陰
陽
學
に
就
い
て
森
田
龍
倦
一 陰 陽 學 と は 何 で あ ち か と い はゝ、 本 來 宇 宙 間 に 周 遍 し て 萬 有 の 本 贋 と な れ る 陰 陽 の 二 氣、 及 び 五 行 の 氣 の う へ の 調 和 と 不 調 和、 順 應 と 反 抗 な る 相 生 相 剋 の 理 法 に 基 づ い て、 人 生 百 般 に わ た る 吉 凶 善 悪 の 運 命 を 豫 知 し、 人 を し て 凶 悪 の 危 地 を 避 け て 吉 善 の 安 處 に 趨 か し め む と す る も の で あ る。 し か ら ば こ の 學 術 の 内 容 い か ん と い は い、 け だ し こ の な か に は 各 人 本 具 の 血 色 容 貌 に よ つ て 吉 凶 を 論 す る 觀 相 學 や、 住 宅 及 び 地 勢 の 種 々 相 に つ い て 盛 衰 を 考 ふ る 家 相 風 水 學 や、 七 曜 二 十 八 宿 等 諸 星 の 蓮 行 を 察 し て 年 月 日 時 及 び 方 位 の 吉 凶 を 辮 す る 方 靈 學 や、 六 十 四 卦 の 占 箆 に よ つ て す べ て を 判 す る 易 學 な ど が 含 ま れ て ゐ る。 こ の な か 第 一 の 觀 相 學 と い ふ に つ い て は、 か の 伯 盆 が 獣 を 相 し、 霧 戚 が 牛 を 相 し、 穆 王 ・伯 樂 が 馬 を 相 し、 呂 度 ・ 雷 換 が 創 を 相 し ゐ 潅 南 王 劉 安 が 鵠 を 相 し、 東 方 朔 が 笏 を 相 す と い つ た や う な 諸 種 の 相 術 を 含 む も、 し か し 人 を 相 す る 術 は そ の 主 要 な も の で あ り、 こ の 術 に つ い て は 宋 の 陳 希 夷 秘 傳 乏 稱 す る 神 相 全 編 四 巻 の 如 き は 代 表 的 に し て 深 味 を も つ て ぬ る。 佛 陀 傳 に よ ら ば、 佛 陀 降 誕 の み ぎ り 陰 陽 學 に 就 い て 一陰 陽 學 に 就 い て 二 阿 私 陀 仙 こ れ を 相 し、 必 定 し て 大 覺 者 と な る べ き 運 命 を 豫 告 し た る よ り 觀 る も、 こ の 術 が つ と に 印 度 に 行 は れ た り し こ と が わ か る。 支 那 に お い て は 周 に 布 子 卿 な る も の が あ り、 漢 に 唐 擧 な る も の が あ り て こ れ に 精 通 し て ゐ た。 わ が 邦 に あ り て は 厩 戸 皇 子 が 崇 峻 天 皇 を 相 し、 鈴 鹿 老 翁 が 天 武 帝 を 相 し た と 古 來 傳 へ て ゐ る か ら、 ま た 夙 に 行 は れ た り し こ と が 知り 得 ら るゝ。 苛 子 三 の 非 相 篇 に は ﹁ 凡 人 之 長 短 小 大、 善 悪 形 相 非 二吉 凶 一也 ﹂ と い ひ、 尭 は 長 大、 舜 は 倭 短、 衛 靈 公 の 臣 公 孫 呂 は、 顔 面 長 さ 三 尺 廣 さ 三 寸、 周 公 の 状 貌 は 断 菖 の 如 く、 伊 は 髪 眉 な く、 し か し て こ れ み な 聖 徳 を そ な へ、 桀 討 は 堂 々 乎 と し て 妓 美 な る も 天 下 を 失 つ た と い ふ が 如 き 例 證 を あ げ こ の 術 を 否 定 し て ゐ る。 す べ て も の は 盛 行 す る と 裏 面 に 種 々 の 弊 が 件 ふ の で あ り、 筍 卿 が こ れ を 矯 正 す べ く こ の 篇 を 著 は し た 意 中 は よ く 察 せ ら る、 も、 た や し も と よ り 全 分 の 眞 理 で は な い。 そ は 痔 地 に は 砂 礫 不 毛 の 痔 相 を 有 し、 沃 地 に は 深 壌 潤 澤 の 沃 相 を 有 し、 澤 邊 に は 水 氣 漂 ひ、 火 邊 に は 姻 氣 緯 り、 天 の ま さ に 風 雨 な ら む と す る や ま つ 晦 陰 相 現 じ、 人 の ま さ に 永 眠 せ む と す る や ま つ 臨 終 相 現 じ、 相 は 性 を 離 れ す、 性 は 相 を 離 れ す、 こ れ そ の 法 華 経 二 に 如 是 相 ・ 如 是 性 と い ひ、 中 庸 に ﹁ 國 家 將 レ興 必 有 二禎 祥 一、 國 家 將 レ亡 必 有 二妖 華 二、 見 三 ﹂ 著 鎚 一動 二乎 四 體 ﹂ と い ふ こ と の 必 然 的 眞 理 な る か ら で あ る。 一 身 上 に ま さ に 近 く 起 ら む と す る 不 祥 事 の 前 相 に つ い て、 智 度 論 十 一 に 下 の 如 き 因 縁 を あ げ て ゐ る。 昔 し 南 天 竺 に 論 議 に 巧 み な る 提 含 と い へ る 婆 羅 門 が あ り、 あ る と き 對 手 を え む が た め に 論 鼓 を う つ て 巡 行 し た。 王 大 い に 喜 び
衆 人 を 集 め、 つ げ て い は く、 も し 力 あ ら む も の は 宜 し く か れ に 當 る べ し と。 こ の 中 に 功 名 心 つ よ き 摩 陀 羅 と い へ る も の が ゐ て、 か れ に 當 る べ く 決 心 せ し む の、 い さ、 か 自 信 な き た め に 前 途 を 危 ぶ み、 首 べ を う な た れ つ、 進 み ゆ け る に、 途 中 に し て 爾 牛 の 触 觸 に あ ひ、 心 に か の 牛 は か れ、 こ の 牛 は わ れ と 假 定 し、 そ の 勝 敗 に よ つ て 卜 す る に、 こ れ は 到 底 か れ の 敵 に 非 ざ る こ と を 知 り、 さ ら に 悲 觀 し な が ら 論 場 に 入 ら む と す る や、 水 瓶 を さ、 げ た る 一 婦 人 が 忽 ち 跣 つ い て 地 に 躇 れ た。 こ れ を 見 て ま す く
氣
を
わ
る
く
し、
ま
さ
し
く
時
來
つ
て
論
壇
に
登
る
や、
ま
た
緯
々
た
る
餘
裕
を
有
す
る
劃
手
の
風
貌
に
接
し、
寒
心
し
て
地
に
入
う
た
く
な
り、
二
三
語
往
復
す
る
や
も
ろ
く
も
負
處
に
堕
し
て
大
恥
辱
を
蒙
っ
た
と
い
ふ
の
で
ある
(大
正
藏
經、
以
下
單
に
大
と
い
ふ、
二
五
・
二
二
七
)、
こ
れ
ま
た
相
性
不
離
の
一
例
と
見
ら
れ
ぬ
わ
け
で
は
な
い。
佛
教
に
は
法
・
報
・應
の
三
身
佛
に
封
し
て
一
般
的
の
見
か
た
か
ら
は、
法
身
は
無
相
室
寂
佛、
報
應
の
二
身
は
色
相
具
足
佛
と
な
す
の
で
あ
り、
報
身
に
對
し
て
觀
佛
三
昧
經
(九
)
に
は
人
萬
四
千
の
相
好
を
有
す
と
説
き、
起
信
論
に
は
﹁
身
夢
蕪
量
色
噌、
色
有
一無
量
粗、
相
有
無
量
好、
所
住
依
果
亦
有
二無
量
種
々
荘
嚴
﹂
と
説
ぎ、
能
住
の
佛
身
も
所
住
の
洋
土
も、
と
も
に
無
量
の
微
妙
荘
嚴
相
を
具
す
と
い
ふ
の
で
あ
る。
そ
し
て
か、
る
荘
嚴
相
は
自
己
本
具
の
本
覺
至
善
の
内
薫
力
と、
三
劫
に
修
す
る
諸
善
萬
行
の
外
薫
力
と
の
二、
占力
よ
う
生
す
る
が
故
に
ふ
ま
た
同
論
に﹁
如
是
功
徳
皆
凶
巳諸
波
羅
蜜
等
無
漏
行
蕪、
一
及
不
思
議
重
之
所
昌成
就
噌﹂
と
い
つ
て
ゐ
る。
こ
の
報
身
ば
十
地
と
い
へ
る
高
位
の
菩
薩
を
化
す
る
佛
な
る
が、
も
し
地
前
の
菩
薩
二
乗
凡
夫
等
の
劣
機
を
化
す
る
に
は、
か
の
八
萬
四
千
相
又
は
無
量
相
を
お
陰
陽
學
に
就
い
て
三
陰 陽 學 に 就 い て 四
ほ
ふ
ひ
て
三
十
二
相
・
八
十
種
好
を
現
す
る。
こ
の
三
十
二
相
・
八
十
種
好
に
劃
し
て、
小
嚢
に
よ
ら
ば
佛
陀
は
因
位 に 三 劫 の 修 行 を 満 足 し を は つ て の ち、 さ ら に 百 劫 に こ れ を 戚 す る 修 行 を 要 す と い ふ も、 大 乗 歡 に よ ら ば こ は 三 劫 に お け る 修 因 の 所 戚 に し て、 三 劫 の う へ に 特 別 の 百 劫 な る も の を 認 め な い (智 度 論 四 )。 要 す る に、 三 劫 に お け る 無 執 著 な る 般 若 波 羅 蜜 相 應 の 布 施 行 の 所 威 な り と い ふ の で あ る (同 一 一、 二 九 )。 又 同 論 四 に 阿 難 の 端 正 圓 満 相 は 生 々 世 々 の 忍 辱 行 よ り 來 る と い へ る よ わ 考 ふ る に、 佛 陀 の 相 好 は 久 遠 時 に つ め る 忍 辱 行 と 布 施 行 と の 結 晶 で あ る。 い は ゆ る 三 十 二 相 と は、 し ば ら く 同 論 四 に よ ら ば、 ( 一 ) 足 下 安 李 立 相、 ( 二 ) 足 下 二 輪 相、 (三 )長 指 相、 乃 至 ( 三 一 ) 頂 髪 相、 (三 二 ) 白 毛 相 こ れ で あ り、 そし
て
お
の
く
百
幅
荘
嚴
相
を
湛
え
て、
人
間
天
上
に
比
類
な
き
妙
色
身
で
あ
る。
こ
の
故
に
同
論
一
に
﹁
佛
在
二衆
些
端 正 殊 妙 無 二能 及 者、 讐 如 下須 欄 山 王 處 中於 大 海 ﹂ と い ひ、 また ﹁ 佛 身 如 二金 山 二、 演 二出 大 光 明 一、 相 好 自 荘 巌、 猶 如 者 華 敷 ﹂ と い つ て ゐ る。 相 と 好 と の 不 同 は、 賢 首 が ﹁ 相 以 表 徳 令 入 敬 徳 以 念 佛、 好 爲 嚴 身 令 人 愛 樂 欲 親 近 ﹂ (起 信 論 義 記 下 本 ) と い へ る と ほ り、 次 で の 如 く 麓 な る 輪 廓 と 細 な る 荘 嚴 と で あ る。 山 海 の 美 僕 は 浮 美 器 に 盛 ら す ん ば 人 を し て 満 足 せ し め ざ る が 如 く、 微 妙 第 一 の 法 門 は 微 妙 第 一 の 具 相 者 に あ ら す ん ば 人 を し て 信 受 せ し む る こ と が で き な い。 こ れ そ の 佛 陀 が 内 に は 十 力. 四 無 擬 智. 十 入 不 共 法 な る 大 定 ・智 ・ 悲 の 萬 徳 を 圓 満 し、 外 に は 三 十 二 相 ・ 人 十 種 好 等 の 妙 色 身 を 具 足 す る ゆ ゑ ん に し て、 相 好 の 重 ん す べ き こ と か く の 如 く で あ る。 大 佛 頂 首 桝 嚴 經 の 五. 六 に は ひ ろ く 二 十 五 聖 の 圓 遙を
説
け
る
が、
こ
の
な
か
觀
昔
は、
同
時
に
千
差
萬
別
な
る
衆
生
の
音
盤
を
聞
い
て
そ
れ
く
の
心
事
を
洞
見
し、
も
つ て 皆 得 解 股 の 利 盆 を 施 こ す 耳 根 圓 蓮 の 聖 者 で あ る。 音 聲 の 本 來 千 差 萬 別 な る が 如 く、 容 貌 も ま た 本 來 千 差 萬 別 に し て、 そ し て こ は み な 宿 業 の し か ら し む る と こ ろ の も の で あ る。 こ の や う に 佛 毅 の 見 地 よ り 見 る も、 こ の 觀 相 學 に は 多 く の 眞 理 を 含 む る の と い は ざ る を え な い。 孟 朝 い は く、 存 二乎 入 一者 莫 良 於 眸 子、 眸 子 不 能 掩 其 悪、 胸 中 正 則 眸 子 瞭 焉、 胸 中 不 正 則 眸 子 既 焉。 聴 其 言 也 觀 其 眸 子、 人 焉 痩 哉 (離 婁 章 句 上 )。 こ は け だ し 孟 輌 濁 特 の 觀 相 術 と も 見 る べ き で あ ら う。 次 に 家 相 風 水 學 と い ひ 方 竪 學 と い ふ が 如 き は、 所 傳 ・ 異 説 紛 々 と し て そ の 取 捨 に 苦 し ま し む る も、 こ の な か 一 つ に は 晋 の 郭 漢 景 純 薯 の 郭 氏 元 経 十 巻、 乃 至 五 つ に は 元 の 幕 講 禪 師 著 の 三 自 寳 海 三 巻 な る 五 要 奇 書 は 斯 道 の 重 ん す る と こ ろ の も の で あ り、 清 の 第 四 世 高 宗 乾 隆 帝 が 勅 撰 せ し め た る 協 紀 鐸 方 三 十 八 巻、 ま た こ れ に 準 擦 し て 要 を と れ る 同 朝 亮 功 甫 の 逓 徳 類 情 十 三 巻 の 如 き は、 そ の 集 大 成 と 見 る べ き で あ る。 か の 印 度 に お け る 佛 陀 常 住 の 地 た る 砥 園 精 舎 の 如 き、 佛 教 の 最 高 學 府 た る 那 欄 陀 寺 の 如 き そ の 構 築 は 思 ふ に こ の 學 に 基 づ い て 精 査 の 餘 に な わ し も の に 相 達 な か る べ く、 支 那 に あ り て は 周 公 こ れ に よ り て 洛 陽 宮 を つ く り、 本 朝 に あ り て は 小 黒 麿 や 賢 憬 の 相 法 に よ つ て 李 安 城 を 築 き た る が、 し か る に こ の 相 法 の 始 租 は 實 に 上 宮 太 子 で あ る。 次 に 易 學 に 至 つ て は い は ゆ る 孔 子 易 を 讃 ん で 章 編 三 た び 陰 陽 學 に 就 い て 五陰 陽 學 に 就 い て 六 絶 つ と い ふ が 如 き 興 味 ふ か き も の で あ り、 從 つ て こ れ に 關 す る 大 小 千 百 の 著 書 は、 文 字 ど ほ り 汗 牛 充 棟 で あ る。 二 陰 陽 學 の 一 般 的 内 容 は 前 述 の 如 く な る が、 そ の 論 擦 は 陰 陽 五 行 の 氣 の う へ に お け る 相 生 相 剋 の 理 數 で あ り、 こ の 理 數 は も と 河 圖 洛 書 に よ つ て 發 見 さ れ た も の で あ る。 故 に 易 の 繋 僻 上 傳 に い は く ﹁ 河 出 レ圖 洛 出 レ書 聖 人 則 レ之 ﹂ と。
圖
河
書
洛
朱 子 の 易 學 啓 蒙 二 に い は く、 孔 安 國 日、 河 圖 者 伏 義 氏 王 二天 下 一、 龍 馬 出 レ河、 途 則 昌其 文 二 以 葦 入 卦 一。 洛 書 者 禺 治 レ水 時 神 亀 負 文 而 列 於 背 一、 有 レ數 至 レ九、 萬 遽 因 而 第 レ之 以 成 二九 類 二。 劉 歌 云、 伏 義 氏 繊 レ天 而 王、 受 二河 圖 一 而 書 レ之 入 卦 是 也。 禺 治 二洪 水 一錫 二洛 書、 法 而 陳 レ之 九 疇 是 也。 河 圖 洛 書 相 二爲 経 緯、 入 卦 九 章 相 二爲 表 裏 一。 關 子 朗 云、 河 圖 之 文、 七 前 六 ハ 後、 入 左 九 右。 洛 書 之 丈、 九 前 二 後、 三 左 七 右、 四 前 左、 二 前 右、 入 後 左、 六 ハ 後 右。 朱 子 日、 蓋 圓 者 河 圖 之 數、 方 者 洛 書 之 文。 故 義 文 因 レ之 而 造 レ易、 禺 箕 叙 レ之 作 レ範 也。 け だ し 河 圖 と い ふ は、 西 紀 前 約 三 千 年 に 伏 義 氏 天 下 に 王 た り し 吃 き、 龍 馬 (神 馬 ) 豫 州 の 榮 河 よ り い で け る が、 背 上 の 旋 毛 お の つ か ら 星 象 を な し て ゐ た の で、 義 は こ れ を 見 て 大 い に 悟 る と こ ろ あ り て 第 二 圖 を 書 け る が こ れ で あ る。 洛 書 と い ふ は、 同 二 千 二 百 年 に 禺 が 洪 水 を 治 む る と き、 靈 轟 洛 水 よ り い で け る が、 甲 羅 の 折 文 ま た お の つ か ら 字 書 を な し て ゐ た の で、 禺 は こ れ を 見 て ま た 大 い に 悟 る と こ ろ あ り て 第 二 圖 を 書 け る が こ れ で あ り、 爾 者 は と も に 法 然 文 字 た る 宇 宙 紳 秘 に ふ れ し も の と い ふ べ き で あ る。 故 に 弘 法 大 師 (以 下 み な 單 に 大 師 と 稱 す ) の 文 鏡 秘 府 論 二 に い は く ﹁ 塞 中 塵 中 開 一二本 有 之 字 一、 霜 上 龍 上 演 二自 然 之 文 噸﹂ (大 師 全 集、 以 下 單 に 全 集 と い ふ、 八 ・ 二 ) と。 伏 義 氏 は じ め て 入 卦 を 書 け る が、 そ の 幽 旨 を 闡 明 せ る は 西 紀 前 一 千 二 百 年 に お け る 周 の 文 王 の 象 僻 と 周 公 の 炎 僻 で あ り、 文 王 ・ 周 公 の 説 陰 陽 學 に 就 い て 七
陰 陽 學 に 就 い て 八 を 布 術 せ る は 易 經 に お け る 孔 子 の 上 象 傳 乃 至 雑 卦 傳 の 十 翼 こ れ で あ る。 禺 は じ め て 九 疇 (又 は 九 章 と も 九 類 と も い ふ ) を 書 け る が、 そ の 妙 趣 を 發 揮 せ る は 同 一 千 百 年 に お け る 般 の 箕 子 で あ る。 武 王 紺 を 討 つ て 般 を 破 り、 村 の 忠 臣 に し て 賢 哲 な う し 箕 子 を 封 じ て 朝 鮮 王 と な し た。 あ る と き 箕 子 來 朝 す る や 武 王 つ い て 國 家 を 治 む る 大 法 を 問 ふ。 こゝ に お い て 箕 子 が 武 王 に 敢 へ た る も の が す な は ち 省 書 下 に お け る 洪 範 こ れ で あ る。 洪 範 の 九 疇 と は 二 ) 五 行、 ( 二 ) 五 事、 (三 ) 入 政、 乃 至 (九 ) 編 極 こ れ に し て、 い は ゆ る 帝 王 は ( 一 ) 五 行 の 大 法 に 遵 つ て ( 二 ) 五 事 以 下 の 徳 政 を 行 ふ べ し と い ふ の で あ る。 今 こ の 二 圖 に つ い て 略 述 せ ば、 河 圖 は 五 十 五 の 數 よ り な わ、 洛 書 は 四 十 五 の 數 よ り な れ る が、 こ れ す な は ち 陰 陽 五 行 の 理 數 で あ る。 ま つ 河 圖 に つ い て い は い、 易 に よ る に 一 ・ 三 ・ 五 魯七 ・ 九 な る 五 つ の 奇 數 を 天 陽 の 五 行 と な し、 二 ・ 四 ・六 ・ 入 ・ 十 な る 五 つ の 偶 數 を 地 陰 の 五 行 と な し、 二 者 相 ま つ て 萬 物 生 成 化 育 す と い ふ の で あ る。 い は ゆ る 二 ・六 相 ま つ て 北 方 の 水 を 生 じ、 三 ・ 入 相 ま つ て 東 方 の 木 を 生 じ、 二 ・ 七 相 ま つ て 南 方 の 火 を 生 じ、 五 ・十 相 ま つ て 中 央 の 土 を 生 じ、 四 ・九 相 ま つ て 西 方 の 金 を 生 じ、 そ し て 水 は よ く 木 を 生 じ、 木 は よ く 火 を 生 じ、 火 は よ く 土 を 生 じ、 土 は よ く 金 を 生 じ、 金 は よ く 水 を 生 じ、 首 尾 連 環 し て お の つ か ら一 大 圓 相 を な す の で あ り、 す な は ち一・ 三 ・ 五 ・ 七 ・ 九 の 和 は 天 數 の 二 十 有 五、 二 ・ 四 ・六 ・入 ・ 十 の 和 は 地 數 の 三 十、 合 し て 五 十 有 五 と な る と い ふ の で あ る。 つ ま り 相 生 相 剋 の な か に は 相 生 を 表 面 と な し、 相 剋 を 裏 面 と す る。 次 に 洛 書 に つ い て い はゝ、 一 ・ 九 は 次 で の 如 く 水 ・火 に し て 北 ・南 に 位 し、
三 ・七 は 次 で の 如 く 木 ・ 金 に し て 東 西 に 位 し、 二 ・ 四 ・ 六 ・ 八 は 次 で の 如 く 土 ・木 ・ 金 ・ 土 に し て 西 南 ・東 南 ・ 西 北 ・ 東 北 の 四 隅 に 位 せ る が、 こ れ す な は ち 四 方 の 陽 數 は 四 隅 の 陰 數 を 統 ぶ る こ、 ろ で あ る。 そ し て 陽 數 は 北 方 の 二 を 起 點 と な し て 右 に 轉 す る か ら、 こ れ を 三 倍 す る と 東 方 の 三 と な り、 東 方 の 三 を 三 倍 す る と 南 方 の 九 と な り、 南 方 の 九 を 三 倍 す る と 二 十 七 と な り、 二 十 の 盈 數 を 陰 い た 残 數 が 西 方 の 七 で あ る。 陰 數 は 西 南 の 二 を 起 點 と な し て 左 に 轉 す る か ら、 こ れ を 二 倍 す る と 東 南 の 四 と な り、 東 南 の 四 を 二 倍 す る と 東 北 の 八 と な り、 東 北 の 入 を 二 倍 す る と 十 六 と な り、 十 の 盈 數 を 除 い た 残 數 が 西 北 の 六 で あ る。 そ の 三 を 乗 じ 二 を 乗 す る ゆ ゑ ん は、 三 は 圓 天 の 數 で あ り、 二 は 方 地 の 數 な る に よ つ て い あ る。 け だ し 三 と は 一 ・ 三 ・ 五 の 奇 數 を 合 す る 九 な る が、 こ は 三 數 を 合 す る も の で あ り、 二 と は 二 ・ 四 の 偶 數 を 合 す る 六 な る が、 こ は 二 數 を 合 す る も の で あ る。 そ し て 北 の 二 水 は 南 の 九 火 を 剋 し、 南 の 九 火 は 西 の 七 金 お よ び 西 北 の 六 金 を 剋 し、 西 の 七 金 お よ び 西 北 の 六 金 は 東 の 三 木 お よ び 東 南 の 四 木 を 剋 し、 東 の 三 木 お よ び 東 南 の 四 木 は 西 南 の 二 土 ・中 央 の 五 土 お よ び 東 北 の 入 土 を 剋 し、 西 南 の 二 土 ・中 央 の 五 土 お よ び 東 北 の 人 土 は 北 の 一 水 を 剋 す る が 故 に、 こ れ は 相 剋 を 表 面 と な し 相 生 を 裏 面 と す る。 こ の 九 疇 を 一 白、 二 黒、 三 碧、 四 線、 五 黄、 六 白、 七 赤、 入 白、 九 紫 の 九 星 と い ひ 年 月 日 時 に 配 し て 吉 凶 盛 衰 を 占 ふ に い たり し 起 原 が い つ れ の 時 代 なり や と い ふ に、 こ は お そ ら く は る か 後 世 の 六 朝 以 後 な る べ く そ し て 元 明 よ り 清 に お よ ん で ま さ に そ の 頂 巌 に 達 せ し も の と 思 は れ る。 九 星 と い つ て も け だ し 一 ・ 九 ・ 陰 陽 學 に 就 い て 九
陰 陽 學 に 就 い て 一 〇 三 ・ 七 等 の 星 點 よ り 來 つ た 名 で 天 室 の 實 在 星 で は あ る ま。 い。 たゝ し 三 白 寳 海 (上 ) に は 左 の 如 く 北 斗 七 星 お よ び そ の 左 輔 右 弼 の 二 星 に 配 し て ゐ る か ら、 さ ら に 深 く 考 ふ べ き こ と、 思 ふ。 一 白 貧 狼 二 黒 亘 門 三 碧 緑 存 四 緑 文 曲 五 黄 廉 貞 六 白 武 曲 七 赤 破 軍 八 白 左 輔 九 紫 右 弼 理 學 博 士 新 城 新 藏 氏 い は く、 九 星 術 と い へ ば 天 文 に 根 擦 が あ る や う に 思 は れ る が、 こ れ は 人 方 に 中 央 を 加 へ て 九 宮 と 稱 す る に 過 ぎ す、 天 文 や 暦 法 に は 少 し も 關 係 が な い。 こ の 九 つ の 場 所 を 年 月 日 時 の 異 な る に 從 い 色 づ け を 變 へ て 一 白、 二 黒、 三 碧、 四 緑、 五 黄、 六 白、 七 赤、 八 白、 九 紫 と 稱 へ、 人 々 の 運 命 は そ の 母 の 胎 内 に 宿 つ た 時 に 定 ま る も の と し、 そ の 時 の 九 星 配 當 が 人 の 一 生 を 支 配 す る と 考 へ 元 も の だ が、 九 星 配 當 そ の も の が 出 た ら 目 な も の で 信 す る に 足 ら な い ( 昭 和 九 ・ 一 二 ・ 二 七 日 の 大 阪 朝 日 新 聞 に お け る 氏 の 談 )。 こ の な か 九 星 配 當 を 出 鱈 目 と い は る、 眞 意 を 解 し か ね る が、 も し 九 星 す な は ち 九 疇 そ の も の を 根 本 的 に な が め て 信 す る に 足 ら な い と い ふ な ら ば、 そ の 大 い に し か ら ざ る わ け ば 既 述 の 如 く、 ま た も し 年 月 日 時 に 配 す る こ と が 二 種 の 捏 造 に す ぎ な い と い ふ な ら ば、 九 疇 そ の も の が 全 く 陰 陽 五 行 の 理 數 に し
て 萬 有 に 周 遍 し、 時 室 ま た こ れ を 離 れ て 存 在 し え な く、 從 つ て あ る 根 擦 の も と に 年 月 日 時 に 配 す べ き は 當 然 で あ り、 年 月 日 時 に 配 す る 以 上、 そ こ に お の つ か ら 相 生 相 剋 の 理 法 成 立 し て 吉 凶 盛 衰 分 れ ざ る を え な い か ら、 こ れ ま た 決 し て 出 鱈 目 な ど、 い ふ べ き も の で は な い。 以 下 進 ん で 五 行 説 に 論 及 し や う。 五 行 説 は い ふ ま で も な く 支 那 の 學 説 な る が、 こ の 思 想 は 前 述 の 河 圖 ・ 洛 書 に 胚 胎 す る が 故 に 起 原 悠 遠 で あ る。 故 に 史 記 に い は く ﹁ 黄 帝 建 昌立 五 行 二﹂ ( 二 六 ) と。 し か し そ れ が 發 達 せ る は 天 塞 に 動 く 五 星 の 存 在 す る こ と を 知 る に お よ ん で、 そ れ と 結 び つ け る に 原 因 す る の で あ つ て、 す な は ち 西 紀 四 世 紀 前 た る 戦 國 時 代 か ら で あ り、 ま さ し く 大 成 せ る は 漢 の 時 代 (西 紀 百 年 前 ) で あ る。 五 行 説 が は じ め て 文 書 に 現 は れ た の は、 前 に い ふ が 如 く 尚 書 洪 範 の、 二 五 行。 一 日 水、 二 日 火、 三 日 木、 四 日 金、 五 日 土。 水 日 一二潤 下 二、 火 日 =炎 上 一、 木 日 二曲 直 一、 金 日 一一從 ニ ス 革 一、 土 愛 稼 稿。 潤 下 作 ン繊、 炎 上 作 レ苦、 曲 直 作 レ酸、 從 革 作 レ辛、 稼 稿 作 ソ甘 と い へ る こ れ で あ る。 こ の 五 つ の も の を 行 と い ふ に つ い て、 裏 公 二 十 七 年 の 左 傳 に は ﹁ 謂 二之 行 噛者、 若 在 レ天 則 五 氣 洗 行、 若 在 レ地 世 所 二行 用 一也 ﹂ と い ひ、 後 漢 班 固 の 白 虎 通 ( 二 ) に は ﹁ 言 レ行 者 欲 γ言 昌爲 レ天 行 レ氣 之 義 二也、 地 之 承 レ天 猶 二妻 之 事 1夫 臣 之 事 ツ君 也 ﹂ と い ひ、 通 徳 類 情 ( 一 ) に ﹁ 今 按、 行 也 者 言 下其 行 二於 地 一者 晶也 質 行 二於 地 二而 氣 適 二於 天 二﹂ と い へ る が、 今 こ れ ら を 合 せ 考 ふ る に、 行 と は 二 ) 行 き わ た る と い ふ 義 で あ り 陰 陽 學 に 就 い て 一 一
陰 陽 學 に 獣 い て 一 二 ( 二 ) ひ ろ く 實 用 さ れ る と い ふ 義 で あ る。 そ の ( 二 ) に つ い て は 爾 書 傳 に ﹁ 是 爲 昌人 用 一也、 五 行 帥 五 材 也 ﹂ と い ひ、 裏 公 二 十 七 年 の 左 傳 に ﹁ 天 生 二五 材 二民 並 用 レ之、 言 五 者 各 有 二材 幹 一也 ﹂ と い ひ、 大 師 は こ ・れ ら に よ つ て 秘 藏 賓 鎗 上 に ﹁ 四 序 玉 燭、 五 才 金 鏡 ﹂ (全 集 三 ・八 ) と い つ て ゐ る。 ( 二 ) に つ い て は 白 虎 通 に ま つ 五 行
の
お
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ー
に
劃
し
て
﹁
木
之
爲
レ言
觸
也、
陽
氣
動
躍。
火
之
爲
レ言
化
也、
陽
氣
用
レ事
萬
物
變
化
也。
金
之
爲
ノ言
禁
也、 萬 物 禁 止。 土 之 爲 レ言 吐 也、 吐 二含 萬 物 一﹂ と の 定 義 を 付 し、 そ し て こ の 木 ・火 ・ 土 ・ 金 ・ 水 を 次 で の 如 く 東 ・ 南 ・中 ・西 ・北 の 五 方、 者 ・夏 ・ 土 用 ・秋 ・多 の 五 方、 角 ・徴 ・宮 ・商 ・ 羽 の 五 音、 青 ・赤 三 黄 ・ 自 ・黒 の 五 色、 肝 ・心 ・脾 ・ 肺 ・腎 の 五 臓 に 配 し、 乃 至 卿 大 夫 の 行 ふ 五 祀 と い ひ、 欝 位 の 五 等 と い ひ、 刑 罰 の 五 等 と い ふ な ど す べ て 範 を こ れ に と ら な い も の は な い と い つ て ひ ろ く 論 じ て ゐ る。 吉 藏 の 仁 王 経 疏 二、 大 三 三. 三 一九 ) や 大 師 の 十 住 心 論 ( 二、 全 集 二 五 九 ) に は、 天 の 五 星、 地 の 五 行、 入 身 の 五 臓、 人 道 の 五 常 み な 同 根一 體 な り と い つ て、 儒 激 の 五 常 と 佛 敢 の 五 戒 と の 調 和 を な し て ゐ る。 ま た 神 道 に は 國 常 立 尊 を 世 界 の 根 源 と な し こ れ よ り 天 紳 七 葉 ・ 地 紳 五 代 と 現 す る が、 七 葉 の 天 紳 は す な は ち 日 月 五 星 の 七 曜、 五 代 の 地 神 は す な は ち 五 行 の 神 な り と 傳 ふ る (神 風 記 二、 天 地 麗 氣 記 一、 靈 符 縁 起 上 )、 こ れ み な こ の 説 の 影 響 を う け し も の で あ る。 こ の 五 行 を 時 と し て は こ ) 正 五 行、 ( 二 ) 洪 範 五 行、 ( 三 ) 入 卦 五 行、 ( 四 ) 玄 室 五 行、 (五 ) 變 山 五 行、 (六 ) 渾 天 五 行、 (七 ) 四 經 天 寳 ・ 龍 子 ・ 玄 女 ・ 寳 照 ・ 五 行、 (入 ) 天 卦 五 行、 (九 ) 地 卦 五 行、 ( 一 〇 ) 二 氣 五 行、 (一一 ) 正 氣五 行、 ( 一 二 ) 納 昔 五 行、 (一 二 ) 入 宅 五 行、 二 四 ) 宿 度 五 行、 二 五 ) 星 盤 五 行、 二 六 ) 十 二 化 氣 五 行 の 十 六 種 に 分 つ 場 合 な き に 非 ざる も、 こ は 用 處 に 随 つ て 名 を 異 に す る の み で 自 體 も と よ り 同一 で あ る (方 則 指 要 )。 お よ そ 五 行 の 相 生・ 相 剋 と は、 木・ 火・ 土・ 金 ・水 は 相 生 の 次 第 で あ る、 火 ・ 金 ・ 木 ・ 土 ・水 は 相 剋 の 次 第 で ある。 い は ゆ る 木 と 木 と 相 摩 し て 火 を 生 じ、 火 は も の を 茨 燒 に 歸 し て 土 を 生 じ、 土 は 寺 金 を 生 じ、 金 は 錯 解 し て 水 を 生 じ、 水 は 潤 ほ し て よ く 木 を 生 す る、 こ れ す な は ち 相 生 で あ る ・ 火はよく 金 を 鋳 が し、 金 は よ く 木 を 戴 り、 木 は よ く 土 の 精 氣 を 奪 ひ、 土 は よ く 水 を し て 流 れ し め す ・ 水 はよく 火 を し て 滅 せ し む る、 こ れ す な は ち 相 剋 で あ る。 こ の 五 行 と 陰 陽 二 氣 と の 關 係 い か ん と い ふ に ・ 二 氣 和 合 し て 五 行 と な る が 故 に、 こ の 間 能 生 と 所 生 と の 別 體 あ る こ と な ほ し 親 子 の 如 く に 見 ら れ ざ る に 非 ざ る も、 そ の 實 は 二 氣 を 離 れ て 五 行 な き と、 も に 五 行 を 離 れ て 二 氣 な き こ と なほし水波の如くでなけ れ ば な ら ぬ 要 之、 相 生 相 剋 の 二 義 の な か 相 生 は 生 成 化 育 の 大 道 に し て、 こ れに順應するものは榮え、 こ れ に 逆 抗 す る も の は 衰 へ ざ る を え な い か ら、 そ の 順 逆 趨 避 を 誤 ま ら ざ ら し めむとするのがまさしく 陰 陽 學 の 本 旨 で あ る。 こ れ と 眞 雪 口 密 教 と の 間 に は 重 大 緊 密 の 關 係 を 有 す る が、 こ は 又 時 機 を み て 論 道 し や う と 思 ふ。 陰 陽 學 に 就 い て 一 三