北 海 道 の 雪 氷
No 18(1999)
ペ ッ トボ トルで雪の結品をつ くる
(■ )・ 結 晶形の変化 な ど、その後得 られた知見
平 松 和 彦 (旭 川 西 高 校)
I
は じめ に3年
前 に 考 案 した ペ ッ トボ トル で 雪 を つ く る装 置 は 多 くの 学 校 教 育 や 社 会 教 育 の 場 で 取 り上 げ られ た。 本 稿 で は 、 そ の 後 得 られ た 知 見 と実 施 状 況 に つ い て 紹 介 す る。Ⅱ
多様 な結 晶形 の観 察
筆者 の 装 置 で は 、 い つた ん満 た され た水 蒸 気 を追加 供 給 す る こ とは基 本 的 に はお こな わ ない の で 、結 晶 の成 長 に ともな つて 、空気 中の 水蒸 気 圧 は減 少 し、過飽 和 度 が 下 が る こ と に な る。 した が つて 、
2〜 3時
間放 置 してお く と、 蓋 の 高 さに大 き く成 長 して い た樹 枝 状 結 晶 の先 端 部 に小 さな 六 角 板 の結 晶 が 生 じる。 これ は 中谷 お よび小 林 の Ta‐Sダ
イ ヤ グ ラ ム の‑15℃
前 後 にお け る過 飽 和 度 の違 い に伴 う晶癖 の 変 化 と一 致 して い る。 これ は大 学 の教 育 学 部 の教 材 と して も利 用 され た。 さ らに 、釣 り糸 を移 動 させ る こ とに よつて温度 条 件 の違 い に よ る結 晶 形 の変 化 を観 察 す る こ と も試 み られ た。 この ほ か 、斜 め に釣 り糸 を張 る こ とで 、温 度 条件 に よ る結 晶 形 の違 い を よ り明 瞭 に読 み とる こ とも可 能 で あ る。樹 枝 状 結 晶 の成 長 速 度 を調 べ るた め に、 あ らか じめ釣 り糸 に
5mmお
き に印 をつ けて 目 測 で成 長 速 度 を測 定す る とい う実験 も筆 者 の 勤務 校 で 実施 され た。 この よ うな発 展 的 な 実 験 は平 常 の授 業 とは別 の「課 題 研 究 」な どで非 常 に有 効 で 、生 徒 た ち も熱 心 に取 り組 んだ。0■
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の お 二 の グ イ ヤ グ ラ ム
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図
2月
ヽ林 ダイヤ グ ラム (小林古 川
1991)図 3
六角板へ 変化 皿ウサ ギ の 毛 の 「瘤 」 に関す る問 題
中谷 宇 吉 郎 博 士 とそ の グル ー プ に よ る人 工雪 実験 で は 、 ウサ ギの腹 毛 に あ る瘤 が凝 結 核 と して有 効 だ つた と され て い る。 この 問題 に つ い て は
1996年
刊 行 の 「雪氷 」誌 上 の質 問 箱 お よび 雪 氷 談 話 室 の欄 に3回
にわ た つて専 門家 に よ る意 見 が載 つ て い る。 ウサ ギの 毛 の 表 面 に粘 土 鉱 物 が付 着 して いた もの が驀 結核 と して効 い た の で は な い か とい う問 い か けに 端 を発 した議 論 は 、専 門外 の者 に とつて も興 味 が そ そ られ る。 も とよ り、初 等 ・ 中等 教 育 の学校 に は走 査 電 子 顕 微 鏡 が設 置 され て い ない の で 、最 前線 に い る研 究者 が 実施 す る よ う な確 認 実験 は 不 可 能 で あ る。 しか し筆 者 が 考案 した 装置 (図1)の
ペ ッ トボ トル 内に ウサ ギ の腹 毛 を 吊す こ とは容 易 な の で 、生 徒 実験 を実施 した と ころ、結 果 は釣 り糸 と大差 が な い とい うもの で あ つた。 この場 合 、 中谷博 士 がお こな つ た よ うな ウサ ギ の毛 の処 理 も して図
1
平 松 式 人 工 雪 発 生 装 置‑55‑
北海道の雪氷
No 18(1999)
い な い が 、 光 学 顕微 鏡 下 で はお 目当て の 「瘤 」 が なか な か 見つ け られ な か つた こ とは事 実 で あ る。 研 究者 に よっ て ホ ッ トな議 論 が か わ され て い る問題 にか か わ る実験 を、 高校 生 自 らがお こな うこ とで 、彼 らが科 学 を よ り身 近 に感 じる とい うこ とで あれ ば、 これ は将 来 の 学 問へ の方 向付 け と して か な り重 要 な こ と と考 え られ る。
Ⅳ
他 の気 象 実 験 との組 み 合 わ せ
学校 教 育 の 場 や 博 物 館 講座 で は、 雪結 晶 が成 長 す る時 間 を利 用 して気 象 実験 をい くつ か 演 示 す る と、 よ り変 化 に富 む シナ リオ をつ くる こ とが で き る。 これ につ い て別 の機 会 に詳
しく論 ず る予 定 で あ る。 なお雲 発 生 実験 に 関す る分 類 は 山下 (1988)に よ る。
・雲① (膨張 型
)透
明 ア ク リル バ イ プ に ビス トン を入 れ て 断熱 膨 張 をお こ し瞬 間的 に凝 結 す るの を観 察す る。・雲② (対流 型
)上
部 を切 り落 と したペ ッ トボ トル の底 に少 量 の水 を入 れ て 、氷+食
塩 ま た は ドライ アイ ス を入 れ た アル ミ缶 を寒剤 と して 、 ボ トル の 上 にのせ る。・氷晶①上記の透明アクリルバイプによる雲を ドライアイス中でおこない、ライ トを 当てて氷品が浮遊するのを観察す る。
・氷晶②平松式人工雪発生装置のボ トルの上部を切 り落 とし、ボ トルの周囲に黒い紙
を巻 く。 そ こに 吐 息 で水 蒸 気 を供 給 し、エ アー キ ャ ップ をつ ぶ して氷 晶 を発 生 させ 、 ライ トを あて て観 察す る。・テ ィン ダル 像 の観 察
OHPに
単結 晶氷 をのせ て ス ク リー ンに投影 す る。V
各地 での 実 施 状 況 か ら読 み とれ る こ と雪結 晶 を観 察 す る実験 は 、 北海 道 内外 の小 ・ 中学 校 お よび 高校 の ほか 、大 学 にお い て も 実施 され た。(信州 大 、群 馬 大 、北 大 、 京 大 、東 北 大)
これ は 単 に、 結 晶成 長 を リアル タ イ ム に観 察す る機 会 が少 な い とい う理 由 ば か りで は な いだ ろ う。 メデ ィア の急 速 な発 達 に よ り、子 どもた ち が な か な か第 一 次情 報 と して の本 物 の 自然 現 象 に触 れ る機 会 が少 な くな り、 か わ りに擬 似 的 な映像 に 囲 まれ て い る こ とに も関 係 して い る と思 わ れ る。 また 、多 くの実 験 をす べ き時期 に 、受験 勉 強 に追 われ る現 状 を反 映 して い る とも言 え よ う。
最 後 に 、筆 者 に 寄せ られ た情 報 だ けか ら見 る限 り、 興 味 深 い こ とに雷結 晶 の 実験 が お こ なわれ た地 域 に は地 域 的 な偏 りが 見 られ る。 反 響 の 大 きか った の は 、 関西 地 方 で あ った。
降 雪 は あ る もの の 、結 晶 と して観 察 した こ とが ない 北 陸 地 方 で も実施 数 が多 か つ た。 逆 に 東 北 地 方 か らの反 応 は あ ま りな か つた。 雪 は こ りご りとい うイ メー ジが あ るの だ ろ うか。
Ⅷ
文 献
岩 崎 博 之
,1998:私
信小 林 禎 作
古 川 義 純
,1991:雪
の結 晶,雪の美 術 館 刊熊 井
基
,1996:中
谷 ダイ ヤ グ ラム の過 飽 和 度 は どの よ うに決 定 され た の です か同 図 で 過 飽 和 度 が 水飽 和 よ り大 きい 領 域 に 多 く示 され て い るの は なぜ です か 里雪シK,58,256‐257
東
晃
,1996:中
谷 ダイ ヤ グ ラム の過 飽 和 度 の決 定,雪氷,58平 松 和 彦