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千葉県の中学校における個別の教育支援計画と個別の指導計画の作成状況 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)千葉県の中学校における個別の教育支援計画と 個別の指導計画の作成状況 村 井. 敬 太 郎. 川 間. 健 之 介. (山梨大学教育人間科学部附属特別支援学校) (筑波大学大学院人間総合科学研究科). Ⅰ.はじめに. 2006年6月に『学校教育法等の一部を改正する法律』が可決され,2007年4月1日より「特 別支援教育」がスタートした。この法律改正によって小・中学校等では学習障害,注意欠 陥多動性障害,高機能自閉症等を含めた特別な教育的支援が必要な児童生徒に対して,障 害による学習または生活上の困難を克服するための教育を学校全体で適切に行うことが法 的に明確に規定された。 千葉県では国の動向や施策,県内の障害のある幼児児童生徒の教育現状等を背景に, 2003年に『ノーマライゼーションの進展に対応した障害児教育の検討会議』を設置し, 2006年3月に『千葉県の特別支援教育の在り方(提言)最終報告』をまとめた。さらに, この最終報告を受けて障害のある幼児児童生徒の適切な教育的支援を進めるために,特別 支援教育に関する総合的な基本計画である『千葉県特別支援教育推進基本計画』を策定し た(千葉県教育庁教育振興部特別支援教育課,2007)。現在,国の答申とこの基本計画に 基づき,教育委員会や学校等で特別支援教育に関する校内支援体制の充実に向けた具体的 な取り組みを進めている。 ところで,文部科学省(2007)は『特別支援教育の推進について(通知)』において, 特別支援教育を推進するための取り組みとして,小・中学校等も必要に応じて個別の教育 支援計画と個別の指導計画の作成を行うことを示している。個別の教育支援計画とは,乳 幼児期から学校卒業後までを見通した視点を持って作成され,障害のある幼児児童生徒一 人ひとりを関係機関や関係者が連携・協力して効果的に支援するための計画である。つま り関係者が本人及び保護者の願いや目標,支援内容,支援方法等の情報を共有したり役割 分担したりして適切な支援をしていくためのツールである。一方,個別の指導計画は,個 別の教育支援計画を踏まえて学校の教育活動において児童生徒一人ひとりの障害の状態等 に応じたきめ細やかな支援が行えるよう,指導目標や指導内容・方法等を具体的に表した ものである。 千葉県では『千葉県特別支援教育推進基本計画』の中で,個別の教育支援計画と個別の 指導計画の作成の必要性を示している。さらに千葉県教育庁教育振興部特別支援教育課 (2007)は『個別の教育支援計画作成リーフレット』と『小・中学校における個別の教育. - 102 -.

(2) 支援計画作成の手引き』を発行し,具体的な作成と実践の手順を提示している。一方,個 別の指導計画について,千葉県教育庁教育振興部特別支援教育課(2002,2003)は『個別 指導計画の作成とその実践』,『個別指導計画事例集』等を発行して,具体的な作成と実 践を紹介している。今後は特別な教育的支援が必要な生徒への校内支援体制の充実を進め るとともに,個別の教育支援計画と個別の指導計画の作成といった「一人ひとりの教育的 ニーズに応じた支援」が実現できるような,よりきめ細やかな対応が求められる。 こうした中,個別の教育支援計画と個別の指導計画の作成に向けた取り組みは,各都道 府県教育委員会及び教育センター等での試案づくりの時期を経て,現在は各中学校で作成 されてきている状況である。そこで,本研究では千葉県内の全公立中学校の個別の教育支 援計画と個別の指導計画の作成状況に関する現状調査を行い,特別支援学級及び通級指導 教室設置の有無別の視点から分析し,今後の中学校における個別の教育支援計画と個別の 指導計画の作成について検討した。. Ⅱ.方法. 1.調査対象 千葉県内の全公立中学校383校を調査対象とした。調査への回答は各中学校の特別支援 教育コーディネーターに依頼した。調査は郵送による自記式質問紙法により,2006年9月 下旬から10月下旬に実施した。. 2.調査内容 調査用紙は茨城県教育センター(2003),文部科学省(2004),室岡・恵羅・大庭(2005), 高橋・内野(2006),横尾・伊藤・植木田・松村・西牧(2006)を基に作成した。そして 特別支援教育コーディネーター5名(小学校3名,中学校2名)により質問内容や表現等に ついて検討を行い,これらから得られた意見を基に内容を再構成して作成した。なお調査 項目は次のとおりであった。調査への回答は無記名で行い,質問内容に応じて単一選択, 複数選択を用いた。 (1)通常の学級に在籍する特別な教育的支援が必要な生徒の在籍状況 生徒の在籍数,主な障害名,主な学習上及び行動上の課題 (2)個別の教育支援計画について 個別の教育支援計画の作成の有無,作成上の課題 (3)個別の指導計画について 個別の指導計画の作成の有無,作成上の課題. 3.結果の分析方法 結果について,(1)は単純集計を行い,(2)と(3)は全体として分析すると共に,特 - 103 -.

(3) 別支援学級あるいは通級指導教室が設置された学校を「特学等設置校」群,設置されてい ない学校を「特学等未設置校」群に区分して比較検討した。学校数等の数値は調査項目毎 の有効データ数に対して算出した。. Ⅲ.結果. 1.通常の学級に在籍する特別な教育的支援が必要な生徒の在籍状況 特別な教育的支援が必要な生徒の在籍の有無を単一選択で回答を求めた。全体では130 校(83.3%)に在籍しており,未在籍校21校(13.5%),無回答5校(3.2%)であった。 在籍者数を単一選択で回答を求めたところ,10人未満在籍校が最も多く90校(57.7%), 11人以上在籍校14校(9.0%),未在籍校21校(13.5%),無回答31校(19.9%)であった。 次に主な障害名を複数選択可で求めたものを表1-1に示した。「注意欠陥多動性障害」 が最も多く,ついで「学習障害」,「知的障害」等であった。. 主な学習上の課題及び行動上の課題を複数選択可で求めた結果を表1-2,表1-3に示した。 主な学習上の課題では「学年相応の学習が難しい」が最も多く,ついで「文字や文章を『書 く』ことに著しい困難を示している」等であった。主な行動上の課題では「友達としばし ばトラブルを起こす」が最も多く,ついで「友達ができずに孤立している」等であった。. 表1-1. 主な障害名(複数回答). 障害名. 学校数 ( % ). 注意欠陥多動性障害. 55. (42.3). 学習障害. 54. (41.5). 知的障害. 37. (28.5). アスペルガー症候群. 36. (27.7). 高機能自閉症. 33. (25.4). 障害名なし. 27. (20.8). 障害名不明. 21. (16.2). 知的障害+自閉症. 16. (12.3). 肢体不自由. 8. ( 6.2). 言語障害. 7. ( 5.4). 聴覚障害. 4. ( 3.1). 視覚障害. 4. ( 3.1). 病弱・虚弱. 2. ( 1.5). その他. 15. (11.5). 無回答. 12. ( 9.2) n=130校. - 104 -.

(4) 表1-2. 主な学習上の課題(複数回答). 学習上の課題. 学校数( % ). 学年相応の学習が難しい. 78. 文字や文章を「書く」ことに著しい困難を示している. 62. (60.0) (47.7). 学習課題の遂行に注意を持続することが難しい. 60. (46.2). 仲間と共同で学習課題に取り組むことが難しい. 57. (43.8). 教員の一斉指示での理解が難しい. 55. (42.3). 数を「計算」することに著しい困難を示している. 50. (38.5). 授業の進行に支障をきたすような行動をする. 40. (30.8). 他人の話しを「聞く」ことに著しい困難を示している. 39. (30.0). 文字や文章を「読む」ことに著しい困難を示している. 35. (26.9). 他人と「話す」ことに著しい困難を示している. 32. (24.6). 物事の因果関係を理解することが難しい. 31. (23.8). 学習上の課題は見られない. 3. ( 2.3). その他. 7. ( 5.4). 無回答. 9. ( 6.9) n=130校. 表1-3. 主な行動上の課題(複数回答). 行動上の課題. 学校数( % ). 友達としばしばトラブルを起こす. 72. (55.4). 友達ができずに孤立している. 62. (47.7). 話しがかみ合わずコミュニケーションが難しい. 56. (43.1). 周囲が困惑するようなことを,配慮しないで言ってしまう. 52. (40.0). 感情の起伏が激しい. 45. (34.6). 勝手なおしゃべりや独り言が多い. 43. (33.1). 遅刻や早退,欠席が多い. 34. (26.2) (24.6). 特定の物事に執着が強い. 32. 特定の授業や行事に参加が難しい. 27. (20.8). 友達からいじめを受けている. 26. (20.0). 自信がなく,活動への意欲が低い. 22. (16.9) (14.6). 行動や生活のリズムが極端に遅い. 19. 自分なりの独自の日課や手順があり,変更や変化を嫌がる. 13. (10.0). 行動上の課題は見られない. 13. (10.0). その他. 8. ( 6.2). 無回答. 11. ( 8.5) n=130校. 2.個別の教育支援計画について 個別の教育支援計画作成の有無を単一選択で回答を求めた。全体では41校(26.3%)が. - 105 -.

(5) 作成しており,112校(71.8%)が作成なし,無回答3校(1.9%)であった。特別支援学 級等設置の有無別では,「特学等設置校」群では26校(25.0%)が作成しており,75校 (72.1%)が作成なし,無回答3校(2.9%)であった。「特学等未設置校」群では15校 (28.8%)が作成しており,作成なし37校(71.2%),無回答はなかった。特別支援学級 等設置の有無の視点から「無回答」を除いてχ 2 検定を実施したが,有意な差はみられな かった。 個別の教育支援計画を作成している学校を対象に,作成上の課題を複数選択可で求めた 結果を表2に示した。全体で最も多く回答されていたのは「作成のノウハウがない」,つ いで「生徒の情報収集が難しい」等であった。特別支援学級等設置の有無別では,「特学 等設置校」群では「生徒の情報収集が難しい」が最も多く,ついで「作成のノウハウがな い」「作成の時間がない」等であった。「特学等未設置校」群では「作成のノウハウがな い」が最も多く,ついで「生徒の情報収集が難しい」,「作成の時間がない」,「体制がで きていない」が同数であった。. 表2. 個別の教育支援計画作成上の課題(複数回答) 全. 体. 特学等設置校. 特学等未設置校. 生徒の情報収集が難しい. 12(29.3). 9(34.6). 3(20.0). 作成のノウハウがない. 13(31.7). 8(30.8). 5(33.3). 作成の時間がない. 11(26.8). 8(30.8). 3(20.0). 7(17.1). 4(15.4). 3(20.0). 体制ができていない 必要性を感じていない. 3( 7.3). 3(11.5). 0( 0.0). その他. 7(17.1). 5(19.2). 2(13.3). 無回答. 6(14.6). 4(15.4). 2(13.3) 単位は学校数. n=全体41校. 特学等設置校=26校. ( )内は%. 特学等未設置校=15校. 3.個別の指導計画について 個別の指導計画の作成の有無を単一選択で回答を求めた。全体では70校(44.9%)が作 成しており,81校(51.9%)が作成なし,無回答5校(3.2%)であった。特別支援学級等 設置の有無の視点から「無回答」を除いてχ2検定を実施したが,有意な差はみられなかっ た。 「特学等設置校」群では51校(49.0%)が作成しており,48校(32.0%)が作成なし, 無回答5校(3.2%)であった。一方「特学等未設置校」群では19校(36.5%)が作成して おり,33校(63.5%)が作成なし,無回答はなかった。 個別の指導計画を作成している学校を対象に,作成上の課題を複数選択可で求めた結果 を表3に示した。全体で最も多くあげられていたのは「作成の時間がない」で,ついで「生 徒の情報収集が難しい」「作成のノウハウがない」等が続いた。特別支援学級等設置の有 無の視点から「その他」と「無回答」を除いてχ 2 検定を実施したが,有意な差はみられ - 106 -.

(6) なかった。「特学等設置校」群では「作成の時間がない」が最も多く,ついで「生徒の情 報収集が難しい」等であった。「特学等未設置校」群では「作成のノウハウがない」,「作 成の時間がない」が最も多く,ついで「生徒の情報収集が難しい」等が続いた。. 表3. 個別の指導計画作成上の課題(複数回答) 全. 体. 特学等設置校. 特学等未設置校. 生徒の情報収集が難しい. 21(30.0). 16(31.4). 5(26.3). 作成のノウハウがない. 17(24.3). 10(19.6). 7(36.8). 作成の時間がない. 28(40.0). 21(41.2). 7(36.8). 体制ができていない. 14(20.0). 11(21.6). 3(15.8). 8(11.4). 7(13.7). 1( 5.3). その他. 10(14.3). 8(15.7). 2(10.5). 無回答. 13(18.6). 12(23.5). 1( 5.3). 必要性を感じていない. 単位は学校数 n=全体70校. 特学等設置校=51校. ( )内は%. 特学等未設置校=19校. Ⅳ.考察. 1.通常の学級に在籍する特別な教育的支援が必要な生徒の在籍状況 本研究では「特別な教育的支援が必要な生徒」について,「医療機関の診断の有無にか かわらず,通常の学級での一斉授業に参加が難しく,学習面や学校生活面で特別な配慮や 個別の支援が必要だと思われる生徒」とした。そのため発達障害等の障害以外の生徒もカ ウントされていると推測される。しかし,文部科学省(2002)の調査にもみられるように, 知的発達に遅れがないものの学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒が約6.3%在籍 し,このうち学習面で著しい困難を持つ児童生徒が約4.5%,行動面で著しい困難を持つ 児童生徒が約2.9%,学習面と行動面共に著しい困難を児童生徒が約1.2%と報告されてい る。したがって,本研究でも現在の中学校の通常の学級において,学習面や行動面等で課 題を抱えた生徒が数多く在籍していることを示したといえる。 主な学習上の課題で最も多かったのが「学年相応の学習が難しい」であった。これは特 別な教育的支援が生徒が小学校の時から抱えていた課題であると推察されるが,学習内容 が高度になる中学校において,学年相応の学力が身につくことがさらに難しくなり,他の 生徒との学力差がより明確になっていることが示されたといえよう。今後は特別な教育的 支援が必要な生徒個々の認知特性等も考慮した支援を進める必要があると考える。. 主な行動上の課題では「友達としばしばトラブルを起こす」が最も多かった。また「友 達ができずに孤立している」,「 話しがかみ合わずコミュニケーションが難しい」,「周囲が 困惑するようなことを,配慮しないで言ってしまう」といったことも上位に挙げられていた。 これらは特別な教育的支援が必要な生徒に多く見られる,他者の意図や感情の理解,自己理. - 107 -.

(7) 解と行動調整といった「人間関係の形成」が苦手な面が表されたと思われる。今後はソーシャ ルスキル的学習を取り入れることにより,特別な教育的支援が必要な生徒の人間関係の形成 能力の向上を図る必要があろう。. 2.個別の教育支援計画について 特別支援学級等の設置の有無にかかわらず,個別の教育支援計画を作成している学校は 30%以下と低調であった。千葉県教育庁教育振興部特別支援教育課(2007)では『小・中 学校における個別の教育支援計画作成の手引き』及び『個別の教育支援計画作成リーフレッ ト』を発行している。その中で,個別の教育支援計画の様式は地域の特別支援連携協議会 で検討の上,市町村ごとに様式を定めることとし,市町村で様式が定められていない場合 は『小・中学校における個別の教育支援計画作成の手引き』を参考に各学校で様式を作成 することとしている。個別の教育支援計画は障害のある生徒一人一人を長期的視点で一貫 した的確な支援を行うために作成され,関係機関が連携協力して支援するためのものであ る。これは生徒への支援のいわば「指針」となるべきものなので,今後は早期に市町村と 各学校が連携して個別の教育支援計画の様式を検討し,積極的に作成と個別の教育支援計 画に基づく実践を進めるべきであろう。 個別の教育支援計画の作成の課題では,「特学等設置校」群が「生徒の情報収集が難し い」が最も多かった。これは特別な教育的支援が必要な生徒個々の状態像が異なり多様で あるために,実態等が捉えにくいことが考えられる。また「作成のノウハウがない」「作 成の時間がない」も上位に挙げられていた。「作成のノウハウがない」では,個別の教育 支援計画の作成を求められたのが最近のことであり,各学校等の実態に応じた作成手順を 模索している段階であると推察される。「作成の時間がない」では,教員が時間的制約を 持ちながらも,特別な教育的支援が必要な生徒の必要性に応じて個別の教育支援計画を作 成していることを反映しているといえよう。 「特学等未設置校」群では「作成のノウハウがない」が最も多かった。先述したが,千 葉県では個別の教育支援計画の様式は地域の特別支援連携協議会で検討の上,市町村ごと に様式を定めることとし,市町村で様式が定められていない場合は各学校で様式を作成す ることとしている。しかし市町村によっては,個別の教育支援計画の様式を定めずに各学 校で様式を作成することが考えられる。「特学等未設置校」群では特別支援教育に関する 校内資源が少ないが,今後は各学校で教育委員会から出されている資料集や校内外での研 修,先進校の実践等を通して個別の教育支援計画の作成手順や内容を整理していく必要が あろう。 今回の調査では,個別の教育支援計画の書式や記載事項といった詳細を明らかにするこ とができなかった。今後は各都道府県や各学校の個別の教育支援計画の詳細を調査し,よ り具体的実践的な内容を明らかにする必要があろう。. - 108 -.

(8) 3.個別の指導計画について 全体では130校中70校(44.9%)が個別の指導計画を作成しており,特別支援学級等の 設置の有無による分析では, 「特学等設置校」群の方が多く作成されていた。このことは, 特別支援学級や通級指導教室といった特別支援教育に関するリソースがあることから個別 の指導計画作成に関するノウハウがあり,それを通常の学級用にアレンジする等の工夫を して対応しているものと推察される。一方,今回の調査では,「特学等未設置校」群の多 くに個別の指導計画が作成されていないことが明らかになった。個別の指導計画は全国的 に作成に関する手引きや実践事例集が発行されており,情報は豊富にあるといえる。個別 の指導計画は生徒一人一人へのきめ細やかな支援が進められるように,学習目標や指導計 画,学習内容・方法・評価等を具体的に示した生徒への支援の根幹を為すものである。今 後は市町村教育委員会や各学校の校長のリーダーシップの下に,特別支援教育コーディ ネーターが中心となり,各学校で早期に取り組むことが望まれよう。 個別の指導計画の作成の課題では,「特学等設置校」群は「作成の時間がない」が最も 多かった。このことは,通常の学級で他の多くの児童の授業準備や授業実践に追われる中, 教員は時間的制約を持ちながらも,特別な教育的支援の必要性に応じて個別の指導計画を 作成していることを反映していると思われる。「特学等未設置校」群では「作成のノウハ ウがない」,「作成の時間がない」が共に最も多かった。個別の指導計画は作成が求めら れたのが最近のことであり,各学校の実態に応じた作成手順を模索している段階であると 推察される。今後は各学校で教育委員会から出されている資料集や校内外での研修等を通 じて,個別の指導計画の作成手順や内容を整理する必要があろう。 今回の調査では,特別な教育課程を編成して生徒に対応している場合の個別の指導計画 と,通常の教育課程の中で生徒に対応している場合の個別の指導計画の実態を明らかにで きなかった。今後はこれらを調査することで,より詳細な個別の指導計画の実態を明らか にし,学校現場に必要な情報を提供することが肝要であると考える。. 文献 1)千葉県教育庁教育振興部特別支援教育課(2002)個別指導計画の作成とその実践.千 葉県教育委員会. 2)千葉県教育庁教育振興部特別支援教育課(2003)個別指導計画事例集.千葉県教育委 員会. 3)千葉県教育庁教育振興部特別支援教育課(2007)千葉県特別支援教育推進基本計画~ 障害のある子一人一人のライフステージに応じた支援とネットワークの構築を目指し て~.千葉県教育委員会. 4)千葉県教育庁教育振興部特別支援教育課(2007)個別の教育支援計画作成リーフレッ ト.千葉県教育委員会. 5)千葉県教育庁教育振興部特別支援教育課(2007)小・中学校における個別の教育支援 - 109 -.

(9) 計画作成の手引き.千葉県教育委員会. 6)茨城県教育研修センター(2003)特別な配慮を要する子どもへの支援の在り方-校内の 支援体制づくりを通して-.茨城県教育研修センター特殊教育に関する研究報告書,第 47号. 7)文部科学省(2002)通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関 する全国実態調査. 8)文部科学省(2004)小・中学校におけるLD(学習障害),ADHD(注意欠陥/多動性障害), 高機能自閉症の児童生徒への教育体制整備のためのガイドライン(試案).. 9)文部科学省(2007)特別支援教育の推進について(通知). 10)室岡徳・恵羅修吉・大庭重治(2005)通常の学級に在籍する軽度発達障害のある児童に 対応した校内支援体制に関する学級担任の意識.発達障害研究,27(4),316-330. 11)高橋智・内野智之(2006)首都圏の高校等に在籍する軽度知的障害を含む軽度発達障害 児の教育実態-高校等1344校への質問紙調査から-.発達障害研究,28(2),145-166. 12)横尾俊・伊藤由美・植木田潤・松村勘由・西牧謙悟(2006)小学校・中学校の特別支援 教育に関する調査報告書.独立行政法人国立特殊教育総合研究所プロジェクト研究「特 別支援教育コーディネーターに関する実際的研究」報告書,130-150.. - 110 -.

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