稲緬
究
貨 幣 歎 量 説 史 上 の ワ ル ラ ス
手塚壽
郎
﹁貨幣歎量読は純糠にヨ9ぴ塁犀甘である︑換言すればそれは︑貨幣量に於ける攣化が物便水準の攣化を齎ら
すものであると述ぺてはゐるが︑此現象を読明してはゐない︒これが貨幣数量読に向けられた所の︑殊に欧洲
大陸の諸學者によつて向けられた批難である︒此現象に含まれてゐる因果のエレメンツを前景に出して來たの
は︑O器ゲげ巴碧8臣︒鼠8とH昌8目︒昏8噌凶8の大なる功績である︒即ち貨幣を保持せんとする欲望の憂化
は︑支彿手段の供給の攣化なくとも︑物債水準の攣化を齎し得べく︑また貨幣所得の流程の増加は︑消費者の
貨幣歎量観史上のyルラス︼ ︑
二
手申に置かる玉此増加せる貨幣源泉が消費の増加即ち漕費者の支出の増加となるか否か︑叉は此ら貨幣源泉が
琶稽︒暮目9︒お貯に加へらる玉か否か即ち現金残高をより多く保持せんとする人々の欲望のために中和される
か否かにょつて︑物債水準に或ひは大なる或ひは小なる影響を及ぼすものなることを明らかにしたのは︑現金
め淺高読と所得読の大功績である︒﹂
貨幣数量読の歴史の上に︑現金淺高読や所得読が一韓機を劃したことは確かである︒劒橋派の現金淺高読の
如きはた讐に創橋學派の學者によつて主張せられてゐるに止らす︑既に英米の貨幣論教科書に取り入れられて
ゐる︒寓彗σQ9は此種の教科書として既に一九三一年に︑男.﹀.ピ・霞巴山計︼≦8昌(μ旨eu,O⑩こ・U・]≦茜︒ρ
﹀昌ぎ葺︒曾a88護︒昌昌陣昌傷ρ巴搾(お団①)℃署.μ曾鴇U・国●男︒ぴq富︒p竃§︒ど憎邑巴三︒昌(μ⑩卜︒⑩)矯唱㌔Q︒⑦
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剴彗﹃O器島計彗臼中断8・(μ旨◎︒)℃唱・卜︒ONを學げてゐる︒試みに国象︒の著作をとつて見ると︑次の如き叙述
がなされてゐる︒﹁純粋に假定された地位にある一肚會を想像し︑そこでは︑生産し消費さる玉財の物理的量で
計られたーなる一定の所得が享受されてゐるとする︒また此杜會は此所得の十分の一を支配するに充分な額を
器牌身旨苫冨︒・ぎぴq宮妻窪の形で保持してゐようと望んでゐると假定する︒然らば貨幣に封する此肚會の需要は
.\h︒x一に等しいと云ふことが出來る︒我々は之をら︒ヨ彗臼8H器巴醤旨冨訟昌﹃q宮≦霧と呼ぶ︒此器巴なる
語は重要である︒何となれば︑利用せらるべきドルの数が如何にならうとも︑昏︒器出醤言冨ω写σq宕笥・嘆︒h
1)T.E.Gregory, P.610.
Money,EncyclopaediaoftheS㏄iaユSciences,VoLX,
,
臣09︒σq鴨︒σq彗︒90︒犀o乙︒一一碧︒・は不攣であらうが故に︒換言すればそれはb\昌︒×一に等しいであらうが故に︒さて
器巴崔言ゴ器写σq言宅9に樹する一定の需要に封向して︑貨幣翠位の供給歎を痩化して入れて見よう︒此攣化せ
る供給は︑貨幣軍位の敏と此一輩位の購買力を乗じたる積が此肚會の生産及び消費の物理的量の十分の一を支
配し得るやうに︑全購買力に樹する不攣なる需要に相等しい關係にあらねばならぬ︒代数記號を以てすれば︑
ρ×<"囚である︒こ玉でQは貨幣軍位の敏︑Vは各貨幣翠位の債値即ち購買力︑Kは8蕊9旨器巴◎謹6冨訟轟
23宮類巽︒臨昏︒おσq器ぴq碧︒︒︒8降︒冷日8昌即ち一\δ×凶である︒﹂国侮冨はその著作の首九十四頁から五頁の註
では︑ケーンズの方程式の有用性の限られてゐることを読き︑それに封して懐疑的態度を示してゐるのである
が︑自読を述べた右の一節はまさしくケーンズの方程式其ま瓦を探り容れてゐると見られねばならない︒そ
こでρ<kはケ←ズに於ける,野屠等しく︑從つて︑ρ×<典はケ←ズの昌×トー‑廓ち唱"
ロH算に等しい︒・
現金残高読のポピラリテはこれほど︼般的になつた︒云ふまでもなく此ボピラリテは劒橋學派の學者らの努
力によつて生じたものである︒だが一たい此學読のオリヂンは何虚にあつたか︒劒橋學派の建設者はそれをウ
鋤イリアム・ペテイに見出し得るとしてゐる︒O彗隷§の如きは︑自身こそ現金淺高読の創唱者であるかの如き
記述をなしてゐる︒︑斜︾§昌ユo∋毛器島器9巴侍o匪oρ量暑ξo冷日oロ翅貯曽9̀巴o躍〇三葺o昌oH弓器︒・一昌口q坤o日
冨盈'8訂巳噛ぎ窪昏o{oおo鳳三昌8︒︒o幽穿︒与弓oいωま鵠蔓oh器忽σq鼠昌騨§同ヨ茜三け&︒ξ冨言く臼8号︒"日ò暮
貨幣歎量翫史上のyルラス三
2)LionelD・Edie,Money,BankCreditandPrices,PP.207‑8.
3)A・Marshall,MoneyeCredit,andCoinmerceiP・47.
四
覆・冨算ε︒葺︒=ぎ︒℃笹旦暮冨善αq冨拝暫の守︒臣︒・馨℃鼠けぽこ母汁い昌g§︒・魯昏・凄窒B2暮
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葡智ミミ膏§聴§鳶呼魯鳶N辱ミ軌こ轟亀ぽ寒隷N遭︒︒・︑︑然し概して其オリヂンはペテイに求められ︑マーシヤル︑
ララリリハ ビグーによつて獲展されたと信ぜられてゐる︒或ひはマーシヤルとビグーに其オリヂンが求められてゐる︒
けれど商ペテイから一足飛びにマーシヤルやピグーに至つたとなすは︑現金淺高読の嚢展を飴りにも飛躍的
に解繹する嫌がある︒﹀老︒葺は国.O︒ヨ島︒ぼ℃罎脅碧置信・曾﹁.伽臼碧﹃qρ︒7巷.営日・に此読の存在を立詮
ケコ してゐるし︑O嘗︒はω6乱自に此読の存在を謹明してゐる︒ケーンズさへも︑それがペテイ︑ロツク︑カン
のチヨン︑スミスに存在することを認めてゐる︒だがケーンズは次のやうにも云つてゐる︒︑.目冨閑8Wげ巴彗8㎝
国ε鑑8壽2︒・民暮︒︿︒置9︒・︒︒巳aぎB9ヨ9ゲ巳︒冨署3碧巴8σqす巳一響8昏8︒零ぎ冨く︒ぴs巳
中︒諺8房寓器冨目磐"空四8言夢こg言噌ω‑3︒墓︒臨9Bぴま鵬⑦.︒︒冨ミ翻ず§§匙ぎ§魯§富§馬§ξ偽匙
卜
4)
5)
6) 7)
Cannan,RecentImprovementinMonetaryTheo可,EoonomicJoumaユ,June
1924,collectedinAnEconc)mist,sProtest,Ig27,PP.386一 喝7・
D.H.Robertson,TheMonetaryDoctrinesofMessls.FosterandCatchings, Ωuart.JournalofEconOmics,Vo1.43,P.498。
J。‑P.1・azard,Poli睦queetth60riesmon壱tairesanglaisesd,apres‑guerre,P・67・
A叩etit,Essaisurlath60riegen6raユedelamonnai馬p.191ennote.
の昏§雷驚営ミ§こ馬§h目8 津臣oO隅目寓崔σq︒◎唱彗葺団犀轟体︒託︑‑私共の見る所を以てすれば︑現金残高読
史の重要な問題は︑此ケーンズの叙述乃至はキヤナンの叙述等をめぐつて存在し得るのである︒
ミネソタ大學の﹀旨ゴ謹≦︑●]≦碧磯9教授は︑貨幣の流通遽度の研究の途上に於て︑近代に於ては︑現金淺
高読は明瞭な形に於て︑カール︒メンガー及びレオン・ワルラスに現はれてゐるのを襲見した︒私は今マージ恥エツト⁝教授の研究(昌)卜伽o昌≦四胃器9︒巳さoO器甲じd鑑程oo︾署H§oげ8侍70蜀Ho鑑o日o幽与o<匙ロooh]≦oロ昌拗(卜9)↓冨嵐︒器3曼﹀巷8窃︒幽匪︒零蹄9ω冨昌︒︒器言旨に指示を仰ぎながら︑ワルラスの現金淺高読を研究して
見たいと思ふ︒私のこ玉での目的は︑之を研究することによつて︑ワルラスの維濟思想の明確な把握に達せん
とするにある︒然しながら︑それを貨幣数量読の獲展の一駒として即ち現金残高読嚢展の一駒として研究する
は頗る與味深きものがあるのである︒これには二つの理由がある︒第一に︑ワルラスは最初フイシヤー流の数
量読をとつたが︑後にはそれを捨て玉現金淺高読をとつてゐるから︑二読を︑よく自毘しづ玉︑匠別してゐる
と云ふ理由がある︒第二に︑ワルラスは現金淺高読を代数式を以て示し︑其式がケーンズの式に相等しいもの
となつてゐると云ふ理由がある︒
そこでおのつから本稿も︑純粋経濟學要論の第一版に於てはワルラスはフイシヤー流の貨幣数量読を探ろて
ゐたことを先づ第一に誰明し︑次いで︑一八八六年に公にせられた臼竃自♂傷o冨目o昌昌鐵︒及び純粋維濟學要
論の第二版以後に於ては現金淺高読が先のフイシヤー流の数量読に代つて現はれて來てゐること︑ケーンズの
方程式旨11冨に全く相等しい方程式が現はれて來てゐることを明瞭にすること︑なるのである︒これらと併
貨幣籔量醗史上のンルラス五
8) ro) 9) 11) z2)
Quart.Journ.ofEoollomics,1929,P・373・
Keynes,ATreatiseonMoney,Vo1.1,p.22g.
Keynes,ATreatiseonMoney,Vol・1,P・229・
Jou血alofPoliticalEconomy,コ931,P・569以 下o
JournalofPoliticalE◎onomysig35,P・145以 下 。
六
せて︑ついでに︑ワルラスの貨幣理論特に数量読が學読史家やワルラスの追随者によつて如何に誤解されて來
たかを明らかにするであらう︒
一一
フイシヤーは︑目冨男αげ鑑O巷ぎ=昌国8口o旦︒目冨oぎ弾08巳︒日o霞昌鼻μ︒︒㊤8,q嵩窪昌9︒に於
て︑また℃舞︒訂ω言σq℃︒箋︒H亀寓︒昌2の第二十五頁の註に於て︑交換方程式は︒︒ぎ︒ロZ︒婁8ヨげによつて
りHぎ︒覧9鼠男︒年汐9︒一国8ぎ目鴇の第三百四十六頁に初めて定型を與へられたと述べた︒それ以來︑Z︒宅8ヨげ
が交換方程式の最初の襲案者であると︑普遍的に信ぜられてゐる︒今偶然にヶーンズの↓同$静︒︒昌冨8昌
を取り上げて見ても︑次の叙述がある︒﹁フイシヤー敏授の目冨男5︒冨ωぎσq男︒ミ自︒h竃︒ロ昌は︒︒旦8
Z・ミ8ヨぴに捧げられてゐる︒Z⑦ミ8ヨぴから困§日⑦器N敏授を輕て︑℃目H竃くなる式が出て來たのである︒
Zoミ8ヨぴは專門の脛濟學者ではなく︑数學者であつた︒(目冨d鼻&o︒欝け8Z95・及び﹄︒ぎ口︒切匡蕊の数
學の教授であつた︒)一八八六年に公にされた彼の津写6罰且︒︒︒︒h団象昏9一国08︒日団は︑正統的な學者の著述
を絵り多く讃まないために邪道に入ることのないフレツシな科學者が経濟學の如き未完成の科學に於て時に作
り出し得る猫創的な著作の一つである︒そして此著作は今日も精讃に値する債値をもつてゐる︒彼が呂§段凶§
o{︒︒8凶︒言運︒一誘昌註︒昌と呼んでゐた基本方程式はタ男"皆弼である︒こ玉で刃は貨幣の数量︑Rは流通の