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不登校の予防

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Academic year: 2021

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生徒指導リーフ

文部科学省

国立教育政策研究所

National Institute for Educational Policy Research

不登校の予防

Leaf.14

Leaf over the theory and practice on Seitoshidou!

※最新版を、http://www.nier.go.jp/shido/leaf/leaf14.pdf から、直接にダウン ロードできます。

生徒指導・進路指導研究センター

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二種類の不登校予防

不登校になってからの事後の働きかけに対し、不登校にならないように する事前の働きかけが「不登校の予防」です。これには、教育的予防の「未 然防止」と治療的予防の「初期対応」の二種類があります。

①「未然防止」(教育的予防の発想の働きかけ)

特定の児童生徒を想定せず、全ての児童生徒を対象に学校を休みたいと思わせ ない「魅力的な学校づくり」を進めることを指します。授業や行事等の工夫や 改善が基本です。

②「初期対応」(治療的予防の発想の対応)

学校を休みそうな児童生徒や休み始めた児童生徒に個別対応することを指しま す。いわゆる「早期発見・早期対応」ですが、欠席日数が 30 日を超えるまでは「不 登校」とは呼ばないので、「休み初め」の意味で「初期」と表現します。

♦全ての児童生徒が問題を回避・解決できる大人へと育つことを目標に行う、

健全育成型の予防(=教育的予防)の考え方に立つ「不登校の未然防止」。

♦問題を起こしそうな児童生徒を念頭において行う、問題対応型の予防(=

治療的予防)の考え方に立つ「不登校の初期対応」。

不登校の未然防止

不登校という事象に対して学校がまず取り組むべきことは、全ての児童生徒が学校に来 ることを楽しいと感じ、学校を休みたいと思わせないような、日々の学校生活の充実で す。どの児童生徒も落ち着ける場所をつくること(居場所づくり)、全ての児童生徒が 活躍できる場面をつくること(絆

きずな

づくりのための場づくり)が鍵になります。

 学校の当然の取組 

 そもそも学校というのは、児童生徒が健全に育つことを目的としてつくられた、教育のための 機関です。とりわけ、義務教育段階の小中学校については、健全な社会人になる上で必要な基礎 的・基本的な資質や能力を育むこと、それを活

かして自らの夢や社会の理想の実現に向かおうと する意欲や態度を育むことが期待されています。

 学校を長期にわたって欠席する児童生徒が多いような場合、学校の在り方になにがしかの問題 が生じていると受けとめていく必要があります。もちろん、社会の変化とともに家庭や地域の教 育力の低下が起き、それが問題を引き起こしている場合も少なくありませんが、そうした事態の 変化を前提として授業や行事の見直しを行うことが求められています。

*生徒指導研究センター 生徒指導リーフ / Leaf 2『「絆づくり」と「居場所づくり」』(平成 24 年 2 月)や同 Leaf 3『発 達障害と生徒指導』(平成 24 年 2 月)を参照。

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♦児童生徒の力を育む ( 健全発達を促す ) つもりで大人主導のトレーニング に終始するのは、むしろ成長発達の機会を奪っていることに気付く。

♦問題を抱えた児童生徒に有効な治療的手法を、予防のつもりで全ての児童 生徒に実施する場合には、彼らを「病人扱い」していないか注意する。

不登校の初期対応

不登校の予兆とは、1日、2日、…と児童生徒が学校を休み始めることにほかなりませ ん。欠席日数が 30 日を越えるまでには少なくとも1か月半の猶予期間がありますから、

この初期の段階で児童生徒の状況に応じた働きかけを適切に行うことが大切です。

 前年度までの欠席状況が鍵 

 前の学年で 30 日以上の長期欠席が見られた児童生徒や、前の学年までに累積で 30 日以上の 欠席が見られる児童生徒の場合には、欠席が2〜3日続いただけであっても不登校の予兆と捉え ましょう。また、前年度までに欠席や遅刻・早退等が目立つ児童生徒の場合には、休み始める前 から注意を払ったり、働きかけを行ったりすることも大切です。学級編成や担任を決めるときに 配慮することなども考えられます。

 なお、「魅力的な学校づくり」を進めているのに、そしてほとんどの児童生徒は登校している のに、ある日突然、休みがちではなかった児童生徒が連続して学校を休むとすれば、それは異常 事態です。病気やケガによるものでないなら、いじめや家庭内暴力・児童虐待等の可能性を疑い ましょう。

 いずれにしても、前年度の欠席状況を知っていれば、特別な心理検査等を行わずとも、誰にで も予兆か否かを判断したり、事前の準備ができたりするわけですから、基本的な情報として教職 員で共有しておくことが大切です。

★ 「 教育的予防」と「治療的予防 」 ★

 生徒指導リーフ5『「教育的予防 」 と「治療的予防」』で詳述している通り、両者は基 本的な考え方、対象となる児童生徒、児童生徒は主体か客体か等に違いがあります。

「教育的予防」

 体力の向上や免疫力の向上のように、そもそも問題を起こさなくてすむよう、将来に わたって自ら問題を回避・解決していけるよう、児童生徒が成長発達することを促す教 育的視点に立った働きかけ。全ての児童生徒が対象であり、活動も児童生徒が主体のも のが中心で、大人は適切な場や機会を提供する黒子の役割を果たす。

「治療的予防」

 早期発見・早期対応のように、治療の延長線上で早めの対応を開始し、予想される問

題の早めの解決や解消を図れるよう、問題に関する専門性を有する大人が児童生徒を変

えていく治療的視点に立った働きかけ。問題が顕在化した(あるいは潜在している可能

性の高い)児童生徒が対象であり、活動も大人が主導し、児童生徒は客体となる。

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 ★ワンポイント・アドバイス★ 

検査やスキルトレーニングに依存する前にすべきこと

 「開発的・予防的」という形容詞がついていると教育的予防と考えられがちですが、大きな 誤解です。特定の問題や課題を抱えた児童生徒を想定して開発されたり、実施されたりしたも のの場合は、形容詞の如

い か ん

何を問わず、治療的予防の手法です。また、問題を抱えた児童生徒を 特定したり、そうした児童生徒を何とかしたりする目的で実施しようとするなら、手法の如

い か ん

何 を問わず、やはり教育的予防の取組とはなりません。

 問題そのものの解消や除去という問題解決は、医療現場においては最も重要なことです。そ のために様々な医療行為が開発され、人々の役に立ってきました。それらの多くは、科学的な 検証も行われており、その効果には大きな信頼と期待が寄せられています。しかし、だからと 言って、そうした考え方をそのまま教育現場に持ち込むことがよいとは限りません。

 教育現場においても、医療行為に準じた問題解決が求められる場合はあります。例えば、重 大な事故が生じた場合には、学校だけで対処しようとせず、外部の専門家の協力も得ながら取 り組むことでしょう。しかし、それは教育現場にとって一種の緊急事態・異常事態だからです。

それに対して、授業に集中できない児童生徒が多かったり、集団活動が苦手な児童生徒が多かっ たりするとき、外部の専門家に依存する考え方は、どうでしょうか。

 教育の在り方を見直す際に忘れてならないことは、教育の営みと(例えば)医療の営みとで は、共に児童生徒の幸福を願うものではあっても、それを実現する基本的な発想が異なるとい う点です。とりあえずは健康な状態にある児童生徒を想定するのか、特別な問題を抱えた特定 の児童生徒を想定するのかでは、働きかけの方法も有効性も異なるのです。

 「早寝早起き朝ごはん」が強調されるのは、基本的な生活習慣や日々の食事が基本だからです。

その上で、欠乏しがちなものを補うためにある種のサプリメントや薬を摂取することは、そこ に科学的な裏付けがある限り、悪いことではないかも知れません。しかし、日々の食事をおろ そかにしたまま、サプリメントや薬で補えばよいという考えになると、話は別です。

 問題が多発するからとばかりに、日々の授業や行事を充実させる代わりに検査やトレーニン グに依存していないでしょうか。そうした発想に立つと、問題の原因は児童生徒の側

がわ

にあり、

児童生徒の側

がわ

を変える(治療する)ことが正しいことになって、未熟な教師にはとても魅力的 に聞こえるはずです。なぜなら、 「悪いのは児童生徒やその家庭にある」という前提に立てば、 「自 分は悪くない。自分が変わる必要はない」ということになるからです。教師の未熟さを補うた めに検査やトレーニングを導入しているという事態になってはいないか、もう一度問い直しを してみる必要があります。まず向上させるべきは、授業の中で児童生徒を育てられる力量です。

文部科学省

国立教育政策研究所

National Institute for Educational Policy Research

初版発行 平成26年4月

★当

センターで作成した調査研究報告書等一覧:http://www.nier.go.jp/shido/centerhp/3.htm

編集 生徒指導・進路指導研究センター

   TEL 03-6733-6880

   FAX 03-6733-6967

参照

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