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アメリカにおける反トラスト政策の基本的性格

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(1)

アメリカにおける反トラスト政策の基本的性格

その他のタイトル Fundamental Character of American Anti‑trust Policy

著者 越後 和典

雑誌名 關西大學經済論集

巻 7

号 3

ページ 272‑292

発行年 1957‑06‑01

URL http://hdl.handle.net/10112/15661

(2)

一︑問題の所在

二︑反トラスト政策の判例的展開三︑ンャーマン法の論理構造

四︑反トラスト政策の社会的基礎

五︑反トラスト政策の現段階的意義

アメリカにおける反トラスト政策は︑その本格的確立を告げ

るシャーマン法の制定以来︑実に七

0

年に近い星霜を閲してい

るのであるが︑この政策の︱つの中心的目標をなしてきた独占

企業の排除ー解体という点については︑その成果はどのように

これを寛大に評価するとしても︑余りにも貧困であったことを

んどすべてが︑シャーマン法成立以後に出現しているという一

( 1 )  

事をもつてしても︑このことは明白である︒また学界において

もこの独占企業排除対策の無力ということは︑その輪者の立場

のいかんを問わず︑殆んど等しく承認されている定説であると

( 2 )  

いつても過言ではない︒

しつつ︑その目標においてより高次なものとなり︑その範囲に

( 3 )  

おいて大きな変化を遂げてきたことは事実であるとしても︑そ

契機を除き︑企業者に自由競争の場を与え︑もつて競争資本主 の基本的理念は変つていない︒それは独占及び独占にいたる諸 反トラスト政策が︑アメリカにおける資本主義の発展に即応 否定することはできない︒現に存在する同国の巨大企業の祖と

アメリカにおける反トラスト政策の基本的性格

(3)

アメリカにおける反トラスト政策の基本的性格︵越後︶ 本稿はこのような立場からこの政策をとり上げようとするも

八五 ブレイスは﹁競争はアメリカにおいては単なる技術的概念以上 に発展し︑人間の自由が失われると警戒され︑反トラスト政策 義の長所を発揮せしめようとするところにある︒それゆえ︑その根本的理念は独占がすでに経済の基礎をなしている段階において︑いわば独占資本主義の基礎に対し︑政策によって改良主義的改変を試みようとするものであるとみることもできよう︒われはそこに動かし難い資本の運動法則を確認することができもちえたかどうか﹂といった観点から︑この政策をとり上げるかぎり︑結論はすでに与えられているといわざるをえず︑問題は具体的事実にそくしてこれを詳細にあとづけること︑極言すればとりあっかい方の精密化の点に集約されるということがで

のではない︒本稿が問題にしようとすることは︑この政策が独

占企業の排除という点において極めて無力であったにもかかわ

0

年に近い星霜を経て今日なお生き続けているという︑

その長い生命力の根源についてである︒ ツが︑常に社会化問題を日程に上げ︑これと真剣にとり組んで 従って﹁反トラスト政策が果して独占企業の排除に実効性を る ︒

れ ︑

ることができなかったことは決して偶然ではなく︑むしろわれ この点に着目するならば︑その政策が理念通りの効果をおさめたのである︒しかも第一次大戦後は経済力の集中◆独占を是認 化を阻止する努力が払われてきたが︑アメリカのように積極的ではなかった︒たとえばイギリスではコモン・ローにより取引制限の禁止がなされたが︑反独占の積極的立法は存在しなかつ

する傾向が生じてきた︒同国のトラスト委員会の報告のごとき

はその著例である︒ドイツにいたっては︑つとに独占が是認さ

一九二三年の経済力濫用禁止令を例外として︑カルテルが

むしろ奨励・助長されてきたことは周知の通りである︒

のみならずアメリカとともに高度の独占段階に到達したドイ

きたし︑また独占度の比較的ゆるやかなイギリスにおいても社

( 4 )  

会化が進行したのに対し︑アメリカでは独占体を社会化すべし

との思想や運動は発展せず︑かえつてそうした思想が全体主義

の基本的理念である自由競争が高調され︑自由企業体制の優越

性が論理を超越して確信されているかにみえるのである︒ガル

のものであり︑すべてよきものの象徴である︒アメリカ人は古 ヨーロッパの資本主義国においても︑第一次大戦までは独占

(4)

形態をとり︑その実施は裁判所による判決という形をとるか

このように独占企業排除対策としては無力であるぺき反トラ

スト政策の︑政策理念が讃美され︑その政策基調が維持されて

いるという特殊アメリカ的現実をいかに理解すぺきか︑ここに

︱つの問題があるように思う︒

ここではこの問題に接近するための︱つの手がかりをつかむ

ために︑まず反トラスト政策の内部構造の究明から出発したい

と考える︒なお反トラスト政策はトラストに対する法的規制の

ら︑そのためには︑さらに反トラスト法そのものと︑その判例

( 7 )  

的展開についての概括的表象をえておく必要がある︒

(1

)

後藤誉之助﹁アメリカ経済繁栄の構造﹂ニ︱0

頁 ︒

ぬ ︒ 明白であり︑その勝利がいかに空虚なものであったとしても︑ アメリカにおける反トラスト政策の基本的性格︵越後︶

典的な意味での純粋な競争制度のもとには生きていないが︑そ

( 5 )  

れにもかかわらず︑つねにその前に敬虔な祈をささげている﹂

と皮肉な調子で述べている︒反トラスト法はその欠陥がいかに

﹁あまねく全天を覆いこめる一つの逼在であった﹂というホル

( 6 )  

メス判事の言葉は︑まことにいいえて妙であるといわねばなら ﹁歴史の動きは皮肉なものだ⁝⁝主要な反トラスト立法が施行された直後にかえつて企業合同の数が増加し

(2

) 

Bo nb ri gh t  an d m ea ns ,  Th e  H ol di ng  C om pa ne y,   P .7 8

.   ﹁アメリカの反トラスト立法の歴史は︑わが国の

法律が有力な実業家の目的と相衝突するときは︑その

衝突は結局︑後者に有利なように解決されてしまうも

のだ︑ということを如実に示している⁝⁝﹂︒またマ

ルキストの立湯からは

Mo un th ly Re v.  1 9 4 9.   No v.

 

ヒューバーマンの説をみよ︒なおこの問題を論じてい

る文献として左記をあげる︒

E.  J o n es ,  T he   Tr us t  P ro bl e 

in  T he   U. S . ,  P .   P .  4 9  3

9 8  

.   5 6 3 .;   wa tk in s, I n   d us t r ia l  C om bi na ti on  a nd   Pu bl ic  P o l ic y P . ,   P .2 5 3

7 3 .

28 9 

9 1.  

Bu rn s,  T he   De cl in e  of  Competition; 

Wa tk in s, B  us in es s  an d  La w  (R ea di ng i n     t h e  S oc ia l  Co nt ro l o f  I nd u s tr y ,   P. 48   et   s eg . )   Ma so n 

̀ M

on op ol y  i n  L aw   an d  E co no   ,  mi es  ( Re ad in g  i n   t he   So ci al  C on tr ol   of  I n d us t r y,   P .2 5 .   2 8 9.  3 7

4 1. 44

7 ) ・

(3

)

反トラスト政策は当初の自由競争維持から自由企業

体制擁護へとその目標が高次なものとなっている︒

(4

)

詳細については阿部源一﹁社会化発展史論﹂を参照

(5

) 

Ga lb ra it h,  A me ri ca n  C ap it al is m, P .    9 9 .  

(5)

アメリカにおける反トラスト政策の基本的性格︵越後︶ ところで注目すべきは︑第一にシャーマン法以後の反トラス

は﹁シャーマン法第一条は︑取引を制限するあらゆる契約を

( 8 )  

反トラスト法令は極めて数が多いが︑そのうちシャーマン法

が中心をなし︑クレイトン法及び連邦取引委員会法がこれを補

完する地位にあり︑以上の三法が法源をなしている︒シャーマ

ン法は実体規定としてはわずかに二条からなり︑第一条で取引

9の制限を禁じ︑第二条で独占することを禁じている︒

卜立法は︑第二条の独占することの禁止についてよりも︑第一

条の取引の制限に重点をおき︑反トラスト法体系が全体として

て ︒ わゆる条理の原則

( ru l e of   reason)

が導入され︑法適用がい 争抑圧の手段として利用されない限り違法ではない︑というい た獲得された規模はそれがいかに巨大であっても︑不公正な競

(6

) EW .  

.  Ra pp ar d,   Su pe ri or it e  e co no mi pu e  d es t a   E t s Un is

●訳本・一四七頁︒

(7

)

反トラスト政策の重点はもちろん︑法解釈にのみ限

られるわけではない︒違反者をてきはつする検事総長

を長とする司法省の法の目的に対する理解と態度︑及

びこれを支配する大統領の基本的政策︒また法運用の

ための資金及び人員を与え︑必要な補充立法を行う議

会の態度も重要であり︑これらを総合して反トラスト

政策を考えねばならぬことは言を侯たない︒しかし ここでは問題取扱いの便宜上︑法解釈の点に限定し

て︑論を進める︒ は︑正常な方法で企業規模を拡大する行為は違法ではなく︑ま つまり緩い結合 反独占法というよりも︑むしろ競争方法の規制法といった性格

(10) 

をもつにいたったこと︑第二にこれと関連して︑判例理論史

上︑第一条の取引制限行為については︑法の適用は厳格をきわめ、価格•生産量・市場等についての協定、

( lo o s e  co mb in at io ns )

は当然に違法

( il l e ga l pe r  s e )

とされ

てきたのに対し︑第二条の独占禁止︑つまりトラスト︑持株会

社等の形態における固い結合

( cl o s e c on s o li d a ti o n s)

について

ちじるしく緩和されてきたこと︑これである︒

この第一条と第二条に関する法適用の緩厳の相違は︑反トラ

( 1 1 )  

スト政策全史を一貫してみられる基本的特徴である︒いまこの

点に関しごく簡単に検討するに︑まず前者に対する判例につい

Tr an

s  , m

is so ur i  F re ig ht A  ss oc ia ti on   v .   U.   S. ,  

1 6 6  

U .  S . ,  

1290 

(1 89 7)

運賃協定に対する訴訟である本件において判決

(6)

在的可能性

1

1状態を重視し︑条理の原則の導入を拒否した︒ い﹂と述べ︑不当な力の行使

1

1行為ではなく︑その行為の潜 び事業の変動によって︑明日の不当な価格となるかもしれな をつくる力とを含む︒今日設定される妥当な価格も︑経済及 を決定する力は市場を統制する力と︑掠奪的かつ不当な価格ジャーシ州設立の砂糖トラストに対する訴訟であったが︑

‑ ,  

つの形の排除である︒妥当に行使されようとしまいと︑価格 ての価格協定の目的及び結果は︑その効果があれば競争の 本件において価格協定の違法を論じ︑スートン判事は﹁すべ アメリカにおける反トラスト政策の基本的性格︵越後︶U.  S

.   v .   Ad dy st on  P ip e 

St ee l  C o. , 8  5F ed .  2 71  ( 18 99 ) 

が合法と認めた取引制限契約は単に附帯的

(a nc il la ry )

にとどまり︑主たる目的たる契約の合法的効果を保証する場

合にのみ許される︒その度をこえるものや︑主たる目的が取

U. S.  v .   Tr en to n  P ot te ri es  C o . ,  37 3  U .S .  3 92  ( 19 27 )  U.

S.  v .   So co ny   , V ac uu m  O i l. ,  I n c .,   31 0  U .  S .1 50 (1 94 0) . 

たトラストに対し︑同法は最初から全く適用されなかった︒す

なわち初めて大トラストに対し提起されたウイスキー・トラス

トに対する訴訟は手続上の理由で敗訴し︑初めて最高裁判所ま

(12) でいった一八九五年のナイト事件も検事側の惨敗に終った︒

ナイト事件は当時砂糖国内生産高の九八形を支配するニュー

生産の規律は州の権限に属し︑連邦にその権限がない﹂との理

由によって棄却されたのである︒ちなみに︑この判決によって

産業界では産業のコンビネーションには同法の適用をうけな

ぃ︑という確信をうけたこと︑そして同法はかえつて本来の目

的とは関係のない︑労仇組合に対し適用されたことは止目に値 引制限自体であるときは違法である﹂とし︑条理の原則の等ては︑シャーマン法制定当時︑民衆に対する害悪の顕著であっ これらの判例とはまさに対眠的に︑第二条の独占禁止につい ﹁価格協定は経済の中枢組織に対する現実的・潜在的脅威のゆえにすべて禁止される﹂と述ぺた︒ 販路協定に対する本件においてタフト判事は﹁コモン・ロー弁として役立つものではない︑との原則を固持してきた﹂︑

(::)  違法とする︒その制限が妥当であると︑不当であるとを問わ

ン法下における価格協定は当然に違法であり︑その協定によ

つて避けようとされている競争の害悪を示すことは︑何等抗 本件においても﹁四

0

年以上︑当裁判所は例外なくシャーマ

(7)

アメリカに念ける反トラスト政策の基本的性格︵越後︶ ちなみにスタンダード・オイル事件に導入された条理の原則

( 1 5 )  

は︑首席判事ホワイトによって次のごとく述ぺられた︒

制限なる語は︑コモン・ロー上︑不当に競争を制限し︑もしく

は不当に取引の正常な経路を妨げることによって︑公共の利益

を侵害すぺく行われるか︑またはその固有の性質︑もしくは影

響のゆえに︑有害に取引を制限する行為・契約・協定・結合を

意味し︑現にシャーマン法のこの語も単に同様の意味をもつこ

とを意図したものである︒自由な取引を妨げたり︑価格をつり

上げたりして公共の利益を害したり︑個人の権利を制限したり

( 1 3 )  

のみならず同法が見逃したトラスト︵厳密な意味での︶がコ

モン・ロー上違法とされ︑その対策として再編された持株会社

形態の独占に対しても︑同法は一九

0

四年のナーザン・セキュ

( 1 4 )  

リティーズ事件を唯一の例外とし︑実に一九︱一年のスタジダ

ード・オイル事件にいたるまで全く適用されることがなかった

のである︒しかも注目すべきは︑同法がスタンダード・オイル

という石油独占企業に初めて適用されたまさにその時に︑かの

条理の原則が導入され︑以後独占体に対する法の適用が骨抜き

にされるにいたったこどである︒

ード・オイルの場合と同様に︑その規模の巨大さのゆえにでは することを目的とする契約︑または行為を法は禁じるのであって︑穏当な方法をもつて自己の利益を増進したり︑または営業この見地から論じるにスタンダード・オイルの石油産業支配は正常な事業発展の結果として得られたものではなく︑トラストや持株会社のごとき︑産業支配の目的のために新たに案出された結合手段によって達成されたものであり︑そこに他人を取引から排除し︑産業支配を維持せんとする意図と目的の一応の推定が可能となる︒そしてこの独占と取引制限の意図と目的は︑運賃差別・価格切下げ・市場分割等の不公正な手段によってこ

︑ ︑

この判決のもつ重要な意義は︑シャーマン法第二条の﹁独占

は力の存在という点ではなく︑その規模の獲得の方法︑力の行

使の意図に認めた点にある︒

かくて導入された条理の原則は︑同年のアメリカ・タバコ事

( 1 6 )

1 7

件︑デュポン事件にも適用され︑これら持株会社は︑スタンダ すること﹂の違法性の基準を︑その企業のもつている規模また スタンダード・オイルがトラスト形成の前後にわたり採用した を発展せしめるための行為または契約を禁じるものではない︒

(8)

278 

スト法適用上における条理の原則の導入という形をとつて最も 排除対策の非力さということは︑﹁固い結合﹂に対する反トラ 方法は訴の当時中止されていたことを理由に︑訴は棄却された なく︑不公正競争の理由をもつて解散を命ぜられたが︑その後

( 1 8 )

( 1 9 )

の製靴機トラスト事件︑

U.S

スチール事件にいたつては不公

正競争手段欠如のゆえに︑反トラスト訴訟は失敗に帰したので

った同社の鉄錮生産高も五割に減じており︑独占は実現されな

かったこと︑価格協定やゲーリ・ディナーのごとき不公正競争

(20) かかる傾向は一九二七年における国際農機会社事件にも看取

されるし︑さらに反トラスト政策の新展開と称せられる後期二

ュー・ディール︑及び第二次大戦中の一時的中断を経て今日に

(21) 及ぷ戦後の新判例を一貫して認められるところである︒

このようにみてくると︑反トラスト政策における独占企業の を禁止する﹂として全面的に導入され︑かつて全国の八割に上 かつ独占の期待ではなくその実現︑すなわち独占の明白な行為 は単なる規模︑あるいは行使されない力の存在を違法とせず︑ 的持株会社たる

u.

S

スチールに対し︑この条理の原則は﹁法 あった︒とりわけこの国の金融資本確立の一指標とされる典型 アメリカにおける反トラズト政策の基本的性格︵越後︶

という問題におきかえてこれを行うのが最も合理的であり︑か

つ便利であると考える︒これがためには︑まず反トラスト法の

論理構造と条理の原則との関係について一言しておく必要を感

(8

) S he r n ;i a An   ct

 1

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(9

)

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  tr a d e  o r  c o ‑

おいて反トラスト政策の性格規定の問題は︑条理の原則の究明 明確かつ具体的に現われているといえるのである︒この意味に

0

(9)

アメリカにおける反トラスト政策の基本的性格︵越後︶ すでに述べたごとくシャーマン法は二つの実体規定を有する

i n f i i . e r c e   am on g  t he  s ev er al  S t a te s ,   or  wi th  forelgn  n at i o ns , s h   a ll   be   de em ed  

Guilty

……

•n

(1 0)  M as on ,  i b id .  

( 1 1 )

詳細については拙稿﹁反トラスト政策と条理の原則﹂経済論叢第七五巻•第三号所載を参照されたい。

( 1 2 )

U.S.v•

 

E.C•

Kn ig ht .  (1 89 5) . 

( 1 3 )

D  eb s  Case(1895), 

Lo ew e  v .  Lo wl er .  (1 90 8) . 

( 1 4 )

N   or th er n  S e cu r i ti e s   Co .  v .  U. S.  (1904). 

その詳細

については拙稿﹁アメリカ金融資本形成の一過程﹂経済論叢第七四巻•第一号所載を参照されたい。

( 1 5 )

  S

ta nd ar d  O i l  Co .  v .   U. S. ,  2 21 .  U .  S .1 .  (1911). 

( 1 6 )

U .   S .v .   Am er ic an   To ba cc o  C o .,   2 21 .   U.S.106(1911). 

( 1 7 )

U .   S .v .

 Du 

Po nt   de   Ne mo ur s, .  E  I ・ ,   1 88 .  F ed .  1 27 .   ( 19 1 1 )・  

( 1 8 )

U  .S .  v .   Un it ed   Ma ch in er y  C o.  (1918). 

( 1 9 )

  U

.  S .   v .   U. .     S S te e l  C or p. 5  2 1.  U. .     S ( 19 2 0 )・  

( 2 0 )

U  .  S .   v .   In te rn at io na l  Ha rv es te r  C o. , 2 7  4 .  U.   S.   6 93 .   ( 19 2 7 )・  

(2

1)

拙稿﹁反トラスト政策と条理の原則﹂参照︒

るためには︑自由競争←集中・独占の周知の公式論とは別の原 それゆえ︑理念とその達成条件との間に矛盾がないといいう 維持を眼目としながらその必然的所産を禁じることは︑原因を 争は必然的に経済力の集中・独占を生む︒しかるに自由競争の が︑これを統一する基本理念は自由競争の維持におかれ︑両規

(2 2)  

定はこの理念達成のための条件として地位づけられる︒

ところで理念とその達成条件との間には一見極めて明白な矛

(2 3)  

盾が存在する︒何となればレビットも指摘するように︑自由競

好ましいとしながら︑その結果を罰することに低かならないか

理が前提されていなければならぬ筈である︒そしてシャーマン

法はまさしく︑かかる公式論とは別の原理の上に形成されたも

のなのである︒

シャーマン法は自由競争←集中・独占の公式論の立場からは

論理的矛盾と考えられるところのものをあらかじめ意識して制

定されたものではない︒当時の経済思想によれば自由競争経済

はいわば自然法則であり︑トラストによる独占は自由競争を作

為的に妨げることによって巨利を博そうとする個人的な不当行

(2 4)  

(w ro ng fu l a ct )

に低かならぬと考えられていた︒

(10)

の必然的所産であることに気づいていない︒ て︑さらには社会主義的といわれたシカゴの思想家ヘンリー 致で綾述する︑いわゆる﹁曝露もの﹂としての性格をもち︑か

アメリカにおける反トラスト政策の基本的性格︵越後︶

この意味において独占は資本制経済の必然的所産ではなく︑

(25) いわば﹁容易に治療の可能な皮膚病﹂程度に考えられていたの

このことは︑当時の指導的・代表的な独占資本論の文献がい

ずれもトラストの専横に対する道義的な反感と憤怒を卒直な筆

つこの程度を越えていないという理論的な低さのなかに明瞭に

よみとれる︒われわれはこれを例えば農民運動の指導的イデオ

( 2 6 )  

ローグたるヘンリー・ジョージの﹁進歩と貧困﹂の論誨におい

ロイドの﹁公共の富に対立する富﹂におけるスタンダード・オ

( 2 7 )  

イル誹謗の態度において具体的に指摘することができる︒また

同様なことは当時にあって社会改良の中道として﹁トラストの

社会化﹂を主張した︑社会改良主義の代表的学者リチャード・

(28) イリーの独占組織反対の論旨のなかにさえ見出すことは困難で

はない︒ちなみに︑彼はトラストとその弊害が﹁競争の結果で

はなく︑競争の欠如の結果である﹂と論じ︑独占の形成が競争

}︶のような経済思想から﹁国家は不公正な競争抑圧の諸手段 つて︑すぐれた事業方法をとるものが︑自然に劣者を排除する おさず︑かかる経済思想の所産に低かならない︒ 成された独占は解体せねばならぬこと﹂︑等の結論が生じてくることは怪しむにたりない︒そしてシャーマン法ほとりもな

またかかる経済思想

1

1独占観によれば︑独占は自由競争によ

ことによって形成されるものではなく︑正常な方法以外の競争

抑圧行為という個人的不当行為によって形成されるのであるか

( 2 9 )  

ら︑このような行為は当然に違法である︒この反面︑正当な方

法で企業規模を拡大する行為は違法ではなく︑また獲得された

規模はいかにそれが巨大であっても︑不公正な競争抑圧の手段

として利用されない限り違法ではない︑という条理の原則が帰

結されることになる︒換言すれば︑条理の原則の導入は以上の

ような経済思想の上になりたつシャーマン法の論理構造の必然

的帰結であるといえる︒この意味において前述の独占企業排除

.対策の無力さということは︑シャーマン法そのものの性格に深

く根ざしているといわざるをえない︒

われわれは次に一歩たちいつて︑かかる反トラスト法の経済 ねばならぬし︑またそれは可能であること︑及び法を犯して形 1

1取引制限行為を禁止することによって︑独占の形成を阻止せ

(11)

思想

1

1独占観の形成が決して偶然ではなく︑それはそれに照応

( 22 )

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かも︑盗賊が集団強盗をやり︑盗品を分配するために

結合するのと同じように︑鉄道の諸幹線は料金を引上

げ︑その収益をプールするために結合し⁝⁝﹂︒

( 2 7 )

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( 2 8 )

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1 94 9 .   P . 2 7) .  

アメリカにおける反トラスト政策の基本的性格︵越後︶ する社会的基礎をもつていたことを考察したいと考える︒

アメリカにおける反独占の運動は︑かくてまず農民の鉄道独 的手段に対してなされた反トラスト運動の推進主体が農民にあ

独占を単なる個人の不当行為の所産であると考えるシャーマ

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と呼ばれたごとく︑いづれも不公正な掠

奪的・競争抑圧的手段を援用した事情︑及びそうした競争抑圧

ったことを考えるとき︑容易に理解することができる︒

周知のように一九世紀後半における同国の独占形成は鉄道業

から始まったが︑このさい独占形成の槙秤となったのは運賃プ

ール︑貨物料金率の不公正な差別操作︑鉄道株の操作等々であ

(30) った︒鉄道の建設・合同はとりわけ投機利得の獲得をめざして

行われ︑いわゆる水増株の発行は鉄道経営の常套手段であった

が︑そのような水増株に対する配当要求に応じるためにも︑会

社は運賃率を引き上げねばならなかった︒しかもその引き上げ

の負担は形成期の鉄鋼業や石油業における大資本の負担すると

ころとはならず︑中小の弱小資本やとりわけ農民の上に転嫁さ

( 3 1 )  

れたのである︒ ン法の独占観は︑形成期の独占資本が︑産業界の盗賊の頭目た

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