• 検索結果がありません。

吸音による住空間の音環境快適化のためのモデルハウスにおける実地調査 残響時間と吸音率の測定およびバイノーラル録音による住空間の音環境の印象評価

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "吸音による住空間の音環境快適化のためのモデルハウスにおける実地調査 残響時間と吸音率の測定およびバイノーラル録音による住空間の音環境の印象評価"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

日本建築学会環境系論文集 第86巻 第783号, 462-473,2021年5月 J. Environ. Eng., AIJ, Vol. 86, No. 783, 462-473, May, 2021. DOI https://doi.org/10.3130/aije.86.462. — 462 —. *1 日本大学短期大学部建築・生活デザイン学科 教授・博士(工学). *2 日本大学短期大学部建築・生活デザイン学科 助手・修士(工学). *3 ミサワホーム㈱ 博士(工学) . Prof., Dept. of Architecture and Living Design, Junior College, Nihon University, Dr.Eng. Research Assoc., Dept. of Architecture and Living Design, Junior College, Nihon University, M.Eng. MISAWA HOMES Co., Ltd., Dr.Eng.. 【カテゴリーⅡ】. 吸音による住空間の音環境快適化のためのモデルハウスにおける実地調査 残響時間と吸音率の測定およびバイノーラル録音による住空間の音環境の印象評価. FIELD SURVEY IN MODEL HOUSES FOR INVESTIGATING EFFECT OF SOUND ABSORPTION ON COMFORT PROVIDED BY SOUND ENVIRONMENTS IN RESIDENCES. Measurement of reverberation times and sound absorption coefficients in model houses and subjective evaluation of sound environments using binaural recordings. 羽 入 敏 樹*1,星 和 磨*1,鈴 木 諒 一*2,渡 辺 大 助*3. Toshiki HANYU, Kazuma HOSHI, Ryoichi SUZUKI, and Daisuke WATANABE. 吸音による住空間の音環境快適化のためのモデルハウスにおける実地調査 残響時間と吸音率の測定およびバイノーラル録音による住空間の音環境の印象評価. FIELD SURVEY IN MODEL HOUSES FOR INVESTIGATING EFFECT OF SOUND ABSORPTION ON COMFORT PROVIDED BY SOUND ENVIRONMENTS IN RESIDENCES. Measurement of reverberation times and sound absorption coefficients in model houses and subjective evaluation of sound environments using binaural recordings . 羽入 敏樹*1,星 和磨*1,鈴木 諒一*2,渡辺 大助*3 Toshiki HANYU, Kazuma HOSHI,. Ryoichi SUZUKI, Daisuke WATANABE . We investigated the effect of sound absorption on the comfort provided by sound environments in residences for three types of rooms: a bedroom, living/dining room, and child’s room in three model houses. The following results were obtained:. 1. The average sound absorption coefficients were 0.16–0.24 in the bedroom, 0.13–0.18 in the living/dining room, and 0.12–0.21 in the child’s. room. 2. Bedrooms with higher sound absorption coefficients resulted in a higher “sense of silence,” “feeling of serenity,” and “sense of quality” compared. with living/dining and child’s rooms with lower absorption coefficients. . Keywords : Residence, Sound environment, Sound absorption, Sense of silence, Binaural recording, Telework 住空間, 音環境, 吸音, 静けさ, バイノーラル録音, テレワーク. . 1. はじめに. 近年,住宅の高気密化,内装の洋風化,フローリングなどの床仕. 上げが増えてきた結果,住空間の残響時間が長くなる傾向にある。. そのため,室内の音環境に対して違和感を覚える居住者も潜在的に. いるものと考えられる。さらに,新型コロナウィルスの影響でテレ. ワーク等による在宅時間が増え,住空間の音環境に対する更なる快. 適化のニーズも高まっているものと考えられる。例えば,家族や同. 居人の発生音によるテレワーク中におけるアノイアンス増加の可能. 性や,オンライン会議等での「音声の聴き取りにくさ 1)」に,発話. 者の室空間の残響が影響 2)している可能性なども考えられる。 住宅の遮音に関しては,建築基準法における界壁の遮音性能に関. する基準に加え,日本建築学会から「建築物の遮音性能基準と設計. 指針(第二版)」3)や「集合住宅の遮音性能・遮音設計の考え方」4)が. 刊行され,住宅性能表示制度 5)も施行されるなど,様々な取り組み. が実施されている。しかしながら,住空間における室内発生音の残. 響や反射音レベルの制御に必要なパラメータの一つである吸音に関. しては,設計のための基準や指針がないのが実情である。筆者らは,. 住空間の快適な音環境を実現するために,遮音に加えて吸音の設計. も重要と考えて様々な検討を行ってきた。. 既報 6)において,住空間における室内平均吸音率を変化させた時. の聴感印象の違いについて,実大模型を用いた一対比較法による聴. 感実験を実施して検討した。その結果,室内平均吸音率を大きくす. ると,「残響感」が減少し,「入室時に感じる静けさ」,「在室時に感. じる静けさ」,「落ち着き」,「高級感」などの印象が増すことなどを. 報告した。しかし,実大模型を用いた一対比較法による実験は条件. の切り替えに手間と時間がかかるため,実験条件や被験者数を増や. せない問題点があった。 既報 7)では,上記問題点を解決するため,実空間の音環境をダミ. ーヘッドマイクによってバイノーラル録音し,それをヘッドホン再. 生して聴感実験を実施する方法について検討した。その結果,平均. 吸音率が「静けさ」や「落ち着き」等に及ぼす影響を,バイノーラ. ル録音とヘッドホン再生による実験方法によって,実空間での実験. と同様に再現できることを明らかにした。特に,「残響感」の再現に. 関しては,ダミーヘッドマイクを手にもって移動させ,足音などを. 含めて録音する実験方法が有効であることを明らかにした。これに. よって,実住宅を対象に一対比較法による聴感実験が可能となった。 以上のように,既報 6)7)で得られた知見は実大模型を用いて得られ. たものであり,その知見が実際の住宅においても成り立つかどうか. *1 日本大学短期大学部建築・生活デザイン学科 教授・博士(工学). Prof., Dept. of Architecture and Living Design, Junior College, Nihon University, Dr.Eng.. *2 日本大学短期大学部建築・生活デザイン学科 助手・修士(工学). Research Assoc., Dept. of Architecture and Living Design, Junior College, Nihon University, M.Eng.. *3 ミサワホーム(株) 博士(工学) MISAWA HOMES Co., Ltd., Dr.Eng.. — 463 —. を確かめる必要がある。本論文の主たる目的は,様々に条件の異な. る実住宅においても,既報 7)において有効性が示されたバイノーラ. ル録音による聴感実験手法が有効か否か,吸音率の違いによる聴感. 印象が既報 6)で示された傾向と同様か否か,を確認することである。. そこで,実住宅における基礎的な調査として,まずは住宅展示場の. モデルハウスを対象に音環境の実態調査を実施することにした。具. 体的にはモデルハウス3戸における寝室,リビング・ダイニングル. ーム,子供部屋の3種の室について,残響時間,平均吸音率,暗騒. 音レベルを測定して音環境の物理面について調査した。暗騒音レベ. ルを測定するのは,「静けさ」,「落ち着き」,「高級感」などの音環境. の印象には室の吸音率や残響時間だけでなく,暗騒音レベルも影響. を及ぼす可能性が考えられるためである。 さらに,これらの室においてダミーヘッドマイクを手にもって移. 動させ,足音を含んだ室内の音をバイノーラル録音した。それら録. 音をヘッドホン再生することによって,シェッフェの一対比較法(中. 屋の変法)8)による聴感実験を実施し,各室における音環境の印象に. ついて調べた。さらに,室の各種音響物理量と聴感実験によって得. られた心理量との相関を調べ,実住宅であるモデルハウスにおける. 平均吸音率,残響時間,暗騒音レベルなどの物理量と音環境の印象. との関連性について検討した。本報ではこれら調査結果について報. 告する。. 2. 調査対象のモデルハウスの概要. 実住宅における基礎的な調査として,住宅展示場のモデルハウス. を対象に音環境の実態調査を実施することにした。具体的にはモデ. ルハウス3戸(House A~C)における寝室(bedroom),リビング・ ダイニングルーム(LD room),子供部屋(child’s room)の3種の 室について実地調査した。. 3戸の bedroom,LD room,child’s roomの平面図をそれぞれFig.1. ~Fig.3 に,内観写真を Photo1~Photo3 にそれぞれ示す。内観写真. の撮影方向は Fig.1~Fig.3 に太い矢印で示した。Table1 に各室の. 室容積 V,表面積 S,床面積 Sf および床仕上げを示す。なお,Fig.1 ~Fig.3 の平面図に示した寸法は芯々寸法であるが,Table1 の V, S,Sf は現場で実測した内法寸法を用いて計算した。また,天井高 は下り天井などにより均一ではないため,V,S,Sf の算出にはそれ を反映させた。各戸の構造は木質パネルであり,各室の壁と天井は. 石膏ボードにビニルクロス仕上げである。bedroom にはベッドや棚 などの家具が存在し,床はカーペット仕上げである。LD room には ダイニングテーブル,椅子,ソファー,棚などの家具が存在し,床. はフローリング仕上げであるが一部にカーペットが敷かれている。. child’s room に関しては,House A と House C は,本来の用途は子 供部屋ではあるが,展示時には会議室スタイルとなっており,6 人 掛けのテーブルが置かれていた。House B は,子供用ベッドと作り 付けの学習机と本棚が設置されていた。3 戸とも床はフローリング 仕上げである。各室の窓にはカーテンやロールスクリーンが設置さ. れていたが,測定・録音時には開いた状態とした。. Table1 Specifications of each room. Fig.1 Floor plan of each bedroom. Photo1 Bedrooms (left: House A, center: House B, right: House C). V [m3] S [m2] Sf [m2] Floor finish House A 42.4 78.6 18.8 House B 42.3 74.9 16.6 House C 66.3 107.6 27.6 House A 78.6 128.9 34.5 House B 174.6 233.6 56.8 House C 74.0 117.1 30.2 House A 30.9 57.7 11.7 House B 32.5 60.9 14.0 House C 30.1 59.9 12.5. bedroom. LD room. child's room. carpet. wood. wood. — 464 —. Fig.2 Floor plan of each LD room. Photo2 LD rooms (left: House A, center: House B, right: House C). Fig.3 Floor plan of each child’s room. Photo3 Child’s rooms (left: House A, center: House B, right: House C). — 465 —. 3. 残響時間と吸音率,暗騒音レベルの測定. 3 戸のモデルハウスの 3 室(bedroom,LD room,child’s room) において,残響時間,平均吸音率,暗騒音レベルを測定した。 3.1. 測定と解析方法. 残響時間と平均吸音率を解析するために,各室においてインパル. ス応答を測定した。Fig.4 にインパルス応答の測定ブロックダイア. グラムを示す。音源位置 S と受音点位置 R を Fig.1~Fig.3 の平面 図に示した。受音点 R は一か所に固定し,音源スピーカ S を 1 室あ たり 2~3 か所に順次移動し,各音源位置と受音点間のインパルス 応答を測定した。受音点位置は,家具を避けつつできるだけ室中央. 付近に設定したが,LD room ではダイニングテーブル脇に設定した。 音源には 12 面体スピーカを用いた。インパルス応答の測定にはデ ータ長 217 の TSP 信号を,サンプリング周波数 48 kHz で D/A 変換 し,パワーアンプを通してスピーカから発した。TSP 信号の受音に は 6 ch カーディオイドマイクシステムを用い,C-C 法 9~11)に基づ いて実施した。マイクで収音した 6 ch 分の信号は,マルチチャンネ ルのデジタル録音機にサンプリング周波数 48 kHz,量子化 24 ビッ トで収録した。. 解析は,まず,カーディオイドマイクによって得られた 6 ch 分の 方向別 TSP 応答に,逆 TSP 信号を畳み込んで 6 ch 分の方向別イン パルス応答に変換する。6 ch 分の方向別応答をすべて加算すること によって全指向性インパルス応答を得た。得られた全指向性インパ. ルス応答から,中心周波数 125 Hz~8 kHz のオクターブ帯域の残 響時間 T30 を ISO3382-1 に基づいて算出した。各帯域の T30 から, アイリングの残響式に基づいて平均吸音率αを算出した。各室にお. ける全音源―受音点間のインパルス応答から得られた T30,αをそ れぞれ算術平均し,各室の残響時間と平均吸音率とした。. 暗騒音レベルについては,各室の受音点 R において,中心周波数 125 Hz~8 kHz のオクターブ帯域の音圧レベルと A 特性の音圧レ ベルを測定した。測定には精密騒音計(Type 2270 / B&K)を用い た。なお,モデルハウス3戸は比較的静穏な住宅展示場内にあり,. 近隣の交通騒音や工事騒音など,特定の騒音源の影響が卓越するこ. とのない環境であった。. Fig.4 Block diagram of measurement system. 3.2. 残響時間と平均吸音率の測定結果. 各室の残響時間,平均吸音率をそれぞれ Table2,Table3 に示す。. また,残響時間を室の種類ごとにまとめてグラフ化したものを. Fig.5~Fig.7 に,平均吸音率を室の種類ごとにまとめてグラフ化し. たものを Fig.8~Fig.10 に示す。 まず残響時間について考察する。Fig.5 に示す bedroom の残響時. 間を見ると,0.34 秒~0.51 秒となっている。詳細に見ると,House A は高音域で,House B は中高音域で若干長めであり,それに比較 すると House C は中高音域で短い。Fig.6 を見ると,LD room の残 響時間は 0.52 秒~0.84 秒となっており,低音域より中高音域が長 い周波数特性となっている。この傾向は House B で顕著である。 Fig.7 の child’s room の残響時間は 0.36 秒~0.67 秒であり,House A と House C は周波数による顕著な差は見られないが,House B は 低音域に比較して中高音域が長い周波数特性となっている。また,. 500 Hz に比較して 125 Hz と 250 Hz の低音域の残響時間が短いと いう共通の傾向が見られた。室の種類で比較すると,残響時間の長. さは全体的に LD room>child’s room>bedroom という共通の傾向 がある。しかし,House A では LD room の残響時間が短く child’s room と同様の残響時間になっている。これは,House A の LD room では床のカーペット部分が 32 cm 程度高い段床となっており,室形 状が複雑で音場の拡散性が高いため,残響時間が短くなったものと. 推察される。Table1に示した容積Vは,LD room>bedroom>child’s room となっており,LD room の残響時間が長いことは容積が大き いことで説明できるが,bedroom の残響時間が child’s room より短 いことは説明できない。この違いは次に述べる平均吸音率の違いで. 説明できる。 次に平均吸音率について考察する。Fig.8 に示す bedroom の平均. 吸音率を比較すると,125 Hz,250 Hz の低音域では 0.2 前後であ まり違いは無いが,500 Hz 以上の中高音域においては 0.16~0.24 と違いが見られる。500 Hz 以上の中高音域において House A が 0.17~0.20,House B が 0.16~0.20,House C が 0.22~0.24 とな っており,House C が最も大きい。これは,House C の bedroom に はベッドが 2 台あることと,廊下から連続している毛足の長いカー ペットによる吸音効果が考えられる。House C は室容積が最も大き いにもかかわらず,残響時間が最も短いのは平均吸音率が大きいこ. とが原因と考えられる。 Fig.9 に示す LD room の平均吸音率を比較すると,住戸による違. いはあまり見られず 0.13~0.18 となっている。詳細に見ると,いず れの住戸においても 250~500 Hz の平均吸音率が高い。これは,壁 や天井の板振動による低音域吸音の影響が考えられる。. Fig.10 に示す child’s room の平均吸音率は,House A, House C は 0.12~0.15 と小さく,House B は 0.15~0.20 で若干大きい。こ の違いは House A と House C は,展示時には会議室スタイルとな っておりベッドが設置されておらず,House B のみベッドが設置さ れていたことが原因と考えられる。. 平均吸音率の全体的な傾向として,室の種類によらず 500 Hz 以 上の帯域に比べ 250 Hz以下の帯域で吸音率が高い傾向が見られる。 250 Hz 以下の帯域では壁面や天井の板振動型の吸音機構が働いて いるものと考えられる。また,125 Hz において平均吸音率が 0.2 を 超える室は,ベッドが存在する House A~C の bedroom の 3 室と House B の child’s room だけであった。このことは,低音域の吸音 にベッドの存在が影響している可能性を示している。ベッドはマッ. トレス,毛布,布団などの多孔質材と床との間に空気層が形成され. ており,空気層ありの多孔質材として低音域を含む広帯域吸音体と. しての効果を有すると推察できる。 一方,500 Hz 以上のすべての帯域で平均吸音率が 0.2 を超えたの. — 466 —. は House C の bedroom だけであった。既報 6)における筆者らの新 築住宅の実測結果でも,フローリング床の洋間(家具なし)におい. ては 250 Hz 以下の低音域に比べて 500 Hz 以上の帯域で残響時間 が長く,1 秒以上の残響時間となる例が示されている。また別の文 献 2)においても、新築住宅 3 戸のリビングルーム(フローリング床, 一戸のみ一部畳,家具なし)の残響時間は,1 kHz 帯域で 1.06 秒~ 1.26 秒であり,周波数特性は 250 Hz 以下の帯域に比べて 500 Hz 以上の帯域で残響時間が長くなる同様の傾向が示されている。これ. ら既往研究は家具なしの条件の結果ではあるが,本報での実測結果. と併せて考えると,最近の住宅においては特に 500 Hz 以上の帯域 で吸音が不足している傾向があるものと推察される。これは,内装. に石膏ボード,合板,ガラス,石材等が多く用いられ,多孔質素材. が少ないことが原因であろう。カーペット,ベッド,布団などのあ. る bedroom で平均吸音率が大きいこともそれを裏付けている。この 500 Hz 以上の吸音が不足している帯域は,人間の聴覚特性に沿っ て策定された A 特性補正において重みの大きい帯域にあたる。つま り,住宅の音環境設計を考える上でこの帯域の吸音を制御すること. が重要と考えられる。 3.3. 暗騒音レベルの測定結果. 各室の暗騒音レベルを Table4 に,室の種類ごとにまとめてグラ. フ化したものを Fig.11~Fig.13 に示す。 まず,Fig.11 の bedroom の A 特性音圧レベルを比較すると,. House B の暗騒音レベルは他の 2 戸の bedroom と比べて小さい。 一方,Fig.8 に示すように House B の bedroom の平均吸音率は, 他の 2 戸と比べて高くない。よって House B の bedroom の暗騒音 レベルが小さい原因は,室の吸音によるものではなく,周辺の騒音. や空調ノイズの影響が大きいと考えられる。同様に,Fig.12 の LD roomのHouse Cの暗騒音レベルが他の 2戸より大きいこと,Fig.13 の child’s room の House A の暗騒音レベルが他の 2 戸より大きい ことについても,Fig.9,Fig.10 の平均吸音率の傾向で説明するこ. とは難しく,室の吸音よりも周辺の騒音や空調ノイズによる影響が. 大きいことを示している。 上述の関係を定量的に把握するために相互相関係数を算出した。. 残響時間,平均吸音率,暗騒音レベルの周波数毎の相互相関係数を. Fig.14 に示す。これを見ると,残響時間と平均吸音率は強い逆相関. の関係があることがわかる。一方,残響時間と暗騒音レベルは正相. 関,平均吸音率と暗騒音レベルには逆相関の関係が見られるが,相. 関係数の絶対値はそれほど大きくない。以上の結果から,今回調査. した暗騒音レベルは,室の吸音の影響がある程度認められるものの,. 吸音が決定的要因ではないと言える。. Table2 Reverberation time of each room. Fig.5 Reverberation time of each bedroom. Fig.6 Reverberation time of each LD room. Fig.7 Reverberation time of each child’s room. Table3 Average absorption coefficient of each room. Fig.8 Average absorption coefficient of each bedroom. 125 250 500 1k 2k 4k 8k House A 0.34 0.35 0.40 0.39 0.46 0.44 0.40 House B 0.36 0.42 0.51 0.48 0.46 0.44 0.41 House C 0.38 0.44 0.40 0.38 0.36 0.37 0.37 House A 0.52 0.62 0.70 0.67 0.63 0.67 0.63 House B 0.62 0.64 0.72 0.84 0.83 0.80 0.72 House C 0.60 0.67 0.74 0.76 0.71 0.67 0.59 House A 0.52 0.61 0.67 0.61 0.59 0.62 0.60 House B 0.36 0.47 0.52 0.54 0.51 0.53 0.48 House C 0.52 0.56 0.60 0.59 0.61 0.58 0.53. bedroom. child's Room. LD room. Octave band center frequency [Hz]. 125 250 500 1k 2k 4k 8k House A 0.23 0.22 0.20 0.20 0.17 0.18 0.20 House B 0.22 0.19 0.16 0.17 0.18 0.19 0.20 House C 0.23 0.20 0.22 0.23 0.24 0.24 0.24 House A 0.17 0.15 0.13 0.14 0.14 0.14 0.14 House B 0.18 0.17 0.15 0.13 0.14 0.14 0.15 House C 0.16 0.14 0.13 0.13 0.13 0.14 0.16 House A 0.15 0.13 0.12 0.13 0.14 0.13 0.13 House B 0.21 0.17 0.15 0.15 0.16 0.15 0.16 House C 0.14 0.13 0.13 0.13 0.12 0.13 0.14. Octave band center frequency [Hz]. bedroom. LD room. child's Room. — 467 —. Fig.9 Average absorption coefficient of each LD room. Fig.10 Average absorption coefficient of each child’s room. Table4 Background noise level of each room. Fig.11 Background noise level of each bedroom. Fig.12 Background noise level of each LD room. Fig.13 Background noise level of each child’s room. Fig.14 Cross-correlation coefficient between acoustic index values. 4. バイノーラル録音による聴感実験. 各室における音環境の印象について,バイノーラル録音により聴. 感実験を実施して調べた。 4.1. バイノーラル録音の概要. 3 戸のモデルハウスの bedroom,LD room,child’s room の 3 室 において,ダミーヘッドマイク(KEMAR / GRAS)を用いバイノーラ ル録音した。バイノーラル録音は,Photo4 に示すように,ダミーヘ. ッドマイクを実験者一人が手に持って移動させながら実施した。具. 体的には,録音対象室外から録音対象室に入り,Fig.1~Fig.3 の平. 面図の受音点 R 付近まで移動して一旦停止し,足踏みをした後,再 び同じルートで録音対象室外に移動する,という一連の過程を録音. した。これによって実験者の足音,暗騒音などが録音された。なお,. House B と C の bedroom に関しては,受音点 R ではなく受音点 RD まで移動してから足踏みした。Fig.1~Fig.3 における受音点 R も しくは RD の矢印はダミーヘッドマイク正面の向きを示している。 ダミーヘッドマイクを持ち移動させた実験者は,3 戸のモデルハウ スのすべての室において同一人物であり,極力同様の歩き方とした。. 録音は量子化 24 bit,サンプリング周波数 48 kHz で実施し,条 件間で比較できるように機器の録音レベルは一定とした。. Photo4 Binaural recording with the dummy head microphone moved. 125 250 500 1k 2k 4k 8k House A 41.1 35.0 32.5 24.2 16.9 12.3 14.8 33.4 House B 36.1 31.1 23.6 18.9 14.6 13.2 15.3 27.6 House C 44.4 38.1 32.9 25.9 17.3 13.8 15.8 34.4 House A 37.9 34.7 30.8 26.6 17.1 13.0 14.8 32.3 House B 47.4 42.4 35.0 26.7 20.6 17.4 16.1 37.8 House C 42.6 44.3 41.6 37.0 31.2 25.5 16.8 42.3 House A 38.2 37.9 38.7 35.8 26.9 17.8 15.8 39.7 House B 39.9 38.9 32.1 28.0 20.4 15.1 15.1 34.4 House C 41.2 36.7 30.2 22.8 16.7 17.8 17.3 32.6. child's Room. A-weightedOctave band center frequency [Hz]. bedroom. LD room. — 468 —. 4.2. ヘッドホン再生による聴感実験方法. 聴感実験は 3 戸のモデルハウス(House A~C)×3 室(bedroom, LD room,child’s room)の 9 条件のバイノーラル録音を用い,合計 36 対の刺激対を作り,シェッフェの一対比較法(中屋の変法)によ り実施した。なお実験に用いた刺激は,バイノーラル録音の中から. 足踏み部分の 7 秒~8 秒を切り取ったものを用いた。被験者への刺 激提示は既報 7)の方法に基づいてヘッドホン再生とした。ヘッドホ. ンは周波数特性が比較的フラットなモニター用の密閉型ヘッドホン. (HD25-1 / SENNHEISER)を用いた。バイノーラル録音したデジ タルデータをPCに接続したオーディオインターフェース(Fireface UC / RME)を経由してヘッドホン再生した。機器の再生ボリュー ムの設定は,足音の音圧レベルが最も大きかった House A の LD room. のバイノーラル録音をヘッドホン再生し,実験者が実住宅の音量感. と同等に感じられるように決定した。バイノーラル録音時の録音機. 器のレベル設定は 9 条件すべてで同じであるため,この再生ボリュ ーム設定を 9 条件すべてで固定して用いることによって,条件間の 相対的な音量の大小関係を再現した。実際の再生レベルは,ダミー. ヘッドマイクにヘッドホンを装着し、上記と同じボリューム設定で. 足音部分の波形のみ切り出して再生し,ダミーヘッドマイク外耳道. 入口(左耳)での A 特性音圧レベル(LAeq),足音一歩あたりの単発 騒音暴露レベル(LEA)を測定した。その結果を Table5 に示す。. 被験者は 20 代の学生 13 名である。評価項目は Table6 に示す 7 項目である。被験者には,室の種類,間取り,大きさ,写真などの. 視覚情報を含めて予備知識は一切与えず,各評価項目に関して音か. ら感じられる印象として回答するよう指示した。刺激(バイノーラ. ル録音)を組み合わせて刺激対を作成する際,特定の条件が先に提. 示される頻度が多くなるなどの提示順の偏りが生じないように,乱. 数を用いてランダムに組み合わせ順序を変えた。刺激対の提示順に. ついても乱数を用いてランダムとした。被験者は 2 つの刺激を 2 秒 空けて続けて聞いた後,先行刺激と比較して後続刺激をどのように. 感じるかを,すべての項目について Fig.15 に示すように-3~+3 の 7 段階で評価し,評価スケールに○印を付けて回答した。なお実 験に先立ち,0 は違いを感じない場合であることを教示した。一度 に複数項目を評価するため,被験者には刺激対を何度でも聞き直す. ことを許した。その際,刺激の再生については実験者がコントロー. ルし,特定の刺激だけを聞き直すことや,刺激の提示順を変えて聞. くことを禁じた。被験者がすべての項目について回答を終えた後に. 次の刺激対を提示した。なお,刺激対そのものを遡って聞き直すこ. とは禁じた。. Table5 LAeq and LEA of sound of footsteps in each room. Table6 List of evaluation items. . Fig.15 Rating scale of each evaluation item. 4.3. 実験結果と考察. 各評価項目における心理尺度値と主効果の分散分析結果を. Table7 に,評価項目間の相関係数を Table8 に示す。また,評価項. 目毎に心理尺度値をグラフ化したものを Fig.16~Fig.22 に示す。. Fig.16~Fig.22 の図中には,評価項目毎に 5%水準の有意差を判定 するためのヤードスティック値 Y(0.05)を記した。図中のエラーバ ーはヤードスティック値(5%有意水準)であり,2 条件間にエラー バーより大きな差がある場合には両条件に 5%水準の有意差がある ことを表している。. まず Table7 の分散分析結果から,室の違いによる変化(主効果). が圧迫感は 5%水準,その他の評価項目は 1%水準で有意であった。 このことから,被験者はダミーヘッドマイクによるバイノーラル録. 音をヘッドホンで聞くことによって,住宅の音環境の違いを評価で. きたと言える。Table8 の評価項目間の相関係数を見ると,「圧迫感」. とその他の項目には相関が見られないが,その他の評価項目間には. 相関が見られた。音から感じられる室の「高級感」や「好ましさ」. は,「残響感」や「空間の大きさ感」とは負の相関,「静けさ」や「落. ち着き」とは正の相関があった。 次に Fig.16~Fig.22 を全体的に見ると,3 戸に共通の傾向とし. て,bedroom が他の室と異なる特徴的な値を示しているのがわかる。 具体的には,bedroom は「残響感」と「空間の大きさ感」が小さく, 逆に「静けさ」,「落ち着き」が大きい傾向であった。これは,Fig.8. ~Fig.10 に示したように bedroom の平均吸音率が LD room と child’s room に比べて大きいためと考えられる。3 戸の bedroom を 比較してみると,House A と House C に比較して House B が若干 「静けさ」と「落ち着き」が小さい傾向にある。これは,Fig.8 から. わかるように,House B の bedroom の吸音率が House A と House C に比較して若干小さいことが原因と考えられる。興味深いのは, Fig.11 に示す House B の bedroom の暗騒音レベルが House A と House C に比較して小さいにもかかわらず,「静けさ」が小さいこ とである。これは,「静けさ」には暗騒音レベル以外の要因が影響し. ている可能性を示唆している。. L Aeq [dB] L EA [dB] House A 31.3 28.3 House B 41.8 38.7 House C 33.5 30.3 House A 52.9 49.6 House B 45.7 42.8 House C 48.4 44.8 House A 48.5 45.6 House B 43.7 40.5 House C 42.1 39.1. bedroom. LD room. child's room. 評価項目 英語. 残響感 reverberance. 静けさ sense of silence. 落ち着き feeling of serenity. 空間の大きさ感 sense of room volume. 圧迫感 feeling of oppression. 高級感 sense of quality. 好ましさ user preferences. -1-3 -2 0 +1 +2 +3. 響かない【【残残響響感感】】 響く. 【【静静けけささ】】 静かである静かでない. 【【圧圧迫迫感感】】 無い ある. 【【空空間間のの大大ききささ感感】】 狭い 広い. 【【高高級級感感】】 無い ある. 【【落落ちち着着きき】】 無い ある. 【【好好ままししささ】】 好ましくない 好ましい. — 469 —. 次に Fig.16~Fig.22 の LD room と child’s room の傾向を見てみ ると,House A と House C の間には,「残響感」,「静けさ」,「落ち 着き」,「高級感」で有意差が見られる。しかし,その差は bedroom との差に比べて小さい。Fig.12 に示すように,LD room の暗騒音レ ベルは House C が最も大きいが,「静けさ」,「落ち着き」はむしろ House C が大きい。このことからも,「静けさ」や「落ち着き」には 暗騒音レベル以外の要因の可能性を示唆している。. 筆者らは,既報 7)において『本実験で評価対象とした「静けさ」. は喧噪感の少なさという意味での静けさではない。暗騒音が十分小. さく喧噪感が感じられない上での空間の佇まいとでも言えるような. 「静けさ」である。』と述べた。Table4 に示すように,今回調査し. たモデルハウスの暗騒音レベルは,概ね喧噪感を感じない低いレベ. ルであった。これを踏まえると,上述の結果は,暗騒音レベルが十. 分抑えられ喧噪感を感じない条件下での「静けさ」や「落ち着き」. に吸音率が影響する可能性を示している。. Table7 Results of variance analysis of psychological scale values and main effects in each evaluation item. Table8 Correlation coefficient between evaluation items. Fig.16 Psychological scale values for “reverberance”. Fig.17 Psychological scale values for “sense of silence” . Fig.18 Psychological scale values for “feeling of serenity”. Fig.19 Psychological scale values for “sense of room volume”. Fig.20 Psychological scale values for “feeling of oppression” . 残響感 静けさ 落ち着き 空間の. 大きさ感 圧迫感 高級感 好ましさ. House A -1.23 1.33 1.31 -1.03 0.21 0.91 0.65. House B -0.73 0.52 0.56 -0.44 -0.13 0.41 0.35. House C -1.13 1.22 0.97 -0.74 0.10 0.63 0.67. House A 1.02 -0.98 -1.07 0.45 0.31 -0.79 -0.69. House B 0.81 -0.40 -0.22 0.86 -0.56 -0.01 0.21. House C 0.19 -0.41 -0.42 0.64 0.17 -0.27 -0.33. House A 0.96 -0.86 -0.90 0.38 0.32 -0.63 -0.60. House B 0.32 -0.45 -0.38 -0.07 -0.31 -0.30 -0.33. House C -0.21 0.03 0.14 -0.06 -0.11 0.05 0.09. ** ** ** ** * ** ** ** p<0.01, * p<0.05. bedroom. LD room. child's room. 分散分析結果. 残響感 静けさ 落ち着き 空間の. 大きさ感 圧迫感 高級感 好ましさ. -0.97 -0.96 0.90 -0.08 -0.93 -0.87. 0.99 -0.88 0.03 0.98 0.94. -0.85 -0.08 0.99 0.96. -0.21 -0.80 -0.71. -0.14 -0.26. 0.98. 好ましさ. 残響感. 静けさ. 落ち着き. 空間の大きさ感. 圧迫感. 高級感. — 470 —. Fig.21 Psychological scale values for “sense of quality”. Fig.22 Psychological scale values for “user preferences” . 4.4. 音響物理量と音環境の印象との相関. 残響時間,平均吸音率,および暗騒音レベルと各評価項目との相. 関係数をオクターブバンド周波数毎に計算した結果をそれぞれ. Table9~Table11 に示す。また,これらを評価項目別にグラフ化し. たものを Fig.23~Fig.29 に示す。 全体的にみると,残響時間,平均吸音率には「圧迫感」を除き,. 全帯域にわたって各評価項目と正負どちらかの高い相関が認められ. る。暗騒音レベルは,残響時間と平均吸音率に比べ,すべての評価. 項目で相関が低かった。 周波数に着目すると,残響時間,平均吸音率と評価項目の相関係. 数には,2kHz 帯域において相関係数の絶対値が若干小さい傾向に あるが,明確な周波数依存性は認められなかった。残響時間と平均. 吸音率を比較すると,「空間の大きさ感」では平均吸音率より残響時. 間との相関係数が大きく,一方,「好ましさ」では残響時間より平均. 吸音率との相関係数が大きい傾向にあった。この傾向に対する明確. な理由は不明であるが,平均吸音率は,室の残響時間と平均音圧レ. ベルの両方に影響することを考慮すると,「空間の大きさ感」は主に. 残響時間が要因であり,「好ましさ」は残響時間と平均音圧レベルの. 両方が要因となっていることが考えられる。 以上のことから,平均吸音率をある程度大きくすることによって. 「残響感」を減らして「静けさ」と「落ち着き」を増す効果を期待. できると考えられる。また,空間の大きさ感について Table1 と. Fig.19 を比較すると,Table1 に示した物理的な空間の大きさは LD room > bedroom > child’s room であるのに対し,Fig.19 に示した 心理評価の結果は bedroom と child’s room の順序が逆転している。 これは,物理的な室の大きさと,音から感じる「空間の大きさ感」. が必ずしも一致せず,残響時間などの影響を受けることを示唆して. いる。 既報 6)における実大模型による平均吸音率と各種印象との結果と. 今回の結果を比較してみる。既報 6)において得られた結果の概要は. 次のとおりである。平均吸音率(500 Hz~4 kHz の算術平均)が 0.12 の室では,「残響感」は若干抑えられるが,吸音の効果は限定的であ. る。平均吸音率が 0.17 では,「高級感」は感じないが「残響感」が 抑えられ,「落ち着き」と「好ましさ」が大きくなる。平均吸音率が. 0.25 では,「静けさ」,「高級感」を感じるようになり,「残響感」は 大きく抑えられ,「落ち着き」,「好ましさ」などがさらに大きくなる。. 以上のように,吸音の効果が残響感の抑制以外に現れるのは平均吸. 音率 0.17 以上であり,明確に感じられるのは平均吸音率 0.25 以上 のときであった。. 今回の調査における室の種類ごとの平均吸音率の 500 Hz~4 kHz の算術平均は,bedroom が 0.18~0.23,LD room が 0.13~0.14, child’s room が 0.13~0.15 であり,0.17 を上回ったのは bedroom だけであった。今回,bedroom の「静けさ」,「落ち着き」,「高級感」 の心理尺度値が,LD room,child’s room のそれら評価項目に比較 して相対的に大きかったことは,既報 6)の結果と符合している。. 以上のように,実大模型だけでなく実住宅においても吸音率の違. いによって音環境の印象に違いが生じることが明らかとなった。こ. のことは,吸音の設計によって住空間の音環境の「静けさ」,「落ち. 着き」,「高級感」を創出できる可能性をあらためて示すものである。. Table9 Correlation coefficients between reverberation time and each. evaluation item. Table10 Correlation coefficients between average sound absorption coefficient and each evaluation item. Table11 Correlation coefficients between background noise level and. each evaluation item. 125 250 500 1k 2k 4k 8k 残響感 0.71 0.83 0.87 0.81 0.73 0.86 0.90 静けさ -0.67 -0.83 -0.87 -0.78 -0.68 -0.80 -0.83 落ち着き -0.64 -0.83 -0.85 -0.73 -0.62 -0.75 -0.79 空間の大きさ感 0.90 0.95 0.97 0.97 0.90 0.95 0.95 圧迫感 -0.10 -0.01 -0.05 -0.30 -0.33 -0.26 -0.20 高級感 -0.59 -0.79 -0.81 -0.67 -0.54 -0.69 -0.73 好ましさ -0.49 -0.71 -0.74 -0.58 -0.46 -0.61 -0.64. Octave band center frequency [Hz]. 125 250 500 1k 2k 4k 8k 残響感 -0.70 -0.77 -0.79 -0.83 -0.70 -0.81 -0.85 静けさ 0.73 0.85 0.88 0.88 0.74 0.84 0.87 落ち着き 0.71 0.85 0.84 0.83 0.66 0.78 0.83 空間の大きさ感 -0.77 -0.76 -0.76 -0.85 -0.71 -0.75 -0.77 圧迫感 -0.11 -0.13 -0.05 0.16 0.12 0.07 0.01 高級感 0.70 0.86 0.83 0.80 0.63 0.76 0.81 好ましさ 0.66 0.84 0.84 0.78 0.64 0.76 0.81. Octave band center frequency [Hz]. 125 250 500 1k 2k 4k 8k 残響感 -0.05 0.37 0.40 0.53 0.47 0.35 0.08 0.45 静けさ 0.19 -0.33 -0.36 -0.53 -0.50 -0.42 -0.13 -0.40 落ち着き 0.21 -0.32 -0.38 -0.58 -0.51 -0.40 -0.09 -0.42 空間の大きさ感 0.20 0.60 0.50 0.56 0.60 0.63 0.36 0.58 圧迫感 -0.46 -0.24 0.25 0.36 0.22 -0.01 -0.20 0.13 高級感 0.27 -0.27 -0.36 -0.57 -0.49 -0.37 -0.08 -0.38 好ましさ 0.39 -0.22 -0.38 -0.61 -0.53 -0.37 -0.01 -0.38. Octave band center frequency [Hz] A-weighted. — 471 —. Fig.23 Correlation coefficients between “reverberance” and acoustic. index value. Fig.24 Correlation coefficients between “sense of silence” and. acoustic index value. Fig.25 Correlation coefficients between “feeling of serenity” and. acoustic index value. Fig.26 Correlation coefficients between “sense of room volume” and. acoustic index value. Fig.27 Correlation coefficients between “feeling of oppression” and. acoustic index value. Fig.28 Correlation coefficients between “sense of quality” and acoustic. index value. Fig.29 Correlation coefficients between “user preferences” and. acoustic index value. 5. まとめ. 本研究では,吸音による住空間の音環境快適化を目的とし,実住. 宅における基礎的な調査として,住宅展示場のモデルハウス3戸に. おける寝室(bedroom),リビング・ダイニングルーム(LD room), 子供部屋(child’s room)の3種の室について,残響時間,平均吸音 率,暗騒音レベルを測定して音環境の物理面について調査した。さ. らに,これら室内の音をバイノーラル録音し,シェッフェの一対比. 較法(中屋の変法)による聴感実験を実施し,各室における音環境. の印象について調べた。その結果,以下のことが明らかとなった。 1)調査した住宅の残響時間は,bedroom では 0.34 秒~0.51 秒,. LD room では 0.52 秒~0.84 秒,child’s room では 0.36 秒~ 0.67 秒であった。平均吸音率は,bedroom では 0.16~0.24,LD. — 472 —. room では 0.13~0.18,child’s room では 0.12~0.21 であった。 2)平均吸音率の全体的な傾向として,室の種類によらず 500 Hz 以. 上の帯域で吸音率が低い傾向が見られた。500 Hz 以上のすべて の帯域で平均吸音率が 0.2 を超えたのは House C の bedroom だけであった。. 3)被験者はバイノーラル録音をヘッドホン再生した音を聞くこと. によって,住宅の音環境の違いを評価できた。したがって,今回. 用いた評価項目については,バイノーラル録音による聴感実験. によって実際の住空間の音環境を評価できると言える。 4)暗騒音レベルが十分抑えられ喧噪感を感じない条件下で,室の. 音環境の「静けさ」や「落ち着き」に吸音率が影響する可能性が. 示された。 5)実住宅においても吸音率の違いによって音環境の印象に有意差. が生じた。具体的には,500 Hz~4 kHz の平均吸音率の算術平 均が 0.17~0.23 の bedroom の「静けさ」,「落ち着き」,「高級 感」の心理尺度値が,0.13~0.15 の LD room,child’s room の それら評価項目に比較して相対的に大きかった。これは既報 6). で得られた結果と符合するものである。 以上のように,室内の平均吸音率と聴感印象の関係について,様々. に条件の異なるモデルハウスで得られた今回の結果が,実大模型を. 用いて得られた既報 6)の結果と同様の傾向を示すことが確認できた。. さらに,既報 7)において有効性が示されたバイノーラル録音による. 聴感実験手法が,モデルハウスにおいても有効であることも確認で. きた。このことは,既報 6)7)において実大模型を用いて得られた知見. が,実住宅においても成り立つ可能性が高いことを示している。 今回のモデルハウスにおける音環境の実態調査と聴感実験を通じ,. 吸音率を高めることによって実住宅の音環境の「静けさ」,「落ち着. き」,「高級感」を創出できる可能性があらためて示された。足音を. 含めた録音を用いた今回の実験結果は,住人は日常生活における行. 為に伴う室内発生音によって住空間の音環境を判断している可能性. を示唆している。これは,住空間における快適な音環境を実現する. ためには,室外の音を制御する「遮音」だけでなく,室内発生音を. 制御する「吸音」の設計も重要であることを示している。 調査の結果,最近の住宅においては,特に 500 Hz 以上の中高音. 域で吸音不足の傾向が示された。この吸音不足の帯域は,人間の聴. 覚特性上,感度の高い帯域にあたるため,住宅の音環境設計を考え. る上で中高音域の吸音率を高めることは特に重要と考えられる。 今後の課題として,住空間における吸音の影響を評価する際,既. 報 6)7)および本研究で用いた 7 つの評価項目で十分かどうか検討す る必要がある。また,吸音の周波数特性,吸音の偏在などの影響に. ついても検討していくつもりである。. 参考文献 1) Masayuki MORIMOTO,Hayato SATO and Masaaki KOBAYASHI,. Listening difficulty as a subjective measure for evaluation of speech transmission performance in public spaces,J. Acoust. Soc. Am. 116, pp.1607−1613, 2004.9. 2) Hayato SATO, Masayuki MORIMOTO and Kaori KOBUKI: The effect of reverberation sound on conversation in living rooms, J. Acoust. Soc. Japan, Vol.66 No.11, pp.541-551, 2010.11 (in Japanese) 佐藤逸人、森本政之、小吹佳織:住宅の居室における残響時間が会話に与. える影響、日本音響学会誌 66 巻 11 号、pp.541-551、2010.11. 3) Architectural Institute of Japan: Kenchikubutsu no syaonseinoukijun to sekkeishishin dai2han (Sound insulation performance standards and design guidelines for buildings 2nd edition), Gihodo, 1997 (in Japanese) 日本建築学会編:建築物の遮音性能基準と設計指針[第二版],技報堂出. 版,1997. 4) Guidance for Evaluation and Design of Sound Insulation in Apartment Houses, Architectural Institute of Japan, 2016 (in Japanese) 日本建築学会:集合住宅の遮音性能・遮音設計の考え方,日本建築学会,. 2016. 5) Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism, Housing Bureau: Hikkei Jutaku no hinshitsukakuho no sokushinn nikansuru houritsu kaiteiban 2020(Companion: Law Concerning Promotion of Quality Assurance of Houses, Revised edition, 2020), Sojusya, 2020 (in Japanese) 国土交通省住宅局住宅生産課:必携 住宅の品質確保の促進等に関する法律. 改訂版 2020,創樹社,2020. 6) Daisuke WATANABE, Megumi HASEGAWA, Jun NAKATANI, Toshiki HANYU and Kazuma HOSHI: Fundamental Study of Sound Absorption for Comfortable Sound Environments in Residences, Journal of Environmental Engineering (Transactions of AIJ), Vol.76 No.662, pp.345-353, 2011.4 (in Japanese) 渡辺大助,長谷川恵美,中谷純,羽入敏樹,星和磨:吸音による住空間の. 音環境快適化に関する基礎的研究,日本建築学会環境系論文集,No.662,. pp.345-353,2011.4. 7) Toshiki HANYU, Kazuma HOSHI and Daisuke WATANABE: Listening Test Method for Investigating Effect of Sound Absorption on Comfort Provided by Sound Environments in Residences, Journal of Environmental Engineering (Transactions of AIJ), Vol.79 No.696, pp.141-148, 2014.2 (in Japanese) 羽入敏樹,星和磨,渡辺大助:吸音による住空間の音環境快適化のための. 聴感実験方法,日本建築学会環境系論文集,No.696,pp.141-148,2014.2. 8) Union of Japanese Scientists and Engineers: Shinban kannou kensa handobukku (New edition sensory test handbook), Nikkagiren, 1973 (in Japanese) 日科技連官能検査委員会:新版 官能検査ハンドブック,日科技連出版社,. 1973. 9) Toshiki HANYU, Daisuke INAGE, Katsuaki SEKISUCHI: Measurment of directional information of sound field by 4-channel cardioid microphones, Proc. the 2008 Spring meeting of the Acoustical Society of Japan, pp.1123-1126,2008.3 (in Japanese) 羽入敏樹,稲毛大輔,関口克明:4chカーディオイドマイクによる音場. の方向情報計測,音響学会講演論文集,pp.1123-1126,2008.3. 10) Toshiki HANYU and Kazuma HOSHI: Method for measuring sound energy density and intensity by using cardioid microphones, Proc. the 2008 Autumn meeting of the Acoustical Society of Japan, pp.1149-1152, 2008.9 (in Japanese) 羽入敏樹,星和磨:カーディオイドマイクによる音響エネルギおよびイン. テンシティ測定法,音響学会講演論文集,pp.1149-1152,2008.9. 11)Toshiki HANYU, Kazuma HOSHI: A new technique for measuring sound particle velocity and sound pressure using face-to-face cardioid microphones, proceedings of the 3rd International Congress on Acoustics, 2019.9. — 473 —. (2020 年 9 月 5 日原稿受理,2021 年 2 月 5 日採用決定). FIELD SURVEY IN MODEL HOUSES FOR INVESTIGATING EFFECT OF SOUND ABSORPTION ON COMFORT PROVIDED BY SOUND ENVIRONMENTS IN RESIDENCES. Measurement of reverberation times and sound absorption coefficients in model houses and subjective evaluation of sound environments using binaural recordings. Toshiki HANYU *1, Kazuma HOSHI *1, Ryoichi SUZUKI *2, and Daisuke WATANABE *3. *1 Prof., Dept. of Architecture and Living Design, Junior College, Nihon University, Dr.Eng. *2 Research Assoc., Dept. of Architecture and Living Design, Junior College, Nihon University, M.Eng.. *3 MISAWA HOMES Co., Ltd., Dr.Eng.. FIELD SURVEY IN MODEL HOUSES FOR INVESTIGATING EFFECT OF SOUND ABSORPTION ON COMFORT PROVIDED BY SOUND ENVIRONMENTS IN RESIDENCES. Measurement of reverberation times and sound absorption coefficients in model houses and subjective evaluation of sound. environments using binaural recordings. Toshiki HANYU*1, Kazuma HOSHI*1, Ryoichi SUZUKI*2,Daisuke WATANABE*3. *1 Prof., Dept. of Architecture and Living Design, Junior College Nihon University, Dr.Eng.. *2 Research Assoc., Dept. of Architecture and Living Design, Junior College Nihon University, M.Eng. *3 MISAWA HOMES Co., Ltd., Dr.Eng.. The authors conducted various studies, considering the importance of sound absorption design in realizing a. comfortable sound environment in a living space. In this study, as a basic study in a real house, we measured the reverberation time, average sound absorption coefficient, and background noise level for three types of rooms: a bedroom, living/dining room, and child’s room in three model houses. In addition, we recorded the sounds in these rooms via binaural recording and conducted subjective experiments using Scheffe’s paired comparison method to analyze the impression of the sound environment in each room. The results obtained were as follows: 1) The reverberation time of the houses surveyed was 0.34–0.51 s in the bedroom, 0.52–0.84 s in the living/dining room,. and 0.36–0.67 s in the child’s room. The average sound absorption coefficient was 0.16–0.24 in the bedroom, 0.13–0.18 in the living/dining room, and 0.12–0.21 in the child’s room. 2) As a general tendency of the average sound absorption coefficient, the sound absorption coefficient tended to be low. in the band above 500 Hz regardless of the type of room. 3) The test subject was able to evaluate the difference in the sound environment of the room by listening to the sound. reproduced from the binaural recording through headphones. Therefore, with regard to the evaluation items used, the sound environment of the actual living space can be evaluated through a subjective experiment using binaural recording. 4) The “sense of silence” and “feeling of serenity” of the sound environment of the room could not be evaluated only by. the background noise level, and the effect of the average sound absorption coefficient of the room was significant. 5) Even in an actual house, the impressions of the sound environment due to the difference in the sound absorption. coefficient differed significantly. Specifically, bedrooms with higher sound absorption coefficients resulted in a higher “sense of silence,” “feeling of serenity,” and “sense of quality” compared with the living/dining and child’s rooms with lower absorption coefficients. The results show that a design that enhances the sound absorption coefficient may be able to create a “sense of silence,”. “feeling of serenity,” and “sense of quality” in the sound environment of a real house. The experimental results from binaural recordings, including footsteps, suggest that people may evaluate the sound environment of a living space by the indoor sound generated by actions in daily life. This indicates that to realize a comfortable sound environment in a living space, it is important to consider not only a sound insulation that controls the sound from the outside, but also a sound absorption that controls the sound generated indoors.

参照

関連したドキュメント

 TV会議やハンズフリー電話においては、音声のスピーカからマイク

Power spectrum of sound showed a feature near the upper dead point of shedding motion when healds collided the heald bar.. Superposing sound pressure signals during several periods

(ページ 3)3 ページ目をご覧ください。これまでの委員会における河川環境への影響予測、評

また適切な音量で音が聞 こえる音響設備を常設設 備として備えている なお、常設設備の効果が適 切に得られない場合、クラ

具体音出現パターン パターン パターンからみた パターン からみた からみた音声置換 からみた 音声置換 音声置換の 音声置換 の の考察

「1.地域の音楽家・音楽団体ネットワークの運用」については、公式 LINE 等 SNS

環境影響評価の項目及び調査等の手法を選定するに当たっては、条例第 47

第2章 環境影響評価の実施手順等 第1