第53回総会・第74回例会
抄録集
会 期 : 2006年 12月 2日 (土)
会 場 : 大分県医師会館(大分市)
九州支 部会長 佐川 公矯(久留米大学病院 臨床検査部)
第74回例会長 佐分利 能生(大分県立病院 血液内科)
ごあいさつ
日本輸血細胞治療学会九州支部会 第 5 3 回 総 会 ・ 第 7 4 回 例 会 例会長 佐分利能生 今回、伝統のある第74 回輸血・細胞治療学会九州支部会を担当させて頂きありがとうござ います。ちょうど今年から日本輸血学会が日本輸血・細胞治療学会とネーミングが変更されま したが、このことはこの学会がさらに広い領域をカバーする学会になってゆくことの意思を表 明されたことと思っております。今後、学会のターニング・ポイントになって行くであろうこ の大切な時期に学会を担当させていただけることを幸せに思っています。さらに今回、佐川会 長のご指名で初めて、私どものような一般病院が担当させていただくことになり、二重の意味 で光栄に思っております。 本学会で最初考えましたことは、範囲を狭めず多くの領域の方に参加して頂き十分に発表、 討論をしていただくことでした。そして参加して頂いた方々にはできる限りのおもてなしの心 をもって、会の運営に当たりたいと希望したところ、幸い多くの方々に協力いただき、またス タッフにも恵まれ準備に当たることができました。 現在の医療はますます混迷の度合いを増し、複雑になって来ております。その点で多くの 方々が一堂に集まって、意見を述べ、語り合う必要性は高くなっていると思います。輸血の領 域でも同様であり、日本輸血・細胞治療学会の存在意義は高く今後のご発展を願っております。 本学会が少しでも皆様のお役に立てることができ、また、当方のおもてなしの気持ちが皆様 に少しでもお伝えすることができておればと思っております。最後になりましたが、本学会の 企画・準備・運営など、ご協力を頂きました関係各位へ心から厚く感謝申し上げます。2.会 場 大分県医師会館 大会議室(7F)・研修室2(6F) 〒870-8563 大分市大字駄原 2892-1
TEL:097-532-9121 FAX:097-537-4784 http://www.oita.med.or.jp 3.受 付 大分県医師会館 大会議室(7F)にて午前8 時 30 分より受付します。 4.会 費 1)参加費・支部会費として 2,000 円をお支払い下さい。引き換えに領収書と参加証明書を渡 しますので、所属、氏名を記入して下さい。 2)昼食:食堂は会場周辺にないので弁当を手配致します。必要とされる方は、受付の際に弁 当引き換え券をご購入下さい(9:00~ 10:00)。 3)懇親会に参加される方は、懇親会費として 3,000 円を予めお支払い下さい。 5.発表者(一般演題)の方へ 1)今回の発表は Windows 版パワーポイントによるコンピュータプレゼンテーションに限ら せていただきます。投影は一面のみです。なおパワーポイントでの準備が難しい場合は、予 め事務局へ相談下さい。 2)事前にパワーポイントの試写を行いますので、11 月 16 日(水)までに CD、FD または MO を事務局に送付下さい. 3)発表時間は 7 分間、討論は 3 分間となります。 4)発表は演者ご自身が演題上に設置されているPCを操作してください。 *なお、プログラム抄録集は十分な部数の準備がありませんので、必ず持参して下さい。 6.評議員会 1) 午前 11 時 45 分 ~ 午後 1 時 00 分 2) 場所:大分県医師会館 研修室2(6F) 7.懇親会 大分県医師会館 研修室1(6F)で、午後 5 時 30 分より行います。 8.その他 1) 昼食は研修室1(6F)の会場にて弁当を引き換え券と交換致します。 2) 学会場周辺は当日充分な駐車スペースが確保出来ませんので公共交通機関をご利用下さい。 【事務局】 〒870-8511 大分市豊饒 476 番地 大分県立病院 輸血部 E-mail:[email protected] TEL,FAX : 097-546-7204 http://www.geocities.jp/yuketsu_oita
第 53 回総会・第 74 回例会日本輸血細胞治療学会九州支部会プログラム
≪第一会場:7階 大会議室≫
9:00 開会挨拶 日本輸血細胞治療学会 九州支部会例会長 佐分利 能生 日本輸血細胞治療学会 九州支部会会 長 佐川 公矯 9:10 ~ 9:50 セッション1:輸血の臨床 座長 佐藤昌彦(大分記念病院 血液内科) 吉浦洋子(福岡大学病院 輸血部) 1. 急激な経過をたどった特発性混合型自己免疫性溶血性貧血の 1 例 大分県立病院 輸血部1)、血液内科2) ○森弥生1)、富松貴裕1)、河野節美1)、宮崎泰彦2)、大塚英一1)、佐分利能生2) 2. 自己免疫性溶血性疾患合併妊娠の一症例 久留米大学病院 臨床検査部 ○天本貴広、吉永英子、野上みどり、塩塚成美、金原正昭、 川野洋之、東谷孝徳、高木基成、佐川公矯 3. 当院で経験した TTP 6 例 大分県厚生連鶴見病院 血液内科 1) 同検査科2) ○中山 俊之1)、 安藤 健明1) 佐藤 淳2)、 丹田 恵美子2)、 大下 時廣2) 4. 後天性凝固第Ⅷ因子インヒビターのために大量輸血を要した1症例 久留米大学病院 臨床検査部 ○東谷孝徳、野上みどり、天本貴広、吉永英子、塩塚成美、田代恭子 金原正昭、川野洋之、常盤功光、高木基成、佐川公矯 9:55 ~ 10:35 セッション2:造血幹細胞移植 座長 豊嶋崇徳(九州大学病院 遺伝子・細胞治療部) 徳永和夫(福岡県赤十字血液センター 技術部) 5. DLI後に重症肺障害を来たした2症例 大分大学 医学部 感染分子病態制御講座 ○幸野和洋、池脇淳二、緒方正男、菊池博、門田淳一7. 臍帯血移植後生着不全に対して自己末梢血幹細胞移植を行った HLA 抗体陽性 AML 症例 大分県立病院 血液内科 ○水谷孝美、後藤加奈子、宮崎泰彦、大塚英一、佐分利能生 8. ATL に対する同種造血幹細胞移植の皮膚再発における graft-versus-ATL 効果 ○米倉 健太郎1,2,金蔵 拓郎1,中野 伸亮2,竹内 昇吾2,高塚 祥芝2,宇都宮 與2 1 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科先進治療科学専攻感覚器学講座皮膚疾患学 2 慈愛会 今村病院分院 血液内科 10:45 ~ 11:45 【特別講演】 座長 菊池 博(大分大学医学部附属病院 輸血部) 成人T細胞白血病・リンパ腫の過去、現在、未来 今村病院分院 院長 宇都宮 與 11:45 ~ 13:00 昼 食(研修室1 6階) 11:45 ~ 13:00 評議員会(研修室2 6階) 13:05 ~ 13:35 セッション3:輸血医療の現状と問題点 座長 佐川公矯(久留米大学病院 臨床検査部) 久田正直(独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター) 9. 大分県における過去 10 年間の無輸血治療の症例と今後の展望 エホバの証人の大分医療機関連絡委員会 ○梶山 康幸,田村 福男,瀧石 和弘,佐藤 裕誠,井上 新一, 鹿出 計一,武宮 秀人,久保田 正博 10. 輸血医療に関わるガイドラインとその課題 エホバの証人の医療機関連絡委員会 ○ 仁科 健夫 11. 有事における血液センターの役割 -沖縄県の場合-
1)沖縄県赤十字血液センター 2)Director, Armed Services Blood Bank Center ○宮国毅1), 石垣光男1), 上江洲富夫1), 兼元栄進1), 城間正邦1),
13:45 ~ 14:45 【特別講演】 座長 佐分利 能生(大分県立病院 血液内科) 神奈川での最近の活動について 神奈川県赤十字血液センター 所長 稲葉 頌一 14:45 ~ 15:00 休 憩 15:00 ~ 15:30 セッション4:適正使用 座長 佐藤博行(福岡県赤十字血液センター ) 出島みどり(長崎市立市民病院 検査部) 12. 当院におけるアルブミン製剤の使用状況 -輸血管理料を申請できなかった原因について- 産業医科大学病院 臨床検査・輸血部 ○中田浩一,野原正信,田中真典,田中明美,比嘉幸枝,高嶋聡子, 中村昌代,大田俊行 13. 当院におけるアルブミン製剤の使用状況について 宮崎大学医学部附属病院 輸血部 ○久冨木庸子、児玉 建、竹ノ内博之、野邊順子、岡山昭彦 14. アルブミン製剤適正使用に向けて福岡大学病院の取組み 福岡大学病院 輸血部1)、薬剤部2)、臨床検査部3) ○吉浦洋子1)、久保田邦典1)、野間口由利子1)、熊川みどり1)、丹生恵子1) 馬島紘世2)、結城万紀子3)、今村一枝3)、川島博信3)、小野順子3) 15:35 ~ 16:25 セッション5:輸血管理 座長 中田浩一(産業医科大学病院 臨床検査・輸血部) 児玉 建(宮崎大学医学部附属病院 輸血部) 15. 濃厚血小板製剤中のケモカイン濃度と急性同種免疫性副作用との関連性の検討 長崎大学医学部・歯学部附属病院輸血部 ○長井一浩、嶋田夏紀、椎山亜紀子、深堀由紀子、上平 憲 長崎大学医学部・歯学部附属病院検査部 古賀嘉人、臼井哲也、菅原和行 長崎県赤十字血液センター 寺澤 崇、藤井 実、千代田晨 16. 当院における輸血前後の感染症検査の取り組み 産業医科大学病院 臨床検査・輸血部 ○田中 真典、野原 正信、田中 明美、比嘉 幸枝、 高嶋 聡子、中村 昌代、中田 浩一、大田 俊行
18. 輸血療法クリティカルパスを作成して 国立病院機構 熊本医療センター 内科1) 臨床研究部2) 検査課3) ○長倉祥一1)、 日高道弘1)、 武本重毅1)、 榮達智1)、 清川哲志1) 河野文夫2) 松本恵美子3) 国立病院機構 再春荘病院 リウマチ科 森俊輔 19. 同種造血幹細胞移植後の細胞分画を用いたSTR解析 鹿児島大学病院輸血部1) 同 小児科2) ○舞木弘幸1) 田邊貴幸2) 田之上三喜恵1) 迫田みどり1) 河野嘉文2) 小浜浩介1) 古川良尚1) 丸山征郎1)
≪第二会場:6階 研修室2≫
9:10 ~ 9:50 セッション6:安全管理 座長 熊川みどり(福岡大学病院 輸血部) 宮子 博(大分大学医学部附属病院 輸血部) 20. 自動血球洗浄装置ACP215 を用いた自己解凍赤血球の期限延長に関する検討 福岡県赤十字血液センター ○井上 浩二 開原 実典 松本 岩雄 荒添 悟 中村 功 徳永 和夫 佐藤 博行 柏木 征三郎 21. 電子カルテシステムに連動した輸血部門システムの構築 大分大学医学部附属病院 輸血部 ○立川良昭 佐伯久美子 岩男千恵子 宮子博 菊池博 犀川哲典 22. 宮崎大学病院におけるコンピュータクロスマッチの導入状況について 宮崎大学医学部附属病院 輸血部 ○児玉 建、竹ノ内博之、野邊順子、久冨木庸子、岡山昭彦 23. 当院における輸血実施手順書の運用状況について -看護師からの視点でアンケート調査を検討- 大分県立病院 6 東病棟9:55 ~ 10:35 セッション7:業務管理 座長 鷹野寿代(医療法人 雪ノ聖母会 聖マリア病院 輸血部) 江頭貞臣(九州大学病院 検査部) 24. 顆粒球採取時における Ht 値連続測定モニタの有用性 医療法人 雪ノ聖母会 聖マリア病院 臨床工学室1)、血液内科2)、輸血部3) ○佐藤 茂1)、井福武志1)、木村芳三2)、長部誠志2)、今村 豊2)、鷹野壽代3) 25. 当院輸血部門の臨床支援業務と検査技師の関わりについて 産業医科大学病院 臨床検査・輸血部 ○野原 正信、田中 真典、田中 明美、比嘉 幸枝、高嶋 聡子 中村 昌代、柳田 定子、堂之上 千奈美、中田 浩一、大田 俊行 26. 輸血情報共有化の必要性を痛感した事例 医療法人 大分記念病院 臨床検査科1) 診療部2) ○野中恵美1)河野美弥1)大久保嘉子1)中島三枝1)今村朋之2)佐藤昌彦2) 27. 血液センターへの血液型関連依頼検査の現状及び検査集約化への対応について 福岡県赤十字血液センター ○田久保智子 友成洋子 徳永和夫 佐藤博行 柏木征三郎 15:00 ~ 15:40 セッション8:輸血検査 座長 古川良尚(鹿児島大学病院 輸血部) 福吉葉子(熊本大学医学部附属病院 検査部) 28. 全自動輸血検査システム AuteVue で検出できなかった低力価の抗 E 抗体の 1 例 佐賀大学医学部附属病院輸血部 ○ 山田麻里江 山田尚友 南雲文夫 船井典子 29. 妊婦から検出された抗 D+抗 C+抗 G 抗体の1症例について 九州大学病院検査部1)、 遺伝子・細胞療法部2) ○ 松本信也1) 山口恭子1) 池松陽子1) 江頭貞臣1) 栢森裕三1) 赤司浩一2) 豊嶋崇徳2) 康東天1) 30. Luminex 法による HLA タイピングについて 福岡県赤十字血液センター技術部 ○徳永和夫,徳永倫子,黒田ゆかり,山口惠津子,朝倉 健,佐藤博行,柏木征三郎
15:45 ~ 16:25 セッション9:自己血輸血 座長 久富木庸子(宮崎大学医学部附属病院 輸血部) 川野洋之(久留米大学病院 輸血部) 32. 当院における自己血輸血の現状と課題 飯塚病院中央検査部輸血検査室 ○長崎有子、森行佳美、奥川明子、真名子順一 33. 自己血輸血中に異常知覚を訴え、輸血を中止した1症例 独立行政法人 国立病院機構九州医療センター ○ 竹山 朋希 川村 綾乃 山倉 栄子 米野 修一 江角 誠 藤重 晴久 34. 産科領域における自己血輸血の意義に関する臨床的検討 大分県立病院総合周産期母子医療センター 産科 ○馬場眞澄、 佐藤昌司、 豊福一輝、 軸丸三枝子、 嶺真一郎、 林下千宙、山口裕子、 大分県立病院婦人科 中村聡、 松本英雄 35. 当院における人工心肺使用外科手術における輸血の状況 宮崎大学医学部附属病院 輸血部 ○竹ノ内博之、児玉 建、野邊順子、久冨木庸子、岡山昭彦 ( 7 階大会議室 ) 16:25 次回例会長 挨拶 16:30 閉会挨拶 日本輸血細胞治療学会 九州支部会例会長 佐分利 能生 16:35 ~ 17:00 日本輸血細胞治療学会九州支部I&A委員会および認定輸血検査技師協議会合同総会 ( 6 階研修室 1 ) 17:30 ~19:30
【特別講演】
成人T細胞白血病・リンパ腫の過去、現在、未来
慈愛会今村病院分院 宇都宮 與 【過去】成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)は日本で発見され、白血病細胞の特徴的な多核分葉、 臓器浸潤、免疫不全による種々の感染症の合併、地理病理学的特徴などが報告された。その後原因 ウイルスとして human T-lymphotropic virus type I (HTLV-1)が発見され、HTLV-1 キャリアの分布も 西南日本、紀伊半島、三陸沖海岸、北海道などの日本のみでなく、アフリカ、西インド諸島、南米 などに多いことも判明した。また、ATL は急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型の4病型に分 類され、治療方針の決定に用いられるようになった。ATL の発症の初期に HTLV-1 Tax 蛋白が関与 することがわかり、さらに高頻度に合併する高カルシウム血症の原因に PTH-rP や RANKL が関与 することも判明した。化学療法に対する抵抗性の原因としてP-糖蛋白を中心とした薬剤多剤耐性 機構も解明された。 【現在】ATL は発見以来約 30 年になるが、急性型・リンパ腫型の化学療法による寛解率は 16-41%、 生存期間の中央値は 5-13 カ月と ATL の予後は極めて不良である。原因として ATL 細胞の薬剤耐 性と続発する免疫不全がある。2001 年に我々が ATL における同種造血幹細胞移植が患者の予後を 改善させる可能性があることを報告して以来、移植症例が急速に増加しつつある。骨髄破壊的同種 造血幹細胞移植では移植後3年全生存率 45%、骨髄非破壊的移植の 2 年全生存率 33%、非血縁者 間骨髄移植の1年無増悪生存率 49%と期待できる成績が報告されている。しかしながら骨髄破壊 的移植では再発率は比較的少ないものの移植関連死亡の割合が高く、血縁ドナーの得られにくいこ とと合わせて本治療の問題点となっている。一方、ATL の研究面においてはケモカインレセプター の CCR4 は ATL の予後不良と関連することが確認され、そのモノクローナル抗体であるヒト化抗 CCR4 抗体は治療薬として臨床治験が開始された。CCR4 以外にも分子標的薬剤として NFκB 阻害 剤である DHMEQ、ACHP、プロテアソーム阻害剤である bortezomib (ベルケード)などが ATL 細胞 に対して有効であることが、in vitro で確認されている。【未来】ATL の治療として骨髄非破壊的移植、樹状細胞治療などの免疫療法や分子標的治療の組
み合わせによりATL の治癒例が増加するものと思われる。また、ATL の発症機構の解明などに基
づいてATL 発症の高危険群の同定することにより発症予防介入が可能になり、さらに HTLV-1 の
神奈川での最近の活動について
神奈川県赤十字血液センター
稲葉頌一
神奈川に来て
2 年半が経ちいくつか研究ができましたのでその内容を報告します。
話は5つあります。
第一は献血者の中の
B 型肝炎キャリアです。
最初は
50 プール NAT 陽性の献血者でした。当然 Window と考えて 2 週間後に採血し
たのですが、ウイルスが消え、
HBs抗体が急上昇しました。その後 HBc 抗体が陽転
しましたので、初感染と判断されましたが、
s 抗体の上昇が普通ではありませんでした。
問診しますと
20 年前にワクチンをしておられました。通常はワクチンの有効性は最低
でも
10mIU/L 程度の力価の維持が言われていますが、こんなこともあるんだなと感心
しました。
もう一つは
occult carrier の困った例でした。医療機関からの B 型肝炎報告に基づい
て遡及しました。輸血されていたのは
33 本でした。このうち 1 本が 50 プール NAT
陰性、個別
NAT 陽性でした。したがって、このドナーが原因と考えられましたのでこ
の方について遡及してみました。なんと何と
78 回の献血履歴がありました。しかも、
この献血者の受血者に
3 人も B 型肝炎報告がなされていることがわかりました。その
時点では
3 人に輸血されたこの献血者の血液は全て個別 NAT 陰性でした。したがって、
当時は輸血と肝炎は因果関係がありませんと大見得を切っていました。しかし、今回
の血液と発病時の患者さんの保存血液から得られたウイルスの
sequence がほぼ一致
しましたので、個別
NAT 陰性の血液でも肝炎の原因になってしまうことが証明されま
した。
第二は日本麻酔科学会との共同研究です。麻酔科学会は麻酔副作用合併症全国調査と
いうものを毎年行っていまして、その結果、全国でほぼ一日一人出血で手術死してい
ることを明らかにしました。そのうち、何人が輸血できれば助かったのかははっきり
しないのですが、同型血輸血にこだわらなければ、もっと輸血のストックが増えるこ
とは確かなので
O型血を中心とする異型ではあるが溶血を起こさない異型適合血の使
用に道を開こうということになりました。私は現在の日赤血がどのようなものか製剤
について調べることにしました。その結果が四つあります。一つは
O型MAP血の抗A・
抗
B抗体価の調査です。O型について抗A・抗B抗体価を調べた理由はA型、B型よりも
抗体価が高いことが知られているからです。抗体価は平均
4 倍でした。最高でも 16
倍ですのであまり高くないことが明らかになりました。次に血漿や血小板の抗
A・抗B
抗体価を調べてみると平均では
16 倍でしたが、512 倍になる結構高いものが 5%程度
かりました。これも異型輸血の安全性を担保するものです。最後に血小板の中に含ま
れる赤血球量を測ってみました。これが結構難問で顕微鏡では測定できず、
FCMでの
測定を行いました。その結果、最大で全血
5μℓ分の 2×10
7個を超えないことがわかり
ました。
三つ目は昨年
AABB で生涯輸血頻度について発表がありました。単一施設の小さな
study でしたが、面白いデータだったので追試をしてみました。各年齢における生存
率や、年齢ごとの人口などは各県ごとにデータがすでに示されています。いくつかの
医療機関に呼びかけて年齢ごとの輸血患者数、男女比を調べてもらいました。血液セ
ンターでは県内年間供給量や各医療機関ごとの年間供給量はすぐにわかります。これ
だけのデータを積算すると最近よく話題になる女性の生涯出生率と同じ計算を行って
生涯輸血頻度を出すことができました。それによると
100 歳まで生きると仮定すると
男性は二人に一人、女性は三人に一人が輸血を受けることがわかりました。
四つ目は献血者の副作用の一つである
VVR に関するものです。問診でリスクが予測で
きないかという仮定の下に
11 項目の問診を行い 5 万名の献血者について調べてみまし
た。こんな数を調査できるのが血液センターの強みです。これに多変量解析という統
計手法を導入してみました。献血を断れるほどのハイリスクはありませんでしたが、
odds 比で 3 倍以上のリスクを持つ項目を5つほど明らかにすることができました。看
護師が事前にリスクを予測して早期対応を行いやすくなったと思われます。
最後に九州時代から取り組んでいた
Haemonetics の Latham Bowl の surge 期におけ
る血漿、血小板、白血球の動きの数学的シミュレーションについて答えを求めること
ができました。わかったことは
surge plasma は Bowl の壁に沿って非常に薄い層を作
って流れていること、血小板はこの流れに乗って下壁と上壁から流れ出るが、真ん中
の
1/4 は流れ出ないこと、白血球は上壁からしか流出しないが、その量は 2~3%であ
ること。でした。これが、血小板回収率が
100%にならないことの答えでした。この
計算はまさに力仕事でした。
Navier-Stokes 方程式というナポレオン時代に発見され
た流体力学の基本方程式を
10~50μ間隔の微小点についてそれぞれ 10000 分の一秒
後の移動点を求めるという計算を
3 万回繰り返すと血漿の流れの計算が出てきます。
さらに血小板や白血球を想定した微小球体は粘度や浮力の影響を受けますので一層複
雑な計算になります。現在のパソコンの最高のスペックで
400~500 時間の連続計算
が必要でした。一つの答えが出ましたので、今後は
TRIMA のようなより複雑なシス
テムの解析にも取り組んでみたいと思っています。
血液センターはなかなか経営がうまく行かずに多難な時代ですが、研究という知的な
遊びはもうしばらく楽しめそうです。
急激な経過をたどった特発性混合型自己免疫性溶血性貧血の 1 例
大分県立病院 輸血部1)、血液内科2) ○森弥生1)、富松貴裕1)、河野節美1)、宮崎泰彦2)、大塚英一1)、佐分利能生2) 【はじめに】 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の中には、稀に温式抗赤血球自己抗体と寒冷凝集素が いずれも溶血に関与していると推定される症例もあり、混合型AIHAと呼ばれている。慢 性の経過から急性増悪をきたし、重度の貧血を認める。今回我々は、検査が困難であった特 発性混合型AIHAを経験したので報告する。 【症例】 患 者:61 歳男性 既往歴:肝機能障害 主 訴:貧血,赤色尿,黄疸 平成 7 年から肝機能障害のため、当院消化器・腎臓内科を 3 年に 1 回程度受診していた。 平成 18 年 2 月の人間ドックでは特に貧血、黄疸の指摘なし。6 月から貧血症状を自覚し、7 月に入り赤色尿と黄疸を認めたため、平成 18 年 7 月 4 日当院を受診した。 【入院時検査所見】 RBC:1.82×106/μl, Hb:6.6 g/dL, Ht:17.0%, Retic:18.7%, T-Bil:3.9mg/dL, LD:983IU/l, ハプトグロビン:10 以下mg/dL, 尿潜血:(1+), 血液像(RBC):球状 RBC・大小不同・凝集 RBC 【輸血検査所見】 血液型:B 型(+),CCDee 不規則抗体検査:酵素法(4+),クームス法(4+) 直接抗グロブリン試験:広範囲(4+),抗 IgG(4+),抗 C3bd(3+) 抗体同定検査,抗体解離吸収試験:自己抗体抗 C+e検出,同種抗体の型特異性見られず 【経過】 平成18 年 7 月 4 日、自己免疫性溶血性貧血と診断されステロイド剤治療を開始した。そ の後、7 月 7 日にHbが 3.6g/dLまで下がったため、B型(+)R2R2のIr-WRC2 単位を輸血 した。Hb5.5 g/dLまで回復したが、7 月 9 日多発性肺塞栓症による急性心不全を合併して 死亡された。 【考察】 今回の症例は原因疾患を認めず入院 6 日目に患者死亡となった。ステロイド剤の効果が現 れるまでに重症の貧血を認め輸血が必要になった。行われた輸血で溶血性輸血副作用の報告 はなかったが、肺塞栓症を引き起こした原因であったことが疑われる。AIHAにおける抗 体同定は困難な場合が多いが、輸血はその病態のゆえに特有なリスクを伴うため、自己抗体 の同定と同種抗体の有無を確認し、輸血用血液の選択を行うことは重要である。演題 2
自己免疫性溶血性疾患合併妊娠の一症例
久留米大学病院 臨床検査部 ○ 天本貴広、吉永英子、野上みどり、塩塚成美、金原正昭、 川野洋之、東谷孝徳、高木基成、佐川公矯 【はじめに】 血液型抗体による新生児溶血性疾患にはABO 型抗体によるものと、その他の血液型抗体による ものに大別され、主に同種抗体が原因となる。今回我々は、自己免疫性溶血性疾患合併妊婦の自己 抗体が患児に移行した症例を経験したので報告する。 【症例】 患者:28 歳、女性、2005 年 9 月近院を受診し妊娠と診断。初回採血にて間接抗グロブリン試験 陽性のため当院紹介となる。第一子6 週目にて自然流産の経験有り。 1.<検査所見:妊娠 16 週目> ○血液型:O型Rh陽性、 ○間接抗グロブリン試験:(3+)、 ○直接抗グロブリン試験:≪広範囲クームス(1+)、抗 IgG(1+)、抗 C3bC3d(0)、対照(0)≫ ○抗体解離試験:(3+)、非特異反応を示す自己抗体。 ○抗体価:アルブミン法(2 倍)、PEG法(8 倍)を継続。 2. <経過> 妊娠17 週 2 日目:自己免疫性溶血性疾患と診断される。 妊娠19 週 2 日目:プレドニン 20mg/日内服開始。 妊娠40 週 2 日目:陣痛発来にて入院、自然分娩。 3.<新生児所見> 体重3522g、身長 51.3cm、男児、Ap8/8 A型、Rh陽性、 直接抗グロブリン試験:≪広範囲クームス(1+)、抗 IgG(1+)、抗 C3bC3d(0)、対照(0)≫ 1 生日目 T.Bil 4.3mg/dl、3 生日目 T.Bil 13.93mg/dl、5 生日目 T.Bil 15.4mg/dl、 3 生日目より皮膚黄染、眼球黄染が観察される。 4.<その後の経過> 母児ともに経過良好のため6 生日目にて退院、母親のステロイド剤は出産後 15mg/日に減量、 退院後外来にて漸減。 【まとめ】 本症例は抗体価の上昇を認めることなく無事に分娩できた。第一子目の流産と、自己免疫性溶血 性疾患合併との因果関係は不明であるが可能性は否定できない。自己免疫性溶血性疾患合併妊娠で は、妊娠中に高度の貧血を認めた報告例もあり慎重な経過観察が重要である。また、自己抗体保有 妊婦では適合血の確保や自己血貯血も困難なことから輸血への対策が問題となる。さらに重篤な新 生児の溶血性疾患においても同様である。当院で経験した TTP 6 例
大分県厚生連鶴見病院 血液内科 1) 同検査科2) ○ 中山 俊之1)、 安藤 健明1) 佐藤 淳2)、 丹田 恵美子2)、 大下 時廣2) . はじめに、 TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)は、1924 年 Moschcowiz により最初に報告された、 血小板減少性紫斑病、微小血管障害性溶血性貧血、動揺する多彩な神経障害、軽度の腎障害、発熱を 主訴とする症候群である。 従来の統計では、発症頻度は、100 万人あたり、3.7 人と見積もられている。 今回、我々は、 1994 年から 2006 年の 13 年間に、6 例の TTP 症例を経験したので、臨床的検討を加え 報告する。 症例は、37 歳から 81 歳で平均 58 歳であった。 男性 1 例。女性 5 例。 基礎疾患は、ネフローゼ症候群を 1 例認めたが、他には、特に認めなかった。 初診時の症状は、意識障害が、3 例。 腹痛等の消化器症状が、3 例であった。 検査では、全例、 末梢血液中に、 破砕赤血球を認めた。又、 血小板減少、溶血性貧血を認めた。 治療法としては、全例血漿交換が行われたが、 4 例は、救命し得たが、 2 例は、死亡された。 血漿交換は、 出来るだけ早期に開始することが望ましいと考えられた。 現段階まで、 ADAMTS13 は、 全例測定されていないが、 今後、 治療方針決定等のため適宜測定する ことを検討中である。 更に若干の文献的考察を加え報告する。
演題 4
後天性凝固第Ⅷ因子インヒビターのために大量輸血を要した1症例
久留米大学病院 臨床検査部 ○ 東谷孝徳、野上みどり、天本貴広、吉永英子、塩塚成美、田代恭子 金原正昭、川野洋之、常盤功光、高木基成、佐川公矯 【はじめに】 新鮮凍結血漿(FFP)は凝固因子補充の目的に使用される。その使用には凝固因子に対する 適合試験は実施されない。今回、我々はFFP の大量投与にも関わらず、その効果が得られず、 その原因が後天性第Ⅷ因子に対する自己抗体(インヒビター)が原因であった症例を経験した ので報告する。 【症 例】 患者;84 歳、男性 既往歴;1973 年、脊髄損傷(右下肢不全麻痺) 現病歴;2003 年、9 月 16 日、臀部打撲のため右下肢筋力低下を訴え近医外科受診。下肢に広 範囲出血を認めたが、MRI で骨折を疑わせる所見なく経過観察中。9 月 27 日朝より血圧低下 し、状態改善が認められないため当院救急救命センターに搬入。 経過;入院時の検査所見は、血液型AB 型、Rh 陽性、不規則抗体陰性、Hb9.1 g/dl、PT85% (基準値;60~130)、Fib268mg/dl(基準値;200~400)、FDP5.4μg/ml(基準値;0~5.0)。 血管造影にて右深腸骨回旋動脈からの出血を確認しcoil embolization 施行。止血後も Hb は低 下し、十二指腸多発潰瘍からの出血と判明。内視鏡的止血を試みたが、難渋した。十二指腸か らの出血を完全に克服できた日に今度は直腸から動脈性の出血を認めた。外科的縫合止血を行 ったが針穴からのwoozing が続き、止血困難であった。また、経過中、内痔核からの出血に対 し二度の内痔核切除術を施行したが切除面からの出血が続いた。この間、約一ヶ月の間に MAP;88 単位、FFP;64 単位、血小板;20 単位が輸血された。その後、血液検査にて APTT に異常を認め精査の結果、第Ⅷ因子インヒビターの存在が確認された。第Ⅷ因子インヒビター の力価は13 ベセスダ U/ml(基準値;検出されず)、第Ⅷ因子活性は 1%以下(基準値;60~ 150)であった。また、第Ⅸ因子活性 100%(基準値;70~130)、第ⅩⅠ因子活性 66%(基 準値;75~145%)、第ⅩⅡ因子活性 29%(基準値;50~150)であった。止血療法として活 性化第Ⅶ因子製剤の投与、インヒビターにはステロイドの内服およびステロイドセミパルス療 法が施行された。以降、止血状態良好、APTT は正常化した。インヒビターも退院時には検出 されなくなった。 【まとめ】 FFP 輸注は、凝固因子補充による止血が目的である。FFP の使用基準である PT や APTT の延長の原因が凝固因子インヒビターであった場合、輸注効果は期待できない。FFP の輸注 時には、このことを念頭におくことが重要である。DLI後に重症肺障害を来たした2症例
大分大学 医学部 感染分子病態制御講座 ○ 幸野和洋、池脇淳二、緒方正男、菊池博、門田淳一 【はじめに】今回我々は、同種造血幹細胞移植施行後に、ドナーリンパ球輸注療法を施行し、その 後免疫反応によると考えられる、急速に進行する呼吸不全を認めた重症肺障害の症例を2例経験し ましたので報告します。 【症例1】35歳、女性。lymphomatoid granulomatosisに対して実母よりHLA1座不一致血縁者間 同種末梢血幹細胞移植術を施行。しかし、再発を認め、移植後約1年4ヶ月後に局所放射線照射と ドナーリンパ球輸注を施行した。リンパ球輸注後(CD3+ cell, 4.5x105/kgを 2 回)、急速に進行す る喘鳴と呼吸困難が出現。原疾患の再燃と診断し多剤併用化学療法施行。これにより呼吸状態の改 善を認めた。これを受けて、更にドナーリンパ球輸注(CD3+ cell, 7.6x107/kgを 2 回)を施行し たところ、呼吸状態は急速に悪化し、呼吸不全にて永眠された。死因は原疾患の増悪と考えていた が剖検にてリンパ球の浸潤は殆ど認めず、肺組織はBOOPおよびBOの像で、肺を含め他の部位にも再 発の所見は認めなかった。 【症例2】59歳、男性。自己免疫性好中球減少症と考えられる病態に対する、治療中に急性骨髄 性白血病を発症。同疾患に対して実妹よりHLA一致血縁者間同種骨髄移植術を施行。一時血球回復 傾向認めるも、急激な好中球減少を認めた。原因として患者由来のリンパ球が関与していると判断 し、ドナーから顆粒球輸血を行うとともにドナーリンパ球輸注(CD3+ cell, 1.0x107/kg)を施行。 輸注後、速やかに好中球回復を認めたが、それに平行して急速に呼吸不全の進行を認めた。抗TNF-α抗体を含む各種治療を行ったが、治療効果は認められず呼吸不全にて永眠された。【結語】症例 1 では生前診断が得られなかったが、症例 2 は idiopathic pneumonia syndrome と診 断し、各種免疫療法を行った。しかし治療効果は認められなかった。今後ドナーリンパ球輸注後の 重症肺障害に対する診断および治療法に関して更なる検討が必要と考えられた。
演題6
60 才以上で臍帯血移植を行った症例について
大分県立病院 血液内科 ○ 宮崎泰彦、後藤加奈子、大塚英一、佐分利能生 本年2 月の第 28 回日本造血細胞移植学会総会において当院の高齢者に対する臍帯血移植の 状況を報告した。その後の経過と併せて当院での臍帯血移植の現況を報告する。60 歳以上の 臍帯血移植は3 例行っており、疾患は悪性リンパ腫 AILT 再発非寛解、多発性骨髄腫、骨髄異 形成症候群IPSS ハイリスク群であった。いずれも全身放射線照射 4Gy を含む移植前処置を行 ったが重篤なRRT は認めなかった。3 例中 AILT の患者は移植後 1 年目にゾビラックス予防 投与を中止して帯状疱疹を発症したが治癒し、再発は認めていない。多発性骨髄腫の患者は慢 性GVHD を皮膚・口腔粘膜・涙腺に認めるが寛解を維持し、全身状態良好である。骨髄異形 成症候群の患者は再発して急性白血病に移行し、原疾患により死亡した。当院で造血器疾患に 対する治療として初回同種移植を臍帯血で行った症例は上記 3 例を含めて 15 例、全生存は 73%(中央観察期間 14 ヶ月)。成人ドナーからの移植に比べて成績に遜色はないが、臍帯血移 植では生着不全が多く、生着が遅い、輸血回数が多い、GVHD が軽症であるといった一般的 に認められている傾向は当院の臍帯血移植でも同様であった。臍帯血移植後生着不全に対して自己末梢血幹細胞移植を行った
HLA 抗体陽性 AML 症例
大分県立病院 血液内科 ○ 水谷孝美、後藤加奈子、宮崎泰彦、大塚英一、佐分利能生 症例は46 歳女性。2005 年 6 月に前医で急性骨髄性白血病AMLの診断を受け 6 月 15 日から 化学療法を開始され、寛解となった。6 月 24 日に初回の濃厚血小板輸血を行い、3 回目の輸血 までは血小板数増加の効果が認められたが、7 月 2 日の 5 回目の血小板輸血からは血小板数増 加が認められなくなった。2 回の地固め化学療法を施行されたが、ランダムドナーからの濃厚 血小板10 単位輸血では止血効果が得られずに表在出血症状をくり返し、抗HLA抗体が確認さ れた。地固め化学療法後は血球減少が遷延して重症感染症を反復し、AML M0 でもあるため 同種造血幹細胞移植療法の第1 寛解期での適応と考えられたが成人ドナーはなく、臍帯血移植 を行うことになり、当院へ紹介入院となった。HLA抗体陽性であることから同種移植後の拒絶 の危険性が高く、バックアップの幹細胞としてG-CSF投与によりCD34 陽性細胞 1.7×106/kg の自己末梢血幹細胞採取を行った。10 月 27 日に臍帯血移植を行ったがday11 とday13 の骨髄 では造血前駆細胞は全く認められず、day11 のキメリズム解析でも 100%レシピエント型であ ったためday14 に自己末梢血幹細胞移植を行った。血球数の回復は緩徐で輸血依存状態を脱す るまでに2 か月を要したが、1 年間再発はなく経過している。演題 8
ATL に対する同種造血幹細胞移植の皮膚再発における graft-versus-ATL 効果
○ 米倉 健太郎1,2,金蔵 拓郎1,中野 伸亮2,竹内 昇吾2,高塚 祥芝2,宇都宮 與2 1 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科先進治療科学専攻感覚器学講座皮膚疾患学 2 慈愛会 今村病院分院 血液内科 【はじめに】近年,成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)に対する同種造血幹細胞移植で予後の改善が報告 され,その臨床効果として graft-versus-ATL (Gv-ATL)効果が注目されている。今回,過去7年間に当科 で同種造血幹細胞移植を施行した ATL 21 例について後方視的に検討し,移植後の再発と Gv-ATL 効果 について報告する。 【対象・方法】対象は 1998 年 6 月から 2005 年 5 月までに同種造血幹細胞移植を施行した ATL 21 例(移 植回数 24 回)である。移植症例の臨床的背景,移植成績,再発や再発部位,GVHD の発症と Gv-ATL 効 果の可能性について検討した。 【結果】男性 13 例,女性 8 例,移植時の年齢の中央値は 49 歳(37-62 歳),ATL の臨床病型は急性型 18 例,リンパ腫型 2 例,慢性型1例であった。移植前の寛解状態は完全寛解(CR) 7 例,部分寛解(PR) 1 例,不変(SD )5 例,増悪(PD) 8 例で,骨髄破壊的移植が 10 例,骨髄非破壊的移植が 11 例であった。 骨髄移植が 5 例,末梢血幹細胞移植が 13 例,臍帯血移植が 3 例で,HLA 一致の移植が 14 例,不一致 の移植が 7 例であった。初回化学療法から移植までの期間の中央値は 5.7 カ月(3.1-27.0 カ月)であった。 移植後の全生存期間の中央値は 8.4 カ月(1.4-83.7+カ月)で,生存 7 例の観察期間の中央値は 28.0+カ 月(4.3-83.7+カ月)であった。21 例の 3 年生存率は 33.2±10.9%であった。移植時の寛解状態別全生存 率の検討では,CR/PR/SD の 13 例は PD の 8 例に比し同種移植後の全生存率が有意に優れていた(P <0.05)。移植後 100 日以上の生存例は 15 例で,これらのうち 10 例が再発・再増悪した。再発 10 例のう ち 9 例が皮膚に再発,末梢血 4 例,リンパ節3例,中枢神経1例であった。再発・再増悪のみられた 10 例 全例で免疫抑制剤が中止された。免疫抑制剤の中止後 9 例で GVHD が発症し,このうち 7 例で GVHD 発症後に ATL は改善し寛解が得られた。再発・再増悪のみられた 10 例のうち,もともと皮膚にもあった病 変が治療によって消失後再度出てきたものが 5 例,発症からの全経過中一度もみられていなかった皮膚 病変が初めて現れたものが 4 例あった。皮膚再発した 9 例中 5 例は皮膚のみの再発であった。皮膚のみ に再発した 5 例のうち免疫抑制剤の中止や減量にて 4 例に完全寛解が得られた。 【考察】当科における ATL の同種造血幹細胞移植の成績について報告した。同種造血幹細胞移植を施行 した 21 例の同種移植後の全生存期間の中央値は 8.4 カ月で,3 年全生存率は 33.2%であり,決して良好 な移植後成績とは言い難かった。よい成績が得られなかった原因としては非寛解例(SD+PD)が 21 例中 13 例と多く,HLA 不一致移植も 7 例と多かったことが考えられた。一方,同種造血幹細胞移植後の再発例に おいて免疫抑制剤の中止のみで完全寛解が得られ,Gv-ATL 効果が確認された。また、同種造血細胞移 植後の ATL の再発は皮膚におこりやすく,皮膚再発に対してはより Gv-ATL 効果が働きやすい可能性が ある。Gv-ATL 効果の標的抗原としては HLA 抗原やマイナー組織融合性抗原の他に Tax 蛋白,Tax 以外 の HTLV-1 ウイルス抗原などが考えられる。今後これらの標的抗原を明らかにする必要があるが,これらの 免疫学的効果(Gv-ATL 効果)が ATL の同種造血幹細胞移植後の長期生存と関連がある可能性が考えら れた。エホバの証人の大分医療機関連絡委員会 ○ 梶山 康幸,田村 福男,瀧石 和弘,佐藤 裕誠,井上 新一, 鹿出 計一,武宮 秀人,久保田 正博 <はじめに>近年,輸血医療を取り巻く環境は大きく変化してきた。輸血のリスク,供給血液の不 足,医療費の問題などから,無輸血治療への取り組みが顕著になってきている。ここ大分県におけ る過去10 年間に報告されたエホバの証人に対する無輸血治療の症例を振り返り,無輸血治療プロ グラムに取り組むことの意義を考える。 <症例>科目別では,産婦人科 55 件,整形外科 31 件,一般外科 24 件,一般内科 23 件,その 他 80 件であった。際立った症例としては,①交通外傷(第 12 胸椎脱臼骨折)―1999 年 5 月,大分 市内の病院。20 歳の女性:背中の中央部を 20cm ほど切開。回収式を使用する予定だったが,出 血量が300cc 以下だったため未使用。下半身麻痺のため車椅子での生活。②腹部大動脈瘤(10.8cm) ―2004 年 5 月,由布市内の病院。64 歳の男性:腹部大動脈瘤切除,人工血管置換術。術中希釈式 自己血輸血。現在通常の生活を送っている。(心臓偽腫瘍のためステロイド服用中)③慢性腎不全― 2005 年 6 月,由布市内の病院。34 歳の男性:慢性腎不全のため生体腎移植。母親がドナー。アル ブミン,免疫グロブリン,フィブリノゲン,凝固因子,エリスロポエチン。術後,免疫抑制剤使用 のため血小板の減少が見られたが,無輸血にて対応。④2006 年 3 月,由布市内の病院。24 歳の女 性:顎変形症。下顎枝矢状分割咬合改善術。1000cc の出血があったが,無輸血で対応。術後の貧 血も改善,経過は良好。 これらの症例にも示されているとおり,エホバの証人は『血を避けなさい』という聖書の言葉に 関する宗教上の理解に基づき,全血や赤血球・白血球・血小板・血漿の輸血は避けるが,それら主要 成分から抽出される分画については,各人が自分の良心に従って決定している。例えば,血漿の小 分画であるアルブミンや免疫グロブリン・フィブリノゲン・凝固因子などを受け入れるかどうかは 患者によって決定が異なり得る。また,貯血式は受け入れないが,希釈式や回収式の自己血輸血に ついては患者各自が決定する。 <結論>大分県においても様々な病院や医師たちが,エホバの証人の信条を尊重して無輸血治療に 取り組んでおり,そのことに大いに感謝すると共に,敬意を表する。同時に,もし無輸血治療プロ グラムが施行されるならば,さらに優れた医療が提供されることになる。無輸血治療プログラムと は,宗教上の理由・医学上の理由を問わず,同種血輸血を避けたいとの患者の意向を尊重して良質 の治療を施すプログラムのことであり,現在,全世界で 200 以上,日本でも 7 つの病院が導入し ている。具体的には,病院内でこの計画に賛同する医師たちがチームを組み,コーディネーターの 調整のもと,医師と患者との明確な医療契約に基づいて治療が行なわれる。また,そのことを病院 のパンフレットやインターネットなどで公にしている。実際にこのプログラムを実施している病院 はその益として,①最高度の医療水準を持ち,最先端の医療を行なっているという評判を得られる。 ②患者の回復が早く,肝炎などの合併症の心配がない。③患者の入院期間が短く,病床の回転が速
演題 10
輸血医療に関わるガイドラインとその課題
エホバの証人の医療機関連絡委員会 ○ 仁科 健夫 輸血医療に関わるガイドラインは,医療を受ける側と行なう側の双方の信頼と理解を深める助けとな っている。運用面では,① I.C.が実質的なものとなる, ② 患者の意思が明確に提示できる, ③ 医 療契約に関わる書類が整備される, ④ 病院と患者双方の対立を避ける助けとなる, ⑤ (財)日本医 療機能評価機構の認定の一助となるなどの利点がある。 これらは,もはや宗教上の信念ゆえに輸血を拒否する患者だけのものではない.例えば,「無輸血医 療を希望する患者への対応マニュアル」,「無輸血治療プログラム」などがみられる。ある病院のガイド ラインは,輸血による医療上のリスクに言及しながら,「無輸血手術こそが究極の技術的目標」として いる。 これらガイドラインの内容は,全体としては,高い倫理観をもとに患者中心の医療に取り組んでいる 姿勢が見受けられる。例えば,「良心的で丁寧な説明を行い,患者との同意を守り,患者側の信頼を裏 切らないよう,あらゆる代替療法によって最善の手段をつくす」などの文言が見られる。加えて,「無 輸血治療を希望するエホバの証人患者の場合は必要に応じてエホバの証人の医療機関連絡委員会に連 絡相談することができる」ことや,判断能力のない未成年者の場合も親権者に確認し,原則として輸血 を行なわないことをうたっている。 ガイドラインの課題は,①実質的な運用がなされていない場合がある, ②最新の法的・倫理的・医学 的要素を踏まえていないものがある, ③子どもの治療に関する分野での見直しが必要と思われるもの があることなどである。大多数のガイドラインは成人患者の自己決定権を尊重しているものの,成人患 者に対してさえ,「緊急の場合」,「救命のため」,「万が一の場合」には輸血を行なうと述べるものもあ る。これは,無断輸血訴訟の最高裁判決に代表される法的理解に反する。また,未成年患者の判断能力 を様々な年齢で線引きしているが,これは年齢だけによって判断できるものでない。さらに,判断能力 形成途上の子どもの治療では,養育責任を持つ親権者の意向が考慮されていないものがある。国連の「子 供の権利条約」が,子どもの年齢や成熟度に応じた「意見表明権」の相応な行使とそれを形成させる親 権者の責任についてうたっていることとの整合性や,親権者の意向の尊重のあり方が検討されるべきと 思う。 一般に親は,子どもが身体的に成長するのはもちろん,精神的,感情的にも健やかに成長することを 願い,子どものために最善と思うことを行なう。衣食住や教育,娯楽,友達の選択など多岐にわたる。 エホバの証人の親は子どもの健全な成長のために,こうしたふさわしい教育や娯楽の機会を備えるとと もに,聖書に基づく道徳的な価値観を教えている。その結果,子ども自身が自発的にエホバの証人にな るか否かを選択し,関係する諸事情を十分理解した上で理性的に決定した子どもたちは,年齢にかかわ らず医療上の立場を明確にした「継続的委任状」を作成して携帯している。その途上にある子どもには, 「身元証明書」を携帯させ,親の意向を表明している。このように成熟した未成年患者の意思は尊重さ れるべきであるし,それに至っていない未成年者については親権者の意向を可能な限り尊重するための 具体的な方策が必要である。輸血の代替療法の進展を鑑みる時,子どもの問題を含め,これらの課題を 一つ一つ解決することが真の全人的医療を考慮したガイドラインの策定に結びつくものと確信する。有事における血液センターの役割
-沖縄県の場合-1)沖縄県赤十字血液センター 2)Director, Armed Services Blood Bank Center
○宮国毅1), 石垣光男1), 上江洲富夫1), 兼元栄進1), 城間正邦1), Rich Hayden2) 【はじめに】 血液センターは日本赤十字社の一組織であり,普段から地元の赤十字病院と連携して災害訓練を 行っているが,特に危機的な自然災害,大規模テロによる災害,突発的な軍事武力攻撃による災害 など,発生しうる危機的な状況を想定し,それに備えた対応策を準備しておくことは必要である。 特に沖縄県の場合,広大な米軍基地と共存しているため,当血液センターとしても,日本赤十字社 傘下の組織としての取り組みだけでなく,基地内の医療関連施設との連携作業が必要になる事態も 想定される。以下沖縄県における有事の際の血液センターの役割と,役割遂行上問題となる点につ いて考察する。 【背景 Background】沖縄県の特殊状況 沖縄県には 135 万の県民の他,米軍と軍属合わせて約 5 万人が居住しており,米軍は沖縄本島の 約 20%を占める広大な基地の中に総合病院(米国海軍病院)と 11 の診療所のほか独自の血液セン ターも有している。これらの医療関連施設を支援するため米国赤十字社(ARC)の事務所も設置さ れており,多数のボランティア(ほとんどが軍属)が活動している。血液センターは正式名称を米 国三軍合同太平洋地域血液センター(U.S. Pacific Command Joint Blood Program Office; 以下 JBPO と略す)と称する。JBPO の役割は,沖縄の基地での輸血医療を支援するのみならず,アジ ア太平洋地域に展開する米軍の医療を支えるため,これらの広範な地域に血液製剤を供給すること にある。そのため毎週 3〜4 回基地内でドナーリクルートを行っている。またアジア太平洋地域の 有事に備えて,8000 本に及ぶ大量の赤血球製剤(冷凍赤血球)を備蓄するなど,独自の「血液事 業」を展開している。 【ケーススタディ】 1)2000 年に沖縄県で開催された先進国首脳会議(サミット)における双方の血液センターの取り 組み 2)地元の大学構内に米軍ヘリが墜落した際の日本赤十字社の対応 3)日本赤十字社および血液センターの災害救助訓練 【考察】 有事の際の災害救護活動においては,地元の日本赤十字社,赤十字病院,血液センターおよび県 の災害拠点病院と基地内の米国赤十字社,軍病院,JBPO との間で迅速な連携と役割分担が必要と される状況が発生する可能性がある。したがって,普段から,これらの施設との間で一定の交流を はかり,情報や意見交換を行った上で,非常事態に適切に対応していけるよう準備しておくことが 重要である。血液センターの役割は限定されるが,血液製剤の供給に支障をきたさないような事前
演題 12
当院におけるアルブミン製剤の使用状況
-輸血管理料を申請できなかった原因について-
産業医科大学病院 臨床検査・輸血部 ○中田浩一,野原正信,田中真典,田中明美,比嘉幸枝,高嶋聡子, 中村昌代,大田俊行 【背景および目的】 平成18年4月に保険収載が認められた輸血管理料は、当初施設基準となっていなかったア ルブミン製剤の適正使用に関する項目が直前に加わったため、多くの医療施設が施設基準を満 たすことができなくなってしまった。当院においてもその他の項目はほぼクリアーしたが、こ の項目が達成できず輸血管理料算定を申請できなかった。そこで今回は当院におけるここ数年 のアルブミン製剤使用動向を調査し、今後の使用量削減のための問題点を検討したので報告す る。 【方法】 最近5年間のアルブミン製剤の使用量の推移を調査して検討を加えた。特に前年度(平成1 7年度)の1年間については、アルブミン製剤の診療科別の使用状況ついても調査し検討した。 【結果】 ①最近5年間の院内全体のアルブミン製剤使用量(g)は、平成13年度:27564、14 年:30636、15年:34161、16年:31656、17年:33405、であり平 成14年度以降はほぼ横ばい状態であった。 ②これに対して赤血球製剤使用量(単位数)は、13年:5547(うち自己血534)、1 4年:6548(同726)、15年:5908(同815)、16年:5313(同859)、 17年:4526(同704)、であり平成14年度以降減少傾向にあり、特に平成17年度 は前年度から約800単位の大幅な減少となっている。 ③上記の結果から[アルブミン(g)÷3]/赤血球製剤(単位数)(以後アルブミン適正指 数と略す。)は平成13年度:1.66、14年:1.58、15年:1.93、16年:1. 99、17年:2.46、であり平成14年以降徐々に上昇し平成17年度には2.0以上と なり輸血管理料を申請できなくなった。 ④平成17年度の診療科別アルブミン製剤使用量(g)は上位から、第3内科(消化器・代謝): 7233、第2外科(呼吸器・胸部):6269、第一内科(免疫・血液・内分泌):6043、 第一外科(消化器・内分泌):3632、第二内科(循環器・腎臓):2703、であり上位5 診療科で全体の76.6%、上位3診療科で57.9%を占めた。 ⑤平成17年度アルブミン製剤使用量の上位5診療科のアルブミン適正指数は第3内科:5. 11、第2外科:7.46、第一内科:2.23、第一外科:3.58、第二内科:5.06 といずれも2.0を上回った。 【考案およびまとめ】 当院で平成17年度のアルブミン適正指数が2.0以上となった原因はアルブミン製剤使用 の増加ではなく、むしろ赤血球製剤の使用が減少した事によると思われる。アルブミン適正指 数は医療施設全体(あるいは1地域)のグローバルな評価において用いるべきであり、取り扱 う疾患の特性が異なる診療科毎の評価には不適切と思われる。しかしながら輸血管理料が申請 できなかったことに寄与した度合いが強いか否かについては評価できると思われ、今後はこれ ら寄与度の高い診療科の詳細な使用状況を調査検討する必要がある。当院におけるアルブミン製剤の使用状況について
宮崎大学医学部附属病院 輸血部 ○ 久冨木庸子、児玉 建、竹ノ内博之、野邊順子、岡山昭彦 【はじめに】平成17 年に改訂された「輸血療法の実施に関する指針」および「血液製剤の使 用指針」には輸血療法の基本的な考え方が示され、血液製剤の適正使用についてもより具体的 に明記されている。また、平成18 年度の診療報酬の改定に伴い、医療機関における輸血療法 の質を評価する目的で輸血管理料が導入され、アルブミン製剤についても、一元管理が求めら れるとともに、具体的な適正使用の評価基準値が示された。そこで、当院においてこれまでア ルブミン製剤がどのように使用されていたか、実態を把握する目的で調査を行った。 【対象】2005 年 1 月から 2005 年 12 月までの 1 年間に当院でアルブミン製剤を使用された患 者を対象にした。 【方法】年齢、性別、診療科、総投与量、総投与日数、血清アルブミン値の測定の有無につい て調べた。 【結果】1 年間に延べ 321 症例に投与されており、性別では男性 182 例、女性 139 例であっ た。平均年齢は51.2 歳(0 歳~93 歳)であり、71 歳以上が 110 例であり全体の 34.3%を占 めていた。また1 歳未満の症例も 51 例あった。診療科別では内科系が 83 例、外科系が 127 例であり、ICU で投与されている症例は 67 例であり全体の 21%であった。総投与量は全体で 28866gであり、投与量の平均は、89.9g(4g~1560g)であり、投与日数の平均は 4.9 日 (1 日~59 日)であった。投与前にアルブミン値が測定していなかったのは 1 歳未満の症例を 除けば 270 例中 37 例で全体の 14%、また投与後に測定していなかったのは、同じく全体の 14%であった。また投与前後で 1 度もアルブミン値を測定いていない例が 11 例みられた。 【考察】性別では男性が多く、年齢別では61 歳以上が約 50%を占めており、年齢の高い患者 さんに使用されている傾向がみられた。また、当院では周産母子センターがあるため、新生児 を含む 1 歳未満の症例についても使用されていることがわかった。投与量については、平成 17 年度において、当院のアルブミン製剤使用量は、RBC 量 6012 単位、アルブミン量 10039 単位であり、使用比率は1.7 となり、輸血管理料の施設基準値 2.0 未満は達成していた。しか し、今回の調査で、投与日数や投与量が必ずしも適正といえない症例があり、またアルブミン 値を測定していない症例などもあることがわかった。今後は、輸血療法委員会などを利用し、 さらに適正使用についての教育および啓蒙を行う必要があると考えられた。演題 14