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名作再読、拾い読み(39) 名作再読、拾い読み(39) 『太陽の金

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Academic year: 2021

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 レイ・ブラッドベリ(Ray Bradbury 1920-

2012)は、アメリカの詩人でありエッセイストで もある小説家で、イリノイ州出身です。作品の ジャンルは、SF、ファンタジー、ホラー、ミス テリーと多岐にわたっていますが、本人はSF作 家と呼ばれるのを好まなかったようです。幼年 時代はウォーキガンで過ごしましたが、14歳の 時に父親の仕事の都合でロス・アンジェルスに 引っ越しました。11歳から小説を書き始め、文 才があると皆から認められていましたが、1929 年に始まった世界大恐慌の影響から経済的に余 裕が無く、高校卒業後は大学へ進学せず、路上 で新聞売りをしながら図書館へ通って多くの本 を読み、創作に励みました。

 短編小説をSF誌などのパルプ雑誌に寄稿して いましたが、人気が出ると共に一般の高級娯楽 誌からも寄稿を求められるようになり、短編小 説『みずうみ』(1942)で自分の文体を確立しま す。最初の短編集『黒いカーニバル』(1947)は 幻想と怪奇の物語27編をまとめた本ですが、そ のうちの15編に新たに書いた4編を加えて『10 月はたそがれの国』(1955)を発表しています。

1947年とその翌年と連続してオー・ヘンリー賞 を受賞しました。代表作の『火星年代記』(1950)

はSFの古典的名作とされています。『刺青の男』

(1951)と『太陽の金色のリンゴ(太陽の黄金の 林檎)』(1953)という短編集を発表後に、長編 小説『華氏451度』(1953)を発表しますが、こ の作品も彼の代表作であり、またSFの名作とさ れています。他に、 『たんぽぽのお酒』(1957)、 『何 かが道をやってくる』(1962)、『ハローウィンが やってきた』(1972)といった長編小説の他に、

短編集『メランコリーの妙薬』(1959)、『ウは宇 宙船のウ』(1962)、 『よろこびの機械』(1964)、 『と うに夜半をすぎて』(1976)があります。80歳を 越えても書き続け、自分を教育してくれたのは 図書館であると言って、カリフォルニア州の資 金不足の図書館を援助し続けました。2012年に ロス・アンジェルスで亡くなります。91歳でした。

 今回は、『太陽の金色のりんご』を紹介します。

宇宙船<金の杯>号が太陽まで出かけていって、

太陽の一部分を掬い取って来るという内容です。

宇宙船内の通路は冷房装置によって氷と霜に覆 われ、2月と同じ位の厳寒状態を保っています。

しかし、時速1万マイルで太陽に向かって進んで いくにつれ、温度は急激に上昇し、華氏で1,000 度からあっという間に2,000度になり3,000度にな り、遂に7,000度になりました。

 その時、一等航海士のブレトンが倒れます。

彼の防護服に欠陥があり、服が破れてそこから 空気が漏れて凍死したのです。船内は氷点下1,000 度でした。そこへ運悪く冷房装置の補助ポンプ が故障し、暖かい雨が夕立のように乗務員たち の頭の上から降り注ぎます。温度は4,000度になっ ていました。前進か退却かを決断しなければな らない絶体絶命のピンチに立たされた船長は、

全員死亡を覚悟しながら前進を命じます。

 船長は、機械装置を操作して、宇宙船の中か ら金属製の巨大な杯を太陽の中へ伸ばします。

杯が太陽の中へ潜って掬い取った時に、補助ポ ンプの修理が完了したという報告を受けました。

杯に蓋をしてゆっくりと船内に戻します。船内 の温度は急激に上昇し危険な状態を知らせます が、ポンプが動き出すと冷房装置が活動して熱 くなった船内は再び隅々まで凍り付きます。乗 務員全員に笑顔が戻り、宇宙船は方向転換し、

地球を目指して戻っていくのでした。

 太陽に向かって進み、その一部を掬い取るこ となど、全く荒唐無稽としか思えないことです が、この作品は、熱や圧力、磁力線や放射線の 影響はどうなのかなどという様々な疑問を吹き 飛ばしてしまう程、楽しい宇宙探検の夢を描い て見せてくれます。

参考文献

1. Ray Bradbury “The golden apples of the sun and other stories” (Perennial, 2001)

2. レイ・ブラッドベリ著、大西尹明訳 『太陽の金色のり んご』(『ウは宇宙船のウ』より)(東京創元社、2006)

おざわ ふみひこ(図書館参与)

名作再読、拾い読み(39)

名作再読、拾い読み(39)

『太陽の金

こんじき

色のりんご』 “The golden apples of the sun” 小澤文彦

図書館員の文献紹介と      資料の活用

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参照

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