九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
磁気異方性検出に基づく磁気バーコードシステムの 研究
渡邊, 直幸
九州大学システム情報電気電子システム工学
https://doi.org/10.11501/3163936
出版情報:Kyushu University, 1999, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
~
磁気異方性検出に基づく 磁気バーコードシステムの研究
平成 11 年 7 月
渡 漫 直 幸
目次
第l章 序 論
1.1 研 究 の 背 景
1.2 磁気バーコードシステム 1.
3
本論文の目的と構成11つ
‑ A
斗寸
第2章 磁気異方性を利用する磁気バーコードシステム
2.1 磁 気 異 方 性 の 検 出 原 理 7 2.2 磁 気 異 方 性 を 用 い た バ ー コ ー ド 検 出 原 理 7
2.3 磁気バーコードシステムの構成 10
2.4 単 一 パ ー の 検 出 波 形 10
2.5 直 交8の 字 型 検 出 素 子 の 基 本 特 性 16
2.5.1 出 力 特 性 16
2.5.2 角 度 特 性 19
2.5.3 周 波 数 特 性 19
2.5.4 リフトオフ特性 19
2.6 バーコードの種類 24
2.7 高 密 度 化 の た め の 方 法 24
2.7.1 検 出 素 子 の 改 良 27
2.7.2 バーコードの改良 27
2.8 バーコード分離特性 32
2.9 本章のまとめ 36
第
3
章 磁性インキ印刷バーコードの読み取り特性 3.1 ノてーコード印刷技術3.2 磁性インキ印刷バーコード
勺j o o
司 ︑
d勺﹃
3.3 磁性インキ印刷パーの基本特性 38
3.3.1 出 力 特 性 38
3.3.2 インキ特性 42
3.4 相 対 的 検 出 位 置 と 出 力 波 形 と の 関 係 42
3.5 バーコード読み取り特性 49
3.6 高 出 力 化 の た め の 検 出 素 子 構 造 の 改 良 49
3.7 3値 化 の 可 能 性 52
3.8 本章のまとめ 56
第4章 マイクロ検出素子によるバーコード検出
4.1 マイクロ検出素子の構造 57
4.2 磁 気 異 方 性 検 出 原 理 57
4.3 バーコード検出のメカニズム 61
4.4 マイクロ検出素子の基本特性 63
4.4.1 出 力 特 性 63
4.4.2 磁性インキ特性 63
4.4.3 励 磁 周 波 数 特 性 68
4.4.4 リフトオフ特性 68
4.5 パー幅と出力ピーク値の関係 68
4.6 マイクロ検出素子のバーコード分離 72
4.6.1 バーコード分離特性 72
4.6.2 バーコード分離のメカニズム 75
4.7 ノてー聞のスペースと出力ピーク値の関係 75
4.8 バーコードのアレイイヒ 78
4.9 バーコード出力の2値 化 78
4.10 本章のまとめ 83
ー11‑
第5章 総括
5 . 1
結論5.2 今後の展開
参 考 文 献
謝 辞
84 85
86
90
第 l章 序 論
1 . 1
研 究 の 背 景近 年 、 社 会 シ ス テ ム の 多 く の も の が 数 値 デ ー タ 化 さ れ 、 シ ス テ ム の 情 報 化 は 著 し く 進 歩 し て い る 。 こ の 中 に お い て 、 必 要 な 情 報 を 電 気 信 号 に 変 換 す る セ ン サ は 、 シ ス テ ム に 情 報 や デ ー タ を 高 速 、 正 確 に 取 り 込 む 入 力 装 置 と し て 重 要 な 役 割 を 果 たしている [1。]
中 で も 、 物 体 に 附 随 す る 自 然 あ る い は 人 工 的 な 情 報 を 自 動 的 に 読 み 取 る 自 動 認 識 技 術[2]は 、 面 倒 な 入 力 作 業 を 減 ら し 、 シ ス テ ム の 効 率 化 を 可 能 に す る 技 術 で あ る 。 こ れ に は 、 直 接 認 識 と 間 接 認 識 の 方 法 が あ る 。 直 接 認 識 法 は 、 例 え ば 、 人 間 の 指 紋 、 瞳 孔 、 声 紋 等 の 身 体 的 特 徴 を 認 識 し 、 本 人 認 証 を 行 う も の[3,4]で 、 セ キ ュ リ テ イ が 重 要 な 分 野 に 一 部 利 用 さ れ て い る が 、 高 度 な 情 報 処 理 が 必 要 で あ り 、 多 数 の 認 識 対 象 を 高 速 に 処 理 す る の に は 適 し て い な い 。 間 接 認 識 法 は 、 例 え ば 、 商 品 名 、 価 格 、 重 量 、 送 付 先 等 の 情 報 を デ ー タ 化 し 、 そ の 商 品 に 添 付 す る こ と で 識 別 、 分 類 を 行 う も の[5]で あ る 。 バ ー コ ー ド シ ス テ ム は 、 後 者 に 属 す る 自 動 認 識 技 術 の 一 つ で あ り 、 現 在 、 物 流 等 の 分 野 に 広 く 利 用 さ れ て い る 。
バ ー コ ー ド シ ス テ ム に は 、 そ の 検 出 媒 体 に よ り 大 別 し て 、 光 方 式 と 磁 気 方 式 が ある [6]0前 者 は 光 の 反 射 率 の 違 い を
2
値 化 媒 体 と し た も の で 、 後 者 は 透 磁 率 や 導 電 率 の 違 い を2
値化媒体としたものである。光 バ ー コ ー ド シ ス テ ム は 高 速 で 、 比 較 的 安 価 な シ ス テ ム で あ り 、 今 日 見 ら れ る よ う な 大 規 模 な 流 通 管 理 シ ス テ ム の 簡 略 化 、 自 動 化 を 可 能 と し た [7,8]0 しかし、
こ の 光 方 式 は 可 視 コ ー ド で あ る こ と か ら 、 屋 外 で の 流 通 や FA端 末 等 の 環 境 下 に お い て は 、 バ ー コ ー ド 表 面 や バ ー コ ー ド リ ー ダ 一 面 に 汚 れ や 水 滴 等 が 付 着 し 、 正 確 な デ ー タ 読 み 取 り が 困 難 と な る 欠 点 が あ っ た 。 一 方 、 回 数 券 や 商 品 券 等 の 金 券 や プ リ ペ イ ド カ ー ド は 、 社 会 シ ス テ ム の 利 便 性 を 高 め る た め 現 在 広 く 利 用 さ れ て お り 、 自 動 認 識 と 共 に そ の 偽 造 防 止 が 重 要 な 技 術 課 題 と な っ て い る[9]。 こ の た め
プ リ ペ イ ド カ ー ド に は 、 利 用 金 額 や 利 用 状 況 を 記 録 す る 機 能 と と も に 、 識 別 の た め の 固 定 情 報 を 保 持 す る 機 能 が 必 要 と な る 。 後 者 の 固 定 情 報 記 録 の た め に 、 不 可 視 化 の 容 易 な 磁 気 バ ー コ ー ド が 多 く 使 わ れ て お り 、 偽 造 防 止 等 セ キ ュ リ テ ィ の 向 上に一定の役割を果たしている。
1.2 磁 気 バ ー コ ー ド シ ス テ ム
磁 気 を 用 い て 情 報 を 記 録 す る 方 法[10]と し て は 、 磁 気 記 録 と 総 称 さ れ る 磁 気 デ ィ ス ク や 磁 気 テ ー プ を 用 い る 書 き 換 え 可 能 な 記 録 方 式[11 ]が広く用いられている。
こ れ は 、 情 報 蓄 積 媒 体 と し て は 優 れ て い る が 、 強 磁 界 に よ る 情 報 の 消 失 、 不 正 な 情 報 読 み 取 り や 改 ざ ん 等 に 対 し 対 策 を 施 す こ と は 容 易 で な く 、 セ キ ュ リ テ イ の た め の 固 定 識 別 情 報 の 担 体 と し て は 問 題 を 残 し て い る 。 一 方 、 磁 気 バ ー コ ー ド は 、 磁 性 体 小 片 の 配 列 パ タ ー ン に よ っ て 情 報 を 記 録 す る た め に 固 定 情 報 の み の 記 録 で あ る が 、 強 磁 界 に よ る 情 報 の 消 失 は 無 く 、 情 報 の 改 ざ ん や 不 正 読 み 取 り に 対 す る 対 策 が 比 較 的 容 易 で あ る 。 こ の た め 、 プ リ ペ イ ド カ ー ド の 固 定 情 報 の 記 録 に 現 在 広く用いられている。
従 来 の 磁 気 方 式 バ ー コ ー ド 読 み 取 り の 方 式 に は 、 非 破 壊 検 査 で 用 い ら れ る 渦 電 流探傷[12・16] の 原 理 が 多 く 用 い ら れ て い る 。 こ れ は 、 交 流 源 で 励 磁 さ れ る コ イ ル か ら 発 生 す る 磁 束 が 、 そ の 近 傍 に 存 在 す る 物 質 の 透 磁 率 や 導 電 率 の 違 い を 読 み 取 るもの[17]で あ り 、 最 も 簡 単 な 動 作 原 理 を 図1‑1に 示 す 。 コ イ ル 近 傍 に 何 も 存 在 し な い 場 合 、 励 磁 コ イ ル か ら 発 生 す る 磁 束 を φ1と す る 。 コ イ ル 近 傍 に 導 体 板 が 存 在 す る と 、 導 体 板 中 に は φlに よ り 渦 電 流 が 誘 起 さ れ 、 こ の 電 流 に よ り φ lとは 逆 向 き の 反 抗 磁 束φ 2が 生 じ 、 コ イ ル に 鎖 交 す る 磁 束 が 減 少 す る 。 つ ま り 、 導 体 板 の 出 現 に よ り 磁 束 が φ lから φ1‑ φ 2へ 変 化 し て お り 、 こ の 磁 束 変 化 を 検 出 す れ ば 、 導 体 板 の 有 無 で コ ー ド 化 さ れ た バ ー コ ー ド を 読 み 取 る こ と が で き る 。 図 1‑1で は 、 検 出 コ イ ル を 差 動 構 造 に し 、 磁 束 の 変 化 分 の み を 測 定 で き る 回 路 を 示 し て い る 。 従 来 の バ ー コ ー ド は 一 般 に 、 光 方 式 と の 親 和 性 を 持 た せ る た め 光 方 式 パ ー
磁気コア
励磁コイル 検出コイル
ヘ
ノ •
•
図1‑1 従来の磁気バーコード読み取り原理 (差動検出方式)
‑3‑
コ ー ド パ タ ー ン の 明 暗 の 縞 に 対 応 し て 、 磁 気 的 な 性 質 ( 例 え ば 透 磁 率 や 保 磁 力 等 ) の 異 な る 材 料 を 配 置 し て 構 成 さ れ る 。 こ の 読 み 取 り 方 式 に は 、 印 加 磁 界 の 種 類 に よ り 直 流 バ イ ア ス 方 式 、 交 流 バ イ ア ス 方 式 に 分 け ら れ る [18]0 直 流 バ イ ア ス 方 式 は 、 定 電 流 源 、 や 永 久 磁 石 に よ り 一 定 磁 束 を 印 加 し 、 パ ー の 通 過 時 に 発 生 す る 磁 束 量 変 化 を 読 み 取 る も の で あ る 。 こ の 場 合 、 出 力 電 圧 は 磁 束 の 時 間 変 化
dφ/d
t で 与 え ら れ 、 出 力 を 符 号 と し て 認 識 す る た め に は パ ー の 位 置 を 特 定 す る 同 期 信 号 が 必 要 と な る 。 一 般 的 な 方 法 は 、 位 置 と 時 間 を 比 例 定 数 に よ り l対 lに 対 応 づ け る 方 法 で 、 こ の 場 合 に は 、 等 速 ス キ ャ ン す る 機 構 が 必 要 と な る 。 ま た 、 パ ー と ス ペ ー ス の 磁 気 的 性 質 の 違 い も し く は そ の 有 無 と い う 単 純 な2
値 化 に よ り バ ー コ ー ド が 与 え ら れ て い る た め 、 そ の 情 報 の 分 析 は 比 較 的 容 易 で あ り 、 セ キ ュ リ テ イ 確 保の点で問題がある。1.3
本 論 文 の 目 的 と 構 成本 論 文 は 、 上 述 の 磁 気 バ ー コ ー ド シ ス テ ム の セ キ ュ リ テ イ の 向 上 な ら び に 情 報 の 高 密 度 化 を 目 的 と し て 、 磁 気 異 方 性 を コ ー デ イ ン グ に 利 用 す る 新 し い 原 理 に 基 づ く バ ー コ ー ド シ ス テ ム を 提 案 し 、 そ れ を 用 い て 試 作 し た シ ス テ ム の バ ー コ ー ド 読 み 取 り 特 性 に つ い て 述 べ る 。 本 論 文 は 全 5章からなる。
第
2
章 で は 、 直 交8
の 字 型 コ イ ル 対 を 検 出 素 子 と す る 磁 気 異 方 性 を 利 用 す る 新 し い 磁 気 ノ く ー コ ー ド シ ス テ ム を 提 案 し 、 こ の バ ー コ ー ド 読 み 取 り 特 性 に つ い て 述 べ る 。 こ の 検 出 素 子 に 対 応 す る パ ー は 、 ス キ ャ ン 方 向 に 対 し て +4 5 0 方 向 に 傾 け た 細 長 い 磁 性 あ る い は 非 磁 性 の 金 属 箔 で 実 現 で き 、 交 流 励 磁 磁 界 に 対 す る 磁 気 異 方 性 は 形 状 に よ っ て 与 え ら れ る 。次 に 、 本 方 式 に お い て 、 検 出 素 子 の ス キ ャ ン 方 向 幅 縮 小 化 と そ れ に 伴 う バ ー コ ー ド の 改 良 を 行 い 、 情 報 の 高 密 度 化 が 図 れ る こ と を 示 す 。
第
3
章 で は 、 実 用 性 を 考 慮 し 、 磁 性 イ ン キ 印 刷 に よ り 製 作 し た バ ー コ ー ド に 対 し読み取り実験を行い、2
イ 直 化 検 出 が 十 分 可 能 で あ る こ と を 示 す 。 ま た 、 検 出 素子 と パ ー の 相 対 角 に よ っ て 、 出 力 波 形 パ タ ー ン に 違 い が 出 る こ と を 示 し 、 そ の 理
由を述べている。
第4章 で は 、 磁 気 異 方 性 が 検 出 可 能 な Dhale型 の 検 出 素 子 を マ イ ク ロ 化 し 、 直 交 8の 字 型 コ イ ル 対 を 越 え る 情 報 の 高 密 度 化 を 追 求 し た。 2本 の パ ー と ス ペ ー ス で 構 成 さ れ る 基 本 パ タ ー ン の 読 み 取 り 実 験 か ら 、 プ ロ ー ブ の 分 解 能 に つ い て 調 べ 、 本方式では、
2
つ の パ ー 聞 の ス ペ ー ス 幅 だ け で で な く 、 パ ー 幅 自 体 も 分 解 能 に 寄 与 す る こ と を 示 す。第 5章 は 、 本 論 文 の 結 論 お よ び 今 後 の 展 開 に つ い て 述 べ る。
‑ 5 ‑
第 2章 磁気異方性を利用する磁気バーコードシステム
こ こ で 用 い る 磁 気 異 方 性 検 出 素 子 は l対 の 直 交
8
の字型コイルからなり、 トル ク セ ン サ 用 の 検 出 ヘ ッ ド と し て 考 案 さ れ た も の で あ る[19]。 こ の 検 出 素 子 は 、 励 磁 コ イ ル 、 検 出 コ イ ル か ら 構 成 さ れ て お り 、 交 流 励 磁 磁 束 が 、 近 接 し て 置 か れ た 磁 性 体 や 導 電 体 に よ っ て 異 方 的 に 分 布 さ せ ら れ る と 、 検 出 コ イ ル に 磁 束 が 鎖 交 し 出 力 が 生 じ る 。 こ の 性 質 に よ っ て 、 磁 性 体 や 導 電 体 に お け る 傷 や 欠 陥 な ど を 検 出 できる[20]0 な ぜ な ら 、 磁 性 体 表 面 に 存 在 す る 小 さ な 傷 、 穴 や 内 部 応 力 は 、 透 磁 率 に 異 方 性 を 引 き 起 こ し 、 ま た 、 非 磁 性 体 表 面 に お い て も 、 交 流 磁 束 に よ り 生 じ る 渦 電 流 を 変 化 さ せ る た め 、 磁 束 分 布 を 異 方 的 に す る か ら で あ る 。本 章 で は 、 磁 気 異 方 性 を 与 え る 磁 性 体 片 か ら な る パ ー と そ れ を 検 出 す る 直 交
8
の 字 型 コ イ ル 対 で 構 成 さ れ る 磁 気 バ ー コ ー ド シ ス テ ム[21] を 提 案 し 、 そ の 読 み 取り 実 験 か ら 、 本 シ ス テ ム が 、 磁 気 バ ー コ ー ド シ ス テ ム と し て 利 用 で き る こ と を 実 証 す る 。 本 シ ス テ ム で は 、 パ ー が 検 出 素 子 の ス キ ャ ン 方 向 に 対 し て +4 5 0 もし
く は ‑4 5 0 に 傾 け て 配 置 さ れ る と い う 形 状 か ら 、 出 力 は そ の 傾 き に 対 応 し た 正 お よ び 負 の 値 で 与 え ら れ 、 等 速 ス キ ャ ン を 必 要 と し な い と い う 特 徴 を 持 つ 。 ま た 、 従 来 の 磁 気 バ ー コ ー ド シ ス テ ム は 、 パ ー の 有 無 と い う 単 純 な 符 号 の 配 列 で あ る た め 、 情 報 の 漏 洩 や 改 ざ ん に 対 す る セ キ ュ リ テ イ 保 持 に は 限 界 が あ っ た 。 本 シ ス テ ム に お い て は 、 バ ー の 製 作 工 程 に は 従 来 と ほ と ん ど 差 は な い が 、 パ ー の 形 状 や 読 み 取 り 方 式 が 従 来 と 異 な り 、 セ キ ュ リ テ ィ の 向 上 が 見 込 ま れ る 。
こ の シ ス テ ム に お い て 、 ま ず 、 磁 気 異 方 性 を 用 い た バ ー コ ー ド 検 出 の 原 理 を 述 べ る 。 次 に 、 こ の 原 理 に 基 づ き 、 検 出 素 子 を 試 作 し 、 単 一 パ ー を 用 い た 基 本 特 性 に つ い て 調 べ 、 本 シ ス テ ム が バ ー コ ー ド シ ス テ ム と し て 利 用 可 能 で あ る こ と を 述 べ る 。 さ ら に 、 情 報 の 高 密 度 化 を 目 的 と し て 、 バ ー コ ー ド ス キ ャ ン 方 向 へ の 幅 を 小 さ く し た 検 出 素 子 の 製 作 と そ れ に 伴 う バ ー コ ー ド の 改 良 を 行 い 、 バ ー コ ー ド 読 み 取 り 特 性 を 調 べ 、 情 報 の 高 密 度 化 が 可 能 で あ る こ と を 示 す 。
2 . 1 磁 気 異 方 性 の 検 出 原 理
8
の 字 型 コ イ ル 対 を 直 交 し て 重 ね て 配 置 し た 構 造 か ら な る 磁 気 異 方 性 検 出 素 子 の 動 作 原 理 を 図2・1に 示 す 。 磁 気 異 方 性 が な い 場 合 ( 図2・1(a)) 、 励 磁 コ イ ル に よ り 生 じ る 磁 束 は 、 検 出 コ イ ル に は 鎖 交 し な い 。 結 晶 磁 気 異 方 性 、 磁 歪 磁 気 異 方 性 、 圧 延 磁 気 異 方 性 、 形 状 磁 気 異 方 性 等[22‑24]、 い ず れ か の 要 因 で 磁 気 異 方 性 が 存 在 す る 場 合 ( 図2‑1(b)) 、 励 磁 コ イ ル か ら 生 じ る 磁 束 は 、 こ の 磁 気 異 方 性 の 磁 化 容 易 軸 方 向 に 曲 げ ら れ 、 検 出 コ イ ル に 鎖 交 す る 磁 束 成 分 が 出 現 し 、 検 出 コ イ ル に は 電 磁 誘 導 の 法 則 か ら 出 力 電 圧 が 発 生 す る 。 こ の よ う に 、 直 交8
の 字 型 コ イ ル 対 か ら な る 検 出 素 子 は 、 磁 気 異 方 性 を 検 出 コ イ ル に 鎖 交 す る 磁 束 の 変 化 と し て 検 出 が 可 能 で あ る 。 こ の よ う な 磁 気 異 方 性 検 出 は 、 本 研 究 の 他 に 、 す で に 珪 素 鋼 板 の 結 晶 粒 イ メ ー ジ ン グ[25、] トルク検出 [26]、 鉄 板 に お け る 応 力 検 出[27]等 に 利 用 されている。2 . 2
磁 気 異 方 性 を 用 い た バ ー コ ー ド 検 出 原 理直 交
8
の 字 型 コ イ ル 対 に よ る 検 出 素 子 に 関 し て は 、 検 出 素 子 に 対 し て 斜 め 方 向 に 磁 化 容 易 軸 が 存 在 す る 場 合 に そ の 磁 気 異 方 性 が 検 出 可 能 で あ る 。 最 も 簡 単 に 磁 気 異 方 性 を 与 え る に は 、 透 磁 率 の 高 い 磁 性 薄 帯 を 短 冊 状 に 切 り 出 し 、 そ の 形 状 磁 気 異 方 性 を 利 用 す れ ば よ い 。 そ こ で 、 検 出 素 子 に 対 し て 斜 め 方 向 が 磁 化 容 易 軸 方 向 と な る よ う に 磁 性 薄 帯 を 配 置 し た も の を パ ー と す る こ と で 、 容 易 に バ ー コ ー ド を構成できる[28]0 図2‑2に 磁 気 異 方 性 を 利 用 す る 磁 気 ノ て ー コ ー ド シ ス テ ム の バ ー コ ー ド 検 出 原 理 を 示 す 。 パ ー が な い 場 合 ( 図2‑2(a)) 、 励 磁 磁 束 は 検 出 コ イ ル に 鎖 交 し な い が 、 パ ー と な る 磁 性 薄 帯 を +4
5 0 方 向 に 配 置 し た 場 合 ( 図2‑2(b)) 、 励 磁 磁 束 は 磁 化 容 易 軸 で あ る +450
方 向 に 曲 げ ら れ 、 検 出 コ イ ル に 鎖 交 す る 磁 束 が 現 れ 出 力 を 得 る 。 ま た 、 磁 性 薄 帯 の 向 き が ‑4 5 0 方 向 の 場 合 ( 図2‑2(c)) 、 鎖 交 す る 磁 束 の 向 き が 反 転 し 、 励 磁 コ イ ル と 検 出 コ イ ル で 得 ら れ る 出 力 電 圧 の 同ー7‑
(a) 異方性のない場合
I:::~叩
, / 〆V
(b) 異方性のある場合
#2
#2
図2‑1 磁気異方性検出原理
(実際は、
#2
コ イ ル は #1
コイル の上に重ねて配置される)Vout =0
Vout
#2
(a) パ ー の な い 場 合
#2
(b) パ ー の あ る 場 合 (
+
4 5 0 )#2
(c) バ ー の あ る 場 合 (‑
4 5
0 )図2‑2 磁 気 バ ー コ ー ド 検 出 原 理 (実際は、 # 2コ イ ル は #1コイル
の上に重ねて配置される)
‑9‑
Vout=O
期 出 力 の 符 号 は 逆 に な る 。 つ ま り 、 磁 性 薄 帯 の 傾 き の 正 負 に 対 応 し て 、 正 負 出 力 が 得 ら れ る こ と に な り 、 各 々 を 1、
0
の 2値 コ ー ド と し て 対 応 づ け る と 、 傾 き の 異 な る 磁 性 薄 帯 の 並 び は コ ー ド の 系 列 を 表 し 、 磁 気 異 方 性 を 用 い た 磁 気 ノ て ー コ ードシステムとして利用可能となる。
2.3 磁気ノてーコードシステムの構成
図
2 ‑ 3
に 直 交8
の 字 型 検 出 素 子 の 構 造 を 示 す 。 直 径O.2mm
の 銅 線 を 、 励 磁 側4
タ ー ン 、 検 出 側 10タ ー ン 巻 い て 8の 字 型 コ イ ル 対 を 製 作 し 、 励 磁 効 率 向 上 の た めに
6.5mmX6.5mmX10.0mm
の 角 柱 形Mn‑Zn
フ ェ ラ イ ト に 幅 1 .5mm
、 深 さO.6mm
の 十 字 溝 を 超 音 波 加 工 器 に よ り 製 作 し た 磁 心 と 組 み 合 わ せ た 。 こ の 検 出 素 子 の 空 気 中 に お け る 励 磁 側 の イ ン ダ ク タ ン ス L、 等 価 直 列 抵 抗 rとQ ファクタを 表2 ‑ 1
に 示 す 。 励 磁 電 流 は100mA
とし、LCR
メ ー タ を 用 い て 測 定 し た も の で あ る 。 ま た 、 バ ー コ ー ド に は 、 1 .0mmX 5 . 0mm
の 短 冊 状 に 切 り 出 し た 厚 さ25μm
のM e t g l a s 2705M
ア モ ル フ ァ ス リ ボ ン を 、 ス キ ャ ン 方 向 に 対 し て +4 5
0 もしくは‑ 4 5 0 に 傾 け て 配 置 し た も の を 単 一 バ ー と す る 。
こ れ ら の 検 出 素 子 な ら び に バ ー コ ー ド を 用 い た バ ー コ ー ド 検 出 の 測 定 概 略 図 を 図
2 ‑ 4
に 、 測 定 回 路 を 図2 ‑ 5
に 示 す 。 検 出 コ イ ル は 励 磁 磁 束 の 鎖 交 成 分 を 選 択 的 に 検 出 す る 仕 組 み に な っ て お り 、 検 出 コ イ ル の 誘 起 電 圧 を 励 磁 電 圧 で 同 期 整 流 し て 直 流 出 力 を 得 て い る 。 こ れ に よ り 、 パ ー に 対 応 し た 出 力 が 正 負 直 流 電 圧 で 得 ら れ る。2.4
単 一 パ ー の 検 出 波 形こ の 検 出 素 子 に お け る ス キ ャ ン 方 向 に 関 す る 励 磁 磁 束 は 図
2 ‑ 6 ( a )
に示すように、中 央 と そ の 両 側 の 銅 線 付 近 に 発 生 し て い る 。 そ れ ら の 磁 束 の 向 き は 逆 で あ り 、 中
2 2
直交
8
の字型コイル対#2
フェライト磁心
図2‑3 直交
8
の字型検出素子の構造‑EA
‑ ‑E A
•
表2‑1 直交
8
の字型検出素子の周波数特性 Frequency L(μH) r(D)Q
20kHz 12.030 0.863 1.75 40kHz 12.024 0.871 3.47 60kHz 12.023 0.884 5.13 80kHz 12.023 0.899 6.72 100kHz 12.002 0.917 8.22
巻線直流抵抗 0.861D
Scanning direction
. .
〆 ミ
図2‑4 測定概略図
‑13‑
X‑Yレコーダ
己 l 検 出 │ │励磁
ノfソコン
川 氏intosh
斗
GPIE ロックインアンフ。(a) 測定システム
検出素子
ロックインアンフ。
励磁 検出 入力 出力
内部発振器出力
一
・ 圃 聞 ‑(b) 検出回路図
図2‑5 測定システムと検出回路図
・
tスキャン方向
( a )
励磁コイルによる磁束磁化容易軸方向
(b) ‑4 5 0 方向に
容易軸がある場合 (c)
+
4 5 0 方向に 容易軸がある場合図2‑6 検出素子における励磁磁束の様子 (素子の中央にバーが位置する場合)
ー15‑
券ー
性 薄 帯 が 図2‑6(b)、図2‑6(c)の よ う に 存 在 す る 場 合 、 励 磁 磁 束 は 磁 性 薄 帯 の 長 手 方 向 で あ る 磁 化 容 易 軸 方 向 に 傾 き 、 検 出 コ イ ル に 鎖 交 す る 磁 束 成 分 作 用 掛 け の 矢 印 ) が 現 れ る 。 出 力 と し て 関 与 す る の は 、 検 出 コ イ ル の 中 央 の 銅 線 付 近 の 磁 束 で あ り 、
こ れ 以 外 の 磁 束 は 原 理 的 に 読 み 取 り に 影 響 し な い。こ の こ と を ふ ま え て 、 ス キ ャ ン 方 向 か ら +4 5 0 に 配 置 さ れ た パ ー の 上 を 検 出 素 子 が 通 過 す る 場 合 の 出 力 波 形 に つ い て 考 え る 。 ま ず 、 検 出 コ イ ル の 片 端 に パ ー が か か り 、 出 力 が 得 ら れ る 。次 に 、 中 央 に く る と 先 ほ ど と は 符 号 が 逆 の 出 力 が 得 ら れ 、 も う 一 方 の 端 に く る と 、 ま た 出 力 の 極 性 が 反 転 す る 。こ の 一 連 の 流 れ を 中 央 で 得 ら れ る 出 力 を 正 と し て 模 式 的 に 示 す と 図
2 ‑ 7 ( a )
の よ う な 出 力 波 形 が 得 ら れ る と 考 え ら れ る。一方、 ‑4 5
0 に 配 置 さ れ た パ ー の 場 合 は 、 図2 ‑ 7 ( b )
の よ う な +4 5 0 の 場 合 の 出 力 の 正 負 が 反 転 し た 波 形 と な る。 し た が っ て 、 パ ー の 傾 き に 対 応 し て 、 波 形 の 極 性 の 反 転 す る 出 力 が 得 ら れ 、 こ れ を 符 号 化 す れ ば バ ー コ ー ド シ ス テ ム と し て 用 い る こ と が で き る 。 得 ら れ る 出 力 波 形 を 符 号 化 す る 方 法 に は 、 波 形 の パ タ ー ン マ ッ チ ン グ[29]等 の 方 法 が あ る が 、 本 論 文 で は 、 簡 単 に 中 央 の ピ ー ク 波 形 を パ ー の 出 力 と す る こ と とする。2 . 5 直 交 8の 字 型 検 出 素 子 の 基 本 特 性
2 . 5 . 1 出 力 特 性
直 交 8の 字 型 検 出 素 子 で 2.3節 で 述 べ た 単 一 パ ー を そ れ ぞ れ ス キ ャ ン し た 結 果 が図2‑8で あ る 。 測 定 条 件 は 、 励 磁 周 波 数 100kHz、 励 磁 電 流 100mA、リフト オ フ ( 検 出 素 子 と バ ー と の 距 離 ) 0.1 m mとした。こ れ よ り 、 パ ー の 傾 き に 対 応
し た 出 力 結 果 が 、 図
2 ‑ 7
の 模 式 的 解 析 に よ っ て 得 ら れ た 波 形 パ タ ー ン と 同 様 に 得 ら れ て お り 、 バ ー コ ー ド シ ス テ ム と し て 用 い る こ と が 可 能 で あ る こ と が わ か る 。 波 形 が 左 右 対 称 で な い の は 、 検 出 素 子 製 作 を 手 作 業 で 行 っ た た め 、 検 出 素 子 の 対 称 性 が 得 ら れ て い な い か ら だ と 考 え ら れ る 。(a) バー傾き正(十 45 0 )の場合
(b) パ ー 傾 き 負 (‑4 5 0 )の場合
図2‑7 出力波形の模式図
‑1 7‑
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出(mm)
‑40 0
の場合
直交
8
の字型検出素子の単一パー出力特性 (b) ‑ 4 5図2‑8
2 .5 .2 角 度 特 性
次 に 、 パ ー の 傾 き 角 と 出 力 の 関 係 を 調 べ た 。 こ こ で 、 図2・9で 示 す よ う に 、 励 磁 コ イ ル 側 の 中 央 の 銅 線 方 向 、 す な わ ち 検 出 素 子 の ス キ ャ ン 垂 直 方 向 を 基 準 と し て 、 ノ く ー が 右 に 傾 く 場 合 を 正 、 左 に 傾 く 場 合 を 負 と し て パ ー の 傾 き 角 を 定 義 す る 。 こ のとき、 1.Omm X 5. Omolの 短 冊 状 に 切 り 出 し た 厚 さ 25μmのMetglas2705Mアモ ル フ ア ス リ ボ ン を 単 一 パ ー と し 、 そ の の 傾 き を
0
0 から90
0 ま で 変 化 さ せ 、 各 角 度 に お い て 得 ら れ る 出 力 波 形 の 最 大 値 を プ ロ ッ ト し た も の が 図2‑10で あ る 。 測 定 条 件 は 、 励 磁 周 波 数 100kHz、 励 磁 電 流 100mA、 リ フ ト オ フ 0.1mmと し た 。 こ れ よ り 、 傾 き に 対 応 し て 出 力 の ピ ー ク 値 は 変 化 し 、 傾 き 4 5 0 で 最 大 値 を と る こ と が わ か る 。 ま た 、 検 出 原 理 の 対 称 性 か ら 、 負 の 傾 き ‑4 5 0 で 最 小 値 が 得 ら れ る こ と も 明 ら か で あ る 。 し た が っ て 、 直 交8
の 字 型 検 出 素 子 に お い て 、 パ ー の 傾 き が +4 5 0 の と き そ れ ぞ れ 出 力 最 大 と な り 、 検 出 に 効 果 的 で あ る 。こ こ で 、 パ ー の 角 度 に 対 応 し て 出 力 の 最 大 値 が 変 化 す る こ と を 利 用 す れ ば 、 各 バ ー の 角 度 を コ ー ド 化 し て 、 3値 や 4値 で 符 号 化 し た バ ー コ ー ド を 構 成 す る こ と
も 可 能 で あ る と 考 え ら れ る [30]0
2 . 5 .3 周 波 数 特 性
励 磁 周 波 数 と 出 力 ピ ー ク 値 と の 関 係 を 示 し た も の が 図2‑11で あ る 。 リ フ ト オ フ は 0.1mmと し た 。 こ れ よ り 、 励 磁 電 流 の 増 加 と と も に 出 力 ピ ー ク 値 は 増 加 し 、 励 磁 周 波 数 が 高 く な る ほ ど そ の 様 子 は 顕 著 に な る 。 ま た 、 励 磁 電 流 が 大 き く な る と 出 力 ピ ー ク 値 は 飽 和 し て い く 傾 向 が 見 ら れ る 。 こ れ は 、 検 出 素 子 の コ ア と し て 用 い た フ ェ ラ イ ト の 磁 束 が 飽 和 し て い る た め で あ る と 考 え ら れ る 。
2 . 5 .4
リ フ ト オ フ 特 性リ フ ト オ フ と 出 力 ピ ー ク 値 と の 関 係 を 示 し た も の が 図2‑12(a)である。 測 定 条 件 は 、 励 磁 周 波 数 100kHz、 励 磁 電 流 100mAと し た 。 こ れ よ り 、 バ ー コ ー ド 使 用 の 諸 条 件 に よ り 、 リ フ ト オ フ や 出 力 ピ ー ク 値 は 制 限 さ れ る が 、 本 検 出 に お い て は 、
‑19‑
。 =0
θ<0 。 >0
スキャン方向
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# 1
コイル図2‑9 バーコード角度の定義
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図2‑10
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図
2 ‑ 1 1
直交8
の字型検出素子の励磁周波数特性2 . 5
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2.0 1.0 1.5 Lift‑off (mm)
1 5
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2 . 5
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(b)オフセット電圧を差しヲ│いた場合の 出力ピーク値とリフトオフの関係
(最大出力値で正規化)
直交
8
の字型検出素子のリフトオフ特性 (励磁周波数100kHz、励磁電流100mA) 図2 ‑ 1 2
‑23‑
O.6mm
の リ フ ト オ フ で 約17mV
の 出 力 が 得 ら れ て い る。 ま た 、 リ フ ト オ フ が 大 き く な る と 、 ピ ー ク 値 は あ る 一 定 値 に 収 束 し て い る。 こ の 出 力 は 、 検 出 素 子 製 作 時 に お け る 素 子 の 非 対 称 性 等 に よ り 生 じ た オ フ セ ッ ト 出 力 で あ る と 考 え ら れ る。 この オ フ セ ッ ト 出 力 を 差 し 引 き 、 そ の 中 の 最 大 出 力 電 圧 値 で 正 規 化 し た も の が 図2
・12(b)で あ る 。 こ れ よ り 、 リ フ ト オ フO.lmm
の 出 力 をl
とすると、0.4mm
で、は0 . 1 5
、1.0mm
では0 . 0 2 6
と 出 力 電 圧 の 低 下 が 顕 著 に わ か る 。2 . 6
バ ー コ ー ド の 種 類本 方 式 で は 磁 気 異 方 性 を 与 え る よ う な も の で あ れ ば 、 ど の よ う な 構 造 の も の で も パ ー と す る こ と が 原 理 的 に は 可 能 で あ り 、 そ の 例 を 図
2 ‑ 1 3
に 示 す 。 図2 ‑ 1 3 ( a )
は、 磁 性 薄 帯 を 短 冊 状 に 切 り 出 し た も の で 、 最 も 簡 単 な 方 法 で あ る 。 図 2‑13(b)は 、 非 磁 性 薄 帯 に ス リ ッ ト を 施 す も の で 、 作 用 と し て は 図2 ‑ 1 3 ( a )
と 同 じ で あ る。 これら の 背 景 に そ れ ぞ れ 交 流 磁 界 に 対 し て 磁 気 特 性 が 逆 に な る も の を 配 置 し た 図2 ‑ 1 3 ( c )
、 (d)は 、 そ の 磁 気 異 方 性 を 強 め る こ と に な り 、 出 力 向 上 が 図 れ る 。 実 際 、 図 2‑13(b) の パ タ ー ン を10μm
厚 銅 箔 に0.3mmX5.0mm
の ス リ ッ ト を 施 し て 製 作 し 、 銅 箔 の み の も の と 厚 さ25μm
のM e t g l a s2705M
ア モ ル フ ア ス リ ボ ン 上 に 張 り 合 わ せ た も の ( 図2 ‑ 1 3 ( d )
に 相 当 ) を ス キ ャ ン し た 結 果 が 図2 ‑ 1 4
である。 測 定 条 件 は 、 励 磁 周 波 数100kHz
、 励 磁 電 流100mA
、 リ フ ト オ フ0.2mm
と し た 。 こ れ よ り 、 銅 箔 の 背 景 に ア モ ル フ ァ ス リ ボ ン を 置 い た も の が 置 か な い も の の 約3 . 6
倍 の 出 力 が 得 ら れ て お り 、 磁 性 ・ 非 磁 性 を 組 み 合 わ せ た バ ー コ ー ド を 用 い る こ と で 高 出 力 化 が 図 れ る ことカぎわかる。2 .7
高 密 度 化 の た め の 方 法磁 気 バ ー コ ー ド シ ス テ ム は 実 用 性 を 考 え た 場 合 、 プ リ ペ イ ド カ ー ド 等 の 限 ら れ た 領 域 に 情 報 を 与 え る 必 要 が あ り 、 小 さ な ス ペ ー ス に よ り 多 く の 情 報 を 持 た せ る
(a)強磁性体ストリップ (b)スリットのある導電箔
(c) 導電箔上の強磁性体ストリップ (d)磁性箔上のスリットのある導電箔
図2‑13 パーの構成例
‑ 2 5 ‑
20
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1 2 3 4 5
( ﹀ E )
吉弘 吉︒
図2‑14 スリットのある導電箔における ( 背景磁性箔の有無による出力の比較
with, withoutは そ れ ぞ れ 図2‑13(d),図2‑13(b)に相当)
高 情 報 密 度 バ ー コ ー ド シ ス テ ム が 望 ま れ る 。 本 方 式 で は 、 パ ー が 傾 け て 配 置 さ れ る た め 、 パ ー の ス キ ャ ン 方 向 へ の 投 影 長 が パ ー 長 と な る が 、 磁 束 は 広 が り を も つ た め そ の 距 離 も 含 め た 、 い わ ゆ る lピ ッ ト 長 は こ れ よ り 大 き く な る 。 前 述 の 直 交 8の 字 型 検 出 素 子 と +
4
5 0 に 傾 い た パ ー か ら な る シ ス テ ム で は 、 パ ー 長 は 約 3.5mmで 、 あ り 、 検 出 素 子 幅 ( 検 出 素 子 の ス キ ャ ン 方 向 幅 ) は6.5mm、 lピット 長 は 約8.0mmと 大 き く 、 縮 小 化 が 必 要 で あ る 。2 . 7 . 1
検 出 素 子 の 改 良前 述 の 直 交
8
の 字 型 検 出 素 子 の 検 出 素 子 幅 は 、 パ ー 長 に 比 べ 大 き く 、 こ の 幅 の 縮 小 化 に よ り 高 密 度 化 が 図 れ る と 考 え ら れ る [31]0 そ こ で 、 検 出 素 子 幅 を 小 さ くした、図2‑15に 示 す よ う な 検 出 素 子 を 製 作 し た 。 直 交
8
の 字 型 コ イ ル 対 の 構 造 は そ の ま ま で 、 縦 横 比 が 変 化 し た 形 に な っ て い る 。 各 検 出 素 子 の サ イ ズ を 表2・2に、 励 磁 側 の イ ン ダ ク タ ン ス L、 等 価 直 列 抵 抗 r、Qフ ァ ク タ を LCRメ ー タ に よ り 測 定 し た 結 果 を 表2‑3に 示 す 。 検 出 素 子 Iは 、 比 較 の た め に 2. 3節 で 述 べ た 直 交 8 の 字 型 検 出 素 子 で あ る 。 こ の 検 出 素 子I
、E
お よ びE
を用いて、2 . 5 .2
節 と 同 様 な 角 度 特 性 を 調 べ た 結 果 が 図2‑16で あ る 。 測 定 条 件 は 、 励 磁 周 波 数 100kHz、 励 磁 電 流 100mA、 リ フ ト オ フ O.lmmと し た 。 各 角 度 に お け る 出 力 の 最 大 値 を プ ロ ッ トし て お り 、 検 出 素 子 の 縮 小 化 に 伴 い 、 出 力 の 大 き さ が 素 子 ご と に 変 化 し た た め 、 各 素 子 で 得 ら れ た 波 形 の 最 大 値 で 正 規 化 し て い る 。 こ れ よ り 、 検 出 素 子
E
で 最 大 出 力 を 得 る パ 一 角 度 は 4 5 0 、 検 出 素 子E
では 30 0 と 検 出 素 子 の ス キ ャ ン 方 向 幅 を 小 さ く す る に つ れ て 小 さ く な っ て お り 、 検 出 素 子 皿 で は パ ー 長 を パ ー の 長 手 方 向 の 距 離 の 半 分 す な わ ち 2.5mmま で 小 さ く で き る こ と が わ か る 。 し た が っ て 、 検 出 素 子 の 検 出 素 子 幅 の 縮 小 化 に よ り 、 情 報 の 高 密 度 化 が 図 れ る 。2 .7 . 2
バ ー コ ー ド の 改 良前 節 で は 、 検 出 素 子 の ス キ ャ ン 方 向 幅 を 小 さ く す れ ば 、 パ ー の 傾 き 角 。 を 小 さ く で き 、 パ ー 長 を 小 さ く で き る こ と が わ か っ た 。 し か し 、 パ ー の 傾 き 角 が Oに近
‑27‑
#2
し J
f~x l
図2‑15 高密度化のための改良型検出素子 (XがYに比べ縮小化)
表2‑2 情報高密度化のための検出素子サイズ
サイズ (rnm) コイル (turns) 検出素子
X Y D W
#
1#
26.5 6.5 6.0 1.5 1 0 1 0 E 2.5 5.0 3.0 0.5 1 0 1 0 回 1 . 5 3.0 3.0 0.3
8 8
( 1
は図3‑1に示す直交8
の字型検出素子)‑29・
表2・3 改良型検出素子の周波数特性
表2‑3‑1 検出素子Eの周波数特性
Frequency L(μH) r(O)
Q
20kHz 5.782 3.203 0.23 40kHz 5.780 3.203 0.45 60kHz 5.780 3.207 0.68 80kHz 5.780 3.210 0.90 100kHz 5.771 3.210 1.13 巻線直流抵抗 3.2010
表2・3・2 検出素子皿の周波数特性
Frequency L(μH) r(O)
Q
20kHz 38.604 9.569 0.51 40kHz 38.574 9.657 1.01 60kHz 38.557 9.792 1.49 80kHz 38.526 9.981 1.94 100kHz 38.480 10.208 2.37 巻線直流抵抗 9.5520
検出素子
1.0
0.8
0.2
百 円 ご
20U48弘
吉
N一 一
何 日 ﹄
OZ
75 90 30 45 60
Angle (deg) 15
ハUハu n u
改良型検出素子のパ一角度特性
図2‑16
‑31‑
づ く と 、 検 出 素 子 の 僅 か な 傾 き や 非 対 称 性 が 大 き く 影 響 し 、 読 み 取 り を 誤 る 可 能 性 が あ る た め 、 パ ー の 傾 き 角 を 小 さ く す る 方 法 に よ る 高 密 度 化 に も 限 界 が あ る 。 そ こ で 、 磁 気 異 方 性 を 有 し た ま ま パ ー の ス キ ャ ン 方 向 幅 を 小 さ く で き る よ う な パ ー パ タ ー ン を 提 案 す る 。 こ れ は 、 +450 も し く は ‑450 に 傾 け た 磁 性 体 を 等 間 隔 ご と に 垂 直 方 向 に 平 行 に 配 置 す る も の で あ り 、 30μm併 ア モ ル フ ア ス ワ イ ヤ 18本 を 用 い て 構 成 し た も の を 図2・17に 示 す 。 こ の パ ー (+450 方 向 ) 1個 を 、 表2‑2の 検 出 素 子 皿 で ス キ ャ ン し た 結 果 が 図2‑18である。 測 定 条 件 は 、 励 磁 周 波 数 100kHz、 励 磁 電 流 100mA、 リ フ ト オ フ 0.2mm と し た 。 こ の 場 合 の ピ ッ ト 長 は 約2.0mm、で あ り 、 前 述 の 直 交
8
の 字 型 検 出 素 子 に お け る ピ ッ ト 長8.0mmに 比 べ か な り 高 密 度 になっていることがわかる。2 . 8 バ ー コ ー ド 分 離 特 性
ノ て ー コ ー ド を 構 成 す る 場 合 、 隣 接 す る パ ー の 影 響 が な い よ う に 間 隔 を 設 け て パ ー を 配 置 し な け れ ば な ら な い 。 前 述 の 高 密 度 化 の た め の 検 出 素 子Eとパーを用いて、
2
つ の パ ー が 隣 接 す る 場 合 を 調 べ る 。 本 方 式 で は 、 出 力 が 正 負 で 与 え ら れ る た め しきい値を OVと す る こ と が で き 、 隣 接 す る パ ー が 異 な る 場 合 、 出 力 は 必 ず ゼ ロ ク ロ ス す る た め 識 別 は 容 易 で あ る 。 し か し 、 隣 接 す る パ ー が 同 じ 場 合 は 、 出 力 が し き い 値 レ ベ ル 程 度 ま で 戻 ら な い と 識 別 は 困 難 に な る 。 そ こ で 、 前 節 よ り lビット 長 が 約 2.0mmで 、 あ る こ と か ら 、 隣 接 す る パ ー が 異 な る 場 合 、 同 じ 場 合 の2
つ の 場 合 に つ い て 、 そ の パ 一 間 隔 を 2.0mmと し て 配 置 し 、 ス キ ャ ン し た 結 果 が 図2・19で あ る 。 測 定 条 件 は 、 励 磁 周 波 数 100kHz、 励 磁 電 流 100mA、 リ フ ト オ フ O.2mmと し た 。 こ れ よ り 、 隣 接 す る パ ー が 異 な る 場 合 ( 図2‑19(a)) は 容 易 に 識 別 で き 、 隣 接 す る パ ー が 同 じ 場 合 ( 図2‑19(b)) で も 、 出 力 は OV付 近 ま で 戻 っ て い る た め 識 別 が 十 分 可 能 で あ る こ と が わ か る 。 し た が っ て 、 検 出 素 子E
に よ る こ の バ ー コ ー ド パ タ ー ン に お い て は 、 隣 接 す る パ 一 間 の 距 離 を2.0mmと す る バ ー コ ー ド が 構 成 される。45 45
13.0mm 13.0mm
→ ← → ←
m m ハU m m n u
図2‑17 高密度化のためのバーパターン
0.8 0.6
0.2
。
0.4
E
( ﹀百
)
円 同 言 ︒
5 6
高密度パーの出力特性 2 3 4 Scan path (mm)
ー0.2 0
図2‑18
E ( ﹀
) 吉 (日 言︒
0.8 0.6
。
0.4 0.2
‑0.2
ハU
4EEA
4 6 8
S c a n p a
出(mm)
2
ー0.6 0
(a)逆パターン
1.4 1.2
0.2
。
0.8
0.6 0.4 E ( ﹀
) 吉 会コ
︒
ハU
省E'A
4 6 8
S c a n p a
出(mm)
2
‑0.2 0
(b)向ノぐターン
高密度ノてー
2
本配置した場合の出力特性 図2‑19‑35‑
2 . 9
本 章 の ま と め本 章 で は 、 磁 気 異 方 性 を 利 用 し た 新 し い 磁 気 バ ー コ ー ド シ ス テ ム を 提 案 し 、 そ の バ ー コ ー ド 検 出 の 原 理 に つ い て 述 べ た 。 ま た 、 そ れ を 実 現 す る よ う な 検 出 素 子 お よ び バ ー コ ー ド を 用 い て バ ー コ ー ド 検 出 を 行 い 、 磁 気 異 方 性 を 用 い た 磁 気 バ ー
コ ー ド シ ス テ ム と し て 利 用 が 可 能 で あ る こ と を 示 し た。本 方 式 は 、 パ ー に 対 応 し た 正 負 出 力 が 得 ら れ る 検 出 で あ り 、 ス キ ャ ン 速 度 に 依 ら な い 測 定 で 、 そ の 独 特 な
ノてー形状よりセキュリテイの向上も見込まれるバーコードシステムである。また、
情 報 の 高 密 度 化 を 目 的 と し て 、 検 出 素 子 の 縮 小 化 、 バ ー パ タ ー ン の 改 良 を 行 い 、 約 4倍 の 高 密 度 化 が 可 能 と な っ た。 さ ら に 、 高 密 度 検 出 素 子 と パ ー パ タ ー ン で バ ー コ ー ド を 構 成 す る 際 に 基 本 と な る 2本 の パ ー の 組 み 合 わ せ を 考 察 し 、 バ ー コ ー ド 検出を行った結果、 2.0mm/bitの バ ー コ ー ド 構 成 が 可 能 で あ る こ と が わ か っ た。
第 3 章 磁 性 イ ン キ 印 刷 バ ー コ ー ド の 読 み 取 り 特 性
本 章 で は 、 実 用 性 を 考 慮 し 、 第
2
章 で 述 べ た 磁 気 バ ー コ ー ド シ ス テ ム に お い て 、 安 価 で 量 産 化 が 可 能 な 磁 性 イ ン キ 印 刷 に よ り 製 作 さ れ た バ ー コ ー ド を 用 い 、 そ の 検 出 特 性 に つ い て 述 べ る 。 ま た 、 高 密 度 化 に よ る 検 出 素 子 、 パ ー の 小 型 化 お よ び 、 磁 性 イ ン キ 印 刷 バ ー コ ー ド に よ る 出 力 の 低 下 を 改 善 す る 方 法 を 提 案 し 、 高 出 力 化 についても言及する。3 .
1 バ ー コ ー ド 印 刷 技 術光 方 式 の バ ー コ ー ド 製 作 は 、 光 の 反 射 率 の 異 な る 明 暗 パ タ ー ン が 形 成 で き れ ば よ く 、 バ ー コ ー ド 印 刷 対 象 に 応 じ て 、 サ ー マ ル 発 色 、 リ ボ ン 転 写 、 イ ン ク ジ ェ ッ ト 印 字 、 印 刷 等 の 技 術 が 用 い ら れ て い る [32]0 実 用 性 を 考 慮 し 、 安 価 で 量 産 性 の あ る バ ー コ ー ド 製 作 を 磁 気 式 に 導 入 す る 場 合 、 印 刷 技 術 を 用 い る の が 好 ま し い 。 中 で も 、 印 刷 部 に 厚 盛 り が で き 、 磁 性 材 料 含 有 量 を 多 く で き る ス ク リ ー ン 印 刷 が 適 し て お り 、 現 在 、 プ リ ペ イ ド カ ー ド の 磁 気 ノ て ー コ ー ド 製 作 に も こ の ス ク リ ー ン 印 刷 が 用 い ら れ て い る [33]0
ス ク リ ー ン 印 刷 技 術 を 磁 気 式 に 用 い る 場 合 、 い く つ か の 問 題 点 が 生 じ る 。 ま ず 、 顔 料 と な る 磁 性 材 料 の 粒 子 の 大 き さ で あ る o 粒 子 の 大 き さ は 、 版 の 目 詰 ま り や 印 刷 む ら に 関 係 し 、 ま た 、 粒 子 の 形 状 は ミ ク ロ 的 な 磁 気 異 方 性 を 与 え る 要 因 と な る 。
ま た 、 顔 料 と 接 着 剤 ( パ イ ン ダ ー ) の 割 合 と 磁 気 特 性 、 印 刷 の 安 定 性 ( 耐 久 性 ) な ど 、 印 刷 技 術 に お い て は 様 々 な 条 件 が 複 雑 に 関 わ っ て い る [34]0 そ の た め 、 目 的 に 応 じ た 磁 性 材 料 、 パ イ ン ダ ー や そ の 割 合 の 選 択 が 必 要 と な る が 、 今 回 は 磁 気 印 刷 に 用 い ら れ る 一 般 的 な 磁 性 材 料 お よ び パ イ ン ダ ー を 用 い て 製 作 さ れ た も の を 用いた。
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