

,5人

配置が

2教

室であつた

(図

1)。

3人

配置 されている

3教

室のうち

,2教

室の担当教員数には講師がそれぞれ

1人

ずつ含まれてお り

,5人

配 置されている

2教

室のうち

1教

室にも

1人

の講師が含まれていた。

15

20%

■1人 配 置

40%

3人

配 置

60%

4人

配 置

800/0      100%

5人

配 置

通級指導教室の担当教員数

(3)サ

テライ ト校 の数

サテライ ト校の数 については

, 1校

のみ取 り組 んでいるところが

9教

,3校

で行 つていると ころが

1教

,5校

で行 つているところが

1教

室であつた。

3校

でサテライ ト方式に取 り組 んでい る教室では

,同

一の担当者が

3校

全てに出向いていたが

,5校

で行 っている教室 は

,5人

の担当

者が同時刻 に

,そ

れぞれが担当す るサテライ ト校で指導 にあたつていた。

(4)本 務校 とサテライ ト校の距離

本務校 とサテライ ト校の直線距離 を測 つた ところ

,サ

テライ ト校が本務校 より

10km以

上離 れてい る学校 が

2校,駄

m以 上

10km未

満 の学校が

6校

,3km以

5km未

満 の学校が

6校

,3km

未満の学校が3校であつた

(図

2)◇ もっとも離れている学校 で約16 8kmで あ り

,本

務校か ら車

で40分程度の場所であつた。また, もっとも近い学校 は

,そ

の距離が約

16kmで

あ り

,本

務校 か ら車で

10分

程度の場所であった。

20%      40%

10km以

  

5km以10km未

60%       800/0      100%

3km以5km未

  

3km未

図 2  本務校とサテライ ト校の距離

2  サテライ ト方式による通級指導の開始までの経緯 について

(1)サ テライ ト方式による通級指導の開始年度

サテライ ト方式による通級指導の開始年度については ,2011年 度から始めたところが

4教

,

続 く

2012年

度から始めたところが微 室 ,2013度 から始めたところが鍬 室であった。これら

11

教室すべてが ,2013年

5月

現在 もサテライ ト方式に取 り組んでいた。

3

(5)

16   上 和 穂

(2)サ テライ ト校の決定時期

サテ ライ ト校の決定時期 については

,開

始前々年度

2月,開

始前年度の

7月 ,開

始前年度

8月,

開始前年度

11月,開

始前年度

2月

と回答したところがそれぞれ

1教

,開

始前年度

3月

と回答し

た ところが転 室であ った。また

,わ

か らない と回答 したところが2教室あった。

(3)サ テライ ト校の決定理由

サテライ ト校の決定理由を尋ねたところ

,サ

テライ ト校 に通級 による指導 を受けている児童 が多いため力も教室

,保

護者 による送迎が困難で通級 に通えないため力▼教室 ,本 務校が遠いた め

S蠍

,通

級による指導を行うことのできる施設・設備があるためが鍬 室であった

(表

1)。

その他では ,発 達障害通級指導教室新設予定校であるため

,サ

テライト校での指導が効果的で あるため

,在

籍校や保護者の希望があったための

3点

があげられた。

サテライ ト校の決定理由 (複数回答可

)

  教室数

  (%)

在籍児童が多い 保護者の送迎困難 本務校が遠い 施設・設備がある

8      727

7    686

4    364

3      273

1      91 1      91 サテライ ト校での指導が効果的なので    1   91

学校や保護者の希望

発達通級の新設予定校のため

(4)サ テライ ト方式 による通級指導の開始 までの課題

サテライ ト方式による通級指導の開始 までの課題 については

,サ

テライ ト校の教室の確保が

10教

室 ,教 材及 び必要な備品の準備が

10教

,指

導担当者の勤務形態が

6教

室 ,担 当者の移動 方法や移動費用力も教室

,サ

テライ ト校の教員 の通級指導教室 に関する理解力も教室

,サ

テライ

ト校 の児童の通級指導教室 に関する理解が隊 室

,サ

テライ ト校 の保護者の通級指導教室 に関 する理解力も教室であった 02)。

サテライ ト方式の開始までの課題 (複数回答可

)

  教室数

  (%)

教室の確保 教材・備品の整備 勤務形態

移動方法や移動費用 サテライ ト校教 員の理解 サテライ ト校児童の理解 サテライ ト校保護者の理解 その他

10     901

10     901

6    545

5      455

5      455

13     273

3      273

1      91

(6)

静岡県におけるサテライ ト方式の通級 による指導の現状 と課題

(5)サ テライ ト校で指導 を受ける児童の選定理由

サテライ ト校で指導 を受ける児童の選定理由については

,児

童 または保護者がサテライ ト方 式 を希望 したためが

6教

,サ

テライ ト校 に在籍 していたためが

6教

,指

導担当者の訪問 日と 通級在籍児童の取 りだ し時間の都合が合 ったため力治教室

,指

導形態か ら考 えて都合が良か っ たため力沼教室

,指

導内容か ら考えて都合が良かつたためヽ報 室であった 03)。

サテライ ト校で指導を受ける児童の選定理由 (複数回答可

)

  教室数

(%)

″′

児童や保護者の希望

サテライ ト校 に在籍 していた 指導内容 により

時間の都合のよさ 指導形態により

6

6

4

3 3

545

M5

364 273 273

3.指 導担当者について

(1)通 級指導教室担当年数

通級指導教室の担当年数 を尋ねた ところ

,10年

以上 と回答 した通級担当者力ヽ人

,5年

以上

10

年未満が

1人,3年

以上

5年

未満力お人

,1年

以上

3年

未満力も人

,今

年度か ら力Ⅵ人であった

(図

3)。

0%      20%       40%       60%       80%       loO%

■1年未満 ■1年以上3年未満 口3年以上5年未満 ■5年以上10年未満 ■10年以上

通級指導教室担当年数

(2)1週 間当た りの指導時間数

1週

間当た りの指導時間数について尋ねた ところ

,本

務校での指導 については ,  もっとも多 い担当者で235時 間, もっとも少ない担当者で

8時

,平

均は190時 間であつた。サテライ ト校 での指導については,も っとも多い担当者で

10時

,も

っとも少 ない担当者で

1時

間 ,平 均 は 41 時間であった。

4.対 象児童について

(1)言 語障害通級指導教室で指導 を受けている児童数

サ テライ ト方式 による言語障害通級指導教室の学年別の児童数は熱 のとお りである。本務

校 で指導 を受けている児童は

70人

であ り

,そ

の うち

53人 (る7%)が

他校通級 であった。一方

,

サテライ ト校で指導 を受けている児童は

18人

であった。サテライ ト校で

,他

(サ

テライ ト校

ではない学校

)の

児童の指導 も行 つているのは

,1校

のみであ り

,児

童数は

3人

であった。

(7)

18 上 和 穂

言語障害通級指導教室の学年別児童数の内訳 サテ ライ ト校 自校

   

他校

1年 2年 3年 4年 5年 6年

(2)発

達障害通級指導教室で指導 を受けている児童数

サテライ ト方式 による発達障害通級指導教室の学年別の児童数は表

5の

とお りである。本務 校で指導 を受けている児童は

221人

であ り,そ のうち

179人 (810%)が 4LE通

級であった。一方

,

サテ ライ ト校 で指導 を受けている児童 は

36人

であった。サテライ ト校 で他校 の児童の指導 も 行っているのは

1校

のみであ り

,児

童数は

7人

であった。

発達障害通級指導教室の学年別児童数の内訳 本務校

     

サテライ ト校 自校

   

他校

1年

2年 3年 4年 5年 6年

(3)難 聴通級指導教室で指導を受けている児童数

サテライ ト方式による難聴通級指導教室の学年別の児童数は表

6の

とお りである。本務校で 指導を受けている児童は

6人

,サ

テライ ト校で指導を受けているのは

3年

1人

であった。

難聴通級指導教室の学年別児童数の内訳 自校

4 2 1 1 3

0 3 0 0 0 0 2

〇 一5 8

7 0 4 3 1

17

自校

4 1 4 3 6 4

0 1

6 1

9 9 1 4 3 3 3 3 2

179

本務校

     

サテライ ト校

自校 自校

   

他校

1年 2年 3年 4年 5年 6年

1 1 0 0 1 1 1

0 0 0 0 1

0 0 0 0 0 0

1 0 0 0

他 校

他 校

(8)

静岡県におけるサテライ ト方式の通級 による指導の現状 と課題

5.指 導について

(1)指 導時間

障害種別の通級指導教室の

1か

月あたりの最多指導時間と最少指導時間は

,表7の

とおりである。

言語障害通級指導教室では

,本

務校で指導を受ける児童のうちもっとも指導回数が多いのは月

12

回であり,も っとも少ない場合は月

2回

であつた。サテライト校では,も っとも多い児童で月

5回,

もっとも少ない児童で月

4回

であつた。発達障害通級指導教室では

,本

務校のもっとも多い児童で 月

12回 ,も

っとも少ない児童で月

2回

であつた。サテライト校では

,も

っとも多い児童で月

8回,も

っ とも少ない児童で月

2回

であつた。難聴通級指導教室では ,も っとも多い児童で月

12回

,も っとも 少ない児童で月

4回

であつた。サテライト校は

,通

級対象の児童が

1人

であり ,月

8回

であった。

指導時間

19

サテ ライ ト校

最少指導時間 言語障害通級指導教室

発達障害通級指導教室 難聴通級指導教室

(2)指 導形態

本務校では

613%で

小集団指導が行われているのに対 し

,サ

テ ライ ト校では

767%が

個別指 導のみであつた

(図

4)。 また

,個

別指導はサテライ ト校で受け

,小

集団指導は本務校 というよ うにそれぞれを違 つた場所で指導 を受けている児童 もいた。なお

,言

語障害通級指導教室で小 集団指導 を行 つているのは

,1教

3人

のみであつた。

サテ ライ ト校

本務校

4 2   一 5

8 2

2 4 2

  2

0%   10%

口個別指導

30%   40%   50%

口小集団指導

70%   80%

■小集団十個別

図 4  本務校とサテライ ト校の指導形態

6  連携について

(1)在 籍学級の担任 との連絡方法

在籍学級の担任 との連携の取 り方 について尋ねた ところ

,9教

室で連絡帳や指導 カー ドな ど

,

通級指導教室での指導の様子 を記録 した紙媒体が用い られていた。その うち

3教

室では

,サ

テ ライ ト校の児童や他校通級の児童など一部の児童のみに対 して行われていた。 また

,10教

室で は在籍学級での授業参観が行われた り

,学

級担任が通級指導教室での指導の参観に訪れた りし

てυた。これらは年に1回から2回行われており,す べての児童を対象としていた。連携の方法 においては,本務校に通う児童とサテライト校に通う児童との間に大きな違いはなかった。

(9)

20

上 和 穂

(2)通 級担当者 と通級指導以外の児童 との関わ り

通級担 当者 と通級指導以外の児童 との関わ りについて尋ねた ところ

,本

務校では

737%で

関 わ りがあるとの回答であつたが

,サ

テライ ト校 では

533%で

あつた。関わ りの内容 としては

,

指導の空 き時間に

'校

内の気 になる児童の観察や指導 を行 うとい うものであった。

(3)保

護者 との連絡方法

保護者 との連携の取 り方 を尋ねた ところ

,9教

室で連絡帳や指導 カー ドなど

,紙

媒体 を用い て連絡が とられていた。また

,7教

室では通級便 りが配布 されていた。他校通級の児童の場合 は

,

保護者の送迎が必要 となるため

,5分

程度の短 い時間ではあるが

,担

当者 と保護者が毎回直接 話す機会があった。 自校通級の児童で も放課後に指導 を受けている場合は

,保

護者の迎 えが必 要 となるため

,直

接話す機会が設けられていた。保護者 との連携の取 り方において

,本

務校 に 通 う児童 とサテライ ト校 に通 う児童に大 きな相違はなかった。

(4)サ テライ ト校の教員 との関わ り

サテライ ト校の教員 との関わ りについて尋ねたところ

,17人

全員か らあるとい う回答が得 ら れた。 もっとも多かったのは

,特

別支援教育 コーデイネーター と答 えた

15人

,そ

の内容 は

,

日程確認や通級の指導対象児童の様子 についての情報交換 などが多かった。 また

,15人

の うち 3人 は、

1時

間指導のない時間を作 り

,特

別支援教育 コーデイネーター との打 ち合わせや校 内巡 回

,保

護者 との面談などの時間に充てていた。

7.サ テライ ト方式を行 う際の設備や体制について

〈 1)勤 務形態

サテライ ト校訪間時の勤務形態 について尋ねた ところ

,サ

テライ ト校

17校

の うち

7校

では兼 務命令が出てお り

,10校

は出張扱いであうた。 しか し

,,兼

務命令が出ている学校で も

,出

張名 簿 に記載 してか らサテライ ト校 に出向 く担当者が多かった。

(2)サ テライ ト校での指導頻度

サテライ ト校での指導頻度 を尋ねた ところ

,サ

テライ ト校

18校

I校

が週

1回,1校

は2週 間 に

1回

であつた。 しか し

,そ

1校

も対象児童が増 えたため

9月

か らは毎週指導が行 われるよう になった ことが ,イ ンタビュー調査で明 らかになった。

(3)サ テライ ト校での勤務時間

サテライ ト校での勤務時間を尋 ねた ところ

,1回

のサテライ ト校訪間において

校は半 日

勤務

,7校

は終 日勤務であった。 また

,半

日と回答 したサテライ ト校へ訪問す る担当者 は

,す

べて出張扱いであつた。

(4)サ テライ ト校での指導の際の持ち物

サテライ ト校で指導する際の持ち物 を尋ねた ところ

,担

当者

17人

全員か ら教材教具 との回答

が得 られた。その他 に

,児

童の個人 ファイルと回答 したのが

10人,カ

メラとパ ソコンがそれぞ

オ ■人ずつ

,ビ

デオが

1人

であった。

(10)

静岡県 におけるサテライ ト方式の通級 による指導の現状 と課題

(5)専 用教室の有無

サテライ ト校の通級指導教室専用の教室の有無を尋ねたところ

,2校

のみ設置があった。そ の他の

15校

では

,会

議室や相談室などを活用 して

,毎

週決まった場所で指導を行つていた。

(6)指 導を行 う教室の広さにういて

指導を行 う教室の広さに対する満足度を

,本

務校

,サ

テライ ト校それぞれ尋ねたところ

,′

本 務校については

,「

満足」が

13人,「

不満足」力お人 ,無 回答が

1人

であった

(図

5)。 一方

,サ

ライ ト校については

,「

満足」が

10人,「

どちらともいえない

Jが3人,「

不満足」力Ⅵ人であらた。

サテ ライ ト校

本務校

10%   20%   30%   40%   50%   60%   70%   80%   90%   100%

口満 足  口どち らともいえない  口不満  ■無回答

図 5  教室の広さに対する満足度

(7)指 導 を行 う教室の騒音 について

指導 を行 う教室の騒音 について尋ねた ところ

,本

務校では気 にな らない とす る回答が

7人,

サテライ ト校では気 にならない とす る回答力湯人であ り ,大 きな相違はなかった

(図

6)。 しか し

,

とて も気 になるとした回答が

,本

務校 については

1人

であったのに対 し

,サ

テライ ト校 では

5人

いた。騒音の原因としては

,廊

下 を通る他の児童や教師の声が多 くあがった。

サテライ ト校

本務校

10% ' 20%

口 は い

40%   50%   600/0 日どちらともいえない

80%

□いいえ

図 6  教室の騒音

(8)指 導 を行 う教室の様子について

サテライ ト校で指導する際に使用する教室については

,雑

然 と物が置いてあった り

,指

導 に 関係 のない ものが多 く置いてあつた りするため

,児

童の集中力 を妨げる要因になるとい う意見 があった。 また

,指

導に行 く度に

,教

室の机やイスを移動 しな くてはいけないため

,本

務校で

の指導時以上に準備 に時間がかかるとい う意見 もあった。

21

8

]

7 口       │ロ

100%

(11)

上 和 穂

8  サテライ ト方式について

(1)サ テライ ト方式の成果

サテライ ト方式の成果 については

,担

当者 の

7割

以上が

,児

童   保護者の移動時間の負担が 少 な くなったことや

,保

護者の送迎が不要になったこと

,在

籍学級担任や在籍校の特別支援教 育コーデイネーター

,管

理職との連携がとりやす くなったことをあげた

(表

0。 一方で

,指

導 担当者の退校時間が早 くなったと感 じているのは

1名

にす ぎず

,ま

た放課後の指導が減ったと 答えた担当者はひとりもいなかった。

サテライ ト方式の成果 (複数回答可

)

22

(%)

  人 数

①児童・保護者の移動時間の負担が少なくなった

②保護者の送迎が不要になった

③在籍学級担任や在籍校の特別支援教育コーデイネーター

,管

理職と の連携がとりやすくなった

④午前中に指導を入れることができるようになった

⑤児童の様子や課題が明確になつた

⑥在籍校において通級による指導に対する理解が広まった

⑦児童の精神的負担が少なくなった

③嗜籍校において特別支援教育に対する理解が広まった

◎指導担当者の退校時間が早 くなった

⑩放課後の指導が減つた

/■  94   ^フ¨   7′  ・■υ  αυ  И■  つ0  1■  nυ

823 706

706 412 353 353 235 176

59 00

(2)サ

テライ ト方式の課題

サテライ ト方式の課題 については

,担

当者 の

7割

以上が

,サ

テライ ト校へ行 く準備や移動時 間など担当者の負担が大 きいことと

,教

材・教具の不十分 さを指摘 している

(表

9)。

サテライ ト方式の課題 (複数回答可

)

  人数

(%)

①サテライト校べ行く準備や移動時間など,担 当者の負担が大きい

②政材・教具の不十分さ

③教材・教具の持ち運び

④児童を取り出す時間の調整や抜けた授業の補充

⑤指導担当者と保護者の関わる機会が減つた

⑥児童が通級指導の時間を忘れたり遅れて来たりする

⑦児童と保護者とが関わる時間が減つた

③本務校職員の理解が得にくい

⑨通級指導に関する問い合わせなどに対応できないことが多くなった

⑩サテライト校職貝の理解が得にくい

鶴鶴 輌例 佗騨 獅獅 鵬躙

00   つ´   00   00  

″′   Eυ  

′仕  

′t   90   04

(12)

静岡県 におけるサテライ ト方式の通級 による指導の現状 と課題

(3)今 後のサテライ ト方式の推進 について

今後 も

,サ

テライ ト方式の通級指導教室が増 えることが望 ま しいか尋 ねた ところ

,「

はい J

と答 えた担当者 と「いいえ」 と答 えた担当者が共に

2人

ずつ

,「

どち らともいえない」 と答 えた 担当者が

13人

であった

(図

7)。 サテライ ト方式は

,保

護者の都合で通級指導教室に通えない子 どもに対 して も

,必

要な指導や支援 を行 うことがで きるため

,そ

のメ リッ トを感 じることはで きるが

,移

動や準備

,慣

れない環境 での指導 な ど担 当者の負担が大 きく

,「

どちらともいえな い」 と答 えた人が多かった。 また

,保

護者の送迎が不要であることか ら

,児

童の保護者 と担当 者が直接関わる機会が減 り

,家

庭 との連携 に関 して不安 を感 じている担当者 も多 くいた。

23

20%

口 は レヽ

40%

口どちらともいえない

   

■いいえ

図 7  サテライ ト方式の推進の質否

Ⅳ   考察

2013年5月 1日

現在

,静

岡県ではサテライ ト方式 による通級 による指導が ,11の 通級指導教室 によって

,小

学校

17校

のサテライ ト教室で実施 されていた。サテライ ト校で通級 による指導 を 受けている児童は

60人

,こ

れは静岡県で通級 による指導 を受けている児童

2,1つ

人の約

28%

にあたる。通級 による指導 を受 けている全 国の小学生の約

52%は ,巡

回指導 による ものであ る

(文

部科学省

,2014)。

静岡県では巡回による通級指導 は実施 されていない。そのため

,静

岡県 においては巡回指導に代わる形態 として

,サ

テライ ト方式は今後 ます ますニーズが高 まる ことが予想 される。

本研究の結果か ら

,サ

テライ ト方式は児童の移動時間の負担軽減や保護者による送迎の負担 軽減 に効果 を発揮 していることが認め られた。他校にある通級指導教室 に通 うためには

,保

護 者や家族 による送迎が必要 とな り

,こ

のことは家族 にとつてかな り負担 になる。そのため

,通

級 した くて もで きない児童や

,学

校や担任 も通級 を勧めることが難 しい児童が存在することが 指摘 されて きた

(相

原   武田

,2011)。

自校通級の割合が高いサテライ ト方式は

,そ

うした課 題に対 して有効に機能 しているといえる。

また

,芳

  玉村 (2011)が 訪問通級指導の成果 として指摘 した

,通

級児童への指導効果の 拡大が

,本

研究のサテライ ト方式の結果にもみることがで きた。通級児童への指導効果の拡大 とは

,通

級児童のソーシヤルスキルの課題が収集 しやす く

,課

題 に早急に対応で きるため

,通

級児童の行動上の問題が改善 しやす くなった り

,指

導担当者が学習支援や学校生活場面に介入

す ることで

,必

要な声かけや行動の振 り返 りが可能 となった りすることである。本研究の結果

では この点 について

,指

導担 当者

17人

の うち

6人 (353%)が

サテ ライ ト方式の成果 としてあ

げていた。また, これを行動上の問題が主であると考えられる発達障害通級指導教室 に限って

みる と

,12人

5人 (417%)と

な り

,半

数近い指導担 当者がその効果 を感 じていた。児童 の

通常の学級での生活 を見 ることがで きるため

,問

題行動の理由や原因がわかるようになった と

(13)

24

上 和 穂

答えた指導担当者 もいた。通級児童の中には感覚の過崚性をもっている児童 もお り

,教

室環境

によつて問題行動が生 じている場合がある。通級指導教室は空調設備が設置されていたり

,小

集団指導で人数が少なかったりするため

,比

較的集中しやすい環境 となってお り

,そ

のような 特性について指導担当者は把握 しにくい。環境が問題行動の原因となっている場合

,通

級児童

に対する指導のみで解決することは少なく

,教

室や担任

,同

級生などの環境に対するアプロー チが必要となる。通級児童を取 り巻 く環境を指導担当者が直接

,そ

して定期的に見られること は

,サ

テライ ト方式の利点と考えられる。

芳倉・玉村 (2011)は 訪間通級指導の成果としてさらに

,校

内支援体制の拡充のための諸効 果をあげている。これに関して

,本

研究の結果では

,在

籍校において通級による指導に対する 理解が広まったと回答 したのは

17人

6人 (353%〉,特

別支援教育に対する理解が広まったと 回答 したのは

17人

3人 (176%)で

あり

,サ

テライ ト校の校内支援体制の充実を実感 してい る指導担当者は多いとはいえない。その原因として

,指

導担当者 とサテライ ト校の教員が十分 情報交換ができるほどの時間的余裕がないことが考えられる。担当者の半数以上が半日勤務で あ り

,そ

のほとんどが午前中の訪間となっている。学級担任と直接話をできるのは

,ほ

んのわ

ずかな時間であり

,な

かには指導が立て込んでいるため

,サ

テライ ト校へ行っても担任 と直接 話すことができない指導担当者 もいる。サテライ ト校の中で

,通

級指導教室 ともっとも関わり の深いと考えられる特別支援教育コーデイネニターとの間でさえも

,毎

1時

間確保されてい るのは

11教

室のうち鍬 室にとどまっている。

また

,サ

テライ ト方式を実施する上でのい くつかの課題 も明らかになつた。まずあげられる のは

,サ

テライ ト校の教室が十分確保されていないこと

,教

材や備品が十分整備されていない ことである。そのことは毎回

,指

導担当者が多 くの教材 をもってサテライ ト校に移動 しなけれ ばならない負担感だけでなく

,児

童の状態に合わせて臨機応変に教材 を変更することができな いことに対する不 自由感にもつながっている。また

,本

務校では

613%で

小集団指導が行われ ているのに対 し

,サ

テライト校では76:7%が 個別指導のみであるとする結果が示 しているよう

,本

来なら if/Jヽ 集団指導が望ましい場合 も

,サ

テライ ト校では指導場所が十分確保されてい

ないため

,そ

れができない状況がある。

加えて

,サ

テライ ト方式を導入する目的の一つであつた担当者の勤務時間の負担の軽減につ いては

,ほ

とんど効果がみられていない。かえって

,サ

テライ ト校へ行 く準備や移動時間など

,

担当者は大 きな負担を感 じているという結果 となっているもサテライ ト方式の推進について

,

指導担当者のうち賛成が

2人,反

対が

2人

で, どちらともいえないとの回答が

13人

となったのも 担当者の負担の増大に対する不安の反映であろう。同じ市内の教室であっても ,取 り組み方が 異なる場合がある。基本的な方針や具体的な手続きなどが十分に示されないまま

,指

導担当者 が模索 しながら取 り組んでいる現状 もあるといえる。このことが

,指

導担当者の精神的な負担

を大きくしているようにも思われる。

しか し, どちらともいえないという回答者の中には

,通

繋指導教室を増や した り

,す

べての

学校において自校通級を可能としたりするための経過措置として

,サ

テライ ト方式が取 り入れ られているのであれば賛成 という条件付 きの指導担当者 も何人かいた。

2012年7月23日

に中央 教育審議会初等中等教育分科会において「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システ ム構築のための特別支援教育の推進

(報

告 )」 がとりまとめられた。そこでは

,多

様な学びの 場の環境整備の一つとして

,通

級による指導の一層の充実が求められてお り

,具

体的には

,巡

  

(14)

静岡県 におけるサテライ ト方式の通級 による指導の現状 と課題

回による指導等 によって, 自校で通級 による指導 を受けることがあげられている。サテライ ト 方式は,  まさにこのインクルーシブ教育 システム構築 において重要な役害」を演 じる可能性 を秘 めている。 しか しそのためには

,サ

テライ ト校の施設・設備の充実は もちろんのこと

,担

当者 とサテライ ト校の教職員の理解 と連携が十分可能 となる時間的な余裕 と人的配置が不可欠であ る。

文献

相原章子・武田篤 (2011):LD等 を対象 とする通級指導教室の現状 と課題〜学級担任 との連携 に視点をあてて〜   秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要,33,67‐

76

文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 (2014):特 別支援教育資料

(平

25年

度 )文 部科

学省

中東朋子 (1995):巡 回指導 による弱視教室の開設   特殊教育,79,24‐27

大塚玲・石田元美 (2013):静 岡県 における発達 障害 を対象 とした小学校通級指導教室の現状 と課題   静岡大学教育学部研究報告

(人

文・社会・ 自然科学篇 ),63,55‑70

豊田弘巳

(21XXl):通

級指導教室

(巡

回指導

)の

経営   特殊教育 ,97,5456

中央教育審議会初等中等教育分科会 (2012):共 生社会の形成 に向けたイ ンクルーシブ教育 シ ステム構築のための特別支援教育の推進

(報

告 )文 部科学省

宇野美岐子 (2010):巡 回による通級指導の取組   特別支援教育

,40,20‑23

芳倉優富子・玉村公二彦 (2011):奈 良県 における

LD通

級指導教室の役割 と指導の展 開 ― A

市 における

LD通

級指導教室 を事例 として =  奈良教育大学教育実践総合セ ンター研究紀

,1, 20, 273‑279

1寸 言 己

本研究にご協力いただ きましたサテライ ト校 を担 当される通級指導教室の先生方に感謝いた します。なお本研究は

,科

学研究費補助金基盤研究

(C)(課

題番号 :26381318,研 究代表者

:

大塚玲

)の

助成 を受けました。

25

参照

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