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太陽光発電関連機械工業の大規模拠点化に関する調査 

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平成 20 年度 

太陽光発電関連機械工業の大規模拠点化に関する調査 

〜ソーラーアイランド九州の実現に向けて〜 

 

報 告 書 

2009 年 3 月 

財団法人 九州地域産業活性化センター 

 

(2)

 

 

(3)

調査によせて

世界は低炭素社会の形成に向けた取組みに邁進している。2008年からの世界同時不況に よって、世界経済は混迷を極めている。このなかで、米国オバマ新大統領が打ち出した「グ リーン・ニューディール政策」の流れ、すなわち低炭素社会を目指した社会基盤・産業基 盤を構築していくことで経済を活性化しようとする流れが世界中に広がりつつある。特に、

再生可能エネルギーに対する関心は高く、なかでも太陽光発電に注目が集まっている。

わが国は、太陽光発電に関する技術開発、産業形成、普及拡大のすべての面において、

これまで世界を牽引してきた。特に、近年では太陽光発電システムの中核をなす太陽電池 の技術レベルが向上し、政策面での普及支援もあり、太陽電池の市場は世界的に急拡大し ている。そのようななか、第2世代太陽電池とされる薄膜系太陽電池が事業化段階に突入 し、その最新の薄膜系太陽電池の生産拠点が九州に集積しつつある。薄膜系太陽電池は、

Cool Earth50エネルギー革新技術計画で想定しているコスト低減に向けたロードマップを

達成できる可能性を秘めた太陽電池であり、今後の世界的な事業拡大が期待されている。

この薄膜系太陽電池を軸として、太陽電池に係る製造検査装置、材料、部資材、最終製品

(アプリケーション・システム)、設置・施工などを加味した産業群を「太陽光発電産業」

と捉え、この太陽光発電産業を九州の新たな基幹産業として振興していくことができない かとの視点で調査を行った。九州の太陽光発電産業の実態を整理し、産業集積の促進、産 業クラスターの形成促進のための施策を提示することが調査の目的である。

 調査にあたっては、熊本大学工学部教授の谷口功委員長をはじめ、業界に精通する産学 官の関係者15名からなる委員会で熱心なご審議をいただいた。また、オブザーバー参加も 毎回10名以上に及び、委員会自体も貴重な交流の場となった。専門的な立場から財団法人 九州経済調査協会にご協力いただいた。ここに関係各位のご尽力に対して、深く感謝する ものである。

本調査が、太陽光発電産業の発展と、九州における次世代の基幹産業づくりに寄与する とともに、低炭素社会の形成に繋がれば望外の喜びである。

平成21年3月 財団法人 九州地域産業活性化センター 会長  鎌田 迪貞

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(5)

要約

九州は、第2世代薄膜系太陽電池の世界的な一大集積地となっており、これを中核にす えた太陽光発電産業の形成に向けた機運が高まっている。薄膜系太陽電池(太陽光発電パ ネル)を核にして、アプリケーション、システム機器、販売・施工、製造装置、材料など の周辺産業までを取りこんだ新しい基幹産業づくりが進められている。

きっかけは、薄膜系太陽電池(アモルファスシリコン、CIGS)で新規参入を目指してい た三菱重工業や富士電機システムズ、昭和シェルソーラー、ホンダソルテックなどの技術 が確立して量産化フェーズに突入するとともに、その製造拠点が九州に立地したことにあ る。第1世代の結晶系太陽電池で先行し、業界のパイオニアとなっているシャープ、京セ ラ、三洋電機などの老舗の拠点が関西・中部に形成されるなか、新規参入組の拠点が九州 にできた。シリコンアイランドとして、九州がこれまでに蓄積してきた半導体関連の技術 や人材という地域リソースとリンクしながら量産技術に磨きをかけつつ生産力を増強中で ある。さらに大学が持つ知的基盤でも、薄膜系で九州は強みを持つ。特に、超軽量・フレ キシブル・低コストを実現する薄膜系太陽電池として有望視されている有機系太陽電池(色 素増感、有機薄膜)に関する研究者の厚みもある。九州大学や九州工業大学、宮崎大学な どをはじめ、九州の各大学には、先端材料、デバイス構造、プロセスなど幅広い研究領域 をカバーする研究者がおり、今後は大学間連携や産学連携を通じた産業化の促進が求めら れる。すでに、北九州市に北九州薄膜太陽電池研究会(北九州産業学術推進機構)、熊本県 に有機薄膜研究会(熊本県産業技術センター)が立ち上がり、交流が始まっている。

九州の太陽電池の生産力については、各社の設備投資計画等を勘案すると、2007年に約

100MWだったものが、2010年頃には500MW程度になると見られる。今後、世界的に年

率30%成長が続いたと仮定しても、九州の生産力は世界シェア5%、国内シェア15%程度

になりそうである。その際の太陽電池の出荷額は約 2,000 億円程度になると見込まれる。

さらに、住宅向け補助金制度の復活で、政府目標にあわせて普及導入が進んでいけば、九

州で毎年200〜300億円程度の販売・施工のマーケットが生まれるとみられる。

太陽光発電産業の九州での産業群の広がりについては、「産業拠点化アンケート(対象は 九州の太陽光発電関連ならびに半導体関連メーカー926社、回答約183社、回答率19.8%)」

によると、現在太陽光関連事業に従事する企業は73 社あり、そのうち63 社(86.3%)が 今後事業拡大を目指すとしている。さらに、今後新規参入を検討している企業も31社あり、

太陽光発電関連事業に対する関心は非常に高まっている。今後は、九州の薄膜系太陽電池 メーカーの量産技術の確立・生産性の向上、生産力の拡大等に対応して、関連メーカーの 果たす役割は大きくなっていくとみられる。

また、九州は太陽光発電システムの一大消費地でもある。世帯普及率の上位3県は、佐 賀県、宮崎県、熊本県とすべて九州である。全国の普及トップランナーとして、地域を挙 げて普及の促進を図るべく、官民挙げて取り組みも進められている。行政では、九州経済 産業局において、全国No.1普及メガソーラー地域構想や離島グリーンエナジー構想、太陽 電池評価拠点構想、ソーラークラスターの形成が進められ、鹿児島市や佐賀県などでグリ ーン電力証書の流通促進が図られている。民間でも、九州電力が3MW の大規模太陽光発 電所の建設を決めたほか、芝浦特機が集合住宅向けの普及モデルを確立して事業展開を進 めている。このほか、再春館製薬所などMW級大規模システムの導入を図る事業者もみら れる。ジェット・NEKO やパワーバンクシステム、プレシードなどのアプリケーションメ

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ーカーも続々と新製品を発表している。

このようななか、太陽光発電産業の産業規模を拡大させていくためにも、太陽光発電シ ステムのさらなる普及導入の促進が不可欠である。特に、事業化が始まったばかりの薄膜 系太陽電池の技術基盤を確立し、製品を磨いていくためには、マーケットからのフィード バックが重要であり、地元での市場創出は産業振興の上でも欠かせない。現在わが国の太 陽電池市場は、住宅向けが中心となっており、ここには第1世代の結晶系太陽電池が使わ れるケースが多い。設置スペースが限られるので変換効率の高さが求められるためである。

一方、九州で作られた太陽電池は、フィードインタリフ導入国を中心とした欧米に輸出さ れ、メガソーラー発電所などの用途で利用されるケースが多い。今後は、薄膜系太陽電池 の地元での市場を創出すべく、事業所や公共施設、LLP(有限責任事業組合)等のスキー ムを活用した大規模発電所などの産業向け市場を確立していくことが求められる。事業所 等を対象とした「システム普及促進アンケート(対象は九州の主要地場企業・メーカー・

デベロッパー・設計事務所など2,000社、回答数346社、回答率17.3%)」によると、現在 の太陽光発電システム導入率は16.3%であり、今後の導入を検討中の企業が 25.1%となっ ている。今後の伸びしろはまだまだ大きい。その一方で、太陽光発電システム導入のネッ クとして、費用対効果が悪い、設置価格が不透明、具体的メリットがないなどが多くから 指摘されている。さらに、導入インセンティブとして、住宅向け初期投資補助制度と電力 会社の売電制度(RPS制度)の二つは6割強で認知されているものの、それ以外の制度、

例えばグリーン電力証書やグリーン電力基金、G マーク認定制度などの認知度は低いとい う結果も明らかになった。導入を促す効果の高いインセンティブとして、CO2 削減への換 算や電力の高値買取り、法人税の税額控除、不動産取得税・固定資産税の軽減、低利融資・

利子補給などが指摘されており、今後はこれらに耳を傾けた対応策が求められる。

最後に、これらの状況を踏まえて、今後の九州での太陽光発電産業の拠点化〜ソーラー アイランド九州の形成〜に向けて、裾野産業支援スキームとして7点、普及導入支援スキ ームとして5点の施策を提案している。

1)裾野産業支援スキーム

①PVメーカーの課題解決支援〜企業内覧会

②アプリケーション開発支援〜アイディアコンテスト

③技術・製品の提案支援〜製品評価支援

④ソーラーアイランドワークショップ(仮称)の開催

⑤太陽光発電関連企業・研究者DBの作成

⑥太陽光発電産業を担う人材育成支援

⑦次世代技術研究開発プロジェクト 2)普及導入支援スキーム

①グリーン電力証書流通スキーム

②LLP等によるメガソーラー構築

③九州グリーン電力基金活性化スキーム

④PV施工業者認証・ビジネスコンサル育成スキーム

⑤税制優遇・規制緩和プログラムスキーム

 今後、これらの支援スキームの実現に向けて、関係各所で具体的な議論が展開され、九 州が薄膜系太陽電池を核とする太陽光発電産業の拠点〜ソーラーアイランド九州〜となる ことを強く希望するものである。

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平成 20 年度 太陽光発電関連機械工業の大規模拠点化に関する調査 

目 次

 

調査によせて 要約

 

はじめに ... 1

1.調査の背景 ... 1

2.調査目的 ... 2

  第Ⅰ章 太陽光発電産業の動向と新産業形成の萌芽... 3

1.太陽光発電の特徴... 3

2.太陽光発電を取り巻く社会情勢と普及状況... 9

3.太陽光発電産業の世界的な動き... 15

4.太陽光発電産業に関する新しい産業形成の芽... 22

  第Ⅱ章 九州の太陽光発電産業の特徴とポテンシャル... 25

1.薄膜系太陽電池の主力生産拠点としての九州... 25

2.高まる太陽電池関連の研究開発機能の集積... 28

3.装置・材料メーカー等のサポーティング産業の存在... 32

4.技術蓄積を生かした技術応用による新事業創造の高まり... 33

5.大学の研究シーズからみた九州のポテンシャル... 35

6.九州における今後の太陽光発電産業の産業規模... 37

  第Ⅲ章 太陽光発電産業の要素技術と既存産業集積との融合可能性... 39

1.太陽電池の生産プロセスと半導体・FPDとの技術親和性... 39

2.太陽電池の要素技術の整理... 43

3.太陽電池と半導体・FPDとの技術親和性 ... 45

4.太陽光発電産業と半導体・FPD産業の関係性〜事業の相互参入実態〜... 50

5.メインプレイヤーの研究課題とアウトソーシングの可能性... 51

(8)

第Ⅳ章 九州の太陽光発電産業の事業実態と産業集積形成の可能性... 53

1.裾野産業形成アンケート調査の概要... 53

2.九州企業の太陽電池関連事業に対する関心と取組み... 56

3.九州企業の太陽電池関連事業の現状... 60

4.太陽電池メーカーが抱える課題と九州企業の技術シーズ... 67

  第Ⅴ章 九州の太陽光発電産業の取引構造と参入実態... 75

1.太陽光発電産業間取引・連携の現状と課題... 75

2.太陽光発電産業間取引・連携の課題のまとめ... 78

3.九州の地場参入企業の実態と課題... 80

4.九州の地場参入企業の成功のポイントと課題のまとめ... 83

  第Ⅵ章 太陽光発電システムの普及導入に関する支援策... 85

1.太陽光発電システムの普及導入支援制度... 85

2.地方自治体での太陽光発電システムの普及促進制度... 89

3.太陽光発電システムの普及に影響を及ぼす税制度とその課題... 92

4.民間による太陽光発電システムの普及促進制度... 93

  第Ⅶ章 太陽光発電システム導入に対する九州企業の実態... 99

1.太陽光発電システム普及促進に関するアンケート調査の概要... 99

2.太陽光発電システムに対する取組み実態... 102

3.太陽光発電システムの導入インセンティブ... 106

4.太陽光発電システムの導入支援に対する考え... 113

  第Ⅷ章 ソーラーアイランド形成に向けたビジョンと施策... 115

1.ソーラーアイランドの形成に向けて... 115

2.裾野形成支援スキーム... 117

3.普及促進支援スキーム... 129

  参考資料:太陽光発電関連産業拠点化に関するアンケ−ト調査における趣意書... 139

参考資料:太陽光発電関連産業拠点化に関するアンケ−ト調査における調査票... 141

(太陽電池関連周辺企業向け、セル・モジュールメーカーを除く) 参考資料:太陽光発電関連産業拠点化に関するアンケ−ト調査における調査票... 151

(セル・モジュールメーカー向け) 参考資料:太陽光発電システム普及促進に関するアンケート調査における調査票... 161

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はじめに

1.調査の背景

地球温暖化に代表される地球環境問題と資源エネルギー問題の解決が世界的に大きな課 題となっている。特に、近年の原油高騰によるコストアップ要因は、企業の事業環境なら びに市民生活に大きな支障を生み出している。さらに、2012年をターゲットとする京都議 定書による地球温暖化防止に向けた CO2(等の温室効果ガス)削減の具体的な数値目標に ついては、運輸・事業・民生部門での削減が振るわず、その達成が非常に厳しい状態にな っている。本年、ポスト京都議定書をひとつのテーマとして洞爺湖サミットが開催される が、ここでも地球温暖化防止策の新たな枠組みや目標が議論されるところである。

このようななかで、CO2の排出を抑制できるクリーンエネルギー(再生可能エネルギー)

に対する期待は大きい。特に、ベース電力として原子力発電や水力発電などの既存の発電 方法はあるが、これを補完する分散型発電システム、すなわち家庭や事業所が地球環境に 貢献できる可能性のある発電方法・発電システムとして、風力や太陽光発電が特に期待さ れている。これらの発電システムについては、高い発電効率と安定供給に向けた技術の確 立や、量産効果によるコスト削減によって、システムの普及が今後世界的に進んでいくも のとみられる。特に、ドイツやデンマークなどの欧州では、電力政策によって、これらの クリーンエネルギーが主力発電システムとして明確に規定されている。クリーンエネルギ ーの目標値が定められ、フィードインタリフ(買取制度)などの具体的な導入促進策を通 じて、急速に普及が進みつつある。そして、普及促進が契機となり、技術蓄積と関連産業 が着実に形成されつつある。

なかでも、太陽光発電の可能性はきわめて有用である。すなわち、太陽エネルギーは、

無公害で無限である。地球に到達するたった1時間の太陽光エネルギー(約125兆kWh)

で全世界が消費する1年分のエネルギー(約120兆kWh、石油換算約100億トン)を補う ことができる大きな規模である。太陽光発電は、現在未利用な太陽光エネルギーを、直接 電気に変換できる有用なシステムである。このため、世界での生産・市場はそれぞれ年率 40〜50%で成長しており、技術が実用化段階にまで確立されつつある昨今、特にその成長 が加速しつつある。

ひるがえって、わが国の太陽光発電の歴史をみると、1970年代に始まったサンシャイン 計画からの一連の国家プロジェクトの実施によって、技術蓄積を進め、世界に先駆けて産 業化されてきた。その結果、わが国ではドイツと二分する世界最大の市場となるとともに、

日系メーカーの技術力と生産力は、世界を牽引している。太陽光発電は、今後ともわが国 が世界的な使命を果たすべき領域として、非常に期待が大きい。

政府において、1997年の「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」や2006 年 の「新・国家エネルギー戦略」などにおいて、太陽光発電の重要性と政策支援対象として の位置づけが明確にされ、2010 年の導入目標値として 4,820MW(京都議定書目標達成計

1

(10)

画、2005年閣議決定)が示されている。しかしながら、政府の導入支援策(助成金制度)

がトーンダウンし、中国をはじめとした新興国の積極的な参入攻勢があり、国内マーケッ トの成長と、日系メーカーのポジショニングは鈍化しつつある。技術力は持ちながら、世 界のマーケットを十分に開拓できず、産業のポジショニングが相対的に低落していこうと している現在の構図は、非常に危機的状況にある。まさに、わが国の半導体産業やアメリ カの太陽光発電産業の二の舞であり、今こそ産学官金民が一体となって、地球環境問題、

エネルギー問題、産業振興問題の3つの視点から、太陽光発電産業の振興策を提示してい くことが求められている。

そのなかで、九州をみると、太陽光発電の導入実績の全国比は約 20%に達し、地域ブロ ック別で三大都市圏を押さえてトップとなっている。世帯普及率も1.2%と全国平均の約2 倍の水準となっている。また、太陽光発電産業との親和性の高い半導体産業では、装置や 材料といった周辺産業の集積も進んでいる。これらの産業集積のメリット、すなわち製造 技術や人材の蓄積などの事業環境に目をつけて、次世代薄膜型の太陽電池メーカー(セル メーカー)の製造拠点の進出が促されつつある。現時点でのセルメーカーの立地は、三菱 重工業(長崎県)、富士電機システムズ(熊本県)、ホンダソルテック(熊本県)、昭和シェ ルソーラー(宮崎県)の4メーカーで、44MW(2006 年度)の生産能力を有する。今後、

2009年頃までに約 150MW〜200MW 程度にまで増産の計画があり、このときには全国の 約1割の生産力になるとみられる。今後の増産(継続的設備投資)と新規立地の促進に向 けて、各方面からの支援や取り組みが求められる。また、これら九州の生産拠点の多くは 量産開始間もないため、研究開発段階からの繋がりで装置や材料を域外調達しているケー スが多いという実態がある。今後は、九州域内企業とのサプライチェーンを強め、域内に 関連産業群を形成し、産業クラスター化していくことが大きな課題である。

2.調査目的

九州での太陽光発電産業(太陽光発電関連機械工業)集積の形成促進(大規模拠点化)

とソーラー産業クラスターとしての場づくり(産業クラスター形成)に向けた道筋と施策 の提示を行い、「ソーラーアイランド九州」としてのブランド形成を図る。

①「ソーラーアイランド九州」形成に向けたビジョン、プロジェクト提案、PR

「産業拠点化」を目指すメッセージと具体的施策の提示

「普及導入トップランナー」地域を目指すメッセージと具体的施策の提示

②九州におけるソーラー産業クラスター(産業生態系)の形成

③既存の半導体関連産業との融合可能性の提示

④民間主導の普及支援スキームの提示

2

(11)

第Ⅰ章 太陽光発電産業の動向と新産業形成の萌芽 1.太陽光発電の特徴

1)太陽光発電とは

太陽光発電とは、太陽電池を利用して、太陽の光エネルギーを直接的に電力に変換する 発電方式を指す。再生可能エネルギーの一種であり、太陽熱利用とならんで、太陽エネル ギー利用の有効なひとつの形態である。

太陽光発電の中核をなす太陽電池とは、太陽の光エネルギーを吸収して電気に変えるエ ネルギー変換器(光電エネルギー変換半導体)である。シリコンなどの半導体に光があた ると電気が発生する「光電効果」の原理を応用したものである。したがって、日照強度と 発電量は比例関係をなす。光を電気に直接変換するため、発電過程の環境負荷がゼロであ る上、機械的要素がほとんどないため、設置や保守が容易等の利点がある。なお、太陽電 池は、電池という名称になっているが、一般的な電池のような蓄電機能はない。

図表1−1−1 太陽電池の原理 

資料)太陽光発電協会資料より引用 

2)未利用エネルギーとしての高いポテンシャル

太陽光発電の最大の魅力は、太陽光という未利用エネルギーが膨大に存在することであ る。地球に到達する太陽光エネルギーは、毎秒42 兆Kcalといわれており、地球全体の消 費エネルギーの約1万倍の規模に達する。風波や地熱などの他の再生可能エネルギーと比 較すると、その規模の大きさは際だっている。太陽光エネルギーを極限まで活用できると 仮定して逆算すれば、1時間の照射エネルギーで、世界のエネルギー需要の1年分をまか なえる計算になる。

ただし、エネルギー密度は大気表面で1.4kW/㎡、地表面で1kW/㎡と低く、広く薄く偏 在しているエネルギーをどう活用するかが技術開発の焦点となる。したがって、太陽電池

3

(12)

の技術開発は「変換効率」をいかに高めるかが鍵となる。ちなみに、変換効率が 100%で

1kW/㎡なので、例えば変換効率10%の太陽電池では、100W/㎡のエネルギーを活用するこ

とができる計算となる。

図表1−1−2 地球上のクリーンエネルギーの比較 

エネルギー源 エネルギー量 水 力 5億Kcal  潮汐流 7億Kcal  地 熱 77億Kcal  風 波 880億Kcal  太陽光 420,000億Kcal 

資料)太陽光発電協会資料より九経調作成 

図表1−1−3 太陽光エネルギーの活用状況 

資料)太陽光発電協会資料より引用 

3)太陽光発電の特徴

 太陽光発電のメリットとデメリットについては、以下のような点が指摘されている。

 メリットとしては、先に述べたように膨大なエネルギーを永続的に活用でき、ランニン グコストが安いという点が最大の魅力である。寿命が長く、メンテナンスもほとんど必要 ないということ、さらに建物の屋根などに設置できること(土地の多重利用ができること)

というメリットがあることから、これまで住宅用としての普及が進んできた経緯もある。

分散型の電源システムとして非常に有用である。

一方で、デメリットとしては、日射強度によって活用できるエネルギー量が変化するた

4

(13)

め、エネルギーのコントロールがしにくいことがある。また、現状では、太陽光発電シス テムの初期投資のコストが高く、寿命と発電量等を考慮すると、発電コストがキロワット あたり46円程度かかる。これは、家庭用電力料金(キロワットあたり 23円)や事業所用 電力料金(キロワットあたり14円)と比べて高いため、これらの水準まで発電コストを下 げるための研究開発が行われている。

図表1−1−4 太陽光発電のメリット・デメリット 

… エネルギーが膨大

… エネルギーが永続的

… エネルギーが無料

… エネルギーがクリーン(発電 時の廃棄物ゼロ)

… メンテナンスが容易

… 長寿命

† 単結晶シリコン30年

† a‑シリコン:10年以上

… 分散型発電が可能

… 土地の多重利用が可能

… (電力買取制度あり)

… 安定した発電ができない

† 天候・季節・気温等で出力が変

† 夜間の発電ゼロ

… 発生電力をコントロールできな い

… 現在では一般電力より単価が 高い

† 46円/kW程度

† 家庭用:23円/kW、事業用:14円 /kW、発電所:7円/kW

… 面積あたりの出力が小さい

… 出力が直流

… 蓄電機能なし

メリット デメリット

資料)各種資料より九経調作成 

4)環境的視点から見た太陽光発電の重要性

太陽光発電を環境的視点から俯瞰しても、さまざまな重要性が指摘できる。環境に対す る最大の利点は、CO2 や大気汚染物質の排出が微少であり、地球温暖化の抑制・防止に繋 がる環境保全効果が高いことである。発電方式別の二酸化炭素排出量をみると、石炭や石 油といった化石燃料系のエネルギー源と比較して数%以下の水準に削減することが可能で ある。風力や地熱、水力といった他の再生可能エネルギーおよび原子力とほぼ同程度であ り、環境への負荷は非常に低い。太陽電池製造時の投入エネルギーのペイバックタイムに ついても2〜3年程度まで短くなってきており、10〜30年以上の寿命を有する現状におい ては、創エネルギーデバイスとして十分に機能する水準にまで技術進歩が進んできている。

そのほか、夏期・日中の電力ピーク時に発電量が増大するというピークカット効果も期待 できる。

太陽光発電はエネルギーのコントロールがしにくいため、日射強度が弱く発電しないと きに備えて、バックアップとしての化石燃料系の発電設備は必要になる。しかし、これを できるだけ稼働させなくて済むようにできるという意味では、化石燃料の消費抑制や温室 効果ガスの排出抑制ができる。エネルギーバランスのベストミックスを考慮して導入を図 ることで、低炭素社会形成に寄与できる。

5

(14)

図表1−1−5 発電方式別の二酸化炭素排出量(ライフサイクル CO2) 

資料)電力中央研究所より九経調作成

注1)発電燃料の燃焼に加え、原料の採掘から発電設備等の建設・燃料輸送・情報・運用・保守等のために消費される全ての     エネルギーを対象としてCO2排出量を算出。

注2)原子力については、現在計画中の使用燃料国内再処理・ブルサーマル利用(1回リサイクルを前提)・高レベル放射性     廃棄物処理等を含めて算出。

88 38 130 111 53 29 22 15 11

887

704 478 408

0 200 400 600 800 1,000 1,200

L N G

L N G

設備・運用 発電燃料燃焼

(g‐CO2/kWh)

図表1−1−6 再生可能エネルギーの発電方式別にみた温室効果ガス排出量 

資料)産業技術総合研究所資料より引用 

5)太陽光発電産業の重要性

 新しい基幹産業の柱として、太陽光発電産業に注目する理由は以下の4点である。

ひとつが、これまで述べてきたように、低炭素社会の形成に寄与するということであり、

地球環境問題やCO2削減という社会的要請に直結するキーテクノロジーになる可能性があ る点である。

ふたつが、エネルギー問題への対応である。化石燃料への過度の依存は、2008年に突然 6

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世界をおそった石油価格の高騰といったリスクを常に抱えたままの状態にあることを意味 する。エネルギーバランスを考慮するためにも、創エネルギー分野の技術革新と産業化は エネルギー政策上においても必要不可欠である。

みっつに、太陽光という莫大な未利用エネルギーが活用できる点である。この点につい ては先述のとおりであるが、世界中に遍在する密度の低いエネルギーを如何に効率的に利 用していくかが重要であり、これまでにない新たなチャレンジであり、ここに技術やビジ ネスの可能性が開ける。

最後が、わが国における環境・エネルギー関連技術の蓄積である。わが国の環境技術は 世界トップレベルと言われている。特に、太陽電池ではこれまで過去30年以上にわたって、

日本が世界の技術と事業化を先導してきた経緯がある。直近において、世界の太陽電池市 場が急成長するなかで、中国を中心とした新興国での生産拡大が進んでいるが、技術レベ ルや研究蓄積ではまだまだ日本は高い優位性を持つ。第2世代の薄膜系太陽電池の事業化 を世界で先がけているように、これまでの研究成果や技術の蓄積を芽吹かせ、事業や産業 に結びつけていくのはこれからの段階である。ここに次世代産業としての大いなる可能性 が眠っている。

図表1−1−7 太陽光発電産業に注目する理由 

地球環境問題・

CO2の削減

省エネルギー・

創エネルギー ニーズ

環境・エネルギー 技術の蓄積 太陽光という

未利用エネルギー の存在

既存産業集積(半 導体産業)の存在 伸長する太陽電池

の世界市場

薄膜系太陽電池 メーカーの進出

太陽光発電をターゲットとして九州で次世代の産業集積を形成できないか?

1 資料)九経調作成 

6)施設別のシステム規模のイメージ

 太陽光発電システムの価格はこれまで技術革新とともに低減してきている。近年は、フ ィードインタリフ(電力の固定買取制度)導入国での旺盛な需要があり、結晶系太陽電池 の原材料であるシリコン不足があったこともあり、価格低減のスピードが鈍化しているが、

これは価格低減の伸びしろがなくなったために起こっている現象ではない。各社とも、後

述するPV2030やCool Earth50エネルギー革新技術計画で想定しているコスト低減に向け

たロードマップを睨み、グリッドパリティ(系統以下の発電コスト)の実現に向けた変換 効率の向上や長寿命化、製造コストの圧縮等の技術開発に取り組んでいる。

なお、参考までにシステム価格を68万円/kW(2006年換算)とした場合の太陽光発電 システムの導入費用の大まかなイメージを以下に示す。なお、実際には、大口ユーザーは 半額程度かそれ以下の価格でシステムを導入しているのが実態であり、以下のデータはあ くまでも参考値である。

7

(16)

・家庭用:3〜4kW(200〜250万円)

・公共施設・学校:10〜50kW(700万円〜3,500万円)

・マンション:50〜100kW(3,500万円〜7,000万円)

・大学・大型公共・産業:100kW〜500kW(7,000万円〜3億5,000万円)

・大規模発電所(メガソーラー):500kW〜1,000kW(3億5,000万円〜7億円)

図表1−1−8 太陽光発電システムのシステム価格と発電コスト 

資料)『日本のエネルギー2008』資源エネルギー庁

3,700

2,000 1,700

1,200

1,040 1,020 930

840 760 710 690 670 660 680 280

140 120

82 72 71 65 58 52 49 48 46 46 47

0 50 100 150 200 250 300

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000

1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 システム価格

1kWあたり)

発電コスト

1kWhあたり)

(システム価格:千円) (発電コスト:円)

‐100

‐50

8

(17)

2.太陽光発電を取り巻く社会情勢と普及状況

1)太陽光発電を取り巻く社会情勢〜高まる期待と国際競争の激化〜

低炭素社会の構築に向けて世界各国での取り組みがなされはじめている。世界的な目標 として、2008年7月の洞爺湖サミットでは、世界全体の温室効果ガスの排出量を10 年〜

20年でピークアウトし、2050年までに半減することが合意された。わが国においても、「低 炭素社会づくり行動計画」(2008年7月閣議決定)において、日本の長期目標として2050 年に現状より60〜80%削減するという高い目標が示されたところである。

そもそも、わが国のエネルギーにおける再生可能エネルギーの導入量は各国と比較して も非常に低いレベルにとどまっている。一次エネルギー供給ベースでは、2005年の実績で

5.0%である。同時期のスウェーデンは 28.4%、デンマークは15.5%、EU全体では7.1%

である。今後の導入目標値も、わが国が2020年に8.2%程度なのに対して、スウェーデン

が49.0%、デンマークは30.0%、EU全体で20.0%と大きな差がある。2005年時点ではわ

が国と同程度の導入実績であるドイツやイギリス、フランス、イタリア、スペインなどで も、2020年には高い目標値が設定されている。ドイツが18.0%、イギリスが15.0%、フラ

ンスが23.0%、イタリアが17.0%、スペインが20.0%である。欧州では、再生可能エネル

ギーの高い導入目標を掲げ、新エネルギー(再生可能エネルギー)を一大産業として築き 上げようとしている。太陽光発電についても、各国で電力の固定買取制度(フィードイン タリフ、FIT)が積極的に導入され、ここで太陽光発電が投資案件として成立し、大規模な 太陽光発電所が各地に建設されている。太陽光発電が投資案件として成立することで、幅 広い層からの資金を集めることに成功し、普及が急速に進む。同時に、需要サイドの牽引 によって、太陽光発電が産業として成立しつつあり、発電ビジネスの起こりが産業形成に 大きく寄与している。

現在、フィードインタリフ導入国は、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、チェ コ、韓国など世界的に拡大しつつある。わが国も、2010年からのフィードインタリフ導入 が検討されはじめたところである。このようなマーケット要因によって、世界の太陽光発 電システム導入量の成長率は年率40%超の高成長を続けている。2007年の世界の太陽光発 電システムの累積導入量は7,841MWであるが、2000年の10倍以上の水準にある。

9

(18)

図表1−2−1 世界の太陽光発電システム累積導入量の推移 

注)単年は累計からJPEAで計算 

資料)資源エネルギー庁、太陽光発電協会より九経調作成

注)累計の出典はTRENDS IN PHOTOVOLTAIC APPLICATIONS    (Report IEA-PVPS T1-15:2006)

1,919 7,841

3,862

831 1,229 0

1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000

1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 合計

ドイツ 日本 アメリカ その他

(MW)

図表1−2−2 世界の太陽光発電システム累積導入シェアの推移(世界トップ3) 

注)単年は累計からJPEAで計算 

資料)資源エネルギー庁、太陽光発電協会より九経調作成

注)累計の出典はTRENDS IN PHOTOVOLTAIC APPLICATIONS    (Report IEA-PVPS T1-15:2006)

13.3 20.8

29.1 49.3

47.7 28.1 24.5

15.9 10.6

29.5

15.5 15.7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007

その他 アメリカ 日本 ドイツ

10

(19)

2)ポスト京都議定書〜低炭素社会形成〜で追い風になる太陽電池

 これらの動きに対して、わが国も低炭素社会形成に向けたイニシアティブをとるべく、

さまざまな政策が進められつつある。

2007 年5月 24 日には、地球温暖化に対する当時の安倍総理のイニシアティブとして

「Cool Earth 50(美しい星50)」が示された。このとき、はじめて世界全体の温室効果ガ ス排出量を現状比で2050年までに半減とする長期目標提案が提示された。この目標は、自 然界の吸収量と同等のレベルに押さえる水準を目指そうとするものである。このためには、

革新的技術と低炭素社会の実現が不可欠として、太陽電池を中核とする太陽光発電技術が 重要なテーマとして明確に示された。また、2007年6月のハイリゲンダムサミットでは、

気候変動が重要テーマのひとつとなり、2050年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を 少なくとも半減することなどを真剣に検討することが合意された。世界的にも2050年半減 という目標が議論の遡上にのった。環境・エネルギー関連で世界トップ水準の技術を有す るわが国は、技術開発の加速推進と国際連携によって世界への積極的貢献が求められると して、研究開発の強化と関連産業の国際競争力の強化が強く示された。その結果、詳細は 後述するがCool Earth 50−エネルギー革新技術計画が2008年3月に提示され、太陽電池 も重要な柱として明示されることとなった。

3)太陽電池導入目標と導入促進プランの明確化

この流れを受けて、2008年6月に、新エネルギー部会によって「新エネルギー政策の新 たな方向性について〜新エネルギー国家の構築に向けて〜」が示された。要点は、今後わ が国は、原子力、省エネルギー、新エネルギーに特に注力し、新エネルギーのなかでは、

太陽光発電、蓄電池、燃料電池に注力することが明示された。太陽光発電が、新エネルギ ーの柱として位置づけられた。

時を同じくして、2008年6月に発表された「低炭素社会・日本を目指して〜福田ビジョ ン〜」において、新エネルギー大綱(2004 年12 月)に示されていたわが国の太陽電池の 導入目標が上方修正された。太陽電池の導入量を2020年に10倍、2030年に40倍にする として、具体的には、2005 年の導入量1.4GW をベースとして、2020年に14GW、2030 年57GWが目指されることになった。その後、2009年2月には「低炭素社会構築に向けた 再生可能エネルギー普及方策について」がとりまとめられ、この導入目標がさらに上方修 正されている。新しいターゲットは、2020 年に現状の 25 倍(37GW)、2030 年に現状の 55倍(79GW)であり、2050年までに173GWという2050年までの長期目標がはじめて 提示された。

これらの導入目標を達成するための具体的な施策も積極的に展開されつつある。2008年 11月には、「4省庁合同アクションプラン(経済産業省、国土交通省、環境省、文部科学省)」

が示され、太陽電池の導入促進加速に向けた合意形成とプランが示された。2008 年 12 月 には、条件付きながら kW あたり7万円という水準で住宅用補助金が復活した。昨今の金

11

(20)

融危機への経済対策・雇用対策として、2009年1月には「日本版グリーン・ニューディー ル構想」の検討が開始され、環境市場100兆円、雇用220万人創出(2015年)の目標が設 定されたところである。さらに、2009年2月には、2010年の導入を目指した日本版フィー ドインタリフの検討が開始されはじめている。

図表1−2−3 わが国の太陽電池導入実績と導入目標 

①導入実績      ②導入目標 

出典)Trends in Pohotovoltaic Applications, IEA-PVPS 資料)新エネルギー・産業技術総合開発機構、太陽光発電協会、

    資源エネルギー庁より九経調作成 資料)新エネルギー・産業技術総合開発機構、

    資源エネルギー庁より九経調作成

1,9194,800

14,220 56,880

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000

1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030

累積設置容量(実績)

新エネルギー導入大綱目標値(1994年)

低炭素社会・日本を目指して〜福田ビジョン目標 値(2008年)

(MW)

19 24 31 43 60 91133209 330452

637 860

1,132 1,422

1,709 1,919

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500

1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007

(MW)

4)九州における太陽光発電システムの普及状況〜普及のトップランナーとなる九州  このように、太陽光発電システムの普及拡大が目指されるなか、九州は普及率が高く、

全国的にも先進的な地域となっている。九州における人口あたり普及率は全国平均の約2 倍であり、県別の世帯普及率も上位を独占している。

  NEDO の住宅向け普及事業導入実績より、太陽光発電システムの地域ブロック別構成比 をみると、平成6年〜平成16年の累計導入規模で、九州は全国の21.3%(件数では20.3%)

を占め、三大都市圏を有する関東・中部・近畿に匹敵する導入状況となっている。これを

人口 1,000 人あたりの発電規模に換算すると、九州は 12.5kW/人となり、他の地域ブロッ

クを押さえてトップの水準となっている。全国平均6.2kW/人の2倍以上の水準である。

 また、住宅用太陽光発電システムに関する人口あたり導入規模の都道府県ランキングを みても、上位3位は宮崎、佐賀、熊本で、九州が独占している状況にある。

これには、九州の日射条件の良さがひとつの要因として効いている可能性がある。資源 エネルギー庁が発行する『新エネニッポン2007』に登場する全国115施設の太陽光発電シ ステムの導入規模と実際の発電量を集計した結果、九州での単位システムあたりの発電量 は九州が最も高い値を示した。1kW システムあたりの実質年間発電量の全国平均が

12

(21)

959kWhであったのに対して、九州は1,105kWhと15%ほど高い水準を示した。

図表1−2−4 NEDO 住宅向け普及事業導入実績(平成 6 年〜平成 16 年累計) 

①地域ブロック別構成比         ②人口あたり普及状況 

注1)平成6年度〜平成8年度モニター事業、平成9年度〜平成13年度導入基盤整備事業、 注1)平成6年度〜平成8年度モニター事業、平成9年度〜平成13年度導入基盤整備事業、

   平成14年〜平成16年度導入促進事業の実績を掲載。   平成14年〜平成16年度導入促進事業の実績を掲載。

注2)数値は地域別のベスト3(中部、九州、関東)を掲載。 注2)数値は地域別のベスト3(中部、九州、関東)を掲載。

資料)新エネルギー・産業技術総合開発機構より九経調作成 資料)新エネルギー・産業技術総合開発機構より九経調作成 21.1

19.8 21.1

21.4

20.3

21.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

導入件数

導入規模

北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州

沖縄 1.5

4.3 3.8 7.2

5.8 10.0

11.6 12.5

3.9 6.2

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0

北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州 沖縄 全国

(kW/1,000人)

図表1−2−5 住宅用太陽光発電システム普及に関する都道府県ランキング 

①人口あたりランキング       ②世帯普及率ランキング 

注)NEDO住宅用太陽光発電システム普及実績(平成6年〜平成16年累計)/人口。

資料)新エネルギー財団、国勢調査より九経調算出。

18.3 17.9 16.9 16.1 14.0 13.8 13.7 13.0 12.3 12.1 6.2

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0

宮崎 佐賀 熊本 香川 長崎 鹿児島 長野 徳島 大分 山口 全国

12345678910

(kW/1,000人)

注)平成16年度まではモニター事業、導入整備事業による実績。平成17年度は、

  「住宅用太陽光発電システム価格等動向調査」のメーカー販売量調査による。

資料)九州経済産業局エネルギー対策課資料より引用 7.8

14.1 10.2

22.1 15.1

18.8 12.7

19.8 13.7

0 5 10 15 20 25

全国 九州 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県

(‰)

13

(22)

図表1−2−6 導入施設での高い発電実績 

(主要太陽光発電導入施設の 1kW システムあたり実質年間発電量(実績)) 

資料)『新エネニッポン』資源エネルギー庁、2007より九経調算出。

注1)『新エネニッポン』資源エネルギー庁、2007掲載の太陽光発電施設(115施設)の実績を    積算して算出。

注2)設置条件(設置場所、設置パネルの種類など)による発電量が変わる可能性もある。

759 801 876 880 947

1,041 1,101 1,105 959

0 200 400 600 800 1,000 1,200

北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州 全国平均

(kWh/1kWシステムあたり)

14

(23)

3.太陽光発電産業の世界的な動き

1)急伸する世界の太陽電池生産量

太陽電池の生産量は世界的には急伸している。2007 年の世界の太陽電池生産量は、

3,733MW(3.7GW)となっており、過去5年間で6.6倍の規模にまで拡大した。この間の

年平均成長率は 46.0%である。フィードインタリフという需要サイドの刺激によって、太 陽電池は新興国でも急速に産業形成されつつある。特に、中国、台湾、韓国での産業化の 波は急速である。

2007年の生産量の国別ランキングをみると、日本が920MW(世界シェア24.6%)で第 1位となっているが、第2位の中国が急速な勢いで躍進しつつあり、821MW(同22.0%)

で日本に迫っている。中国で生産されている太陽電池は、現状では主に第1世代の結晶系 太陽電池が中心である。2007 年に、メーカー別の世界ランキングで第3位に躍り出た

Suntech(中国)は、自社技術をもって事業展開しているが、多くの新興メーカーは半導体

産業やFPD産業と同様に、大規模投資によって製造装置と材料をセットで導入し、事業を 急拡大している。製造装置一式をエンジニアリングとともに提供する「フルターンキー」

ビジネスが起こっており、これによって新規参入が続出している。以下、第3位のドイツ が738MW(同19.8%)、米国が382MW(10.0%)、台湾が368MW(10.0%)と続く。

特に、近年は中国や台湾といった新興国と、フィードインタリフの導入で産業を牽引し たドイツの成長が著しく、わが国の世界シェアは2004年の50%をピークとして、2007年

には25%まで低下している。野村證券金融経済研究所では、2010年にはわが国の世界シェ

アが15%程度まで低下するとみている。なお、メーカー別ランキングでは、これまで長年

にわたって首位を守ってきたシャープが、2007 年に Q-Cells(ドイツ)に抜かれて第2位 となった。2005年には、世界ランキング5位以内に日系メーカーが4社入っていたが、2007 年には2社となっている。

15

(24)

図表Ⅰ−3−1 世界の太陽電池生産量の推移 

注)PV News 2008年3月号、4月号を基に、㈱資源総合システムが作成 資料)資源総合システム『太陽光発電マーケット2008』より作成

155 201 288 391 562 744 1,195

1,759 2,521

3,733

0 1,000 2,000 3,000 4,000

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007

(MW)

図表Ⅰ−3−2 太陽電池生産量の国別シェア(2007 年) 

日本 920 25%

中国 821 ドイツ 22%

738 20%

米国 382 10%

台湾 368 10%

その他 504 13%

太陽電池生産量 3,733MW

(2007年)

資料)PV NEWSより九経調作成 

16

(25)

図表Ⅰ−3−3 太陽電池メーカーの世界ランキング 

(MW) (%) (MW) (%) (MW) (%) (MW) (%)

1 Q‐Cells(ドイツ) 166 9.4 253 10 389 10.4 136 53.8

2 シャープ(日本) 428 24.3 434 17.2 363 9.7 -16.4

3 Suntech(中国) 82 4.7 158 6.2 327 8.8 170 107.6

4 京セラ(日本) 142 8.1 180 7.1 207 5.5 27 15.0

5 First Soler(米&ドイツ) 20 1.1 60 2.4 207 5.5 147 245.0

6 MOTECH(台湾) 60 3.4 110 4.4 196 5.3 86 78.2

7 三洋電機(日本) 125 7.1 155 6.1 165 4.4 10 6.5

8 SunPower(フィリピン) 23 1.3 63 2.5 150 4 87 139.2 9 Baoding Yingli(中国) - - 35 1.4 143 3.8 108 307.1 10 Deutsche Solar(ドイツ)

/SolarWorld CA(米) 80 4.5 86 3.4 130 3.5 44 51.2

11 三菱電機(日本) 100 5.7 111 4.4 121 3.2 10 9.0

注)PV News 2008年3月号、4月号を基に、㈱資源総合システムが作成 資料)資源総合システム『太陽光発電マーケット2008』より引用

2005年生産量 2006年生産量 2007年生産量 2007年の対前年 増加量・伸び率

企業名

-71

2)注目される第2世代の薄膜系太陽電池

太陽電池のマーケットは、今まさに技術的な転換点にある。先述したように、薄膜系太 陽電池が事業化段階に突入し、今後のマーケットの急伸を支える重要なデバイスになると みられている。

第1世代の結晶系太陽電池(単結晶・多結晶)は、2006年〜2007年にかけて、原料であ るシリコン不足の影響で、世界的に旺盛を極めるマーケットの需要に対応できなかった。

需要があって、生産能力もあるのに供給ができないという状況に日系メーカーは陥った。

そこで、業界各社ではシリコンに依存しない第2世代の薄膜系太陽電池の開発に力を注い でいる。第1世代の結晶系太陽電池で業界をリードしているシャープや三洋電機、京セラ 以外にも、薄膜系太陽電池で業界に新規参入を果たす企業もみられる。業界全体が急成長 している時期でもあるので、業界の活性化、相互の競争による技術進歩や製品の磨き上げ という点では良いが、生産能力が過剰になるとの見方もあって、この数年間で如何に競争 力を持てるかが事業存続の鍵になるとみられる。今後は、どの種類の太陽電池が主流とな るか、どのようなマーケットの棲み分けになるか、どの企業が競争に勝ち残っていくのか という点に注目が集まるだろう。

このようななかで、第2世代の薄膜系太陽電池は、マーケットにおいて一定のポジショ ンを獲得するとの見方が有力である。ディスプレイリサーチ社によると、2007年の太陽電 池の世界の生産能力は7,123MW(7.1GW)であり、そのうち結晶系太陽電池が6,320MW

で88.7%、薄膜系太陽電池が803MW で11.3%の構成とみられている。5年後の2012年

の予測値では、世界の生産能力が 39,625MW(39.6GW)であり、そのうち結晶系が

26,624MWで67.2%、薄膜系が13,001MWで32.8%になるとみられている。この5年間

17

(26)

の生産能力の倍率は、結晶系が4.2倍なのに対して、薄膜系は16.2倍と予測されている。

図表Ⅰ―3−4 太陽電池の種類とプロダクトサイクル 

プロダクト サイクル

第1世代 結晶系 単結晶シリコン 成熟期

多結晶シリコン 成熟期

球状シリコン 導入期

第2世代 薄膜系 無機薄膜系 薄膜シリコン アモルファスシリコン 成長期 微結晶シリコン 成長期

化合物系 CIGS 成長期

CdTe 成長期

GaAs等 成熟期

有機薄膜系 色素増感 導入期

有機薄膜 導入期

第3世代 新構造 量子ドット 導入期(初期)

多接合 導入期(初期)

注)太陽電池の名称や分類方法は種々あるが、本表を本調査における分類名称のベースとしている。

資料)産業技術総合研究所資料より九経調作成 太陽電池の種類

図表Ⅰ−3−5 種類別にみた太陽電池生産能力のシェアの将来予測 

注)ディスプレイリサーチ社予測

資料)半導体産業新聞2009.02.25より九経調作成

88.7

67.2

4.3

20.7

1.6

6.8 4.5

4.9 0.8

0.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2007

2012

多/単結晶Si a‐Si/μc‐Si CIGS CdTe その他

18

(27)

図表Ⅰ−3−6 種類別にみた太陽電池生産能力の将来予測(2012 年/2007 年) 

注)ディスプレイリサーチ社予測

資料)半導体産業新聞2009.02.25より九経調作成

4.2

26.6

24.1

6.1

2.6

16.2

5.6

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

/単結晶Si a‐Si/μc‐Si CIGS CdTe その他 薄膜系計 合計

(倍)

3)わが国太陽電池メーカーの事業戦略

日系太陽電池メーカーの事業戦略は明快である。メインターゲットは、電力発電用の大 規模マーケットであり、海外のフィードインタリフ導入国を中心に広がりつつあるメガソ ーラー発電所が最大の顧客である。特に、第2世代薄膜系太陽電池メーカーは、現状でも 海外のメガソーラーが主要マーケットとなっており、そのほかでも公共施設や事業所など で用いる比較的規模の大きな顧客がターゲットである。海外のフィードインタリフ導入国 では、一括大量購入を行ってくれるので、大量生産の規格品への注力が必要となる。半導 体でたとえるなら、システム LSI というよりも DRAM(Dynamic Random Access Memory:揮発性メモリの一種)に近いビジネスモデルであり、海外の新興メーカーとの価 格競争が熾烈で、海外メーカーとの激しい競争を強いられる。このため、価格競争力がひ とつの重要な競争要因となり、生産性の向上が不可欠となる。ただし、DRAMビジネスと 大きく異なるのが、太陽電池は求められる製品寿命が30年程度と非常に長く、極めて高い 耐久性が求められることである。DRAMは製品ライフサイクルが短い消耗品であるが、太 陽電池は製品ライフサイクルの長いインフラ商品なのである。したがって、フィードイン タリフ導入国では、長期にわたって安定的に高い発電ができるかどうかが収益の決め手に なるため、耐久性と品質は極めて重要な競争要因・差別化要因となる。現在、わが国の太 陽電池に対する評価は高く、フィードインタリフ導入国からの引き合いが極めて旺盛であ るため、日本製太陽電池の販売価格は高止まっている状況にある。

一方、薄膜系太陽電池よりも変換効率が高く、省スペースでより多くの発電を行う結晶 系太陽電池は、メガソーラー市場や事業所・公共施設といった大口顧客のみならず、住宅 市場にも積極的に展開している。変換効率の高さという要因に加え、これまで歴史的に培

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