『岡山商大論叢』 (岡山商科大学) 第
3 0
巻第2
号1 99 4
年8
月《論 説≫
小売業 における ミクロ行動 と組織間関係
近 藤 公 彦
Ⅰ
は じめに消費者ニーズの多様化 ・個性化,経済の情報化 ・サー ビス化,あるいは大 店法改正による規制緩和の動 きなど,小売業を とりま く環境変化はますます 激 しさを増 している。 こう した変化に適応で きない小売商は,規模の大小を 問わず,消費者の支持を失い姿を消 してい くことになるだろう。今 日の小売 商は激 しい環境変化のなかか ら事業擁会を鋭 く読み とり,それを事業化す る ために必要な経営資源をすばや く展開す るす ることによって環境変化に ダイ ナ ミックに適応 していかなければな らない。 ここでは小売商による創造的な 環境適応 の資質 ・能力を企業家精神
( e nt r e pr e ne ur s hi p)
の視点か らとら えてみたい1)。 ますます激化す る競争に生き残れ るか どうかは,変化を楼会 と して認識 し,積極的な戦略を展開す ることがで きる企業家精神を もってい るか どうかにかか っているといえる。しか し他方で,多 くの小売商は商店街 あるいは小売市場 といった商業集積
に空間的 に集中 して立地 してい る。そ こでの個 々の小売商の経営成果 は商業 集積 を1つの組織 単位 とす る成果にある程度依存す る ことにな る。特定 の小 売商 が企業家精神 を発揮 して環境変化 に適応 しようと して も,その成果 は商 業集積全体 の組織行動 とその成果 に制約 され ざるをえないか らで ある。 した が って,環境変化 に対す る適応 は個 々の小売商 とい う ミクロ ・レベル とと も に,商業集積 とい うマ クロ ・レベルにお いて も遂行 されなければな らない。
この論文で は,小売商 にお ける企 業家精神 とその近代化お よび小売商集団 の組織統合の観 点か ら,小売業 におけ る ミクロ行動 と組織間関係 を分析 し, そのあ り方をめ ぐる課題 を検討す る。利用 され るデー タは, 岡山県経済 同友 会流通委員会お よび岡山経 済研究所 の依頼 に よって設計 をお こな った 「都市 の魅 力 と小売業 の あ り方」 に関す る調査 に よる2)。 この調査 の一部 は岡山市 におけ る小売商 を対象 と して平成
5
年度 に実施 された もので,配布標 本数 は1, 3 00
票, 回収 票本数 は2 5 8
票, 回収率 は1 9. 8%
で あ った。Ⅱ
小売商 における経営者意識小売業 を と りま く環境 の変化 が激 しさを増す なかで, 中小小売商を対象 と した さま ざまな流通政策が実施 されて きた。 こう した流通政策 にお いて暗黙 の うちに想定 されているのは,すべての小売商 には本来的に企業家的 な意識 が存在 し,政府 あるいは行政 が適切 な政策 を実施す る ことに よって初期条件
1
)マ‑ケテイソグあるいは流通における企業家精神概念の適用については,田村正紀( 1 9 8
1),『大型店問題』千倉書房,1 6 9‑1 9 5
ページ;R. Sa vi t t ( 1 9 8 7)
," Ent r e pr e neur i a l Behavi orand Mar ket i ng St r at egy, "i n A. F. Fi r at,N. Dhol aki a,and R. P. Ba goz z i ,eds ,Phi l o s o p hi c ala n dRa di c a lThmi g htl nMwk e t i n g,Lexi nt on Books,pp. 3 0 7‑3 22 ;野 口智雄 ( 1 987)
,『現代小売流通の諸側面』千倉書房,1 59
‑1 7 8
ページ;石井淳蔵( 1 9 8 9),
「小売商業における企業家行動の条件」『組織科学』,Vol . 2 2,No
.4,2 6‑3 4
ページ;小川進( 1 99 2a),
「小売商の企業家行動と成長機会」『国民経済雑誌』第
1 6 5
巻第1
号,71‑9 4
ページ ;同( 1 99 2b)
,「流通企業成長と経 営者」『神戸大学経営学部研究年報』第3 8
巻,2 25‑25 7
ページ,などを参照せよ。2)
もちろん本稿における議論は,筆者の個人的意見であることをお断りしておく。小売業におけるミクロ行動と組織間関係
217
を整えれば,かれ らの企業家意識は自然に発現す るという点である。 しか し, こうした想定ははた して事実に もとづ くものであろうか。諸 々の流通政策が 講 じられてきたに もかかわ らず,それが必ず しも十分な成果をあげていない 現状をみ ると,すべての小売商に企業家意識が存在す るとい う想定は事実に 反 している可能性がある。 もしそ うであるとすれば,誤 った前提に もとづい て策定 されてきた従来の流通政策体系は,抜本的な見直 しを迫 られることに なる。小売商の企業家意識 については, 田村
( 1 9 8
1)の先駆的研究がある3)。 田村 は既存研究の検討か ら,企業家精神を多元的な経営者意識か らなる複合概念 と して とらえている4)。 ここでは田村の研究を踏 まえて小売商の もつ さまざ まな経営者意識を,生業志向,地元志向,同族志向,資本家志向,成長志向, 草新志 向,お よび危険負担志 向の7
つか らとりあつか うことにす る。この うち生業志向,地元志 向,お よび同族志 向は企業家精神 とは相いれな い経営者意識であ り,非企業家精神 ともよび うるものである。生業志向は企 業家精神の意味す るところとは もっとも対極に位置す る。小売事業の最大の 目的が生計を維持す るための収入を得 ることにあるとき, この意識は生業志 向とよばれる。生業志 向はわが国の小規模零細小売商を特徴づける意識 と し て理解 されてきた5)。 また地元志 向と同族志 向は企業家精神 とは異質な側面 を もっている。小売事業をある特定の地点のみにおいて継続 しようとす る志 向が地元志向であるが,地元志向の強い小売商は他の地点での事業機会に的
3
)田村正妃( 1 9 8
1),前掲書,1 6 9‑1 9 5
ページ。4
)企業家精神概念については,たとえばJ. A. Shumper t er( 1 926) .The o r i ede r u n r
rischa f i l l C h e nEn t M' c k l u n g ,2. Åu n .,Dunc ker& Humbo l t( 塩野谷祐一 ・中山 伊知郎 ・束畑精一訳 ( 1 9 80) , 『経 済発展の理論 』岩波書店) ; Ⅰ. M. Ki r z ner( 1 973) ,
Cbmtd
i t i m a n dE
uylefwmws h i
P,Uni v er s i t yo fChi ca goPr
ess(田島義博監訳( 1 9 8
5)
,『競争と企業家精神』千倉書房) ;
P. H. Wi l ken( 1 979) ,En i r e P r e n e u r s h i P. ・A C 6 m t Wa t i w a n dHl ' s i wi c a l St u
dy , A le xPubl i s hi ng,pp. 5 6‑7 5;M. Ca s s on( 1 9 8 2 )
,Th eEn t r e Z we n e u r ,Mar t i n Rober t son' ,P. F. Dr ucker( 1 985) ,I n n o wt i o na n d E
ur e f v e w s h i
P,Ha r per & Row
(小林宏治監訳( 1 9 8 5) ,
『イノベーショソと企業 家精神』ダイヤモソ ド社)
,などを参照せよ。5
)たとえば田村正妃( 1 9 81 )
,前掲書,1 03‑1 2 4
ページ。図
1
経営者意識の測定尺度まったく あまり ・ どちらとも どちらかといえば まったく そうでない そうでない いえない その通り その通り
1 2 3 4 5
岬‑ ■璽璽璽璽
『‑ 璽
表 1
小売商の経営者意識 (単純集計)( 単位 :
%,N‑2 5 0)
同族志向 今の商売は子供につがせるつもりである
3 0 . 4 1 6 . 4 3 1. 6 9. 2 1 2 . 4 1 0 0. 0
資本家志向 従業員を雇用したり店舗を大きくしたりして,売を拡大したい
顔 1 9. 2 1 3. 6 1 5. 2 2 5. 6 2 6 . 4 1 0 0. 0
確 に対応す る ことがで きず, また現地点での小売環境変化 の リス クを全面的 に負 うために事業 リス クを分散す る ことがで きない。 同族志 向は子弟 な ど伺 族 の後継者 を もって事業を継続 しようとす る志 向で あ り,後継者 の経営能 力 や資質 の点で小売事業の継続 ・発展 とは必ず しも両立 しない可能性を もって いる。
小売商が以上 の ような
7
つの経営者意識を どの程度 もってい るかを明 らか にす るた め,それぞれの志 向に対す る小売商の反応 を図1
の ような5
点尺度 で測定 した。表
1
は,そ の結果 を示 した もので ある。「ま った くその通 り」 と 「どち ら か といえばその通 り」 との比率 を合計 して経営者意識 をみ る と, もっと も高小売業における ミクロ行動 と組織間関係 21 9
図2
経営者意識 (スコア平均)( N‑2 5 0 )
0
.0.0.0.0.0.0 . 0 . 一
一一一 一
0 . 8 8 炊z a
0.640.26
0 . 1 6
0.01
' ‑ I ‑ g W +
‑
070‑0 . 4 3
生業志向 地元志向 同族志向 資本家志向 成長志向 革新志向 危険負担志向
いのは草新志向
( 7 1. 6 %)
で,以下,成長志向( 5 8. 8 %)
,資本家志向( 5 2.
0 %)
,危険負担志向( 4 1. 2 %)
とつづき,いずれ も企業家精神にかかわる志 向が強い。 これに対 して企業家精神 とは異質な志 向である生業志向,地元志 向,同族志 向はそれぞれ,2 6. 4 %,3 4. 2 %,2 1. 6 %
と相対的に低 くなってい る。 この ことは,小売商が全体 と して企業家精神度の高い積極的な経営者意 識を もっていることを うかがわせ るものである。この傾 向を ヨリ明確にみるために,各志 向に対す る評点のスコア平均を算 出 した。 ス コア平均は図
1
の経営者意識の測定尺度1, 2, 3, 4, 5
に対 してそれぞれ‑ 2,‑ 1, 0, 1, 2
のスコアをつけ,そのスコアに回答者 数を掛け,その総和を全回答者数で除 した ものである。図 2はス コア平均の 結果を示 している。 もっとも高いスコアをとっているのが草新志 向( 0. 8 8 )
であ り,成長志 向( 0. 6 4 )
,資本家志 向( 0. 2 6)
が これにつづ く。一方,マ イナスのスコアを とっているのは生業志 向 (‑0. 7 0 )
と同族志向 (‑0. 4 3 )
であ り,総 じて非生業 ・非同族志 向が強 く,小売商の経営者意識は企業家精 神的要素が強いといえる。しか し,企業家精神 とは相いれない意識を もつ小売商 も少なか らず存在す
1 0. 8 0. 6 0. 4 0. 2
0‑0. 2
‑0. 4
‑0. 6
‑0. 8
‑1
図
3
経営者意識と性別( N‑2 5 0)
生業志向 地元志向 同族志向 資本家志向 成長志向 革新志向 危険負担志向 [ = ] 甲性 E ≡ 〕せ性
るとい う事実は, これまでの流通政策体系が想定 して きた ようなすべての小 売商における企業家精神の存在を否定す るものである。
経 営者意識 と回答者 ・店舗 属性
小売商の経営者意識が回答者お よび店舗の属性 とどの ように関連 している かをみてみ よう。
まず回答者の属性 と経営者意識の関連 をみると,性別では男性が草新志向 , 成長志 向,資本家志 向,危険負担志向で強 く, これに対 して女性は生業志向, 地元志向,非同族志向が強い。総 じて男性のほ うが ヨリ積極的な意識を もっ ているといえる (図
3)
。 これを年齢別 にみると,年齢が上昇す るとともに 比率があがるのは生業志向と地元志向で,逆に資本家志 向,成長志向,危険 負担志 向は年齢があが るとともに低 くなる傾 向がある。年齢が若いほ ど経営 者意識 は高 くな り,年齢があが るほ ど消極的になる傾 向がある (図4)。店舗属性別に示す と,法人では革新志 向,成長志向をは じめと して多 くの 積極的な意識を強 くもっているのに対 して,個人では非 同族志向が強い もの
小売業における ミクロ行動 と組織間関係 2 21
図4
経営者意識と年齢( N‑2 5 0)
生業志向 地元志向 同族志向 資本家志向 成長志向 草新志向 危険負担志向 匠 ∃ 2 0‑3 0
代 匿ヨ4 0‑5 0
代 匿圏 60‑7 0
代図
5
経営者意識と法人 ・個人( N‑2 5 0 ) 1. 5
1 0. 5
0
‑0. 5
‑1
‑1, 5
生業志向 地元志向 同族志向 資本家志向 成長志向 革新志 向 危険負担志向 国 法入 団 個人
の,危険負担志向や資本家志 向は弱い。個人に比べて法人の意識は ヨリ高い といえる (図
5
)。本支店別では,単独店の場合,地元志 向や 同族志 向が強 く,資本家志 向や危険負担志 向は弱い。本店 は草新志 向,資本家志向,成長1. 5
1
0. 5
0
‑0. 5
‑1
‑ 1.5
図
6
経営者意識と本店 ・支店1.02 0.98
1 . 3 61 . 2 4
0.38 0.720.47 0.81
0 . 5 2 0 , 5 20. 4 8
0.29‑0 . 2 3
.292 0. ‑0.
‑0. 1 4 5
0. 0.3
生業志向 地元志向 同族志向 資本家志向 成長志向 革新志向 危険負担志向 匿 ヨ 単独店 団 本店 圏 支店
志向などで強 く,支店ではと くに非生業志向,非地元志向,非同族志向が強 くみ られる。全体 と して単独店 に比べて本店 ・支店は ヨ リ経営者意識が高い (図
6
)。後継者の有無 との関連でみ ると,後継者がいる場合では草新志 向, 非生業志 向,成長志向,資本家志 向などが強 くな り,逆 に後継者がいない場 合は同族志向,資本家志 向,危険負担志向は弱 くなる。後継者がいると経営 者意識は ヨリ積極的にな り,いない場合には消極的に傾 向がある。後継者の 有無は経営者意識の高 さに大 き く影響 しているようである (図 7)0経 営者意識 の構造
ある特定の小売商の もつ経営志 向は,先に示 した
7
つの経営者意識のいず れかに 1つにのみ帰属す るものではない。企業家精神それ 自体が多元的な複 合概念であるように,特定の小売商 もまた複数の経営者意識を同時にあわせ もっているだろう。 しか し他方で,ある小売商の経営者意識においては生業 志向が大 きな ウエイ トを占め,別の小売商においては資本家志向が ヨリ強 く あ らわれ ることもあ りうる。つま り経営者意識の多元性はたがいに相反す る小売業における ミクロ行動 と組織間関係 2 2 3
図
7
経営者意識と後継者( N‑2 5 0 )
生業志向 地元志向 同族志 向 資本家志向 成長志向 革新志向 危険負担志向 囚 いる 固 まだ決めていない 団 いない
ものではな く, ある志向は別の志 向と何 らかの関連を もっている可能性があ る。 ここでは, こうした小売商の経営者意識構造を近代化経路の観点か らみ てい くことに しよう。
分析の対象を小売経営者 と し,それぞれの志向間の相互関係を明 らかにす るために相関分析をお こなった。その結果を示 したのが蓑 2である。蓑 2に み られるように,多元的な経営者意識変数のあいだにはさまざまな相関関係 がある。そ こで,経営者意識の次元を集約す るために国子分析による接近を 試みた。 さきに経営者意識を企業家精神 と非企業家精神の
2
つの下位次元に 分頬 したが,実際にそ うした次元が存在す るか どうかを検討す ることがその目的である。
蓑 3
に示 されるように,抽出 された固有値が1
以上の因子は1
つであった。この因子によって
7
つの経営者意識変数の総分散の33. 8%が要約 されている。
因子分析の結果は小売経営者の意識構造について概念的に想定 された
2
つの 次元を明確にわけることができなかったが, この因子が生業志 向と地元志向 についてマイナス,資本家志向,成長志 向,革新志 向,危険負担志 向につい経営者意識
表 2 経営者意識の相関分析
( N‑1 4 9 ) EI E2 E3 E4 E5 E6 E7 E8 生業志向 ( El)
地元志向 ( E2) 同族志向 ( E3) 資本家志向 ( E4) 成長志向 ( E5) 草新志向 ( E6) 危険負担志向 ( E 7) 競争志向 ( E8)
1. 0 0 0 0. 4 3 3 a‑0. 1 7 9
b‑0. 5 0 3 且‑0. 2 1 4a‑0. 3 4 0a‑0. 4 3 5 a‑0. 1 31 1. 0 0 0 0. 1 5 9 C‑0. 3 1 68一0. 1 1 4 ‑0. 0 2 2 ‑0. 2 1 7a‑0. 0 2 2 1. 0 0 0 0. 4 7 7a 0. 2 9 3a 0. 2 8 6a 0. 3 6 1 a 0. 1 7 3
bl. 0 0 0 0. 4 0 9a 0. 3 9 0a 0. 5 3 7a 0. 2 9 9a l. 0 0 0 0. 4 1 9a 0. 2 8 1 A 0. 2 0 9
bl. 0 0 0 0. 6 1 3a 0, 1 7 3
bl. 0 0 0 0. 1 9 8
bl. 0 0 0 注 :有意水準 a‑1% b‑5% C
‑lo兜て ヨ リ強 い プ ラスの 因子 負荷 量 を も つ とい うこ とは,非企 業 家精 神 と企 業 家精 神 とい う 2 つ の次 元 の概 念 的 想 定 が必 ず しも誤 りで は ない こ とを 示 して い る とい え よ う6 ) 。
経営者意識の近代化経路
Bl al ock ( 1971) に よれ ば, 相 関 係 数 か ら変 数 間 の 因果 関係 を推 測す る こ とが で き る
7)。 相 互 に隣 接 して い る 2 つ の志 向間 の相 関係 数 は, そ う
表 3 経営者意識の因子分析 ( N‑1 4 9 )
「 因子 1 共通性 ( h2 ) 生業志 向 ‑0. 5 8 4 0. 3 41 同族志 向 0. 3 3 9 0. 1 1 5 資本家志 向 0. 81 4 0. 6 63 成長志 向 0. 5 7 6 0. 3 32 革新志 向 0. 6 7 0 0. 4 49 危険 負担志向 0. 63 0 0. 3 9 6̲
固 有 値 2. 3 6 8
6 )田村( 1 9 8 1 )においても同様の結果が得られているQ( E E l 村正紀( 1 9 81 ) ,前掲書,2 7 2
‑2 7 4 ページ。 )
7)この方法は,一般にサイモソ‑プレイラックの方法あるいはプレイラックの因果推 論の方法 とよばれている ものである。 ( Cf. H. A. Si mon( 195 7),"Spur i ous cor r el a t i on:A Caus a lI nt er pr et a t i on, "i n di t t o .Mo de l so fMan,Wi l ey , pp. 3 7‑4 9 ( 宮沢光一監訳 ( 1 9 7 4) , 『 人間行動のモデル』同文館) ; H. M . Bl a l oc k ed. ( 1 9 7 1 ) ,Ca wa lMj de l si nt heSo c i alSc i e 7 u ・ e S ,Adl i ne. ) またこの方法の検 討については,安田三郎 ・海野道郎( 1 9 69 )
,『 社会統計学』丸善,2 2 5‑24 7 ページ;
H. B. As her( 1 9 76),C
au s alMo de l i n g.Sa ge ( 広瀬弘忠訳 ( 1 98 0) , 『因果分析法』
朝倉書房,ll‑2 8 ページ) ,を参照せよ。
小売業におけ る ミクロ行動 と組織間関係 225
でない志 向間の相関係数 よりも大 き く, プラスの符号を もつ。またある2
つ の志 向のあいだに存在す る段階数が大き くなるにつれて,その2
つの志向間 の相関係数は次第に小 さくなった り,あるいはマイナスの符号を もつ ように なる。 ところで一般に 2つの変数間に統計的な因果関係が存在 し,変数 Ⅹが 変数Y
の原因であるための必要条件は,時間的継起性,連合的変化,非疑似 的連合,お よび理論的裏づけの 4つである8)。第 1に, Ⅹの変化はYの変化 に時間的に先行 しなければな らない。第 2に, ⅩとYとの相関は統計的に有 意でなければな らない。第 3に, ⅩとYの関係は疑似相関であってはな らな い。第4
に,
ⅩがY
を引 き起 こす とい う現象が理論 と整合的でなければな ら ない。この うち第
2
か ら第4
の必要条件が満た されているか どうかは相関分析お よび既存理論 との整合性か ら確認す ることがで きるが,第1
の変数間の時間 的継起性に関 しては注意を要す る。変数間の時間的な先行性を推測す るため には,時間をふ くむ何 らかの変数 と各志向との関係を検討す る必要がある。ここではそ う した変数 と して競争志向を導入す ることに した9)。「大型店 との 共存は可能である」 とい う競争志 向は,小売商の事業経営に対す る 「自信」
をあらわす ものである。 ヨリ積極的な経営者意識を もつほ ど競争志向は高 く なると考えることがで きるだろう。そ こで小売商の競争志向を図
1
と同様の5
点尺度で測定 し,表2
に示 され る競争志向と他の志 向との相関係数のプラ スとマイナスお よびその値の大きさに もとづいて,小売商が ヨリ大きな 自信 を もつ ようになる過程,つま り小売商の近代化経路を図示 したのが図8
であ る。この近代化経路において注 目すべき特徴は,つぎの
2
点である。第1
に,8)S. D. Hunt ( 1 9 7 6),Ma r ke t i n gThe wy:C仇 C e P u t ua lFo u n da t i o n so fRe s e a r c h
mMwk e i i n g ,Gr i d. (阿部 周造訳 ( 1 9 7 9) , 『マ‑ ケテ イソグ理論』 千倉書房 ,9 0‑9 6 ペー ジ。)
9 ) 田村 ( 1 9 81 ) は,時間をふ くむ変数 と して売上高 とい う成果変数を用 いているが, こ
こでは競争志 向 とい う経営者意識 にかかわ る変数を採用 した。 (田村正 妃( 1 9 8 1 ),
前掲書 ,1 7 6‑1 77ペー ジ。)
図 8 小売 商 近 代 化 の 経 路
注
1 :各志向内のカッコ内の数値は 「競争志向」との相関係数,矢印の数値は各志向間の 相関係数をあらわす。
2:実線は統計的に有意な相関関係,破線は統計的に有意でない相関関係をあらわす。
生業志向からは じまって資本家志向にいたる近代化経路には複数の経路が存 在する。すなわち,生業志向一地元志向一草新志向一成長志向一資本家志向, 生業志向一地元志向一危険負担志向一成長志向‑資本家志向,そ して生業志 向‑地元志向‑同族志向一資本家志向の
3
つの経路である10 ) 0
第
2
の ヨリ重要な点は,地元志向と草新志向,危険負担志向お よび同族志 向との関係である。地元志向と革新志 向,危険負担志向とのあいだには統計 的に有意な相関はみ られない。つま り地元志向と草新志 向,地元志向と危険 負担志向とのあいだには明確な因果関係がな く,大きな断絶がある。また統 計的有意性をお くとして も,地元志向と革新志向,地元志向と危険負担志向 との相関関係はマイナスである。 この ことは,強い地元志向を もつほど革新 志向や危険負担志向は弱 くなることを示 している。地元志向を革新志向や危 険負担志向に高めてい くのは容易ではない。経営者意識の近代化が地元志向 の段階でとどまることが多いのは, ここに大きな原因があるといえる。しか し,地元志向か ら資本家志向に到達するにはもう
1
つの経路がある。1 0)田村 ( 1 981) で もま った く同様 の 3 つの近代化経路が明 らかに されてい るが,第 3 の
経路 における地元志向 と同族志 向との相関関係 は有意 にはな っていない。 (田村正
妃( 1 9 81) ,前掲書,1 77‑1 78 ペー ジ。 )
小売業における ミクロ行動 と組織間関係 227
前述の同族志向を‑て資本家志向‑ といたる経路である。 この経路の場合, 地元志向と同族志向との相関はプラスであ り,かつ統計的に有意である。つ ま り地元志向が強まれば同族志向 も強 くなるとい う明確な関係がある。小売 商がその意識を高めて資本家志向を もつにいた り大型店 との共存がで きると い う自信を もつためには, この経路をへるのが現実的であろう。
Ⅱ
小 売 商 集 団 の 組 織 統 合個 々の小売商はそれ 自体 と して
1
つの独立 した経営単位であ り,所有権移 転,物流,情報伝達,あるいは事業の維持管理のための活動など小売経営に かかわ るさまざまな意思決定は個 々の小売商 に委ね られている。 この点にお いて小売商は 自律的な意思決定主体である。 しか し,他方で多 くの小売商は 空間的にたがいに近接 した立地を選択 してお り,その結果 と して商店街や市 場などの商業集積が形成 されることになる。小売商が こう した商業集積を形 成す るのは,多様な業種,業態が空間的に集積す ることによって種類の規模 の経済が発生す るためである11)。 ここでは商業集積における小売商の組織間 関係を検討す る。商業集積 の組織 特性
商業集積に立地す る個 々の小売商の活動は,小売商集団を
1
つの単位 とす るヨリ上位 レベルの組織活動 と密接 にかかわ っている12)。小売商集団は 自律 的な意思決定主体である小売商か らなる組織であ り,その意味で小売商集団 は組織間協 同体( i nt er organi zat i onalcol l ect i vi t y)
の組織特性を もっていll) C f . C. Wi ns t en a ndM. Ha
ll( 196 1), " TheMea s ur ementofEconomi esof Sc a le ,
"J m lo fl d u s t r i al 丘 c mO mi c s ,Vo l
.9,pp. 2 55‑2 6 4.
1 2)
この点については,野口智雄( 1 9 87)
,前掲書,1 59丁 ‑1 7 8
ページ;石井淳蔵( 1 9 89)
, 前掲論文 ;石原武政 ・石井淳蔵( 1 9 9 2)
,『街づくりのマーケテイソグ』日本経済新聞社,を参照せ よ。
るといえる
。Van de Ven eta
l.( 1969)
に よれば,組織間協 同体 の組織特性 はつぎの2
つであ る13)。第1
に,そ の メソバーは何 らかの様式でたがいに依 存 しあ う独立の組織か らなる。第 2に,その共 同体 は個 々の メンバーでは達 成で きないが, メンバー間の行為を調整す ることに よって達成す ることがで きる 目標の実現を志向す る。したが って小売商集団が共通の 目標を達成す るために
1
つの組織単位 と し て どれほど有効 に機能す るかは,その集団の活動が個 々の小売商の活動を ど れほ ど統合 しているかに依存す る。小売商集団内の協 力度が大 きいほ ど,そ の集団の統合度 は高い といえるが, こう した組織統合を作 り出すためには集 団 メソバーの相互協力が必要条件である。集団 メンバーがたがいに協 力的で あっては じめて組織 は統合 され,小売商集団は 1つの組織的競争単位 と して 機能す ることになるか らである14)0ここでは,以上の ような問題意識か ら商業集積 におけ る小売商集団を 1つ の組織間協 同体 ととらえ,組織 (小売商) と組織間協 同体 (商店街 あるいは 小売市場) との相互関係を考察す る。
組 織 間協 同体 の統 合
田村
( 1981)
は,小売商集団の統合を分析す るさいに組織交換の強度に注 目 して している15)oM a rr et
t( 1971)
に よれば,組織交換の強度 とは,集団 メン バーが必要資源投入量お よび メソバー間相互行為の 2つの側面で組織交換 に どの程度関与 しているかを示す概念で ある。表4
は,小売商集団におけ る組 織交換の強度を測定す る概念次元 とその内容を示 した もので ある。必要資源1 3)A. H. VandeVen,D. C. Emme
tt,a ndR. Koeni g
,Jr. ( 1 9 69),α Fr
amewor kf or l nt er or gani z at i onalAnal ys i s, i n A. R. Negandhied.,I nl e r o r gani z ai i o n Th e w y ,TheKentSt at eUni ver s i t yPr es s,p. 33.
1 4)
こうした分析視角については,田村正紀( 1 9 8
1),前掲書,2 5 8‑2 6 0
ペ‑ジ,を参照 せよ。1 5)C. ち. Ma
汀et t ( 1 9 7
1)
," Ont heSpe ci f i c at i onoH nt er or gani z a t i onDi mens i ons
,So c i o l o gya n dSo c i alRe s e a r c h,Vol . 61,DP. 83‑9 g.
小売業における ミクロ行動 と組織間関係 2 2 9
表
4
組織交換の強度と質問項目の関連小 一 必要資源投入量 ‑ 大
人的資源 非人的資源
小 T
棉 ‑時的調整 各店がバ ラバ ラで,会合は世間 商店街または小売市場 と して共 話をす る程度である 実施す る 同事業 ( 大売 り出 し等)をよく
プログラム的調整 各商店主間で商店街や小売市場 商店街または小売市場 として共 互
行為 の‑ 商店街または小吉市場の役員 と 同施設 ( の改善についてよく話 し合 う を もっている 駐車場やアーケー ド等)
顔 皮 J
大
若手経営者 と年輩経営者 との間 で商店街や小売市場の改善につ 各商店主 との意思疎通がよい いてよく話 し合 う 占 」 ソ じ 商店街または小売市場の共同資 金を もっている 出所 :田村正紀 ( 1 9 8 1 ) , 『大型店問題』千倉書房,1 7 7ペー ジ, 図 7.1 に加筆。
投入量については,人的資源 というソフ ト面にかかわる投入 よりも共同事業 , 共同施設,共同資金などハー ド面での非人的資源の投入のほ うが必要資源投 入量は多 くなるだろう。また相互行為の頻度では,集団 メソバー間の意思決 定の調整が一時的調整に終始す るよりもプログラム的調整をはかるほ うが相 互行為の頻度は高 くなるといえるだろう。
ところで, こうした組織交換の強度に関する必要資源投入量 とメソバー間 相互行為 とい う
2
つの次元は,概念的に分接 されるようにたがいに独立 した 次元をなすのであろうか。 この点を明 らかにす るために蓑 4
に示 された各質 問事項に対す る小売商の回答を図1
と同様の5
点尺度で測定 し,因子分析を お こなった。表
5
は因子分析の結果を示 した ものである。抽出された固有値が1
以上の 因子は1
つであった。 この国子に よって7
つの組織強度変数の総分散の3 5. 2
%が要約 されている。 この国子に対す る各変数の因子負荷量か らみると, こ の因子は組織交換の強度を総合的に集約 していると考えられ るが,概念上の 2つの次元をわけることには成功 していない。 しか し,相互行為の頻度にか かわる
4
つの変数の因子負荷量の絶対値が大 き く,逆に必要資源投入量にか表 5
組織交換の強度の因子分析( N‑2 2 7) 各店 が バ ラバ ラで, 会合 は世間話 をす る程 度 で あ る ‑0. 6 3 9 0, 4 0 9 各商 店主 間で商店 街 や小売市場 の改善 につ いて よ く話 し合 う 0. 7 2 4 0. 5 2 4 商 店街 また は小売市場 の役 員 と各商 店主 との意思疎通 が よい 0. 7 9 5 0. 6 3 2
商店街または小売市場として共同事業 ( 大売り出し等)をよく実施する 0. 4 99 0. 2 4 9 商店街または小売市場として共同施設 ( 駐車場やアーケード等)をもっている 0. 21 5 0. 04 6 商店街 また は小売市場 の共 同資金 を もって い る 0. 3 5 4 0. 1 25
固 有 値 2, 4 6 3
かわ る
3
つの変数の因子負荷量が小 さい とい うことは,概念的に想定 された 2つの下位次元が必ず しも誤 りでない ことを示唆 している16)。 このノ酎 まヨ リ 詳細に検討 されるべ き課題で あるが,以下ではそれぞれの質問項 目に対す る 小売商の反応をみてい くことに しよう。図
9
は,表4
にあげ られた小売商集団の統合度を示 した ものである。 スコ ア平均が高いのは共 同施設お よび共 同事業であ り,共同資金お よび店主間の 意思疎通 はやや肯定的で ある。また非統合度についてはやや否定的で,全体 的にはま とま りがあると考 えている。逆に低 いのは,運営満足,若手 と年輩 者の意思疎通,お よび役員 と店主の意思疎通である。総 じて必要資源投入量 とい う‑‑ ド面での統合は枚能 しているといえるが, ソフ ト面での相互行為 は十分 に機能 してお らず,そのため現状の運営 に対す る満足度は低 くなって いる。こうした小売商集団の統合に関す る
7
つの強度変数 は,集団 メソバーの組 織運営に対す る評価 にどの ような影響を与えてい るので あろうか。 この点を1 6) 田村 正紀 ( 1 9 81 ) にお いて も,組 織 交換 の強 度 に関す る 2 つの概 念 次元 は抽 出 されな
か った. (田村 正紀 ( 1 9 81 ) ,前掲書 ,2 6 7‑2 69 ペー ジ。)
小売業における ミクロ行動 と組織間関係 2 31
図
9
小売商集団の組織統合度( N‑2 2 7 )
0 .
0.0 . 0. 0. 0 .
0.0 .
I一 一
一一
0.69 0.46
0.18
0 .
06
L+++++++1= ‑0 . 1 9 」 」 ‑0 . 1 7 刀
‑0. 3 5
‑0.62
・非統合度 店 主間 役員と店主 若手と年輩 共同事業 共同施設 共同資金 運営満足
みるために,現状の運営に対す る満足度を図
1
と同様の5
点尺度で測定 し, これを従属変数 とし7つの強度変数を独立変数 とす る段階的回帰分析をお こ なった17)0表
6
は,その結果を示 した ものである。 自由度調整済決定係数 は0. 0 8 3
と 低 く説明力はあま り高 くないが,商業集積の改善に関す る若手経営者 と年輩 経営者 との意思疎通お よび共 同施設の所有が組織運営の満足度に統計的に有 意な影響をお よぼ していることがわかる。小売商集団内の世代間の意思疎通 が有効にお こなわれているほど,また共同施設を所有 しているほ ど,級.織運 営に対する評価は肯定的にな り,逆に世代間の意思疎通が有効に政能 しなかっ た り,共同施設を所有 していない場合には,組織運営の評価はさが り現状に 不満を もつ ようになる。小売業を とりま く環境変化は,近年ます ますその激 しさを増 している。小 売商集団は 1つの組織単位 と して こうした環境変化に適応 していかなければ
1 7) 段階的回帰分析をお こな うのは,独立変数間の多重共線性の可能性を除 くためであ
る。 また回帰式に変数を組み込む基準 と しては ,F 値 ‑2. 0 を用いたQ
表 6
小売商集団の組織運営評価の規定困 (段階的回帰分析の結果)( N‑2 2 7 ) 各
店 が バ ラバラで
,会合は世間話をす る程度で あ る
各商店主間で商店街や小売市場の改善について よく話 し合う 商店街 または小売市場の役員 と各商店主 との意思疎通が よい 若手経営者と年輩経営者との間で商店街や小売市場の改善についてよく話し合う 商店街または小売市場として共同事業 ( 大売り出し等)をよく実施する 商店街または′ ト売市場として共同施設 ( 駐車場やアーケード等)をもっている 商店街または小売市場の共 同資金を もっている
商店街 または小売市場の運営の現状に満足 している
0. 2 2 2( 3. 2 6 0 )a 0. 1 2 7 ( 1. 8 6 6)
b自由度調整済決定係数
注 1 :数値はベータ係数,カ ノコ内の数値は
t検定量を示す。
2
:有意水準a ‑ 1 % , b‑ 5 %
な らない。 しか し回帰分析の結果は, 1つには環境変化の認識 とそれに対す る集団的適応のあ り方をめ ぐって小売商集団内部の世代間で大 きな相違が存 在す る可能性を示唆 しているように思われ る。先 にみた ように,年齢が上昇 す るとともに積極的な経営意識 を もつ小売商が少な くなることを考 えれば, 環境変化に対す る組.織適応 のあ り方を世代間で調整す るプログラムを もたな い小売商集団は,組織統合が大 き く阻害 され, メソバー間の集団的意思決定 が妨げ られ ることになるといえるだ ろう。 さらに共同施設の所有は メソバー 間の組織統合を規定す る紐帯 と して機能 している。共同施設 の所有は大 きな 必要資源投入量 を ともな うものであ り,それが メソバー間の集団的意思決定 を うながす プ ログラム的調整の基礎 にな っていると考え られ る。組腰 的な環 境適応 は,共同施設 の所有 に もとづ く集団的意思決定の プログラム的調整に
よっては じめて有効 となるといえる。
Ⅳ むすぴ
この論文では,小売商 におけ る企業家精神 とその近代化お よび小売商集団 の組織統合の観点か ら,小売業における ミクロ行動 と組織間関係を検討 して きた。最後に地域小売商業の課題 についてい くつか整理 してみたい。
小売業 におけ る ミクロ行動 と組織 間関係 2 3 3
第1に指摘 され る課題 は,小売商の意識改革である。すでにみた ように, 企業家精神度が高いほど経営 に積極的な意識が生 まれて くる。環境変化を機 敏に読み と り,それに積極的 ・革新的な行動を とって事業の成長 をはかろ う とい う企業家精神の高い経営者 は,大型店 との共存 ・共栄 は可能であるとい う高い競争意識を もつにいた る。小売商がその意識を改革 し,企業家精神 を もって積極的に経営に取 り組む ことに よって, ヨ リ魅力のある商業が誕生す るはずである。
第2に, これに関連 して後継者問題 の解決があげ られ よう。企業家精神の 高 さは,経営者の年齢 と密接に関連 していることをみて きた。経営者が高齢 化すれば企業家精神 も徐 々に低 くな り,経営 の革新 に向けての取 り組み も消 極的になる傾 向がある。50代,60代の経営者 にとっては,後継者をいかに育 成す るかが大 きな課題である。そのためには,小売経営それ 自体 を魅力のあ
るものにす ることがで きるか どうかが最大の問題 となるだろ う。
第