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     放射線で誘導される

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 獣 医 学 ) 高 橋 賢次 学 位 論 文 題 名

     放射線で誘導される

Fas 介在性アポトーシスシグナルの解析 学位論文内容の要旨

  アポ 卜ーシ スは 細胞 にプ 口グ ラム され た細胞死のメカニズムであり、不要にな っ た細 胞を排 除す るた めの 重要 な手 段で ある。放射線は悪性腫瘍の治療に用いら れ てい る反面 大量 に被 曝し た場 合そ の障 害は死を招く。この放射線の相反する作 用 につ いて、 アポ トー シス 細胞 内情 報伝 達経路を理解することは細胞死の誘導と そ の防 護に関 する 情報 を与 えて くれ る。 しかし、現段階ではアポトーシス誘導の メ カニ ズムに 関す る情 報は 依然 とし て乏 しい。本研究では、その基礎的知見を得 る た め ヒ ト 自 血 病 由 来株 化細 胞MOLT‑4を用 いて 、放 射線 誘発 アポ トー シスの 細 胞 内情 報伝達 経路 の解 析を 行っ た。 本研 究では、放射線によって誘導されるアポ ト ーシ ス情報 伝達 経路 に新 規の タン パク 質合成がどのように関わっているかを明 ら かに し、放 射線 によ って 産生 され たそ の新規アポトーシス誘導因子の同定を試 み た 。 そ の 目 的 の た め、 スト レス 応答 性リ ン酸 化酵 素で あるSAPK/JNKとカス パ ー ゼフ ァミリ ーを 中心 に、 それ らに 対す るタンパク質合成阻害剤であるシク口ヘ キ シミ ドの影 響を 調べ た。 解析 方法 とし て、形態学的な観察、ウェスタンブロッ ト 法 、 ゲ ル シ フ ト 法 、 フ ロ ー サ イ 卜 メ ト リ ー 法 等 を 用 い た 。   7.5 GyのX線照射によるMOL'I、‐4細胞のアポトーシス誘導は、0.5 pt.g/mlのシク 口 ヘキ シミド 処理 で抑 制さ れた 。こ のと き同時に、シク口ヘキシミドによるカス パーゼ−3とカスバーゼ―8活性化の抑制が観察された。一方、ス卜レス応答性のり ン 酸 化 酵 素 で あ るSAPK/JNKの 活 性 化 がX線 照 射30分 後 で 見 ら れ た が 、 シ ク 口 ヘ キシ ミドで は抑 制さ れな かっ た。 しか し、その下流であるc―Junの発現および 転 写因 子AP―1の 活性 化は シク 口ヘ キシミ ドによって抑制された。このAP−1によ る 転写 産物と して カス バー ゼ上 流のFasリ セプ ター に着 目し たと ころ 、X線照射2 時 間後 から急 速に 発現 が増 加し 、更 にシ ク口ヘキシミドによるこの発現の完全な 抑 制が 観察さ れた 。ア ポト ーシ スに おけ るこ のFasの関 与を 更に 明ら かにするた め 、Fasの中 和抗 体で 処理 した がア ポトー シス 誘導 は抑 制さ れな かっ た。一方、

(2)

免 疫 沈 降 法 で 調 べ た と こ ろFasとFADDの 会 合 が 検 出 さ れ 、Fasが 実 際 に 活 性 化 され てい ること が確 認さ れた 。し かも 、こ の会合はシク口ヘキシミドで抑制され た。 また カスパ ーゼ 一9の活 性化 に関 わるミ トコンドリアからのチトク口ムc脱離 もX線照射で誘発され、夕ンバク質合成に依存的であった。

  以 上の 結果に より、MOLI、‐4細胞における放射線誘発アポ卜ーシスは、新規に 合成されたタンバク質によって実行される経路であることが示された。すなわち、

ア ポ トー シ ス 誘 導 に 重 要な カス バー ゼ活 性化 の経 路と して 、SAPK/JNKの 活性化 に よ りFas発 現 が 誘 導 さ れ 、 こ の 発現 増 加 が り ガ ン ド に非 依存 的なFADDとの会 合を 誘起 し、カ スパーゼ−8とカスバーゼぅを活性化し、アポトーシスを誘導して いる こと が明ら かに され た。 一方 、ミ 卜コ ンド リア から のチ トク 口ムc脱離によ るカスパーゼ−9とカスパーゼ−3の活性化経路もカスパーゼー8とは別にタンパク質 合成 依存 性シグ ナル とし て存 在し てい るこ とも明らかにされた。本研究は、放射 線誘 発ア ポトー シス にお ける 新た な情 報伝 達経路の存在を明らかにした。すなわ ち、 現在 まで放 射線 や酸 化ス 卜レ スに よっ て活性化すると考えられてきたミトコ ンド リア を中心 とし たア ポ卜 ーシ スシ グナ ルに 加え 、Fas過剰 発現 によ るカスパ ーゼ ―8依 存性 のアポトーシスの存在を示した。本研究で得られた知見は、細胞死 メ カ ニ ズ ム を 論 ず る 上 で 、 貴 重 な 情 報 を 与 え た も の と 結 論 さ れ る 。

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学位論文審査の要旨

     学 位 論文 題 名 放射線で誘導される

Fas 介在性アポトーシスシグナルの解析

  アポトーシスは放射線によって誘導されることが知られている。その一方で、多く の研究から放射線はストレス応答性リン酸化酵素SAPK/JNKを活性化することが明ら かにされている。このSAPK/JNKはその下流の転写因子AP‑l(c‑Jun/c‑Junホモダイマー)

を活性化し、新たにタンパク質合成を誘導する。しかしながら、その蛋白質合成がア ポトーシス誘導に与える影響についてはほとんど明らかにされてはぃない。そこで、

上 記博士論文 提出者はヒ ト自血病由 来株化細胞MOLT‑4を用い、シク口ヘキシミド (CHX)によりタンパク質合成を抑制し、それが放射線誘発アポトーシスならびにアポ トーシスシグナル伝達経路に与える影響について調べ、その情報をもとにアポトーシ スシグナル伝達経路の解明を試みた。

  MOLT‑4細胞を7.5 GyX線照射したところアポトーシスが観察され、そのアポトーシ スは0.5Ug/mlCHXにより有意に抑制された。このことから、放射線によるアポトーシ ス 誘導に蛋白質合成が要求されることが判明した。このCHXの効果をSAPK/JNK活性 化について調べたところ、活性化に対し何ら影響は見られなかった。しかしながら、

SAPK/JNKによルアップレギュレートされるc‑Junの発現とそのホモダイマーAP・1の活 性化は抑制されていた。AP‑1の転写産物はそのコンポーネントc‑Junそれ自身である ことから、CHXはその発現を抑制していることが明らかとなった。AP‑1の転写産物は 他にFasがあることから、それについても調べたところ、X線照射後急速に発現する FasがCHXにより完全に抑制されていることが判明した。っまり、CHXによるc‑Junの 自己複製の阻害はAP‑1の量的な増加を抑制し、その結果Fasの発現抑制に繋がったも のと解釈された。Fasはアポトーシス誘導因子であるので、その下流のアポトーシス 実行酵素カスパーゼ.3とカスパーゼ.8の活性化についても調べた。その結果、CHXは 当然のことながらそれらの活性化も抑制した。Fasの活性化についてはFas/FADD会合 体の検出することにより確認された。この会合体形成もCHXで抑制された。CHXによ

典 男

昭 修

幹 茂

原 藤

原 波

桑 伊

葉 稲

授 授

授 授

   

   

教 教

教 助

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

りFasの 発現 が抑 制さ れたため、会合体形成が不可能になったものと思われた。

  以上の研究により、MOLT‑4細胞における放射線誘発アポトーシスは新規に合成さ れた蛋白質によって実行される経路であることが示された。すなわち、SAPK/JNKの 活性化によりFas発現が誘導され、この発現増加がFADDとの会合を誘起し、カスパー ゼ 8とカスパーゼ・3を活性化し、アポトーシスを誘導していることが明らかにされ た。本研究は、放射線誘発アポトーシスに新たなシグナル伝達経路の存在を明らかに したことになり、したがって、審査員一同は上記博士論文提出者高橋賢次の博士論文 が北海道大学大学院獣医学研究科規程第6条の規定による本研究科の行う博士論文審 査に合格と認めた。

参照

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