短 時 間 フー リエ 変 換 に よ るヘ ル ド衝 突 音 の周 波 数 解 析
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(2) 48. J.Text.Mach.Soc.Japan. す るヘ ル ド同 士 も こ の 隙 間 の 影 響 を 受 け,開 に衝 突 を 繰 り返 して い る.ま. た,こ. こ の3種. 口運 動 中 に 頻 繁. の よ う な ヘ ル ドの 衝 突 を. 類 に つ い て,開. 口1周. だ し,本. 研 究 で は ヘ ル ドに た て 糸 を 通 し て い な い.な お モ デ ル 開 口 装. 防 ぐ 一 手 法 と して 開 発 さ れ た も の に,磁 石 付 き ヘ ル ドフ レ ー. 置 の 回 転 数 は240,360,480rpm(織. ム が あ る[6].こ. 範 囲 で あ る480,720,960rpmに. の フ レー ム は,下. 期 の 音 圧 を 得 た.た. 部 フ レー ム ス チー ブ上 に永. 機 の 回 転数 と して は 実 用 の 相 当)の3種. 類,サ. ン プ リング. 久 磁 石 を 取 りつ け る こ と に よ りヘ ル ドの 飛 び 跳 ね を 抑 制 し,. 周 波 数 を50kHzと. 上 部 ヘ ル ドバ ー と の 衝 突 を 防 ぐ こ と が で き る.そ れ と 同 時 に. よ る ヘ ル ドの 飛 び 跳 ね の 有 無 を 確 認 す る た め,高 速 度 カ メ ラ. 磁 化 さ れ た 隣 り合 うヘ ル ド同 士 が 反 撥 す る こ と に よ り,横 方 向 の 衝 突 も 抑 え ら れ る.し. か し現 状 で は,永. 限 界 及 び 設 置 ス ペ ー ス の 問 題 上,高 つ れ て,そ. し た.ま. た,こ. の測 定 と同時 に各 回転 数 に. (フ ォ ト ロ ン 社 製FASTCAM‑Rabbit)に. よ る 撮 影 も 行 っ た.. 久 磁 石 の磁 力 の. 回 転数 領 域 に移 行 す る に. の 抑 制 効 果 は 減 少 して お り,特 に 鉛 直 方 向 の ヘ ル. ドの 飛 び 跳 ね の 抑 制 が 困 難 と な る[61.. Fig. 2 Schematic. of shedding. motion. model. and microphone. 3.2時 間 一 周 波 数 解 析 一 般 的 な 周 波 数 解 析 で は ,解 析 対 象 とな る信 号 は 定 常 で あ Fig. 1 Schematic. 3.ヘ. diagram. る と仮 定 して お り,こ の 場合 は 以 下 に示 す 離 散 的 フー リエ 変. of a heald frame and a heald. 換(DFT)の 手 法 を 用 い る こ とで,対 象 信 号 を各 周 波 数 成 分 に. ル ドの衝 突 音 解 析. 3.1実. 分離 す る こ とが で き る.. 験装置. 図2に. (1) 示 す モ デ ル 開 口装 置 を 用 い て 衝 突 音 を 測 定 し,そ の. 後 周 波 数 解 析 を 行 っ た.こ. の モ デ ル 装 置 は 縦 横600mm高. 900mmの. ー タ ー に よ り 駆 動 して い る.本. 小 型 の も の で,モ. 口装 置 で は,ヘ. ル ドフ レ ー ム を 上 下 動 させ る 機 構 に,て. さ. こ こ で,x(n)はN個. 開. ま た こ こ で は,サ. こク. の 離 散 時 間 信 号(n=0,1,2,…,N)で ン プ リン グ 周 期Tsで. し て 得 られ る 標 本 化 信 号x(nTs)を. 連 続 信 号x(t)を 標 本 化. 簡 単 にx(n)と 表 す.同 様 に,. ラ ン ク 機 構 と 偏 り ス ラ イ ダ ク ラ ン ク機 構 を 用 い て い る.測 定. X(k)のkは. 本 来 は サ ン プ リ ン グ 周 波 数fsの1/Nのk倍. に は,音. 数kfs/Nを. 示 す が,fs/N間. 圧 型 コ ン デ ン サ マ イ ク ロ ホ ン(ア. コー 社 製TYPE. 7017)を,装. 置 の 振 動 に よ る影 響 が な い よ う外 部 フ レー ム に. 固 定 し た.マ. イ ク ロ ホ ン の 位 置 は ヘ ル ドフ レー ム 正 面 か ら. 20mmと. し た.マ. フ レ ー ム の 変 位 は,同. さ0.30mm,質 幅204mm×. 製LB60)に. 記 録 さ れ る.な 量1.84g,マ 高 さ529mm(内. レー ム に 通 し た 状 態 を. お 本 測 定 で は,全. を 用 い る こ と は 適 当 で は な い.こ. 製. の 場 合DFT. 間 を 考慮 した周 波. こ の 解 析 を 行 うに は 種 々 の 方 法 が あ る が,本 研 究 で は 比 較 的. 長310mm,厚. 扱 い が 容 易 な 短 時 間 フ ー リ エ 変 換(以 時 間 領 域 の 離 散 信 号x(η){n=0,1,2,…,N}に. モ デ ル ヘ ル ドフ. 後STFT)を. 用 い る.. 関 す るSTFTに. よつ. て 得 ら れ る 周 波 数 ス ペ ク トル は 次 式 で 与 え ら れ る.. 「 ヘ ル ド有 り」,比 較 の た め の ヘ ル ド. を 通 して な い 状 態 を 「ヘ ル ド無 し」,ま た. の 時,時. 数 解 析 を 行 う必 要 が あ る.こ れ を 時 間 一 周 波 数 解 析 と 言 う[7].. ル テ ン サ イ ト系 の ヘ ル ドを120本, 側 幅146mm)の. 目 と い う意. 表 し て い る.. 化 す る な ど非 定 常 な 特 性 を 持 つ こ と が 多 く,こ. て 得 られ た ヘ ル ド. 時 に デ ジ タ ル レ コ ー ダ(TEAC社. 隔 の 離 散 的 周 波 数 のk番. の周 波. と こ ろ が 実 際 の 信 号 に は,観 測 時 間 内 に 振 幅 や 周 波 数 が 変. イ ク ロ ホ ン に よ っ て 得 られ た 音 圧 波 形 及 び. レ ー ザ ー 変 位 計(KEYENCE社. DR‑M2a)に. 味 で 簡 単 にkと. あ る[7].. 「 ヘ ル ド有 り 」 の. (2). 場 合 で 磁 石 付 き フ レー ム を 用 い た 状 態 を 「 磁 石 付 き 」 と し,. T34.
(3) Vol.55,No.3(2002). こ れ は,時 し,区. 49. 間 信 号 を 有 限 長Twの. 区 間(フ. レ ー ム)で. 間 ご と に フ ー リエ 変 換 を 行 う も の で あ る.こ. 切 り出 の 時,切. り 出 し 区 間 の 両 端 近 傍 で 波 形 が 急 激 に 変 化 す る と,周 波 数 応 答 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ す の で,Window関. 数w(n)を. 用い て こ. れ を 避 け る 必 要 が あ る. 次 に,本 研 究 の 場 合 に お け る 時 間 ― 周 波 数 解 析 の 必 要 性 を 検 討 す る.以. 前 の 報 告 よ り,ヘ. ル ドの 衝 突 現 象 の 形 態 は 開 口. 1周 期 中 に 刻 々 と変 化 す る が,こ. の形 態 を簡 単 に分 類 す る と. 以 下 の よ うに な る. (1)ヘ ル ドの 飛 び 上 が り→ 落 下 に よ る ヘ ル ドバ ー ヘ の 衝 突(上 死 点 付 近) (2)ヘ ル ドの 跳 ね 返 りに よ る 衝 突(上 (3)ヘ ル ドの 飛 び 上 が り前(下. 死 点 〜 下 死 点). 死 点 〜 上 死 点). (1)〜(3)の 衝 突 が 音 圧 レベ ル に 関 与 す る こ と は,明 あ る が,そ ゆる. れ と 同 時 に 開 口1周. (a)240rpm. らか で. 期 中 の 各 時 刻 に お い て,い. わ. 「音 の 性 質 」,つ ま り 周 波 数 特 性 が 異 な っ て い る と推 測. で き る.よ. っ て,得. 析 を 行 う こ と は,開. ら れ た 音 圧 波 形 を も と に 時 間 ―周 波 数 解 口1周. 期 中 に ヘ ル ドが 発 す る 音 の 性 質 を. 知 る た め の 非 常 に 有 効 な 手 段 で あ る と 推 測 さ れ る.な お,本 解 析 で は,Tw=20.48ms,実 と し,Window関. 4.解. 行 間 隔 を1ms(240rpmの. 数 にHanning. Windowを. み2ms). 採 用 した.. 析 結果 お よび 考 察. 4.1音 圧 レベ ル の 推 移 各 回 転 数 に お け る 開 口1周 3に 示 す.ま. 期 中 の 音 圧 レベ ル の変 動 を 図. ず,「 ヘ ル ド有 り」(図 中)の. 無 し」(図 中 ●)の. 場 合 と 「ヘ ル ド. 場 合 の 音 圧 レベ ル の 推 移 を 比 較 す る と, (b)360rpm. 全 回転 数 に お い て 「 ヘ ル ド有 り」 の 場 合 の 音 圧 レベ ル が 「ヘ ル ド無 し」 の 場 合 に 比 べ て 非 常 に 高 くな っ て い る こ と が 分 か り,ま. た,高. 速 度 カ メ ラ に よ っ て 回 転 数240rpmで. すでにヘ. ル ドの 飛 び 跳 ね が 確 認 さ れ た こ とか ら,ヘ ル ドの 衝 突 音 が 音 圧 レベ ル の 増 加 に 及 ぼ す 影 響 が 強 い こ と が 分 か る. 次 に,「 磁 石 付 き 」(図 中 ●)に つ い て 考 察 す る.回. 転 数480rpmに. が 下 死 点 か ら 上 死 点 の 間,つ. よ る 音 圧 レベ ル 低 減 効 果 に お い て は,フ. レー ム 変 位. ま りヘ ル ドが 飛 び 跳 ね を 起 こ す. 以 前 の 時 刻 に お い て 音 圧 レベ ル が か な り 低 減 さ れ て い る こ と が 分 か る.し. か し,他. の 時 刻 に お い て は,「 ヘ ル ド無 し 」. の 場 合 に比 べ る とや は り高 い音 圧 レベ ル が 現 れ て い るの が 確 認 で き,特. に 上 死 点 付 近 で の 低 減 効 果 は あ ま り大 き く な い. こ と が 分 か る.そ き る.し. の 傾 向 は 回 転 数360rpmに. か し,回 転 数240rpmに. 圧 レベ ル が. お い て も確 認 で. お い て は,「 磁 石 付 き 」 の 音. 「 ヘ ル ド無 し 」 の 場 合 の そ れ と ほ ぼ 等 し く な っ て. (c)480rpm. お り,こ の 回 転 数 で は 完 全 に ヘ ル ドの 衝 突 を 防 い で い る こ と が 分 か る.な お,高. 速 度 カ メ ラ に よ っ て20rpmお. の 飛 び 跳 ね を 確 認 し た と こ ろ,340rpm以 起 き な か っ た.以. 上 よ り,ヘ. き にヘ ル ド. Fig. 3 Time chart of sound pressure. 下 で は飛 び 跳 ね が. with/without. level of shedding. healds and with magnet. at several. motion shedding. speed. ル ドの 飛 び 跳 ね が 無 い 回 転 数 に 一方. お い て は,「 磁 石 付 き 」 は ほ ぼ 完 全 に ヘ ル ドの 衝 突 を 防 い で. ,240rpm「. ヘ ル ド有 り 」 の 時 刻0.12sに. ベ ル の ピ ー ク が 見 られ た .そ. い る と 考 え る こ と が で き る.. T35. こ で,開. 口5周. おいて音圧 レ 期 のデ ー タの ア.
(4) 50. J.Text.Mach.Soc.Japan. ン サ ン ブ ル 平 均 に よ っ て 得 ら れ る 音 圧 レベ ル の グ ラ フ を 作 成 し た.グ. ラ フ を 図4に. 示 す.こ. れ を 見 る と,上. ピ ー ク は 存 在 して い る に も か か わ ら ず0.12s付 無 く な っ て い る こ と が 分 か る.こ れ は,高. 死 点付 近 の. 近 の ピー クは. 速 ビデ オ観 察 に よ. る と 上 死 点 付 近 の ヘ ル ド と ヘ ル ドバ ー の 衝 突 後 か ら 下 死 点 に 進 行 す る 間,ヘ. ル ドは 跳 ね 返 り を く り 返 し,そ. の運 動 が各. 周 期 毎 に 不 規 則 で あ っ た た め[4],平 均 化 に よ っ て そ の ピ ー ク が 無 く な っ た と考 え る こ と が 出 来 る.. (a)without Healds. Fig. 4 Time chart of sound pressure level of shedding motion with healds(ensemble average,24Orpm). 4.2時 間 一 周 波 数 解 析 に よ る ス ペ ク トル 時 間 ― 周 波 数 解 析 結 果 の 一 例 と し て,回. 転 数480rpmに. お. (b)with Healds. け る 「ヘ ル ド無 し」,「ヘ ル ド有 り」,「磁 石 付 き 」 の ス ペ ク ト ル を 図5に,回. 転 数240rpmに. 付 き 」 の ス ペ ク トル を 図6に の 大 小 は 図5(a)右 を100分. 割)に. お ける 示 す.な. 「 ヘ ル ド有 り 」,「磁 石 お,パ. ワ ー ス ペ ク トル. 端 に 示 した よ う に 色 の 濃 淡(フ. ル ス ケ ール. よ っ て 表 し て お り,比 較 の 為 に,図5(a)〜(c),. 及 び 図6(a),(b)の. フ ル ス ケ ー ル 値 を 統 一 し て い る.. ま ず,図5(a)の. 「 ヘ ル ド無 し 」 の 場 合 で は,フ. レー ム位 置. が 上 死 点 か ら 下 死 点 へ 進 行 す る 間 で,0〜3,4kHzの ク トル が 現 れ て い る.こ. れ は,装. 強 い スペ. 置 駆 動 部 の ガ タ に よる衝 突. 音 が 強 く 影 響 して い る と 考 え られ る.ま. た,他. の回転数にお. い て も 同 じ傾 向 が 見 ら れ た.一 方,「 ヘ ル ド有 り」の 場 合(図 5(b))で. は,5kHz〜20kHz前. 後 の 広 範 囲 に わ た っ て,「 ヘ ル. ド無 し」 の 時 に は 見 ら れ な か っ た ス ペ ク トル が 確 認 で き,こ の 範 囲 の ス ペ ク トル が ヘ ル ドの 衝 突 音 に よ る も の と考 え る こ と が で き る.ま. た,特. (c)with Magnet. に フ レー ム が 上 死 点 に 達 した 付 近 で, Fig. 5 Power. 図5(a)よ た.と. り も 強 い ス ペ ク トル(15kHz〜20kHz)が こ ろ が,回. 転 数 を 減 少 させ た 場 合(図6(a))は. 見 られ な い こ と が 分 か る.こ. れ は,ヘ. それが. ,「 磁 石 付 き 」 の 場 合(図5(c)),「. at shedding. motion. at 480rpm. 心 と し た 他 の 時 刻 で は あ ま り 低 減 効 果 が 得 られ て い な い こ. ル ド とヘ ル ドバ ー との. と が 分 か る.と. 衝 突 力 が 減 少 した た め だ と考 え ら れ る. 一 方. Spectrum. 観 測 され. 付 き 」 の 場 合,ヘ ヘ ル ド有 り」 の 場. 合(図5(b))と. 比 較 す る と,下 死 点 か ら 上 死 点 へ 進 行 す る 間. に お い て は,ス. ペ ク トル の 低 下 が 確 認 で き る が,上. こ ろ が,回. 転 数 を240rpmに. ル ドの 衝 突 音 と思 わ れ る 周 波 数 領 域 に は 強. い ス ペ ク トル が 見 られ ず,ほ. ぼ ヘ ル ドが 無 い 場 合 と 同 様 の 分. 布 が 得 ら れ て い る こ と が 分 か る.こ. 死点 を中. す る と,「 磁 石. れ は,磁. 石 が完 全 にヘ ル. ドの 飛 び 跳 ね を 抑 制 し て い る こ と を 意 味 す る.. T36.
(5) Vol.55,No.3(2002). 51. (a)240rpm. (a)with Healds. (b)360rpm (b)with Magnet Fig. 6 Power 次 に,先. Spectrum. at shedding. motion. at 240rpm. に 示 した 「 ヘ ル ド有 り 」 の ス ペ ク トル 図 の う ち,. 最 も 特 徴 の あ っ た 最 大 開 口(フ. レ ー ム 上 死 点)付. の 衝 突 に 着 目す る.こ. 形 の 重 ね 合 わ せ(N(=20)周. 分 の 波 形 の 総 和)を り,主. こ で,波. 行 い,そ. の 後STFTを. 近 のヘ ル ド. 行 っ た.こ. 要 な ス ペ ク トル 成 分 の み が 現 れ,ス. 期. れ に よ. ペ ク トル 分 布 の 特. 徴 を よ り詳 し く 知 る こ と が で き る.各 回 転 数 に お け る ス ペ ク トル を 図7に. 示 す.な. お,こ. こ で は,装. 置 駆 動 部 の ガ タ音 の. 主 要 成 分 と考 え ら れ る5kHz以. 下 の 低 周 波 ス ペ ク トル 領 域 を. 表 示 し な い.図7に. 死 点 付 近 の ス ペ ク トル は ほ と. お い て,下. ん ど現 れ て い な い が,240rpm(図7(a))に. お いて は下 死 点 に. 到 達 す る 付 近 に ス ペ ク トル が 見 ら れ る.高 速 ビデ オ 撮 影 に よ. (c)480rpm. り,こ の 期 間 で は ヘ ル ド同 士 が 横 方 向 に 不 規 則 に 衝 突 して い る 様 子 が 観 察 され て[4]い る.一 方,回. Fig. 7 Power Spectrum shedding speed. 転 数 の 増 加 に つ れ(次. at shedding. motion. with healds. at several. 頁 で 考 察 す る よ う な 規 則 的 な)上 死 点 付 近 の ヘ ル ドと ヘ ル ド バ ー の 垂 直 方 向 の 衝 突 が 大 き く な る.以. 上 か ら下死 点 に到 達. ク トル が 見 ら れ る.ま. す る 付 近 の ス ペ ク トル の 大 き さ は 回 転 数 の 増 加 に 伴 っ て 相. 較 す る と,回. 対 的 に 低 下 し て い く と考 え られ る.実 際 に 図7(c)を. 上 死 点 よ り手 前(早. 見 る と,. た,回. 転 数 毎 の ス ペ ク トル の 位 置 を 比. 転 数 が 高 く な る に つ れ て,ス い 時 刻)の. ペ ク トル の 位 置 が. 方 に シ フ ト し て い る こ とが わ. 上 死 点 以 外 の 領 域 の ス ペ ク トル は 非 常 に 小 さ い こ と が 確 認. か る.こ. で き る.一. バ ー と衝 突 す る 時 刻 も 早 く な る こ と を 意 味 す る.こ の こ と を. 方,上. 死 点 付 近 で は,各. 回転 数 に お い て強 い スペ. T37. れ は,回. 転 数 が 上 昇 す る に つ れ て,ヘ. ル ドが ヘ ル ド.
(6) 52. J.Text.Mach.Soc.Japan. 以 下 の 理 論 式 を 用 い て 検 証 す る.. (5),(6)式. 本 モ デ ル 装 置 の 開 口 運 動 に は 図8の. よ うな て こ ク ラ ン ク. 機 構 と 偏 りス ラ イ ダ ク ラ ン ク 機 構 を 用 い て い る.節aが タ の 速 度 θで 回 転 す る こ と に よ り,節cに rが. φ(t)で揺 動 運 動 を 行 い,ス. の と き,固. 定 節dと. よ り,. (7). モー. 固 定 され た ア ー ム. ラ イ ダ が 往 復 運 動 を す る.こ. 水 平 方 向 と の な す 角 を δ と し,r,lを. そ れ ぞ れ の リ ン ク の 長 さ,cを. ヘ ル ドフ レ ー ム のrの. 回転 中. 心 か ら の 偏 心 量 とす る と,ス ラ イ ダ に 取 り つ け られ た ヘ ル ド フ レ ー ム の 変 位x(t)は,以. 下 の 式 で 表 す こ と が で き る[4].. (3). Fig. 9 Force. acting on a heald on the heald bar near the upper. point of shedding. dead. motion. これ を解 く とt2を 求 め る こ とが で き る.以 上 の式 を用 い て 各 回 転 数 にお け るヘ ル ドの飛 び跳 ね 時刻,及 び 衝 突 時 刻 を算 出 した.結 果 を 図7の 上 部(●:飛. び 跳 ね 時 刻,■:衝. 突時. 刻 とす る)及 び 表1に 示 す.な お, (8) で 表 さ れ る 角 κ を ク ラ ン ク角 と し,表1に 飛 び 跳 ね 時 の 速 度,衝. Fig. 8 Mechanism. of shedding. motion. ル ドフ レー ム の 速 度 ・加 速 度 は,(3)式. と で 求 め る こ と が 出 来 る.ま. た,フ. を微 分 す る こ. た,. 突 時 の ヘ ル ドフ レー ム 及 び ヘ ル ドの 速. 度vf,vhも. 併 せ て 示 す.こ. つ れ て,飛. び 上 が り時 刻 及 び 衝 突 時 刻 が 早 く な っ て い る.な. お240rpmで な お,ヘ. 併 記 す る.ま. れ を 見 る と,回. は,360rpm,480rpmの. 転数が高 くなるに. 時 とは 異 な り,フ. レー ム. が 上 死 点 を 通 過 し た 後 で ヘ ル ド と ヘ ル ドバ ー が 衝 突 し て い. レ ー ム 上 死 点 付 近 で は,. る こ と が 分 か る.ま. ヘ ル ド とヘ ル ドバ ー の 接 触 点 が 上 部 ヘ ル ドバ ー の 上 端 の み. た,こ. の 衝 突 時 刻 に 応 じて ス ペ ク トル 領. 域 も推 移 し て い る こ と が 分 か る. で あ る と 考 え,ヘ. ル ドを 質 点 と し て 扱 い,そ. よ う に モ デ ル 化 し た[4].な あ る.こ. こ で,ヘ. 度 をgと. す る と,. お,Fは. の 運 動 を 図9の. Table.1 Time when healds jump up the upper heald bar and collide with the lower heald bar near the upper dead point of shedding motion at several driving speed. ヘ ル ドに 加 わ る慣 性 力 で. ル ドの 飛 び 跳 ね が 起 き る 条 件 は,重. 力加 速. (4). で,こ. の 時 の 時 刻 をt1と す る.以. 降. ヘ ル ドは 飛 び 跳 ね 時t1. の 速 度 を 初 速 度v(t1)と し た 鉛 直 投 射 運 動 を す る と考 え る.1 度 目 の 衝 突 時 刻 をt2と. す る と,衝. 突 ま で の ヘ ル ドの 変 位XH. は,. (5) 次 に,回 転 数 に よ る衝 突 時 の 衝 撃 の 大 き さを 知 るた めに, 一 方 ヘ ル ドバ ー は,ヘ ル ドが 飛 び 跳 ね る 以前 と同様 の運 動 を. 衝 突 時 にお け るヘ ル ドの フ レー ム に 対 す る 相 対 速 度│vf‑vh│. す る.衝 突 まで のヘ ル ドバ ー の 変 位XRは,. を求 め, (6). こ こ で,ヘ ル ド とヘ ル ドバ ー と の 隙 間 をCr(=3.5mm)と. (9). す る と,. で 表 され るエ ネ ル ギ ーEを ヘ ル ドの衝 突 直前 の運 動 エ ネル. T38.
(7) Vol.55,No.3(2002). 53. ギー と し,衝 撃 の 大 き さの 目安 と した.表1に. 得 られ た結 果. て は)縦 方 向 の衝 突 は 防 ぐ こ とが で き ない こ とがヘ ル ド衝. を示 す.相 対 速度 は,360rpm及. 関 して は,回. 突 音 の スペ ク トル 図 か ら明 らか とな っ た.. び480rpmに. 転 数 に ほ ぼ 比 例 して 増 加 して い るが,240rpmに. お い て は,. (4)数 サ イ クル 分 の 音 圧 波 形 を重 ね 合 わ せ てSTFT解. 析 を行. か な り低 い 値 を示 して い る.こ れ は,フ レー ム が上 死 点 に達. うこ とに よ り,先 に報 告 した,ヘ ル ドとヘ ル ドバ ー の 衝 突. す るま で に ヘ ル ドとヘ ル ドバ ー の衝 突 が起 こ らず,そ の 間 に. 時刻 の各 理 論 式 の有 効性 が確 認 で き た.そ の衝 撃 の 大 き さ. ヘ ル ドの 速 度 が か な り低 下 した こ とが原 因 だ と考 え られ る.. は 回転 数 に伴 っ て増 加 して い く こ とが わ か った. さ らに 騒 音 低 減 を考 え て い く上 で はヘ ル ドの挙 動 と た て. ま た,運 動 エ ネ ル ギ ー は 速度 の2乗 に比 例 す る た め,織 機 回. 糸 張 力 の 関 係 につ い て 検 討 して い く必 要 が あ る.. 転 数 増 加 に よ る運 動 エ ネル ギー の上 昇 は大 き い.. 5.結. 本 研 究 の 一 部 は 日本 繊 維 機 械 学 会 第54回. 言. 年 次 大 会研 究 発. 表 会 で 発 表 した.実 験 装 置 製 作 に ご協 力 い た だ い た金 沢 大 学 本 研 究 で は,開 口運 動 時 のヘ ル ドの 衝 突 の メカ ニ ズ ム を検. 技 術 支 援 セ ン ター,本 研 究 の 実 験 実 施 に 協力 い た だ い た段 孝. 討 す る こ とを 目的 と し,各 回 転 数 にお い て 騒 音 測 定 を行 い,. 幸 氏(金 沢 大 学 大 学 院 生)に 感 謝 しま す.. 得 られ た音 圧 波 形 を も とに 時 間 一周 波 数 解 析 を行 った 結 果,. References. 以 下 の こ とが 明 らか とな っ た. (1)STFTの. 手 法 を用 い て ヘ ル ド衝 突 音 の 時 間 ―周 波 数 解 析. [1] Ishida,T, J. Text. Mach. Soc. Japan, 25, P537(1972). を 行 い,開 口1周 期 中 にお け る周 波 数 ス ペ ク トル の 特 徴 を. [2] Ishida,T, Umeda,A, J. Text. Inst., 78, 450 (1987). 知 る こ とが で きた.. [3] Ishida,T, Umeda.A, J. Text. Inst., 79, 53 (1988). (2)ヘ ル ド衝 突 音 の周 波数 スペ ク トル 図 よ り,ヘ ル ド衝 突 の. [4] Kinari,T., Preprint of 53th Annual Conference of the Textile Machinery Society of Japan, 198(2000). 形 態 が 上 死 点 付 近 とそ れ 以 外 で は 異 な っ て い る こ とが 分 か っ た.上 死 点 付 近 で は15〜20kHzの. 範 囲 に 強 い スペ ク. [5] Kinari,T., Preprint of 51th Annual Conference of the Textile Machinery Society of Japan, 168(1998). トル が 点在 して い る こ とが確 認 で き た. (3)低 回転 数 で は,磁 石 付 き フ レー ム は完 全 にヘ ル ドの動 き. [6] Kinari,T., J.Text.Mach.Soc.Japan,54,T159(2001). を抑 制 す る こ とが で き,騒 音 の低 減 効 果 が 見 られ た.し か. [7] Taniogi,R.Dejitaru shingosyori to kisoriron,koronasya(1996). し高 回転 数 で は,ヘ ル ドの横 方 向 の衝 突 は あ る程 度 防 ぐ こ. [8] Kanai,H.Oto shindou no supekutoru kaiseki,koronasya(1999). とが で き て も,(た て 糸 の影 響 が ない,こ. の実 験 系 にお い. T39.
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