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論 文 審 査 の 要 旨

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Academic year: 2021

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別紙1

論 文 審 査 の 要 旨

報告番号

3140 加藤 梨友

論文審査担当者

主査 教授 馬場 一美 副査 教授 真鍋 厚史

副査 教授 代田 達夫

(論文審査の要旨)

学位申請論文「Research on 3D printer materials used for orthodontic treatment」について,

上記主査1名,副査2名が個別に審査を行った.

本 研 究は,3D プリンターから直 接,長期 間装 着 可能 な装 置の作 製を行 うため,既 存の材料 と,開発 材料 である EBR において,理工学的性質,生物学的安全性について調べることを目的とした.EBR を含む 6 種類の試料に対して SEM による表面性状の把握,力学的試験, 細胞毒性試験,統計学的処理を行っ た.その結果 EBR は改良を加えると,将来的に矯正歯科治療において臨床応用可能な材料であること が示された.

本論文の審査において,両副査からの質疑応答の一部を以下に示す.

副査 代田 委員の質疑応答

1)口腔内環境を再現させた実験系での物性試験が必要ではなかったか.

回 答:必要であったと考える. 歯科 生体 材料の為 害作 用は化学 物質の固 有の毒 性にのみが発現 を規 定するものではなく,曝露 量,生体の感 受性 など様 々な要因が関与する. 歯 科生体材 料の場合には,曝 露量は溶出物質と考えることができる. in vitro での溶出試験の例として,試料をヒト唾液に浸漬し,唾液 中の溶出物の判定を行うことによってin vivoにおける溶出量の推定などが改善策として考えられる. 2)3Dプリンターではなく,オーソクリスタルのような毒性の低いレジンブロックのミリングによる作製法は 検討しなかったのか.

回 答 :レジンブロックのミリングによる作 製 法 では, 切 り出 し部 位 以 外 の医 療 材 料 の浪 費 が起 こる.本 研 究では,必要な材料のみから作製可能な、光造形法にて作製できる新材料の開発を試みた.

3)毒性を有するエポキシ樹脂をバイオコンポジットレジンの材料として選択した理由は何故か.

回答:現在, 3D プリンターにて主に臨床応用されているアクリル系の樹脂はラジカル重合反応タイプで あり,一 般 的 に,造 形 物の反 りや精 度 の点で不 利 と言 われている.一 方, エポキシ系 樹 脂 は カチオン重 合 反 応 タイプであり,重 合 速 度 は劣 るが重 合 化 合 物 の収 縮 歪 みが小 さい.光 硬 化 性 樹 脂 組 成 物 として の硬化収縮率はアクリレート系で 6%台後半,エポキシ系で 5%台前 半となっている.そのためエポキシ系 樹 脂 では造 形 物 の寸 法 精 度 が有 利 であり,反 りの少 ない造 形 物 が得 られるという利 点 がある.しかし,エ ポキシ系樹脂は人体への安全性において,ビスフェノールA等の有害物質を有するという問題を持って いた.本研究では, ビスフェノールAを含まないアクリル・エポキシ系ハイブリッド樹脂の開発を試みた. (参 考 文 献 :Hagiwara T. Present status and future of resin for optical mo deling and its molding.Sokeizai.2012;53(10)51- 57.

Hagiwara T .Status and Trends of Stereolithography Resins. Journal of the Japan Society for Precision Engineering. Supplement. Contributed papers.2004;70(2):171-173.)

(主査が記載)

(2)

副査 真鍋 委員の質疑応答

1) 乳 幼 児 にレジンを用 いると,粘 膜 の発 赤 等,アレルギー反 応 が出 る可 能 性 がある.開 発 材 料に対 して 遅延型アレルギーの検査(マキシミゼーション試験)を行った方が良いのではないか.

回答:今回 ISO10993-5 に準じて,試験法の選択を行なった.今回行なったコロニー形成法では遅延型 アレルギーについての評価はなされていないため,今後追加するべき試験であると考える.

2) ビスフェノールAが及す人体への影響は、現代では否定傾向ではないか.

回答:ビスフェノールAが健康への悪影響をもたらす可能性があるという明確な証拠がないという意見が ある一方で,出生前のビスフェノールAの暴露は子供の神経発達に影響を与える可能性があるという意 見もある.ビスフェノールAの人体への影響は全くないとは言い切れないため,研究する際には影響につ いて視野に入れる必要がある.また,ビスフェノールAの用量によっても異なる結果が考えられる. 3) 乳幼児に対する光学印象は困難であることが予想される.光学印象の際に,乳幼児の口腔内の平均 的な幅径や深度が分かれば,口腔内スキャナーのヘッドを工夫ができ,撮影が簡易になるのではないか.

回答:今後,乳幼 児の口腔内の平均的な幅径や深度を調べて,3D スキャナーのヘッドへの応用を検討 する.

両副査は,上記を含めた質問に対する回答が,いずれも適切であることを確認した.

主査 馬場 委員の質疑応答:

1) なぜ生体安全性の評価を行う際に,細胞毒性試験のみを試験項目の対象としたのか.

回答: 生体安全性の評価において考慮すべき評価項目は,細胞毒性,感作性,刺激性,亜急性全身毒

,遺伝 毒 性がある.今 回は,時 間的 な問題 から最 も優 先 度の高 い細 胞 毒性試 験(コロニー形 成 法)から

行 うこととした.今 後,感 作 性,刺 激 性,亜 急 性 全 身 毒 性,遺 伝 毒 性 に対 しても評 価 を行 う必 要 があると考 える.

2) 重合後に出た毒性に対して,毒性をなくすためにはどのような対応が必要か.

回答:EBR は水溶性モノマーのみを原料に用いているため酸性に弱く,細胞毒性試験前処理の消毒を 酸 性 条 件 下 で行 うとポリマーが分 解 し細 胞 毒 性 が発 生 する可 能 性 がある.今 後,試 験 片 の中 性 下 での 消 毒方 法 を検 討する必要性がある.また,原 料における重合 開始 剤や増 感剤の種 類の変 更を検討 する 必要がある.また,露光時間や波長の長さの変更 により,未反 応物質への対策 を行う必 要性があると考え る.

主 査 の馬 場 委 員 は,両 副 査 の質 問に対 する回 答の妥 当 性 を確 認 するとともに,本 論 文 をさらに確 認 するために上記質問をしたところ,適切な回答を得られた.

以上の審査結果から,本論文を博士(歯学)の学位授与に値するものと判断した.

(主査が記載)

参照

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