The Society of Applied Forest Science
NII-Electronic Library Service The Soolety of ApPlled Forest Solenoe
日林 関西 支 論 5
,
1996キ リ
の
生
殖
に
関
す
る
研 究
al
)
一
胚 嚢
の形
成
,受 粉
,受
精
およ
び
種
子
の形
成
*1江
莎
*2 ,橋詰
隼
人
*31
は じめに 第1
報と同じ趣 旨で受 粉 後の果 実の発 育過程,
す な わ ち胚 嚢の形 成,
受 粉.
受精,
種子の形 成 な どにつ い て調 べ た。
II
材 料と方法 供 試 材 料は鳥 取 大 学 農学 部苗 畑に生育し てい るニ ホ ン ギ リ3個 体か ら採 取し た。
3
月中旬か ら1〔1月中 旬ま で週2
回の割 合で花 芽,
花お よび 果実を採 取し,
FAA 液お よびカル ノ ア液で固 定し た後70%アル コー
ル液に浸 漬 貯 蔵し た。
FAA 固定 試 料は第 1報の と お り,
走 杏 型 電 子 顕微 鏡 (SEM )の観 察に用いた。 カル ノア 液 固 定 試 料 はパ ラフィ ンで包埋 し て 厚 さ5 〜7
μm の連 続 切H
を作 り,
サフ ラニ ン,
フ ァー
ス トグ リー
ン,
ヘ マ ト キ シ リン で 二重染 色し て光 学 顕 微 鏡で観 察し た。 図一
1 胚 嚢母 細胞の形成と減 数 分 裂A ,B
:胞 原 細 胞 (ASC ) (3月22日)。 C :胚 嚢 母細胞の減 数 分裂 (第1回 目の分 裂 〉 (5月5日)。
D :減 数 分裂後の四 分 子 (大胞了)。
珠 孔 側 (右 側 )の 3個 (矢 印) は 退 化 し,
合 点 側の 1個が胚 嚢 細胞にな る (5月 上 旬)。
祠
Stuclies on reprQductK )n m Paκiownlts tomentosa Steud.
(ID Erl〕bryo sac farmation po1Tinatmn and fertil]zationl2 Sha Jiang(United Grad Sch
.
of Agri〔:.
,
Tutしori UnLv,
Totturi 680鳥取 人院)‘
3Hayato Ilashlzume (FormerIy.
Fac.
Qf Agric、
Toしtori Univ,
Tottol i 680元 鳥 取 大農)97
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III
結 果 と考 察1.
胚 嚢の形 成 キ リ の花は1994年には 4月28日〜6
月 1日の期 間に開 花し た。一
斉に開 花せず,
1っ の花 序で は大きい蕾か ら 順 番に開 花 し,
約1 日 で全部が開 花し た。
開 花 最 盛 期は 5月10〜
25日で あっ た。
若い胚 珠の中の胞 原細胞は 3月 下 旬 頃か ら成 長を始め,
4月 下旬に 胚 嚢 母 細 胞 (大胞子 母 細 胞 )に発 達し (図一
1,
B),
5月 上 旬に減 数 分 裂 を行っ て 四 分 子 (4大 胞 子 ) が 形成 さ れ た (図…
1,
C)。
四分 子は 1列に配 列 し てい るが,
こ の う ち珠 孔 側 の 3個は退 化 し,
合 点 側の 1個が胚 嚢 細 胞に発達し た (図一1 ,D
)。
胚 嚢 核 は5
月 中,
下 旬に 3回核 分裂 を繰り 返し て 8個 の遊 離 核を生じ,5
月 下 旬に胚 嚢 が完 成し た。 ミ クロ トー
ム に よ る切 片の観 察か ら合 成し て胚 嚢形成の過 程を 図一
2に示 し た。
胚 嚢 細 胞は珠 孔と合 点の方 向に伸長 し て 大き く な り,
第 1次 胚 嚢 核は胚 嚢の中央部で分 裂 して2
個の核が 形 成さ れ た (図一
2.
A)。
2個の核は それぞ れ珠 孔 側と合 点 側に移 動し,
そこで分 裂し て 4個の核が 形成さ れ た (図一2 ,B
)。 さ らに も う1
回分 裂して8
個の核になっ た (図一
2,
C)、
珠 孔 側 と合 点 側の 4個 の核の そ れ ぞ れ 1個が胚 嚢の中 央に移 動し て 2個の極 核 になっ た。 珠 孔 側の3
個の核は卵 装 置で,
ユ個の卵 細 胞 と2
個の助 細 胞か ら成っ ている。
合点 側の3
個の核は反 足細 胞で ある が,
2核と1核に分 離 して い た (図一
2,
D
)。 キ リの胚 嚢の形 成 様 式は 1胞子8
核 型で,
普 通 型 で あっ た。 2,
受 粉 キ リの花は 1個の雌 ずい と4個の雄 ずいか ら成っ てい る。 こ の うち,
2個の雄 ずい は花 糸が長く,
葯が 雌ずい の柱 頭に接して い る。
雌 ずい の柱 頭は内側 (葯の方 向) に少 し 曲 がっ て お り,
先 端に穴 (柱 頭口)があり,
内部 A 2核 期。 図一2
胚 嚢 形成の模 式 図 B 4核 期。C
:8核 期。 D :完 成し た胚 嚢。
一 98 一
N工 工一
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表
一
1 1花 序の花 粉生 産 量 調査木 ’驍 蠡
り贈
櫞
驪
鸚
〜
1驍
綉
鵜
り 埖 ・花 粉 嫐 ・花 序・餬 黴 NolNo 2Na3
645163 444 258205251 9,
9618,
1248,
02539 ,
844
32,
496 32,
100 2,
569 ,
938
1,
665,
4202,
01
4,
275 平 均 59 4238
8.
703
34 ,
813
2,
083 ,
211
は直径0.
65mmの空 洞 (花 粉 室 )になっ てい る (図一
3)。
満 開期には柱 頭口 か ら受 粉 液が分 泌し,
受粉し た花 粉は こ の穴か ら内部へ 吸収さ れ て花粉室で 発芽す る。
そ して,
花 粉 管は花 柱の中の誘 導組 織 を通っ て胚 珠に達し た。
キ リは柱 頭と葯が接し て お り,
自家 受粉する の で は ない か と思わ れる。 開花 後 期に柱 頭を採 取して花粉室内の受粉 数を調べ た。
ユ柱 頭 当 た りの自然 受粉 数は115〜3,
450個,
平 均1,
500〜1,98
個 で あっ た。
1雄 ずい 当た りの花 粉 粒 数 は 平均8,
700個,
1っ の花の花 粉 粒 数は平 均35,
00 個 であっ た (表一
1)。 3.
受 精 受 精 は6
月1
口頃 観 察 さ れた。
卵 細胞と雄 性 核の受 精は確認 で き なかっ たが , 2個の極 核と雄 徃 核の接 合が 確 認で きた (図一
4)。 卵 細 胞と雄 性 核の受 精によっ て 胚が,
極 核と雄 性 核の受 精に よっ て胚 乳が発生し た。
6 月 中旬には前胚 と胚 乳の分化が認め られた。
4.
種子の発 育 受精 後 種子 は急速に成 長し て成熟し た。 種子 の大き さ ば 7月.
ヒ旬に最 大になD
,
以 後ほ と ん ど変 化し な かっ た (図一
5)。
重 量成 長につ い て み る と (図一6
),
生 重 量 は6
月 中 旬か ら7
月 下 旬 まで急 速に増 加し,
8月中旬に 最 大に達し,
以後 徐々 に減 少し た。
乾重 量は 8月 下 旬ま で徐々 に増 加し,
以 後ほ と ん ど変化し な かっ た。 種子の 含水率は 6月上旬か ら10月 上 旬 まで徐々 に減 少し た。
以 上の結 果 か ら,
種 子 は受 精 後 約 1カ月の間に胚 と胚 乳が 図一3
柱頭 の構 造 STM :柱頭口。
PC :花粉室。
(1月中 旬 〉 図一
4 卵 細 胞お よび極 核の受 精A
:受精 後の前 胚の発 生 (6
月/0
日)。
4PEMB,
前胚 ;EMBF,
胚柄 細胞。
B
:極 核の受 精。
PON,
極 核 ;SPE
,
雄 性 核 ;ANT
,
反 足 緇 胞。
99
N工 工一
Eleotronlo LlbraryThe Society of Applied Forest Science
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(皿m) 姐 幻 種 子 の 大 き さ 10 G5 π9 626 /IB 7/11 8111 9
・
,
15 (月 日 , 図一
5 種子の大きさの季 節 変 化 (9,
%) 10080 ω 40 生 重 量 乾 童 量 含 水 串 06 /106 ρ67M6813 〔} 10141UIO (月日) 図一6
種子の生重 量,
乾 重 量お よび含 水 率の季節 変化 発 達して完成 するようであっ た。5.
考 察 広 葉 樹に おけ る雌 性 配 偶 体の発生,
受精など の研 究は,
ポ プラ属2・
41,
コ ナ ラ属Ll,
カエ デ属3 },
ミズ キ属6 }など で な さ れてい る。 いずれの樹 種 も胚 嚢は8核 性の普 通 型で あ る が.
Qtterctts
gambeliii ),
Acer
saccha }’
inum3
),
Po・
PulltS
・
sieboldii4]などでは 2個の極 核が受 精の前にゆ 合 して大き な融 合核を作っ てい る。
キ リで は開花 期に胚 嚢 が完 成し,2 〜 3
週聞後に受 精が行わ れ た が,PoPulus
tremuloidasで は受 粉か ら3〜 5
日後に受 精してい る2 ),
QtterCZtS
gαmbelii で は 7月上 旬,
開花か ら5週 間 後に受 精が見ら れ た1} 。 種 子の熟 期に よっ て受 精 時 期が異なる よ う で あ る。
倉田5 }に よ る と,
キ リの さ く 果の中には種子 が2,
SOO
〜
7,
600粒ある とい う。
本研究に よ る と 1柱頭 当た り自 然 受粉 数はll5〜
3,
450個であっ た。
胚 珠 数に比べて受粉 数が少な く,
未受精の胚 珠も か な りあ る の で は ない か と 思わ れ る。
花 粉は や や粘 着性で虫媒 花と思 わ れる が,
自 家 受粉か他家受 粉か不明な点が多く,
今後さらに研 究を 進め たい。
A「 ま と め 1.
胚 嚢 母 細 胞は 5月上旬に減 数 分 裂 を行い,
合 点 側 の1
個 が 胚 嚢 細 胞に発達 し たQ 2.
胚 嚢 核は 5月 中,
下 旬に連 続3回分 裂して8
核に な り,
卵 装 置,
極 核お よび反 足 細 胞が形 成さ れ た。
3.
受 粉は柱 頭口 で行わ れ,
花 粉 室で発 芽し た。 自然 受 粉にお け る /柱 頭 当た り受 粉 数は平 均1,
500〜1,
980
個 であっ た。
4.
受精は6月10目頃で,
重複受精が行わ れた。
受精 後 直ち に胚と胚 乳が発 生 し,
受 精か ら約 1カ月で種 子が 完 成し た。
引用 文献1) Brown
,
R.
C,
,
and Mogensen,
H.
L:Late ovuleand early ernbryo develoPment in
Que
「c「fs gain一
δ8鷹 Amer
.
J
.
Bot.
59
:311〜316,
19722) Fechner,
G .
H.
: Development of the pistillate
flower
ofPopzaltas
・
tremuloidesfollowing
c〔〕ntrolledpollination
.
Can.
J
.
Bot.
50:2503〜2509,
19723) Haskell
,
D.
A.
,
and Postlethwait,
S.
N.
:Struc・
ture and histogenesis of the embryo of Acer sac
−
cJtan
’
num.
正.
Embryo
sac and proembryo.
Amer .
」
.
Bot.
58:595〜603,
19714) Kimura , C
,
:The embryo sac of Popugzcs sie ゐoldii
Miquel.
Sci.
Rep.
Tohoku
Univ.
,
4thSer.
(Bio
正ogy )21
:122〜
130,
19555) 倉田益二郎 :特用樹 種
.
126p,
朝 倉 書 店,
東 京,
/9496
)
Smith,
B.
B,
: Aquantitative analysis of themega
−
gametophyte of five species ofComus
L.
Amer