ルテニ ウム複核錯体被覆電極 を用 いた有機 スズ化合物の 電気化学的微量検 出
‑ トリブチルスズ化合物の定性的分析‑
星 野 由 雅
長崎大学教育学部化学教室 ( 平成
9年
10月
31日受理)
DetectionofOrganotinCompoundattheTraceLevelbyVoltammetricMethod withBinuclearRutheniumComplexCoatedElectrode
YoshimasaHosHINO
DepartmentofChemistry,FacultyofEducation NagasakiUniversity,Nagasaki852‑8521,Japan
(ReceivedOctober,31,199
7)
Abstract
Theelectrochemicalbehavioroftributyltin(ⅠⅤ)chloridein20% (Ⅴ/v)methanol
‑watermedium atthetracelevelhasbeeninvestigatedbydifferentialpulseanodic strippingvoltammetrywithabareglassycarbon (GC)electrodeandabinuclear ruthenium complex,(〟‑1,1,6,61tetraaCetyト2,4‑hexadiynato)bis[bis(2,2,6,6‑
tctramethyl11,3‑heptanedionato
)
ruthenium(III)],coated GC electrode. Thetin compoundexhibitedananodicpeakat‑0.7()Vvs.Ag/AgClonthevoltammogram withthecoatedelectrode,butthecorrespondingpeakwasnotobservedwiththebare electrode.Thisisthefirstexampleofdetectionfororganotincompoundsbyvoltam一 metricmethodswithoutanHgelectrode.1
.は じ め に
スズは古代 よ り青銅 ( 銅 との合金) として武器,鍾,鏡や美術品 に,現代 では耐食性 に
優 れていることか らハ ンダ, スズめっき, ほ うろう,板硝子 な どに用い られ,私達 に とっ
て身近 な金属 の一つである。 また, その生理的役割 はまだ解明 されていないが, ラッ トに
とって必須 な金属である との報告 もある
1)。無機 スズの毒性 は,他 の重金属 と比較 して も少
ない部類 にはいる
。しか し, スズめっきの缶詰 による中毒事故 は
19世紀末 にイギ リスで報 告 され, 日本 で も
1960年代 にオ レンジジュースの缶詰 によるスズの中毒事故が相次 いで報 告 された2 ) 。このため,スズの食 品衛生法上の基準 は清涼飲料水 の成分規格 で
150ppm以下
と定 め られている3 ) 0
一方,有機 スズ化合物 は当初 ポ リ塩化 ビニルの安定剤 として使 用 され,その後用途 は農業 用の殺菌剤や殺虫剤,木材 ・繊維 ・紙 ・皮 な どの防腐 ・防カ ビを目的 とした保存剤
4)として 産業界 か ら家庭 にまで広が った。 そ して, フジツボ類,貝類 あるい は海藻類 か ら船底や漁 網 を守 る防汚塗料や防汚剤 として最 も多 く使用 された。 フランスで は
,1950年代 に皮膚病 の治療薬 としてエ チル スズ化合物 を用 いた た め に約
1000人 の患者 の うち
110人 が死 亡 し た2 ) 。 これ らの有機 スズ化合物 は,無機 スズ と比較 して一般 に 3‑30 0 倍以上毒性が高い と 言われてい る。 この ように有機 スズ化合物 の毒性が高い ことが明 らかになったに もかかわ
らず, その船底塗料や漁網防汚剤 としての使用 は
1980年代 になるまで規制 されなか った。
これ は,毒性 の高 い トリアルキルスズ化合物 の生物学的半減期が
3‑11日と短 く5 ) ,環境 中 において も紫外線や微生物 によ り, よ り毒性 の少 ないジアルキルスズ化合物やモ ノアル キ ルスズ化合物 に速 やか に変化 し6 ) ,最終 的 には無機 スズ にまで分解 され る
7・8)と考 え られて いたか らである。 しか し,現実 にはフランスで養殖 カキの奇形 の原因が有機 スズ化合物 で あることが疑われ9 ) ,その後魚介類 に高濃度で蓄積 されてい ることが判明 し,各国 もようや く規制 に乗 り出 した。 日本 で も
1980年代 か ら魚介類 の有機 スズ化合物 の含量が調べ られ始 めた
10)。環境庁 は
1985年か ら全 国規模 で魚介類 の トリブチルスズ,トリフェニルスズ化合物 の生物 モニ タ リングを実施 している
。これ らの調査 の結果,魚では養殖魚の方が天然魚 よ りも有機 スズ化合物 の含量が高 く,船底塗料や漁網防汚剤 と有機 スズ汚染 との因果関係が 示唆 された
10a)。 このため全国漁業協 同組合連合会 は,自主的 に
1987年
2月以降,有機 スズ 系漁網防汚剤の使 用 を全面 的に禁止 してい る6 )
。1989年 に「 化学物質 の審査及 び製造等 の規 制 に関す る法律」 ( いわ ゆる 「 化審法
」)に基づいて ビス (トリブチルスズ)オキシ ドが第
1種特定化学物質 にその他 の
13種 の トリブチルスズ化合物 と
7種 の トリフェニルスズ化合 物 が第
2種特定化学物質 に指定 され,現在 で は一部 の船舶 を除いて有機 スズ化合物 を含 む 塗料 は使用 されていないが,全面禁止 には至 っていな
い 。上記 の ように有機 スズ化合物 の環境汚染 の問題 は,各 国が規制 を設 け国際的 に も規則が 制定 されつつあるため既 に峠 を越 えた と考 える見方 もある。 しか し
,1980年代後半か ら有 機 スズ化合物 に汚染 された海域 の巻貝類 にイ ンポセ ックス ( 雌 にペニス と輸精管が形成 さ れ物理的な産卵不能や卵形成 の阻害)が発生す る ことが明 らか にな り
11),末だ環境 への影響 が大 きい ことが指摘 されている。 この ようなイ ンポセ ックスは,有機 スズ化合物 が きわ め て低 い濃度
(1ppt程度)で発症 す ることが報告 されてい る
12 ) 。 インポセ ックスを引 き起 こ す メカニズム については現在精力的 に研究が進 め られてい る
13)が,問題 なの は この ような 現象が非常 に低 レベルの汚染で引 き起 こされている ことであ る。一 つの種 の雌雄 のバ ラン スが崩れ ることは, その種 に とっての存続 だけでな く生態系全体 のバ ランス を崩す要因 に なる。従 って,有機 スズ化合物 による汚染が どの海域で どの程度 あるのか を正確 に把握 す る必要があ る
。有機 スズ化合物 の検 出法 は,現在 ガスクロマ トグラフ法が主流である。検 出器 としては,
電子捕獲型検 出器
14 18),炎光分光検 出器
19 22 ) ,質量分析計2 3 ) な どが ある。環境庁が平成
3年 に各 自治体 に提示 した分析法で もガスクロマ トグラフ/ /炎光分光検 出器
(GC/FPD)に よる検 出法が示 されている。 しか し, この ようなタンデム法 ( 分離装置 と検 出器 を直列 に 繋 いだ方法)で は化合物 の誘 導体化や化学的前処理が必要 とされ る。 このため誰 も ( 化学 的知識 や技術 が乏 しい人)が簡単 に有機 スズ化合物 を検 出で きるわ けで はない。 これ に対 して電気化学 的測定法 は,試料溶液 を固相抽 出用 カラムで濃縮 し,メタノール抽 出液 を
pH調整後,微分パ) i , スス トリッピングボル タンメ トリーで分析 す る比較 的単純 な分析法であ
る2 4 ) 。誘 導体化 な どの化学的前処理 も不要で,また高額 な検 出器 を必要 としないか ら,ガス クロマ トグラフ法 よ り汎用性 お よび測定 の簡便 さの点で優 れている。 さ らに,今後要求が 高 まるであろう有機 スズ化合物 の種別検 出 も可能 である2 5 ) 。しか し,この方法の欠点 は,検 出用 の作用電極 に水銀 を用 いている点である。 これ まで報告 された電気化学的測定法 によ
る有機 スズ化合物 の検 出 には水銀が用 い られている
26 31 ) 。 これで は,測定中の水銀 による
2次汚染や測定後 の後処理 の困難 さのため誰 で もが安心 して採用で きる方法 とは言 えない。
そ こで,水銀以外 の電極 を用 いた有機 スズ化合物 の検 出の可能性 を検討す る必要があ る。
有機 スズ化合物 の水銀電極上での挙動 は,複雑 で完全 には解明 されていない。還元電位 や その電流値, あるいは還元後電極上 に吸着 した化学種 のス トリッピングに伴 う酸化電流 値 はアル キル基 の数 に依存 している
25 ) 。 しか し,著者 の知 る得 る範 囲では通常 の固体電極 ( 金, 白金 お よび炭素電極 な ど)で有機 スズ化合物 の微量分析 に成功 した とい う報告 はな い。 これ は,還元 した化学種 あるいはその後 の化学反応 で生成 した化学種 と固体電極 との 相互作用が弱 いため吸着堆横 で きないため と考 え られ る。 そ こで,固体電極上 に酸化還元 活性 な有機物 を含 む化学種 を被覆 し, その化学種 と有機 スズ化合物 との間で吸着 な どの相 互作用が発現すれ ば,有機 スズ化合物 の微量検 出が可能 となる
。この際,被覆 す る化学種 にはい くつかの条件が ある
。その化学種 と固体電極 との間の電子移動が ある程度以上速 い こと。化学種 の還元生成物 が速度論的 に安定である こと。化学種 とその還元生成物 の どち らもが測定 で使用す る溶媒 に不溶 あるいは極 めて難潜 であ り, さ らに支持電解質 との間で 特別 な相互作用 を起 こさない こと。以上 の条件 を満たす化学種 の一 つ として トリス
(β‑ジ ケ トナ ト)ルテニ ウム ( Ⅰ Ⅰ Ⅰ )複核錯体 がある。
本報 で は,固体電極 であ るグラ ッシーカーボン
(GC)電極上 にルテニ ウム複核錯体 とし て ( 〟
‑1,1,6,6‑テ トラアセチル‑
2,4‑ヘ キサ ジイナ ト)ビス [ビス
(2,2,6,6‑テ トラ メチル‑1
,3‑ヘ プタンジオナ ト)ルテニ ウム
(I I I )]錯体
(Ru2Ru,
Fig.1)を被覆 した電 極 を用 いて,塩化 トリブチルスズの検 出の可能性 を探 った定性 的な結果 について報告す る。
Me Me
L=[Me3ccOCHCOCMe3]
Fi g.1
SchematicstructureofRu2Ru.2
.実 験
2‑ 1
試 薬
水 は, ミリポア社製
Milli‑Q SP Low TOC超純水製造装置 で製造 した超純水 を使用 し た。 ジクロロメタ ンと Ⅳ ,〟 ,
〃',
Ⅳ'‑テ トラメチルエチ レンジア ミン
(TMED)は,読 薬特級 ( 和光純薬工業社製) を使 用 した。 メタノール は,高速液体 クロマ トグラフ用 ( 和 光純薬工業社製)を使 用 した。硫酸 ナ トリウム と塩化銅 ( Ⅰ )は,純度
99.9%の無水物 ( 和 光純薬工業社製)を使 用 した。塩化 トリブチル スズ
(ⅠⅤ)TBT‑Clは,純度
96%以上 の も の
(AldrichCo.Ltd.製) を使 用 した。
Ru2Ru
は,文献 3 2 ) 記載 の方法 を改良 して調製 した。(
3‑エチニル‑
2,4‑ペ ンタ ンジオ ナ ト)ビス
(2,2,6,6‑テ トラメチル
ー1,3‑ヘ プタンジオ ナ ト)ルテニ ウム
(ⅠⅠⅠ)錯体
([Ru (mEma)(dpm)2])は,文献
32 ) に従 って合成 した。この錯体 のカ ップ リング反応 による複核 化 は,次の ように行 った。ジクロロメタ ン約
10cm3をフラス コに入 れ酸素 で溶液 を置換 し なが ら,
TMEDを
40mg加 え,次 いで塩化銅 ( Ⅰ )を
30mg加 えた。酸素 に よる置換 を止 め, フラス コに栓 をして恒温槽 で
25oCに保 ち,溶液 の色 が緑色 にな り反応が平衡状態 に達 す るまで充分捜拝 した。次 に
,100mgの
[Ru(mEma)(dpm)2]をジクロロメタ ン約
20cm3に溶 か し,酸素 で置換 した。 この溶液 に,先 の緑色 の触媒溶液 を加 え, フラス コの栓 を し て約
30oCに保 ち
2日間激 し く捜拝 した。反応生成物 は,溶媒 をロー タ リーエバ ポ レー ター で留去 し,ベ ンゼ ン‑ヘ キサ ン
(2 :1体積比 )の混合溶媒 で抽 出 した。 この溶液 を
5Aの ろ紙 で ろ過 し, ろ液 をシ リカゲル
60 (Merck)のカ ラム クロマ トグラフ ィーで精製 した。
溶離液 を濃縮乾 固 した後,減圧乾燥 して約
80mgの茶色 の
Ru2Ruを得 た。
2‑ 2
電気化 学測定
電気化学測定 は
,BAS社製
CV‑50Wを用 いた。参照電極 には銀/塩化銀電極
(BASRE‑1B)
,対極 には白金線 を使 用 した。支持電解質溶液 は
,0.05moldm3と
0.1moldm3の 硫酸 ナ トリウム水溶液 お よび メタ ノール と
0.05moldm 3硫酸 ナ トリウム水溶 液 との比 ( 体積比)が
20:80の混合溶液 の
3種類 を使 用 した。測定前 には溶液 に高純度窒素 を
20分 間 通 し,酸素 を除去 した
。8.63/〟noldm 3の
TBT‑Cl溶液
(Snとして
1.02mgdm 3の溶 液 )は,次 の ように して調製 した。まず
,0.863mmoldm3の
TBT‑Clメタノール溶液
100 cm3を作 り,この溶液
1cm3をメス ピペ ッ トで取 り出 してメス フラス コに移 し,先 の メタノ ール‑硫酸 ナ トリウム水溶液で
100cm3とした。
ルテニ ウム複核錯体被覆電極 は,次 の ように して調製 した
。0.1mmoldm‑3の
Ru2Ruジ クロロメタ ン溶液 をキ ャピラ リー ピペ ッ トで
1滴 だ け
GC電極 ( ¢
‑ 1mm)上 に滴下 し, 風乾 した。 この操作 を
35回繰 り返 して
Ru2Ruを電極上 に被覆 した。
3
.結 果 と 考 察
3‑ 1電位 恵 およびル テ ニウム複核錯体 被覆電棟 の特性
0.1moldm‑3
と
0.05moldm 3の硫酸 ナ トリウム水溶液 お よびメタノール
ー0.05mol dm3硫酸 ナ トリウム水溶液 の電位窓 をサイ ク リックボル タ ンメ トリーで調 べ た結果, 裸
の
GC電 極 で は‑
1.3V〜 +1.0Vの 範 囲 で測定可能であることがわかった。
Ru2Ru
被覆電極 を用いて
0.1moldm 3硫酸ナ トリウム溶液 中で
OV〜‑1.25Vの 電位範 囲でサイク リックボルタ ンメ トリー
を行 った。掃引速度が
80mVs‑1 の時のボ
、ルタモグラム を
Fig.2に示す。電極上 に固 定 され た
Ru2Ruの還元 波 が‑
1.13V(ピ ーク電位
)に, また対応す る酸化波 は
‑0.87 V(ピー ク電位)付近 に観測 された。 これ ら の ピー ク電 位 は掃 引速 度 が
20‑200mVs‑
1 の範 囲で ほ とん ど変化 が なか った。一 方,還元波の ピー ク電流値 は掃引速度 に比 例 して変化 した。 この ことは, この電極反 応が拡散律速 で はな く電極上 に固定 された 物質 による電極反応であることを示 してい
0 ‑0.4 ‑0.8 ‑1.2
( E
vs.AglAgCl)/VFig.2 Cyclic voltammogram in 0.1 mol dm3 Na2SO 4 aqueOuSsolution at room temperature on the Ru2Ru coatedelectrode.Thescanratewas 80mVs 1
る。 また,サイク リックボルタンメ トリーでは一般 に電極上 に固定 された物質のアノー ド 側 とカ ソー ド側 の ピー ク電位 は同 じ電位であるが,電極 と固定 された物質 との間の電荷移 動速度が遅 い場合 は
,Fig.2の ようにピーク電位 は一致 しない傾向が ある。従 って,この一 対 の酸化還元波 は電極上 に固定 された
Ru2Ruに よる もので,
Ru2Ruの溶液 中での電気 化学的挙動3 2 ) を参考 にす る と,
2段階の‑電子還元反応がほぼ同 じ電位 で起 こってい る と 考 えられ る。 その過程 は反応式( 1) と( 2) で示 され る。
RuIH‑RuHⅠ+e 2 RulH‑RuH (1)
RuI‖一RuH+e
享 ±
RuH‑Ru‖ (2)次 に
,Ru2Ru被覆電極 のメタノール
ー0.05moldm 3硫酸 ナ トリウム水溶液中で先 と同 じ電位範囲でサイク リックボル タンメ トリーを行 った。 また,電極 を溶液 に浸 した ままで 還元波の ピー ク電流値 の経時変化 を調 べた。 その結果, 当初サイク リックボルタモグラム は
0.1moldm 3硫酸ナ トリウム溶液 中 と同 じ挙動 を示 したが,時間の経過 と共 にピー ク電 流値が小 さ くなった。初 めの ピーク電流値 は
50nAであったが,メタノールー硫酸 ナ トリ
ウム水溶液 に浸 した ままで
4時間後 に測定す る と
38nAまで減少 していた。この ことは,電 極上 に固定 された
Ru2Ruが徐 々 にで はあるが硫酸 ナ トリウムー メタノール混合溶液 に溶 解 していることを示 している。 この点 は,今後の検討が必要 と考 え られ るが,測定時間が 短時間であれ ば支障がない と判断 し
TBT‑Clの検 出実験 に移 った。
3‑ 2
有機 スズ化合物の検 出
裸の
GC電極 お よび
Ru2Ru被覆電極 を用 いてメタノールー硫酸 ナ トリウム水溶液 ( 支
持電解質溶液)中で測定 した微分パ ルスス トリッピングボル タモ グラム を
Fig.3お よび
Fig.4に,裸 の
GC電極 お よび
Ru2Ru被覆電極 を用いて
8.63/JmOldmL3の
TBT‑Cl溶液
(Snとして1.02mgdm 3
の溶液)中で測定 した微分 パ ルスス トリッピングボルタモグラム を
Fig.5お よび
Fig.6にそれぞれ示す。微分パルスス トリッピングボルタンメ トリーの初 期電位 は‑
1.1V,パルス電圧 は25mV,析 出時間 は
30秒,掃 引速度 は1
0mV s1で行 っ
+130
+120
+110
十100
+90
+80
・0,3 ‑0.5 ‑0.7 ‑0.9 ‑1.1
(Evs.AglAgCl)/
V
Fig.3 Differentialpulse anodic stripping voltammogram in20% (Ⅴ/v)meth‑
anol‑watersolutioncontaining0.05 moldm3Na2SO。atroom tempera‑
tureonthebareelectrode.
+135
+130
雲+125 62l h‑
+120
+115
+110
‑0.3 ‑0.5 ‑0.7 ‑0.9 ‑1.i
(Evs.AglAgCl)/V
Fig.5 Differentialpulse anodic stripping voltammogram for8.63J〃nOldm3
TBT‑
C
lin 20% (Ⅴ/v) methanoレ watersolutioncontaining0.05mol dm 3 Na2SO。atroom temperature onthebareelectrode.+146
+142
i
+138ヽ一.
l・ヽl +134
+130
+126
‑0.3 ‑0.5 ‑0.7 ‑0.9 ‑1.1
(Evs.AgLAgC
l )/V
Fig.4 Differentialpulse anodic stripplng voltammogram in20% (Ⅴ/v)meth‑
anol‑watersolutioncontaining0.05 moldm 3Na2SO。atroom tempera‑
tureontheRu2Ru.coatedelectrode.
10.3 ・0.5 ‑0.7 10.9 ‑1.1
(Evs.AgLAgCl)
/V
Fig.6 Differentialpulse anodic stripping voltammogram for8.63JJmOldm 3
TBT‑
C
lin 20% (Ⅴ/v) methano1‑ watersolutioncontaining 0.05mol dm3Na2SO。atroom temperature ontheRu2Rucoatedelectrode.Ru
l L R
uII RullLRuIII・BT・一
上
之 ‑ ( TBT‑Or TBT2・
‑‑‑‑‑‑一日一日‑1■‑
a d s o r p t l O n
Orl
chemicalreactio
n
u n k n o wns p e c i e s
Schemel
た。
Fig.3お よび
Fig.4で
一0.95V付近 に観測 された波 は系中の不純物 による もの と考 え られ る
。TBT‑Clを含 む溶液 の裸 の
GC電極 での測定結果 は
,Fig.5か らわか るように支持 電解質溶液 のボル タモ グラム
(Fig.3)と本質 的 に変 わ りが なか った。 しか し,
Ru2Ru被 覆電極 での測定結果 は,
Fig.6か らわか るように
‑0.70V付近 に ピー ク電位 を持 つ波が新 た に観測 された。この波 は
,Ru2Ru被覆電極 で微分パルスス トリッピングボルタ ンメ トリ ー を行 った時 にだ け観測 され,裸 の
GC電極 に代 えた り,他 の測定法 ( サイク リックボル タ ンメ トリーや微分パル スボル タンメ トリー)で は観測 され なかった。従 って,この
一0.70V付近 に観測 された波 は
Schemelに示 した ように
TBT‑Clが
Ru2Ru被覆電極 で還元 を受
け, その還元種 あ るいはその後 の化学反応で生成 した化学種が電極上 に吸着 し, その酸化 的脱 離 による もの と考 え られ る。 いずれ に して も
TBT‑C1由来 の波 と考 え られ る。
4
. ま
と めル テニ ウム複核 錯体 を被覆 した
GC電 極 を用 いて, メ タ ノール‑水混合溶媒 系 で
8.63〟moldm 3
の
TBT‑C1を微分パル スス トリッピングボル タンメ トリー によ り検 出 した。定 性的結果 なが ら,水銀以外 の電極 を用 いて微量
(Sn換算 で
1ppm)の有機 スズ化合物 を検 出で きた ことは意義深 い。今後 は
,Ru2Ru被覆電極上での有機 スズ化合物 の酸化還元挙動 を解明す る と共 に
TBT‑Cl以外 の他 の有機 ス ズ化合物 の検 出お よび定量分析 の可能性 を 検討 す る必要が あ る。 また,環境水 中 には多種類 の化学種 が共存 してお り, それ らが本測 定法 に対 して どの ような影響 を与 えるか も検討 してい く必要が あ る。
謝 辞
本稿 を執筆 す るにあた り,長崎大学教育学部 ,玉利正人教授 か らスズに関す る参考資料 を御提供 いただいた。 また,実験 の多 くの部分 は,広島女学院大学 において同大学生活科 学部 の学生,藤井聖子 さんに手伝 っていただいた。 ここに,感謝 の意 を表 します。
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