靱
指 導 者 卜 国 家 善 法 体 制 に お け る 立 法 ︵三 ︶
第 章一 唯 一の 立 権法 者 と し て の民 族 の指 導 者 アド ル フ
・ヒ ト ラ ー 第 二章 一二つ の立 法機 関 と立 法 形態 第 二章 ユエ法 のへ 党 の関 与 第 四章 一二法 権 の指 導 者 権 力 化
︵以上
︑ 八巻 一号
︶ 第 五章 指 導者 よに る法 告の 知 第 六 章 民族 指 導 と立 法
︑ 法律
︵以 上︑ 八巻 二号
︶ 第 七 章 刑 法典 編纂 事 業 とそ の挫 折 第 八章 ユエ法 の終 焉
︵以 上 本︑ 号
︶ 指導者T国家T憲法体制における立法︵三︶
南
利 明
一九七
法政研究八巻三︑四号︵二〇〇四年︶一九八
第 七 章 刑 法 典 編 纂 事 業 と そ の挫 折 一 刑 法典 編纂 事業
の開 始と 草案 の完 成 勝利 収を めた 革命 が︑ 自ら の世 界観
の体 系化 を眼 目 に︑ 大規 模 な法 典編 纂事 業 に着 手 るす こと は︑ ナポ オレ ン法 典 の 例 を挙 げ るま でも くな
︑ わい ば自 明 の事 柄 であ り︑ それ 故︑ 第ニ イラ ヒ にあ
てっ も︑ 強大 か つ無 制約 的 な立 法権 力を 手 にし たナ チ ス政 治指 導部
が︑ あら ゆる 法領 域を 対象
に︑ 法典 化 作業 を計 画 し︑ 実行 に移 たし とし て︑ 何 の不 思議 もな か っ た ちに が いな い︒ そ の中 でも と︑ わり け刑 法 の改 正作 業 が緊 喫 の課 題 さと たれ こと は︑ 刑法
の内 容 と性 格 が 一般 に当
︵該
W︶
社 会 の世 界 観 に強 く規 定 さ れ るも の あで る こと
︑ さら に︑ 一八 七 一年 の
﹃刑法 典
﹄が
︑ そ の
﹁圧倒 的 な自 由 主義 的 性格
﹂ 故の に︑ 政 治 敵的 対 者 等 に対 す る﹁闘 毎型
﹂と し て の役 割 を果 たし う るも の でな か たっ こと から 見 て︑ 当然 の こと であ っ た ろう
︒ 九一 二 三年 四月 二二 日︑ こ の日 が第 ニ ラ イ ヒ にお ける 法典 編 纂 事 業 の出 発 の日 とな たっ
︒ ギ ルュ ト ーナ が 閣議 に
﹁各 ラ ント 司 法 の強 制 的 同 質 化 及 び 法秩 序 新の たな 形 成 のた め のラ イ ヒ全 権 委 員
﹂ の設 置 と フラ クン の任 命 提を 案 たし こ と は既 紹に 介 し た と お り あで るが こ︑ の時 彼︑ は後 者 の任 務 に関 連 し次 のよ う に続 け た︒
﹁ラ イ ヒ全 権 委 員 は︑ ラ イ ヒ法 務 省 設に 置 が 予定 さ れ て いる 委 員 会 に︑ 副 委 員 長 と し て所 属 す る︒ 委 員会 は 法︑ 律 の改 革 たの め 準の 備作 業 を 委任 され る も のと す る 委︒ 員 会 が 取 り 組 む きべ 課 題 は︑ 刑 法 の改 革 初を めと し て︑ 刑事 裁 判 及 刑び 事 執 行 手 続 の改 革
︑ さ ら に株 式 会 社 法
︑ 和 議 法
︑ 著 作 権 法 特︑ 許 権 等 の産 業 上 の権 利 に関 す る法
︑ 民事 訴訟 法 等
︑
︹ナ チ ス よに る権 力 掌 握 以前 から
︺改
3︵96
︶
革 のた め の準 備 作 業 が な さ れな が ら︑ 議 会 の事 情 よに り決 着 に至 ら な か たっ 一連 の立 法 作 業 の完 成 あで る︒
﹂
編 纂 事業 の着 手 を承 認 され たも の の︑ ギ ルュ ト ナ ーが も とっ も重 要 な 課 題領 域 であ る とし た刑 法 改革 たの め 本の 格 的 な 作 業 に取 り か かる こ とが で き た のは
︑ よ う くや 一九 二三 年 秋 の こと であ たっ
︒ 月五 二六 日 の
﹃改 正刑 法
﹄ や七 月 一四 日 の
﹃断 種 法
﹄ 等 の緊 急 立 法 によ る政 権掌 握 当 初 の新 たな 事 態 のへ 対 応 が 一段 落 し た後
︑ ギ ルュ トナ ー は︑ 九 月 二五 日
︵39 7
︶
︵39 8
︶
付 で︑ プ イロ セ ンを は じ め各 ラ ント 法 務 省 に対 し
﹁仮 提 案
﹂ と の副 題 を付 し た
﹃一 般 刑 法 草 案﹄ 送を 付 し た︒ 事 前 にプ ロイ セ 法ン 務 大 臣 カー ル及 び ラ イ ヒ全 権 委 員 フラ クン にも 回 覧 され ︵型
﹃草 案
﹄ は︑ 五 月 六 日 の シ トュ トッ ガ ルト で の法
︵柵
︶
務 大 臣 会 議 にお てい 了 承 さ れ た方 針 のと おり ︑ 一九 二七 年 の国 会 に提 出 さ れ た
﹃刑 法 草案
﹄ を 基 に︑ イラ ヒ法 務省 が そ の後 の新 た な 展開 を 踏 ま え て︑
﹁自 由 主 義 的 個 人 主義 的 爽 雑 物 を は﹃
﹂し
︑ 加 筆
︑ 修 整 し た も の であ
っ ︵渕
︒ ギ ルユ ト ナ ー は添 付 の書 状 の中 で次 のよ う に述 べて いる
﹁︒ ラ イ ヒ法 務 省 に おけ る刑 法 改 作革 業 再が 開 され 新︑ た なド イ ツ刑 法典 の報 告 草 案 が 作 成 され る に至 たっ
︒ 私 は︑ 今 回︑ こ の草 案 を事 前 に報 知 す る こと と し た︒ 報 告草 案 は︑ 晩 秋 に招 集 が 予定 さ れ て いる 刑 法 小 委員 会 の審 議 の基 礎 とな るも ので あ る︒ 委 員会 の任 務 は︑ 集 中 し た審 議 よに り最 終草 案 を作 成 し ︑ 一九 二 四年 春 頃 に は法 律 が成 立 す るよ う 審︑ 議 を可 能 な 限 り 促進 す る こ と にあ る︒ 各 ラ ント 法務 省 が 刑法 改 革 の現 状 に つい て承 知 す る こ とを 目的 に報 告 草 案 を 送 達 す る が︑ 同 時 に︑ 私 は︑ 刑 法 改 革 に関 し︑ と りわ け実 務 の領 域 から 生 じ る希 望
︵佃
︶
や提 案 を 早急 に私 宛 に お寄 せ たい だ く よ う お願 いす るも の であ る︒
﹂
︵側
︶
﹁新 た な国 家 の要 請 に合 致 し た ド イ ツ刑 法 典 草 案 の作 成
﹂ が 課題 であ たっ ︒ 一〇 月初 旬 に委 員 会 の構 成 を策 定 終し え たギ ルュ ト ナ ー ︵靱
︑ こ の件 に関 し ラ イ ヒ首 相 から 承 認 を ほ渕 後
︑ 二六 日付 各で 委 員 に招 集状 送を 型︵ 最︑ 初 の会 議 を 一 一
︵佃
︶
月 二 日 に開 催 す る こと を 通 知 し た︒ イラ
ヒ法 務 省 で行 わ れ た開 会 式 に お いて
︑ 出 席 者 を前 に︑ ギ ルュ ト ナー の日 から 明 ら か さに れ た委 員会 の構 成 は 以下 のと おり であ たっ
︒ 委 員 長 には ラ イ ヒ法 務 大 臣 であ るギ ルュ ナト ー自 身 が就 任 副︑ 委 員長 と し て︑ バィ エル ン法 務 大臣 フラ クン が
﹁ラ イ ヒ全 権 委 員 とし て の彼 の職 務 の故 に﹂︑ ま た︑ プ イロ セ ン法 務 大 臣 カ ー 指導 煮 国家 T憲 法体 制に おけ る立 法
︵三︶ 一九 九
法政 研究 八巻 三︑ 四号
︵二〇
〇四 年︶ 一一
〇〇 ルが コ ラ イ ヒ法 務 大 臣 の︺ 特 別 の要 請 に基 づ き﹂︑
そ れぞ れ 就 任 し た︒ 委 員 と し て︑ 後 日 の更 な る補 充 を条 件 に︑ イラ ヒ法 務 省 次 官 であ る シ レュ ーゲ ル ベ ルガ ーと フラ イ スラ ー の他
︑ 学 界 から
︑ 新 世 代 を 代 表 し て︑ メ ツガ ー
︵ミ ンュ ヘン 大学
︶と ダ ー ム
︵キ ー ル大 学
︶︑
旧 代世 代を 表 し て︑ コー ルラ ウ シ ュ
︵ベ ルリ 大ン 学
︶と ナグ ラ ー
︵ブ レ スラ ウ大 学
︶が
︑ 実 務 界 か ら は︑ ク ーレ
︵ベル リ ラン ント 裁 判所 部 長
︶︑グ ラウ
︵デ ュッ セ ルド ル ラフ トン 裁判 所 長
︶︑
ロー ンン ツ イ︵ラ プ ツ ィ ヒッ ラ ント 裁 判 所長
︶ が そ れぞ れ 任命 さ れ︑ さ ら に︑ 専 門 委 員 と し てプ イロ セ 及ン び イバ エル ン の両 法務 省 から
︵硼
︶
参 事 官 であ る ク ーロ ネ︑ リ ーチ ュ︑ デ ーュ ル の委 員会 への 参 加 が 紹 介 さ れ た︒ こ の日 の会 合 は︑ 審 議 の対 象 当を 面 の間 総 則 の基 本 原 則 に限 定 す る こと 等
︿︑ 7後 の委 員 会審 議 の方 針 に つい て の簡 単 な紹 介 と次 回開 催 日 決を 定 し て解 散 し た が︑ こ の日 留保 さ れ た 委 員 の補 充 に関 し︑ ラ イ ヒ法 務 省 は︑ 第 二 委回 員会 の四 日前 実︑ 務 界 から
︑ ゴ ル ツ
︵弁護 士
・公 証 人︶︑
W oラ イ ーマ
︵ベル リ ラン ント 判裁 所検 事 正
︶︑
K ニフ イ マー
︵ニ ルュ ン ベ ルク
=フ ーュ ルト ラ ント 裁 判 所長
︶ の任 命 を 発表 し た︒ こ の時 点 で︑ 委 員 の総 数 は︑ 委 員 長 副︑ 委 員 長 を 含 め て 五一 名 と な り︑ そ の内
︑ フラ イ スラ ー や メ ツガ ー︑ ナグ ラ ー等 七名 が ド イ ツ法 ア カデ ミ ー のメ バン ー あで
っ ︵型
︒ 一 月一 二七 日 始に ま たっ 総 則 に関 す る第 一読 会 は︑ ギ ルュ ト ナ ー が うい と こ ろ の
﹁刑 法 の本 質 に関 す る見 解 の変 化 を
4︵︲︲
︶
も とっ も 明 瞭 に表 現 す る諸 問 題
﹂︱
︱ 罪刑 法定 主 義
︑ 危 刑険 法 侵か 害 刑 法 か︑ 正犯 と共 犯
︑ 量刑
︑ 可 罰的 行 為 の分 類
︑ 責 任 論
︑ 刑 罰
︑ 保 安 矯 正処 分
︑ 時 効 等︱
︱ を テー マに
︑ 延 べ 一八 日間 に及 ん だ会 議 を経 て︑ 一九 三 四年 月二 二日 予に 定 の審 議 を 終 了 しだ︵ 先︒ の 一九 二三 年 九 月 二五 日 の
﹃報 告 草案
﹄ 及び 同 年 秋 カに ー ル よに り出 版 さ たれ
﹃ナ チ ス刑 法
︵プ イロ セ 法ン 務 大 臣患
が と を基 に進 め ら れ ︵型 審 議 の結 果 は︑ 刑 法 委員 会 の下 に設 置 さ れ た小 委 員会 から の提 言 を 加 え た上 で︑
﹃仮 草 1案 1 総肛
隧
﹄ の形 にま と め ら れ︑ 月五 一二 日付 で︑ ラ イ ヒ官 房︑ 関 係 大 臣
︑ 各 ラ ント 法務 省 に送 付 さ れ ︵型
︒ これ と合 わ せ て︑ ギ ルュ ト ナ ーは 審︑ 議 内 容 の報 知 を 目的 に︑ 七月 一二 日︑ 第 一読 会 発で 表 さ れた フラ イ スラ ー や シ ェ
4︵︲7
︶
フ ーァ
︑ ク ーレ 等 の 一 一編 の報 告 を 集 め た
﹃将来 のド イ ツ刑 法
︵総 則
︶︱
︱ 刑 法委 員会 事 業 報 告
︱︱
﹄ を 自︑ ら の序 文
︱
︱
﹁刑 法 改 正 事業 の経 過 と 現状
﹂︱
︱ を付 し た 上 出で 版 し て いる
︒ 総 則 の審 議 引に き続 き︑ 各 則 に関 す る第 一読 会 が 一 九 二 四年 四月 一六 日 から 開 始 さ れ︑ 殺 人 罪 や傷 害 罪等 の従 来 型 の犯 罪 に加 え て︑ 民族 対に す る裏 切
︑ 人種 及び 遺 伝素 質 対に す る侵 害
︑ 民 族 の健 全 性 に対 す る侵 害
︑ 婚 姻 及び 家 族 に対 す る侵 害
︑ 民 族指 導 に対 す る侵 害
︑ 国 防力 に対 す る侵 害 等 を テ ー マに
︑ 延 三べ 六 日を 費 や し︑ 同 年 九 月 二九 日 に審 議 終を 了 し型︵
︒ 翌 年 四 月 一二 日 付 で︑ ギ ルュ ト ナー は︑ 先 の 総 則 編 と同 様
︑ シ
ャ フ シ タュ イ ン︑ ナグ ラ ー︑ メ ツガ ー等 の三 三編 の報 告 を集 め た
﹃将来 のド イ ツ刑 法
︵各 則︶
︱
︱刑 法 委 員会 事業 報 生甲輸
ど を出 版 し て いる
︒ 二 つの 読 会 の審 議 結 果 引は き続 き編 集 委 員 会 の手 によ り
﹃ド イ ツ刑 法典 草案
︵刑法 委員 会 草 案 ︑ 一九 二 三/ 三 四年 第 一証
了 こ とし てま と め ら れ た︒ 第 一読 会 で の審 議 未 了 を 理由 に空 自 のま ま置 か たれ コ則 文
﹂の 後 各︑ 則編
︑ 総 則編 の順 構に 成 さ れ た全 四三 六 カ条 から 成 る
﹃草案
﹄を
︑ ギ ルュ ト ナ ー は︑ 一 九 二 五年 月一 八日 付 で︑
﹁内 容 の周 知︑ 係関 す 項る 目 に つい て の検 討
︑ 修 正 希 望 の聴 取
﹂ を 目的 にラ イ ヒ各 省︑ プ イロ セ 首ン 相︑ プ ロイ セ 財ン 務 相 秘︑ 密 国家 警察 局
︑ ナ
︵馴
︶
チ ス党
︑ ド イ ツ法 ア カデ ミ ー︑ ナ チ スド イ ツ法 曹 連 盟 宛 に︑ 月二 一日 ま で の回 答 期 限 付を し て︑ 送付 たし
︒ これ に対 し ては
︑ 国 防大 臣
︑ 郵 政 大 臣
︑ 交 通大 臣 労︑ 働 大臣 等 から 答回 が寄 せら たれ が
︑ 以下 に国 防大 臣 の修 正提 案 の 一部 紹を 介 し てお こう
﹁第︒ 一〇 条九 は ラ イ ヒ政 府 の構 成 員 に対 す る暴 力 行 為 に つき ま︑ た第 二 一四 条 党は 指 導 部 に対 す る同 様 の行 為 に つき
︑ そ れ ぞ れ規 定 を 置 いて いる 一 と こ ろが
︑ 国防 軍 指導 部 に対 す る暴 力行 為 に関 し ては
︑ 何 ら の規 定 も存 在 し な い︒ 指 導 者兼 イラ ヒ首 相 の方 針 によ れば
︑ 国 家 等は くし 国 軍防 党と に立 脚 す るも ので あ る︒ 国防 軍指 導 部 に対 す る刑 法 上 の保 護 が 党指 導 部 のそ れ より 低 いも ので あ てっ は な らな い︒ そ れ故
︑ 私 は︑ 国防 軍 に対 す る侮 辱 行為 を 定 め た第 四 四
︵棚
︶
条 の後 第に 四 四条 aと し て
﹃国 防軍 指 導 部 に対 す る暴 力 行 為﹄ を置 く こ とを 提 案 す るも の であ る︒
﹂ 指導 煮 国家 I憲 法体 制に おけ る立 法
︵三︶ 一 一〇 一