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博 士 ( 理 学 ) 前 川 泰 則 学 位 論 文 題 名 Mathematical approach to several problems related to ● ● viscous incompressible flows

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 前 川 泰 則      学 位 論 文 題 名

Mathematical approach to several problems related to      ●    ●

    viscous incompressible flows

(非圧縮性粘性流体とその周辺の解析的研究)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  水 な ど の 非 圧 縮 性 粘 性 流 体 の 運 動 を記 述す るNavier‑Stokes方 程式 は、 流体 力 学に おけ る基 礎方 程式 と して これ まで 非常 に 多く の研 究が な され てい る。Navier‑Stokes方 程 式 は 流 体の 速度 場と 圧 力場 を未 知関 数 とす る非 線形 連立 偏 微分 方程 式系 とし て 与え ら れ る 。 しか しな がら 、 その 非線 形性 や 速度 場ベ クト ルの 各 成分 にお ける 相互 作 用の 複 雑 さ か ら、 その 解析 に は今 なお 困難 が あり 、未 解決 な問 題 が多 く残 され てい る 。一 方 、 流 体 のダ イナ ミク ス にお いて その 渦 度場 が重 要な 役割 を 果た すこ とが 知ら れ てい る 。 渦 度 場の 方程 式で あ る渦 度方 程式 はNavierーStokes方 程 式にcurl作用 素を 作 用さ せ る こ と で得 られ 、Navier―Stokes方 程 式と 形式 的に 同値 で ある 。当 論文 では こ れら Navier‑Stokes方 程 式 と 渦 度 方 程 式を 中 心と した 、非 圧縮 性 粘性 流体 に関 連す る 偏微 分 方 程 式 に っ い て 数 学 的 研 究 を 行 っ た 。 当 論 文 は 次 の4部 か ら 構 成 さ れ る 。

第1章.

第2章.

第3章.

第4章.

Burgers渦 の 存 在 ・ 安 定 性 の 研 究 ・ 輸 送 項 付 き 拡散 方程 式の 基 本解 の研 究

一 様 局 所p乗 可 積 分 空 間に おけ るNavierーStokes方 程式 の 初期 値問 題 流 体 中 の 相 転 移 に 関 す る 自 由 境 界 問 題

    Burgers渦 は 歪 み 流 の 影 響 を 受 け た 流 体 の 渦 度 場 の あ る 定 常 状 態 を 与 え る 。 こ れ ま でBurgers渦 の 研 究 は 数 値 計 算 に よ る も のが 先行 し てお り、 そこ で は乱 流中 の渦 度 場 の 集 中 し た 領 域 に 現 れ る 渦 管 構 造 がBurgers渦で よ く近 似さ れる と いう 興味 深い 報 告 が な さ れ て い る 。 し か し 数 学 的 に はBurgers渦の 性 質は まだ よく 解 明さ れて いな い 。 こ う し た 動 機 か ら 、 第1章 で はBurgers渦 の 存 在 と 安 定 性 に つ い て 研究 した 。歪 み 流 が 軸 対 称 な と き に は 、Burgers渦 は2次 元Gauss核 の 定 数 倍 に よ っ て 具 体 的 に 表 さ れ 、 こ れ は 発 見 者 のBurgers (1948)に ち な ん で 軸 対 称Burgers渦 と 呼 ぱ れ る 。 ま た 、 こ の 定 数 は 渦Reynolds数 と 呼 ば れ る 渦 度 場 の 強 さ を 表 す 物 理 量 を 表す 。歪 み流 が 非 軸 対 称 の 時 に は 、そ のよ うな 具 体的 表示 はも はや 期 待で きな ぃ。 そ のた め、 そも そ も 非 軸 対 称Burgers渦 が 厳 密 に 存 在 す る の か否 かが 重 要な 問題 とな る 。近 年Gallay and Wayne (2006)に よ っ て 、 歪 み 場 の 非 軸 対 称 性 が 十 分 小 さ ぃ と き に は、 任意 の渦 Reynolds数 に 対 す る 非 軸 対 称Burgers渦 の 存 在が 証明 さ れた 。一 方で 、Robinson and Saffman (1984),Kida and Ohkitani (1992),Prochazka and Pu班n(1998)などの数 値 計 算 で は 、 渦Reynolds数 が 大 き く な る に っ れ て 非 軸 対 称Burgers渦 の 形 状 が よ り 軸 対 称 に 近 づ き 、 ま た 強い 漸近 安定 性 をも っと いう こと が 示唆 され てい る 。こ れま でこ の よ う な 渦Reynolds数 とBurgers渦 の 関 係 は 数学 的に は よく わか って い なか った 。当 研 究 で は 、 ま ずBurgers渦 の 方 程 式 に 対 す る 適当 な線 形 化作 用素 を解 析 し、 数値 計算 と 極 め て よ く 合 致 す る数 学的 結果 を 得た 。特 に線 形化 作 用素 のス ペク ト ルを 調べ 、渦 Reynolds数 と 線 形 化 方程 式に おけ る 安定 性と の関 係を 明 らか にし た。 さ らに この 線形 化 作用 素の 研究 をも と に、 歪み 場の 非 軸対 称性 が小 さく な い場 合で も、 渦R£ynoldS数 が 十分 大き い場 合に は 非軸 対称Burgers渦が 存在 す ること を証明し、Mo丑・attっKida,

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and Ohkitani (1994)にお ける高 い渦Reynolds数でのBurgers渦の形式的な漸近展開 を 数学的に 正当化 した。こ れは前 述のGallay and Wayneによる存在定理を拡張する と ともに、 渦Reynolds数とBurgers渦 の対称性 の関係 を数学的 に明らかにするもの である。

    2次元渦 度方程 式はスカ ラー値 の未知関 数に対 する方程 式となり、これまで多 く の研究が なされ てきた。 特に、Giga,Miyakawa,andosada(1988)やGallりand Wayne(2005)では、線形化方程式である輸送項付き熟方程式が重要な役割を果たし て きた。そ こで第2章では輸送項付き拡散方程式の基本解について考察する。ある種 のスケール変換に対して不変な関数空間における流体の方程式への応用を考えると、

こ の輸送項 には時刻0での特異性を許す必要がある。しかしながら、この特異性のも とでは輸送項が時刻0付近で方程式の主要部に対して小さいとみなすことができなぃ。

そのため、輸送項が特別な構造を持つ場合にはOsada(1988)によって基本解の存在や 一意性が得られていたものの、果たしてそのような特殊な構造が本当に必要なのか一 般 に は わか っ て いな か っ た。 一 方 で、CarlenandLoss(1997)やMatsmandlbkuno

(1997)により、基本解が存在したとすれぱそれはGauss型の上からの各点評価を持つ ことが輸送項に特別な構造を仮定することナょく示された。当研究では、基本解に対す る 下からのGauss型各点評価を新たに導いた。これにより、基本解に対して上下から のGa班s型 各点評価が輸送項に特別な構造を仮定することなく得られたことになる。

この各点評価をもとにNash(1958)の議論から基本解のへルダー連続性に関する先験 的評価を導き、基本解の存在と一意性を明らかにした。

  近 年、GigaっInm,andMatusi(1999) やKochandTataru(2001)などによる空間 遠方で減衰しない関数を含む関数空間でのNavier−Stokes方程式の研究が活発になさ れ ている。 第3章では、寺澤祐高氏との共同研究により、空間遠方で減衰しない工oo 関 数や局所 的に特 異性を持 ち得る ぴ関数を 含む、一 様局所p乗可 積分空間において 全空間でのNavier―Stokes方程式の初期値問題の可解性を考察した。ここでは、まず ヘルムホルツ射影作用素により形式的に圧力項を消去し、熱半群を用いて対応する積 分方程式に直した。積分方程式の非線形項にへルムホルツ射影作用素が現れるが、考 えている空間でこの作用素は有界ではなぃので、非線形項の意味づけそのものが問題 となる。ここでは、熱半群、ヘルムホルツ射影作用素がともに合成作用素であること に着目し、非線形項に現れる微分と合わせてーつの合成作用素と捉えることにより非 線 形項を意 味づけ、必要となる評価を得た。当研究により、一様局所p乗可積分空間 における積分方程式の時間局所的な一意的可解性が証明された。さらに、解の初期値 への収束を考察し、また、Navier−Stokes方程式のもとで概周期性が保存されることを 工oo空間において証明したGiga,Maha10v,andNikolaenco(2006)による結果を、一 様局所p乗可積分空間の場合に拡張した。

    最 後に、 第4章では非圧縮性粘性流体による輸送の影響下における相転移を表す モ デルの解 析を行 った。こ れは、 輸送項付き平均曲率流方程式とStokes方程式が連 立した自由境界問題として定式化される。このようなモデルは近年B1esgen(1999)や LiuandShen(2003)など数値計算の立場からよく研究されているものの、数学的には まだあまり取り組まれていない。特に、これまでの研究では形式的を議論が主だった ため、解の一意性や自由境界の滑らかさなどについて厳密な考察がなされていなかっ た。当研究では、Stokes方程式を積分方程式に直し、自由境界条件を1りerpotential として方程式に組み込むことで、一意的な時間局所的解を構成した。さらに、平均曲 率流方程式による平滑化作用により、少なくとも解の存在する時間では自由境界が滑 らかであることを示した。

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学 位 論 文 審 査 の要 旨 主査   准教授    利根川吉廣 副 査    教 授    小 澤    徹

副 査    教 授    儀 我美 一 (東京 大学大 学院      数理 科 学 研 究科 )

副 査    教 授    神 保秀 一

     学位論文題名

IVIathematical approach to several problems related to      ●    ●

    vlSCOuSlnCOnlpreSSiblenOWS

(非圧縮性粘性流体とその周辺の解析的研究)

著 者 は 非 線 形 偏 微 分 方 程 式 に よ っ て 記 述 さ れ る 非 圧 縮 性 粘 性流 体 に 関 す る数 理 解 析 的 な研 究 を 行 っ て いる . そ れら は大Bljして (1)非圧 縮陸粘 出貫淋 によ る輸送 の影響 を考慮 した 自由境 界問題 、(2)Navier‑Stokes方程式の 定 常Burgers渦 とReynolds数 の 研究 、(3)輸 送項付 き熱 カ程式 の基本 解の研 究、な ど、 多岐に わたる もので ある .

1) は 、 流 体 の運 動 を 記 述 する 方 程 式 と その 流 体 に よ る輸 送 の 影響を 受けた 相転移 現象を 表す 方程式 が連立 した 非 線形 鯒 陂 分 方 程式 系とし て定 式化さ れる. この問 題に 対して 、これ までBlesgen(1999),LiuーShen (2003)な ど数 値 計算 に よ る 研 究は 活 発 に な され て き た ものの 、自由 境界付 近で の強い 非線形 陸によ る困難 から 数学的 に厳密 な研 究 はほ と ん ど な され て い な か った . 特 に 方程式 の適切 性や自 由境 界の滑 らかさ といっ た非常 に重 要な問 題がわ かっ て いな か っ た . 著者 は自由 境界 に沿っ た速度 場の滑 らか さを導 き、そ れをも とにし て特 殊な縮 ′J埠像を 構成す るこ と で、 方 程 式 の 時間 局 所 的 適 切陸 を 証 明 するこ とに成 功した ,同 時に自 由境界 が時間 局所的 には 滑らか である こと も 示 し て い る . こ の 分 野 の 基 礎 研 究 と し て 、 著 者 の こ れ ら の 結 果 は 重 要 な 位 置 を 占 め る も の で あ る .

2) はNavier‑ Stokes方程式 のある 定常 解を与 えるBurgers渦 につい ての瞬 究であ る.Burgers渦 は乱 流中に 見られ る 渦 管 構造 の モ デ ル と して 用 い ら れ 、物 理 的 に重 要な役 割を担 って いるこ とが知 られて いる, そこ では渦Reynolds 数 と 呼 ばれ る 渦 度 の 強 さを 表 す 物 理 量が 重 要 で あ るが 、 著 者 の 業績 は この渦Reynolds数 とBurgers渦の 関係に つい てのものである,これまでRobinson Sathnan (1984),Kida‑Ohkitani (1992),Prochazka Pullin(1998)などによる数値計算の 結 果 か ら、 渦Reynolds数が 大 き く な るほ どBurgers渦 の構 造 が よ ル シン プルに なり強 い安定 性を 持つこ とが示 唆さ れ て い た. し か し 、 な ぜこ の よ う な 相関 関 係 が あ るの か 数 学 的 には ま ったく わかっ てい なかっ た.著 者はBurgers 渦 の 非 線 形 偏 微 分 方 程 式 に 対 す る 線 形f匕 作 用 素 を詳 細 に 調 べ る こと で 丶 渦ReynodS数 とB… 渦に 関 す る 数 値 計 算 の 結 果に 対 す る 数 学 的な 証 明 を 与 えた , 考 察 さ れて い る 線 形 化作 用 素には 渦ReyIddS数が バラメ ータ として 現わ れ て お り、 線 形 化 作 用 素の ス ベ ク ト ルの パ ラ メー 夕依存 性など が明 らかに されて いる. この研 究は 独創的 である と と も に 偏 微 分作 用 素 の 研 究と し て 数 学 的に 非 常 に 興 味 深い . 著 者 の これ ら の 結 勲i今 後 、 当 該 分野 で 基 本 的 なも のとして認識されることは間違いないであろう.

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(3)では輸送項付き熱方程式の時間無限大における解の挙動に関して重要な結果を挙げている.(1―3)以外に も 局 所 一 様p乗 可 積 分 空 間 に お け る  Navier‑ Stokes方 程 式 に 関 す る 研 究 も な さ れ て い る .

  これらの研究は重要なものであり、よって著者は北海道大学博士(理学)の学位を授与される資洛があるものと 認める.

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参照

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