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Academic year: 2021

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論文内容要旨

Modulation of Th1/Th2 Cytokine Balance by Quercetin In Vitro

(In VitroにおけるケルセチンのTh1/Th2サイトカインバランスに与える影響)

Medicines Vol.7 No.8 P.46 2020年 DOI:10.3990/medicines7080046

外科系 耳鼻咽喉科学 田中 義人

アレルギー性鼻炎 (AR) は, 鼻粘膜におけるIgE依存性の慢性炎症性疾患であり, その発症・

増悪化にはIL-4やIL-5等のTh2サイトカインが重要な役割をはたしていることが知られてい る. 一方, ケルセチンは主に玉ねぎやブロッコリーなどの様々な野菜に含まれているフラボノ イドでARの発症・悪化を軽減することが報告されている. 過去の研究から免疫刺激後の好酸球 およびマスト細胞からの炎症性サイトカインおよびケモカイン(IL-5, エオタキシン, RANTES など)の産生を阻害することが知られている. また, 喘息のマウスモデルを用いてIL-4の上昇 を抑制し, 気管支肺胞洗浄液中のIFN-γを上昇させ喘息反応を減衰させた報告や末梢血中の単 核細胞からのIL-4の産生を阻害する報告もあるがmRNA発現の阻害を介したIFN-γの反応を含 めた Th2 サイトカイン産生に対するメカニズムについては検討されていない. 本研究では in

vitroでCD4+T細胞からのサイトカイン, mRNAやリン酸化におよぼすケルセチンの効果を細胞

培養実験によって検討した. ヒト末梢血CD4+T細胞 (1×10cells/mL) を, 0, 1.0, 2.5, 5.0, 7.5, 10.0μMのケルセチンの存在下で10.0 ng/mLのIL-4で刺激した. 24時間後の培養上清中 のIL-5, IL-13, およびINF-γの濃度をELISA法で測定した. サイトカインのmRNA発現に対す るケルセチンの影響に関しては, IL-4刺激4時間後にRT-PCRを用いて検討した.転写因子NF- κBとSTAT6のリン酸化についてもそれぞれIL-4刺激1時間後にELISA法で測定した. ケルセ チンで細胞を処理するとIL-4刺激によるIL-5とIL-13産生並びに転写因子のリン酸化, サイ トカインmRNA の発現が抑制され, 統計学的に有意な最小抑制濃度は5.0μM であった. また, 5.0μM のケルセチン濃度では, IL-4によって誘導されるIFN-γ産生抑制を阻止した. NF-κB はIL-4がIL-4受容体γ鎖に結合することでリン酸化されSTAT6はIL-4がIL-4受容体α鎖に 結合することでリン酸化される転写因子である. 今回の結果からはケルセチン処理により in vitroでアレルギー性疾患の誘因であるIL-4刺激によるIL-5, IL-13を抑制することが確認さ れ、さらにIFN-γの産生抑制を阻害しているがこれらは転写因子活性を抑制することでARに対 する有用な反応を示していると考えられた. その機序としてはin vitroで炎症刺激後のマスト 細胞内の遊離Ca2+の増加抑制の報告やチロシンキナーゼの阻害作用の報告もあることからIL-

4 刺激後の Ca2+レベルの増加を抑制しリン酸化を阻害した可能性が考えられ今後の更なる検証

が求められる. 以上のことからケルセチンの Th2 サイトカインに対する産生調節作用が,

Th1/Th2サイトカインバランスにおいてARに対する効果に寄与している可能性が示唆された.

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