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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 福 島    拓

      Chronological improvements in overall and        progression‑free survival in patients with metastatic      colorectal cancer following first‑line treatment with FOLFOX plus bevacizumab compared with FOLFOX alone

     (未治療転移性大腸癌に対する FOLFOX 十 bevaclzumab 療法の 年代順的生存期間改善に関する研究―FOLFOX 単独療法との比較一)

学位論文内容の要旨

【背 景と目的 】bevacizumabは血管内皮成長因子に対するモノクローナル抗体であり、進行・再 発大腸癌に対して、標準的な化学療法剤との併用で全生存期間および無増悪生存期間の延長を示 し、2004年に米国食品医薬品局は未治療進行・再発大腸癌に対する承認を行った。しかしながら、

日本 において は2007年4月に承 認はさ れたもの の、承認 に際し ての国内 臨床試験は、第I/lI相 試験での少数例の短期安全性確認のみで、日常臨床レベルでの日本人に対する十分な安全性・有 効性 は明確で はない 。また、 海外で行 われたFOLFOX/XELOX療法とbevacizumabを併用した第m相 試験(N016966)試 験では、bevacizumabの 上乗せに よる効果が低く、期待されていたほどの治療 効果 の向上は 見られ なかった 。さらに 、同試 験のサブグループ解析では、FOLFOX療法に対する bevacizumabの上乗 せに関し てplacebo群との比 較において、有意差がなかったことが報告され てい る。今回FOLFOX療法に対するFOLFOX十bevacizumab療法の有効性と安全性を日常臨床レベル で確 認するこ とと、FOFLOX導入以降の長期生存成績を確認することを目的として、bevacizumab 導入以前および以後における経時的な比較検討を行った。

【 対 象と 方法 】2007年6月から2008年9月 までに 、国立が ん研究 センター 東病院 において 、組 織学 的に腺癌 が確認 された未 治療進行 ・再発 大腸癌に対して、FOLFOX+bevacizumab療法を行っ た症例を選択した。historical controlとして、同様の対象にFOLFOX療法を行った症例を選択した。

後方視的に、患者背景、生存調査を行い、奏効率、全生存期間、無増悪生存期間を算出した。ま た、診療録をもとに有害事象を調査した。両群の有効性解析に関しては、背景因子(年齢・性別・

腫瘍占拠部位・転移臓器個数など)で調整を行しゝ、調整Kaplan‑Meier曲線及びweighted Cox比例 ハザード回帰モデルで解析した。

【 結 果 】FOLFOX十BV群54例 、FOLFOX群61例を 選 択 した 。 生 存例 に お ける 観 察 期間 中 央 値 は そ れぞ れ 、FOLFOX+BV群 で23.8ケ 月( 範 囲 :6.2―38.6ケ月 ) 、FOLFOX群で2511ケ月( 範 囲:11.8―42.7ケ月)であった。奏効率は両群ともに同様であった(57%レ54%;adjusted odds ratio,

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0.94; 95%CI,0.45 t0 1.96;p.86)。無 増悪生存期間では、FOLFOX十BV群で有意な延長を認め た(調整ハザード比0.47,95%CI,0.32 t0 0.70; P=.0003)。無増悪生存期間中央値は、FOLFOX 十BV群13.4ケ 月 、FOLFOX群7.9ケ 月 で あ っ た 。 生 存 期 間 中 央 値 はFOLFOX+BV群 で31.0 ケ月 、FOLFOX群で18.5ケ月と統計学的な有意差を認めた(adjusted HR,0.51,95%CI,0.32 to 0.80; P=.003)。 両群 と も に重 篤 な 有害 事 象 は少 な く 、 治療 関 連 死亡 も み られ な かっ た。

【考 察】FOLFOX+bevacizumab療法は 過去のFOLFOX療 法との 比較にお いて、 無増悪生 存期間 、 全 生存 期 間 で 有意 に 上 回っ た 。 しか し 、 日本 の 承 認申 請資 料に使 用された 海外臨 床試験の N016966試験にお ける無 増悪生存 期間中 央値9.4ケ月、生存期間中央値21.3ケ月とは乖離する結 果であった。無増悪生存期間に関しては、oxaliplatinに対する投与法の工夫により、bevacizumab の投 与期間を 延長させ 、少な くとも腫 瘍増悪までは継続することが必要と考えられた。実際、

N016966試 験 の 後に 行 わ れたoxaliplatinを 含 む 第m相 試 験(PACCE試験 、MACRO試 験)で は、

いずれも無増悪生存期間中央値で10ケ月超、生存期間中央値でも24ケ月前後を示していた。また、

実際にoxaliplatinによる毒性の場合はoxaliplatinのみを休薬して、腫瘍増悪までbevacizumabを 継続 するよ うにプロ トコー ルで規定 した、FOLFOX4十bevacizumab併用 療法の 安全性確 認試験 や、XELOX十bevacizumabの第II相試験 においても無増悪生存期間中央値は11.0ケ月と報告され ている。全生存期間の延長に関して、2次治療以降の治療内容について検討を行った結果、抗EGFR 抗体 薬の使用 率の上昇 と、経 ロ5‑FU剤の 使用率の低下が見られた。抗EGFR抗体薬の使用率の違 い は、 承 認 の 時期 の 差 であ っ た と思 わ れ たが 、 経 ロ5‑FU剤に ついては 、両群 とも大部 分が oxaliplatinとirinotecanの投与後であり、S‐l単剤療法が、ほとんど有効性を示さなかったとする レ ト ロ ス ベ ク テ イ ブ な 検 討 が 報 告 さ れ た こ と も ー つ の 要 因 と 思 わ れ る 。   毒性 に関して は、FOLFOX+BV群で末 梢神経 障害が多 い傾向 にあったが、治療期間が延長した ことによるoxaliplatin累積投与量の増加と、oxaliplatinの投与の工夫の一環として、治療担当医 が無理にoxaliplatinを継続せずに、あえて毒性を過大評価していた可能性があった。NCI‑CTCを 指標とした毒性評価は、あくまで臨床医側の主観的評価であるため、この点に関しては、後方視 的な観察研究の限界であり、毒性評価に関してどのような評価を行うのが適切か、今後の課題と 思われる。

  【結 論】未治 療進行・再発大腸癌に対するFOLFOX+BV療法は、実地臨床レベルで安全に施行可 能で あり、過 去のFOLFOX単 剤療法と 比較し、無増悪生存期間、全生存期間ともに有意な延長を 示し、生存期間中央値が30ケ月を超えてきたことが示された。これにより、薬剤承認状況と同様 に、治療成績の面でも海外との時差がなくなったことが示唆された。今後は、早期臨床開発相で の 国 際 的 な 舞 台 へ の 参 画 と、 ど れ だけ 後 期 臨床 研 究 の 幅を 広 げ られ る か が課 題 で ある 。

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学位論文審査の要旨 主査    教授    秋田弘俊 副査    教授    浅香正博 副査    教授    佐藤典宏 副査   准教授   篠原信雄 副査   教授   清野研一郎

     学位 論文 題名

       Chronological improvements in overall and        progression‑free survival in patients with metastatic      colorectal cancer following first‑line treatment with FOLFOX plus bevacizumab compared with FOLFOX alone

     (未治療転移性大腸癌に対する FOLFOX 十 bevaclzumab 療法の 年代順的生存期間改善に関する研究一FOLFOX 単独療法との比較―)

  切除不能大腸癌に対する新規抗がん剤の承認において、本邦では海外に遅れをとっていたが、

2005年のoxaliplatlin承認以降、年次的に薬事承認が統いた。しかし、bevacizumabの承認にあた っては、国内治験は安全陸確認試験のみで、特に、本邦における有効性に関して十分な検証は行 われて いない。 また、 海外臨床 試験に おいて、FOLFOX療法に 対するbevacizumabの上乗せ効果 は 小さ い と の指 摘 が あり 、 日 常臨 床 レ ベル でFOLFOX導入以 降の進 行・再発 大腸癌に 対する FOLFOX療 法 の 治療 成 績 を、bevacizumab導入 以前およ び以後で 経時的 な比較検 討を行 った。

  未治療進行・再発大腸癌に対するFOLFO)(+BV療法は、実地臨床レベルで安全に施行可能であ り、過 去のFOLFOX単 剤療法と の比較 で、PFS、OSとも に有意な 延長を 示し、MSTが30ケ 月を超 えてきていることが示唆された。

  審査会 においては、まず、副査清野研―郎教授より、血管新生阻害に関するbevacizumabの効 果の基礎的成果に関する質問があった。申請者はこれに対し、基礎研究におけるVEGFの低下は推 察されるものの、微小環境における測定に関しては明確な指標がない旨回答した。次に、副査篠 原信雄准教授より、同時性転移と異時性転移で予後に違いがあるかどうかを検討項目に追加すべ きではとの指摘を受けた。申請者は、これまで切除不能な大腸癌に対する化学療法の検討におい て、この両者は同一のものとして扱われており、本検討でも同様の検討をおこなっているが、大 腸癌においては、腫瘍量と予後の相関にかんする報告があり、さらに検討を追加する旨回答した。

ただし、本検討においては、腫瘍部位、同時性・異時J陸癌を含めた背景調節を統計学的に行った     ー414―

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解析を行っており、大きな相違はなかった旨を回答した。次いで、副査佐藤典宏准教授より、事 前の症例数設定に関しての質問があった。申請者は、具体的な数字仮説をたてての、症例設定は 行っていない旨回答した。続いて、結果として大きな有意差は得られているが、もし有意差がな かった場合はどのように解釈するっもりであったかとの質問があった。これについては、有効性 に差がなかったものか、症例数が少なかったものかの判断は困難であり、結論は導けない旨回答 した 。副査浅香正博教授より、この検討により、bevacizumabの効果において日本と欧米に差が なくなったと解釈してよいかとの質問があり、申請者はそう思われると回答した。最後に主査秋 I田弘俊教授から、肺がん領域においても、この検討と同様にgefitinib承認以降の年次的検討にお いて、大きな生存改善が報告されており、了解可能な結果であるが、人種差による治療効果の差 はあるかにっいての質問があった。申請者は、数字の上では同様と思われるが、社会的な医療シ ステムでの違いはある可能性があると回答した。

  本研 究は未治療進行・再発大腸癌に対するFOLIめX十BV療法は安全に施行可能であり、過去の FOLF()X療法との比較においてPFS、OSともに有意な延長を示し、本邦の日常診療レベルでの生 存成績が欧米に迫いついてきたことが示唆された。

審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑚や取得単位なども併せ申請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た 。

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参照

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