• 検索結果がありません。

市 場 経 済 と計 画経 済(2)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "市 場 経 済 と計 画経 済(2)"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

{126)

<資 料〉

市 場 経 済 と計 画経 済(2)

223

中 村 平 八

[解説]

は じめ に

市場 経 済 と計 画 経 済 は,一 般 に,対 立 的制 度z対 立 的概 念 だ とみ な され て き た。 す なわ ち,こ の よ うに考 え るひ とび とは,資 本 主義 と市 場 経 済 とを等 置 し て 資本 主 義 的市 場経 済 つ いで社 会主 義 と計 画経 済 とを等 置 して社 会主 義 的計 画経 済 とい う対 立 的 概念 を創 造 す る。 ま た実 態 的 に は,欧 米 日な ど西 側 の経 済 体 制 を資本 主 義 的市 場 経 済,つ いで ソ連 ・東 欧 ・中国 な ど東側 の経済 体 制 を社 会 主義 的 計 画経 済 と規定 し,両 者 を対 立 す る体 制 とみな す ので あ る。

1989年 か ら91年 にか け て の ソ連 ・東 欧 に お け る共 産 党 開 発 独 裁 体 制 の 崩 壊,崩 壊後 の これ らの国 の資本 主 義 的市 場 経済 へ の移 行 志 向 と経 済 の混 乱,さ

らに今 日の中 国 の市 場経 済 志 向 とい う状況 を 目 の前 に して,ひ とび と は,資 本 主 義 二市 場 経 済 の勝 利,社 会 主 義=計 画経 済 の敗 北 を主 張 して い る。 しか もこ

の よ うな通説 的理解 は,既 存 の概 念 を前 提 にす るか ぎ り,誤 りで な い。

仮 説 の提 起

しか し,こ の よ うな理解 には疑 問 が あ る。 上 記 の多 数説 を批 判 的 に吟味 す る な らば,別 の理 解 が可 能 とな る。 その さい まず第 一 に問題 にな るの は,資 本 主 義=市 場 経 済,社 会 主義 幕計 画経 済 とい う等 式 で あ る。 この等 式 に は疑義 が あ る。お よ そ社 会 的 な生 産 お よび再 生 産 を維 持 す るた あ に は,生 産諸 資源(労 働力 と生産手段)を 諸経 済 単 位 に配 分 しな けれ ば な らな い。資 源 の配分 方 法 に は・基 本 的 に,市 場 原理 に もとつ く配 分 と計 画原 理 に もとつ く配 分 とい う二 っ だ けが あ る。市 場 に よ る配 分 方 法 には市 場(商 品)経 済,計 画 に よ る配 分方 法 に は計 画

(2)

224商 経 論i叢 第33巻 第1号 (125)

(指令)経 済 が対 応 す る。 なお いわ ゆ る 「贈 与」 お よ び 「互酬 」 に よ る資 源配 分 にっ いて は,そ の 社会 経 済 的 な意 義 を考 え,考 察 外 と した。

わ れ わ れ は,人 類 社会 の ほ ぼす べ て の発展 段 階 に お いてs市 場(商 品)経 済 お よ び計 画(指 令)経 済 が併 存 した,と い う仮 説 か ら出発 す る。 従 来 の学 説 で は, 市場(商 品)経 済 は原 始 社 会 の解 体 期以 降 の社 会(社 会主義,共 産主義社会を除 く), 計 画(指 令)経 済 は社 会主 義 以 降 の社 会 に のみ存 在 す る。 しか し,わ れ わ れ の仮 説 で は そ うで は な い。 したが って,所 与 の社会 にお け る市 場(商 品)経 済 お よ び 計 画(指 令)経 済 の形態 と内容,役 割,こ れ を総 括 的 に規 定 す る政 治 権 力(上 部 構造)の 性 格 等 につ いてy再 審 す る必要 が あ る。

まず市 場(商 品)経 済 で あ るが,そ れ は,通 説 で い う原 始社 会 は別 と して,人 類 社 会 のす べ ての 時代 に,姿 を変 え て常 に存在 した経 済 形 態 で あ る。もち ろんs

市場(商 品)経 済 の形 態 と内容,役 割 は,不 変 ・同一 で な く,単 純 な ものか ら複 雑 な ものへ と進 化 した。 と りわ け前近 代社 会 と近 現代 社 会 とで は,大 きな違 い が あ った。他方,計 画 経 済(前 近代の指令経済を含 む)で あ るが ,こ れ もまた通 説 で い う原始 社 会 は例 外 と して,広 義 の共 産 主 義社 会 は もち ろん の こ と,す べ て の社 会 に存 在 す る経 済形 態 で あ る。市 場(商 品)経 済 の場 合 と同 じく,計 画(指 令)経 済 の形 態 と内容,役 割 は,単 純 な もの か ら複雑 な ものへ と姿 態 変 化 を とげ て い る。 市場 経 済 につ い て考 察 す る前 に,ま ず 商 品経 済 につ いて,私 論 を述 べ て み た い。

商 品 お よ び商 品生 産(商 品経済)

まず 商品 お よ び商 品生 産 にっ いて考 え てみ よ う。商 品 とは何 か。経済 学 で は,

「商 品 とは,交 換 を 目的 と して生産 され る労働 生 産 物 で あ り,価 値 と使 用 価値 と い う二 っ の要 因 の統 一 物 で あ る」 と定義 され る。 別言 す れ ば商 品 は,① そ の物 が労 働生 産物 で あ る こ と,② 社 会 的 使用 価 値 を もつ こ と,③ 交 換 価値 を もち,

④ かっ譲 渡 され る こ と,と い う四 つ の条 件 を充 た して いな け れ ば な らな い。

で は商 品生産(商 品経済)と は何 か。 商 品生 産 は,個 別 の生産 者 が,自 分 の欲 望 の み を満足 させ るため で な く,他 人 の欲 望 を満 足 させ るため に生 産 し,個 別 の生 産 者相 互 間 の結 合 が,各 自の生 産 物 の交 換 を通 して行 わ れ よ うな生 産 関係

(3)

市場経済と計画経済②225{124)

の こ とで あ る。商 品生 産 の前 提 は,社 会 的分 業 と生 産 手 段 の個 別 的所 有(私 的所 有でないことに注意せよ)と で あ る。 しか も個別 の生 産者 は,特 定 の生産 物 の生 産 に専 門 化 して い るので,そ の多 様 な欲望 を充 たす た あ に は・ 市 場 で生 産物 を商 品 と して交 換(士 ロエr冗員)する こ とが必 要 で あ る・ そ の た めの生 産 が商 品生 産 で あ

り,商 品生 産 お よ び商 品交 換 が行 われ る経 済 が 商 品経 済 で あ る。

商 品生 産(商 品経済)の 種 類

広 義 の商 品生 産 に は,小 商 品生 産(単 純商品生産)お よ び商 品生 産(複 雑商品生 産)と い う二 っ が存 在 す る。小 商 品生 産 とは,小 規 模 な生 産 手段 の所 有 者(小 生 産者)が,そ の家 族 の労 働 に よ って商 品 を生 産 して い るよ うな商 品生 産 で あ る。

小 生産 者 は,歴 史 的 にみ て多 様 で あ り,小 農民 ・狩 猟民 ・漁民 ・手工 業 者 お よ び小 商 人 な どが それ で あ る。商 品生 産(狭 義)と は,大 規 模 な生 産 手 段 の所 有者 (大生産者)が,多 数 の労 働者 を雇 用 し,そ の労 働 力 を使 用 して商 品 を生 産 して い るよ うな商 品生 産 で あ る。 大 生 産者 は,資 本 家 お よ び国家 で あ る。

狭義 の商 品生 産(複 雑商品生産)に は,資 本 家 的 商 品生 産 お よび国家 的 商 品生 産 とい う二 つが あ る。 前者 は,生 産手 段 の所 有者 が資本 家 で あ り,後 者 は生 産 手 段 の所有 者 が国 家 で あ る。両 者 と も経 済 活 動 の主体 で あ る。 これ まで 通説 で は,資 本 家 的 商 品生 産 だ けが商 品生 産 だ と考 え られて きた。 正統 派 の政 治 経済 学 者 は,旧 ソ連 な どで主 張 され た 「社会 主 義 的 商 品生 産 」一 そ の本 質 は 「国 家 的商 品生 産」 一 論 を 欠 陥理 論 だ とみ な して い た・ ま た資本 臓 的 な国家 的商 品 生 産(国 家 ウクラー ド)の 存 在 を認 め なか った。 した が って・ 狭 義 の商 品 生 産 に は,資 本 家 的 商 品生 産 の ほか に国 家 的商 品 生 産 が存 在 す る とい う説 は新 説 で あ り,若 干 の説 明 を必 要 とす る。

ソ連 お よび 中国 の 国家 的商 品生 産

1917年 の ロ シア十 月革 命 に よ って誕 生 した ソヴ ェ ト国家 は,ほ ぼす べ て の資 源 労働 力 と生 産手 段(労 働手段 と労働対象 具体的には機械 ・原材料 道具 ・施 設や土地など労働力以外の生産要素)と を国家 の手 に集 中 ・集積 し,巨 大 国 有企 業 を成 立 させ,労 働 者 を雇 用 し,そ の労 働 力 を使 用 して,国 家 的商 品生 産 を行 っ た。 国家 は,上 か らの国民 経 済 計画 に も とづ き,官 僚機 構 を通 じて ・資 源 配分

(4)

226商 経 論 叢 第33巻 第1号

(123)

を行 い,経 済 活 動 を制 御 した。 この国 家的 商 品生 産(集 権的計画経済)は

,ソ 連 型 社 会 主 義 とよば れ,第 二 次 世 界大 戦 後 ,東 欧 ・中 国 な どに も導 入 され た。 ソ 連 型 の国 家 的 商 品 生 産 は,恣 意 的 な資 源 配 分 や経 済 制 御 の 失 敗 に よ って 破 綻

し,X991年 に崩 壊 した。

他 方,今 日の 中国 は,1979年 以 降 の試行 錯 誤 に よ り,ソ 連 型 の国 家 的 商 品生 産(集 権的計画経済)を 捨 て,中 国型 の国 家 的 商 品生産 を模 索 し,最 近(1992年 以 後)で は,目 標 モ デ ルを 「社 会主 義 的市 場経 済 」 と定 め るに至 った

。 す な わ ち, 国 家 が 生 産 手 段 を所 有 し,労 働 者 を雇 用 して 生産 活 動 を行 う国 家 的商 品 生 産 (国家 ウクラー ド)の ほか に,新 た に資 本 家 的 商品 生産(資 本主義 ウクラー ド)や 小 商 品生 産 ウ クラ ー ドの展 開 を積極 的 に奨励 し,同 時 に,国 家 に よ る恣意 的 な資 源 配 分 や経 済 制 御 の弊 害 を除去 す る とと もに,国 家 に よ るマ ク ロ制御 ・調 整 の も とで,市 場 メ カニ ズムを利 用 して,資 源 配分 を行 い,生 産活 動 を行 う方 向 を め ざ して い る。国家 的商 品生 産(国 家 ウクラー一ド)一一一1978年 まで絶 対 的存 在 と して国民 経 済 を支配 して きた に関 して も,市 場 メカ ニ ズ ムを導 入 して国有 企 業 を 改革 し・ この ウク ラー ドの再 生 ・発展 を図 ろ うと して い る。

商 品 生産(商 品経済)の 歴 史

商 品生 産 の歴 史 を み る と,ま ず最 初 に登 場 した の は小 商 品生 産 で あ る。 通 説 に よれ ば,小 商品 生 産 は,人 類 史 の始 源 に位 置 す る原 始 社 会(家 父長制的共同体 的現物経済)の 解 体 を決 定 的 に促 進 した。小 商 品 生産 ウ ク ラー ドは,引 きっ づ き 前近 代 社 会 で発達 し,近 現 代 社 会 にお い て も存 続 し,一 定 の積 極 的 も し くは消 極 的役 割 を果 た して い る。 商 品生 産(資 本家的商品生産 と国家的商品生産)は

,前 近 代 社会 の末 期 に,ま ず 資本 家 的 商品 生 産(資 本主義 ウクラー ド)と して誕 生 し

, この社 会 の解体 を促 し,前 近 代 社会 と近 代社 会 とを分 かっ 役割 を果 た した

。 資 本 家 的 商 品生 産 は支配 的 ウ ク ラー ドに成長 し,人 間 の労働 力 す らも商 品化 す る

こ とで,近 代 社 会 を全 面 的 な 商品 経済 社 会 に変 え た。 現代 社 会 で は,ほ ぼす べ て の財 貨(サ ービスを含む)が 商 品 と して生 産 ・交換 ・消 費 され て い る。20世 紀 に は い る と}国 家 の経 済 的 役割 が高 ま り,資 本 家 的商 品生 産 の ほか に,新 た な ウク ラー ドと して の国 家 的 商品 生 産 が登 場 し,発 展 して い る。

(5)

市場経済と計画経済(2)2270122)

と ころ で 原始 社 会 の経 済 は,通 説 に よ れ ば,非 商 品経 済 ・非 交 換 経 済 した が って非市 場 経 済 だ と され て い る.原 始 繍 は注 産 力水 準 が低 か ったた め・

剰 余生 産 物 も乏 し く注 産 物 の交 換 は行 わ れず 滴 品 お よ び市 場 は存 在 しな か った と理 解 されて い るので あ る.し カ・し,近 年 の 中国 や 躰 にお け る原始 時 代 研 究 の発 展 に よ り源 始 社 会 に生 産 物交 換 が広 範 に存 在 した可 能 性 が指 摘 さ

れて い る.「 原始 繍 一非 商 品経 済 」説1ま諺 正 をせ ま られ源 始 的小 商 品経 済 の存 在 が確 認 され る可 能性 が あ る。

市場 経 済 と市 場 メ カニ ズム

市 場 とは商 品 一財 貨 の売 買 が 行 わ れ る場,常 度 機 能 識 構 で あ る・ 市 場 で売 買 され る有 形 財 お よ撫 形 財(サ ービス)は 滴 品 で あ る・歴 史 的 に も論 理 的 に も,商 品 と市 場 は一 体不 覗 で あ る.市 場 経 済 とは・qの 生 産.分 配.

流 通 とい うwの 全 局面 が注 と して市 場 の価 格 メ カ ニズ ム によ って魏 され るよ うな社会 経 済 の こ とで あ る.い か な る社会 にお いて も 社 会 的生 産 を維 持 継 続 す るた め に は,労 働 力 と生 産手 段 つ まr産1こ 必 要 な諸 資 源 を・ そ れぞ れ の生 産部 門 に,合 理 的 か っ適 正 に配 分 しな くて はな らな い・ 資源 の最適 配 分 は滴 品生 産 の もとで は,価 値 法 貝1」の作 用 に もとつ く市 場 にお け る商 品 の価格 の変動 樋 して行 われ る.別 討 れ ば緬 格1姉 場 の需 給 関係 を反 映 して変 動 し,個 別 の繍 主体 は浦 場 が発信 す る シグナ ル に反 応 して注 産 や 消費 を増 減 す る.価 格 の伸 縮性 は濡 給 調 節 お よび資 源 の最 適 配 分 の た めの祠 欠 の条 件 で あ る.こ の よ うな作 用 を もつ市 場(交 換行為 の総体)の 機 能 お よび機 脚 ・

市 場 メ カニ ズ ムで あ る。

市 場 メ カニ ズムが完 全 に作 用 す るた め の前提 は・ 第一 に浦 場 が多 数 の売 手 お よ び買 手 か ら構 成 され て いて,経 済主 体 は価 格 を恣 意 的 に操 作 で きな い こと (純粋競争の想定),第 二 に,資 源 の移 動 が完 全 に弾 力 的 で あ る こ と(完 全市場の想 定)の 二 つ で あ る.し か し,こ の二 っ の条 イ牛は規 代 の資 本蟻 的楊 繍 や社 会蟻 的市 場 経 済 にお いて も,完 全 に充 た され て はい ない・ だか らこそ・ 不 完 全 競争 の経 済学,独 占 の経 済 学,公 共 経済 学,制 度 の経 済学 が必 要 とな る。 ま

た市 場 メ カニ ズ ム(市 場による資源配鍛 構)と 小 商 品 生 産・ 資本 家 的 商品 生 産・

(6)

228商 経 論 叢 第33巻 第1号(121)

と くに国 家 的 商品 生 産 との関 係 を,研 究 す る必 要 が あ る。

計画 経 済

経 済 学 の範 疇 と して の計 画経 済 は,成 熟 して い な い。 現在,次 の よ うな定 義 が提 示 され て い る。計 画 経 済 とは,「単 一 の国家 計 画 の作 成 とその遂 行 とい う形 で経 済発 展 が お こなわれ,財 貨 の生産 ・分 配 ・流通 が人 間 の意識 的管 理 の もと にお か れ て い る国 民 経 済 の こ とを い う。 ……生 産 手 段 の社 会 化 に よ って,つ ま り生 産手 段 が 自 己増 殖 的価値(資 本)で あ る こ とを や め る ことに よって初 めてs

〈何 を,ど れ だ け,い か に して〉生 産 す るか を,社 会 が意 識 的 に決定 す る こ とが [可能 になる]。… … したが って,全 国 民 経 済 的規 模 で の計 画経 済 は必 ず社 会 主 義 的生 産 関 係 を 前提 す る し,社 会 主 義経 済 は常 に計 画経 済 で あ る」(岡 稔 「計画経 済」大阪市立大学':コ'研 究所編集r繍 学辞典』第3版 ,岩 波書店,1992年)。

次 の よ うな定 義 もあ る。計 画経 済 は,「生 産 手 段 の共 同的所 有 と自 由で 自覚 的 な結 合 を な しとげ た生産 者 た ち の共 同 的労働 に もとつ いて

,経 済過 程 が 共 同 的 に規 制 され,計 画化 され る[経 済である]。 この計 画化 に よ って,社 会 的欲 望 にお う じた物 的 資 源 と人 的資 源 の合 理 的 な配 分 とそ の効 率 的 な利 用 がで き るよ うに な り,生 産 の部 門 間 ・部 門 内 のっ りあ い を た もっ こ とが で きる よ うに な る

。 全 社 会 的 な規 模 で の 計 画経 済 は社 会 主 義 の も とで は じめ て 可能 とな る もの で あ り,ま た この よ うな計 画 化 を つ う じて の み社会 主 義 の基本 的経 済法 則 が 実現 さ れ,社 会 の全 成 員 の完全 な福 祉 と 自由 な全面 的 発 展 とい うこ とが もた らされ て い く」(細 文夫 「社会蟻 計画繍 」r大 月 経済学辞典』大膳 店

,1979年)。

上 記 の二 っ定 義 に ほぼ共 通 の概念 は,① 「計 画」 と 「計 画化 」,② 「財 貨 の生 産 ・分 配 ・流 通 の意識 的管 理」 と 「経 済 過 程 の共 同 的規 制」,③ 「生 産手 段 の社 会化 」 と 「生 産 手 段 の共 同的 所 有」,④ 「全 国民 経 済 的規 模 で の計 画 経 済 」 と

「全 社 会 的 規 模 で の計 画経 済 」で あ る。岡 稔 氏 も芦 田文 夫 氏 も

,マ ル クスの著 作 の関 連 記 述 を念 頭 に お きつ っ,ソ 連 型 社 会 主 義 の現 実 お よ び非 現 実 を 考 慮 し て,上 記 の定 義 を試 み た と思 わ れ る。

われ わ れ は,④ を除 き① ② ③ はすべ て,原 始 社 会 お よび それ以 後 の社会,す なわ ちすべ ての社 会 に存在 した と考 え る。 原 始人 に も食 糧入 手 「計 画」 が あ っ

(7)

市場経済と計画経済(2)229(120)

た.彼 らは,労 働 支 出 を節 約 す るた め に,労 働対 象 と して の 自然 を観 察 し・ そ の運 動 法 則 を発 見 し,〈何 を,ど れ だ け,㌔ ・か に〉採集 ・狩 猟 漁 労 す べ きかを 事 前 に齢 的 に 「計 画」 した.舌 陵 舌L取に よ る動 植 物 喰 糧 の綴 を避 け る

ため に,「 繍 過程 の齢 的管 理 洪 同 的規 帯li」を行 った可能 性 が大 きい・採 集 地 蝋 場 漁 場 な どの 「生 産 手 段」 は源 始 共 同体 の 「共 同所 有 」 で あ った・

使 用 す る道 具 も騨 な もので あ り,非 所有 か 「共 同所 有」 で あ った・ われ わ れ の推 測 で は,労 働 の配 分 も 「計画 的」 で あ った・ か りに原始 人 類 の繍 活 動 に 「計 画 」 も 「餓 的管 理 」 も 供 同所 有 」 もな か った と した ら注 物 と して は きわ めて弱 い人類 は,他 の生物 との生存 競 争 に敗 れ・滅亡 して い たで あ ろ う。

また次 の事例 は,古 代 社 会 にお け る国家 ウ ク ラー ドの存 在,そ れ に と もな う

「計 画 」と 「公共 財 」の存 在 を証 明 してG・る・中国 の秦 の始 皇 帝(前259一 前210) は淘 奴 か ら国土 を守 るた め,万 里 の長城 を修 築 ・連 結 した・ この一 大 土 木 工 事 事 業 は,き わ めて多 くの労 働 力 や資材 を必要 と したが・ そ れ らの誰 や配 分 は 「計 画 的 」 で あ った と推 定 され る。 万里 の長城 はs現 代経 済 学 の用語 で言 え ば,ま ぎれ もな く国家 ウ ク ラー ドが生 産 した国防 財 す なわ ち 「公 共 財 」 で あ る.ま 瀦(581‑618)の 時 代,漉 と華北̀qぶ 大 翻 が鰍 され た・ これ も ま た一 種 の社 会 的 共通 資 本,す な わ ち 「公 共 財 」 で あ り,そ の建設 に さ い して 膨 大 な労 働 力 と資 材 を 必 要 と した が,そ の生 産 ・分 配 ・消 費 は 「計 画 的」 で

あ ったn

今 日的 に言 え ば,こ れ らの事 例 はあ る特 定 の大 プ ・ジ ェ ク トの 「計 画化 」 で あ って,国 民経 済 の 「計画 化 」 で はな し・.し か し近 代 以前 に は・ 国民 繍 も国 民 国家 も存在 して い なか ったの だか ら,こ の こ とを も って 「計 画化 」 一般 の不 在 を主張 す る こ とはで きな い.な ぜ な ら,前 近 代 の皇 帝 ・王 ・領 主 の支配 す る 国家 が,国 家 ウ ク ラー ドを所 有 し滴 国 や領 奔区の経 済 の 「計 画化 」 を試 み・「生 産 ・分配 ・流 通 の意 識 的管 理 」で,顕 著 な成 果 を あ げた事 例 が 多 い か らで あ る。

皇帝.王 領 主 に よ る農 業 や手 工 業 の振 興 事例 は・ 近代 社 会 に近 づ け ば近 づ く ほ ど多 くな る。 また近 代 以 前 に も,産 業 や防 衛 の た め の 「公共 財 」が生 産 され, 民衆 に よ って受 益 され た.こ れ らの 「公共 財 」 の生 産 は・多 くの場合 強 制 的労

(8)

230商 経 論 叢 第33巻 第1号

(119)

働 によ る 「共 同生 産 」 で あ ったが,自 主 的 「共同生 産」 で あ った事 例 も多 い。 前 近 代 の 「公 共財 」 も,実 質 的 に は 「共 同所 有 」で あ り,「共 同消 費」 され た の で あ る。

計 画 的 資源 配 分 と商 品生産 一 般,と くに 「公 共財 」 を生 産 す る国 家 的 商品 生 産(国 家ウクラー ド)と の関係 は,未 開 拓 の研究 分 野 で あ り,今 後 の研 究 が また れ る。 人 類社 会 の歴 史 を貫 く経 済 的進歩 と は,究 極 的 に は財 貨 の獲 得 に必 要 な 社 会 的労 働 支 出 を不 断 に節約 し,社 会 的労 働生 産 性 を不 断 に向上 させ る こ とで あ る。「公 共財 」 はそ れ を助 け る。社会 的労 働 支 出節 約 の法則 は

,人 類社 会 の共 通 法 則 で あ り,近 代以 前 のす べ て の社 会 お よ び近 現 代 社 会 を貫 い て い るだ け で

な く,未 来 社 会 に お いて も作 用 す る。

現 代 資本 主 義 と現 代 社 会 主 義 の問 題 点

現 代 資本 主 義 の支 配 的 ウ クラー ドは,資 本 家 的 商 品生 産(資 本主義 ウクラー ド) で あ る。 資 本 家 的商 品生 産 の 中核 に は資本 家 的独 占 ・寡 占(巨 大企業)が 位 置

し,価 格 を恣 意 的 に操作 して(独 占価格,寡 占価格),市 場 メ カニ ズムを歪 あて お り,そ の弊 害 は少 な くな い。 また国家 的商 品生 産(国 家 ウクラー ド)一 いわ ゆ る政 府 部 門,公 共経 済 部 門一一 が存 在 し,政 府 の マ ク ロ経済 制 御 も実施 され て い る。そ れ らは いか な る役 割 を果 た して い るのか。資本 家 的独 占 ・寡 占(巨 大企 業)を 補 強 す る役 割 を果 た して い る,と の疑 いが あ る。 した が って,国 家 ウ ク ラー ドの経 済 活動 の 公共 性 に関 して は,厳 密 に吟味 す る必 要 が あ る。 資 本 主 義 ウ クラー ドや国 家 ウ ク ラR一ドに対 す る国 民 の側 か らの民 主 的 統 制 に っ い て も

, 研 究 して み る必 要 が あ る。

現 代 社 会 主義 に は,支 配 的 ウ ク ラー ドと して 国家 的 商 品 生 産(国 家 ウクラー ド)が 存 在 した が/す るが,こ の ウク ラ ー ドの公共 性 に関 して も,同 じく厳 密 に 吟味 して み る必要 が あ る。正 しい結 論 を得 るた め に は,旧 ソ連 や現 代 中国 の国 家 ウク ラー ドと,そ れ を構 成 した/す る企業,官 僚 機 構等 につ いて,実 証研 究 を重 ね な けれ ば な らな い。現 代 中 国 に存 在 す る資本 家 的 商品 生 産(資 本主義ウク

ラー ド)に つ い て も・不 明 な点 が 多 い。社 会主 義 を名 の る国 家 で あ るな らば ,す べ か ら く国民 が必 要 とす る情報 を公 開 し

,国 民 の批判 を受 け,国 民 に責 任 を負

(9)

市場経済 と計画経済(2}231011 .8)

わ な け れ ば な ら な い.国 民 は,国 家 ウ ク ラ ー ドお よ び 資 本 撮 ウ ク ラ ー ドに対 して 民 主 的 統 制 を 行 う必 要 が る.共 産 党 国 家 の マ 夘 繍 制 御 に つ い て も そ の 「公 共 性 」 を 吟 味 して み る必 要 が あ る.繍 的 に は・ 資 本 議 国 の 国 家 ウ ク ラー ドと社 会 蟻 国 の 国 家 ウ ク ラ ー ドと の 類 ・性 と顛 性 を 明 らか に す る必 要 が あ る。 これ らの 重 要 問 題 に つ い て は,稿 を 改 め て 考 察 して み た い。

われ わ れ の主 張 は注 要 な論 点 で通 説 と黙 る少 数 説 ・異 説 で あ り読 者 は 大 い に戸 惑 うで あ ろ う.こ の解 説 論 文 を読 み進 み・ 筆者 の言 わん と して い る こ

とを理 解 して いた だ きた い.ま 晒 側経 済 学 や マル ク派経 済 学 の市 場 経済(商 品経済)と 計 画経 済(指 令経済)に 関 す る通 説 を念 頭 に お きつっ ・以下 で紹介 す る 中国 の学 者 の 「社 会 主 義 的市 場 経 済 」論 をお読 み いた だ きた い。

日山編 『著 名学 者 の社 会 主 義 的市 場 経 済論 』(中 国 ・人民出版社r1992年)

1醇 暮橋 社会主義的市場経済 の諸問題

2馬 洪 社会主義的市場経済 を発展 させ,計 画 と市場 とが結合す る新制度 を完全 な ものに しよう

3糞 育之 市場経済の問題 と思想路線 の問題(以 上第32巻4号) 4呉 敬鍵 社会主義 的市場経済 の歴史的沿革 と現実的意義 5劉 国光 計画 と市場 に関す る若干 の問題(以 上第33巻1号) 6林 子力 現代市場経済 と現代社会主義

7董 輔初 市場 と社会主義的市場経済 8胡 平 商業改革 と社会主義 的市場経済

9柳 随年 流通改革 を突 出 させ,経 済 の市場イ ヒの進麗 程 を全力で推進 しよ う

10呂 日周 社会主義的市場経済 と農村改革

11趙 延 年 社 会 主 義 的市 場経 済 を全 力 で発 展 させ,各 民 族 の共 同繁 栄 を徐 々 に実現 しよ う

(10)

232商 経 論 叢 第33巻 第1号

(117)

12高 尚全 社会主義的市場経済の新制度 をで きるだけ早 く建設 しよ う 13!A以 寧 社会主義 的市場経済 の ミクロ的基礎

14呉 振坤 わが国 の社会主義的市場経済の条件 の下で対外開放 を全力で推進 しよ う

15江 春澤 市場経済 の必然性 と政府 の役割の必要性 16瀟 灼基 社会主義的市場経済 に関す る若 干の認識問題

17買 春 峰 社会主義的市場経済 の発展 と社会主義的精神文明 の建設 とを有機

的に結合 しよう

参照

関連したドキュメント

1 4

「主流の経済学」 として流通している新古典派経済学のジェンダー理解, その学説の限界, ま た,

授業の計画・内容 第1週

授業の計画・内容 第1週

ソ連型社会主義計画経済についての一考察

もし経済主体の協働が実物過程の操縦においてなされれば,その場合,こ

Economies, Japan External Trade Organization (IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp シリーズタイトル アジアを見る眼 シリーズ番号 98