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農中総研 調査と情報

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(1)

農中総研 調査と情報

2013.7 (第37号)

ISSN 1882-2460

本誌において個人名による掲載文のうち意見にわたる部分は,筆者の個人見解である。

● 農林水産業 ●

ミャンマー農業の輸出力

 ―国内生産基盤の改善と自給体制の確立が前提―  室屋有宏 

米国下院における次期農業法案の否決  平澤明彦 

● 農漁協・森組 ●

ドイツにおける協同組合新設の増加とその背景  斉藤由理子 

● 経済・金融 ●

アベノミクスと不動産市場  堀内芳彦 

物価と金融政策

 ―デフレ脱却へ向けて―  竹光大士  10

ゆうちょ銀行の貯金動向

 ―地域別と定額貯金の商品性の観点から―  渡部喜智  12

てん菜とお砂糖のはなし

  一般社団法人 北海道てん菜協会 事務局長 吉村清和  14

中山間地域における自立的農業経営の確立

 ―JA 広島北部クリーンカルチャーグループの取組み―  尾高恵美  16 資産を守る使命果たす JA たかさきの資産管理事業  渡部喜智  18 島根県雲南市における地域森林資源の 

  熱エネルギー利用に向けた取組み  安藤範親  20

当社の定期刊行物に掲載された論文を紹介するコーナー    22

丹波の百姓王子、東京で修業中! 

  婦木農場 長男 婦木敬介  24

■ レポート ■

■ 寄 稿 ■

■ 最近の調査研究から ■

■ 現地ルポルタージュ ■

■ あぜみち ■

(2)

〈レポート〉農林水産業

ている(第1表)

3

 ミャンマーはコメ生産大国か

コメはミャンマー人の主食であり、かつて イギリス植民地時代から1960年代初めまでは 世界一の輸出国であったが、その後の統制的 な経済政策の下で基本的に自給用農産物とし ての位置付けに変わった。近年ミャンマー政 府は、こうした政策を転換し農業の自由化を 進めるとともに、特にコメの増産と輸出拡大 を経済成長の最優先課題として推進している。

このような政府の取組みもあって、ミャンマ ーのコメ輸出量は増加傾向にあり、07年以降 は70万トン程度で推移している。しかし、ベ トナムの772万トン、タイの695万トン(いずれ も12年)に比べるとまだまだ大きな開きがある。

ミャンマーのコメ生産量は、政府統計に準 拠するFAOデータ(11年)でみると世界第7位 で、5位のベトナム(4,233万トン)と6位のタ (3,459万トン)に次ぐ水準にある。ところが コメ生産量を独自に推計している米国農務省

(USDA)のデータでは、ミャンマーのコメ生 産量はFAOデータより大幅に少なく、特に00

1

 はじめに

2年前の民政移管を契機に欧米諸国の対ミ ャンマー経済制裁の見直しが進み、これを受 ける形でわが国でも「アジア最後のフロンテ ィア」ミャンマーに対する関心が官民挙げて 急速に高まっている。

一方、ミャンマーは現在でもGDPの約4割 を農業が占め、また就業人口のおよそ6割が 農業に従事するなど経済的には低所得農業国 である。中長期的には、ミャンマーが外資導 入を通じて工業製品輸出国へと変化していく ことが予想されるが、現状においてはインフ ラ整備の立ち後れ、特に電力不足から本格的 な製造業分野への外資進出にはまだ時間を要 するとの見方が一般的である。その間、いわ ば「過渡期」のミャンマー経済を牽引する分 野として、農産物輸出への期待が内外で大き くなっている。

2

 コメとマメ類が2大作物

ミャンマーの農業では、コメが生産量、生 産額とも他の農作物を圧倒する規模である。

総農地面積1,259万haの約3分2にあたる804 万haで栽培され、生産量は3,280万トンである

(2011年、以下コメ生産量は籾、輸出量は精米) コメに次ぐ重要な作物はマメ類であり、そ の生産規模は世界有数である。マメ類は生産 にさほど資金を要せず、インド向けを中心に 輸出需要も強いことから、80年代末の民間輸 出の解禁を契機に国内生産が劇的に伸びた。

ミャンマーの輸出品目をみると、タイ向け の天然ガスが飛び抜けて大きく、それ以外は 縫製品を除いて一次産品が並ぶ。農産物では マメ類が最大で全体でも第2位にランクして おり、コメの約4倍、近年大きく伸びている 縫製品と比べてもほぼ2倍の輸出金額に達し

主席研究員 室屋有宏

ミャンマー農業の輸出力

─国内生産基盤の改善と自給体制の確立が前提─

第1表 ミャンマーの主要輸出品(通関ベース)

10年度 金額 天然ガス

マメ類 縫製品 魚類 チーク 堅木 コメ ゴム エビ ゴマ その他

輸出総額(FOB)

資料  日本貿易振興機構(ジェトロ)

原資料 ミャンマー中央統計局

(注)  ミャンマーの年度は4月から翌年3月まで。

13,947 4,450 2,100 1,168 1,709 1,596 1,092 849 367 251 21,578 49,107

11年度

金額 構成比 伸び率

(単位 100万チャット、%)

18,860 5,312 2,685 1,901 1,674 1,593 1,439 707 444 313 14,360 49,288

38.3 10.8 5.4 3.9 3.4 3.2 2.9 1.4 0.9 0.6 29.1 100.0

35.2 19.4 27.9 62.7

△2.1

△0.2 31.7  △16.7 21.0 24.7

△33.4 0.4

(3)

日系以外では、ミャンマーは中国の影響力が 非常に大きく、対中国向け農産物輸出だけで はなく、中国人による農地等への投資が進行 している。

ミャンマー経済の現段階を考えると、農業 分野への外資導入と農産物輸出の拡大は重要 な成長エンジンといえよう。他方、ミャンマ ー農業全体でみた場合、外資企業進出により メリットを受ける領域は限られているのも事 実である。

ミャンマー農業は潜在性が高いものの、生 産基盤が脆弱なため自然災害等の影響を受け やすく生産変動が大きく、また農民の半数近 くは土地を持たない農業労働者であり、近代 的な農業金融や農民組織も未整備な状態にあ る。さらにミャンマーの場合、民族問題が宗 教や経済格差の問題と交錯し複雑な形で存在 している。こうした状況のなかで農業は長期 的な経済発展を支える基盤であり、まずは安 定した自給体制の確立のために日本が官民を 挙げて支援していく視点を忘れてはならない だろう。

 <参考文献>

・ 室屋有宏(2012)「ミャンマーの稲作農業―『コメ輸出大 国』の可能性と課題―」『農林金融』8月号

(むろや ありひろ)

年代以降、2つの統計は著しく乖

かい

するよう になっている(第1図)

一般にミャンマーの政府統計の信頼性は低 く、農業生産を規定するさまざまな条件等を 考慮すると、統計数値は相当の過大評価がさ れており、現状は安定的かつ十分な輸出余力 を持つレベルにないと考えられる。

他方、ミャンマーはデルタ地帯を中心に水 と土壌条件に恵まれており、また未利用地等 も多いことから、潜在的なコメ増産余地は大 きいといえる。しかし、そうした潜在性を今 後開花させていくためには、灌漑設備を中心 とする農業インフラの更新・拡大が不可欠で あり、また脆

ぜいじゃく

弱な育種、普及活動、肥料等の 供給体制等の充実が必要である。民間部門に おいても、乾燥や精米技術が低いため輸出米 であっても低品質で競争力が低いという問題 が指摘されている。

4

  日系商社による自社サプライ・チェーン への取込み

日本の企業はミャンマーについて高い関心 を持つものの、実際の進出は現状まだわずか である。こうしたなか、大手商社を中心に農 業分野へまず進出していこうという動きが目 立っている。

新聞報道等によると、三井物産が現地の農 業大手企業と組んで、大型精米工場を3か所 建設し、営農から加工・販売(輸出)に至るコ メのサプライ・チェーン構築を目指している。

丸紅はコメ、エビの対日輸出のほか、日本ハ ムと共同で飼料・養鶏事業を開始すると最近 発表した。また伊藤忠商事は、日本向けのゴ マの搾油工場の建設や米ドール社と提携しミ ャンマー産果実の取扱いを検討していると報 じられている。

このような取組みは、総合商社が持つ飼料 穀物から加工・販売に至るグローバルなサプ ライ・チェーンに、ミャンマー農業を統合し ていく動きと理解できよう。筆者の現地での ヒアリングでも、ミャンマーで大規模農業の 意向を持つ日系企業は相当多いとみられる。

資料  FAO、USDAデータベースから作成 3,500

3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0

(万トン)

第1図  ミャンマーのコメ生産量の推移

51

年55 59 63 67 71 75 79 83 87 91 95 99 03 07 11 FAO

USDA

(4)

〈レポート〉農林水産業

増えたのである。

SNAPの予算削減を巡っては昨年来、下院 共和党内での意見対立が農業法案不成立の大 きな要因となっている。下院法案は上院(民主 党が多数党)法案対比で数倍規模の削減を盛り 込んだが、茶会など財政保守派は更なる削減 が必要であるとしていた。一方で民主党議員 を中心とするSNAPの支持者も今回の農業法 案を支持しにくい。農業法案が成立しなけれ ばSNAPは予算削減を免れるためである。

下院共和党に強硬な茶会派議員が増えた結 果、本件に限らず全般に共和党内・2大政党 間とも妥協が難しくなっており、共和党指導 部は本会議で各種の法案審議を見送らざるを 得なくなっている。農業法案の否決にはそう した下院の全体的な機能麻痺の一環という側 面もあるとみてよさそうである。

SNAPは次期農業法案における予算の8割 程度を占める。従来は都市部の議員から農業 法案に対する支持を取りつける役割を担って おり、1973年以来すべての農業法に関連条文 が組み込まれてきた。しかし、今や農業法案 成立の障害になっているとして、農業補助金 からの切り離しを求める主張もある。だが農 業団体や有力農業関係議員の多くはSNAPな しに農業補助金は維持できないとみている。

他方、上院法案は昨年と同様下院に先行し て5月14日に農業委員会、6月10日に本会議 で可決された。

2

 2013年農業法案の内容

上下両院の法案はいずれもそれぞれの2012 2012年以来、米国の議会で次期農業法案(ほ

ぼ5年毎に制定、農業政策の多くを網羅)の検討 が難航している。下院共和党の茶会派が低所 得者向け食料援助(SNAP)の削減幅拡大を主 張していることが大きな要因であり、農業法 の成立に必要な政治的支持を巡る議会の構図 が変化している。

1

 下院本会議での否決とSNAP 

昨年、下院の2012年農業法案は農業委員会 を通過した後、多数党である共和党指導部の 拒絶により本会議で審議されず(少なくとも50 年ぶり)未成立となった。現行法である2008年 農業法は12年9月末で失効し、その後一部の プログラムを除き13年9月末まで延長された。

その後13年春に下院共和党指導部が農業法 案の審議に前向きとなったことを受けて、農 業委員会では改めて2013年農業法案を提出し 5月15日に可決した。しかし、6月20日の本 会議における採決は可決が見込まれたにもか かわらず否決に終わった。下院本会議での農 業法案否決は初めてのことであり、農業関係 者だけでなく法案の可決に失敗した下院共和 党指導部の議会運営にとっても痛手となった。

否決の直接的な原因は、本会議で法案採決 の直前に採択された修正である。修正はSNAP の削減幅を5割拡大するもので茶会派が支持 しており、カンター共和党院内総務は多数あ る修正のうちこの案についてのみ例外的に支 持を訴えた。民主党側はこれに反発して全員 が当該修正に反対票を投じ、そして修正後の 農業法案についても反対に回る民主党議員が

主席研究員 平澤明彦

米国下院における次期農業法案の否決

(5)

農業予算は財政悪化の下で削減を求められ ており、また2008年農業法まで用いてきた各 種の実質的な予算積増しも困難である。しか も2013年農業法案の予算基準額は12年対比で さらに約2%切り下げられた(近年の農産物高 価格等による)

SNAPは不況とオバマ政権下での制度見直 しにより財政規模が急拡大し、財政保守派の 反発を招いた。酪農改革については立案当初 から酪農団体と、生乳の供給管理プログラム に反対する乳業界の間で対立が続いている。

そしてSNAPと酪農政策に関しては上記のと おり、下院本会議で多数党指導部の介入を受 けて法案の修正がなされた。

不足払い型の支払いについては、コメと落 花生の団体が目標価格の引上げを求めている のに対して、収入ナラシの拡充を推進するト ウモロコシ団体などは廃止を主張している。

直接固定支払いの廃止に対応して環境団体 は作物保険に対する環境保全要件(クロスコン プライアンス)の復活を要求しているが、下院 法案には盛り込まれなかった。

4

 今後の見通し

議会では移民制度の大規模改正や財政問題 など課題が山積しており、現行法が失効する 9月末までに下院本会議で農業法案を再度審 議する目途は立っていない(6月下旬の執筆時 点)。そのため現行法の再延長を予想する向き もある。また、仮に下院を通過した場合は、上 院との両院協議会により法案間のすり合わせ が行われる。そこで主な相違点の一つである SNAPの削減規模について妥協が成立しても、

両院で再可決が必要となるため、再び下院で の通過が難しくなる可能性があろう。

(ひらさわ あきひこ)

年農業法案(本誌12年9月号を参照)をほぼ踏襲 している。主要作物の農産物プログラムにつ いては、直接固定支払いを廃止し、不足払い型 の支払いである価格変動対応型支払い(CCP)

と、収入ナラシ型の支払いである収入変動対 応型支払い(ACRE)を刷新し、販売支援融資 を継続する。また綿花プログラムはWTO敗訴 対応のため専用の収入保険(軽微損失対応の STAX)に移行する。下院案の収入ナラシ型支 払いの算出方法は郡別のみであるのに対して、

上院案では農場別も選択できる。また酪農政 策を刷新し、生乳の不足払い(MILC)と酪農製 品の価格支持を廃止して生乳の利幅保険(乳価 と飼料価格の差額が所定の水準を下回った際の 補償)と供給管理プログラムを導入する。

農産物プログラムにおける12年法案との大 きな違いは2つある。一つは下院法案に不足 払い型の支払いが追加されたことである。上 院案とは異なり、コメと落花生以外の目標価 格に過去5年間(ただし最大・最小の年を除く)

の市場価格平均値を用いる。いま一つは下院 法案から生乳の供給管理プログラムが削除さ れたことである。ベイナー下院議長はこのプ ログラムに当初から反対しており、法案から 削除するため下院議員達に異例の書簡を送っ て修正案を支持するよう訴えた。当該修正案 は本会議で291対135票の大差により可決され、

農業法案に対する民主党の支持をさらに低下 させた。酪農団体等は供給管理プログラムが なければ利幅保険の財政費用がかさみすぎて 機能しなくなると主張している。

3

 主な争点

次期農業法案を巡っては、予算削減のなかで 以下に示すとおり対立が目立っている。SNAP 以外でも従来のような関係者の結束が見られ ない点も、不成立の一因であろう。

(6)

をスタートさせた。

当時、中央会が懸念したのは、ドイツ経済 における協同組合のウェイトの低下である。

経済の構造変化によって、これまでの協同組 合の主要な基盤である農業や手工業のウェイ トが低下する一方、代替エネルギーやITの分 野の重要度は高まった。しかし、後者の分野 には、協同組合の理念は普及しておらず、そ こに理念を普及させることが重要と考えた。

そのため、中央会は、イベントや会議を開 催し協同組合の理念を伝えることに努め、協 同組合の新設を呼びかけた。エネルギー協同 組合の設立に絞ったイニシアティブも実施し

1

 ドイツの協同組合新設

ドイツでは、近年協同組合の新設数が急増 している(第1図)。この結果、減少を続けて きた協同組合数も2009年に増加に転じた。

01〜10年に新設された協同組合のうち、エ ネルギー協同組合が2割強を占め、保健医療 協同組合が1割を占める。また農村店舗協同 組合の増加も注目される(第1表)

このように、近年、協同組合新設数が増加 した背景として、DZバンクのエコノミスト、

シュタッペル氏は、①協同組合中央会による イニシアティブ(取組み)、②協同組合法の改 正、③再生可能エネルギー促進策をあげてい

(注)

。以下、12年12月のシュタッペル氏への聞 き取り調査の結果を中心にその背景を紹介し たい。

2

 協同組合中央会によるイニシアティブ 協同組合新設のイニシアティブを開始する 直接の契機となったのは、1996年に協同組合 の数が1万を切ったことであり、そこで協同 組合の全国段階の中央会DGRVと各地方中央 会は、01年に協同組合新設のイニシアティブ

〈レポート〉農漁協・森組

取締役調査第一部長 斉藤由理子

ドイツにおける協同組合新設の増加とその背景

400 350 300 250 200 150 100 50 0

(組合)

第1図  ドイツの協同組合の新設数

資料  Michael Stappel "Konjunktur und kapitalmarkt  -Genossenschaften in Deutschland" から作成

01年 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 56 58 68 74 75 83

126 178

241 289

370

資料 第1図に同じ

第1表 協同組合種類別新設組合数(2001〜10年)

協同組合銀行 農業協同組合

うちバイオ・エネルギー 自営業主協同組合

手工業者協同組合 エネルギー協同組合

うちバイオ・エネルギー   太陽光発電 商業協同組合

うち農村店舗 運輸協同組合 保健医療協同組合

うち医師協同組合 社会的協同組合 T協同組合

その他サービス協同組合 地方自治体サービス協同組合 その他

消費協同組合 住宅・不動産協同組合 新設組合数合計

85 20 1,064 33 273 13 61 61 28 22 124 103 72 38 223 27 191 1 89 1,239

6.9 1.6 85.9 2.7 22.0 1.0 4.9 4.9 2.3 1.8 10.0 8.3 5.8 3.1 18.0 2.2 15.4 0.1 7.2 100.0

新設組合数 構成比

(単位 組合、%)

(7)

5

 なぜ協同組合か

新たな事業を開始する際に、なぜ協同組合 形態が選ばれているのか。

エネルギー協同組合の場合には、再生可能 エネルギーの推進に自ら参加したいという地 域住民が、民主的な意思決定が可能な協同組 合の組合員となり、出資したと考えることが できる(第2図)

保健医療協同組合は、ドイツの医療費抑制 政策に対して、医療関係者が協同組合を作り、

高額の医療用機械の共同利用などにより経費 の削減をはかるものである。医師が株式会社 を設立できないことも、協同組合形態をとる 理由の一つとなっている。

また、農村店舗協同組合とは、食料品や雑 貨を扱う店が減少した農村で、住民が組合を 設立し店舗を開くものである。自分たちの店 としてそこで商品を購入し、またボランティ アとして店で働くこともできる。

このように、それぞれの協同組合で設立の 意味は異なるものの、協同組合の魅力として 共通するのは、直接コミュニケーションが可 能な範囲で、地域の同じアイデアを持つ人た ちが集まって事業を興すことができ、また意 思決定に参加できることであろう。

(さいとう ゆりこ)

た。また、「協同組合の設立」というホームペ ージを開設した。現在は「ドイツの協同組合」

というホームページの一部となっているが、

ほぼ同様の構成で、①協同組合とは何か、② 協同組合により仲間と協力して事業を行うこ との意味、③協同組合形態による起業の成功 事例、④協同組合設立や運営についてのアド バイスが受けられる連絡先、⑤関連するニュ ースなどが掲載されている。

3

 協同組合法の改正

また、06年のドイツの協同組合法改正には、

協同組合の新設や小規模な協同組合の運営を 容易にする内容が含まれている。

協同組合には最低7名の組合員が必要であ ったが、それが3名となった。また、これま で協同組合の機構として、2名以上の理事会 と3名以上の監事会(日本の農協の経営管理委 員会にあたる)が必要であったが、組合員20名 までの協同組合では、理事は1名でよく、監 事会を設けないことが可能となった。さらに、

すべての協同組合は監査連合会の監査を受け るが、改正により資産規模や事業量規模が小 さい場合には監査は年1回でよく、内容も弾 力的なものとすることが可能になった。

4

 エネルギー協同組合の急増

エネルギー協同組合はこの10年間で急増し た。DGRVのホームページによれば、全国で 8万人がこの協同組合の組合員であり、800万 ユーロを出資している。

組合急増の背景には、再生可能エネルギー の促進政策があり、再生可能エネルギー電気 の固定価格買取制度により、エネルギー協同 組合を設立しやすい環境となったのである。

(注)Michael Stappel  Konjunktur und  kapitalmarkt-Genossenschaften in  Deutschland  2011.12.29

再生可能エネルギーの推進 地域価値の創造の推進 地域エネルギー供給の確保 組合員への出資配当 自分たちの手でエネルギーを供給 エネルギー大企業からの自立 効率的なエネルギーの供給

第2図  エネルギー協同組合設立の動機

資料  DGRV  "Energy  cooperatives-Results  of  a  survey  carried  out in spring 2012"から作成

(注) 1 0(動機ではない)から 3(大変高い動機)までの選択肢の平均。

  2 アンケートは12年2〜5月に実施。

  3 05年以降設立の290組合が回答。

0 1 2 3

2.4 2.3 1.6 1.6 1.5 1.5 1.4

(8)

得も拡大しており、12年は10,344億円、前年比 44.5%と大きく増加し、13年第1四半期も7,999 億円と四半期ベースでは過去最大となった。

取得物件では、大手電機メーカーの本社ビ ルなど企業不動産も複数みられJ-REITの企業 の不動産流動化の受け皿としての機能が再開 されている。また、リーマンショック後の資 金調達難で凍結されていた銀座の商業ビルの 開発案件も動き出すなどJ-REITが不動産市場 の回復を後押ししつつある。

3

 大都市圏で地価底入れの兆し

不動産市況全般の動きとして、13年1月の 公示地価をみると、住宅地、商業地とも5年 連続の下落となったが下落率は全国平均で住 宅地が前年比△1.6%、商業地が△2.1%と縮小 している。地域別では愛知県の住宅地や神奈 川県の商業地が上昇に転じるなど、低金利や 住宅ローン減税による住宅需要の下支えや、

大都市での再開発、防災・省エネ機能の高い ビル需要拡大等により、大都市圏の地価はほ ぼ下げ止まったと判断される(第2図)

ただし、この調査は1月1日時点の調査で アベノミクスの影響はほとんど含まれないと 思われるが、上場企業等主要企業を対象とす る2月の国土交通省「土地取引動向調査」を みると、1年後の土地取引状況判断DIが東京 23区でプラスに、1年後の地価動向判断DIが 東京23区、大阪府でプラスに転化しており、

アベノミクスの影響が企業の土地取引マイン ドに表れ始めている。

今後の不動産市況については反転していく

1

 年明け後、急騰したJ-REIT市場

年明け後、オフィスや賃貸マンション等の 不動産に投資しその賃料を投資家に配当する 投資信託である不動産投資信託(J-REIT)が急 騰した。J-REIT市場の価格動向を示す東証 REIT指数でみると、年初からの3か月での上 昇率は53%と2012年の年間上昇率33%を大幅 に上回る急騰をみせた(第1図)

この主な要因としては、ファンダメンタル ズ面で東京都心のオフィスの空室率が12年半 ばより改善し始めたなかで、アベノミクスに よる大胆な金融緩和策により不動産市況回復 期待が高まったことなどが挙げられる。

 

2

 拡大するJ-REITによる不動産取得 J-REIT市場は、投資口価格(=株式の株価に 相当)の上昇による資金調達環境の改善で、12 年の公募増資による資金調達額は4,964億円と 前年から倍増し、13年第1四半期は3,422億円 と四半期ベースでは過去最大の増資額となっ た。この資金を活用しJ-REITによる不動産取

〈レポート〉経済・金融

前 調査第二部長 堀内芳彦

アベノミクスと不動産市場

資料  Bloombergデータから作成 1,800

1,600 1,400 1,200 1,000 800 600

(ポイント)

12年

1月 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 13

第1図 東証REIT指数の推移

東証REIT指数

TOPIX

(9)

制緩和による都市機能集積、地下鉄・バスの 24時間運行、法人税引下げなどを実施し、国 内外から投資や人材を呼び込むことを狙って いる。これが実現すれば底入れ感のある三大 都市圏の地価の大きな上昇要因となる可能性 があると思われる。

一方で人口減少率が高く依然地価下落率も 高い地方の活性化策として、不動産関連では 経済財政諮問会議で「コンパクトシティの実 現」が掲げられている。コンパクトシティと は、市町村の中心部への居住と各種機能の集 積により人口集積が高密度な「まち」を形成 することで、まちの暮らしやすさの向上、中 心部の商業などの再活性化や、公共施設の整 備費用や行政サービス費用の節約を図ること を目的としている。

いずれの構想も、内閣府が12年11月に公表 した「地域の経済2012」のなかで、実証分析 結果として主張されている「都市部への人口 集積が経済成長を生み出すイノベーションの 創出や産業の生産性向上をもたらす」と同じ 考え方をベースとしている。構想の目的自体 に異論はないが、実際には、首都圏では東京 都心部の人口が増加する一方で、郊外の住宅 の空き家率が上昇し将来ゴーストタウン化が 懸念される地域も出ている。また、コンパク トシティの先進事例として取り上げられる青 森市や富山市でも居住の集約は思うようには 進んでいないなどの課題も多いという。

こうした課題も含め、国土交通省は、人口 減少局面下で中長期的な視点に立って都市構 造の再構築に向けた戦略を検討すべく「都市 再構築戦略検討委員会」を4月に立ち上げ、6 月中に中間取りまとめ、年内に最終取りまと めを策定する予定で、その内容が注目される。

(ほりうち よしひこ)

とみられるが、年初からのJ-REITの急騰で、 

06〜08年に三大都市圏でのファンドを経由し た内外の投資マネー流入による不動産バブル の再燃を懸念する声もある。当時は、06〜07 年に銀行の不動産業向け貸出が前年比10%と 大きく拡大、三大都市圏の商業地価格も07〜

08年に前年比10%上昇(第2図)したミニバブ ルの過去があるからだ。

し か し、 今 回 は こ う し た 過 去 を 教 訓 に、

J-REIT市場は、4月の金融政策決定会合で J-REITの保有残高を年間約300億円増加する ペースで買入することが決定された以降は、

当面の材料出尽くし感や高値警戒感からやや 調整局面にある(第1図)。また、銀行の不動 産向け貸出も12年6月末に前年比プラスに転 じたが13年3月末も2.0%増にとどまっており、

前回のような不動産バブルを懸念する状況に はない。

4

  「アベノミクス戦略特区」構想と

「コンパクトシティ」構想の目的と課題 アベノミクスの成長戦略として、東京・大 阪・名古屋の三大都市圏を中心に規制緩和・

税制優遇を実施する「アベノミクス戦略特区」

の創設が検討されている。「世界一ビジネスの しやすい事業環境」を掲げ、容積率・用途規

資料  国土交通省「平成25年地価公示(平成25年1月1日時点)」から 作成

15 10 5 0

△5

△10

(%)

02年 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13

第2図 公示地価の推移(前年比)

全国平均(商業地)

全国平均(住宅地) 三大都市圏平均(商業地)

三大都市圏平均(住宅地)

地方平均(住宅地)

地方平均(商業地)

(10)

的な需給関係が悪化、もしくは金融引締め政 策によって経済全体に流通するマネーの量が 減少した場合、国全体の物価は上昇率が沈静 (=ディスインフレーション)し、最悪の場合 には物価水準自体が下落(=デフレーション) る場合もある。

3

 なぜ、デフレが問題なのか

日本は一時期を除いて、15年近くデフレの 状態が続いてきた(第1図)。その過程では、「物 価下落→賃金低下→需要減退→物価下落」と いった悪循環に陥っていた。

デフレが問題視される理由としては、①賃 金の下方硬直性がある場合に、企業は解雇等 人員の調整で対応せざるを得なくなり、失業 率が悪化する、②先行き、物価が下がるとの 思惑から消費等のタイミングが先延ばしされ、

足元の景気を抑制する、③実質金利が上昇し、

企業の設備投資等を抑制する、④輸出環境が 悪化する、といった事が挙げられる。

4

 物価安定と中央銀行

ここで、中央銀行と物価の関係について説 明する。物価上昇は一定の水準に保たれる事 が望ましいという見解が現在支配的である。

なぜ、物価安定が望ましいかと言えば、物価 が企業、消費者の行動に少なからず影響を与 えるからである。インフレ、デフレが加速す るなかでは企業、消費者は本来望ましい行動 ができず、資本蓄積等に歪みが生じ、成長経

1

 はじめに

日本銀行は2013年4月に、これまでの政策 とは異次元の規模とされる「量的・質的金融 緩和」を打ち出し、同時に消費者物価の前年 比上昇率2%と設定された「物価安定の目標」

をできるだけ早期に実現するとした政府との 共同声明(1月)に基づき、その目標を2年程 度で達成することを宣言した。以下では、政 府・日銀が物価安定を重要であるとする理由、

それに向けた政策運営等について解説するこ ととしたい。

2

 物価下落の捉え方

物価変動の要因を考える際には、マクロ的 な需給環境やマネー動向などによって、一国 全体として価格水準が平均的に変動している のか(=一般的な物価水準の変動)、人々の嗜好 の変化や技術革新、原油・穀物といった国際 商品市況等の影響を受けて、個別の財・サー ビスの価格の変動を通じた「相対価格の変化」

が起きているのか、を十分見極める必要があ る。

例えば、原油価格上昇や円安などにより、

ガソリンなど個別の財の価格が上昇したとし ても、それによって生じた消費者の実質的な 所得減少分がそれ以外の財・サービスの購入 を減少させ、その財・サービス価格が下落す れば、最終的に一国全体の物価水準が上昇す るとは限らず、最終的に物価が下落する可能 性もある。一方で、景気後退に伴ってマクロ

〈レポート〉経済・金融

研究員 竹光大士

物価と金融政策

─デフレ脱却へ向けて─

(11)

を2年で倍増(12年度末:138兆円→14年度末:

270兆円)することによって、市中に出回る通 貨量を増やし物価上昇を促す方針を打ち出し た。また、2%という具体的な目標を示した ことは、その水準に向けてインフレ期待を醸 成させることを働きかける側面が大きいと言 える。

6

 おわりに

今回の日銀の緩和策によって、期待インフ レへの働きかけが成功し、物価の上昇につな がれば、デフレによって生じる日本経済の歪 みを改善することができると思われる。米国 では量的緩和の出口をめぐる思惑が金融資本 市場に大きな影響を及ぼしている。日本でも、

2%の物価目標が達成され、量的緩和の縮小 議論が出てきた場合に、思惑で市場が振らさ れる可能性が強いと思われるが、実体経済の 成長を阻害しないような政策運営がその時求 められる。

(たけみつ だいし)

路が下押しされる可能性がある。中央銀行の 使命として、持続的な安定成長に向けた物価 安定を課せられるケースが多い。そういう状 況の下、多くの中央銀行では予め物価上昇率 についてコミットするインフレターゲット政 策を採用し、人々のインフレ期待を安定化さ せようと努力している。

5

 中央銀行の非伝統的手段

一般に、中央銀行は物価の安定を確保する ため政策金利を上げ下げすることで、通貨の 量をコントロールし、需要水準の調整を行お うとするが、近年、先進国の中央銀行では政 策金利がほぼ0%まで低下しており、それ以 上の対策を打ちづらくなっている。そこで、

01〜06年の日銀を筆頭に、リーマンショック 後は英イングランド銀行(BOE)、米連邦準備 制度(FRB)をはじめとした各国中央銀行が量 的緩和という非伝統的な領域に踏み込んだ金 融政策を行っている。今回、日銀は操作目標 を金利からマネタリーベースに変更し、それ

資料  総務省統計局ホームページから作成

(注)  生鮮食品は除く。

2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0

△0.5

△1.0

△1.5

△2.0 93

年度 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

第1図 日本の消費者物価指数(前年度比)

(%)

(12)

入があったが、それから20年を迎え最長10年 預入可能な定額貯金の2回目にあたる満期到 来期が経過し、流出圧力が後退したことが背 景としてあげられよう(以上、渡部(2013)参照)。

以上のゆうちょ銀行の貯金動向を、地域(都 道府県)別と、主力商品である定額貯金の金利 等競争力という観点から考える。

2

 地域(都道府県)別の動向

第1図は、ゆうちょ銀行が公表している都 道府県別の貯金残高の11、12年度の前年度比 増減率と、人口増減率(05〜12年)を示したも のである。なお、同残高は全体から振替貯金 とその他貯金を除いたもので、前述の貯金全 体とは異なり11年度は前年度比増加だったが、

12年度は0.2%の減少となっている。

東日本大震災の被災や原発損害が大きかっ た岩手、宮城、福島を除く44都道府県の中で、

首都圏4都県は2年連続の増加であり、堅調 が目立つ。その他の大都市圏では、大阪も小 幅ながら2年連続の増加だ。大都市圏での貯 金調達の伸びが下支えしている構図がうかが われる。

また、これを都道府県別の人口増減率とゆ うちょ銀行の貯金残高という観点から見ると、

両者の相関関係がかなり強い ことが観察される。岩手、宮 城、福島を除く44都道府県の 貯金残高の10−12年度の増減 率と5−12年の人口累計増減 率の相関係数は0.645である。

人口減少率の大きい県域ほ ど、貯金残高の減少率が大き いということだ。人口減少が 進行する地方圏での貯金調達 のあり方は、ゆうちょ銀行で も課題であることがわかる。

1

 ゆうちょ銀行、2年連続の貯金残高増加 ゆうちょ銀行の貯金は2000年度から11年連 続で減少したが、11年度末に12年ぶりに増加 に転じた。そして、12年度も伸び率(0.3%) 小さいが、2年連続の増加となった。四半期 ベースでは、11年度第3四半期(11年10〜12月 期)以降、12年度第4四半期(13年1〜3月期)

まで6四半期連続の増加だ。

第1表は、ゆうちょ銀行の民営化後の定期 性と流動性に分けた貯金残高の推移である。

流動性預金では、当座預金に相当する振替 貯金が順伸をたどっている。実態が公表され ていないが、法人等の決済用利用が多いと言 われる。なお、振替貯金は1千万円の預入限 度額の対象外であり、預入限度を超過した場 合に振替貯金へ預け入れられることから、そ れに伴う積上がりも小さくないのではないか と推定される。

定期性預金が全体貯金に占める比率は、民 営化後は65%以上で推移し、同残高は2年連 続の増加となった。そのなかで主力商品である 定額貯金が全貯金の5割以上を占め、3年連 続の増加となった。これは、80年代末から90 年代初めの高金利と預入限度額引上げに伴い、

最長10年預入可能な定額貯金へ大量の資金流

〈レポート〉経済・金融

理事研究員 渡部喜智

ゆうちょ銀行の貯金動向

─地域別と定額貯金の商品性の観点から─

資料 ゆうちょ銀行財務データから作成

第1表 ゆうちょ銀行の商品別貯金残高の推移

流動性預金 振替貯金 通常貯金等 貯蓄貯金 定期性預金

(全貯金に占める割合)

定期貯金等 定額貯金等

(全貯金に占める割合)

その他の預金 合計

63.6 7.5 55.6 0.5 117.7 64.8 11.2 106.5 58.6 0.4 181.7 08年3月

(単位 兆円、%)

59.7 7.3 51.9 0.5 117.5 66.2 18.7 98.7 55.6 0.3 177.5 09/3

57.1 7.6 49.1 0.4 118.4 67.3 27.5 90.9 51.7 0.3 175.8 10/3

59.8 8.7 50.7 0.4 114.5 65.6 22.0 92.5 53.0 0.3 174.7 11/3

60.2 9.5 50.3 0.4 115.2 65.6 18.4 96.8 55.1 0.3 175.6 12/3

60.0 10.2 49.4 0.4 115.9 65.8 18.8 97.1 55.1 0.2 176.1 13/3

(13)

の定期預金、および預入期間7年以上では預 入額300万円以上の定期預金の方が、定額貯金 の金利よりも高くなるが、運用の長期固定化 のデメリットが生じる。一方、定額貯金につ いては前述の①、②は手強い商品性であり、

貯金者に対するメリットの訴求力は大きい。

デフレ脱却策が奏功し、物価上昇とともに

(政策)金利も引き上げられれば、定額貯金の 半年複利という商品性がその資金調達の競争 力を高め、資金流入の可能性が想定される。

そのような観点からも、今後のデフレ脱却と 金融政策の動向には注意が必要だ。

 <参考文献>

・ 渡部喜智(2013)「JAとゆうちょ銀行(郵便局)の競合関係 の分析(1)」農林中金総合研究所

(わたなべ のぶとも)

3

 定額貯金の商品競争力

定額貯金は、①預入単位が1,000円以上であ り、②半年以上の預入期間で払戻し自由(解約 可能)である。また、③半年複利で付利され、

かつ④最長10年の預入が可能である。

以上の①〜④の商品性はそれらが相まって 強みとなる。①は小口資金の集まりやすさと なり、②により金利上昇期には最低6か月間 で払戻し・再預入れを行うことで金利上昇メ リットを順次受けられる。③は通常の定期預 貯金が年単利であることに比べ、半年複利で あることで年利の表面金利が同じならば、そ れより多くの受取利息が得られる。さらに、

④の最長10年間預入可能なことにより、高金 利であればあるほど、そのメリットが長期に わたって生じる。

第2図は、13年5月末現在のゆうちょ銀行 の定額貯金と国内銀行の定期預金の預入期間 別の金利である。

ゆうちょ銀行の定額貯金の年利は預入から 3年未満までが0.035%、3年以上で年利が 0.040%である。ただし、前述のように半年複 利で付利されるので、実際の受取利息はその 分多くなる。一方、日銀が集計・発表してい る国内銀行の預入期間別定期預金の平均金利 と比べると、預入期間4年までは定額貯金の 金利が若干上回るか、ほとんど同じ水準であ る。預入期間5年以降で預入額1千万円以上

資料  第1表に同じ

(注)  振替貯金(12年度末:10.21兆円)とその他貯金(同:0.25兆円)は除外されている。

第1図 ゆうちょ銀行貯金の都道府県別増減率

鹿児島 和歌山 神奈川 北海道 1.25 1.00 0.75 0.50 0.25 0

△0.25

△0.50

△0.75

△1.00

△1.25

△1.50

△1.75

△2.00

5 4 3 2 1 0

△1

△2

△3

△4

△5

△6

△7

△8

(%) (%)

12年度の前年度比増減率 11年度の前年度比増減率 人口増減率(05〜12年)(右目盛)

岩手 宮城 福島

1.7 6.6 5.0 11年度 12

△0.4 0.2 3.7 被災3件の増減率(単位  %)

資料  日銀・時系列データから作成 0.16

0.14 0.12 0.10 0.08 0.06 0.04

0.02 6か月 1年 2年 3年 4年 5年 7年 10年

〈預入期間〉

第2図 定額貯金と銀行定期預金の預入期間別金利   20135月末現在)

(年利:%)

ゆうちょ銀行・定額貯金

国内銀行・定期預金 預入額300万円未満 同  預入額300万円〜1千万円 同  預入額1千万円以上

(14)

寄 稿

増加する作物で、9月頃から糖分がぐんぐん と高くなり、10月中旬頃からの収穫時には、

最高になります。しかし、最近は、収穫時期 に高温状態が続くなどの異常気象の影響を受 け、平成24年度は最低の低糖分となるなど、

生産者・糖業者にとって大変厳しい年が続い ております。

また、近年のてん菜作付面積は、平成16年 の約6万8千haをピークに年々減少し、平成 24年は、約5万9千haとついに6万haを下回 る作付面積になり、この8年間で8千7百ha も減少してしまいました。何とか作付面積の 減少に歯止めをかけようと関係者あげて種々 努力をしているところでありますが、その減 少要因は、近年、異常気象により単位当たり 収量の減少や根中糖分が低い状況が続き、生 産農家の手取り収入が期待したほどになって いないこと、また、高齢化も進んでおり、育 苗作業等の厳しい労働条件等が大きな減少の 要因であると思っております。

このような生産状況にはなっております が、てん菜の生産は、作付けから収穫・製糖 まで地域と密接に関連しており、地域経済や 雇用確保にも大きな役割を果たしている重要 な作物であることをご理解いただきたいと思 います。

4

 砂糖の需要と供給状況

日本国内の砂糖の消費量は210万トン前後 で、一人当たりの砂糖の年間消費量は、平成 22年 度 で 見 る と18.2kgと 世 界 の 平 均 消 費 量 24.2kgより6kgも少ないのが現状です。一方、

ヨーロッパや米国などの消費量が約40㎏であ り、日本は半分以下の消費量になっております。

国内産糖の生産量は、70万トン程度であり、

そのうち「てん菜糖」が約56万トン、「甘しゃ 糖」が約15万トンで、てん菜糖は、国内産糖

1

 砂糖の生産

皆さんが食べている砂糖は、てん菜とさと うきびが原料で、世界の主要な生産国は、ブ ラジルをはじめインド・中国・EU・タイなど となっています。

日本国内では、さとうきびからできる甘し ゃ糖が鹿児島・沖縄県で、てん菜糖は、唯一、

北海道だけで生産されているのです。

2

  北海道農業にとって欠かすことのできない 作物

てん菜は別名「ビート」あるいは「さとう 大根」とも言われ、冷涼な気候を好む寒冷地 作物であり、北海道の畑作農業にとって、て ん菜は、小麦・じゃがいも・豆類とともに、

輪作体系を維持していく上で欠かすことので きない作物であり、これらの作物を順次作付 けしていく輪作をすることによって、収量の 低下や病害虫の発生を抑制し、良質な農産物 を生産・供給することができるのです。

3

 北海道におけるてん菜の生産動向

てん菜は、根の部分に糖分を蓄える作物で、

朝と夜の気温格差が大きいほど、根中糖分が

一般社団法人 北海道てん菜協会 事務局長 吉村清和

てん菜とお砂糖のはなし

てん菜

参照

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