2018 ESC Guidelines
for the diagnosis and management of syncope
2018年6月5日
聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 金光 陽子
European Society of Cardiologyが提唱する
「失神の診断とマネジメントに関するガイドライン」が改定された
ESC Guideline
•
欧州心臓病学会が提唱するガイドライン•
日本循環器学会が提唱するガイドラインでも多数引用される•
今回の失神のガイドラインは、循環器内科医の他、救急、内科、生理学、神経、自律神経疾患、老年学、看護の専門家によって作成されている
•
不適切な入院や検査を減らし、患者の安全を守ることを目標としている目次
• 序文
• 新しい概念と改正点
• 言葉の定義
• 失神の分類
• 失神の病態生理
• 初期評価
• 診断
• 治療
• 失神のmimics
• 失神ユニット
• まとめ
序文
推奨は4段階評価
推奨の階級
エビデンスレベルA:多数のRCT or メタアナリシス
エビデンスレベルB:1つのRCT or RCT以外の大規模研 究エビデンスレベルC:専門家の意見 or 小規模研究
エビデンスレベル
新しい概念と改正点
新規/改訂された 臨床背景と検査
p
Tilt試験:「低血圧耐性」p
ECG長期観察の有用性p
失神疑い患者のビデオ録画p
「ATP感受性失神」p
てんかんに伴う心静止失神マネジメントユニット
p
構成:スタッフ、設備、手順p
検査とアセスメントp
アクセスと紹介p
クリニカルNsの役割p
アウトカムと医療の質新規/改訂された適応と治療
p
反射性失神:年齢と重症度に基づいた治療のアルゴリズム
p
反射性失神:ペースメーカー 適応患者選別のアルゴリズムp
心突然死リスク患者:原因不明失神の定義とICDの適応
p
ICDの代替としての植え込み型除細動器の可能性
ERでのマネジメント
p
低リスクと高リスクの特徴p
リスク層別化フローチャートp
ERでの経過観察と失神ユニッp
ト入院の基準p
リスク層別化スコアの有用性2 1 2
0
: - :
:
-
: - ::
-
: - :
- -
- - -
- -
用語の定義
大脳半球の低灌流を原因とする、
突然発症で持続時間が短く、自然に完全回復する一過性意識消失
失神
無意識となっている時間の健忘症、異常な運動制御、応答性の欠如、
持続期間が短いことを特徴とする、明らかな意識消失
一過性意識消失(TLOC)
1
反射性失神 起立性低血圧 心原性失神
全般性・強直性
・間代性・強直間代性
・脱力
心因性偽失神(PPS)
心因性非てんかん発作
(PNES)
鎖骨下動脈盗血症候群 椎骨脳底動脈系TIA SAH泣き入りけいれん
, - 1 1 , - 1- 1 - -7
反射性失神 起立性低血圧 心原性失神
全般性・強直性
・間代性・強直間代性
・脱力
心因性偽失神(PPS)
心因性非てんかん発作
(PNES)
鎖骨下動脈盗血症候群 椎骨脳底動脈系TIA SAH泣き入りけいれん
, - 1 1 , - 1- 1 - -
p 「収縮期血圧の低下による大脳の低灌流」
p 6-8秒の脳血流の途絶が一過性意識消失を発症しうる
p 血圧50-60mmHg(起立時で脳灌流圧が30-45mmHg)の際に一 過性意識消失を発症すると言われている
失神の発症機序
Brain 2014; 137:576-585
Brain 2009; 132:2630-2642
反射性失神
心原性失神
起立性低血圧
失神はすべて、
低血圧
➔
脳の低灌流が原因 その機序は・末梢血管抵抗↓
・心拍出量低下↓
心原性失神はもちろん 心拍出量低下
反射性失神と起立性低血圧は どちらのパターンもある
反射性失神
心原性失神
起立性低血圧
失神の分類
反射性(神経介在性)失神
●血管迷走神経性
起立性情動性(恐怖、疼痛、血液恐怖)
●状況性
排尿嚥下、排便
咳嗽、くしゃみ
運動後その他の状況性(笑う、吹奏楽の演奏中)
●頸動脈洞症候群
●その他(非分類)
起立性低血圧による失神(OH)
●薬剤性(最多)
例 血管拡張薬、利尿薬、フェノチアジン、抗うつ薬
●体液喪失
出血、下痢、嘔吐
●一次性自律神経障害
自律神経障害、多系統萎縮症、パーキンソン病、レビー 小体型認知症
●二次性自律神経障害
DM、アミロイドーシス、脊髄損傷、自己免疫性自律神 経障害、傍腫瘍症候群、腎不全
*低血圧は運動中や食後、長期の安静臥床後に増悪する*
心原性失神
●一次性の不整脈
●徐脈洞不全(徐脈頻脈症候群も含む)
房室伝導系の異常
●頻脈上室性 心室性
●器質的な心疾患
AS、AMI、肥大型心筋症、粘液腫や心臓腫瘍、心タンポナー デ、先天性心奇形、人工弁の機能不全
●心臓と肺の大血管
PE、急性大動脈解離、肺高血圧
初期評価
TLOCを疑う病歴より
非失神性のTLOC
心因性TLOCてんかん 稀なTLOC
失神 TLOC否定的
TLOCを疑う病歴より
非失神性のTLOC
心因性TLOCてんかん 稀なTLOC
失神 TLOC否定的
病歴と身体診察、心電図初期評価 仰臥位と起立時の血圧測定
TLOCを疑う病歴より
非失神性のTLOC
心因性TLOCてんかん 稀なTLOC
失神 TLOC否定的
診断が不確か
➔
次スライドを参考にする 病歴と身体診察、心電図初期評価仰臥位と起立時の血圧測定
反射(神経介在)性失神
特に40歳前までに長期に渡って再発している 不快な光景、音、匂い、痛みの後に発症
長時間の立位 食事中
人混みや暑い場所
失神の前に顔面蒼白や冷や汗、嘔気/嘔吐
頭位変換や頸動脈洞の圧迫(腫瘍や髭剃りやタイトな襟)を伴う 心疾患がない
診断の補助となる各失神の臨床的特徴
起立性低血圧による失神 立位の間あるいは起立後 長時間の起立後
運動後に起立している 食後低血圧
血管抑制薬や利尿薬の開始や用量変更
自律神経障害やパーキンソニズムを伴う
心原性失神
労作時あるいは起立時 突然発症の動悸直後
家族内に原因不明の若年死
器質的な心疾患あるいは冠動脈疾患の存在 不整脈性失神を疑う心電図所見
・二束ブロック(左脚ブロック、あるいは左脚前枝 or 左脚後枝ブロックを伴う右脚ブ ロック)・その他の心室内伝導遅延(QRS 0.12s)
・MobitzⅡ型のAVブロックとPRの著明な延長を伴う1度AVブロック
・陰性変時作用薬がない中での無症候性の不適切な洞性徐脈(40-50bpm)or slow Af
(40-50bpm)
・non-sustained VT
・早期興奮性QRS群
・QT短縮 or QT延長
・早期再分極
・Brugada型心電図
・右胸部誘導の陰性T波やイプシロン波(ARVCを示唆する)
・肥大型心筋症を示唆する左室肥大
TLOCを疑う病歴より
非失神性のTLOC
心因性TLOCてんかん 稀なTLOC
失神 TLOC否定的
病歴と身体診察、心電図初期評価 仰臥位と起立時の血圧測定
リスク層別化
リスクの層別化
低リスク
予兆(頭痛、温かい感じ、嘔気/嘔 吐)のある反射性失神
予期せぬ不快な光景、音、匂い、痛 みを伴う
長時間の起立や、混んだ場所あるい は暑い場所
食事中や食後
咳や排便、排尿後
頭囲変換や頸動脈洞の圧迫を伴う 仰臥位や座位から立位
高リスク(Major)
新規発症の胸部不快感、呼吸困難感、
腹痛、頭痛
労作時や仰臥位での失神 突然発症の動悸直後の失神 高リスク(Minor)
*心疾患やECG以上を伴う場合*
警告症状なし、短い前失神
(<10s)
原因不明の若年死の家族歴 座位での失神
①発症時の状況
低リスク
現在のエピソードと同様の低リスクの 特徴のある、長期に渡って再発性の失 神歴
心疾患がない
高リスク(Major)
重症な器質的心疾患 or 冠動脈疾患(心 不全、低左心機能、OMI)
低リスク 正常所見
高リスク(Major)
ERでの説明不能な低血圧(90mmHg)
直腸診で消化管出血を示唆する所見
安静覚醒時に持続的な徐脈(<40bpm)
未診断の収縮期雑音
②既往歴 ③身体所見
④心電図
低リスク 正常所見
高リスク(Major)
急性の虚血を示す心電図変化
MobitzⅡ型の2-3度 AVブロック Slow AF(<40bpm)
持続性の洞性徐脈(<40bpm) or 繰り返す洞房 ブロック or 安静覚醒時の3秒以上の洞停止
束枝ブロック、房室伝導障害、心室肥大、虚血性 心疾患や心筋症を示すQ波
持続性または非持続性のVT ICDの不具合
Type1 Brugada型
V1-V3誘導のtype 1型のST上昇(Brugada型)
繰り返すECGでQT延長症候群を示唆する QTc<460ms
高リスク(Minor)
*不整脈性失神があるときのみhigh risk*
MobitzⅠ型の2度AVブロックまたはPR の著明な延長を伴う1度AVブロック
無症候性の不適切な徐脈(40-50bpm)
or slow AF(40-50bpm)
発作性上室性頻脈 or Af 早期興奮性QRS群
QT短縮( 340ms)
非典型的なBrugada型
ARVCを示唆する右胸部誘導の陰性T波、
イプシロン波
該当項目が全て
低リスク どちらのリスク
もなし 該当項目1つで
高リスクも
ERか失神ユニットで 経過観察
精査加療のため 帰宅 入院
OK 失神外来
フォロー
(ERで初期評価後)失神
Likely 反射性失神 or 起立性低血圧
再発したら
1つでも高リスクに該当 するものがあれば必ず 精査をして、ERから帰 宅させるべきではない ER部門から帰宅させるべきで
はない(専門家の意見が必要)
ERでは6時間、入院では24時間が一般的
失神リスク層別化チャート
診断
頸動脈洞マッサージ(CSM)
禁忌ではなくなった!
40歳以上で反射性失神に矛盾しない原因不明の失神患者において推奨される
頸動脈洞症候群(CSS)は、CSMにより心抑制(徐脈/心静止)や低血圧を生じ て症状を再燃し、臨床所見が反射性失神に矛盾しない場合に診断される
改訂
頸動脈洞症候群=CSM陽性+失神
頸動脈過敏症 =CSM陽性のみ(特に高齢者や心血管リスク高い人で多い)
注意:TIAや脳梗塞の合併症(0.24%で発症)
Am JCardiol 2002;89:599-601 etc
起立試験
①sBPが20mmHg以上低下 ②dBPが10mmHg以上低下 ③sBP<90mmHg、のいず れかで、症状が再燃する場合に起立性低血圧による失神と診断される
初期の失神評価として臥位と3分間立位後の血圧測定が推奨される
起立性低血圧のように瞬時に血圧が変化する際は連続的に血圧・脈拍を計測する方が よいかもしれない
①sBPが20mmHg以上低下 ②dBPが10mmHg以上低下 ③sBP<90mmHg、のいず れかで、失神の症状が起立性低血圧に矛盾しない場合に左記と診断される
p
起立性低血圧の診断では重要Tilt試験
Tilt試験は、反射性失神、OH、POTS、PPSを疑う患者で考慮されうる Tilt試験は、患者教育のために行ってもよいかもしれない
反射性失神、OH、POTS、PPSは、Tilt試験によりそれらの循環パターンを伴った 症状が再燃すれば考慮されうる
改訂
Tilt試験 迷走神経反射を診断するための検査
= 「低血圧耐性」を評価する検査
改訂 改訂 前回まではすべてClassⅠの推奨であった
4 4 4 1 4
1 4 4 4 4 4
1 1 1
New!
自律神経機能検査
Valsalva手技は神経原性起立性低血圧(OH)を疑う患者の自律神経機能評価とし て考慮するべきである
Valsalva手技は状況性失神の状況に誘発される低血圧傾向の確認のために考慮し てもよいかもしれない
深呼吸試験は神経原性OHを疑う患者の自律神経機能評価のために考慮されるべき である
その他の自律神経機能検査(握力維持テストなど)は神経原性OHを疑う患者にお いて評価を考慮してもよいかもしれない
ABPMは自律神経失調の患者の夜間高血圧を発見するために推奨される
ABPMは自律神経障害の患者日常生活中のOHや仰臥位高血圧の程度を評価するた めに考慮するべきである
2
p
特に改訂なし心電図
高リスクの患者では迅速な院内での心電図モニタリングが推奨される
不整脈性失神は、失神と不整脈(徐脈or頻脈)との間に相関が見つかった際に診断される 無症候性のMobitzⅡ型、2度3度AVブロックや心室静止(>3秒)、あるいは長時間の速い 発作性上室性頻脈やVTが検出された際には、不整脈性失神の可能性を考慮する
p
心電図モニタリング中に1.9-17.6%で不整脈が検出されたJ Emerg Med 2014;47:113-118 etc
Holter心電図
p
モニタリング中に1-2%の患者でしか症状が再燃しないp
15%の患者で不整脈と症状に関連がなく、不整脈が症状の原因で ないことの除外には使えるかもしれない頻回(1週間に1回以上)の失神/前失神を繰り返す患者では考慮するべきである
推奨:前回 Class Ⅰ ➔ 今回 Class Ⅱa
Am JCardiol 2002;89:599-601
植込み型ループレコーダー(ILR)
ILRは原因不明の再発性失神の患者、高リスクでない患者、デバイスのバッテリーの範囲内 で再発する可能性が高い患者の早期評価において推奨される
ILRは頻回な失神や重症の失神を呈する反射性失神(疑い)患者において推奨される
NEW!
ILRはてんかんが疑われるが治療効果がない患者で考慮してもよいかもしれない ILRは原因不明の転落患者において考慮してもよいかもしれない
ILRは、高リスクの患者で、包括的な評価で失神の原因が不明あるいは特定の治療につながらず、
一次予防目的のICDの従来の適応やペースメーカーの適応がない患者で推奨される
ILRは原因不明の転落患者において考慮してもよいかもしれない
NEW!
p
5つのRCTのメタ解析で、失神の原因不明患者の精査において植え込み型ループレコーダーが 従来の検査に比べ優れた診断精度を示している植込み型ループレコーダー(ILR)
p
植え込みの方法:①心電図のV2-3の電極の位置に1cm程度の皮膚切開を入れ る②専用のキット(左上画像)を用いて挿入する
③皮切部を縫合する
p
記録の最長期間は3年(2018年現在)// . . .. . . /
ATP試験
目的:ペースメーカー適応の選別のための試験
試験方法:ECGモニター下にATPを20mg急速投与し、下記いずれかの所見がで たら陽性
①6秒以上の心静止を伴うAVブロック
②10秒以上続くAVブロックの所見
➔
ペースメーカー適応選別のためのATP試験は、推奨されなくなったp
現在までのstudyでは、ATPによりAVブロックが誘発された症例で、植え込み型ループレコーダーによりECG異常がdocumentされたというデータはない
「ATP感受性失神」
ATP試験が陽性になる
(特に前失神/エコー異常/ECG異常なしの症例で多い)
NEW!
ATP感受性が高い
➔
発作性AVブロック➔
失神するp
臨床的意義に関しては今後の調査が待たれるビデオレコーダー NEW!
家庭でのイベントの様子をビデオ録 画することは考慮されるべきである
Tilt試験+ビデオ録画は、イベント の内容を十分に検証するために考慮 してもよいかもしれない
p
心因性失神や失神誘発性けいれんとの鑑別には役立つ可能性あり心臓電気生理学的検査(EPS)
:アブレーション
OMIやその他、心臓に後遺症が残る失神患者では、非侵襲的な評価で失神原因が不明 の場合にEPSが推奨される
二束ブロックのある失神患者では、非侵襲的な評価で失神原因が不明な場合にEPSが 考慮される
無症候性の洞性徐脈のある失神患者では、非侵襲的な検査で失神と徐脈との関連性が 不明な場合にEPSを考慮してもよいかもしれない
突然の短時間の動悸が先行する失神の患者では、非侵襲的な評価の後にEPSを考慮し てもよいかもしれない
0 0
p
EPSは、心電図異常なし、心疾患なし、動悸なしの患者では一般に有用ではない心エコー
心エコーは心疾患が疑われる患者の診断とリスク層別化のために推奨される
HCMで失神歴があり、安静時や誘発された左室流出路圧較差は50mmHg未満の患者では、
左室流出路狭窄を見つけるために立位や坐位、半仰臥位での運動中の断層ドップラーエ コー評価が推奨される
AS、閉塞性の心臓内腫瘍・血栓、心タンポナーデ、大動脈解離は、エコーでそれらの典型 的な特徴を認めた際には最も失神の原因となりうる
p
病歴、身体所見、心電図から心疾患(特にAS,HCMなど)が疑われる場合には 有用性の高い検査 J Gen Intern Med 1995;10:649-655Heart 2002;88:363-367
治療
反射性失神
起立性低血圧 心原性失神 原因不明の失神
心臓突然死高リスク or 高頻度予測不能 予測可能
or 低頻度 不整脈 心肺の
器質的疾患 CAD、DCM、HCM、
ARVC、LQTS、Brugada
疾患の治療 ICD治療のリスクと 利点を検討
不整脈の治療 トリガー教育と
回避で十分 特定の治療を
考慮 or 治療を保留
反射性失神の治療法
慢性的に低血圧
(110mmHg程度) 前失神 血圧降下薬 心抑制優位
フルドロコルチ ミドドリンゾン
失神回避法 中止
or 減量
重症 or 再発
ILRによる マネジメント
(Class Ⅰ)
YES NO
疾患教育とトリガーや状況回避
<40歳 >60歳
ペーシング心臓
(ClassⅡa/b)
推奨:前回Class Ⅱb
➔
今回 Class Ⅱa失神回避法
後負荷を挙げることで血圧を上昇させる
反射性失神のペーシング適応
心抑制系の 頸動脈洞症候群
(Class Ⅱa)
誘発されるテストで
(ClassⅡa)
Tilt試験で
(Class Ⅱb)
心静止 アデノシン 感受性失神(Class Ⅱb)
Document失神が
(Class Ⅲ)
されない 心静止?自然と 誘発試験で心静止? NO
ペーシング 適応
ペーシング 適応なし
改訂
推奨:前回Class Ⅱb
➔
今回 Class Ⅱa疾患教育とトリガーや状況回避 適切な補水や塩分摂取 血管作動薬の中止/減量
ミドドリン フルドロ コルチゾン 睡眠時のヘッドアップ
ストッキング腹帯や 失神回避法
(Class Ⅱa)
症状が続けば…
起立性低血圧による失神の治療法
ブロック2,3度
二束ブロック
(ECGで徐脈が検出されない)
ECGで徐脈が 検出される
(Class Ⅰ)
症候性 無症候性 EPS/ILR 陰性 or(Class Ⅱb)
未施行洞不全やAVブロックによる失神
ペーシング 適応
AVブロック2,3度
(Class Ⅰ)
EPS or ILR
(Class Ⅰ)
陽性改訂
改訂
p
Af bradyの患者も患者でもペーシングの推奨がClassⅡb➔ Ⅰとなった
p
EPS/ILR陰性 or 未施行患者ではペーシングの推奨はClass Ⅱa➔ Ⅱbとなった
5 5 8
: 5 5 5
頻脈性失神
改訂
抗不整脈薬 抗不整脈薬
アブレーション
(Class Ⅰ)
p
上室性頻脈(SVT)での抗不整脈薬はアブレーションまでの橋渡し or アブレーション失敗例に限られる推奨:前回Class Ⅰ
➔
今回 Class Ⅱアブレーション
(Class Ⅰ)
〜心突然死(SCD)高リスク患者〜 治療
「原因不明失神」の定義
• 前述の失神分類いずれのClassⅠの診断基準も満たさな い失神
• Low EFやHCM、Brugada、ARVC患者の原因不明の 失神は、「不整脈性失神」を考慮される
New!
1 1 1
1 6 1 1
ICDは、3ヶ月の内服治療後でも EF<35%の患者で、かつ1年以上 の生存が期待できる患者の心臓突 然死を減らすために推奨される
I現在のICDの適応がないけEF
35%の収縮不全&原因不明の失神 では、突然死のリスクをへらすた めに考慮するべきである
改訂
Low EF&失神:ICD
推奨:ClassⅡb
➔
Ⅱaへの変更p
観察研究レベルで、現在のICD適応がないEF低下患者でも原因不明の失神があれば 失神の再発率やDCの作動率、死亡率が高い J Am Coll Cardiol 2004;44:594-601etc高リスクHCM&失神:ICD
原因不明の失神を発症した患者の ICD植え込みの適応は、ESC HCM のRisk-SCDスコアに基づいて推奨
される 改訂
原因不明の失神を繰り返すがHCM Risk-SCDスコアでは心突然死のリ スクは低い患者では、ICDのかわり にILRは考慮されるべきである
3
推奨:ClassⅡa➔
Ⅰへの変更p
システマティックレビューにおいて原因不明失神の突然死の平均ハザード比が2.68Europace 2010;12:313-321etc
ARVC&失神 :ICD
ICDはARVCの患者で原因不明 の失神があれば考慮してもよい かもしれない
原因不明の失神を繰り返すが心突 然死のリスクが低い患者では、
ICDではなくILRを考慮してもよ いかもしれない
改訂
推奨:ClassⅡa
➔
Ⅱbへの変更6 4
p
ARVCと失神の関連に関しては限られたデータしかない➔
リスクを考慮してICDの適応を判断するLong QTとBrugada:ICD
●Long QT症候群
十分なβ-blocker投与下で原因不明の失神を発症したら、ICDが推奨 される(ClassⅡa)
●Brugada症候群
type1心電図パターンが認められ、原因不明の失神歴がある患者では、
ICDが推奨される(ClassⅡa)
再発性かつ原因不明の失神歴がある心突然死低リスク患者ならば、ICD
のかわりにILRを考慮しても良いかもしれない(Class Ⅱa)
失神のmimics
New!
てんかんと失神
●発作性心静止(ictal asystole)
p 部分複雑発作中に徐脈や心静止、AVブロックを発症 p 発作のonsetより5-100秒以内に発症
p 頻度:てんかんの0.3-0.5%
p 原因:痙攣による迷走神経過活動 p 転機:自然に回復する
p 治療:抗けいれん薬やペーシング
●失神てんかん発作(syncopal epileptic seizure)
p 失神後にけいれんを発症 p 低酸素がトリガーとなる
p 幼児の迷走神経反射や憤怒けいれんで認める
p 典型的には失神後突然間代性のけいれんとなり数分続く
てんかんと失神
●TIA p
内頚動脈系のTIAは一過性意識消失(LOC)の原因にならないp
椎骨脳底動脈系のTIAではLOCは発症しうるが、「常に」四肢の脱力、失調、めまい、複視、眼振、構音障害、眼球運動異常など focal signを伴う(このうち一症状しか呈さない患者は、わずか1%未満である)
p
鎖骨下動脈盗血症候群(左側が多い)椎骨脳底動脈系のTIAを起こしうるが、通常腕の労作で痺れや失神の症状が増悪す る
脳血管疾患
稀な例外)起立性TIA(血管high risk患者で、反復性で起立性の失神)
focal signも鎖骨下動脈盗血症候群のsignもないLOCの報告は一例もな
い
脳血管疾患
●SAH 意識消失の表現型は、進行性のことが多いがTLOCのこともある
ただし、突然発症のひどい頭痛の有無で鑑別は可能
その他
●カタプレキシー
情動によって誘発される麻痺
意識なさそうに見えても本人は意識があり、健忘もないのが特徴 ナルコレプシーの特徴の一つ
●脱力発作
中年の女性に多い(男性には稀)
意識消失を伴わず、一過性の脱力のみで直ちに自分で起立できる
●偏頭痛 迷走神経反射や起立性低血圧を起こしやすい
頭痛と同時に発症することは少ない
神経学的検査
●脳波発作間欠期の脳波はてんかんを除外できない(てんかんの可能性は臨床的に判断す る)
➔
てんかんを一番疑う or 臨床所見があいまいなときでなければ推奨されない●頸部エコー検査
典型的な失神患者において頸部エコー検査の有用性を示したstudyはない
●CTとMRI
単純な失神に関しては基本的にはCTとMRIは施行するべきではない
パーキンソニズム、失調、認知機能障害がある際にはMRIが推奨される(Class Ⅰ)
失神患者において、脳波、頸部エコー、CT検査、MRI検査は推奨されな
い (ClassⅢ)
失神ユニット
(SU:syncope unit)
●態勢
•
院内の定められたプロトコルに従った医療を行う•
不可欠な設備 12誘導ECG モニター心電図非侵襲的連続血圧計 チルトテーブル
ホルター心電図
•
確立されるべき手法 心臓エコー検査電気生理検査 運動負荷試験 神経画像検査
•
必要に応じて専門医へ紹介体外式ループレコーダー 植込み型ループレコーダー 24時間血圧モニタリング 自律神経機能検査
●目的・正確で有効な早期診断
・専門医への良好なアクセス
・タイムリーな治療
・推奨ガイドラインの適用
・入院期間の短縮
・医療費の削減
●SUのスタッフ
・いずれかの領域の専門医1人 以上が失神専門医となる
・他科の紹介先を確保しておく
・医師、専門看護師/専門ス タッフ、関与する診療科専門医 などで構成する
提唱される失神ユニットの構想
まとめ
本ガイドラインのコンセプト
•
欧州心臓病学会が提唱するガイドライン•
日本循環器学会が提唱するガイドラインでも多数引用される•
今回の失神のガイドラインは、循環器内科医の他、救急、内科、生理学、神経、自律神経疾患、老年学、看護の専門家によって作成されている
•
不適切な入院や検査を減らし、患者の安全を守ることを目標としている・ 入院適応に関して
リスク層別化により、低リスク患者では帰宅が推奨される
・脳波に関して
てんかんを疑う状況が続いていない限り、脳波を推奨していない
・CTに関して
失神疑いにおける推奨はない
・MRIに関して
パーキンソニズム、失調、認知機能障害がある場合のみ、MRIの施行 を推奨している
まとめ
本施設での推奨
•
失神患者では、病歴・身体所見・心電図よりリスク層別化を行い、入院適応を考慮する