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短 時 間 フー リエ 変 換 に よ るヘ ル ド衝 突 音 の周 波 数 解 析

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Academic year: 2022

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(1)47. Original. Paper. Frequency. Analysis Using. MIYASHITA. Daisuke*. of the Sound. a Short , KINARI. Time. Toshiyasu. Caused. Fourier. by Shedding. Motion. Transform. * , SHINTAKU. Sukenori*,. IWATA. Yoshio**. Faculty of Engineering, Kanazawa University, Kanazawa, 920-8667 Japan Received. 17 August. 2001;. accepted. for publication. 28 November. 2001. Abstract. Noise in weaving mills becomes much louder with increasing speed of weaving machine. One of the sources of the noise is the collision of healds caused by shedding motion on a jet loom. It was clarified in our previous report that the sound caused by shedding motion was significantly connected with heald motion during a period of shedding motion. In this report, therefore, its frequency characteristic was investigated using a Short Time Fourier Transform in order to relate the sound to the heald motion in a period of shedding motion. Power spectrum of sound showed a feature near the upper dead point of shedding motion when healds collided the heald bar. Superposing sound pressure signals during several periods of shedding motion, we found that some peaks of power spectrum were emphasized near the upper dead point of shedding motion. Key Words: Heald motion; Noise Reduction; Short Time Fourier Transform. 短 時 間 フー リエ 変 換 に よ るヘ ル ド衝 突 音 の周 波 数 解 析 宮 下 大 輔*,喜. 1.. 成 年 泰*,新. は じめ に. 宅 救 徳*,岩. 田 佳 雄**. リエ 変換 を使 用 す る.ま た,開 口1周 期 中の 各 時 刻 に お け る ヘ ル ドとヘ ル ドバ ー の相 対 位 置 を理 論 式 に よ り導 出 す る こ. 織 布 工 場 の騒 音,特 に工 場 内 外 で の機 械 運 転 に よ る騒 音 の. とで,織 機 回転 数 に よ るヘ ル ドとヘ ル ドバ ー の衝 突 時 刻 と周. 防 止 にっ い て は,近 年 の 環 境 面 や 労働 者 の健 康 面 の 配 慮 か ら. 波 数 分布 との相 関 に つ い て 明 らか にす る.. 多 くの 関心 が寄 せ られ,改 善 が 求 め られ て い る.最 近 で は, これ ま で に 多 くの研 究[1‑3]がな され て き た よ こ入 れ 時 の 騒. 2.. 音 に か わ っ て,開 口運 動 に起 因 す る騒音 が 問題 とな っ て きて い る.こ の騒 音 発 生 の主 音 源 はヘ ル ドとヘ ル ドバ ー との 衝 突,. ヘ ル. ド衝 突 音 の 発 生 要 因. 図1に ヘ ル ドフ レー ム概 略 図 を示 す.図 中 のヘ ル ドは説 明. あ るい は 隣接 す るヘ ル ド同士 の衝 突 に よ る もの で あ り,こ れ. を容 易 にす るた め1本 のみ 示 した が,実 際 に は長 手方 向 に た. らの 衝 突 に よっ て発 生す る騒 音 の大 き さは 開 口1周 期 にお. て糸 の本 数 分 の ヘ ル ドが並 ん で い る.こ の 図 に お い て,上 下 ヘ ノレドバ ー と上 下 ロ ッ ドス ロ ッ トとの 問 の3 .5㎜ 程 度 の 隙. い て 目ま ぐ る し く変動 す る こ とが分 か って い る[4].ま た こ の 衝 突 現 象 は,騒 音 増加 に影 響 す る だ けで な く,ヘ ル ド振 動 に. 間 は,均 一 な シー ト状 の た て糸 を 準備 して織 機 に 提供 す る 工. よ る織 物 品質 の 低 下 も引 き 起 こ してお り[51,対策 が必 要 で あ. 程,い わ ゆ る 「た て 糸 準 備 工 程 」 を ス ム ー ズ に行 うた め に備. る.そ こで 本 報 告 で は,こ の 開 口運 動 時 のヘ ル ド挙 動 の メ カ. え られ て い る も の だ が,こ の 隙 間 の た め に,各 ヘ ル ドは 固 定. ニ ズ ム を,開 口1周 期 に お け る衝 突 音 の周 波 数 成 分 の特 徴 か. され て い ない 状 態 で存 在 し,そ の 結 果,回 転 数 に よ って は, ヘ ル ドフ レー ム上 昇 中 に慣 性 力 の 影 響 を受 け,飛 び 跳 ね が 起. ら明 らか にす る.こ の 時,時 間軸 を考 慮 した周 波 数 解 析 を行. き る.そ の 後,ヘ ル ドは ヘ ル ドバ ー と衝 突 す る.ま た,隣 接. うた め に,従 来 の離 散 的 フー リエ 変換 に代 え て,短 時 間 フー. 連 絡 先: *会 員,金 ** 非 会 員. 沢 大 学 工 学 部,金. 沢 市 小 立 野2‑40‑20,TELO76‑234‑4694,FAX.076‑234‑4695,. T33.

(2) 48. J.Text.Mach.Soc.Japan. す るヘ ル ド同 士 も こ の 隙 間 の 影 響 を 受 け,開 に衝 突 を 繰 り返 して い る.ま. た,こ. こ の3種. 口運 動 中 に 頻 繁. の よ う な ヘ ル ドの 衝 突 を. 類 に つ い て,開. 口1周. だ し,本. 研 究 で は ヘ ル ドに た て 糸 を 通 し て い な い.な お モ デ ル 開 口 装. 防 ぐ 一 手 法 と して 開 発 さ れ た も の に,磁 石 付 き ヘ ル ドフ レ ー. 置 の 回 転 数 は240,360,480rpm(織. ム が あ る[6].こ. 範 囲 で あ る480,720,960rpmに. の フ レー ム は,下. 期 の 音 圧 を 得 た.た. 部 フ レー ム ス チー ブ上 に永. 機 の 回 転数 と して は 実 用 の 相 当)の3種. 類,サ. ン プ リング. 久 磁 石 を 取 りつ け る こ と に よ りヘ ル ドの 飛 び 跳 ね を 抑 制 し,. 周 波 数 を50kHzと. 上 部 ヘ ル ドバ ー と の 衝 突 を 防 ぐ こ と が で き る.そ れ と 同 時 に. よ る ヘ ル ドの 飛 び 跳 ね の 有 無 を 確 認 す る た め,高 速 度 カ メ ラ. 磁 化 さ れ た 隣 り合 うヘ ル ド同 士 が 反 撥 す る こ と に よ り,横 方 向 の 衝 突 も 抑 え ら れ る.し. か し現 状 で は,永. 限 界 及 び 設 置 ス ペ ー ス の 問 題 上,高 つ れ て,そ. し た.ま. た,こ. の測 定 と同時 に各 回転 数 に. (フ ォ ト ロ ン 社 製FASTCAM‑Rabbit)に. よ る 撮 影 も 行 っ た.. 久 磁 石 の磁 力 の. 回 転数 領 域 に移 行 す る に. の 抑 制 効 果 は 減 少 して お り,特 に 鉛 直 方 向 の ヘ ル. ドの 飛 び 跳 ね の 抑 制 が 困 難 と な る[61.. Fig. 2 Schematic. of shedding. motion. model. and microphone. 3.2時 間 一 周 波 数 解 析 一 般 的 な 周 波 数 解 析 で は ,解 析 対 象 とな る信 号 は 定 常 で あ Fig. 1 Schematic. 3.ヘ. diagram. る と仮 定 して お り,こ の 場合 は 以 下 に示 す 離 散 的 フー リエ 変. of a heald frame and a heald. 換(DFT)の 手 法 を 用 い る こ とで,対 象 信 号 を各 周 波 数 成 分 に. ル ドの衝 突 音 解 析. 3.1実. 分離 す る こ とが で き る.. 験装置. 図2に. (1) 示 す モ デ ル 開 口装 置 を 用 い て 衝 突 音 を 測 定 し,そ の. 後 周 波 数 解 析 を 行 っ た.こ. の モ デ ル 装 置 は 縦 横600mm高. 900mmの. ー タ ー に よ り 駆 動 して い る.本. 小 型 の も の で,モ. 口装 置 で は,ヘ. ル ドフ レ ー ム を 上 下 動 させ る 機 構 に,て. さ. こ こ で,x(n)はN個. 開. ま た こ こ で は,サ. こク. の 離 散 時 間 信 号(n=0,1,2,…,N)で ン プ リン グ 周 期Tsで. し て 得 られ る 標 本 化 信 号x(nTs)を. 連 続 信 号x(t)を 標 本 化. 簡 単 にx(n)と 表 す.同 様 に,. ラ ン ク 機 構 と 偏 り ス ラ イ ダ ク ラ ン ク機 構 を 用 い て い る.測 定. X(k)のkは. 本 来 は サ ン プ リ ン グ 周 波 数fsの1/Nのk倍. に は,音. 数kfs/Nを. 示 す が,fs/N間. 圧 型 コ ン デ ン サ マ イ ク ロ ホ ン(ア. コー 社 製TYPE. 7017)を,装. 置 の 振 動 に よ る影 響 が な い よ う外 部 フ レー ム に. 固 定 し た.マ. イ ク ロ ホ ン の 位 置 は ヘ ル ドフ レー ム 正 面 か ら. 20mmと. し た.マ. フ レ ー ム の 変 位 は,同. さ0.30mm,質 幅204mm×. 製LB60)に. 記 録 さ れ る.な 量1.84g,マ 高 さ529mm(内. レー ム に 通 し た 状 態 を. お 本 測 定 で は,全. を 用 い る こ と は 適 当 で は な い.こ. 製. の 場 合DFT. 間 を 考慮 した周 波. こ の 解 析 を 行 うに は 種 々 の 方 法 が あ る が,本 研 究 で は 比 較 的. 長310mm,厚. 扱 い が 容 易 な 短 時 間 フ ー リ エ 変 換(以 時 間 領 域 の 離 散 信 号x(η){n=0,1,2,…,N}に. モ デ ル ヘ ル ドフ. 後STFT)を. 用 い る.. 関 す るSTFTに. よつ. て 得 ら れ る 周 波 数 ス ペ ク トル は 次 式 で 与 え ら れ る.. 「 ヘ ル ド有 り」,比 較 の た め の ヘ ル ド. を 通 して な い 状 態 を 「ヘ ル ド無 し」,ま た. の 時,時. 数 解 析 を 行 う必 要 が あ る.こ れ を 時 間 一 周 波 数 解 析 と 言 う[7].. ル テ ン サ イ ト系 の ヘ ル ドを120本, 側 幅146mm)の. 目 と い う意. 表 し て い る.. 化 す る な ど非 定 常 な 特 性 を 持 つ こ と が 多 く,こ. て 得 られ た ヘ ル ド. 時 に デ ジ タ ル レ コ ー ダ(TEAC社. 隔 の 離 散 的 周 波 数 のk番. の周 波. と こ ろ が 実 際 の 信 号 に は,観 測 時 間 内 に 振 幅 や 周 波 数 が 変. イ ク ロ ホ ン に よ っ て 得 られ た 音 圧 波 形 及 び. レ ー ザ ー 変 位 計(KEYENCE社. DR‑M2a)に. 味 で 簡 単 にkと. あ る[7].. 「 ヘ ル ド有 り 」 の. (2). 場 合 で 磁 石 付 き フ レー ム を 用 い た 状 態 を 「 磁 石 付 き 」 と し,. T34.

(3) Vol.55,No.3(2002). こ れ は,時 し,区. 49. 間 信 号 を 有 限 長Twの. 区 間(フ. レ ー ム)で. 間 ご と に フ ー リエ 変 換 を 行 う も の で あ る.こ. 切 り出 の 時,切. り 出 し 区 間 の 両 端 近 傍 で 波 形 が 急 激 に 変 化 す る と,周 波 数 応 答 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ す の で,Window関. 数w(n)を. 用い て こ. れ を 避 け る 必 要 が あ る. 次 に,本 研 究 の 場 合 に お け る 時 間 ― 周 波 数 解 析 の 必 要 性 を 検 討 す る.以. 前 の 報 告 よ り,ヘ. ル ドの 衝 突 現 象 の 形 態 は 開 口. 1周 期 中 に 刻 々 と変 化 す る が,こ. の形 態 を簡 単 に分 類 す る と. 以 下 の よ うに な る. (1)ヘ ル ドの 飛 び 上 が り→ 落 下 に よ る ヘ ル ドバ ー ヘ の 衝 突(上 死 点 付 近) (2)ヘ ル ドの 跳 ね 返 りに よ る 衝 突(上 (3)ヘ ル ドの 飛 び 上 が り前(下. 死 点 〜 下 死 点). 死 点 〜 上 死 点). (1)〜(3)の 衝 突 が 音 圧 レベ ル に 関 与 す る こ と は,明 あ る が,そ ゆる. れ と 同 時 に 開 口1周. (a)240rpm. らか で. 期 中 の 各 時 刻 に お い て,い. わ. 「音 の 性 質 」,つ ま り 周 波 数 特 性 が 異 な っ て い る と推 測. で き る.よ. っ て,得. 析 を 行 う こ と は,開. ら れ た 音 圧 波 形 を も と に 時 間 ―周 波 数 解 口1周. 期 中 に ヘ ル ドが 発 す る 音 の 性 質 を. 知 る た め の 非 常 に 有 効 な 手 段 で あ る と 推 測 さ れ る.な お,本 解 析 で は,Tw=20.48ms,実 と し,Window関. 4.解. 行 間 隔 を1ms(240rpmの. 数 にHanning. Windowを. み2ms). 採 用 した.. 析 結果 お よび 考 察. 4.1音 圧 レベ ル の 推 移 各 回 転 数 に お け る 開 口1周 3に 示 す.ま. 期 中 の 音 圧 レベ ル の変 動 を 図. ず,「 ヘ ル ド有 り」(図 中)の. 無 し」(図 中 ●)の. 場 合 と 「ヘ ル ド. 場 合 の 音 圧 レベ ル の 推 移 を 比 較 す る と, (b)360rpm. 全 回転 数 に お い て 「 ヘ ル ド有 り」 の 場 合 の 音 圧 レベ ル が 「ヘ ル ド無 し」 の 場 合 に 比 べ て 非 常 に 高 くな っ て い る こ と が 分 か り,ま. た,高. 速 度 カ メ ラ に よ っ て 回 転 数240rpmで. すでにヘ. ル ドの 飛 び 跳 ね が 確 認 さ れ た こ とか ら,ヘ ル ドの 衝 突 音 が 音 圧 レベ ル の 増 加 に 及 ぼ す 影 響 が 強 い こ と が 分 か る. 次 に,「 磁 石 付 き 」(図 中 ●)に つ い て 考 察 す る.回. 転 数480rpmに. が 下 死 点 か ら 上 死 点 の 間,つ. よ る 音 圧 レベ ル 低 減 効 果 に お い て は,フ. レー ム 変 位. ま りヘ ル ドが 飛 び 跳 ね を 起 こ す. 以 前 の 時 刻 に お い て 音 圧 レベ ル が か な り 低 減 さ れ て い る こ と が 分 か る.し. か し,他. の 時 刻 に お い て は,「 ヘ ル ド無 し 」. の 場 合 に比 べ る とや は り高 い音 圧 レベ ル が 現 れ て い るの が 確 認 で き,特. に 上 死 点 付 近 で の 低 減 効 果 は あ ま り大 き く な い. こ と が 分 か る.そ き る.し. の 傾 向 は 回 転 数360rpmに. か し,回 転 数240rpmに. 圧 レベ ル が. お い て も確 認 で. お い て は,「 磁 石 付 き 」 の 音. 「 ヘ ル ド無 し 」 の 場 合 の そ れ と ほ ぼ 等 し く な っ て. (c)480rpm. お り,こ の 回 転 数 で は 完 全 に ヘ ル ドの 衝 突 を 防 い で い る こ と が 分 か る.な お,高. 速 度 カ メ ラ に よ っ て20rpmお. の 飛 び 跳 ね を 確 認 し た と こ ろ,340rpm以 起 き な か っ た.以. 上 よ り,ヘ. き にヘ ル ド. Fig. 3 Time chart of sound pressure. 下 で は飛 び 跳 ね が. with/without. level of shedding. healds and with magnet. at several. motion shedding. speed. ル ドの 飛 び 跳 ね が 無 い 回 転 数 に 一方. お い て は,「 磁 石 付 き 」 は ほ ぼ 完 全 に ヘ ル ドの 衝 突 を 防 い で. ,240rpm「. ヘ ル ド有 り 」 の 時 刻0.12sに. ベ ル の ピ ー ク が 見 られ た .そ. い る と 考 え る こ と が で き る.. T35. こ で,開. 口5周. おいて音圧 レ 期 のデ ー タの ア.

(4) 50. J.Text.Mach.Soc.Japan. ン サ ン ブ ル 平 均 に よ っ て 得 ら れ る 音 圧 レベ ル の グ ラ フ を 作 成 し た.グ. ラ フ を 図4に. 示 す.こ. れ を 見 る と,上. ピ ー ク は 存 在 して い る に も か か わ ら ず0.12s付 無 く な っ て い る こ と が 分 か る.こ れ は,高. 死 点付 近 の. 近 の ピー クは. 速 ビデ オ観 察 に よ. る と 上 死 点 付 近 の ヘ ル ド と ヘ ル ドバ ー の 衝 突 後 か ら 下 死 点 に 進 行 す る 間,ヘ. ル ドは 跳 ね 返 り を く り 返 し,そ. の運 動 が各. 周 期 毎 に 不 規 則 で あ っ た た め[4],平 均 化 に よ っ て そ の ピ ー ク が 無 く な っ た と考 え る こ と が 出 来 る.. (a)without Healds. Fig. 4 Time chart of sound pressure level of shedding motion with healds(ensemble average,24Orpm). 4.2時 間 一 周 波 数 解 析 に よ る ス ペ ク トル 時 間 ― 周 波 数 解 析 結 果 の 一 例 と し て,回. 転 数480rpmに. お. (b)with Healds. け る 「ヘ ル ド無 し」,「ヘ ル ド有 り」,「磁 石 付 き 」 の ス ペ ク ト ル を 図5に,回. 転 数240rpmに. 付 き 」 の ス ペ ク トル を 図6に の 大 小 は 図5(a)右 を100分. 割)に. お ける 示 す.な. 「 ヘ ル ド有 り 」,「磁 石 お,パ. ワ ー ス ペ ク トル. 端 に 示 した よ う に 色 の 濃 淡(フ. ル ス ケ ール. よ っ て 表 し て お り,比 較 の 為 に,図5(a)〜(c),. 及 び 図6(a),(b)の. フ ル ス ケ ー ル 値 を 統 一 し て い る.. ま ず,図5(a)の. 「 ヘ ル ド無 し 」 の 場 合 で は,フ. レー ム位 置. が 上 死 点 か ら 下 死 点 へ 進 行 す る 間 で,0〜3,4kHzの ク トル が 現 れ て い る.こ. れ は,装. 強 い スペ. 置 駆 動 部 の ガ タ に よる衝 突. 音 が 強 く 影 響 して い る と 考 え られ る.ま. た,他. の回転数にお. い て も 同 じ傾 向 が 見 ら れ た.一 方,「 ヘ ル ド有 り」の 場 合(図 5(b))で. は,5kHz〜20kHz前. 後 の 広 範 囲 に わ た っ て,「 ヘ ル. ド無 し」 の 時 に は 見 ら れ な か っ た ス ペ ク トル が 確 認 で き,こ の 範 囲 の ス ペ ク トル が ヘ ル ドの 衝 突 音 に よ る も の と考 え る こ と が で き る.ま. た,特. (c)with Magnet. に フ レー ム が 上 死 点 に 達 した 付 近 で, Fig. 5 Power. 図5(a)よ た.と. り も 強 い ス ペ ク トル(15kHz〜20kHz)が こ ろ が,回. 転 数 を 減 少 させ た 場 合(図6(a))は. 見 られ な い こ と が 分 か る.こ. れ は,ヘ. それが. ,「 磁 石 付 き 」 の 場 合(図5(c)),「. at shedding. motion. at 480rpm. 心 と し た 他 の 時 刻 で は あ ま り 低 減 効 果 が 得 られ て い な い こ. ル ド とヘ ル ドバ ー との. と が 分 か る.と. 衝 突 力 が 減 少 した た め だ と考 え ら れ る. 一 方. Spectrum. 観 測 され. 付 き 」 の 場 合,ヘ ヘ ル ド有 り」 の 場. 合(図5(b))と. 比 較 す る と,下 死 点 か ら 上 死 点 へ 進 行 す る 間. に お い て は,ス. ペ ク トル の 低 下 が 確 認 で き る が,上. こ ろ が,回. 転 数 を240rpmに. ル ドの 衝 突 音 と思 わ れ る 周 波 数 領 域 に は 強. い ス ペ ク トル が 見 られ ず,ほ. ぼ ヘ ル ドが 無 い 場 合 と 同 様 の 分. 布 が 得 ら れ て い る こ と が 分 か る.こ. 死点 を中. す る と,「 磁 石. れ は,磁. 石 が完 全 にヘ ル. ドの 飛 び 跳 ね を 抑 制 し て い る こ と を 意 味 す る.. T36.

(5) Vol.55,No.3(2002). 51. (a)240rpm. (a)with Healds. (b)360rpm (b)with Magnet Fig. 6 Power 次 に,先. Spectrum. at shedding. motion. at 240rpm. に 示 した 「 ヘ ル ド有 り 」 の ス ペ ク トル 図 の う ち,. 最 も 特 徴 の あ っ た 最 大 開 口(フ. レ ー ム 上 死 点)付. の 衝 突 に 着 目す る.こ. 形 の 重 ね 合 わ せ(N(=20)周. 分 の 波 形 の 総 和)を り,主. こ で,波. 行 い,そ. の 後STFTを. 近 のヘ ル ド. 行 っ た.こ. 要 な ス ペ ク トル 成 分 の み が 現 れ,ス. 期. れ に よ. ペ ク トル 分 布 の 特. 徴 を よ り詳 し く 知 る こ と が で き る.各 回 転 数 に お け る ス ペ ク トル を 図7に. 示 す.な. お,こ. こ で は,装. 置 駆 動 部 の ガ タ音 の. 主 要 成 分 と考 え ら れ る5kHz以. 下 の 低 周 波 ス ペ ク トル 領 域 を. 表 示 し な い.図7に. 死 点 付 近 の ス ペ ク トル は ほ と. お い て,下. ん ど現 れ て い な い が,240rpm(図7(a))に. お いて は下 死 点 に. 到 達 す る 付 近 に ス ペ ク トル が 見 ら れ る.高 速 ビデ オ 撮 影 に よ. (c)480rpm. り,こ の 期 間 で は ヘ ル ド同 士 が 横 方 向 に 不 規 則 に 衝 突 して い る 様 子 が 観 察 され て[4]い る.一 方,回. Fig. 7 Power Spectrum shedding speed. 転 数 の 増 加 に つ れ(次. at shedding. motion. with healds. at several. 頁 で 考 察 す る よ う な 規 則 的 な)上 死 点 付 近 の ヘ ル ドと ヘ ル ド バ ー の 垂 直 方 向 の 衝 突 が 大 き く な る.以. 上 か ら下死 点 に到 達. ク トル が 見 ら れ る.ま. す る 付 近 の ス ペ ク トル の 大 き さ は 回 転 数 の 増 加 に 伴 っ て 相. 較 す る と,回. 対 的 に 低 下 し て い く と考 え られ る.実 際 に 図7(c)を. 上 死 点 よ り手 前(早. 見 る と,. た,回. 転 数 毎 の ス ペ ク トル の 位 置 を 比. 転 数 が 高 く な る に つ れ て,ス い 時 刻)の. ペ ク トル の 位 置 が. 方 に シ フ ト し て い る こ とが わ. 上 死 点 以 外 の 領 域 の ス ペ ク トル は 非 常 に 小 さ い こ と が 確 認. か る.こ. で き る.一. バ ー と衝 突 す る 時 刻 も 早 く な る こ と を 意 味 す る.こ の こ と を. 方,上. 死 点 付 近 で は,各. 回転 数 に お い て強 い スペ. T37. れ は,回. 転 数 が 上 昇 す る に つ れ て,ヘ. ル ドが ヘ ル ド.

(6) 52. J.Text.Mach.Soc.Japan. 以 下 の 理 論 式 を 用 い て 検 証 す る.. (5),(6)式. 本 モ デ ル 装 置 の 開 口 運 動 に は 図8の. よ うな て こ ク ラ ン ク. 機 構 と 偏 りス ラ イ ダ ク ラ ン ク 機 構 を 用 い て い る.節aが タ の 速 度 θで 回 転 す る こ と に よ り,節cに rが. φ(t)で揺 動 運 動 を 行 い,ス. の と き,固. 定 節dと. よ り,. (7). モー. 固 定 され た ア ー ム. ラ イ ダ が 往 復 運 動 を す る.こ. 水 平 方 向 と の な す 角 を δ と し,r,lを. そ れ ぞ れ の リ ン ク の 長 さ,cを. ヘ ル ドフ レ ー ム のrの. 回転 中. 心 か ら の 偏 心 量 とす る と,ス ラ イ ダ に 取 り つ け られ た ヘ ル ド フ レ ー ム の 変 位x(t)は,以. 下 の 式 で 表 す こ と が で き る[4].. (3). Fig. 9 Force. acting on a heald on the heald bar near the upper. point of shedding. dead. motion. これ を解 く とt2を 求 め る こ とが で き る.以 上 の式 を用 い て 各 回 転 数 にお け るヘ ル ドの飛 び跳 ね 時刻,及 び 衝 突 時 刻 を算 出 した.結 果 を 図7の 上 部(●:飛. び 跳 ね 時 刻,■:衝. 突時. 刻 とす る)及 び 表1に 示 す.な お, (8) で 表 さ れ る 角 κ を ク ラ ン ク角 と し,表1に 飛 び 跳 ね 時 の 速 度,衝. Fig. 8 Mechanism. of shedding. motion. ル ドフ レー ム の 速 度 ・加 速 度 は,(3)式. と で 求 め る こ と が 出 来 る.ま. た,フ. を微 分 す る こ. た,. 突 時 の ヘ ル ドフ レー ム 及 び ヘ ル ドの 速. 度vf,vhも. 併 せ て 示 す.こ. つ れ て,飛. び 上 が り時 刻 及 び 衝 突 時 刻 が 早 く な っ て い る.な. お240rpmで な お,ヘ. 併 記 す る.ま. れ を 見 る と,回. は,360rpm,480rpmの. 転数が高 くなるに. 時 とは 異 な り,フ. レー ム. が 上 死 点 を 通 過 し た 後 で ヘ ル ド と ヘ ル ドバ ー が 衝 突 し て い. レ ー ム 上 死 点 付 近 で は,. る こ と が 分 か る.ま. ヘ ル ド とヘ ル ドバ ー の 接 触 点 が 上 部 ヘ ル ドバ ー の 上 端 の み. た,こ. の 衝 突 時 刻 に 応 じて ス ペ ク トル 領. 域 も推 移 し て い る こ と が 分 か る. で あ る と 考 え,ヘ. ル ドを 質 点 と し て 扱 い,そ. よ う に モ デ ル 化 し た[4].な あ る.こ. こ で,ヘ. 度 をgと. す る と,. お,Fは. の 運 動 を 図9の. Table.1 Time when healds jump up the upper heald bar and collide with the lower heald bar near the upper dead point of shedding motion at several driving speed. ヘ ル ドに 加 わ る慣 性 力 で. ル ドの 飛 び 跳 ね が 起 き る 条 件 は,重. 力加 速. (4). で,こ. の 時 の 時 刻 をt1と す る.以. 降. ヘ ル ドは 飛 び 跳 ね 時t1. の 速 度 を 初 速 度v(t1)と し た 鉛 直 投 射 運 動 を す る と考 え る.1 度 目 の 衝 突 時 刻 をt2と. す る と,衝. 突 ま で の ヘ ル ドの 変 位XH. は,. (5) 次 に,回 転 数 に よ る衝 突 時 の 衝 撃 の 大 き さを 知 るた めに, 一 方 ヘ ル ドバ ー は,ヘ ル ドが 飛 び 跳 ね る 以前 と同様 の運 動 を. 衝 突 時 にお け るヘ ル ドの フ レー ム に 対 す る 相 対 速 度│vf‑vh│. す る.衝 突 まで のヘ ル ドバ ー の 変 位XRは,. を求 め, (6). こ こ で,ヘ ル ド とヘ ル ドバ ー と の 隙 間 をCr(=3.5mm)と. (9). す る と,. で 表 され るエ ネ ル ギ ーEを ヘ ル ドの衝 突 直前 の運 動 エ ネル. T38.

(7) Vol.55,No.3(2002). 53. ギー と し,衝 撃 の 大 き さの 目安 と した.表1に. 得 られ た結 果. て は)縦 方 向 の衝 突 は 防 ぐ こ とが で き ない こ とがヘ ル ド衝. を示 す.相 対 速度 は,360rpm及. 関 して は,回. 突 音 の スペ ク トル 図 か ら明 らか とな っ た.. び480rpmに. 転 数 に ほ ぼ 比 例 して 増 加 して い るが,240rpmに. お い て は,. (4)数 サ イ クル 分 の 音 圧 波 形 を重 ね 合 わ せ てSTFT解. 析 を行. か な り低 い 値 を示 して い る.こ れ は,フ レー ム が上 死 点 に達. うこ とに よ り,先 に報 告 した,ヘ ル ドとヘ ル ドバ ー の 衝 突. す るま で に ヘ ル ドとヘ ル ドバ ー の衝 突 が起 こ らず,そ の 間 に. 時刻 の各 理 論 式 の有 効性 が確 認 で き た.そ の衝 撃 の 大 き さ. ヘ ル ドの 速 度 が か な り低 下 した こ とが原 因 だ と考 え られ る.. は 回転 数 に伴 っ て増 加 して い く こ とが わ か った. さ らに 騒 音 低 減 を考 え て い く上 で はヘ ル ドの挙 動 と た て. ま た,運 動 エ ネ ル ギ ー は 速度 の2乗 に比 例 す る た め,織 機 回. 糸 張 力 の 関 係 につ い て 検 討 して い く必 要 が あ る.. 転 数 増 加 に よ る運 動 エ ネル ギー の上 昇 は大 き い.. 5.結. 本 研 究 の 一 部 は 日本 繊 維 機 械 学 会 第54回. 言. 年 次 大 会研 究 発. 表 会 で 発 表 した.実 験 装 置 製 作 に ご協 力 い た だ い た金 沢 大 学 本 研 究 で は,開 口運 動 時 のヘ ル ドの 衝 突 の メカ ニ ズ ム を検. 技 術 支 援 セ ン ター,本 研 究 の 実 験 実 施 に 協力 い た だ い た段 孝. 討 す る こ とを 目的 と し,各 回 転 数 にお い て 騒 音 測 定 を行 い,. 幸 氏(金 沢 大 学 大 学 院 生)に 感 謝 しま す.. 得 られ た音 圧 波 形 を も とに 時 間 一周 波 数 解 析 を行 った 結 果,. References. 以 下 の こ とが 明 らか とな っ た. (1)STFTの. 手 法 を用 い て ヘ ル ド衝 突 音 の 時 間 ―周 波 数 解 析. [1] Ishida,T, J. Text. Mach. Soc. Japan, 25, P537(1972). を 行 い,開 口1周 期 中 にお け る周 波 数 ス ペ ク トル の 特 徴 を. [2] Ishida,T, Umeda,A, J. Text. Inst., 78, 450 (1987). 知 る こ とが で きた.. [3] Ishida,T, Umeda.A, J. Text. Inst., 79, 53 (1988). (2)ヘ ル ド衝 突 音 の周 波数 スペ ク トル 図 よ り,ヘ ル ド衝 突 の. [4] Kinari,T., Preprint of 53th Annual Conference of the Textile Machinery Society of Japan, 198(2000). 形 態 が 上 死 点 付 近 とそ れ 以 外 で は 異 な っ て い る こ とが 分 か っ た.上 死 点 付 近 で は15〜20kHzの. 範 囲 に 強 い スペ ク. [5] Kinari,T., Preprint of 51th Annual Conference of the Textile Machinery Society of Japan, 168(1998). トル が 点在 して い る こ とが確 認 で き た. (3)低 回転 数 で は,磁 石 付 き フ レー ム は完 全 にヘ ル ドの動 き. [6] Kinari,T., J.Text.Mach.Soc.Japan,54,T159(2001). を抑 制 す る こ とが で き,騒 音 の低 減 効 果 が 見 られ た.し か. [7] Taniogi,R.Dejitaru shingosyori to kisoriron,koronasya(1996). し高 回転 数 で は,ヘ ル ドの横 方 向 の衝 突 は あ る程 度 防 ぐ こ. [8] Kanai,H.Oto shindou no supekutoru kaiseki,koronasya(1999). とが で き て も,(た て 糸 の影 響 が ない,こ. の実 験 系 にお い. T39.

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