年報2015の発行にあたって
平成27年12月、ノーベル生理学・医学賞及び物理学賞をそれぞれ日本人1人が受賞しま した。一昨年の物理学賞3人受賞に続く快挙で、自然科学分野における日本人の力が世界的に 高く評価されていることを大変嬉しく思います。また、昨年はラグビーワールドカップにおい て日本代表が活躍し大きな注目を集めました。体格で劣る日本人が、厳しい練習とジャパンウ ェイと呼ばれる戦術で海外の強豪と渡り合う姿は多くの日本人に勇気と感動を与えました。科 学とスポーツ、分野こそ違え、これらの活躍を見て感じたことは地道な努力の大切さです。短 期的な成果が求められる昨今ですが、相次ぐ研究不正などを聞くにつけ、研究者は地道な研究 を疎かしいていないか自問する必要があるのではないでしょうか。当館は平成8年10月22 日に開館し、多くの皆様の協力もあり今年設立から20周年、成人式を迎えます。地域の皆様 から信頼され、より開かれた博物館づくりを進めていくためにも、調査・研究を着実に行って いきたいと考えています。
平成27年度、自然史博物館では、例年同様3つの企画展と1つの特別展を行いました。平 成27年7月11日から8月31日にかけて開催した第49回企画展「恐竜時代の海の支配 者」では、(公財)日本海事科学振興財団様の助成を得てフタバスズキリュウの全身復元組立 骨格標本を作製・展示したほか、モササウルス類やギョリュウ類などに代表される中生代の水 域の生態系を紹介しました。平成27年10月3日から11月29日にかけて開催した第50 回企画展「たべる。」では、ヒトが感じるおいしさのメカニズムを日本科学未来館巡回展「お いしく食べるの科学展」を活用し体験型展示で紹介したほか、様々な生物の食に関わる多様な 戦略も学んでいただけるよう実物標本や動画等を充実させた展示としました。また、冬期に開 催した特別展では、平成28年1月16日から2月21日にかけて「ぐんまの自然のいまを伝 える」を開催し、これまで県内で自然保護などの活動に携わってきた団体等の成果を広く紹介 しました。平成28年3月19日から開催した第51回企画展「よろいをまとった生きものた ち(~5月15日)」では、生物の進化や生物多様性をテーマにダイオウグソクムシ等よろい をまとった生きものを多数展示しました。
平成26年度に続き4回目となる博物館活動の評価では、平成27年7月に自己評価結果を公 開後、11月までに新たに博物館専門委員3名を委嘱、博物館評価に対する御意見をいただきま した。
教育普及事業では、毎週土曜日に開催する「サイエンス・サタデー」をはじめ、自然観察会、
講演会、展示解説、ビデオ上映会など、延べ17,878回にのぼる事業を行いました。
自然史調査では、平成26年度から3カ年の第6次調査、奥多野及び周辺地域学術調査が始ま り、2年目となる平成27年度は、上野村、神流町、下仁田町、南牧村において動植物、地質、
および古生物の学術調査を行いました。
また、論文21編(原著論文6、短報9、資料5、雑報1)からなる群馬県立自然史博物館研 究報告第20号を発行しました。
以上の活動では97名の博物館ボランティアをはじめ、県内外の研究者、自治体関係者など、
多数の皆様の御協力をいただきました。この場をお借りして厚く御礼申しあげます。
この度、平成27年度の事業概要を年報としてまとめました。皆様の御高覧を賜りますととも に、引き続き御指導、御協力をお願いいたしまして、御挨拶とさせていただきます。
平成28年6月
群馬県立自然史博物館
名誉館長 長谷川 善和
Ⅰ 管理 1 沿革
群馬県立自然史博物館の沿革は次のとおり。
昭和 32 年 3 月 12 日 「群馬県立博物館」として開館(群馬県富岡市一ノ宮 1353)
昭和 54 年 10 月 17 日 「群馬県立博物館」を廃止し、「群馬県立歴史博物館」として開館
昭和 57 年 7 月 16 日
「旧県立博物館」を改修し、「群馬県立自然科学資料館」として開館昭和 63 年 12 月 1 日
「自然科学資料館整備拡充調査構想委員会」を設置(学識経験者 10 名、行政職 6 名)
平成 1 年 4 月 1 日
群馬県教育委員会社会教育課学習文化室に専任職員 1 名配置平成 4 年 2 月 3 日
建築プロポーザルにて内井昭蔵建築設計事務所に建設基本設計を委託平成 4 年 3 月 31 日
建築基本設計終了平成 5 年 1 月 28 日
(株)丹青社と展示実施設計委託契約を締結(財)日本科学技術振興財団と展示実施設計の監修業務の委託契約を締結
平成 5 年 7 月 31 日
建設実施設計終了平成 5 年 8 月 31 日
展示実施設計終了平成 6 年 6 月 30 日
建築工事等着工平成 7 年 4 月 1 日
長谷川善和氏(理学博士・横浜国立大学名誉教授)が参与に就任平成 8 年 3 月 15 日
建築工事等竣工平成 8 年 3 月 27 日
「群馬県立自然史博物館の設置及び管理に関する条例」を公布平成 8 年 3 月 31 日
「群馬県立自然科学資料館」を廃止し、資料は自然史博物館に引き継ぐ 併せて群馬県立歴史博物館所蔵の自然資料のほとんどを移管平成 8 年 4 月 1 日
「群馬県立自然史博物館」発足(事務局:前橋市大友町庁舎3階)職員 18 名(副館長、次長、総務課 3 名、教育普及課 3 名、学芸課 7 名)
非常勤嘱託 5 名
長谷川善和氏(理学博士・横浜国立大学名誉教授)が初代館長に就任
平成 8 年 5 月 16 日
付帯ホール(愛称「かぶら文化ホール」)の管理運営にあたる財団法人かぶら文化ホールが設立許可
平成 8 年 5 月 27 日
事務局を前橋市大友町庁舎から富岡市上黒岩「自然史博物館」に移転平成 8 年 5 月 31 日
財団法人かぶら文化ホールにホールの管理運営等を委託平成 8 年 9 月 14 日
展示工事竣工((株)丹青社)平成 8 年 10 月 21 日
開館記念式典平成 8 年 10 月 22 日
「群馬県立自然史博物館」開館(一般公開)第1回開館記念展「アルゼンチンの恐竜たち」開催
平成 14 年 1 月
開館5周年記念企画「ミュージアム・ポスター展」開催(1 月4 日~2 月17 日) 開館5周年記念講演会「ヒトと森と -森がヒトをはぐくむ」開催(1 月 26 日)講師:宮脇 昭氏(国際生態学センター研究所長)、河合雅雄氏(兵庫県立人と自然の博物館館長)
平成 14 年 6 月 9 日
入館者 100 万人達成平成 18 年 7 月 15 日 開館 10 周年記念展「コアラ大陸オーストラリア ~ふしぎな動物たちの 世界~」開催
平成 19 年 1 月 4 日 開館 10 周年記念企画「自然史博物館のあゆみ展」開催 平成 20 年 8 月 8 日 入館者 200 万人達成
平成 22 年 2 月 正面玄関プロムナード路面改修
平成 22 年 3 月 尾瀬シアター、トリケラトプス復元映像、機器及び映像更新
平成 23 年 7 月 開館 15 周年記念展「よみがえる!謎の巨大恐竜スピノサウルス」開催(7 月 16 日~11 月 20 日)
平成 23 年 9 月 17 日 入館者 250 万人達成
平成 24 年 10 月 16 日 平成 23 年度博物館活動の評価(内部評価)結果公表
平成 25 年 11 月 8 日 平成 24 年度博物館活動の評価(内部評価)に対する外部委員意見公表 平成 26 年 3 月 26 日 自然史博物館ESCO改修工事竣工
平成 26 年 4 月 1 日 自然史博物館ESCOサービス開始 平成 26 年 8 月 17 日 入館者 300 万人達成
2 組織
3 事業体系
管理運営
人事、組織 予算、経理 総務係 施設管理 庶務
事
業
展示 常設展示保守、改修
企画展示 学芸係
普及事業
一般対象
展示解説
教育普及係 ビデオ上映会
スポット解説(一般、学校向け)
紙芝居
ファミリー観察会 天体観望会 自然史講座 企画展講演会 企画展自然教室 学芸員解説ツアー 出張展示
サイエンス・サタデー
ミュージアム・ナイト・ツアー バックヤード・ツアー
成人対象 大人の自然史倶楽部 高校生対象 高校生学芸員 小中学生対象 自然史博物館探検隊
名誉館長(嘱託)
館 長
(事務職)
総務係
次長(総務係長)
事務職 2 人
学芸係
次長(学芸係長)
教員籍職員 4 人 学芸員 4 人
人事、組織、庶務、経理、財 産管理
普及事業企画・運営、学習支 援、広報、博物館支援活動
博物館資料の保管・管理、企 画展示、常設展示保守、調査 研究
教育普及係
教育普及係長 教員籍職員 3 人
展示解説員 8 人(嘱託)
事
業
ミュージアム・スクール 教育普及係
学校教育支援
館内授業
教育普及係 博物館体験学習
教育用資料貸出
博物館実習 学芸係
調査研究
奥多野及び周辺地域学術調査 分野別調査研究 学芸係
外部研究機関との連携調査研究 研究報告編集
情報システム 全体
資料収集・保存・管理
採集
学芸係 製作委託・購入
寄贈・寄託・移管 貸出・借用管理 文献・図書管理
博物館支援活動・広報
ボランティア
教育普及係 友の会
視察受入 広報 相談指導 自治体等との連携 調査
相談指導 全体
4 管理運営業務
(1) 入館者数の状況
平成27年度の入館者数は
188,680人(前年比
112.6%)で、前年度に比べ21,131人の増 加であった。これは、開館以来の年間入館者数でみると、平成9年度の
207,688人に次 いで過去2番目に多い入館者数であった。
総じて好調だった企画展ごとの状況をみると、平成27年3月から5月に開催した
「根も葉もない植物の話」が
31,733人、7月から8月に開催した「恐竜時代の海の支配
者」が
53,024人、10月から11月に開催した「たべる。」が
32,917人、平成28年3
月から開催中の「よろいをまとった生きものたち」が3月末までで
11,012人であった。
これらの企画展では、国内産の化石としては極めて知名度の高いフタバスズキリュウの 全身復原組立骨格標本の展示や、プロジェクション等を取り入れた「体感」「実感」重 視の展示、また、深海生物のダイオウグソクムシなどの生体展示など、各企画展がそれ ぞれ趣向を凝らした展示を行い、話題性を高めた。また、企画展をより深く理解しても らうための講演会や、自然教室等の関連事業の企画にも注力した。さらに、1~2月に 開催した特別展「ぐんまの自然の『いま』」では、地域に根ざした団体等の研究活動成 果の発表を行い、来館者に好評を博した。期間中、一日平均
331人の入館者があり、学 校団体等の減少する冬場の誘客にも貢献したといえる。
開館20周年を迎える平成28年度に向け、今後も魅力的な企画展示はさることなが ら、工夫を凝らした教育普及事業や解説員によるわかりやすい展示解説など、平素の活 動にも一層力点を置き、社会教育施設としての役割を果たしていく考えである。また引 き続き富岡製糸場など周辺施設等との連携を模索しながら、観光施設としての魅力発信 にも努めていきたい。
なお、開館以来の累計の入館者数は、3,280,866 人となった。1日平均の入館者数は
573人、年度別の入館者数の推移は、次のとおりである。(詳細は108ページ以降参 照)
入館者の推移
年度 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 開館日数 132 301 304 303 301 303 301 298 入館者数 120,712 207,688 165,071 150,211 156,633 159,416 166,989 171,697 1日平均 914 690 543 496 520 526 555 576
年度 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 開館日数 292 292 293 292 291 290 288 291 入館者数 160,456 153,613 166,629 161,626 146,170 162,760
148,697 177,698一日平均 550 526 569 554 502 561 516 611
年度 H24 H25
H26 H27 累計開館日数 290 288 290 289 5,729
入館者数 182,038 166,533 167,549 188,680 3,280,866
一日平均 628 578 578 653 573
(2)歳入歳出決算の状況
歳入
単位(千円)区 分 金 額 内 容
博 物 館 入 館 料 46,029 観覧料
施 設 使 用 料 543 ミュージアムショップ他 財 産 収 入 265 自動販売機設置収入
雑 入 14,111 船の科学館助成金 12,700 千円含む
計 60,948
歳出
事 業 名 金 額 内 容
館 運 営 180,106 館の維持管理、事業運営等 博 物 展 示 53,631 常設展示メンテナンス、企画展 教 育 普 及 活 動 5,944 観察会等教育普及事業
調 査 研 究 11,324 フィールド調査、学会参加
計 251,005
(3)博物館評価の実施
平成25年度に引き続き平成26年度の博物館活動の自己評価を行い、平成27年7月 22日に博物館ホームページで公開した。この後、3名の博物館専門委員を委嘱し、自己 評価に対する意見聴取を行った。意見聴取の結果についても11月18日に博物館ホーム ページで公開した。
群馬県立自然史博物館専門委員(平成27年度)
・株式会社丹青研究所文化空間情報部部長 石川貴敏
・埼玉県立自然の博物館副館長 中村修美
・上毛新聞社編集局次長兼報道本部長 清水直樹
平成26年度の自己評価結果及びそれに対する専門委員の意見は次のとおり。
平成26年度 自然史博物館活動の評価結果
平成27年7月21日 群馬県立自然史博物館 1 はじめに
本評価は、平成23年度に策定した「活動目標の評価指標表(評価指標)」を用いた内 部評価であり、昨年7月29日に公表した平成25年度の博物館活動の評価に続いて4回 目となるものである。昨年度同様、本評価結果を今後の博物館活動の改善と充実につなげ ていきたい。
2 評価方法等について
(1)評価指標
今回の評価に当たっては、昨年度末までに、昨年度の評価結果を踏まえ、平成26 年度目標値の設定を行った。
(2)評価作業
今回の評価は、昨年度に続き4回目となることを踏まえ、評価作業は職員7名によ るWGが中心となって進め、素案作成後、職員の合同会議に諮り決定するという方法 によった。
(3)結果の公表
評価結果については、全職員にフイードバックし、個々の業務改善につなげるほか、
HPにて公表し、県有施設としての説明責任を果たすために役立てたい。
※ 博物館活動の評価に至る経緯、自然史博物館の使命と事業方針等は、平成23年 度の評価結果を参照してください。
3 外部評価
平成22年度の「魅力ある博物館を語る会」で示された外部評価については、平成24 年度の評価から導入した。異なる分野から博物館活動に造詣の深い3名の外部有識者を専 門委員に委嘱し、博物館活動に対する意見をいただき、昨年11月23日に公表した。今 年度も同様に外部評価を行う予定である。
4 自己評価結果
(1)資料の収集・保存と活用 (「未来に伝える博物館」)
採集・寄贈等により収集した資料の合計点数は、目標値を 4000 点近く上回る 9989 点であった。追加される資料数は年度ごとに大きく変わるが、これは寄贈点数の変動 によるところが大きい。
収集資料のデータベースは、常時サーバで運用されるとともに、定期的に磁気テー プでバックアップされている。この磁気テープを万が一の事態に備え、館外での保存 を行いたい。
資料は温湿度管理、日常の点検、定期的な燻蒸等により、安全に管理されている。
ESCO 事業完了により、収蔵庫の温湿度は新たな空調機器により管理されている。今後も 微調整を加えながら適切な運用を継続したい。
収蔵スペースの不足は以前から深刻な問題となっているが、ESCO 事業に伴う空調 機器の移設で生じた空間は、現在、岩石標本を中心に収蔵スペースとしての運用が開 始された。これにより収蔵スペース不足の一部を解消できた。しかし、生物標本を収 蔵する第二収蔵庫の慢性的かつ深刻な課題は解消できていない。収蔵資料は常に増え 続けていくもののため、これからも資料の保管場所については検討を続けていきたい。
展示での公開やレファレンスによる資料活用は、年度目標をほぼ達成しているが、
これに甘んずることなく、より効果的な活用を模索していきたい。
(2)調査研究 (「魅力を引き出す博物館」)
調査研究の推進では、昨年度は 3 年計画で行われる奥多野及び周辺地域総合学術調査 の初年度で、延べ 37 回の現地調査を行った。この調査は平成 25 年度まで行われた上野 村地域調査を発展させたものである。また、各職員が独自に行っている調査研究は 10 分 野 19 研究、外部研究施設等と連携している調査研究は 40 研究あり、特に外部研究施設 等との連携調査の件数の増加(+9)が目立つ。研究成果の公表では、発表論文数 19、学 会等発表数 20、マスコミ等への発表 17 で、発表論文数は若干減少したが、前年に自然 史調査報告書にまとめて成果を発表したことに加え、館の研究事業が新規テーマに移行 し、データ蓄積期に入ったことが原因と考えられ、依然高い水準で発表を行ったことは 間違いない。講演会講座等数は 19 件で、例年 20 件前後で推移している。市民参加型調 査や市民連携の調査は 4 件と変動がなかった。博物館の調査研究全体として外部機関や 研究者との連携により幅広い研究を推進する方向性が年々強くなってきている。一方で 市民参加・連携型の調査は件数の伸びがなく、今後調査方法を含めて検討する必要があ ると思われる。さらにその発表の場となる「群馬のいまを伝える発表会」は発表タイト ルも増え、定着してきたと思われるが、このほかミニ展示や研究報告等を通して市民に 対してよりオープンな姿勢が必要と思われる。
(3)展 示 (「知を広め、高める博物館」)
来館者数は 167,549 人で昨年度の 166,533 人を上回った。対面式アンケートによっ て得られたリピーター率は 25 年度が 58%であるのに対して 26 年度は 63%と目標値
を越えた。企画展示の魅力的な内容の提供と様々な媒体による広報活動を実施してお り、その効果が現れており目標値を達成することができた。常設展示では 13 件の資 料追加・更新を実施した。
展示全体(A~Eコーナー)のケース内、常設展導入部他、ESCO の管理以外の部分 について、電球交換を実施した。映像装置については、20 インチモニター機器を DVD プ レーヤーから SD メディアプレーヤーに更新した。劣化した展示用剥製等の修理等を行 い、一部ラベル・パネル・展示用具の修正・作製・更新等を行った。
開館以来、大きな更新はなく老朽化が否めず、展示物が壊されること等もあること から、故障が頻発している。故障時の職員による対応は年間 189 回で、速やかに対処 できる体勢が維持できている。
企画展は常設展にはないテーマを選定し、その時々話題性のある内容で夏、秋、春 の年 3 回、冬には写真展を開催している。昨年度の企画展は順に「むし 虫 ウォッ チング 2 ~潜入 昆虫ワールド~」「闇夜の動物たち」「根も葉もない植物の話」を 開催した。写真展は「カラー魚拓展 山本龍香の世界」を開催した。夏は家族連れ、
秋は学校団体を、春は家族連れなど一般向け、また季節を意識し展示を行っている。
アンケート回答による昨年度の満足度は 82%と前年の 77%と比べて目標を上回っ た。予算は減少傾向にあるが、映像撮影・編集、造作物等は可能な限り学芸職員が製 作しており、クオリティも向上してきている。冬の写真展はほとんどすべてが職員に よる手作りである。今後さらにリピーターの方々がまた足を運んでもらえるような魅 力ある展示と展示方法の工夫を積み重ねていくことが肝要であり、その努力を継続し ていきたい。
展示解説アンケートにおける解説業務の満足度は 24 年度、25 年度に引き続き 100
%という高い評価を得た。これは解説・接遇研修の実施により回数、内容を維持した ことにより技量が向上したことが要因として考えられるが、さらにレベルの維持、質 の向上に努めたい。
(4)教育普及 (「知を広め、高める博物館」)
学びの魅力を感じられる事業の推進では、昨年度並みの事業を実施したが、参加者数 については昨年度を 10%以上上回る結果となった。また、事後アンケートでの評価も高 い。サイエンスサタデーにおける魅力的な新規メニューの開発・実施、自然史講座など の講演会でのトレンドに配慮した講演内容及び講師の選定などが、参加者増につながっ たと考える。ビデオ上映会参加者数は2年続けて伸び悩んだが、プロジェクターの不具 合によりビデオ上映会を中止せざるをえなかったことが主な要因であり、修理を急ぎた い。
学校教育支援の推進では、ビデオ上映をのぞく全ての項目で目標を達成し、特に、昨 年度減少した館内授業について目標を上回ることができた。実地踏査において館内授業 の魅力を伝える努力をしたことが成果につながったと考える。さらに、館内授業の提供 のしかたを工夫することで、利用しやすい館内授業をめざしていきたい。
ボランティア活動の登録者数と友の会活動の会員数に大きな変更はないが、どちらの 活動も研修や行事の質と量を充実させてきており、主体的な活動に向けた素地が醸成さ れつつある。
(5)情報の発信と公開 (「知を広め、高める博物館」)
企画展や普及イベントなどの情報発信としては、ラジオや新聞など様々なメディア を活用し行った。また、ホームページの更新やメールマガジンの発行なども積極的に 行い常に最新の情報を提供するよう心掛けた。県広報を介した発信は 60 件、館独自 からの発信が 101 件であった。ホームページでの新着情報では、1つ1つのイベント に対し事前には募集を兼ねた情報提供を行い、事後には活動内容報告をしている。ま
た、年 3 回の移動博物館や他館連携出前教室等も博物館の情報を公開する効果的な場 である。今後フェイスブックなどによる情報発信も検討している。
(6)シンクタンクとしての社会貢献 (「知を広め、高める博物館」)
公共の博物館として、その有する様々な資源(資料、情報及び職員の専門性)を活用 し、自治体や各種団体への専門知識の提供や講師の派遣など、シンクタンクとしての機 能を充実させ社会貢献を果たすことは博物館の重要な使命の一つである。
昨年度の課題であった、学校・主任会などへの講師派遣件数は、目標値 20 件/年に対 して 28 件(25 年度は 13 件)、学会・研究会における役員・委員等の受諾件数は、目標 値 5 件/年に対して 9 件(昨年度は 3 件)と、いずれも目標値を超え、昨年度の件数を 上回ることができた。学校や主任会への講師派遣は、博物館の専門性を広められ、学会
・研究会への寄与は専門性を高めることができるので引き続き推進していきたい。
また、企画展示調査対応、調査研究対応、各種問い合わせ対応の総件数は、目標値 10 件/年に対して 31 件(25 年度は 18 件)と目標値を大きく越えることができた。これ は、博物館施設等との連携強化・推進を継続してきた結果であると考えられる。さら に、他の博物館等への資料の貸出件数も 25 件(昨年度 26 件)と昨年並みに増加傾向に あった。これらの実績数は、少ない職員数のなか健闘できたと考えられる。
課題としては、レファレンス利用者の件数が昨年度よりも落ち込み、目標値にも達す ることができなかった。次年度以降どのような手立てを講じて、専門性を求めるニーズ を増やし、対応を強化できるのか検討する必要がある。
(7)マネージメント (経営)
安全で利用しやすい博物館施設への改善では、施設改修等は予算的な制約から進展 が見込めない状況である。今後は、情報システムの利用等による展示解説などでの改 善を検討していきたい。
観覧者サービスの点検と質的向上では、案内業務のクオリティチェックと接遇研修を 継続することで、一定の水準の確保を図っているが、更なる向上を目指したい。
博物館認知度の向上と利用者層の拡大では、富岡製糸場の世界文化遺産登録や高速 道路網の整備・拡充など周辺環境が変化する中で、常に最適な活動を目指し業務の見 直しを行っていかなければならない。特に、目的達成のために重要な広報活動につい ては、これまでの活動を検証し、より効果的に進めていく必要がある。
職員の意識改革と資質の向上では、研修会・学会等への参加が少ない状況にある。予 算上の制約に加え、職員の日程確保が難しくなっている面もあるが、博物館を一層魅力 的なものにしていくためにも、職員には継続的なレベルアップが求められており、積極 的な取組を呼びかけていきたい。
博物館支援組織のあり方については、中長期的な課題と位置づけ、運営会議において 検討を進めている。より開かれた博物館づくりを進めていく上では支援組織の果たす役 割は大きく、明確な方向性を持って県民参加の仕組みづくりを考えていきたい。
博物館活動への理解及び外部協力の確保は、平成27年度当初予算で平成26年度 を上回る予算を確保することができた。これは、次期情報システムの開発費用を計上 したことなどによるものである。また、平成26年度は公益財団法人からの助成を得 て企画展をより充実したものにすることができたが、平成27年度も同様の助成を得 る予定であり、引き続き外部資金の導入に努めていきたい。さらに、博物館の取組を 継続して発信し、企業等からの支援増加を図っていきたい。
防災意識の向上と危機管理体制の強化では、危機管理マニュアルを改訂し2度の防 災訓練を行った。マニュアルについては、随時、必要な見直しを行っていきたい。ま た、近年、不審者が学校等に侵入するケースがあることから、不審者対策を強化すべ く、富岡警察署の指導の下、不審者対策訓練を行った。
博物館評価システムの構築では、平成25年度から外部評価を導入し有識者から意 見をいただきHPで公開している。いただいた意見を受け止め、今後の博物館活動に 生かしていきたい。
平成 26 年度自然史博物館活動の評価に対する意見
□平成 26 年度自然史博物館活動の評価について
(群馬県立自然史博物館専門委員 石川 貴敏)
平成 26 年度の同館における事業活動の成果及び評価結果の説明を受け、実際に館内(展 示室や収蔵庫など)を視察させていただき、国内を代表する自然史博物館として適正に運 営されていることを理解しました。一方、自然史博物館だけでなく、現在の公立博物館に は、これまで以上により多くの機能や役割が求められているのが現状です。また、平成 23 年の東日本大震災を経験し、最近も台風や竜巻、ゲリラ豪雨、土石流、火山の噴火など や、地球温暖化に伴う様々な自然環境の変化(生物種の減少や変化などを含む)を体験す る私たちにとって、自然史博物館の役割はさらに大きなものとなっているのではないかと 思います。こうした背景を踏まえ、より一層活発に活動を展開し、情報を発信する博物館 として機能することを願っています。以下は、同館の評価結果をもとに記します。
「資料の収集・保存と活用」に、収集資料のデータベースのバックアップや館外でのデ ータ保存について記載されていますが、リスクマネジメントの観点から絶えずこうした意 識を持って取り組んでいただきたいと思います。また、収蔵スペースの不足が深刻な課題 として挙げられていますが、館内で解決できない場合は、館外での保管なども視野に、有 効で現実的な対策を講じていただきたいと思います。県立博物館として、県内の博物館に おける収蔵資料のリスクマネジメントについても、各館と情報や課題の共有化を図るな ど、新たな一歩を踏み出していただければ、群馬県内の文化資産を護り伝える博物館とし て、さらに望ましいのではないかと考えます。
「調査研究」には、市民参加・連携型の調査が伸び悩んでいると記されています。博物 館の魅力は、実物(資料)を介した新たな発見や専門家である学芸員とのふれあいを通じ た多くの気づき、専門的な(学問・研究)領域への興味・関心、日常の生活に生かすこと のできる知恵の体得などではないかと思います。市民や各種機関・団体との連携、さらに は博物館の支援組織のあり方を含めた、よりよい事業の企画・実施を期待しています。
博物館の魅力や活動をより多くの人々に届けるためには、広報や情報発信は欠くことの できない大切な取り組みです。これからも絶えず有効な手段を検討し、講じてもらいたい と思います。
先述したように、公立博物館の役割は拡大を遂げています。あらゆる人々が楽しむこと ができる博物館づくりを推進する上で、新しい知識や技術を体得する研修機会は重要で す。予算や日程上の制約があるのは頷けますが、学芸員や職員の方々の研修機会の確保・
拡大を望みます。
同館は、平成 28 年度に開館 20 周年を迎えます。開館 20 年を機に、「群馬県立自然史博 物館のこれからのあり方」に関するメッセージを発信して欲しいと願っています。
(平成 27 年 11 月)
□平成 26 年度自然史博物館活動の評価について
(群馬県立自然史博物館専門委員 中村 修美)
博物館の使命とそれを実現するための事業方針が示され、その事業ごとに「活動目標の 評価指標」に基づき事業評価を行い、課題や改善点を把握している。博物館活動の評価は 適切に実施されている。
博物館は標本(実物資料)を有しているのが特徴である。博物館活動を行っていけば、
否応なく標本は増加していく。すでに検討されているが、将来的な資料の受入と保存管理
の計画を進めていただきたい。また、収蔵している資料は、将来へ残すべき県民の財産で もあり、学術上の貴重な標本でもある。保管・管理を確実に行うとともに、館としてだけ でなく館外の方の利活用の考慮もお願いします。そのためにも、データベースの整備と公 開は必須であり、今後も着実に進めてください。
収蔵されている資料は、温湿度管理、日常点検、燻蒸等により安全に管理されている。
資料管理に当たっては、日々のIPM(総合的病害虫管理)が重要なので、日常点検の内 容を再度見直すとともに、確実に日々実施していただきたい。
博物館には各方面から多様な要望が寄せられていると思う。実際、多様な事業を実施さ れている。しかしながら、職員数や専門分野により、その持っている能力・受容力以上の 要望が寄せられることもあるだろし、対応困難なことも多いと考えられる。博物館が持っ ている能力・受容力を考慮し、今後ともバランスのとれた効率的な博物館活動を進めてく ださい。
(平成 27 年 11 月)
□平成 26 年度自然史博物館活動の評価について
(群馬県立自然史博物館専門委員 清水 直樹)
平成26年度の来館者数は16万7500人で前年度を約1000人上回ったものの、
最近10年間で最多だった24年度(18万2000人)には届かなかった。26年6月 に世界文化遺産に登録され、来場者が急増した富岡製糸場の波及効果が期待されたが、思 うように伸びなかった。「知を広め、高める博物館」を使命の一つとして掲げており、来 館者増への取り組み強化が求められる。
富岡市と連携を図り、富岡製糸場から自然史博物館、富岡市立美術博物館への周遊コー スを確立していくことも有効だと思う。来館者アンケートで、リピーターが6割に上っ た。意欲的な企画展示の展開が要因だが、一方で新規の来館者誘致にも目を向けていきた い。地元富岡市内の小中学校の来館を積極的に呼び掛けるなど、地域に親しまれる施設を 目指してもらいたい。
外国人旅行者の来館を見込み、展示の説明文や案内板の多言語表記を本格的に検討して ほしい。外国人旅行者を呼び込み、地域活性化につなげようという国の政策もあり、訪日 客は増加傾向にある。スムーズに見学できるよう受け入れ態勢を整えることで、自然史博 物館が外国人旅行者の視野に入り、来館者増につながっていくと思う。
主要事業である資料の収集は約1万点で目標を大幅に上回った。しかし、収蔵スペース は満杯で、収蔵庫の通路に熊や鹿などの剥製が並べられている状態だ。スペース不足は以 前から指摘されており、保管場所の確保は喫緊の課題と言える。
27年10月に医学生理学賞、物理学賞と日本人 2 人のノーベル賞受賞が決定し、自然 科学分野への関心が高まっている。教育普及や調査研究、シンクタンクとしての社会貢献 活動など、一層の充実を期待したい。
(平成 27 年 11 月)
5 ESCO事業
平成26年度から開始されたESCOサービスは、前年度の反省点を踏まえつつ、博物館と 受託業者が連携して取り組んだ結果、平成27年度も削減保証額を上回る72,009千円の エネルギーコスト削減となった。
こうした昨年度からの省エネに対する取組が評価され、平成28年2月18日に関東地区電 気使用合理化委員会委員長表彰(最優秀賞)を受賞した。
※ 変更契約締結後のベースライン
104,909千円 〃 削減保証額
60,686千円
なお、削減実績の検証を行うために、博物館、受託業者、県関係課から構成される「自 然史博物館ESCOサービス検証ワーク」を6月、10月及び3月に開催した。
6 防災訓練・危機管理
地震や火災などの発生に備えるため、文化ホールと連携して2回の防災訓練を行った。
・平成27年6月26日 第1回地震避難訓練
・平成28年2月19日 第2回消防訓練(消防署立ち会い)
Ⅱ 事業の概要
1 展示
(1)常設展示
県民が自然の生い立ちや群馬県の多様で豊かな自然環境などへの理解を深め、自然に親し みながら学習する施設とするため、展示に際して、①資料についてはできる限り実物を揃え る ②資料のケース内の展示を極力減らして身近に展示し、実物を実感してもらう ③資料 を観覧するだけでなく、資料によっては直接手で触れたり、随所に映像や体験コーナーを設 けたり、参加・体験型の展示を心がける、以上の3点に配意している。
常設展示は、下記の5つのコーナーに区分されている。展示の保持にあたっては、平成27 年度も各コーナーの担当者が毎月1回エリア内の状況を確認した(清掃、修繕を含む)。
① 地球の時代(Aコーナー)
誕生から 46 億年を経て現在に至る地球の発達、すなわち大地が形成される過程、そして 地球における生命誕生とその生命が様々な環境に適応し多様化していく過程の二つを軸とし て、その中に群馬県の地質や化石を絡めて、生命の進化史を群馬県の自然史と対比しながら 世界的・日本的規模で展示している。本コーナーの展示は、今の自然環境の基盤となる地球
(太陽系)の形成と生命の誕生、ならびに先カンブリア時代の発展を紹介する「A-1 水の 惑星と生命の誕生」にはじまり、「A-2 生命を育てた太古の海」(古生代)、「A-3 恐竜 の時代」(中生代)、「A-4 哺乳類の時代」(新生代古第三紀・新第三紀)、「A-5 人類 の時代」(新生代第四紀)の5つに分けられる。また、A-1 の入口側には、館全体の導入展 示がある。
展示の中心はA-3 に列品されている大型恐竜(竜脚類)の全身骨格標本で、地球上で最大 の生物を代表するブラキオサウルス・ブランカイ(全身骨格が復元された恐竜としては最も背 が高い)、カマラサウルス(実物・世界で唯一組み立てられているメスの全身骨格)、マメン キサウルスといった世界三大大陸(アフリカ、北アメリカ、ユーラシア)の恐竜(竜脚類)と して展示している。なお、ブラキオサウルスについては比較的近縁な種類だと推定される歯 が、その後神流町でも発見されている。またボーンベッド展示では、アメリカで発見されたト リケラトプスの全身骨格化石(実物)の産出した状況をガラスの床下に復元し、俯瞰から観察 できる。その他に、A-1 に列品されている重量1トン超の大型鉄隕石標本(実物・アフリカ 産)をはじめ、ペルーの上部中新統産出のナガスクジラ類全身骨格化石(A-4、実物)では、
ヒゲと皮膚の印象が残っているほか、このクジラを食べたと考えられるサメの歯も観察でき る。また、A-5 では江戸時代に博物館近傍で発掘された角化石を元に復元されたヤベオオツ ノジカ全身骨格や県内産鉱物も展示されている。
本年度の展示機器の保守点検については、例年どおりA-1 の大型拡散霧箱について年2 回行い、2月にガラスケースを交換し、そのシーリングを再度実施した。A-3 の動刻(ロ ボット関係: ティランノサウルス、ガリミムス
など)も年4回実施した。展示更新・補修につ いて、A-3 では前年度に寄贈された恐竜卵化石産 状標本を7月に常設展示に加え、また9月には夏 期に開催した第 49 回企画展「恐竜時代の海の支配 者」の主要展示資料として製作したフタバスズキ リュウの全身復原組立骨格レプリカ標本を同展終 了後に企画展示室から移設した。A-4 では、5月 に寄贈された馬見岡凝灰岩層産貝化石ブロックを
8月に、収蔵していた緑町層産貝化石3点を3月に展示に加えた。A-5 については4月に解
説パネルの一部のレイアウトを変更し、5月に開館当初は盾状火山とされていた三原山が現在 の知見では成層火山に分類されることから、火山の分類について説明している映像装置のスイ ッチ横に、上述の変更点に関する注釈を加え、5月29日の鹿児島県口永良部島の噴火の際に は噴火を伝える速報的な臨時パネルを設置し、10 月にはナウマンゾウの解説パネルの記載情 報を最新のデータに修正した。
A-4「哺乳類の時代」で常設展示している標本のうち、鰭脚類のアロデスムスの頭骨レプ リカ(全身骨格の一部)について、6月から9月までメガ恐竜博 2015(於 幕張メッセ)へ 貸し出した。貸出期間中は代替標本として同じ鰭脚類でアザラシ科のアクロフォカ頭骨実 物化石を展示した。また、前年度から茨城県自然博物館に貸し出されていたA-5 のヤベオ オツノジカの右角が6月に返却されたので、燻蒸休館後に常設展示に戻した。
A-4 で常設展示している有孔虫を観察できる2台の双眼実体顕微鏡は、これまで、鏡筒 部分の破損や視野がずれるなどの故障を繰り返してきたが、今年度の改修で大きく改善さ れた。
(展示資料数 1,194 点、更新展示資料 6 点)
② 群馬の自然と環境(Bコーナー)
多様で豊かな群馬の自然環境を低湿地から亜高山帯まで、また利根川や尾瀬など代表的な 地域に分けてジオラマ、標本、映像等で紹介している。特に山地帯の展示ではブナ林、亜高 山帯はシラビソ-オオシラビソ林、丘陵帯はクヌギ-コナラ林、低湿地は茂林寺沼の周辺の 植物、尾瀬では湿原植物を、それぞれジオラマで再現している。さらに平成22年度より近年 生物多様性の保全上問題になる外来種の展示を加えた。また、利根川では3つの水槽に上・
中・下流に代表的な魚を生体で展示している。水槽展示のメンテナンスは年22回実施してい る。それぞれの場所ごとに生息する哺乳類や鳥類などの剥製やレプリカ、アクリル標本など も数多く展示している。また尾瀬シアターは、180インチのプロジェクター投影機を用いて、
日本を代表する尾瀬の湿原をミズバショウの妖精ミズビーが案内するものとなっている。本 年度は、特定外来生物法改正に伴い、従来の「要注意外来種」のラベル補助チップを「生態 系被害防止外来種」に変更した。また、仮設状態であった外来種関係のパネルやラベルを常 設展規格のものに変更した。
(展示資料数1,357点、更新展示資料なし)
③ ダーウィンの部屋(Cコーナー)
老博物学者のロボットが生物の進化について説明する。展示室内は、博物学者の書斎や倉 庫、実験室をイメージし、数多くの標本を間近に見ながら、資料に触れたり、機器を操作し たりしながら観察できる参加体験型の展示となっている。平成12年度に寄贈されたダーウィ ンの直筆書簡と顕微鏡を展示している。動刻(ロボット博士チャーリー)については、保守 点検を年4回実施した。展示では、「私が見つけた自然」の写真更新2点、触れるタヌキの更 新を行った。また、鉱物のケース内に6月の誕生石・ムーンストーンを追加するとともに、
「博物学者の部屋」のガラス書棚にアラフラオオニシとヤシガニを追加した。
劣化にともないケース内のレトロ調ラベル30点を更新し、その他、ケース内の展示を3点 増やした。 (展示資料数546点、更新展示資料38点)
④ 自然界におけるヒト(Dコーナー)
このコーナーは、「1 動物としてのヒト」「2 ヒトの起源と進化」「3 ヒトの特徴」とい
う3つの展示で構成されている。展示のコンセプトは、等身大立体教科書であり、教科書等
で縮小され、平面的に紹介されてきた有名な図を、実物標本や模型・複製等で再現している。
(展示資料数364点、更新展示資料0点)
⑤ かけがえのない地球(Eコーナー)
人間の生活が地球全体に及ぼす影響を紹介し、環境問題について考える機会を与える展 示である。エコボール、ドードーやトキなど絶滅、または絶滅の危機にある動物の紹介や、
森林の保水作用を説明する模型、環境クイズの映像などを展示している。本年度の更新とし ては、昨年度の「わたしたちにできること」に続き、「私たちの地球は、いま」の背景グラ フィック、上映動画を更新し、私たちの日々の暮らしを見つめ直し、持続可能な社会へ意識 を誘発する展示とした。
(展示資料数29点、更新展示資料1点)
⑥ 常設展メンテナンス
展示全体(A~Eコーナー)のケース内、常設展導入部他、ESCOの管理以外の部分につい て、電球交換を実施した。Dコーナー、Eコーナー(絶滅危惧種)壁ケース内の安定器(蛍 光灯仕様)を交換した。
尾瀬ジオラマ、ブナ林ジオラマ、丘陵地ジオラマ、茂林寺ジオラマ、シラビソジオラマ、
恐竜骨格(マメンキサウルス)のクリーニングを実施した。シラビソについては劣化のため 樹幹補修を行った。
Aコーナーの顕微鏡のLED化を行った。Bコーナーのプランクトン展示エリアにおいて、顕 微鏡カバー2台を交換した。また、谷川岳・高山植物パネルスイッチのパネル、尾瀬ジオラ マ解説台を修繕した。
Eコーナーの「私たちの地球は、いま」の背景画像および動画を更新した。映像装置につ いては、20インチモニター機器(利根川1・2、赤城山、カッコウの托卵、モリアオガエル の産卵、群馬の亜高山、二生歯性、霊長類のロコモーション、脳の発達と言語、道具、宇 宙)について、DVDプレーヤーからSDメディアプレーヤーに更新した。それにともない、DVD 上のデータをSD用データの変換し、移行した。今後、メディアプレーヤー化を要するのは、
導入部、Cコーナー書斎、Dコーナーの一部である。
劣化した展示用剥製等の修理等を行い、一部ラベル・パネル・展示用具の修正・作製・更 新等を行った。
(2) 企画展示
① 第48回企画展「
根も葉もない植物の話」
A 趣旨植物は普段見かける生物の中では動物と並ぶ二大分類群であり、見慣れた存在である。しかし、そ の体制は動物とは大きく異なり、それは固着と独立栄養という植物の特性に対して合理的にデザイン されたものである。しかし、植物には形態的な可塑性が高く、しばしばクローン成長を行うため、そ の形態は千変万化で、奇想天外な形態を示すものや、ある器官が別の器官の役割を代替することも多 い。それは環境への適応や栄養獲得方法の変化によりものである。本展示では、植物の形態を珍奇な 形態をする植物や、身近な植物を通して解説し、植物への関心を高める、そして植物が形を変えるこ とによって幅広い環境へ適応できるようになり、多様性を高めていった過程を理解することを目標と する。
B 開催期間
2015 年 3 月 21 日(土)~5 月 17 日(日)(開催日数 51 日)
C 主な展示構成
a) 根、茎、葉-植物の基本体制
維管束植物の体は基本的に茎とその側生器官である葉と発生時その反対側に作られ伸長する根 から作られる。繁殖器官である花や果実もその変形とみなされる。本コーナーは植物の基本体制 を理解することを目的とした。
b) いつも見ている植物は変わり者-例外と掟破りの植物学
身近な植物を例にとって植物の基本体制から大きく姿を変えた植物を紹介し、植物の形を雑学 的に理解し、さらに次のコーナーの前哨とする。
c)根も葉もない植物たち-環境に応じて姿を変えた植物
奇想天外な植物、一見基本から大きく外れた植物の形から、植物の環境への適応、形態の可 塑性を理解する。
・サブコーナー:C-1 乾燥地の植物と多肉化、器官の特殊化、C-2 水生植物における器官の特殊化
(付:サトイモ科)、C-3 着生植物における器官の特殊化、C-4 季節的に栄養成長 期と花期を分ける植物、C-5 寄生植物:C-1~C-3 に生体展示コーナー設定。
d) 八百屋へ Go!-野菜果物で学ぶ植物の形
ふだん見かける野菜を通じて、器官の特殊化と野菜が属する花を通した科のもつ普遍性を解説 するとともに、アブラナ科
Brassica
属の野菜を通して植物の遺伝的多様性についての理解を深め ることを目的とした。e)エピローグ 多様で柔軟な植物の世界
遺伝的多様性と自然選択が植物の進化の原動力であり、それによって結果的に環境に適応した多
様な種が生まれ、一定の系統性が保たれてきた。本コーナーでは進化系統、環境への適応をキーワ ードに植物の種多様性に関心を高めることを目的とした。
D 展示点数:400 点(内当館収蔵資料数 206 点)
E 関連事業 a)記念講演会
題目 「根も葉もない植物の話-菌に寄生する植物の奇妙なくらし-」
講師 遊川知久(国立科学博物館 植物研究部 多様性解析・保全グループ長)
実施日 4月26日(日)13:30~15:20 参加者数 72名
菌従属栄養植物の進化系統とその生態を、この分野では第一人者の解説とスライドによりわかり やすく解説し、植物の多様性と、その不思議な生態について理解を深める内容とした。
b)自然教室「園芸教室 サボテン編」
講師 諸田幸一(モロタナーセリー代表)
実施日 4月29日(水)13:30~15:00 参加者数 19名
サボテンを導入・育成して園芸店等に卸す専門業者の代表者を招き、サボテンと多肉植物の多様 性、栽培方法の解説を行った後、実際にサボテン、多肉植物と鉢を用意して寄せ植え作りを行った。
また、本イベントに関連して、モロタナーセリー様によるサボテン、多肉植物の販売をエントラン スホールで行った。
c) 企画展自然教室「筑波実験植物園バスツアー」
講師 堤千絵(国立科学博物館筑波実験植物園) 大森威宏(当館学芸係)
実施日 5月10日(水)6:50~18:00 参加者数 25名
企画展で解説された植物や、また、奇想天外な形態や生態をもつ植物を、植物園で生きた形で午 前中主催者・共催者両館専門職員の解説のもと観察した。午後は国立科学博物館を自由見学とした。
なお、移動には県庁のバスを使用した。
F 共催
国立科学博物館筑波実験植物園
G 協力団体有限会社モロタナーセリー、有限会社ワールドプラザ(以上生体展示設営管理)、国立科学博物 館、Australian National Botanic Gardens、徳島県立博物館、新潟県立植物園、富士吉田市歴史 民俗博物館、昭和大学 薬学部 創薬分子薬学講座、エコールドパルファン香りの学校、群馬県農業 技術センター
(以上、敬称略)
H 協力者
岩科 司、遊川知久、田中法生、海老原淳、堤 千絵(以上国立科学博物館関係)、島田典彦
(生体展示設営管理)、磯田 進、茨木 靖、大谷好樹、加野久男、北爪二郎、白須 賢、高松 智、
森田洋子、Jordan Zylstra
(以上、敬称略)
I 入館者数
31,733 人(うち平成 27 年 3 月 31 日までの入館者数 5,813 人)
入館者調査結果(抜粋)
・調 査 数 187 名
・居 住 地 群馬県 68.6% 県外 31.4%
・企画展の観覧は 初めて 27.5% 2 回目 17.0% 3 回目 9.3% 4 回以上 46.2%
・企画展の
内容は 満 足 77.4% 普 通 19.4% 不満足 3.2%
・わかりやすさは よ い 76.6% 普 通 20.1% 悪 い 3.3%
J その他
ガイドブック(48ページ800部)を作成・販売した。
②第49回 企画展「恐竜時代の海の支配者」
A 展示概要
恐竜時代,すなわち中生代に生息したクビナガリュウやアンモナイトなど,当時の代表的な海洋生 物を紹介し,それらの進化や特徴的なからだの構造,そして当時の生態系や海洋環境の移り変わりな どを中心に展示を実施した.
恐竜時代とも呼ばれる中生代には陸上で恐竜類など多様な生物の世界があったことはよく知られて いる.これに対し当時の海や海に生息していた生物の世界はあまり知られていない.そこで「恐竜時 代の海」を紹介し,当時の海について学び,知見を深めていただくことを目的として,フタバスズキ リュウの全身復原組立骨格(新規製作)をはじめとしてクビナガリュウ類,ギョリュウ類,モササウ ルス類などの中生代の海に生息していた大型爬虫類を中心にアンモナイトやワニ類など当時の生態系 を構成していた生物たちとともに展示し,「恐竜時代の海」について学び知見を深めていただく事で 海と生物やその進化との密接な関係について学ぶ場を提供した.
B 開催期間
平成 27 年 7 月 11 日(土)~8 月 31 日(月)49 日間 C 主な展示構成
① 恐竜時代の世界
企画展のイントロダクションとして、企画展をより深く理解していただくために企画展のテーマと なっている中生代“恐竜時代”についての概略を解説する展示とした。中生代の頃の大陸の配置や、
中生代を構成するそれぞれの地質時代の特徴。そして中生代を代表する恐竜やアンモナイトなどの化 石標本を展示した。また「群馬の恐竜時代」として県内に分布する中生代の地層から産出した化石の 展示を行い、群馬と恐竜時代の海のつながりについても紹介した。
② 海の“恐竜”たち
本企画展の主役となる海の“恐竜”たちについて中生代の大型海棲爬虫類として、ギョリュウ類、
クビナガリュウ類、モササウルス類について実物化石、全身復原組立骨格レプリカ標本、生体復原模 型などを用いて展示を行った。助成金(船の科学館 海の学びミュージアムサポート)を活用する事 によりフタバスズキリュウの全身復原組立骨格レプリカ標本を新規製作して企画展示室内に吊り下げ 展示した。
サブコーナー:ギョリュウ類、クビナガリュウ類、モササウルス類、海へ還った爬虫類
③ 恐竜時代の海の生き物たち
中生代の海の生態系を構成していた爬虫類を中心とした様々な生物を紹介することで、当時の生 態系についての展示を行った。ワニ類では当館所蔵のゴニオフォリスの実物化石を成安造形大学との 共同プロジェクトにより世界で初めて組立展示した。また世界最古のウミガメ化石(早稲田大学所 蔵)の世界初一般公開を行った。
サブコーナー:もう一つの『竜』、ウミガメ、中生代といえば・・、恐竜時代の生物たちのつな がり
D 展示点数:約 500 点(内当館収蔵資料数約 250 点)
E 関連事業 a)記念講演会1
題目 「フタバスズキリュウ発掘物語」
講師 長谷川善和(当館名誉館長)
実施日 7 月 11 日(日)13:30~15:30 参加者数 69 名
概要 企画展の主要展示標本であるフタバスズキリュウの発掘から研究まで行った当館の名誉館長に よるフタバスズキリュウの研究にまつわる様々な話題、フタバスズキリュウとはどのような生物であ るのかについて理解を深める内容とした。
b)記念講演会2
題目 「恐竜時代の海のなか」
講師 佐藤たまき(東京学芸大学)
実施日 7 月 19 日(日)13:30~15:30 参加者数 52 名
概要 企画展のテーマである中生代“恐竜時代”の海棲爬虫類を中心とした当時の海洋における様々 な生物たちの世界について理解を深める内容とした。
c)ミニ講演会付き映画上映会
演題 「フタバスズキリュウ」
講師 長谷川善和(当館名誉館長)
映画タイトル 「のび太の恐竜 2006」
実施日 8 月 2 日(日)10:30~12:00、13:30~15:30 参加者数 1,213 名(1 回目 696 名、2 回目 517 名)
概要 企画展の主要展示標本であるフタバスズキリュウが登場する映画の上映会とともにフタバスズ キリュウについてわかりやすく紹介をする事で、これまで来館していなかった方々にとっても企画展 へのイントロダクションとなるような内容とした。
d)自然教室「ワイヤーアートでよみがえるアンモナイト」
講師 細川 努(T.G.ワークス株式会社)
実施日 8 月 9 日(日) 10:30~12:00、13:30~15:00
参加者数 33 名(午前 11 名、午後 22 名)
概要 アンモナイトについて学んだ後に、ワイヤーを用いてアンモナイト型を製作した。
e)自然教室「化石のコハクストラップをつくろう」
講師 小須田健志(当館普及係)
実施日 8 月 23 日(日)13:30~15:00 参加者数 28 名
概要 コハク化石について学んだ後に、実物のコハク化石を用いてストラップを製作した。
f)ギャラリートーク
講師 木村敏之(当館学芸係)
実施日 8 月 22 日(土)13:30~14:10 参加者数 6 名
概要 企画展について担当者により解説を行った。
F 協力機関
いわき市教育文化事業団,いわき市石炭・化石館,株式会社パレオサイエンス,技術評論社,ゴビ・
サポート・ジャパン,埼玉県立自然の博物館,城西大学水田記念博物館大石化石ギャラリー,成安造 形大学,スリーエム仙台市科学館,東京大学総合研究博物館,独立行政法人 国立科学博物館,栃木 県立博物館,豊橋市自然史博物館,船の科学館,むかわ町立穂別博物館,和歌山県立自然博物館 G 協力者
伊藤あずさ,宇野君平,えるしま さく,大石道夫,大倉誠二,小田 隆,小原正顕,梶谷東輝,柏 村勇二,加藤太一,河野重範,河部壮一朗,菊谷詩子,北川博道,楠見忠司,国府田良樹,小林快次,
小堀文彦,櫻井和彦,佐々木猛智,佐藤たまき,信ケ原良和,島田賢舟,鈴木 直,高橋 功,滝沢 利夫,立松正衛,土屋 健,徳川広和,冨田幸光,中川久雄,中島保寿,中田健太郎,菜花 智,萩 原洋一,服部雅人,花田義輝,平山直子,平山廉,細川 努,松岡敬二,真鍋 真,圓尾博美,山田 寛,吉川博章,Johan Lindgren(敬称略)
H 後援
化石研究会,日本古生物学会,日本地質学会 I 印刷物
・企画展ポスター(B2 判) 3,000 枚
・普及イベントポスター(B2 判) 3,000 枚
・企画展ポスター(A3 判) 200 枚
・企画展パンフレット(A4 判) 60,000 枚
・映画イベントパンフレット(A4 判) 20,000 枚
・招待券 6,000 枚
・展示解説書(A4 判) 800 部 J 入館者数 53,024 名
K アンケート 回答数 456 件
居住地:群馬県内 53.5%、県外 46.5%
来館回数:初めて 41%、2 回目 15%、3 回目 9%、4 回目 35%
企画展を何で知ったか:チラシ 22.4%、Web 14.7%、来館して 25%
企画展の内容:満足 83%、普通 16%、不満足 1%
企画展のわかりやすさ:よい 88%、普通 10%、悪い 2%
L その他
船の科学館「海の学びミュージアムサポート」による助成を受けた。
③ 第 50 回企画展「たべる。」
A 趣旨
私たち生物は、他の生き物の命 をいただきながら生きています。
本企画展では、ヒトが感じる基本 五味、味を感じる仕組み、うま味 の秘密や、おいしい食卓など、私 たち自身について改めて見つめ直 すとともに、食卓を取り巻く様々 な課題などにも触れ、食虫植物や 哺乳類、鳥類などの消化から排泄 までの流れなどをご紹介しました。
光のエネルギーは、たくさんの生
き物たちをめぐりながら循環していること、たべることは、生きることである、というシンプルかつ 本質的なメッセージをお伝えし、他の生き物たちとの共存について考える場を提供した。
B 開催期間
平成 27 年 10 月 3 日(土)~11 月 29 日(日)(開催日数 50 日)
C 主な展示構成
a) おいしいってなに?
エントランスから、展示室入り口までを、おいしい色、基本五味、うま味の秘密、味蕾の仕組みな ど味とおいしさにまつわる展示物を入れ込み、お客様をいざなう手法をとりいれた。
b)日本の食・世界の食
食べ物がおいしい、ということは、どういうことだろう。私たちの食卓、世界の食卓、日本の郷 土食などを紹介し、地域の自然の恵みの上に、私たちの食文化はなりたっていること、また、ユネス コ無形文化遺産に登録された和食を「てんぷら」と「割烹」のカウンター・プロジェクションで紹介 し、これらの食をいただき続けることができるのは、生産者の方が、そして、生産者と人をつなぐ料 理人の方々がいてくださるからであることを紹介した。あわせて、食品自給率など現代社会が抱える 問題についても紹介した。
c) 動物の食・植物の食
ヒト以外の生物の食、消化について紹介した。動物の食と消化については、同じ草や葉を食べる草 食動物でも、胃で消化する動物と腸で消化する動物がいること、肉食動物や雑食動物の消化の仕組み との違い、動物と植物の消化の仕組みの違いについて紹介した。また、植物については特異的かつ多 様な進化をとげた食虫植物の生態について、ハエトリグサ、ムシトリスミレの仲間、ウツボカズラな どの生体展示を中心に紹介した。
d) 生きている限り食べ続け 排泄し続ける
生き物は、他の生き物の命をいただいて生きている。そして、生き物は、食べて、消化し、排泄し ます。消化の仕組みによって、排泄される糞の形や状態が異なることを、実物標本(凍結乾燥標本)
と剥製、動画による解説で紹介した。
e) 5. 命の循環
太陽光の光エネルギーは、多様な動物を通じて循環している。光エネルギーを吸収した植物を草食 動物が食べ、肉食動物が草食動物を食べ、これらの動物たちはやがて死に、土壌静物や菌類などによ って分解されて、再び植物に戻っていく。命の輪、命のつながりを最後に動画とグラフィックで紹介 した。
D 展示資料点数
総展示点数 213 点(標本 178、体験展示 13、生体展示 5、動画 16、音源 1)内借用標本点数 20 点 (当館収蔵資料 193 点)
E 関連事業 a) 講演会
講演「コーヒーのおいしさの秘密 ~やすらぎへのいざない~」
講師 相野和喜氏(コーヒー愛好家)
開催日 10月4日(日)13:30~15:30 参加者数 50名
コーヒーの基礎知識として起源・歴史、植物学、栽培学、加工について学ぶと共に、コーヒーのお いしさを体感するためにモカ、キリマンジャロ、ブラジルの各銘柄の比較試飲を通して銘柄毎の香味 特徴、焙煎と香味変化についてそれぞれの特徴について、また、コーヒーとやすらぎの関係について もご紹介くださいました。
b) 自然教室
・「郷土の知恵に学ぶ~大地の恵みをいただくお料理教室~」
講師 福田秀子氏(安中第一中学校)
開催日 10 月 18 日(日) 13:30~15:30 参加者数 15名
雷汁と、おやきピザをつくりながら、自然とともに営まれてきたくらしのなかに根づく郷土の知恵 を、ちょっとした工夫で毎日の食卓に取り入れ、昔ながらの知恵に遊び心をプラスして、生命のゆり かごである大地に育まれた秋の実りをいただく技を学びました。
・「プロに学ぶ「季節の味覚とお魚まるごとを楽しむお料理教室」
講師 志村幸一郎氏(てんぷら小野店主)
川崎泰代氏(フードコーチネーター)
志村 茜氏(てんぷら小野)
開催日 11 月 1 日(日) 13:30~15:30 参加者数 21名
私たちが日常的に消費している貝や魚、甲殻類などの多くは、豊かな海の恵みであり、古くから私 たちの食卓を彩ってきました。この豊かな恵みは、現在、乱獲や環境汚染などにより枯渇の危機を迎 えています。本自然教室では、生産者がおかれている現状について講義を受けた後、日本の伝統的な 食文化である和食のプロに、家庭でもできる、旬の食材を余すところなく丁寧に使い切り、おいしく いただく技を学びました。旬のタラをまるごと調理し、タラ汁、じゃがたらコロッケ、タラのホイル 焼きを、井上農場の新米(つや姫)とともにいただきました。