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佐藤, 和雄

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

急性二酸化炭素中毒におけるラット前頭葉・視床下 部の遺伝子発現に関する研究

佐藤, 和雄

https://doi.org/10.15017/1654800

出版情報:Kyushu University, 2015, 博士(歯学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

(2)

(様式3)

氏 名 :佐 藤 和 雄

論 文 名 : Expression of mRNA in the frontal cortex and hypothalamus in a rat model of acute carbon dioxide poisoning

(急性二酸化炭素中毒におけるラット前頭葉・視床下部の遺伝子発現に関する研究)

区 分 :甲

論 文 内 容 の 要 旨

法医学ではドライアイス等の事故による急性二酸化炭素(CO2)中毒の死亡例に遭遇することがある。解剖に おいては諸臓器の鬱血以外に特異的な所見が乏しい。急性CO2中毒の死因は高度の呼吸性アシドーシスに基づ く致死性不整脈で生じるという説や、中枢神経抑制や副交感神経作用の増強により、呼吸および循環抑制をき たすとする説がある。しかしながら、急性CO2中毒の病態生理学的メカニズムは明らかになっていない。この 問題を解決する目的で、本研究では10%から60%までに調整したCO2をラットに暴露し、mRNAの発現の変 化を調べた。

急性CO2中毒の候補遺伝子を決定するにあたり、Wistar系雄性ラット8匹について、3種混合麻酔薬を腹腔 内に投与し、40% CO2を15分間暴露した。暴露後、頚椎脱臼によりラットを死亡させ、脳から前頭葉と視床 下部を摘出して、total RNA抽出、続いてcDNA合成を行った。cDNA遺伝子をマイクロアレイにて解析し、

前頭葉と視床下部でそれぞれ抽出された遺伝子のGene Ontology解析およびクラスター解析を行った。この両 者の解析よりG蛋白共役受容体のパスウェイの中には恒常性機能・神経機能に関わりがある遺伝子が含まれて いることが判明した。それらの遺伝子を中心にそれぞれ5つの候補遺伝子を選択した。次に、ラット10匹を1 群とし、10%から60%に調整したCO2を15分間暴露して、候補遺伝子についてそれぞれリアルタイムPCR を行った。

ラットは、対照群(0%)、10~40% CO2暴露群では全て生存したが、60% CO2暴露群では10匹中4匹が10~15 分の間に死亡した。前頭葉でAgps mRNAの発現は0%~40%と60%の間で有意差を認め、Hspb2 mRNAの 発現では40%と0~20、60%間で有意差を認めた。一方、視床下部ではPpy mRNAの発現は20%と60%間で、

Crhr2 mRNAの発現は0%と60%間で有意差を認めた。

本実験の60% CO2吸引で10匹中4匹のラットが10~15分の間に死亡したこと、前頭葉、視床下部共に高濃 度のCO2 (40、60%) 吸引で特定の遺伝子の変動が著明に見られたこと等を併せ考えると、40、60%の高濃度 CO2の吸引で重篤な急性CO2中毒に陥る可能性があると考えられた。また、高濃度CO2の吸引により、前頭 葉ではAGPSとHSPB2の増加によって知的活動機能の障害を引き起こしている可能性が考えられる。一方で、

視床下部ではPPYの増減による呼吸制御も引き起こすと考えられ、CRHR2の増加により急性CO2中毒とい うストレスへの適応ができなくなることも重なり、死に至ると推定された。これらの遺伝子発現動態を詳細に 検討することで、急性CO2中毒の病態解明につながる可能性があると考えられる。

参照

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